JP4483044B2 - 配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高機能化、小型化の要請に伴って、電子部品として集積度が高くて電極数が大きいものが使用されるに至っており、また、このような電子部品を高い密度で実装することが求められている。そのため、電子部品用配線板や電子部品搭載用配線板としては、絶縁性の基板の片面のみに配線層が形成されてなる片面プリント配線板や、基板の両面に配線層が形成されてなる両面プリント配線板に代わり、基板の片面または両面に絶縁層と配線層とが交互に積層されてなる多層プリント配線板が用いられている。
【0003】
従来、多層プリント配線板を製造する方法としては、絶縁層の両面に互いに電気的に接続された配線層が形成されてなる複数のコア基板と、熱硬化性樹脂プリプレグシートとを交互に積重して熱圧着することにより、複数のコア基板を絶縁層を介して一体的に積層する方法(以下、「積層プレス法」という。)が主流であった。
然るに、この積層プレス法においては、隣接するコア基板における配線層間の電気的接続を行うために、当該配線層間に存在する絶縁層のみを厚み方向に貫通して伸びる短絡部(ベリードバイアおよびブラインドバイア)を形成することができず、当該配線板全体を厚み方向に貫通して伸びる短絡部(スルーホール)を形成することが必要となり、そのため、高密度の配線層を形成することが困難である。
【0004】
このような理由から、最近においては、高密度の配線層を有する多層プリント配線板を製造する方法として、コア基板上に絶縁層および配線層を一層毎に順次形成するビルドアップ法が注目されている。このビルドアップ法によれば、各配線層間の電気的接続を当該配線層間に存在する絶縁層のみを厚み方向に貫通して伸びる短絡部によって行うことができるため、高密度の配線層を形成することが可能である。
具体的に説明すると、このビルドアップ法においては、コア基板の表面に、目的とする短絡部(バイアホール)に対応する貫通孔を有する絶縁層を形成し、この絶縁層における貫通孔の内面を含む表面全体に対して、例えば無電解銅メッキおよび電解銅メッキ(パネルメッキ)を施すことにより、絶縁層の貫通孔内に短絡部を形成すると共に、当該絶縁層の一面に金属層を形成し、その後、この金属層に対してフォトリソグラフィーおよびエッチング処理(フォトエッチング処理)を施すことにより、絶縁層の一面に配線層を形成する。そして、この工程を所定回数行うことにより、目的とする多層プリント配線板が得られる。
以上において、コア基板の表面に貫通孔を有する絶縁層を形成する方法としては、コア基板の表面に、液状の放射線硬化性樹脂材料を塗布した後、当該塗布膜に露光処理および現像処理を施すことにより、目的とする短絡部(バイアホール)に対応する貫通孔を有する絶縁層を形成する方法、コア基板の表面に、液状の熱硬化性樹脂材料を塗布して加熱処理することにより、絶縁層を形成し、当該絶縁層に、レーザーを照射することにより、目的とする短絡部に対応する貫通孔を形成する方法などが知られている。
【0005】
しかしながら、このようなビルドアップ法においては、液状の硬化性樹脂を塗布して硬化することにより絶縁層を形成するため、厚みの均一性の高い絶縁層が得られず、従って、このような絶縁層の表面に微細なパターンの配線層を確実に形成することが困難である、という問題がある。
また、ビルドアップ法においては、メッキ処理およびフォトエッチング処理を繰り返して行うため、例えばコア基板や先行して形成された絶縁層は、多数回にわたってメッキ液およびエッチング液に晒されることとなり、そのため、コア基板における配線層や先行して形成された配線層にショートや断線などの不具合が生じやすく、その結果、接続信頼性の高い多層配線板が得られない、という問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、厚みの均一性の高い絶縁層を有すると共に、当該絶縁層の表面に微細なパターンの配線層を有し、しかも、接続信頼性の高い多層の配線板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線板の製造方法は、各々が、支持板と、この支持板上に剥離可能に設けられた金属層と、この金属層上にポリイミド系樹脂材料が電着されることによって形成された接着性樹脂層と、この接着性樹脂層に形成された、当該接着性樹脂層を厚み方向に貫通して伸びる複数の導電体とを有してなる2つの配線板形成材であって、互いに対掌なパターンの複数の導電体を有するものを用意し、
一方の配線板形成材における接着性樹脂層の表面に他方の配線板形成材をその接着性樹脂層が接するよう配置して熱圧着することにより、各配線板形成材の接着性樹脂層が熱圧着されてなる絶縁層を形成すると共に、各配線板形成材の導電体が連接されることによって形成される当該絶縁層を貫通して伸びる短絡部を形成し、
前記配線板形成材の各々における支持板を剥離することにより、金属層を露出させ、当該金属層の各々をエッチングすることにより配線層を形成する工程を有することを特徴とする
【0008】
本発明の配線板の製造方法は、各々が、支持板と、この支持板上に剥離可能に設けられた金属層と、この金属層上にポリイミド系樹脂材料が電着されることによって形成された接着性樹脂層と、この接着性樹脂層に形成された、当該接着性樹脂層を厚み方向に貫通して伸びる複数の導電体とを有してなる2つの配線板形成材であって、互いに対掌なパターンの複数の導電体を有するものを用意し、
一方の配線板形成材における接着性樹脂層の表面に他方の配線板形成材をその接着性樹脂層が接するよう配置して熱圧着することにより、各配線板形成材の接着性樹脂層が熱圧着されてなる基板絶縁層を形成すると共に、各配線板形成材の導電体が連接されることによって形成される当該基板絶縁層を貫通して伸びる基板短絡部を形成し、
前記配線板形成材の各々における支持板を剥離することにより、金属層を露出させ、少なくとも一方の金属層をエッチングすることにより基板配線層を形成してコア基板を製造する工程と、
このコア基板の前記基板配線層が形成された一面に、前記配線板形成材と同一の構成を有する配線板形成材をその接着性樹脂層が接するよう配置して熱圧着することにより、絶縁層およびこの絶縁層を貫通して伸びる短絡部を形成し、当該配線板形成材における支持板を剥離することにより、金属層を露出させ、当該金属層をエッチングすることにより配線層を形成する工程と
を有することを特徴とする。
【0015】
【作用】
本発明の配線板の製造方法によれば、用いられる2つの配線板形成材の各々は、金属層および接着性樹脂層を貫通して伸びる導電体が設けられており、当該接着性樹脂層は金属層にポリイミド系樹脂材料が電着されることによって形成されているため、厚みの均一性の高いものとなり、このような2つの配線板形成材の接着性樹脂層が熱圧着されることにより、厚みの均一性の高い絶縁層が形成されると共に、金属層を利用して配線層が形成され、導電体を利用して短絡部が形成されるので、接続信頼性の高い配線板を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈配線板形成材〉
図1は、本発明に係る配線板形成材の一例における構成を示す説明用断面図である。この配線板形成材10においては、例えば金属よりなる支持板11の表面に金属層12が剥離可能に設けられ、この金属層12の表面には、絶縁性の接着性樹脂層13が一体的に設けられている。この接着性樹脂層13には、その厚み方向に貫通して伸びる柱状の導電体14が設けられており、この導電体14の一端は、接着性樹脂層13から露出され、当該導電体14の他端は金属層12に接合されている。
【0017】
支持板11としては、ステンレス、鉄、銅などよりなる、表面が平滑な金属板を用いることができる。これらの中では、金属層12から容易に剥離することができる点で、前処理が施されていないステンレス板を用いることが好ましい。
金属層12としては、銅、ニッケル、金またはこれらの積層体を用いることができる。この金属層12の厚みは、30〜300μmであることが好ましく、より好ましくは50〜150μmである。
【0018】
接着性樹脂層13は、ポリイミド系樹脂材料が金属層12に電着されることによって形成されている。接着性樹脂層13を構成するポリイミド系樹脂材料は、ポリイミド樹脂単独もの、他の樹脂との混合物或いは他の樹脂との反応生成物であってもよい。ここで、「ポリイミド樹脂」とは、ポリイミド樹脂そのものの他に、その前駆体(ポリアミック酸およびその部分イミド化物)を含むものとする。
ポリイミド樹脂としては、電着可能なもの、具体的にはイオン性基が導入されたものであれば特に限定されず、種々のものを用いることができる。
【0019】
このようなポリイミド樹脂の合成法は特に限定されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中において、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを混合して重縮合させることにより、ポリアミック酸を合成した後、当該ポリアミック酸を加熱イミド化法または化学イミド化法により脱水閉環反応させることにより、ポリイミド樹脂を合成することができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロック構造を有するポリイミドを合成することも可能である。
【0020】
〔テトラカルボン酸二無水物〕
ポリイミド樹脂の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0021】
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
〔ジアミン化合物〕
ポリイミド樹脂の合成に用いられるジアミン化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2, 2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン類;
【0023】
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7 ]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミン類;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン等の、分子内に2つの第一級アミノ基および該第一級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン類などを挙げることができる。
これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
前記テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物中のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物中の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
【0025】
〔ポリアミック酸〕
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、通常、−20〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。前記有機溶媒としては、生成するポリアミック酸を溶解しうるものであれば特に制限はなく、その例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド等の非プロトン系極性溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、しゅう酸ジエチル、マロン酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール類等を挙げることができる。
有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との合計量が、反応溶液の全量に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0026】
また、前記有機溶媒には、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等の他の有機溶媒を、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。前記他の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
以上のようにしてテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重縮合させることにより、ポリアミック酸の有機溶媒溶液が得られる。得られるポリアミック酸は、その対数粘度(ηIn)の値が、通常、0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。ここで、対数粘度(ηIn)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液の流下時間と、該溶媒の流下時間を、30℃で測定して、下記式により求められるものである。
【0027】
【数1】
ηIn=In(溶液の流下時間/溶媒の流下時間)÷(溶液の濃度)
【0028】
〔ポリイミド樹脂〕
ポリイミド樹脂は、前記ポリアミック酸を脱水閉環することにより合成することができる。ポリアミック酸の脱水閉環反応は、(イ)ポリアミック酸の有機溶媒溶液を加熱し、副生する水を共沸留去する加熱イミド化法、または(ロ)ポリアミック酸の有機溶媒溶液に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し、必要に応じて加熱して反応させる化学イミド化法により行われる。前記(イ)の方法における反応温度は、通常、50〜400℃、好ましくは100〜250℃である。反応温度が50℃未満である場合には、脱水閉環反応が十分に進行せず、一方、反応温度が400℃を超える場合には、得られるポリイミド樹脂の分子量が低下することがある。また、(イ)の方法においては、副生する水の除去を容易とするため、水と共沸し、特に反応系外で水と容易に分離しうる成分、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を脱水剤として存在させることもできる。さらに、脱水閉環を促進するために、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の脂肪族第三級アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の芳香族第三級アミン類;ピリジン、キノリン、イソキノリン等の複素環式第三級アミン類等の触媒を、ポリアミック酸100重量部当たり、例えば10〜400重量部添加することもできる。
【0029】
次に、前記(ロ)の方法において、脱水剤としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰返し単位1モルに対して、0.01〜20モルが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えば、ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の第三級アミン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して、0.01〜10モルが好ましい。(ロ)の方法における反応温度は、通常、0〜180℃、好ましくは10〜150℃である。(イ)および(ロ)の方法に使用される有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられる有機溶媒と同様のものを挙げることができる。また、(イ)および(ロ)の方法により得られる反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで、ポリイミド樹脂を析出させ、この析出物を減圧下乾燥することにより、ポリイミド樹脂を固体として得ることができる。さらには、この固体ポリイミド樹脂を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒中に注いで析出させる処理を1回以上行うことにより、ポリイミド樹脂を精製することができる。
【0030】
また、ポリイミド樹脂は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。このような末端修飾型ポリイミド樹脂は、ポリアミック酸を合成する際に、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物、アミノ酸、モノイソシアネート化合物等を反応系に添加することにより合成することができる。前記カルボン酸一無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、3−ヒドロキシフタル酸無水物、無水イタコン酸、n−デシルこはく酸無水物、n−ドデシルこはく酸無水物、n−テトラデシルこはく酸無水物、n−ヘキサデシルこはく酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物等を挙げることができる。また、前記モノアミン化合物としては、例えば、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン等を挙げることができる。また、前記アミノ酸としては、例えば、アラニン、シスチン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、バリン等を挙げることができる。また、前記モノイソシアネート化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート等を挙げることができる。
【0031】
ポリイミド樹脂に導入されるイオン性基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、エポキシ基、イソシアネート基、アンモニウム基などが挙げられる。
ポリイミド樹脂にイオン性基を導入する方法としては、(イ)ポリアミック酸中に存在するアミド酸基(すなわち、反応原料のテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物から形成される遊離カルボキシル基とアミド基)を脱水閉環反応後に残存させる方法、(ロ)ポリアミック酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジアミン化合物、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物等の反応原料として、上記イオン性基を有する化合物を使用し、脱水閉環反応後に上記イオン性基を残存させる方法などが挙げられる。
【0032】
また、電着に用いられるポリイミド樹脂としては、架橋性官能基を有するものが好ましい。このようなポリイミド樹脂を用いることにより、得られる接着性樹脂層を熱圧着処理することにより、被着体に対する密着性が高い絶縁層を形成することができる。
かかる架橋性官能基の具体例としては、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、アミド基などが挙げられる。
【0033】
〔他のポリマー〕
ポリイミド系樹脂材料中には、上記のようなポリイミド樹脂以外に、他のポリマーを含有させることができる。このような他のポリマーは、ポリイミド樹脂に混合されていても、或いはポリイミド樹脂と反応して化学的に結合されていてもよいが、ポリイミド樹脂に結合された状態で含有されていることが好ましい。
かかる他のポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー等のビニル単量体の重合体、天然ゴムおよびそのエポキシ化物、ポリブタジエンおよびそのエポキシ化物、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、フッ素ポリマー、シリコーンポリマーを用いることができる。これらの化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、他のポリマーをポリイミド樹脂に反応させる場合には、他のポリマーとして、反応性基を有するものが用いられる。かかる反応性基としては、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、オルガノシロキサニル基、ビニル基、ケトン基などが挙げられる。
このような他のポリマーを得るための単量体としては、下記のビニル系単量体を挙げることができる。
【0034】
(1)アミノ基含有ビニル系単量体としては、
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類;
p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノメチル−α−メチルスチレン、p−ジエチルアミノメチル−α−メチルスチレン、p−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、p−(2−ジエチルアミノエチル)スチレン、p−(2−ジメチルアミノエチル)−α−メチルスチレン、p−(2−ジエチルアミノエチル)−α−メチルスチレン、2−ビニルピリン、4−ビニルピリン等のアミノ基含有芳香族ビニル化合物;
グリシジル(メタ)アクリレートと第一級または第二級のアミン化合物との付加物等や、これらの単量体中のアミノ基を中和あるいは四級化した塩などを挙げることができる。
【0035】
(2)カルボキシル基含有単量体としては、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類やこれらの塩;
マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸モノエチルエステル等の不飽和ポリカルボン酸の遊離カルボキシル基含有エステル類やこれらの塩;
こはく酸のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エステル、フタル酸のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エステル等の非重合性ジカルボン酸のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキル)エステル類やこれらの塩などを挙げることができる。
【0036】
(3)水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、フタル酸の2−(メタ)アクリロイルオキシエチル・2−ヒドロキシエチルジエステル等を挙げることができる。
(4)スホン酸基含有ビニル系単量体としては、p−スチレンスルホン酸、p−α−メチルスチレンスルホン酸、スルホン化イソプレンやこれらの塩などを挙げることができる。
(5)アミド基含有単量体としては、(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、けい皮酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミドなどを挙げることができる。
(6)エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
(7)イソシアネート基含有単量体としては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0037】
(8)その他のモノビニル単量体としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリルレート、i−ブチル(メタ)アクリルレート、sec−ブチル(メタ)アクリルレート、t−ブチル(メタ)アクリルレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン、クロトンニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等のシアノ基含有単量体類;
N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−メトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−メトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の前記アミド基含有単量体のN−アルコキシアルキル置換誘導体類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
トリメチルシロキサニルジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキサニル)シリルプロピル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルプロピルジメチルシリルエーテル等のシロキサニル化合物類;
スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−エチルスチレン、α−メチルスチレン、α−フルオロスチレン、クロロメチルスチレン、t−ブトキシスチレン、ヒドロキシスチレン等のモノビニル芳香族化合物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物;
酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
エチレン、プロピレン等のオレフィン類;
スチレンスルホン酸等のビニル基含有スルホン酸およびその塩類;
そのほか、シリコン変性モノマー、マクロモノマーなどを挙げることができる。
【0038】
(9)ポリビニル芳香族化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンなどを挙げることができる。
(10)ジ(メタ)アクリレート類としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリメチレンビス(メタ)アクリルアミド、テトラメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロピオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。
(11)3個以上の(メタ)アクリロキシ基を有する単量体としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレートなどを挙げることができる。
(12)その他の単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ジシクロペンタジン、エチリデンノルボルネン等の不飽和脂肪族炭化水素類;イソプレンスルホン酸などを挙げることができる。
これらのモノビニルあるいはポリビニル単量体は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができ、公知の重合方法(ラジカル、アニオン、カチオン等)により、他のポリマーを製造することができる。
【0039】
また、他のポリマーは、ポリイミド樹脂に直接反応して結合されていてもよいが、架橋剤によって架橋された状態で結合されていてもよい。かかる架橋剤としては、ポリイミド樹脂および他のポリマー成分と反応可能な基を2つ以上有するものであれば特に制限されず、種々のものを用いることができる。
【0040】
ポリイミド樹脂と他のポリマーとの使用割合は、ポリイミド樹脂:他のポリマーが重量比で5:95〜95:5であることが好ましく、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0041】
接着性樹脂層13の厚みは、1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは5〜70μm、特に好ましくは10〜50μmである。この厚みが1μm未満である場合には、所要の絶縁性を有する絶縁層を形成することが困難となることがある。
【0042】
導電体14を構成する材料としては、銅、ニッケルなどの金属、または導電性粒子が含有された高分子材料(以下、「導電性高分子材料」ともいう。)によって構成されている。
ここで、導電体14を導電性高分子材料によって構成する場合において、導電性粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、鉄、コバルトなどの金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの粒子に金などのメッキが施されてなるものを用いることができる。
また、高分子材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどの液状ゴムの硬化物を用いることができる。
【0043】
このような配線板形成材10は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、図2に示すように、金属製の支持板11の表面に金属層13を形成する。ここで、金属層13を形成する方法としては、電解メッキ法などを利用することができる。
また、金属層12を形成した後、必要に応じて、当該金属層12の粗面化処理を行うことができ、これにより、当該金属層12に対して密着性の高い接着性樹脂層13を形成することができる。金属層12の粗面化処理の具体的な方法としては、特に限定されず、従来配線板の製造において用いられている種々の方法、例えばサンドブラスト処理、マイクロエッチンク処理、黒化処理などを利用することができる。
【0044】
次いで、図3に示すように、形成された金属層12の表面に、例えばドライフィルムレジスト15を密着させ、露光処理および現像処理を行うことにより、図4に示すように、形成すべき導電体に対応するパターンのレジスト膜16を形成する。
そして、図5に示すように、金属層12の表面に、ポリイミド系樹脂材料を電着することによって接着性樹脂層13を形成する。
【0045】
以上において、ポリイミド系樹脂材料を電着する工程においては、水性媒体中にポリイミド樹脂或いはこれと他のポリマーとが分散されてなる電着液が用いられる。ここで、「水性媒体」とは、水を主成分とする媒体を意味し、当該媒体中における水の割合が、通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上のものである。水と共に用いることができる他の媒体としては、非プロトン極性溶媒、エステル類、ケトン類、フェノール類や、ポリイミド樹脂の合成に使用される極性溶媒等を挙げることができる。
【0046】
このような電着液の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(I)有機溶媒中にポリイミド樹脂またはこれと他のポリマーが溶解されてなる樹脂溶液を調製した後、この樹脂溶液を水性媒体中に分散させ、有機溶媒を除去する方法、(II)ポリイミド樹脂粒子或いはポリイミド樹脂と他のポリマーとよりなる樹脂粒子を調製し、これらの粒子を水性媒体中に分散させる方法等を挙げることができるが、特に(I)の方法が好ましい。これらの方法は、必要に応じて加熱下で実施することができる。
上記(I)の方法で用いられる有機溶媒としては、ポリイミド樹脂に対して不活性であり、かつこれを溶解し得るものであれは、特に限定されるものでないが、例えば、前記ポリアミック酸あるいはポリイミド樹脂の合成に使用される非プロトン性極性溶媒、エステル類、ケトン類、フェノール類や、ポリイミド樹脂の合成に使用される極性溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
電着液における水性媒体の使用量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部、さらに好ましくは20〜5,000重量部である。
電着液における樹脂の分散粒子の数平均粒子径は、0.03〜5μm、好ましくは0.05〜3μmである。分散粒子の数平均粒子径が0.03μm未満である場合には、得られる分散液の粘度が高いものとなって、電着液として不適なものとなることがある。一方、分散粒子の平均粒子径が5μmを超える場合には、分散粒子が沈降しやすくなる。
【0048】
ポリイミド系樹脂材料の電着方法としては、得られる接着性樹脂層13の厚みを容易に制御することができる点で、定電圧法を利用することが好ましい。
具体的な電着条件は、ポリイミド樹脂の種類、形成すべき接着性樹脂層13の厚みなどを考慮して適宜設定されるが、例えば処理電圧が10〜100V、処理時間が1〜30分間である。
また、パルス電圧法により、電着時における気泡の発生を防止し、品質の高い電着膜を形成することができる。
【0049】
電着液として、架橋性官能基を有するポリイミド樹脂を含有してなるものを用いる場合には、当該ポリイミド系樹脂材料を電着した後、適宜の温度で乾燥処理し、更に、ベーク処理を行うことができる。
乾燥処理の条件としては、処理温度が例えば60〜100℃であり、処理時間が例えば5〜30分間である。
ベーク処理の条件としては、処理温度が例えば180〜280℃であり、処理時間が例えば15〜60分間である。
【0050】
以上のようにして、金属層12の表面に接着性樹脂層13を形成した後、レジスト膜16を除去することにより、図6に示すように、接着性樹脂層13を厚み方向に貫通する貫通孔14Hを形成し、この貫通孔14H内に導電体を形成することにより、図1に示す構成の配線板形成材10が得られる。
ここで、導電体を形成する方法としては、金属よりなる導電体を形成する場合には、例えば金属層12をカソード電極とする電解メッキ法を利用することができ、導電性高分子材料よりなる導電体を形成する場合には、液状の熱硬化性樹脂または液状ゴム中に導電性粒子が分散されてなる導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を接着性樹脂層13の貫通孔14H内に充填して硬化処理する方法を利用することができる。
【0051】
このような配線板形成材10によれば、接着性樹脂層13は、金属層12にポリイミド系樹脂材料が電着されることによって形成されているため、それ自体厚みの均一性の高いものとなり、このような接着性樹脂層13が熱圧着されることにより、厚みの均一性の高い絶縁層を形成することができる。そして、このような厚みの均一性の高い絶縁層上には、微細なパターンの配線層を形成することができる。
また、本発明の配線板形成材10には、金属層12および接着性樹脂層13を貫通して伸びる導電体14が設けられており、これらの金属層12および導電体14を利用して配線層および短絡部を形成することができるので、絶縁層を形成した後にメッキ処理を行うことが不要となり、従って、接続信頼性の高い配線板を得ることができる。
【0052】
〈配線板〉
(1)第1の実施の形態(両面プリント配線板):
図7は、本発明に係る配線板の一例における構成を示す説明用断面図である。この配線板は、両面プリント配線板であって、1つの絶縁層20を有し、この絶縁層20の上面には、第1の配線層21が形成され、当該絶縁層20の下面には、第2の配線層22が形成されており、第1の配線層21および第2の配線層22は、絶縁層20をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部23によって互いに電気的に接続されている。
そして、絶縁層20は、上記配線板形成材の2つを用い、当該配線板形成材の各々における接着性樹脂層13が熱圧着されることによって形成されたものであり、短絡部23の各々は、配線板形成材の各々における導電体14が連接することによって形成されたものであり、第1の配線層21および第2の配線層22の各々は、配線板形成材の各々における金属層12がエッチングされることによって形成されたものである。
【0053】
具体的に説明すると、図8に示すように、互いに対掌なパターンの複数の導電体14を有する2つの配線板形成材10A,10Bを用意し、一方の配線板形成材10Aにおける接着性樹脂層13の表面に、他方の配線板形成材10Bを、当該導電体14が一方の配線板形成材10Aにおける導電体14上に位置された状態で、当該接着性樹脂層13が一方の配線板形成材10Aにおける接着性樹脂層13に接するよう配置する。そして、この状態で、両者を熱圧着することにより、図9に示すように、2つの接着性樹脂層13が一体化されてなる絶縁層20が形成されると共に、2つの導電体14が連接されてなる短絡部23が、絶縁層20を貫通して伸びるよう形成される。
次いで、配線板形成材10A,10Bの各々に係る支持板11を金属層12から剥離することにより、図10に示すように、金属層12の各々を露出させ、この金属層12に対してフォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施してその一部を除去することにより、絶縁層20の上面に第1の配線層21を形成すると共に絶縁層20の下面に第2の配線層22を形成し、以て図7に示す配線板が得られる。
【0054】
以上において、熱圧着工程における処理圧力および処理温度などの条件は、接着性樹脂層を構成するポリイミド系樹脂材料の種類に応じて適宜設定される。
この熱圧着工程は、常圧雰囲気下で行うことも可能であるが、必要に応じて、例えば5〜100Pa、好ましくは10〜50Paの減圧雰囲気下によるいわゆる真空プレス法によって行うことができ、この場合には、接着性樹脂層13間に気泡が閉じ込められることが有効に防止される。
【0055】
このような配線板によれば、絶縁層20は、それぞれ厚みの均一性の高い2つの接着性樹脂層13が熱圧着されることによって形成されているため、厚みの均一性の高いものとなり、このような絶縁層20の表面に形成された金属層12をエッチング処理することにより、それぞれ微細なパターンの第1の配線層21および第2の配線層22を形成することができる。
また、2つの接着性樹脂層13が熱圧着されることによって得られる絶縁層20は、十分に大きい厚みを有するものとなるため、高い強度を有する配線板が得られる。
【0056】
(2)第2の実施の形態(多層プリント配線板):
図11は、本発明に係る配線板の他の例における構成を示す説明用断面図である。この配線板は、多層プリント配線板であって、コア基板25を有し、このコア基板25においては、基板絶縁層26の上面に、第1の基板配線層27が形成され、当該基板絶縁層26の下面に、第2の基板配線層28が形成され、第1の基板配線層27および第2の基板配線層28は、基板絶縁層26をその厚み方向に貫通して伸びる基板短絡部29によって互いに電気的に接続されている。
コア基板25の上面には、上部絶縁層30が形成され、この上部絶縁層30の上面には、上面配線層31が形成されており、この上面配線層31は、上部絶縁層30をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部32によって第1の基板配線層27に電気的に接続されている。一方、コア基板25の下面には、下部絶縁層35が形成され、この下部絶縁層35の下面には、下部配線層36が形成されており、この下部配線層36は、下部絶縁層35をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部37によって第2の基板配線層28に電気的に接続されている。
【0057】
コア基板25は、リジッド基板およびフレキシブル基板のいずれであってもよい。また、互いに電気的に接続された第1の基板配線層27および第2の基板配線層28を有するものであれば、単層構成のものであっても、多層構成のものであってもよい。
コア基板25における基板絶縁層26を構成する材料としては、耐熱性の高い絶縁性樹脂材料を用いることが好ましく、その具体例としては、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型フェノール樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
また、コア基板25としては、従来公知の種々の方法により製造された配線板を用いることができるが、前述の第1の実施の形態に係る配線板、すなわち、基板絶縁層26が、2つの上記配線板形成材10の各々における接着性樹脂層13が熱圧着されることによって形成され、基板短絡部29の各々が、配線板形成材10の各々における導電体14が連接することによって形成され、第1の基板配線層27および第2の基板配線層28の各々が、配線板形成材10の各々における金属層12がエッチングされることによって形成された配線板を好適に用いることができる。
【0058】
そして、この多層プリント配線板においては、上部絶縁層30および下部絶縁層35の各々は、上記配線板形成材10の各々における接着性樹脂層13がコア基板25に熱圧着されることによって形成されたものであり、上部絶縁層30および下部絶縁層35の各々における短絡部32,37の各々が、配線板形成材10の各々における導電体14によって形成されたものであり、上面配線層31および下面配線層36の各々が、配線板形成材10の各々における金属層12がエッチングされることによって形成されたものである。
【0059】
具体的に説明すると、図12に示すように、コア基板25と、それぞれ所要のパターンの複数の導電体14を有する2つの配線板形成材10C,10Dを用意し、一方の配線板形成材10Cにおける接着性樹脂層13の表面に、コア基板25を所定の位置に位置合わせした状態で配置し、このコア基板25の上面に、他方の配線板形成材10Dを、所定の位置に位置合わせした状態で当該接着性樹脂層13がコア基板25の上面に接するよう配置する。そして、この状態で、配線板形成材10C,10Dの各々をコア基板25に熱圧着することにより、図13に示すように、コア基板25の上面に上部絶縁層30が形成されると共に、当該上部絶縁層30を厚み方向に貫通して伸びる短絡部32が形成され、コア基板25の下面に下部絶縁層35が形成されると共に、当該下部絶縁層35を厚み方向に貫通して伸びる短絡部37が形成される。
次いで、配線板形成材10C,10Dの各々に係る支持板11を金属層12から剥離することにより、図14に示すように、金属層12の各々を露出させ、この金属層12に対してフォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施してその一部を除去することにより、上部絶縁層30の上面に上面配線層31を形成すると共に下部絶縁層35の下面に下面配線層36を形成し、以て図11に示す配線板が得られる。
以上において、熱圧着工程における条件は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0060】
このような配線板によれば、上部絶縁層30および下部絶縁層35の各々は、それぞれ厚みの均一性の高い接着性樹脂層13がコア基板25に熱圧着されることによって形成されているため、厚みの均一性の高いものとなり、このような上部絶縁層30および下部絶縁層35の表面に形成された金属層12をエッチング処理することにより、それぞれ微細なパターンの上面配線層31および下面配線層36を形成することができる。
また、上面配線層31および下面配線層36の各々は、配線板形成材10C,10Dの各々における金属層12がエッチングされることにより形成され、短絡部32,37の各々は、配線板形成材10C,10Dの各々における導電体14によって形成されているため、上部絶縁層30および下部絶縁層35を形成した後にメッキ処理を行うことが不要となり、従って、接続信頼性の高い多層プリント配線板を得ることができる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
〈実施例1〉
(1)電着液の調製:
テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物32.29g(90ミリモル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジアミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリモル)およびオルガノシロキサン「LP7100」(信越化学製)2.49g(10ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解して、室温で12時間反応させた。その後、この反応溶液に、ピリジン32gおよび無水酢酸71gを添加し、100℃で3時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶液を減圧留去して精製し、対数粘度0.51dl/g、イミド化率95%で、5%のポリアミック酸を含む固形分10%のポリイミド樹脂溶液を得た。
【0063】
ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメチルアミノエチルアクリレート30部、グリシジルメタアクリレート5部およびアゾビスイソブチロニトリル1部からなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさらに2時間撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分50%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0064】
上記ポリイミド溶液70部(固形分)に対して、アクリル系ポリマー溶液30部(固形分)を添加して十分混合し、70℃で3時間加熱したのち、酢酸3部を徐々に添加して混合し、pH調整を行い、pH3とした。次いで、蒸留水1000部を徐々に添加しつつ強く撹拌して、凝集物のない水性分散体からなる電着液を調製した。
【0065】
(2)配線板形成材の製造:
厚みが0.5mmのガラス繊維補強型エポキシ樹脂よりなり、平滑な一面を有する支持板を用意し、この支持板の一面に無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施すことにより、厚みが18μmの銅層を形成した。次いで、この銅層の表面に厚みが20μmのドライフィルムレジストを密着させ、露光処理および現像処理を行うことにより、形成すべき導電体に対応するパターンに従って直径が200μmの円柱状の複数のレジスト膜を形成した。そして、上記(1)で調製した電着液を用い、定電圧法によって銅層の表面にポリイミド系樹脂材料を電着することにより、接着性樹脂層を形成した。
次いで、レジスト膜を除去して接着性樹脂層に貫通孔を形成した後、この貫通孔によって露出した銅層に電解銅メッキを施すことにより、当該貫通孔内に堆積された円柱状の銅よりなる導電体を形成し、以て本発明に係る配線板形成材を製造した。
【0066】
(3)コア基板の製造:
上記(2)に従って製造された、互いに対掌なパターンの複数の導電体を有すると共に、それぞれ厚みが8μmの接着性樹脂層を有する2つの配線板形成材を用い、一方の配線板形成材における接着性樹脂層の表面に、他方の配線板形成材を位置合わせして当該接着性樹脂層が一方の配線板形成材における接着性樹脂層に接するよう配置し、真空プレス法によって両者を熱圧着することにより、2つの接着性樹脂層が一体化されてなる基板絶縁層を形成すると共に、この基板絶縁層を厚み方向に貫通して伸びる、2つの導電体が連接されてなる基板短絡部を形成した。
次いで、支持板を銅層から剥離し、露出した銅層に対してフォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施すことにより、基板絶縁層の上面に第1の基板配線層を形成すると共に基板絶縁層の下面に第2の基板配線層を形成し、以て本発明に係る両面プリント配線板よりなるコア基板を製造した。
【0067】
(4)多層プリント配線板の製造:
上記(2)に従って製造された、それぞれ厚みが40μmの接着性樹脂層を有する2つの配線板形成材と、上記(3)に従って製造されたコア基板とを用い、一方の配線板形成材における接着性樹脂層の表面に、コア基板を所定の位置に位置合わせした状態で配置し、このコア基板の上面に、他方の配線板形成材を、所定の位置に位置合わせした状態で当該接着性樹脂層がコア基板の上面に接するよう配置し、真空プレス法によって配線板形成材の各々をコア基板に熱圧着することにより、コア基板の上面に一体的に設けられた上部絶縁層および当該上部絶縁層を厚み方向に貫通して伸びる短絡部を形成すると共に、コア基板の下面に一体的に設けられた下部絶縁層および当該下部絶縁層を厚み方向に貫通して伸びる短絡部を形成した。
次いで、支持板の各々を銅層から剥離し、露出した銅層に対してフォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施すことにより、上部絶縁層の上面に上面配線層を形成すると共に下部絶縁層の下面に下面配線層を形成し、以て本発明に係る多層プリント配線板を製造した。
【0068】
〈比較例1〉
(1)コア基板の製造:
従来のビルドアップ法により、以下のようにして多層配線板を製造した。
厚みが0.5mmのガラス繊維補強型エポキシ樹脂よりなる板材の両面に厚みが18μmの銅層が積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料に、炭酸ガスレーザー装置によって径が100μmの多数の貫通孔を形成し、無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施すことにより、貫通孔の内壁に銅が堆積されてなる基板短絡部を形成した。その後、両面の銅層に対してフォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施すことにより、第1の基板配線層および第2の基板配線層を形成し、以て基板絶縁層の上面および下面に、基板短絡部によって互いに電気的に接続された第1の基板配線層および第2の基板配線層が形成されてなるコア基板を製造した。
【0069】
(2)多層プリント配線板の製造:
コア基板の上面に、厚みが40mmのエポキシ樹脂プリプレグシートおよび厚みが18μmの銅箔をこの順で配置すると共に、当該コア基板の下面に、厚みが40mmのエポキシ樹脂プリプレグシートおよび厚みが18μmの銅箔をこの順で配置し、この状態で、真空プレス法によって熱圧着することにより、コア基板の上面に上部絶縁層および銅層がこの順で一体的に積層され、当該コア基板の下面に下部絶縁層および銅層が一体的に積層されてなる中間積層体を製造した。
次いで、上部絶縁層の上面および下部絶縁層の下面の各々に形成された銅層の各々に対して、フォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施すことにより、各銅層に径が100μmの多数の開口を形成し、上部絶縁層および下部絶縁層の各々に、銅層に形成された開口を介して炭酸ガスレーザー装置によってレーザー光を照射することにより、径が100μmの貫通孔を形成した。その後、上部絶縁層および下部絶縁層の各々に形成された貫通孔の内壁面に無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施すことにより、上部絶縁層および下部絶縁層の各々に短絡部を形成した。そして、上部絶縁層の上面および下部絶縁層の下面の各々に形成された銅層に対して、フォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施すことにより、上面配線層および下面配線層を形成し、以て比較用の多層プリント配線板を製造した。
【0070】
〔多層プリント配線板の評価〕
実施例1および比較例1で得られた多層プリント配線板について、以下のようにしてその評価を行った。
(1)配線の初期電気抵抗:
多層プリント配線板における上面配線層の接続用ランドと下面配線層の接続用ランドとの間の電気抵抗を測定し、その平均値を求めた。
(2)ヒートサイクル試験後における配線の電気抵抗:
多層プリント配線板を−65℃で30分間放置し、次いで、2分以内で125℃に昇温した後、125℃で30分間放置し、更に、2分以内で−65℃に降温する操作を1サイクルとして、合計10サイクル行った後、当該多層プリント配線板における上面配線層の接続用ランドと下面配線層の接続用ランドとの間の電気抵抗を測定し、その平均値を求めた。
以上、結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0004483044
【0072】
表1の結果から明らかなように、実施例1に係る多層プリント配線板は、従来のビルドアップ法によって製造された比較例1に係る多層プリント配線板に比較して、ヒートサイクル試験後においても、配線の電気抵抗の変化が小さく、より高い接続信頼性を有するものであることが確認された。
【0073】
【発明の効果】
本発明の配線板の製造方法によれば、厚みの均一性の高い絶縁層を有すると共に、当該絶縁層の表面に微細なパターンの配線層を有し、接続信頼性の高い配線板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配線板形成材の一例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】支持板の表面に金属層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図3】金属層の表面にドライフィルムレジストを密着させた状態を示す説明用断面図である。
【図4】金属層の表面にレジスト膜が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図5】金属層の表面に接着性樹脂層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図6】レジスト膜が除去されて接着性樹脂層に貫通孔が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図7】本発明に係る配線板の一例における構成を示す説明用断面図である。
【図8】図7に示す配線板を製造するための材料を示す説明用断面図である。
【図9】2つの配線板形成材が熱圧着されて絶縁層および短絡部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図10】金属層から支持板が剥離された状態を示す説明用断面図である。
【図11】本発明に係る配線板の他の例における構成を示す説明用断面図である。
【図12】図11に示す配線板を製造するための材料を示す説明用断面図である。
【図13】コア基板の両面に配線板形成材が熱圧着されて絶縁層および短絡部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図14】金属層から支持板が剥離された状態を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C,10D 配線板形成材
11 支持板 12 金属層
13 接着性樹脂層 14 導電体
14H 貫通孔
15 ドライフィルムレジスト
16 レジスト膜 20 絶縁層
21 第1の配線層 22 第2の配線層
23 短絡部 25 コア基板
26 基板絶縁層 27 第1の基板配線層
28 第2の基板配線層 29 基板短絡部
30 上部絶縁層 31 上面配線層
32 短絡部 35 下部絶縁層
36 下面配線層 37 短絡部

Claims (2)

  1. 各々が、支持板と、この支持板上に剥離可能に設けられた金属層と、この金属層上にポリイミド系樹脂材料が電着されることによって形成された接着性樹脂層と、この接着性樹脂層に形成された、当該接着性樹脂層を厚み方向に貫通して伸びる複数の導電体とを有してなる2つの配線板形成材であって、互いに対掌なパターンの複数の導電体を有するものを用意し、
    一方の配線板形成材における接着性樹脂層の表面に他方の配線板形成材をその接着性樹脂層が接するよう配置して熱圧着することにより、各配線板形成材の接着性樹脂層が熱圧着されてなる絶縁層を形成すると共に、各配線板形成材の導電体が連接されることによって形成される当該絶縁層を貫通して伸びる短絡部を形成し、
    前記配線板形成材の各々における支持板を剥離することにより、金属層を露出させ、当該金属層の各々をエッチングすることにより配線層を形成する工程を有することを特徴とする配線板の製造方法。
  2. 各々が、支持板と、この支持板上に剥離可能に設けられた金属層と、この金属層上にポリイミド系樹脂材料が電着されることによって形成された接着性樹脂層と、この接着性樹脂層に形成された、当該接着性樹脂層を厚み方向に貫通して伸びる複数の導電体とを有してなる2つの配線板形成材であって、互いに対掌なパターンの複数の導電体を有するものを用意し、
    一方の配線板形成材における接着性樹脂層の表面に他方の配線板形成材をその接着性樹脂層が接するよう配置して熱圧着することにより、各配線板形成材の接着性樹脂層が熱圧着されてなる基板絶縁層を形成すると共に、各配線板形成材の導電体が連接されることによって形成される当該基板絶縁層を貫通して伸びる基板短絡部を形成し、
    前記配線板形成材の各々における支持板を剥離することにより、金属層を露出させ、少なくとも一方の金属層をエッチングすることにより基板配線層を形成してコア基板を製造する工程と、
    このコア基板の前記基板配線層が形成された一面に、前記配線板形成材と同一の構成を有する配線板形成材をその接着性樹脂層が接するよう配置して熱圧着することにより、絶縁層およびこの絶縁層を貫通して伸びる短絡部を形成し、当該配線板形成材における支持板を剥離することにより、金属層を露出させ、当該金属層をエッチングすることにより配線層を形成する工程と
    を有することを特徴とする配線板の製造方法。
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