JP2023094643A - 2液型接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】速硬化性に優れるとともに貯蔵安定性に優れるという、相反する特性を備えた2液型接着剤、及び、当該2液型接着剤の層を有する部材を提供すること。【解決手段】(a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び(a-2)有機過酸化物を含むA剤と、(b-1)チオール基を有する化合物、(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤、及び(b-3)SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物を含むB剤と、から少なくとも構成される、2液型接着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、2液型接着剤に関する。特に、本発明は、速硬化性に優れるとともに貯蔵安定性にも優れた2液型接着剤に関する。
2液型接着剤として、過酸化物と過酸化物分解促進剤を含み、室温下で反応硬化が進行する2液型アクリル系接着剤、通称、第2世代アクリル系接着剤(SGA)が知られている。この第2世代アクリル系接着剤は、短時間で接着強度が発現する速硬化性を有し、各成分の混合比率の許容範囲が広いこと、金属、プラスチック等種々の材料に対しての接着性に優れること等の利点を有することから、電気・機械・自動車・建築・土木等の各分野において広く利用されている。
第2世代アクリル系接着剤は、室温下で反応硬化が進行し、比較的短時間で接着強度が発現する半面、貯蔵安定性が十分でなく、長期保存した場合に、粘度が上昇し接着剤として使用できなくなるおそれがあった。
特許文献1には、重合性(メタ)アクリルモノマー、有機過酸化物、及び3個以上のメルカプト基を有する有機化合物を含むA剤と、重合性(メタ)アクリルモノマー及び有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤を含むB剤とから成る、2成分形アクリル樹脂系接着剤組成物が記載されている。
特許文献2には、(A)分子内に1以上の(メタ)アクリル基を有する化合物、(B)ハイドロパーオキサイド、(C)銅化合物及びバナジウム化合物の少なくとも一種、(D)分子中に2~6のチオール基を有する化合物、及び(E)サッカリン、を含み、前記(A)成分がオリゴマーを含み、前記オリゴマーが(メタ)アクリルモノマーを共重合させた主骨格の末端に(メタ)アクリル基が導入されてなるオリゴマーである、2液型硬化性樹脂組成物が記載されている。
特許文献3には、(A)アクリロイルモルホリン、(B)重合性ビニルモノマー、(C)重量平均分子量25,000以上のポリエーテル系ウレタンアクリレート、(D)重量平均分子量6,000以下のポリエーテル系ウレタンアクリレート、(E)有機過酸化物、及び(F)還元剤、を必須成分とする2液混合型アクリル系接着剤組成物が記載されている。
特許文献4には、(A)ラジカル重合性官能基を有する化合物、(B)ラジカル開始剤、(C)サッカリン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-o-トルイジン、トリジン、マレイン酸からなる群から選択される化合物、(D)ベンゾトリアゾール化合物又はヒドラジン化合物、及び(E)チオール基を2以上有するポリチオール化合物、を含有し、金属触媒を含有する硬化促進剤が予め塗布された被着材の接着用途に用いられる、2液型の嫌気硬化性接着剤が記載されている。
特開2012-219135号公報 特許第6015667号公報 特開2021-88632号公報 特許第6646229号公報
特許文献1~4に記載されている2液型接着剤は、速硬化性又は貯蔵安定性のいずれか一方の点では優れたものであるが、速硬化性に優れるとともに貯蔵安定性にも優れるという、相反する特性を備えたものではない。
近年、2液型接着剤においては、速硬化性に優れるとともに貯蔵安定性に優れるという、相反する特性を備えることが求められているが、このような特性を両立させた接着剤を構成することは困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、速硬化性に優れるとともに貯蔵安定性に優れるという、相反する特性を備えた2液型接着剤を提供すること、及び、当該2液型接着剤の層を有する部材を提供すること、である。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の2液型接着剤及び部材により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、以下の[1]~[4]のとおりである。
[1] (a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び(a-2)有機過酸化物を含むA剤と、
(b-1)チオール基を有する化合物、(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤、及び(b-3)SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物を含むB剤と、
から少なくとも構成される、2液型接着剤。
[2] (b-3)が、P(=O)(OR(OH)(式中、Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、Rが複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。xは1又は2、yは1又は2、x+y=3である。)で表される化合物である、[1]に記載の2液型接着剤。
[3] A剤とB剤の配合比率が、A剤1質量部に対して、B剤2質量部以下0.01質量部以上である、[1]又は[2]に記載の2液型接着剤。
[4] [1]~[3]のいずれか1項に記載の2液型接着剤の層を有する部材。
本発明により、速硬化性に優れるとともに貯蔵安定性に優れるという、相反する特性を備えた2液型接着剤が提供される。さらに、当該2液型接着剤の層を有する部材が提供される。
本発明の2液型接着剤は、(a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び(a-2)有機過酸化物を含むA剤と、(b-1)チオール基を有する化合物、(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤、及び(b-3)SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物を含むB剤と、から少なくとも構成される。
以下、本発明の2液型接着剤及び部材について、詳細に説明する。
[2液型接着剤]
<(a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物>
分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選ばれる1種以上であって、有機過酸化物によりラジカル重合し得る化合物である。
本明細書においては、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(CH=CH-CO-基)及び/又はメタクリロイル基(CH=CH(CH)-CO-基)を意味する。また、(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を意味する。例えば、「メチル(メタ)アクリレート」は、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートを意味する。
((メタ)アクリレートモノマー)
(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するモノマーであれば、特に限定されない。分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に限定されないが、2液型接着剤の速硬化性、接着性等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。特に、本発明では、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーの1種以上を用いることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーの1種以上と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーの1種以上との混合物を用いてもよい。
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の1価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸エステル基を含む(メタ)アクリレート;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミドN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;アダマンチル(メタ)アクリレート]、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ」)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸エステル基を含む(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。特に、リン酸エステル基を含む(メタ)アクリル酸エステルを含んでいると、金属基材への接着性、接着強度を高めることができる。
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッド)ホスフェート、ジ-(2-(メタ)アクリロイルオキシ)ヒドロゲンホスフェート等の(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の(メタ)アクリロイル基を3個有するトリ(メタ)アクリレートモノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリストリールペンタ(メタ)アクリロイルオキシジヒドロゲンホスフェート等の(メタ)アクリレート基を4個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等が挙げられる。これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッド)ホスフェート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
((メタ)アクリレートオリゴマー)
(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するオリゴマーであれば、特に限定されない。分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に限定されないが、2液型接着剤の速硬化性、接着性等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。オリゴマーの質量平均分子量は、特に限定されない。例えば500以上、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上であり、例えば100,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは20,000以下である。質量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、2液型接着剤の作業性と接着性を両立させることができる。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品又は合成品のいずれを用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によりイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)を反応させる等により得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系から選ばれる1種以上のものを用いることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多官能エポキシ樹脂に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させることにより得ることができる。
エステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより得ることができる。
エーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種以上を付加させることにより得ることができる。
分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は、特に限定されない。(a-1)、(a-2)、(a-3)、(b-1)、(b-2)及びエラストマーの合計を100質量%として、例えば90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であり、例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上とすることができる。
<(a-2)有機過酸化物>
有機過酸化物は、(a-1)分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物のラジカル重合開始剤として作用する化合物であれば、特に限定されない。有機過酸化物は、(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤と、レドックス系重合開始剤を形成する。
有機過酸化物としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの有機過酸化物の中で、室温(25℃)環境下で安定であり、取扱いが簡便であり、還元剤との併用により常温環境下で容易に反応が開始する反応性の点から、ハイドロパーオキサイド類が好ましく、特にクメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
有機過酸化物の含有量は、特に限定されない。(a-1)100質量%に対して、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下であり、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。(a-1)100質量%に対して、10質量%を超えると、貯蔵安定性が悪化するおそれや、可使時間が短くなりすぎ作業性が不良となるおそれがあり、0.1質量%未満であると、効果が不十分となるおそれがある。
<(b-1)チオール基を有する化合物>
チオール基を有する化合物は、チオール基を分子内に1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上有する有機化合物であれば、特に限定されない。チオール基を有する化合物は、1級チオール化合物、2級チオール化合物のいずれでもよい。硬化速度の点から、1級チオール化合物が好ましい。これらのチオール基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
チオール基を有する化合物のうち、1級チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。1級チオール化合物の市販品としては、例えばTMTP、PETP(淀化学社製)、TEMPIC、TMMP、PEMP、PEMP-II-20P、DPMP(SC有機化学社製)、QX60(三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
チオール基を有する化合物のうち、2級チオール化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトグリコレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトグリコレート)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。2級チオール化合物の市販品としては、MTNR1、MTBD1、MTPE1(昭和電工社製)等が挙げられる。
チオール基を有する化合物の含有量は、特に限定されない。(a-1)100質量%に対して、例えば30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であり、例えば0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。(a-1)100質量%に対して、30質量%を超えると、貯蔵安定性が悪化するおそれや、可使時間が短くなりすぎ作業性が不良となるおそれがあり、0.1質量%未満であると、効果が不十分となるおそれや、硬化速度が遅くなるおそれがある。
<(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤>
有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤は、有機過酸化物と反応しラジカルを発生する還元剤であれば特に限定されない。例えば、アミン化合物、チオ尿素誘導体、金属化合物等が挙げられる。有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルパラトルイジン、ベンズイミダゾール、アミンとアルデヒドとの反応縮合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
チオ尿素誘導体としては、2-メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素及びエチレンチオ尿素等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
金属化合物としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅及びバナジルアセチルアセトネート、バナジルステアレート、バナジウムナフテネート、バナジウムアセチルアセトネート、バナジウムベンゾイルアセトネート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのうち、有機過酸化物との反応性等の観点から、バナジウム化合物、チオ尿素化合物からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤の含有量は、特に限定されない。(a-2)100質量%に対して、例えば40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。(a-2)100質量%に対して、40質量%を超えると、貯蔵安定性が悪化するおそれや、可使時間が短くなりすぎ作業性が不良となるおそれがあり、5質量%未満であると、レドックス触媒系の形成が不十分となり、硬化が不十分となるおそれや硬化速度が遅くなるおそれがある。
<(b-3)SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物>
SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物は、
(a)SP値が12.0以上であることから、少なくともSP値が12.0以上である化合物と相溶性を有し、
(b)融点が25℃以下(大気圧:100kPa)であることから、室温(25℃)大気圧(100kPa)下において液体状態であり、
(c)25℃における蒸気圧が1kPa未満であることから、揮発性が極めて低い、
ものである。これにより、SP値が通常12.0以上である「(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤」を溶解することができ、特に、バナジウム化合物を溶解することが可能である。SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、SP値とは、溶解度パラメーターのことを意味する。SP値は、Hansen Solubility Parameters A User’s Handbook,2ndEd(CRCPress)で紹介される方法を用いて算出することができる。また、有機化合物のSP値は、その有機化合物の分子構造から推算することが可能である。具体的には、SMILEの式からSP値を計算できるシミュレーションソフトウェア(例えば「HSPiP」(http=//www.hansen-solubility.com))を用いて計算しうる。また、このシミュレーションソフトウェアでは、Hansen SOLUBILITY PARAMETERS A User’s Handbook SecondEdition、Charles M.Hansenに記載の理論に基づき、求めることができる。
SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物は、SP値、融点及び蒸気圧に係る条件を満たす化合物であれば、特に限定されない。例えば、ホスフェート系化合物、アミド系化合物、カーボネート系化合物、グリコール系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホスフェート系化合物としては、例えば、
P(=O)(OR(OH)
(式中、Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、Rが複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。xは1又は2、yは1又は2、x+y=3である。)
で表される化合物が挙げられる。このような式で表される化合物としては、例えば、ジブチルホスフェート、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、ジオクチルホスフェート、ジ(クロロエチル)ホスフェート、ジ(ジクロロプロピル)ホスフェート等の重合性(メタ)アクリル基を持たない酸性リン酸化合物等が挙げられる。
アミド系化合物としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、エチルアセトアミド等が挙げられる。
カーボネート系化合物としては、例えば、1,2-プロピレンカーボネート等が挙げられる。
グリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。
本発明において、(a-1)、(a-2)、(b-1)及び(bー2)のいずれかに該当するとともに(b-3)に該当する化合物は、(b-3)として取り扱う。
SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物の含有量は、特に限定されない。(b-2)の全量を溶解し得る量であればよく、(b-2)100質量%に対して、例えば100質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であり、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。(b-2)100質量%に対して、100質量%を超えると、(b-2)の作用が弱くなり、硬化が不十分となるおそれがあり、また、コスト的に不利であり、5質量%未満であると、(b-2)が沈殿として残り、硬化が不十分となるおそれや、硬化速度が遅くなるおそれがある。
<その他の添加剤>
本発明の2液型接着剤には、速硬化性や硬化物の接着性等の機能を損なわない範囲で、必要に応じ、(a-1)、(a-2)、(a-3)、(b-1)及び(b-2)以外の成分を、「その他の添加剤」として加えてもよい。
「その他の添加剤」としては、例えば、エラストマー、貯蔵安定剤、可塑剤、重合性ビニルモノマー(反応性希釈剤)、接着付与剤、粘着付与樹脂、フィラー、増量剤、物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、香料、硬化速度を調整するために種々の反応促進剤や硬化調整剤等の各種添加剤が挙げられる。「その他の添加剤」は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(エラストマー)
エラストマーとしては、ゴム弾性を有する成分であれば特に限定されない。例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ウレタンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、液状ポリブタジエン、末端アクリル変性液状ポリブタジエン、液状アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等の液状ゴム、スチレン-ポリブタジエン-スチレン合成ゴム等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン-EPDM合成ゴム等のオレフィン系熱可塑性エラストマー、カプロラクトン型、アジペート型、及びPTMG型等のウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート-ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマー等のポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン-ポリオールブロック共重合体やナイロン-ポリエステルブロック共重合体等のポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、少なくともゴム層を有するゴム微粒子や、ゴムからなるコア層とさらにその外側を樹脂層で覆ったシェル層を有するコアシェル型のゴム微粒子でもよい。コアシェルゴム微粒子は、コア層の存在下に、グラフト共重合可能なモノマー成分をグラフト重合してシェル層を形成したポリマー微粒として合成可能である。コア層のゴムとしては、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリルゴム等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。シェル層は一般的に(メタ)アクリレートモノマーあるいは芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル等を用いるが、それ以外のモノマーを用いてもよい。コア層のゴム種、シェル層のモノマーについては、所望の特性に応じて1種又は2種以上用いてもよい。
エラストマーは、硬化後の接着剤層の衝撃緩和剤としての機能及び/又は接着剤組成物の粘度やチキソトロピー性の調整の機能等を有する。これらのエラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エラストマーの含有量は、特に限定されず、含んでも含まなくてもよい。(a-1)、(a-2)、(a-3)、(b-1)、(b-2)及びエラストマーの合計を100質量%として、例えば15質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、例えば0質量%以上、好ましくは3質量%以上とすることができる。
(貯蔵安定剤)
貯蔵安定剤としては、重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤としては例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ベンゾキノン、2,6-ジ-ターシャリーブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、トリフェニルホスファイト、フェノチアジン及びN-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、エチレンジアミン4酢酸又はその塩等が挙げられる。これらの貯蔵安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、貯蔵安定剤として、ハイドロキノン、ベンゾキノン、エチレンジアミン4酢酸又はその塩からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
貯蔵安定剤の含有量は、特に限定されず、含んでも含まなくてもよい。(a-1)、(a-2)、(a-3)、(b-1)、(b-2)及び貯蔵安定剤の合計を100質量%として、例えば2質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であり、例えば0質量%以上、好ましくは0.01質量%以上とすることができる。
(可塑剤)
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、DBE(コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルの混合物。)等のカルボン酸エステル系可塑剤;エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ系可塑剤;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等の2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコール又はその誘導体等のポリエーテル系可塑剤;ポリ-α-メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン系可塑剤;ポリブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン等のオレフィン系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤の含有量は、特に限定されず、含んでも含まなくてもよい。(a-1)、(a-2)、(a-3)、(b-1)、(b-2)及び可塑剤の合計を100質量%として、例えば5質量%以下、好ましくは3質量%以下であり、例えば0質量%以上、好ましくは0.5質量%以上とすることができる。
(重合性ビニルモノマー)
重合性ビニルモノマーとしては、(a-1)以外のビニルモノマーであって、ラジカル重合が可能である各種の重合性ビニルモノマーを用いることができる。重合性ビニルモノマーとしては、例えばスチレン、α-アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルエーテル、ジビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
<2液型接着剤の構成>
本発明の2液型接着剤は、少なくともA剤とB剤の2つの製剤で保存され、使用直前にA剤とB剤とを混合することで構成される。
本発明においては、A剤には、(a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び(a-2)有機過酸化物が含まれる。A剤には、さらに、エラストマー、貯蔵安定剤(重合禁止剤)等が含まれていてもよい。
本発明においては、B剤には、(b-1)チオール基を有する化合物、(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤、及び(b-3)SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物が含まれる。B剤には、さらに、可塑剤等が含まれていてもよい。
なお、貯蔵安定性等の観点から、(a-2)有機過酸化物と、(b-1)チオール基を有する化合物及び/又は(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤とは、同じ剤中に含まれていないことが好ましい。また、貯蔵安定性等の観点から、B剤中には、(a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物や重合性ビニルモノマーが含まれていないことが好ましい。
本発明におけるA剤とB剤の配合比率は、特に限定されない。例えば、A剤1質量部に対して、B剤2質量部以下、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下であり、B剤0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上である。 A剤1質量部に対してB剤2質量部を超える場合、混合後の2液型接着剤がゲル状になるおそれがあり、また、必要な接着力が得られないおそれがある。
A剤1質量部に対してB剤0.01質量部未満の場合、混合後の2液型接着剤が硬化しなくなるおそれがある。
<2液型接着剤の用途等>
本発明の2液型接着剤は、各種の被着材の接着に用いることができ、25℃(室温)で速やかに硬化する。被着材としては、種々の金属、樹脂類、ガラス、セラミック、紙、布、繊維等の1種以上が挙げられる。本発明の2液型接着剤は、金属の接着性が優れることから、金属用とすることが有用である。
本発明の2液型接着剤は、各種電気・電子分野用、自動車用、機械用、建築物用、土木用等の様々な分野で用いることができる。
[部材]
本発明の部材は、本発明の2液型接着剤の層を有する部材である。例えば、(i)表面の少なくとも一部に2液型接着剤の層が形成された部材、(ii)表面の少なくとも一部に形成された2液型接着剤の層の上に、同じ部材の別の表面又は別の部材の表面が当接して接着一体化された部材等が挙げられる。
本発明の部材を形成する際の接着方法は、特に限定されない。例えば、(a)2液型接着剤のA剤及びB剤を混合した後に、部材表面の少なくとも一部に塗布し、被着材を当接させて接着一体化する方法、(b)2液型接着剤を構成するA剤又はB剤のいずれか一方を、部材表面に塗布し、他方の剤を同じ部材の別の表面又は他の部材の表面に塗布し、それぞれの塗布面同士を接合することで被着体同士を相互に接着させて一体化する方法、等が挙げられる。接着剤層の厚さはとくに限定されず、例えば0.01mm~100mmの範囲内とすることができる。
部材の材質、形状等については特に限定されない。例えば、金属、各種樹脂類、ガラス、セラミック、紙、布、繊維、木、竹等の材質とすることができ、フィルム状、板状、棒状、繊維状等の形状とすることができる。2液型接着剤で接着する部材の組合せとしては、例えば、金属/金属、金属/樹脂、金属/ガラス、金属/セラミック、金属/木、金属/竹、樹脂/樹脂、樹脂/ガラス、樹脂/セラミック、樹脂/紙、樹脂/布、樹脂/繊維、樹脂/木、樹脂/竹、ガラス/ガラス、ガラス/紙、紙/紙、紙/布、紙/繊維、紙/木、紙/竹、布/布、繊維/布、繊維/繊維等の組合せが挙げられる。
部材としては、例えば、電気・電子製品及び電気・電子部品、建築部材、自動車、飛行機、船、二輪車、電車等及びそれらの部品、機械及び機械部品、事務用品、生活雑貨等が挙げられるが、特に限定されない。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であって、これらの実施例により本発明を限定的に解釈するべきでなく、本発明の技術思想及び均等範囲内において、多種多様な変形や修正を行うことが可能である。
なお、各例中において、特に断りのない場合、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
[2液型接着剤の作製]
<実施例1、比較例1~3>
表1に示す成分を、それぞれ表1に示す配合割合(質量部)で配合して、A剤及びB剤を調製した。
得られたA剤10部及びB剤1部を混合し、実施例1及び比較例1~3に係る接着剤を得た。得られた接着剤について、安定性、セットタイム(調製直後)及びセットタイム(1週間後)について評価した。結果を表1に併せて示す。
Figure 2023094643000001
<配合成分>
表1において、配合成分の詳細は下記のとおりである。
・MMA:メタクリル酸メチル
・2HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・BPE-100:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート
(新中村化学社製「NKエステルBPE-100」)
・CHP:クメンヒドロパーオキサイド
・PETMP:ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)
・P-1M:2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート
・NBR:ニトリルゴム(JSR社製「N230S」)
・BQ:ベンゾキノン
・EDTANa:エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム
・DINP:ジイソノニルフタレート
・DBP:ジブチルホスフェート
・AAV:VO(C(バナジルアセチルアセトン錯体)
<評価>
(安定性)
2液型接着剤のA剤及びB剤を混合し、外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:分離沈殿が確認されない
C:分離沈殿が発生する
安定性は、「A」が合格である。
(セットタイム(調製直後))
表1に示す組成で、2液型接着剤のA剤及びB剤をそれぞれ調製した。A剤及びB剤を調製した直後に混合して、所定の温度にて、接着面積25mm×12.5mmでサンドブラスト処理したSPCC鋼板(エンジニアリングテストサービス社製)を貼り合わせた。せん断方向に5kgの荷重をかけて、剥がれなくなる時間を測定し、以下の基準で評価した。
A:23℃でのセットタイムが3分以内。
B:23℃でのセットタイムが3分超5分未満。
C:23℃でのセットタイムが5分以上。
セットタイム(調製直後)は、「A」及び「B」が合格である。
(セットタイム(1週間後))
表1に示す組成で、2液型接着剤のA剤及びB剤をそれぞれ調製した。A剤及びB剤をそれぞれ35℃で1週間放置した後に混合して、鋼板十字貼り付け指触試験を行い、以下の基準で評価した。
A:23℃でのセットタイムが3分以内。
B:23℃でのセットタイムが3分超5分未満。
C:23℃でのセットタイムが5分以上。
セットタイム(1週間後)は、「A」及び「B」が合格である。
<実施例2~4>
実施例1で用いたA剤及びB剤を用い、その配合量(A剤質量/B剤質量)を、表2に示す配合割合(質量部;10/1(実施例1)、4/1(実施例2)、2/1(実施例3)及び1/1(実施例4))となるようにA剤及びB剤を混合した。
(ゲルタイム)
得られた実施例1~4に係る接着剤について、5℃環境下で紙コップに接着剤を適量吐出した後に攪拌し、増粘から硬化までの時間を測定し、5℃におけるゲルタイムを評価した。結果を表2に併せて示す。
(接着強度)
A剤及びB剤の温度をそれぞれ5℃とし、5℃環境下でA剤及びB剤をスタティックミキサにより所定の混合比で混合し、接着面積25mm×12.5mmでサンドブラスト処理したSPCC鋼板(エンジニアリングテストサービス社製)に接着厚み0.23mmとなるように塗布して接着し23℃で1日養生して試験片を作製した。試験片について、JIS K 6850(1999)に基づいて23℃での接着強度(引張せん断接着強さ)を引張速度2.5mm/minで3回測定し、その破壊状態を観察した。接着強度の値及び破壊状態を表2に併せて示す。
なお、破壊状態について、CFは接着剤層の凝集破壊を、AFは界面破壊を示す。
Figure 2023094643000002
表1から明らかなように、本発明の2液型接着剤は、セットタイムが短く速硬化性に優れるとともに、35℃で1週間保存したのちに混合した際のセットタイムも短く貯蔵安定性及び速硬化性に優れるという相反する特性を有するもので、産業上極めて有用である。
表2から明らかなように、本発明の2液型接着剤は、破壊時に(ほぼ)凝集破壊となるもので接着強度に優れたものであった。さらに、増粘から硬化までのゲルタイムも適切なものであった。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。

Claims (4)

  1. (a-1)分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び(a-2)有機過酸化物を含むA剤と、
    (b-1)チオール基を有する化合物、(b-2)有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤、及び(b-3)SP値12.0以上、融点25℃以下及び25℃における蒸気圧が1kPa未満である有機化合物を含むB剤と、
    から少なくとも構成される、2液型接着剤。
  2. (b-3)が、P(=O)(OR(OH)(式中、Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、Rが複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。xは1又は2、yは1又は2、x+y=3である。)で表される化合物である、請求項1に記載の2液型接着剤。
  3. A剤とB剤の配合比率が、A剤1質量部に対して、B剤2質量部以下0.01質量部以上である、請求項1又は2に記載の2液型接着剤。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の2液型接着剤の層を有する部材。
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