JP2002265509A - 難燃硬化性樹脂組成物及び難燃硬化性接着剤組成物 - Google Patents

難燃硬化性樹脂組成物及び難燃硬化性接着剤組成物

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JP2002265509A JP2001064511A JP2001064511A JP2002265509A JP 2002265509 A JP2002265509 A JP 2002265509A JP 2001064511 A JP2001064511 A JP 2001064511A JP 2001064511 A JP2001064511 A JP 2001064511A JP 2002265509 A JP2002265509 A JP 2002265509A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低発煙性、耐歪み性及び難燃性が要求される
金属パネルや金属筐体等に使用できる難燃硬化性樹脂組
成物の提供。 【解決手段】 (1)単独重合体のガラス転移温度が0
℃以下の重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、
(3)還元剤、並びに、(1)単独重合体のガラス転移
温度が0℃以下の重合性ビニルモノマー、(2)重合開
始剤及び(3)還元剤の合計100質量部に対して
(4)難燃剤25〜75質量部を含有する難燃硬化性樹
脂組成物。さらに、(5)単独重合体のガラス転移温度
が0℃を越える重合性ビニルモノマーや(6)エラスト
マー成分を含有してもよい。(4)難燃剤はポリリン酸
アンモニウムが好ましい。該難燃硬化性樹脂組成物で
は、23℃での硬化体の貯蔵弾性率は1500MPa以
下が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発煙性及び耐歪み
性に優れ、金属パネルや金属筐体の接着に使用できる、
常温硬化型の難燃硬化性樹脂組成物、特に難燃硬化性接
着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】接着剤に含有される有機溶剤の環境面へ
の影響が問題視される中、硬化後に残留揮発成分を含ま
ない接着剤組成物の使用が推奨されている。中でも、常
温下、短時間で硬化する常温速硬化型アクリル系接着剤
組成物が省力化、省資源及び省エネルギーの点で好まし
い。 従来、常温硬化型接着剤組成物としては、二液速
硬化エポキシ系接着剤組成物、嫌気性接着剤組成物、瞬
間接着剤組成物及び第二世代のアクリル系接着剤組成物
(SGA)が知られている。
【0003】一方、これらの接着剤組成物は有機高分子
化合物であるために、接着部が火災により加熱された場
合は高分子鎖の解重合や熱分解を生じ、接着剤としての
機能が果たせないおそれがあった。
【0004】その結果、火災発生が想定される用途、例
えば高層ビルのエレベーターパネルの接着等には、接着
剤の燃焼を抑えるために、難燃剤の添加が必要であっ
た。難燃剤を使用した方法としては、特開平8−283
535号公報にはフレキシブル回路基板用接着剤として
アクリルゴム/エポキシ樹脂複合体に水酸化アルミニウ
ム等難燃性フィラーを添加した接着剤を使用する方法が
開示され、特開平8−198907号公報には芳香族環
を臭素化した難燃剤と三酸化アンチモンとを配合した難
燃性両面テープを使用した方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法を使用すると、接着剤の硬化体の弾性率が高くな
り、硬化収縮に伴う残留応力の解除が不十分となるため
に、接着剤の硬化体と被着体との界面近傍に残留ひずみ
を生じ易くなり、接合部の接着強度が低下するという課
題があった。更に薄板(エレベーター用パネル等の金属
パネル)又はフィルムを接着剤で接合した場合には、表
面に歪みを生じ、美観を損なうという課題があった。
【0006】本発明者は、これらの課題を解決するため
に鋭意検討した結果、特定の難燃硬化性樹脂組成物が、
低発煙性、耐歪み性及び難燃性が要求される用途、例え
ば金属パネルや金属筐体に使用できるとの知見を得て、
本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(1)
単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の重合性ビニル
モノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤、並びに、
(1)単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の重合性
ビニルモノマー、(2)重合開始剤及び(3)還元剤の
合計100質量部に対して(4)難燃剤25〜75質量
部を含有してなる難燃硬化性樹脂組成物であり、さら
に、(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える
重合性ビニルモノマーを含有してなる該難燃硬化性樹脂
組成物であり、さらに、(6)エラストマー成分を含有
してなる該難燃硬化性樹脂組成物であり、(4)難燃剤
がポリリン酸アンモニウムである該難燃硬化性樹脂組成
物であり、23℃での硬化体の貯蔵弾性率が1500M
Pa以下である該難燃硬化性樹脂組成物であり、該難燃
硬化性組成物を第一剤及び二剤に分け、第一剤が少なく
とも(2)重合開始剤を含有してなり、第二剤が少なく
とも(3)還元剤を含有してなる二剤型難燃硬化性樹脂
組成物である。そして、該難燃硬化性組成物からなる難
燃硬化性接着剤組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明で使用する重合性ビニルモノマー
は、ラジカル重合可能であればいかなるものでもよい。
重合性ビニルモノマーの中では、硬化速度の点で、(メ
タ)アクリル酸誘導体であることが好ましく、重合性ビ
ニルモノマーが全て(メタ)アクリル酸誘導体であるこ
とがより好ましい。
【0010】ここで重合性(メタ)アクリル酸誘導体と
は、重合性アクリル酸誘導体及び/又は重合性メタクリ
ル酸誘導体をいう。これらは通常、液状ないし固形状の
ものが使用される。重合性ビニルモノマーとしては、耐
歪み性の点で、単独重合体のガラス転移温度(以下Tg
ということもある)が0℃以下の重合性ビニルモノマー
を使用する。 (1)単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の重合性
ビニルモノマー、例えば、単独重合体のガラス転移温度
が0℃以下の重合性(メタ)アクリル酸誘導体として
は、フェノキシエチルアクリレート(Tg=−22
℃)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート
(Tg=−25℃)、フェノキシテトラエチレングリコ
ールアクリレート(Tg=−18℃)、メトキシエチル
アクリレート(Tg=−50℃)、メトキシブチルアク
リレート(Tg=−56℃)、2−エチルヘキシルメタ
クリレート(Tg=−10℃)、ノニルフェニルテトラ
エチレングリコールアクリレート(Tg=−20℃)、
ノニルフェニルトリプロピレングリコールアクリレート
(Tg=−3℃)、2−エチルヘキシルトリカルビトー
ルアクリレート(Tg=−65℃)、イソブチルアクリ
レート(Tg=−24℃)、イソオクチルアクリレート
(Tg=−45℃)、n−ラウリルアクリレート(Tg
=−3℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(T
g=−12℃)、2−ヒドロキシエチアクリレート(−
15℃)及び2−ヒドロキシプロピルアクリレート(T
g=−7℃)等が挙げられる。
【0011】これらの中では、耐歪み性に優れる点で、
フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート及び
/又は2−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
【0012】(1)単独重合体のガラス転移温度が0℃
以下の重合性ビニルモノマーの使用量は、成分(1)と
必要に応じて使用する成分(5)の合計100質量部に
対して10〜40質量部が好ましく、20〜30質量部
がより好ましい。10質量部未満だと耐歪み性が小さい
おそれがあり、40質量部を越えると接着強度が低下す
るおそれがある。
【0013】本発明で使用する(2)重合開始剤として
は、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、
クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロ
パーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキ
サイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサ
イド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイル
パーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベン
ゾエート等が挙げられる。これらの中では、反応性の点
で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
【0014】(2)重合開始剤の使用量は、重合性ビニ
ルモノマーに対して0.1〜20質量部が好ましく、1
〜10質量部がより好ましい。0.1質量部未満だと硬
化速度が遅いおそれがあり、20質量部を越えると貯蔵
安定性が悪くなるおそれがある。
【0015】本発明で使用する(3)還元剤は、前記重
合開始剤と反応し、ラジカルを発生する公知の還元剤で
あれば使用できる。代表的な還元剤としては、第3級ア
ミン、チオ尿素誘導体及び遷移金属塩等が挙げられる。
【0016】第3級アミンとしては、トリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びN,N
−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。チオ尿素誘
導体としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、メ
チルチオ尿素、シブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿
素及びエチレンチオ尿素等が挙げられる。遷移金属塩と
しては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅及びバナジ
ルアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの中で
は、反応性の点で、チオ尿素誘導体及び/又は遷移金属
塩が好ましい。チオ尿素誘導体の中では、反応性の点
で、エチレンチオ尿素が好ましく、遷移金属塩の中で
は、反応性の点で、バナジルアセチルアセトネートが好
ましい。
【0017】(3)還元剤の使用量は重合性ビニルモノ
マー100質量部に対して0.05〜15質量部が好ま
しく、0.5〜5質量部がより好ましい。0.05質量
部未満だと硬化速度が遅いおそれがあり、15質量部を
越えると硬化成分の分子量が低下し、接着強度が低下す
るおそがある。
【0018】本発明で使用する(4)難燃剤としては、
ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃
剤及び無機系難燃剤等の慣用の難燃剤が挙げられる。
【0019】ハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモ
ビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、
ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロモジフェニル
オキサイド、ビストリブロモフェノキシエタン、トリブ
ロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミ
ド、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオ
リゴマー、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェ
ノールAエポキシオリゴマー・ポリマー、デカブロモジ
フェニルエタン、ポリジブロモフェニルオキサイド、ヘ
キサブロモベンゼン、テトラデカブロモジフェノキシオ
キシベンゼン、臭素化エポキシオリゴマー、ビス(テト
ラブロモフタルイミド)エタン、ビス(トリブロモフェ
ノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸及びテトラ
ブロモ−p−クレゾール等の臭素系難燃剤、塩素化パラ
フィンやパークロロシクロペンタデカン等の塩素系難燃
剤等が挙げられる。
【0020】リン系難燃剤としては、トリクレジルホス
フェート、レゾルシニルジフェニルホスフェート、ハイ
ドロキノニルジフェニルホスフェート、フェニルノニル
フェニルハイドロキノニルホスフェート、トリフェニル
ホスフェート、フェニルジノニルフェニルホスフェー
ト、テトラフェニルレゾルシノールジホスフェート、テ
トラクレジルビスフェノールAジホスフェート及びトリ
ス(ノニルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル
系難燃剤、ジフェニル−4−ヒドロキシ−2,3,5,
6−テトラブロモベンジルホスフォネート、ジメチル−
4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモベンジルホスフォネ
ート及びジフェニル−4−ヒドロキシ−3,5−ジブロ
モベンジルホスフォネート等の含ハロゲンリン酸(又は
ホスホン酸)エステル系難燃剤、ポリリン酸、ポリリン
酸アンモニウム等のポリリン酸塩、並びに赤リン等が挙
げられる。
【0021】有機金属塩系難燃剤としては、有機スルホ
ン酸金属塩、カルボン酸金属塩及び芳香族スルホンイミ
ド金属塩等が挙げられる。
【0022】無機系難燃剤としては、三酸化アンチモ
ン、水酸化アルミニウム、窒素化グアニジン、五酸化ア
ンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、亜鉛、酸
化亜鉛及びジルコニウム化合物等が挙げられる。これら
の中では、包含結晶水の放出温度が、接着剤の熱分解温
度に近い、水酸化アルミニウムが好ましい。
【0023】これらの難燃剤は1種又は2種以上を併用
してもよい。これらの中では、接着性、耐歪み性及び難
燃性の点で、リン系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤の
中では、接着性、低発煙性、耐歪み性及び難燃性の点
で、ポリリン酸塩が好ましく、ポリリン酸アンモニウム
よりがより好ましい。
【0024】ポリリン酸アンモニウムは微粒子化したも
のが好ましく、粒子表面が化学的に未処理のものや、粒
子表面を熱硬化性樹脂でマイクロカプセル化したものが
用いられる。
【0025】(4)難燃剤の使用量は、成分(1)と必
要に応じて使用する成分(5)を含有する重合性ビニル
モノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に
応じて使用する(6)エラストマー成分を含有する硬化
性樹脂組成物100質量部に対して、25〜75質量部
であり、30〜60質量部が好ましい。25質量部未満
だと十分な難燃性が得られず、75質量部を越えると著
しい粘度上昇を伴い、接着剤組成物の塗布作業が困難に
なるとともに、耐歪み性が不十分になる。
【0026】更に、本発明では接着性を向上させるため
に、(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える
重合性ビニルモノマーを使用することが好ましい。
(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合
性ビニルモノマーとして好ましくは、単独重合体のガラ
ス転移温度が0℃を越える重合性(メタ)アクリル酸誘
導体が挙げられる。
【0027】(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃
を越える重合性ビニルモノマー、例えば、単独重合体の
ガラス転移温度が0℃を越える重合性(メタ)アクリル
酸誘導体としては、メチルメタクリレート(Tg=10
5℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg=
55℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg=180
℃)、イソボルニルアクリレート(Tg=94℃)、メ
タクリル酸(Tg=185℃)、エチルメタクリレート
(Tg=65℃)、イソブチルメタクリレート(Tg=
48℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg=66
℃)、ベンジルメタクリレート(Tg=54℃)、2−
ヒドロキシプロピルメタクリレート(Tg=76℃)、
グリシジルメタクリレート(Tg=46℃)、tert
−ブチルメタクリレート(Tg=107℃)、テトラヒ
ドロフルフリルメタクリレート(60℃)、ベンジルメ
タクリレート(Tg=54℃)、トリプロピレングレコ
ールジアクリレート(90℃)、テトラエチレングリコ
ールジアクリレート(Tg=50℃)、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート(Tg=250℃以上)及びト
リメチロールプロパントリアクリレート(Tg=250
℃以上)等が挙げられる。
【0028】これらの中では、硬化性および接着性に優
れる点で、メチルメタクリレート及び/又は2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートが好ましい。
【0029】(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃
を越える重合性ビニルモノマーの使用量は、成分(1)
と成分(5)の合計100質量部に対して60〜90質
量部が好ましく、70〜80質量部がより好ましい。6
0質量部未満だと接着性が小さいおそれがあり、90質
量部を越えるとが耐歪み性が小さいおそれがある。
【0030】尚、重合性(メタ)アクリル酸誘導体以外
の重合性ビニルモノマーとしては、スチレン、α−アル
キルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルエーテル、ジ
ビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピ
リジン及び酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等のビニル
エステル等が挙げられる。
【0031】更に、本発明では耐衝撃性を向上させるた
めに、(6)エラストマー成分を使用する。エラストマ
ー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をい
い、重合性ビニルモノマーに溶解又は分散できるものが
好ましい。
【0032】このようなエラストマー成分としては、ア
クリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート
共重合体、ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレー
ト共重合体(MBS) 、アクリロニトリル−スチレン−
ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエ
ン−アクリロニトリル−スチレン共重合体(MBA
S)、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成
ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン
系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、
ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系
熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、ア
ジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性
エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテト
ラメチレングリコールマルチブロックポリマーといった
ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリ
オールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロ
ック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマ
ー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、
並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又
は2種以上を使用してもよい。
【0033】これらの中では、化合物に対する溶解性及
び接着性の点で、メチルメタクリレート−ブタジエン−
アクリロニトリル−スチレン共重合体及び/又はアクリ
ロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、メチルメタク
リレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共
重合体とアクリロニトリル−ブタジエンゴムの併用がよ
り好ましい。
【0034】(6)エラストマー成分の使用量は、重合
性ビニルモノマー100質量部に対して5〜50質量部
が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。5質量
部未満だと粘度及び靱性が低下するおそれがあり、50
質量部を越えると粘度が高すぎて作業上不都合が生じる
おそれがある。
【0035】更に、本発明では密着性を向上させるため
に、下記一般式(I)で示される酸性リン酸化合物を使
用することができる。
【化1】 (式中、Rは CH2=CR1CO(OR2m −基(但
し、R1は水素又はメチル基、R2は−C24−、−C3
6−、−CH2CH(CH3)−、−C48−、−C6
12 −又は
【化2】 を示し、mは1〜10の整数を表す。)を示し、nは1
又は2の整数を表す。)
【0036】この一般式(I)で示される酸性リン酸化
合物としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)ア
クリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)ア
クリレート及びビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル)フォスフェート等が挙げられる。
【0037】これらの中では、密着性が良好な点で、
(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアシッドホスフェ
ートが好ましい。
【0038】一般式(I)で示される酸性リン酸化合物
の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対し
て0.05〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がよ
り好ましく、0.05質量部未満だと密着性が得られな
いおそれがあり、10質量部を越えると密着性が悪くな
るおそれがある。
【0039】更に、本発明では、空気に接する部分の硬
化を迅速にするために各種パラフィン類を使用すること
ができる。パラフィン類としては、パラフィン、マイク
ロクリスタリンワックス、カルナバろう、蜜ろう、ラノ
リン、鯨ろう、セレシン及びカンデリラろう等が挙げら
れる。これらの中では、パラフィンが好ましい。パラフ
ィン類の融点は40〜100℃が好ましい。
【0040】パラフィン類の使用量は、重合性ビニルモ
ノマー100質量部に対して0.1〜5質量部が好まし
い。0.1質量部未満だと空気に接している部分の硬化
が悪くなるおそれがあり、5質量部を越えると接着強度
が低下するおそれがある。
【0041】更に、本発明では、貯蔵安定性を改良する
目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用する
ことができる。酸化防止剤としては、ハイドロキノン、
ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシ
ャリーブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビ
ス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノー
ル)、トリフェニルホスファイト、フェノチアジン及び
N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジ
アミン等が挙げられる。これらの中では、p−メトキシ
フェノールが好ましい。
【0042】酸化防止剤の使用量は、重合性ビニルモノ
マー100質量部に対して0.001〜3質量部が好ま
しい。0.001質量部未満だと効果がないおそれがあ
り、3質量部を越えると硬化強度が低下するおそれがあ
る。
【0043】本発明では粘度の調整や粘性・流動性の調
整で、微粉末シリカ等も使用することができる。これら
の他にも所望により可塑剤、充填剤、着色剤又は防錆剤
等の既に知られている物質を使用することもできる。
【0044】本発明の難燃硬化性樹脂組成物は、その硬
化体の23℃の貯蔵弾性率が1500MPa以下である
ことが好ましく、1000MPa以下であることがより
好ましい。1500MPaを越えると耐歪み性が低下す
るおそれがある。
【0045】本発明の実施態様としては例えば、二剤型
の難燃硬化性樹脂組成物として使用することが挙げられ
る。二剤型については、本発明の難燃硬化性樹脂組成物
の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、難燃硬化性樹脂組
成物を第一剤及び第二剤に分け、第一剤に(2)重合開
始剤を、第二剤に(3)還元剤を別々に貯蔵する。二剤
型は貯蔵安定性に優れる点で好ましい。この場合、両剤
を同時に又は別々に塗布して接触、硬化することによ
り、二剤型の難燃硬化性樹脂組成物として使用できる。
【0046】(4)難燃剤の添加方法は特に制限はな
く、(i)第一剤と第二剤それぞれに別の配合で添加す
る方法、(ii)一方の剤のみに添加する方法及び(i
ii)同じ割合で等量ずつ均等に添加する方法等が挙げ
られる。これらの中では、第一剤と第二剤の粘度が等し
く、作業性が容易な点で、(iii)の方法が好まし
い。
【0047】本発明で使用する難燃硬化性樹脂組成物
は、難燃硬化性接着剤組成物として使用できる。
【0048】本発明で使用する難燃硬化性接着剤組成物
が接合し得る被着体としては、紙、木材、セラミック、
ガラス、陶磁器、ゴム、プラスチックおよびそのフィル
ム、モルタル、コンクリート及び金属等制限はないが、
被着体が金属の場合、優れた接着性を示す。金属として
は、鉄、ステンレス及び真鍮等が挙げられる。
【0049】金属板の厚さは0.1〜3.2mmが好ま
しい。0.1mm未満だと接着歪みのない状態に貼り合
わせるのが難しいおそれがあり、3.2mmを越えると
金属板が重くなり、エレベーターパネル等金属板の軽量
化ができなくなるおそれがある。
【0050】本発明で使用する金属接合体は、低発煙
性、耐歪み性及び難燃性が要求される用途、例えばエレ
ベータ用パネル、建築用の内装、外装用パネル及び冷蔵
庫用パネル等の金属パネルや、電子機器が搭載された電
子機器筐体(配電盤等)等の金属筐体等に好ましく使用
できる。
【0051】又、本発明で使用する難燃硬化性接着剤組
成物は歪みが小さいので、薄板(エレベーター用パネル
に用いる金属薄板等)やフィルムの接着に使用しても、
表面の歪みが小さく、美観が好ましいという効果を有す
る。
【0052】
【実施例】以下実験例により本発明を更に詳細に説明す
る。ポリリン酸アンモニウムは粒子表面がメラミン樹脂
でコートされ、かつ、微粒子化したものを用い、パラフ
ィンは融点56℃のものを用い、酸性リン酸化合物は
(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアシッドホスフェ
ートを用いた。尚、以下、各物質の使用量の単位は質量
部で示す。各物質については、次のような略号を使用し
た。 NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム MBAS:メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体 TCP:トリクレジルホスフェート
【0053】又各種物性については、次のようにして測
定した。
【0054】〔貯蔵弾性率〕接着剤組成物を厚さ1mm
のシート状にして硬化させ、得られた硬化体を粘弾性測
定装置(セイコー電子工業(株)製テンションモジュー
ルDMS210)により測定し、23℃における貯蔵弾
性率を求めた。
【0055】〔歪み量・歪み〕長さ200mm×幅25
mm×厚さ0.3mmのSPCC試験片中央部に接着剤
組成物を長さ100mm×幅25mm×厚さ2mmのサ
イズに塗布、硬化させ、室温で24時間養生した後の、
SPCC試験片の反り量(単位:mm)を測定した。
又、養生後、試験片から5m離れた位置から、目視によ
り歪みの有無を判定した。判定は以下の通りである。 ○:反りがわからない。 △:わずかに反りが見られる。 ×:明らかに反りがある。
【0056】〔引張剪断接着強さ〕JIS K 685
6に従い、試験片(100mm×25mm×1.6mm
t、SECC−Dサンドブラスト処理)の片方に第一剤
と第二剤を等量混合したものを塗布した。その後、直ち
にもう片方の試験片を重ね合わせて張り合わせた後、室
温で24時間養生したものを試料とした。尚、試料の引
張剪断接着強さ(単位:MPa)は、温度23℃、相対
湿度50%の環境下において、引張速度10mm/分で
測定した。
【0057】〔難燃性〕UL−94垂直燃焼試験法に準
じて厚さ1/8インチ(6.75cm)の硬化体を作製
し、燃焼性を評価した。
【0058】〔発煙性〕150mm×150mm×1.
6mmのSPCC板中央に接着剤組成物を30mm×3
0mm×2mmのサイズに塗布、硬化させ、SPCC板
下部より火炎であぶった際の発煙性を、目視により評価
した。全く発煙しない場合を○、少し発煙した場合を
△、かなり発煙した場合を×とした。
【0059】実験例1 表1に示す、組成物A(第一剤用)と組成物B(第二剤
用)を調製した。但し、モノマーは表2に示す組成のも
のを使用した。組成物Aと組成物Bを用い、第一剤と第
二剤からなる二剤型難燃硬化性接着剤組成物を調製し、
物性を評価した。結果を表3に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】実験例2 表4に示す、第一剤と第二剤からなる二剤型難燃硬化性
接着剤組成物を調製し、物性を評価したこと以外は、実
験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】実験例3 表5に示す組成のモノマーを使用し、組成物Aと組成物
Bを用い、表6に示す、第一剤と第二剤からなる二剤型
難燃硬化性接着剤組成物を調製し、物性を評価したこと
以外は、実験例1と同様に行った。結果を表6に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【発明の効果】本発明の難燃硬化性樹脂組成物により、
発煙性が少なく、難燃性及び耐歪み性に優れた接着剤組
成物が得られる。そのため、薄板(エレベーター用パネ
ルに用いる金属薄板等)やフィルムの接着、金属パネル
や金属筐体の接着等に好ましく使用できる。例えばエレ
ベーター用パネルの難燃硬化性接着剤組成物として使用
した場合、エレベーター用パネルの軽量化を目的として
エレベーター用パネルの厚さを薄くしても、耐歪み性が
ないので美観が良く、その産業上の有益性は極めて大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 201/00 C09J 201/00 Fターム(参考) 4J011 PA10 PA54 PA76 PA78 PA79 PB29 PB39 4J026 AA06 AA12 AA13 AA17 AA45 AA49 AA67 AA68 AA72 AB02 AB07 AB28 AC01 AC02 AC11 AC12 AC15 AC16 AC32 BA27 BA30 BB02 BB07 DB15 DB16 DB29 DB30 GA07 GA08 4J040 CA012 CA032 CA072 CA142 DA122 DB052 DB062 DF041 DF051 DF061 DF082 ED002 EF002 EG002 HA136 HB05 HB06 HB41 HC03 HC06 HC23 HC25 HD08 HD13 HD26 HD28 HD41 JA13 JB05 KA12 KA21 KA36 LA02 LA06 LA08 MA02 NA05 NA12 NA16 PA35

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)単独重合体のガラス転移温度が0
    ℃以下の重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、
    (3)還元剤、並びに、(1)単独重合体のガラス転移
    温度が0℃以下の重合性ビニルモノマー、(2)重合開
    始剤及び(3)還元剤の合計100質量部に対して
    (4)難燃剤25〜75質量部を含有してなる難燃硬化
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、(5)単独重合体のガラス転移
    温度が0℃を越える重合性ビニルモノマーを含有してな
    る請求項1記載の難燃硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 さらに、(6)エラストマー成分を含有
    してなる請求項1又は2記載の難燃硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (4)難燃剤がポリリン酸アンモニウム
    である請求項1〜3のうちの1項記載の難燃硬化性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 23℃での硬化体の貯蔵弾性率が150
    0MPa以下である請求項1〜4のうちの1項記載の難
    燃硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のうちの1項記載の難燃硬
    化性組成物を第一剤及び二剤に分け、第一剤が少なくと
    も(2)重合開始剤を含有してなり、第二剤が少なくと
    も(3)還元剤を含有してなる二剤型難燃硬化性樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のうちの1項記載の難燃硬
    化性組成物からなる難燃硬化性接着剤組成物。
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