JPH1149951A - ポリイミド系水性分散体およびその製造方法 - Google Patents

ポリイミド系水性分散体およびその製造方法

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JPH1149951A
JPH1149951A JP22208297A JP22208297A JPH1149951A JP H1149951 A JPH1149951 A JP H1149951A JP 22208297 A JP22208297 A JP 22208297A JP 22208297 A JP22208297 A JP 22208297A JP H1149951 A JPH1149951 A JP H1149951A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリイミド本来の耐熱性、電気絶縁性、機械
的特性等を損なうことなく、水性分散体としての保存安
定性に優れたポリイミド系水性分散体、およびその好ま
しい製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリイミド系水性分散体は、(A)有機
溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水性ポリマーとを同
一粒子内に含み、平均粒子径が0.03〜5μmである
粒子が水性媒体中に分散してなる。前記ポリイミド系水
性分散体は、好ましくは、前記(A)成分および(B)
成分として相互に反応性を有する基を有する成分を用
い、両成分を有機溶媒中にて溶液状態で混合して反応さ
せたのち、この反応溶液と水性媒体とを混合することに
より製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機溶媒可溶性の
ポリイミドと親水性ポリマーとを同一粒子内に含み、水
性分散体としての保存安定性に優れるとともに、ポリイ
ミド本来の耐熱性、電気絶縁性、機械的特性等を保持す
るポリイミド系水性分散体、およびその好ましい製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】テトラカルボン酸二無水物とジアミンと
の反応により得られるポリイミドは、優れた耐熱性、電
気絶縁性、耐溶剤性、機械的特性を有し、電気・電子材
料分野、航空宇宙分野など様々な分野で使用されてい
る。しかしながら、ポリイミドは、一般に特定の有機溶
媒にしか溶解できず、また各種基体との接着性も低いな
どの問題があった。また近年、特に環境保全に対する社
会的意識の高まりから、電子材料分野においても、媒体
を有機溶剤系から水系に変更することが要求されてお
り、その場合は、ポリイミドの水系媒体に対する難溶性
のため、分散体の形態をとらざるを得ないが、通常のポ
リイミドの場合、水性分散体としての十分な保存安定性
を確保することが極めて困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリ
イミド本来の耐熱性、電気絶縁性、機械的特性等を損な
うことなく、水性分散体としての保存安定性に優れたポ
リイミド系水性分散体、およびその好ましい製造方法を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によると、前記課
題は、 (A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水性ポリ
マーとを同一粒子内に含み、平均粒子径が0.03〜5
μmである粒子が、水性分散媒中に分散してなるポリイ
ミド系水性分散体、により達成される。
【0005】また、本発明のポリイミド系水性分散体の
好ましい製造方法は、 (A)反応性基(a)を有する有機溶媒可溶性のポリイ
ミドと(B)反応性基(b)を有する親水性ポリマーと
を、有機溶媒中にて溶液状態で混合し、必要に応じて加
熱しつつ、反応させたのち、この反応溶液と水性媒体と
を混合し、場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去
することにより、前記(A)成分と(B)成分とを同一
粒子内に含み、平均粒子径が0.03〜5μmである粒
子を、水性媒体中に分散させることを特徴とするポリイ
ミド系水性分散体の製造方法、からなる。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。(A)成分 本発明における(A)成分は、有機溶媒可溶性のポリイ
ミドからなる。このようなポリイミドの合成法は特に限
定されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、テ
トラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを混合して
重縮合させて、ポリアミック酸を得たのち、該ポリアミ
ック酸を加熱イミド化法または化学イミド化法により脱
水閉環反応させることにより、ポリイミドを合成するこ
とができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ン化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロッ
ク構造を有するポリイミドを合成することも可能であ
る。
【0007】<テトラカルボン酸二無水物>有機溶媒可
溶性のポリイミドの合成に用いられるテトラカルボン酸
二無水物は特に限定されるものではなく、その例として
は、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4
−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジ
メチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン
酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シク
ロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ
−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4
−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,
3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカ
ルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロ
ペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノ
ルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テト
ラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3
a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ
−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2
−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒ
ドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト
[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3
a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−
(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−
ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,
3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−
5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニ
ル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオ
ン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−
エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−
フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−
ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−
8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−
3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,
3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒド
ロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサ
ヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,
5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]
−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテ
トラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン
−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.
2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカル
ボン酸二無水物や、下記式(1)または式(2)で表さ
れる化合物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物あるい
は脂環式テトラカルボン酸二無水物、
【0008】
【化1】
【0009】(式中、R1 は芳香環を有する2価の有機
基を示し、R2 は水素原子またはアルキル基を示し、複
数存在するR2 は相互に同一でも異なっていてもよ
い。)、
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R3 は芳香環を有する2価の有機
基を示し、R4 は水素原子またはアルキル基を示し、複
数存在するR4 は相互に同一でも異なっていてもよ
い。);ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸
二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテ
ルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジ
メチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボ
ン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’
−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル
スルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,
3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタ
ル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフ
ィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリ
フェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス
(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニ
ルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水
物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェ
ニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アン
ヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス
(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオー
ル−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキ
サンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、
1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリ
テート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)や、下記式
(3)〜(6)で表される化合物等の芳香族テトラカル
ボン酸二無水物、
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】等を挙げることができる。これらのテトラ
カルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上を混合し
て使用することができる。 <ジアミン化合物>また、有機溶媒可溶性のポリイミド
の合成に用いられるジアミン化合物としては、例えばp
−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスル
フィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,
3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,
4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジ
フェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,
3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−
アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−
トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノ
フェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノ
ン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミ
ノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、
1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス
(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、
2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミ
ノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス
(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラ
クロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ
クロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビ
フェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノ
ビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリ
デン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソ
プロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−
(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フ
ェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ
−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、
4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチ
ル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香
族ジアミン類;
【0017】1,1−メタキシリレンジアミン、1,3
−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタ
メチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメ
チレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレ
ンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミ
ン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジア
ミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミ
ン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチ
レンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7 ]−ウ
ンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス
(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンあるいは
脂環式ジアミン類;2,3−ジアミノピリジン、2,6
−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,
4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−
ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒド
ロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルア
ミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−ア
ミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イ
ソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジア
ミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4
−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジ
ン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,
6−ジアミノ−2−ビニル−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−
ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチル
ウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾー
ル、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテ
ート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジ
ン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノア
クリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン
や、下記式(7)または(8)で表される化合物等の、
分子内に2つの第一級アミノ基および該第一級アミノ基
以外の窒素原子を有するジアミン類、
【0018】
【化7】
【0019】(式中、R5 は、ピリジン、ピリミジン、
トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンの群から選ば
れる含窒素環構造を有する化合物に由来する1価の有機
基を示し、Xは2価の有機基を示す。)、
【0020】
【化8】
【0021】(式中、R6 は、ピリジン、ピリミジン、
トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンの群から選ば
れる含窒素環構造を有する化合物に由来する2価の有機
基を示し、Xは2価の有機基を示し、複数存在するXは
相互に同一でも異なっていてもよい。);下記式(9)
で表されるモノ置換フェニレンジアミン類、
【0022】
【化9】
【0023】(式中、Yは−O−、−COO−、−OC
O−、−NHCO−、−CONH−または−CO−を示
し、R7 は水素原子、ふっ素原子、トリフルオロメチル
基、炭素数6〜30のアルキル基またはステロイド骨格
を有する1価の基を示す。);下記式(10)で表され
るジアミノオルガノシロキサン、
【0024】
【化10】
【0025】(式中、R8 は炭素数1〜12の炭化水素
基を示し、複数存在するR8 は相互に同一でも異なって
いてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の
整数である。);
【0026】下記式(11)〜(23)で表される化合
物、
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】(式中、yは2〜12の整数である。)
【0032】
【化15】
【0033】(式中、zは1〜5の整数である。)
【0034】
【化16】
【0035】
【化17】
【0036】
【化18】
【0037】
【化19】
【0038】
【化20】
【0039】
【化21】
【0040】
【化22】
【0041】
【化23】
【0042】等を挙げることができる。これらのジアミ
ン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。
【0043】前記テトラカルボン酸二無水物とジアミン
化合物との使用割合は、ジアミン化合物中のアミノ基1
当量に対して、テトラカルボン酸二無水物中の酸無水物
基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ま
しくは0.3〜1.2当量となる割合である。
【0044】<ポリアミック酸>ポリアミック酸の合成
反応は、有機溶媒中において、通常、−20〜150
℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。
前記有機溶媒としては、生成するポリアミック酸を溶解
しうるものであれば特に制限はなく、その例としては、
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセト
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘ
キサメチルホスホルトリアミド等の非プロトン系極性溶
媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸
n−ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプ
ロピオン酸エチル、しゅう酸ジエチル、マロン酸ジエチ
ル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル等
のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;フ
ェノール、m−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化
フェノール等のフェノール類等を挙げることができる。
有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物とジア
ミン化合物との合計量が、反応溶液の全量に対して0.
1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0045】また、前記有機溶媒には、アルコール類、
エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等の他
の有機溶媒を、生成するポリアミック酸が析出しない範
囲で併用することができる。前記他の有機溶媒として
は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、トリエチレングリコール、エチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリ
コールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエー
テル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エ
チレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレング
リコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジ
メチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルア
セテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエー
テルアセテート、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,
4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼ
ン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることが
できる。以上のようにしてテトラカルボン酸二無水物と
ジアミン化合物とを重縮合させることにより、ポリアミ
ック酸の有機溶媒溶液が得られる。得られるポリアミッ
ク酸は、その対数粘度(ηIn)の値が、通常、0.05
〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gであ
る。ここで、対数粘度(ηIn)の値は、N−メチル−2
−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/10
0ミリリットルである溶液の流下時間と、該溶媒の流下
時間を、30℃で測定して、下記式により求められるも
のである。 ηIn=In(溶液の流下時間/溶媒の流下時間)÷(溶
液の濃度)
【0046】〔有機溶媒可溶性のポリイミド〕本発明に
おける有機溶媒可溶性のポリイミドは、前記ポリアミッ
ク酸を脱水閉環することにより合成することができる。
ポリアミック酸の脱水閉環反応は、(イ)ポリアミック
酸の有機溶媒溶液を加熱し、副生する水を共沸留去する
加熱イミド化法、または(ロ)ポリアミック酸の有機溶
媒溶液に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し、必要に応
じて加熱して反応させる化学イミド化法により行われ
る。前記(イ)の方法における反応温度は、通常、50
〜400℃、好ましくは100〜250℃である。反応
温度が50℃未満では、脱水閉環反応が十分に進行せ
ず、一方反応温度が400℃を超えると、得られるポリ
イミドの分子量が低下する場合がある。また、(イ)の
方法においては、副生する水の除去を容易とするため、
水と共沸し、特に反応系外で水と容易に分離しうる成
分、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶媒を脱水剤として存在させることもできる。
さらに、脱水閉環を促進するために、第三級アミン、例
えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n
−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の脂肪族
第三級アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジエチルアニリン等の芳香族第三級アミン類;ピリジ
ン、キノリン、イソキノリン等の複素環式第三級アミン
類等の触媒を、ポリアミック酸100重量部当たり、例
えば10〜400重量部添加することもできる。
【0047】次に、前記(ロ)の方法において、脱水剤
としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水
トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。
脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰返し単位1モル
に対して、0.01〜20モルが好ましい。また、脱水
閉環触媒としては、例えば、ピリジン、コリジン、ルチ
ジン、トリエチルアミン等の第三級アミン類を用いるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。脱水
閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して、
0.01〜10モルが好ましい。(ロ)の方法における
反応温度は、通常、0〜180℃、好ましくは10〜1
50℃である。(イ)および(ロ)の方法に使用される
有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられる
有機溶媒と同様のものを挙げることができる。また、
(イ)および(ロ)の方法により得られる反応溶液を大
量の貧溶媒中に注いで、ポリイミドを析出させ、この析
出物を減圧下乾燥することにより、ポリイミドを固体と
して得ることができる。さらには、この固体ポリイミド
を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒中に注いで析
出させる処理を1回以上行うことにより、ポリイミドを
精製することができる。
【0048】<末端修飾型ポリイミド>本発明における
有機溶媒可溶性のポリイミドは、分子量が調節された末
端修飾型のものであってもよい。このような末端修飾型
ポリイミドは、ポリアミック酸を合成する際に、カルボ
ン酸一無水物、モノアミン化合物、アミノ酸、モノイソ
シアネート化合物等を反応系に添加することにより合成
することができる。前記カルボン酸一無水物としては、
例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、3−ヒドロキ
シフタル酸無水物、無水イタコン酸、n−デシルこはく
酸無水物、n−ドデシルこはく酸無水物、n−テトラデ
シルこはく酸無水物、n−ヘキサデシルこはく酸無水
物、ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無
水物等を挙げることができる。また、前記モノアミン化
合物としては、例えば、アニリン、シクロヘキシルアミ
ン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキ
シルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミ
ン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデ
シルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミ
ン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミ
ン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミ
ン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン等
を挙げることができる。また、前記アミノ酸としては、
例えば、アラニン、シスチン、ロイシン、リシン、メチ
オニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオ
ニン、トリプトファン、バリン等を挙げることができ
る。また、前記モノイソシアネート化合物としては、例
えば、フェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシア
ネート等を挙げることができる。
【0049】<反応性基(a)を有するポリイミド>本
発明における有機溶媒可溶性のポリイミドは、例えば、
カルボキシル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、ア
ミド基、エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基
(a)を1種以上有することができる。本発明における
反応性基(a)を有するポリイミドにおいては、その反
応性基(a)を、後述する(B)成分中の反応性基
(b)と反応しうるものとすることが好ましく、それに
より、該ポリイミドと(B)成分とが結合して同一粒子
内に含む粒子を得ることができる。このようなポリイミ
ドは、反応性基(a)を、通常、0.1〜50モル%、
好ましくは、0.2〜30モル%、さらに好ましくは、
0.5〜20モル%含有することが望ましい。反応性基
(a)を有するポリイミドの合成方法としては、例え
ば、(ハ)ポリアミック酸中に存在するアミド酸基(即
ち、反応原料のテトラカルボン酸二無水物およびジアミ
ン化合物から形成される遊離カルボキシル基とアミド
基)を脱水閉環反応後に残存させる方法、(ニ)ポリア
ミック酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジア
ミン化合物、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物等
の反応原料として、反応性基(a)を有する化合物を使
用し、脱水閉環反応後に反応性基(a)を残存させる方
法等を挙げることができる。前記(ハ)の方法は、ポリ
アミック酸の脱水閉環反応時に、加熱イミド化法におい
ては、反応時間と反応温度を適切にコントロールするこ
とにより、そのイミド化率を調整することにより実施で
き、また前記(ニ)の方法は、反応性基(a)が脱水閉
環反応に関与する場合、加える脱水剤や脱水閉環触媒の
量を調製することにより、イミド化率を調整することに
より実施することができる。なお、(ニ)の方法で反応
性基(a)が脱水閉環反応に関与しない場合は、反応条
件を特に調整する必要がない。これらの方法のうち、そ
のイミド化率の調整の簡便さから、一般に(ニ)の方法
が好ましい。以上のようにして得られる有機溶剤可溶性
のポリイミドは、その対数粘度(ηIn)の値が、通常、
0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl
/gである。ここで、対数粘度(ηIn)は、前記ポリア
ミック酸の対数粘度(ηIn)と同様の方法により測定さ
れる。
【0050】(B)成分 本発明における(B)成分は、親水性基として、例え
ば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸
基、アミド基等を1種以上有し、水に対する20℃の溶
解度が、通常、0.01g/100g以上、好ましくは
0.05g/100g以上である親水性ポリマーからな
る。また、(B)成分は、前記親水性基に加えて、前記
(A)成分中の反応性基(a)と反応しうる反応性基
(b)を1種以上有することが好ましい。このような反
応性基(b)としては、例えば、エポキシ基、イソシア
ネート基、カルボキシル基のほか、前記親水性基と同様
の基等を挙げることができる。このような親水性ポリマ
ーは、前記(A)成分と共に同一粒子内に混在すること
により、該粒子を水性媒体中に安定した状態で分散させ
る作用を示すものと考えられる。本発明における親水性
ポリマーとしては、親水性基を有するモノビニル単量体
(以下、「親水性単量体」という。)の単独重合体、あ
るいは親水性単量体単位を、通常、0.1〜80重量
%、好ましくは、1〜60重量%、さらに好ましくは3
〜50重量%含有する共重合体が望ましく、特に親水性
単量体の共重合体が望ましい。さらに、本発明における
親水性ポリマーとしては、前記(A)成分中の反応性基
(a)と反応しうる反応性基(b)を有するモノビニル
単量体(以下、「反応性単量体」という。)を、通常、
0.1〜30重量%、好ましくは、0.2〜20重量
%、さらに好ましくは、0.5〜15重量%含有する共
重合体が望ましい。
【0051】前記親水性単量体あるいは反応性単量体の
うち、アミノ基含有単量体としては、例えば、2−ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含
有(メタ)アクリレート類;2−(2−ジメチルアミノ
エトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ジ
エチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、
2−(2−ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)
アクリレート、3−(2−ジメチルアミノエトキシ)プ
ロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアル
キル基含有(メタ)アクリレート類;N−(2−ジメチ
ルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−
ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−
(2−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミ
ド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アク
リルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アク
リルアミド類;p−ジメチルアミノメチルスチレン、p
−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノ
メチル−α−メチルスチレン、p−ジエチルアミノメチ
ル−α−メチルスチレン、p−(2−ジメチルアミノエ
チル)スチレン、p−(2−ジエチルアミノエチル)ス
チレン、p−(2−ジメチルアミノエチル)−α−メチ
ルスチレン、p−(2−ジエチルアミノエチル)−α−
メチルスチレン、2−ビニルピリン、4−ビニルピリン
等のアミノ基含有芳香族ビニル化合物;グリシジル(メ
タ)アクリレートと第一級または第二級のアミン化合物
との付加物等や、これらの単量体中のアミノ基を中和あ
るいは四級化した塩等を挙げることができる。
【0052】カルボキシル基含有単量体としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類
やこれらの塩;マレイン酸モノメチルエステル、マレイ
ン酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチルエステ
ル、フマル酸モノエチルエステル等の不飽和ポリカルボ
ン酸の遊離カルボキシル基含有エステル類やこれらの
塩;こはく酸のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル)エステル、フタル酸のモノ(2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル)エステル等の非重合性ジカルボ
ン酸のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキ
ル)エステル類やこれらの塩等を挙げることができる。
水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルア
ミド、フタル酸の2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル・2−ヒドロキシエチルジエステル等を挙げることが
でき、スホン酸基含有ビニル系単量体としては、例え
ば、p−スチレンスルホン酸、p−α−メチルスチレン
スルホン酸、スルホン化イソプレンやこれらの塩等を挙
げることができ、アミド基含有単量体としては、例え
ば、(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、けい
皮酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド等
を挙げることができる。
【0053】また、エポキシ基含有単量体としては、例
えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート等を挙げることができる。イソシアネ
ート基含有単量体としては、例えば、2−イソシアナト
エチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトプロピル
(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら
の親水性単量体および反応性単量体は、単独でまたは2
種以上を混合して使用することができる。
【0054】また、前記親水性単量体あるいは反応性単
量体と共重合しうる他のモノビニル単量体としては、例
えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−
プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)ア
クリルレート、i−ブチル(メタ)アクリルレート、s
ec−ブチル(メタ)アクリルレート、t−ブチル(メ
タ)アクリルレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シク
ロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アク
リレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メ
トキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチ
ル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル
(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキ
ル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリ
ル、シアン化ビニリデン、クロトンニトリル、2−シア
ノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル
(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)ア
クリレート等のシアノ基含有単量体類;N−メトキシメ
チル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メ
タ)アクリルアミド、N−(3−メトキシプロピル)
(メタ)アクリルアミド、N−(4−メトキシブチル)
(メタ)アクリルアミド等の前記アミド基含有単量体の
N−アルコキシアルキル置換誘導体類;トリフルオロエ
チル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)
アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレー
ト類;トリメチルシロキサニルジメチルシリルプロピル
(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキサニ
ル)シリルプロピル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)
アクリロイルプロピルジメチルシリルエーテル等のシロ
キサニル化合物類;スチレン、o−ビニルトルエン、m
−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−エチルス
チレン、α−メチルスチレン、α−フルオロスチレン等
のモノビニル芳香族化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン等のハロゲン化ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、ブタジエ
ン、イソプレン等の不飽和脂肪族炭化水素類のほか、シ
リコン変性モノマー、マクロモノマー等を挙げることが
できる。 前記他のモノビニル単量体は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。
【0055】さらに、得られる共重合体の親水性を過度
に損なわない範囲の量で、例えば、ジビニルベンゼン、
ジイソプロペニルベンゼン等のポリビニル芳香族化合
物;エチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリメチレ
ンビス(メタ)アクリルアミド、テトラメチレンビス
(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミ
ド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジアクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)ア
クリロキシプロピオキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)
プロパン等のジ(メタ)アクリレート類;グリセリント
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラ
アクリレート等の3個以上の(メタ)アクリロキシ基を
有する単量体等の1種以上の架橋性単量体を共重合させ
ることもできる。
【0056】本発明における親水性ポリマーは、例え
ば、ラジカル重合開始剤を用い、必要に応じて連鎖移動
剤の存在下における公知の溶液重合などにより製造する
ことができる。前記溶液重合に用いる重合媒体として
は、例えば、水、極性溶剤、水と極性溶媒との混合媒体
等を挙げることができる。前記極性溶媒としては、例え
ば、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクト
ン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミ
ド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸
n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エ
トキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸
エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、しゅう酸ジ
エチル、マロン酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、エチレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール200、ポリエチレングリコール4
00、ポリエチレングリコール600、ポリエチレング
リコール1500、グリセリン、N−メチロールピロリ
ドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ
−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエーテル、メタノール、エ
タノール等を挙げることができる。これらの極性溶媒
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。また、本発明における親水性ポリマーとしては、
好ましくは水に対する前記溶解度条件を満たす公知の親
水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエ
チレンイミン、ポリアリルアミン、ポリスチレンのスル
ホン化物、スチレンーイソプレン共重合体のスルホン化
物等を使用することもできる。本発明における親水性ポ
リマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)による数平均分子量(以下、「Mn」という。)
は、通常、1,000〜100,000、好ましくは
3,000〜20、000である。前記親水性ポリマー
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。本発明において、親水性ポリマーは、溶液あるい
は固体として、ポリイミド系水性分散体の調製に使用さ
れる。
【0057】ポリイミド系水性分散体 本発明のポリイミド系水性分散体は、前記有機溶媒可溶
性のポリイミドと親水性ポリマーとを同一粒子内に含
み、平均粒子径が0.03〜5μm、好ましくは0.0
5〜3μmである粒子を、水性媒体中に分散させてなる
ものである。本発明のポリイミド系水性分散体における
有機溶剤可溶性のポリイミドと親水性ポリマーとの使用
割合は、有機溶剤可溶性のポリイミドが、通常、20〜
90重量%、好ましくは30〜80重量%であり、親水
性ポリマーが、通常、80〜10重量%、好ましくは7
0〜20重量%である。この場合、ポリイミドが20重
量%未満で、親水性ポリマーが80重量%を超えると、
水性分散体から得られる硬化物の電気絶縁性が低下する
傾向があり、またポリイミドが90重量%を超え、親水
性ポリマーが10重量%未満では、得られる水性分散体
の保存安定性が低下する傾向がある。本発明のポリイミ
ド系水性分散体における水性媒体とは、水を主成分とす
る媒体を意味する。この場合、水性媒体中における水の
含有率は、通常、40重量%以上、好ましくは50重量
%以上である。場合により水と共に使用される他の媒体
としては、例えば、前記ポリアミック酸あるいはポリイ
ミドの合成に使用される非プロトン性極性溶媒、エステ
ル類、ケトン類、フェノール類や、前記親水性ポリマー
の合成に使用される極性溶媒と同様のものを挙げること
ができる。
【0058】本発明のポリイミド系水性分散体の製造方
法としては、前記所定の水性分散体が得られる限り特に
限定されるものではないが、例えば、(I)有機溶媒可
溶性のポリイミドと親水性ポリマーとを、有機溶媒中に
て溶液状態で混合したのち、この混合溶液を水性媒体中
に分散させて混合して、所定の平均粒子径の粒子とし、
場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去する方法、
(II)溶液から分離された有機溶媒可溶性のポリイミド
と親水性ポリマーとを、固体状態で混合して、所定の平
均粒子径の粒子としたのち、該粒子を水性媒体中に分散
させる方法等を挙げることができるが、特に(I)の方
法が好ましい。これらの方法は、必要に応じて加熱下で
実施することができる。
【0059】以下、本発明のポリイミド系水性分散体の
製造方法を、前記(I)の方法を中心としてさらに具体
的に説明する。有機溶媒可溶性のポリイミドと親水性ポ
リマーとを有機溶媒中にて溶液状態で混合する方法とし
ては、例えば、(i)別々に調製したポリイミドの溶液
と親水性ポリマーの溶液とを混合する方法、(ii)ポリ
イミドと親水性ポリマーのいずれか一方の溶液に、他方
を固体として添加して混合溶解する方法、(iii)ポリイ
ミドと親水性ポリマーをともに固体として有機溶媒に添
加して、混合溶解する方法等を挙げることができるが、
特に(i)の方法が好ましい。ポリイミドと親水性ポリ
マーとを溶液状態で混合する際に使用される有機溶媒と
しては、ポリイミドおよび親水性ポリマーに対して不活
性であり、かつこれらを溶解しうる限り、特に限定され
るものでないが、例えば、前記ポリアミック酸あるいは
ポリイミドの合成に使用される非プロトン性極性溶媒、
エステル類、ケトン類、フェノール類や、前記親水性ポ
リマーの合成に使用される極性溶媒等を挙げることがで
きる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混
合して使用することができる。また、(i)の方法の場
合、ポリイミドの溶液と親水性ポリマーの溶液に使用さ
れる有機溶媒は、同一でも異なってもよい。さらに、
(i)〜(iii)の方法により得られる混合溶液には、目
的に応じて他の化合物を添加することができる。この化
合物としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ
樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキ
シ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキ
シ化合物;トリレンジイソシアネート等のジイソシアネ
ート化合物やそのブロック化物;高密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、脂肪族ポリアミド、ポリアミドイ
ミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルケトン、ポリフェニレンスルフィド、(変性)ポリ
カルボジイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイ
ミド、変性ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性あるい
は熱硬化性の樹脂等を挙げることができる。これらの化
合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用すること
ができる。
【0060】有機溶媒可溶性のポリイミドと親水性ポリ
マーとの混合溶液の濃度は、両成分の合計量として、好
ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50
重量%である。有機溶媒可溶性のポリイミドと親水性ポ
リマーとを溶液状態で混合する際には、例えば、撹拌
翼、リボン、スクリュウ等の適宜の混合手段を採用する
ことができる。また、混合条件は、回転数が、通常、1
0〜50,000rpm、好ましくは20〜5,000
rpmである。また、有機溶媒可溶性のポリイミドと親
水性ポリマーとを溶液状態で混合する際には、必要に応
じて界面活性剤を適量添加することもできる。但し、得
られる水性分散体を絶縁材として使用する場合は、界面
活性剤が絶縁耐久性を低下させる要因ともなるため、そ
の使用量を極力少なくすることが好ましい。
【0061】さらに、本発明においては、ポリイミド系
水性分散体のpHを、好ましくは4〜10、さらに好ま
しくは5〜9とすることが望ましく、それにより、保存
安定性が特に優れた水性分散体を得ることができる。こ
のようなpH調整は、例えば、(iv)有機溶媒可溶性の
ポリイミドと親水性ポリマーとの混合溶液に、必要量の
pH調整剤を添加したのち、水性媒体中に分散させる方
法、(v)有機溶媒可溶性のポリイミドと親水性ポリマ
ーとの混合溶液を、必要量のpH調整剤を添加した水性
媒体中に分散させる方法、(vi)有機溶媒可溶性のポリ
イミドと親水性ポリマーとの混合溶液を水性媒体中に分
散させながら、必要量のpH調整剤を添加する方法等に
より実施することができるが、特に(iv)の方法が好ま
しい。なお、前記(II)の方法においてpH調整する際
には、予め必要量のpH調整剤を水性媒体中に添加して
おけばよい。前記pH調整剤としては、特に限定される
ものではなく、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、アルカノールアミ
ン等の有機または無機の塩基;ぎ酸、酢酸、酪酸、塩
酸、硫酸等の有機または無機のプロトン酸等を挙げるこ
とができる。これらのpH調整剤は、有機溶媒可溶性の
ポリイミド中の反応性基(a)あるいは親水性ポリマー
中の親水性基や反応性基(b)の種類や、これらの組み
合せ等に応じて使い分けられる。
【0062】次に、有機溶媒可溶性のポリイミドと親水
性ポリマーとの混合溶液を水性媒体中に分散させる際に
は、該混合溶液に水性媒体を添加しても、あるいは該混
合溶液を水性媒体に添加してもよいが、特に後者の方法
が好ましい。有機溶媒可溶性のポリイミドと親水性ポリ
マーとの混合溶液を水性媒体中に分散させる際には、例
えば、撹拌翼、リボン、スクリュウ等の適宜の混合手段
を採用することができる。また、混合条件は、ポリイミ
ド系水性分散体の固形分濃度、分散粒子の所望の平均粒
子径等によって変わるが、回転数が、通常、10〜5
0,000rpm、好ましくは20〜5,000rpm
である。ポリイミド系水性分散体を調製する際に、水以
外の有機溶媒あるいは媒体を除去する方法としては、例
えば、蒸留、限外ろ過等を挙げることができる。本発明
のポリイミド系水性分散体における水性媒体の合計使用
量は、有機溶媒可溶性のポリイミドと親水性ポリマーと
の合計100重量部に対して、好ましくは10〜10,
000重量部、さらに好ましくは20〜5,000重量
部である。 本発明のポリイミド系水性分散体における
粒子の平均粒子径は、0.03〜5μm、好ましくは
0.05〜2μmである。この場合、粒子の平均粒子径
が0.03μm未満では、水性分散体としたときの粘度
が高くなりすぎ、また5μmを超えると、水性分散体と
しての保存安定性が低下して、粒子が沈降しやすくな
る。この平均粒子径は、公知の光学的方法や電子顕微鏡
により測定することができる。
【0063】さらに、本発明においては、ポリイミド系
水性分散体を製造する際に、有機溶媒可溶性のポリイミ
ド中の反応性基(a)と親水性ポリマー中の反応性基
(b)とを適切に組み合せて、該ポリイミドと該親水性
ポリマーとを、有機溶媒中にて溶液状態で混合して、必
要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反応溶液
と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少なくと
も一部を除去することにより、該ポリイミドと該親水性
ポリマーとを相互に結合して同一粒子内に含み、前記所
定の平均粒子径を有する粒子を、水性媒体中に分散させ
ることにより、水系分散体としての保存安定性および硬
化物の諸物性に著しく優れたポリイミド系水性分散体を
製造することができる。
【0064】添加剤 本発明のポリイミド系水性分散体には、必要に応じて各
種の添加剤を配合することができる。このような添加剤
としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹
脂、フルオレン系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ
樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ
化合物;トリレンジイソシアネート等のジイソシアネー
ト化合物やそのブロック化物;高密度ポリエチレン、中
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、脂肪族ポリアミド、ポリアミドイ
ミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルケトン、ポリフェニレンスルフィド、(変性)ポリ
カルボジイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイ
ミド、変性ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性あるい
は熱硬化性の樹脂等を挙げることができる。また、他の
添加剤としては、例えば、クレー、ゼオライト、タル
ク、マイカ、シリカ、カーボンブラック、グラファイ
ト、アルミナ、炭酸カルシウム、ワラストナイト等の充
填剤や、ガラス、カーボン、アルミナ、チタン酸カリウ
ム、ほう酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、芳
香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、全芳
香族ポリエステル、超高分子量ポリエチレン、高強度ポ
リアクリロニトリル、高強力ポリビニルアルコール等の
繊維あるいはウイスカー等の補強材を挙げることができ
る。また、前記補強材は、例えば、織布、不織布、編み
物等の布帛の形で用い、該布帛に本発明のポリイミド系
水性分散体を含浸させて使用することもできる。前記各
添加剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使
用することができる。さらに、前記以外の添加剤として
は、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、滑剤、防曇剤、
接着性改善剤、防かび剤等を挙げることができる。また
必要に応じて、少量の乳化剤や水溶性分散剤をポリイミ
ド系水性分散体に添加することもできる。
【0065】ポリイミド系水性分散体の特性および用途 本発明のポリイミド系水性分散体は、優れた保存安定性
を有するとともに、その硬化物は、透明性、電気絶縁
性、耐熱性、機械的特性、電着性等に優れ、また吸水性
が低く耐湿性および耐湿熱性に優れ、かつ各種基体に対
する接着性にも優れている。したがって、本発明のポリ
イミド系水性分散体は、特に、各種の電気機器や電子部
品等の保護膜や電気絶縁膜等として極めて好適に使用す
ることができるほか、耐熱性が要求される接着剤や塗料
としても有用である。また、本発明のポリイミド系水性
分散体を予め離型処理した適当な基体に塗布して、熱硬
化性薄膜を成形し、該薄膜を硬化前に基体から強制的に
剥離することによって、熱硬化性フィルムを取得するこ
とができ、該熱硬化性フィルムは、電気機器や電子部品
等の耐熱性接着フィルム等として有用である。あるい
は、前記基体から強制的に剥離された熱硬化性薄膜を硬
化させるか、または予め離型処理した適当な基体上で熱
硬化性薄膜を加熱、硬化させたのち、得られた硬化薄膜
を基体から強制的に剥離することによって、硬化フィル
ムを取得することができる。さらに、本発明のポリイミ
ド系水性分散体を構成する粒子を適当な溶媒に溶解した
溶液をガラスクロス等の適当な布帛に含浸させたのち乾
燥したプリプレグ、あるいは無溶媒の該粒子をガラスク
ロス等の適当な布帛に含浸させたプリプレグは、銅張り
積層板等の積層材等としても有用である。また、前記
(II)の方法により固体状態で混合した粒子、あるいは
本発明のポリイミド系水性分散体から分離・採取された
粒子は、1種の熱硬化性樹脂組成物をなし、例えば、粉
末、ペレット等の形態で、例えば、射出成形法、トラン
スファー成形法、押出し成形法、圧縮成形法等の既知の
成形法により成形して、各種の工業製品や工業部品等と
して使用することもできる。本発明のポリイミド系水性
分散体から熱硬化性フィルムあるいは硬化フィルムを成
形する際に使用される基体は、特に限定されるものでは
なく、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス、チタン、ア
ルミニウム、銅、各種合金等の金属;窒化ケイ素、炭化
ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化ほう素、
炭化ほう素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、アルミ
ナ、シリカや、これらの混合物等のセラミック;Si、G
e、SiC 、SiGe、GaAs等の半導体; ガラス、陶磁器等の
窯業材料;芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリ
イミド、全芳香族ポリエステル等の耐熱性樹脂等を挙げ
ることができる。前記基体には、所望により、予め離型
処理を施しておくことができ、またシランカップリング
剤、チタンカップリング剤等による薬品処理や、プラズ
マ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相
反応法、真空蒸着の如き適宜の前処理を施すこともでき
る。本発明のポリイミド系水性分散体を前記基体に塗布
する際には、回転塗布法、ロール塗布法、流延塗布法、
浸漬塗布法、噴霧塗布法、電着法等の適宜の塗布手段を
採用することができる。また、塗布厚さは、塗布手段の
選択、ポリイミド系水性分散体の固形分濃度や粘度を調
節することにより、適宜制御することができる。本発明
のポリイミド系水性分散体から形成される熱硬化性フィ
ルムあるいは硬化フィルムの厚さは、適宜選定すること
ができるが、通常、0.1〜10,000μm、好まし
くは1〜1,000μmである。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明
は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に何ら制
約されるものではない。以下において、特記しない限
り、「部」および「%」は重量基準である。実施例およ
び比較例中の各測定・評価は、次のようにして行なっ
た。平均粒子径 水性分散体を蒸留水で固形分濃度0.01重量%に希釈
し、動的光散乱測定装置LPA3000(大塚電子
(株)製)を用いて測定した。分散安定性(I) 調製直後の水性分散体をガラス板上に1滴落とし、凝集
物の有無を目視にて観察し、下記基準で評価した。 ○・・・凝集物なし. △・・・局部的に凝集物が存在する. ×・・・全体的に凝集する.分散安定性(II) プラスチック瓶に水性分散体を入れ、20℃で10日間
保存したときの分散状態と粘度を目視にて観察し、下記
基準で評価した。 ○・・・変化なし. △・・・2層に分離しないが、粘度がかなり上昇する. ×・・・2層に分離する.熱硬化性フィルム、硬化フィルムおよび薄膜の形成と物
性評価 水性分散体を用い、下記塗布法により薄膜を形成して、
下記物性を評価した。 回転塗布法:予め離型処理したガラス基体上に、スピン
ナーを用いて回転塗布して、熱硬化性薄膜を形成させた
のち、250℃で30分間加熱して硬化させて、硬化薄
膜を得た。次いで、前記熱硬化性薄膜および硬化薄膜を
基体から強制的に剥離して、膜厚55μmの熱硬化性フ
ィルムおよび膜厚50μmの硬化フィルムを得た。 カチオン電着法:希酸で洗浄した銅基体を用い、定電圧
法により陰極側銅基体に熱硬化性薄膜を形成して、10
0℃で10分間加熱したのち、さらに250℃で30分
間加熱して硬化させて、銅基体上に膜厚15μmの硬化
薄膜を形成した。物性評価法 引張り強さ:硬化フィルムについて、JIS K691
1またはJIS C2318に準拠して測定した。 10%重量減少温度:硬化フィルムについて、熱重量分
析装置(TGA)を用い、空気中、20℃/分の昇温速
度で測定した。 透明性:硬化フィルムについて、目視にて、下記基準で
評価した。 ○・・・透明. ×・・・濁りあり. 耐湿熱性:硬化フィルムについて、121℃、湿度10
0%、2気圧の条件下で、72時間耐湿熱性試験(PC
T)を行って、試験の前後で赤外線分光測定を実施し、
その変化の程度により、耐湿熱性を下記基準で評価し
た。 ○・・・変化がなく耐性が認められる. ×・・・変化が大きく耐性が認められない. 体積抵抗率および表面抵抗率:硬化フィルムについて、
JIS K6911に準拠して測定した。 銅箔剥離強度:熱硬化性フィルムを、厚さ130μmの
ポリイミドフィルム(商品名カプトン、東レ・デュポン
社製)と厚さ0.5mmの銅板との間に挟み、100g
/cm2の加重をかけて、250℃で30分間加熱した。
その後、ポリイミドフィルムの銅面からの剥離強度を、
JIS H8630およびJIS C6481に準拠
し、密着強度試験器(山本鍍金試験器(株)製)を用い
て測定した。
【0067】ポリイミドの合成 合成例1 テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物32.2
9g(90ミリモル)および1,3,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジアミン
化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリモル)
および式(10)に対応するオルガノシロキサンLP7
100(商品名、信越化学製)2.49g(10ミリモ
ル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解し
て、室温で12時間反応させた。その後、この反応溶液
に、ピリジン32gおよび無水酢酸71gを添加し、1
00℃で3時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶
液を減圧留去して精製し、対数粘度0.51dl/g、
イミド化率95%で、5%のポリアミック酸を含む固形
分10%のポリイミド(A−1)の溶液を得た。
【0068】合成例2 テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物35.8
8g(100ミリモル)、ジアミン化合物として2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パン32.84g(80ミリモル)、4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン1.98g(10ミリモル)および
式(10)に対応するオルガノシロキサンX−22−1
61AS(商品名、信越化学製)9.00g(10ミリ
モル)を、N−メチル−2−ピロリドン500gに溶解
して、室温で12時間反応させた。その後、この反応溶
液に、ピリジン32gおよび無水酢酸71gを添加し、
100℃で3時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応
溶液を減圧留去して精製し、対数粘度0.45dl/
g、イミド化率95%で、5%のポリアミック酸を含む
固形分10%のポリイミド(A−2)の溶液を得た。
【0069】合成例3 テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物17.9
4g(50ミリモル)および3,3’,4,4’−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物16.11(50
ミリモル)、ジアミン化合物として2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン36.9
5g(90ミリモル)および式(10)に対応するオル
ガノシロキサンX−22−161AS(商品名、信越化
学製)9.00g(10ミリモル)を、N−メチル−2
−ピロリドン500gに溶解して、室温で12時間反応
させた。その後、この反応溶液に、ピリジン8gおよび
無水酢酸10gを添加し、100℃で3時間脱水閉環反
応を行った。次いで、反応溶液を減圧留去して精製し、
対数粘度0.48dl/g、イミド化率50%で、50
%のポリアミック酸を含む固形分10%のポリイミド
(A−3)の溶液を得た。
【0070】親水性ポリマーの合成 合成例4 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメ
チルアミノエチルアクリレート30部、グリシジルメタ
アクリレート5部およびアゾビスイソブチロニトリル1
部からなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、
撹拌下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさ
らに2時間撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分
50%の親水性ポリマー(B−1)の溶液を得た。
【0071】合成例5 γ−ブチロラクトン100部を入れた反応容器を、窒素
ガス雰囲気下で85℃に保持し、この反応容器に、n−
ブチルアクリレート65部、ジメチルアミノエチルアク
リレート30部、イソシアナトエチルメタアクリレート
5部およびアゾビスイソブチロニトリル1部からなる混
合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶液
重合を行なった。滴下終了後、85℃でさらに2時間撹
拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分50%の親水
性ポリマー(B−2)の溶液を得た。
【0072】合成例6 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、n−ブチルアクリレート60部、メチ
ルメタアクリレート5部、ジメチルアミノプロピルアク
リルアミド30部、グリシジルメタアクリレート5部お
よびアゾビスイソブチロニトリル1部からなる混合液を
5時間かけて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶液重合を
行なった。滴下終了後、85℃でさらに2時間撹拌を続
けて、溶液重合を完結させ、固形分50%の親水性ポリ
マー(B−3)の溶液を得た。
【0073】合成例7 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、スチ
レン5部、メタアクリル酸30部およびアゾビスイソブ
チロニトリル1部からなる混合液を5時間かけて連続的
に添加しつつ、撹拌下で溶液重合を行なった。滴下終了
後、85℃でさらに2時間撹拌を続けて、溶液重合を完
結させ、固形分50%の親水性ポリマー(B−4)の溶
液を得た。
【0074】合成例8 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、メチ
ルメタアクリレート5部、アクリル酸30部およびアゾ
ビスイソブチロニトリル1部からなる混合液を5時間か
けて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶液重合を行なっ
た。滴下終了後、85℃でさらに2時間撹拌を続けて、
溶液重合を完結させ、固形分50%の親水性ポリマー
(B−5)の溶液を得た。
【0075】
【実施例】
実施例1 ポリイミド(A−1)の溶液70部(固形分)に対し
て、親水性ポリマー(B−1)の溶液30部(固形分)
を添加して十分混合し、70℃で3時間加熱したのち、
酢酸3部を徐々に添加して混合し、pH調整を行った。
次いで、蒸留水1000部を徐々に添加しつつ強く撹拌
して、凝集物のない水性分散体を得た。得られた水性分
散体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0076】実施例2 親水性ポリマーとして(B−2)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性分散体を得た。得られた水性分
散体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0077】実施例3 親水性ポリマーとして(B−3)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性分散体を得た。また、塗布法と
して回転塗布法を用いて物性評価を行った。得られた水
性分散体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0078】実施例4 ポリイミドの量を50部(固形分)とし、添加剤として
エピコート828(商品名、油化シェル製)20部(固
形分)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水性分
散体を得た。得られた水性分散体の性状および評価結果
を、表1に示す。
【0079】実施例5 pH調整剤としてぎ酸2部を用いた以外は、実施例1と
同様にして、水性分散体を得た。得られた水性分散体の
性状および評価結果を、表1に示す。
【0080】実施例6 pH調整剤として酪酸4部を用いた以外は、実施例1と
同様にして、水性分散体を得た。得られた水性分散体の
性状および評価結果を、表2に示す。
【0081】実施例7 ポリイミドとして(A−2)を用いた以外は、実施例4
と同様にして、水性分散体を得た。得られた水性分散体
の性状および評価結果を、表2に示す。
【0082】実施例8 親水性ポリマーとして(B−4)を用い、pH調整剤と
してトリエタノールアミンを用いた以外は、実施例4と
同様にして、水性分散体を得た。また、塗布法として回
転塗布法を用いて物性評価を行った。得られた水性分散
体の性状および評価結果を、表2に示す。
【0083】実施例9 親水性ポリマーとして(B−5)を用いた以外は、実施
例8と同様にして、水性分散体を得た。得られた水性分
散体の性状および評価結果を、表2に示す。
【0084】実施例10 実施例9で得た水性分散体を用い、塗布法として回転塗
布法を用いて物性評価を行った。評価結果を、表2に示
す。
【0085】比較例1 親水性ポリマーを使用しなかった以外は、実施例1と同
様の操作を行ったが、水性分散体は得られなかった。こ
の結果を、表3に示す。
【0086】比較例2 ポリイミドとして(A−3)を100部用い、親水性ポ
リマーを用いなかった以外は、実施例8と同様の操作を
行ったが、得られた水性分散体は凝集物が多く、また物
性評価も不可能であった。この結果を、表3に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】表中の添加剤、pH調整剤の種類は、下記
の通りである。 (*1) E828:エピコート828(商品名、油化シェ
ル製) (*2) TEA:トリエタノールアミン
【0091】
【発明の効果】本発明のポリイミド系水性分散体は、保
存安定性に優れ、しかもその硬化物は、ポリイミド本来
の耐熱性、電気絶縁性、機械的特性等を損なうことな
く、透明性、耐湿熱性、各種基体に対する接着性等に優
れている。したがって、本発明のポリイミド系水性分散
体は、電気機器や電子部品等の保護膜、電気絶縁膜等と
して極めて好適に使用することができるほか、接着剤、
塗料、熱硬化性フィルム、硬化フィルム、プリプレグ、
硬化成型品等にも有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)有機溶媒可溶性のポリイミドと
    (B)親水性ポリマーとを同一粒子内に含み、平均粒子
    径が0.03〜5μmである粒子が、水性媒体中に分散
    してなるポリイミド系水性分散体。
  2. 【請求項2】 (A)反応性基(a)を有する有機溶媒
    可溶性のポリイミドと(B)反応性基(b)を有する親
    水性ポリマーとを、有機溶媒中にて溶液状態で混合し、
    必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反応溶
    液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少なく
    とも一部を除去することにより、前記(A)成分と
    (B)成分とを同一粒子内に含み、平均粒子径が0.0
    3〜5μmである粒子を、水性媒体中に分散させること
    を特徴とするポリイミド系水性分散体の製造方法。
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