JP2023156179A - 二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を使用する接着工法 - Google Patents

二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を使用する接着工法 Download PDF

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Abstract

【課題】アクリル系重合性モノマーを含有する接着剤をコンクリート等多孔質材料に適用するに際し、コンクリート等多孔質材料への接着性に優れた新規な接着工法を提供すること。【解決手段】少なくとも1方の被着体が多孔質部材である多孔質部材の接着工法であって、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、(B)有機過酸化物、(C)有機過酸化物の分解促進剤、及び(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤、を必須成分とする二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いる、多孔質部材の接着工法。【選択図】なし

Description

本発明は、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を使用する、少なくとも1方の被着体が多孔質部材である多孔質部材の接着工法に関する。特に、コンクリート等の多孔質部材を被着体とした際に、優れた接着性を付与できる接着工法に関する。
従来、二液型の硬化性組成物としては、エポキシ系のものやウレタン系のものが代表的であった。しかし、これらの組成物は、充分な性能を発揮せしめるに、秤量及び混合を厳密に行う必要があり、作業効率上問題があった。
また、アクリル系モノマー等のラジカル重合性モノマーを主剤とし、一方の液には重合開始剤として有機過酸化物を含有せしめ、他方の液には重合促進剤や重合促進助剤を含有せしめた二液型のラジカル重合性化合物が既に知られている。重合促進剤や重合促進助剤としては、例えば、金属キレート化合物、有機アミン、カルボン酸(カルボン酸無水物を含む)、ポリアミド、三価の有機リン化合物、チオアミド化合物及び金属塩類等が用いられている。
係る二液型のラジカル重合性組成物は、厳密な秤量及び混合を行わなくても、ある程度の優れた性能を発揮でき、上記のエポキシ系のものやウレタン系の二液型の硬化性組成物に較べて作業効率に優れている。このため、自動車の各部位の接着、スピーカーの各部位の接着、電気機器の組立接着、及び保護コーティング等の分野において使用すれば、生産効率を向上できるものである。
しかしながら、一般に二液型タイプのラジカル重合性組成物は、金属材料等の硬質材料の接着には優れた接着性を示すものの、特定のプラスチック材料や窯業系材料或いは木材等の接着に使用した場合には、硬化に長時間を要し、場合によっては硬化不良を起こす等の問題があった。特にコンクリート及び/又はセメント硬化物等の多孔質窯業系材料において、このような問題が顕著であった。
特許文献1には、アクリル系又はメタクリル系単量体とラジカル重合開始剤を主成分とするアクリル系接着剤を用いて多孔質材料を接着する際に、該多孔質材料の表面に塗布するプライマー組成物であって、有機高分子化合物を、室温で揮発性の溶剤に溶解又は分散してなるプライマー組成物が開示されている。このプライマー組成物を使用すると、従来接着が困難であるとされていた石綿スレート板やコンクリート等の多孔質材料の接着が可能になることが開示されている。
特許文献2には、重合性(メタ)アクリルモノマー及び有機過酸化物を主成分とする主剤と、主剤中の有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤を主成分とするプライマーからなる、主剤-プライマー型アクリル系接着剤が開示されている。この主剤-プライマー型アクリル系接着剤において、プライマーは、アルデヒドとアミンの縮合物及び可溶性バナジウム化合物を主成分とし、主剤又はプライマーの少なくとも一方に、リン酸等の酸性化合物が含有されている。この接着剤は、石綿スレート板や木材等の接着に際して、優れた接着性を示すことも開示されている。
特許文献3には、(a)1分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート、(b)重合開始剤及び(c)重合促進剤を含有してなるプライマーを含浸してなるコンクリート表面に、金属板を、アクリル系樹脂接着剤を介して接着してなる金属板接着コンクリートが開示されている。このアクリル系樹脂接着剤は、金属板とコンクリートという異種材料間の接着に際して、優れた接着強度を示すことも開示されている。
特許文献4には、重合性(メタ)アクリル系モノマー、有機過酸化物、バナジウム化合物及びα-ヒドロキシカルボニル化合物を必須成分とする、窯業系材料接着用の二液型(メタ)アクリル系組成物が開示されている。この組成物は、セメント板や木材等の接着に際して、優れた接着性を示すことも開示されている。
特開平05-093172号公報 特開平06-080937号公報 特開平09-314730号公報 特開平11-001663号公報
本発明が解決しようとする課題は、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を、コンクリート等の多孔質部材の接着に適用するに際し、接着性が改善された新規な多孔質部材の接着工法を提供することである。
本発明者は、接着工法で使用される二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の成分として、有機過酸化物の還元剤である分解促進剤に加えて、ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤を使用すると、上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明は次の接着工法である。
[項1] 少なくとも1方の被着体が多孔質部材である多孔質部材の接着工法であって、
(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、
(B)有機過酸化物、
(C)有機過酸化物の分解促進剤、及び
(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤、
を必須成分とする二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いる、多孔質部材の接着工法。
[項2] さらに、被着体である多孔質部材に、(G)金属化合物を含有するプライマーを塗布する、項1に記載の多孔質部材の接着工法。
[項3] 前記(G)金属化合物が、銅化合物である、項2に記載の多孔質部材の接着工法。
[項4] 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーである、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項5] 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステルを含むモノマーである、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項6] 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、メタクリル酸を含むモノマーである、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項7] 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーである、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項8] 前記(B)有機過酸化物が、ハイドロパーオキサイド類である、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項9] 前記(C)有機過酸化物の分解促進剤が、バナジル化合物である、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項10] 前記バナジル化合物が、バナジルアセチルアセトネートである、項9に記載の多孔質部材の接着工法。
[項11] 前記(C)有機過酸化物の分解促進剤が、チオ尿素誘導体である、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項12] 前記チオ尿素誘導体が、エチレンチオ尿素である、項11に記載の多孔質部材の接着工法。
[項13] 前記(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤が、ヒドラジド化合物系分解促進助剤である、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項14] 前記ヒドラジド化合物系分解促進助剤が、アセチルフェニルヒドラジンである、項13に記載の多孔質部材の接着工法。
[項15] 前記(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤が、イミド化合物系分解促進助剤である、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項16] 前記イミド化合物系分解促進助剤が、o-安息香酸スルフィミドである、項15に記載の多孔質部材の接着工法。
[項17] 前記多孔質部材が、多孔質窯業系材料である、項1~項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
[項18] 前記多孔質窯業系材料が、コンクリート及び/又はセメント硬化物である、項17に記載の多孔質部材の接着工法。
本発明の接着工法によれば、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を、コンクリート等の多孔質部材の接着に適用するに際し、接着性が改善された新規な多孔質部材の接着工法を提供することができる。特に、コンクリート等の多孔質部材の接着に、特定の組成の二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を適用すると、特定の組成でない二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を適用した場合と比較して、相対的に接着性を改善することができる。
[二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物]
<(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー>
本発明で使用する(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーとしては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有する重合性(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。重合性(メタ)アクリル系モノマーとしては、単官能の重合性(メタ)アクリル系モノマーや多官能(メタ)アクリル系モノマーを使用することができる。
単官能の重合性(メタ)アクリル系モノマーの例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートフォスフェート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
多官能(メタ)アクリル系モノマーの例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、モノ(メタ)アクリロイルオキシプロピルフォスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルフォスフェート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリス-2-ヒドロキシエチルイソシアネートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
臭気等の作業環境や引火性等を考慮すると、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーとしては、沸点が100℃以上、好ましくは120℃以上の重合性(メタ)アクリル系モノマーを使用することが好ましい。
また、多孔質部材に対する接着性を更に向上させるためには、分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有し、かつ重量平均分子量が例えば300以上、好ましくは400以上であり、例えば5,000以下、好ましくは4,000以下の多官能(メタ)アクリル系モノマーを、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー全体を100質量%として、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、例えば95質量%以下、好ましくは90質量%以下の量で含有させるのが好ましい。
上記条件を満足する多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達(株)製造の商品名「Nisso PBTE-2000」、日本合成化学工業(株)製造の商品名「UV-7000B」等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、共栄社化学(株)製造の商品名「3000M」)、末端カルボキシル基変性ブタジエン-アクリロニトリル共重合体のグリシジルメタクリレート付加物(例えば、宇部興産(株)製造の商品名「VTBNX 1300X33」)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、新中村化学工業(株)製造の商品名「NKエステル BPE100」)等からなる群より選ばれる1種以上が好適に使用される。
上記した多官能(メタ)アクリル系モノマーの中では、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリル酸エステル等の多官能性オリゴマーを使用するのが、硬化物の機械強度が優れる点で好ましい。
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーを使用すると、硬化物の接着強度が優れる点で好ましい。
2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート等の酸性リン酸基を有するモノマーを使用すると、硬化物の接着強度が優れる点で好ましい。
イソボルニルメタクリレート等の脂肪族多環化合物であるモノマーを使用すると、硬化物のガラス転移温度(Tg)が向上し耐熱性が優れる点で好ましい。
<(B)有機過酸化物>
本発明で使用する(B)有機過酸化物としては、例えば、t-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシドデカノエート等のパーオキシエステル類等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これ等のうち、ハイドロパーオキサイド類を使用することが特に好ましい。
(B)有機過酸化物の配合量は、特に限定されない。(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、例えば15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。(B)有機過酸化物の配合量が0.1質量部未満であると、硬化速度が低下するおそれがあり、逆に15質量部を超えると、組成物の保存安定性が悪化するおそれがある。
<(C)有機過酸化物の分解促進剤>
本発明で使用する(C)有機過酸化物の分解促進剤としては、(B)有機過酸化物を還元することで分解を促進し、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーの重合を進行させる作用を有するものであれば特に限定されない。例えば、チオ尿素誘導体、アミン類、有機酸の金属塩、有機金属キレート化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
チオ尿素誘導体としては、例えば、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、アセチルチオ尿素、ベンゾイルチオ尿素及びメルカプトベンゾイミダゾール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
アミン類としては、例えば、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジイソプロパノール-p-トルイジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルアニリン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ピロリジン、ピペラジン及び1,2,3,4-テトラヒドロキノリン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
有機酸の金属塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩が挙げられ、特に、炭素数2以上30以下のカルボン酸の塩が好ましい。例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト及びオクチル酸鉄からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
有機金属キレート化合物としては、遷移金属のキレート化合物等が挙げられる。例えば、銅アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート及びコバルトアセチルアセトネート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
(C)有機過酸化物の分解促進剤の中では、有機酸の金属塩、有機金属キレート化合物あるいはチオ尿素誘導体が好ましい。特にナフテン酸銅などの有機酸の銅塩、バナジルアセチルアセトネートなどのバナジウムキレート化合物、エチレンチオ尿素が好ましい。
(C)有機過酸化物の分解促進剤の配合量は、特に限定されない。(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、例えば15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。(C)有機過酸化物の分解促進剤の配合量が0.01質量部未満であると、硬化速度が低下し好ましくなく、逆に、15質量部を超えると接着剤組成物の保存安定性が悪化し好ましくない。
<(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤>
本発明で使用する(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤は、(C)有機過酸化物の分解促進剤と共に用いることで、(B)有機過酸化物の分解を促進する作用を有するものである。
ヒドラジド化合物系分解促進助剤としては、例えば、下記の一般式(1);
NHNHC(=O)R (1)
(式(1)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~10のアルケニル基又は炭素数4~10のシクロアルケニル基であり、Rは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数3~10のアルケニル基、炭素数4~10のシクロアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~6のアルコキシル基、炭素数6~20のアリロキシル基、アシル基、アミノ基、下記一般式(2);
-NHNHR (2)
(式(2)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~10のアルケニル基又は炭素数4~10のシクロアルケニル基である。)
又は下記一般式(3);
-RC(=O)NHNHR (3)
(式(3)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、またはアリール基であり、Rは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~10のアルケニル基又は炭素数4~10のシクロアルケニル基である。)
で表される基である。)
で表される化合物を用いることができる。
ヒドラジド化合物系分解促進助剤としては、例えば、1-アセチル-2-フェニルヒドラジン、1-アセチル-2(p-トリル)ヒドラジン、1-ベンゾイル-2-フェニルヒドラジン、1-(1’、1’、1’-トリフルオロ)アセチル-2-フェニルヒドラジン、1,5-ジフェニル-カーボヒドラジド(PhNHNHCONHNHPh)、1-フォーミル-2-フェニルヒドラジン、1-アセチル-2(p-ブロモフェニル)ヒドラジン、1-アセチル-2-(p-ニトロフェニル)ヒドラジン、1-アセチル-2-(p-メトキシフェニル)ヒドラジン、1-アセチル-2-(2’-フェニルエチル)ヒドラジン、1-アセチル-2-メチルヒドラジン、1-フェニルセミカーバジド(PhNHNHCONH)、2-フェニル-t-ブチルカーバゼイト(PhNHNHCOOC(CH)、コハク酸ジ(フェニルヒドラジド)(PhNHNHCOCHCHCONHNHPh)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのヒドラジド化合物系分解促進助剤のうち、芳香族環あるいはカルボニル基を有するヒドラジンがさらに好ましく、芳香族環及びカルボニル基を有するヒドラジンが特に好ましく、1-アセチル-2-フェニルヒドラジンが最も好ましい。
イミド化合物系分解促進助剤としては、例えば、コハク酸イミド、フタル酸イミド、一般式(4);
-CONHCO- (4)
で表される基を有する化合物又はその塩、及び、一般式(5);
-CONHSO- (5)
で表される基を有する化合物又はその塩等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのイミド化合物系分解促進助剤のうち、一般式(5)で表される基を有する化合物が好ましく、特にo-安息香酸スルフィミド(サッカリン)又はその塩(特にナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩)が好ましい。
(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤は、主剤に添加してもよく、硬化剤に添加してもよい。(D)成分としてヒドラジド化合物系分解促進助剤を使用する場合には、硬化剤に添加するのが好ましい。
(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤としては、ヒドラジド化合物系分解促進助剤及びイミド化合物系分解促進助剤を併用することが好ましい。特に、o-安息香酸スルフィミドと1-アセチル-2-フェニルヒドラジンを併用することが好ましい。この際、イミド化合物系分解促進助剤を主剤に、ヒドラジド化合物系分解促進助剤を硬化剤に添加することが可能である。
(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤またはイミド化合物系分解促進助剤の配合量は、特に限定されない。(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー100質量部に対して、例えば0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、例えば15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
<(E)その他の成分>
本発明の接着工法で使用される二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物は、硬化性や硬化物の接着性等の接着剤組成物の機能を損なわない範囲で、必要に応じ、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、(B)有機過酸化物、(C)有機過酸化物の分解促進剤、及び(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤、以外に、(E)その他の成分を含んでいてもよい。(E)その他の成分としては、例えば、貯蔵安定剤(重合禁止剤、酸化防止剤等)、キレート化剤、有機充填剤(エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等)、無機充填剤、硬化速度調整剤、貯蔵安定剤、可塑剤、重合性ビニルモノマー(反応性希釈剤)、接着付与剤、粘着付与樹脂、フィラー、増量剤、物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、香料等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物は、貯蔵安定剤として、各種の重合禁止剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のキノン類;2,6-ジターシャリーブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等のヒンダードフェノール類;トリフェニルホスファイト、フェノチアジン及びN-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
酸化防止剤の使用量は、特に限定されない。(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー100質量部に対して、例えば7質量部以下、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物は、キレート化剤を含んでいてもよい。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、D-リンゴ酸、L-リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
キレート化剤の使用量は、特に限定されない。(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー100質量部に対して、例えば0.5質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下である。
二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物は、有機充填剤を含んでいてもよい。有機充填剤としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ウレタンゴム、ポリイソプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム;天然ゴム;液状ポリブタジエン、末端アクリル変性液状ポリブタジエン、液状アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等の液状ゴム、スチレン-ポリブタジエン-スチレン合成ゴム等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン-EPDM合成ゴム等のオレフィン系熱可塑性エラストマー、カプロラクトン型、アジペート型、及びPTMG型等のウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート-ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマー等のポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン-ポリオールブロック共重合体やナイロン-ポリエステルブロック共重合体等のポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等のエラストマー成分;メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリウレタン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレート及び線状ポリウレタン等の熱可塑性高分子;少なくともゴム層を有するゴム微粒子;ゴムからなるコア層とさらにその外側を樹脂層で覆ったシェル層を有するコアシェル型のゴム微粒子等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
有機充填剤は、硬化後の接着剤層の衝撃緩和剤としての機能及び/又は接着剤組成物の粘度やチキソトロピー性(流動性)の調整の機能等を有する。
二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物は、空気に接している部分の硬化を迅速にする等を目的として、各種パラフィン類を含んでいてもよい。パラフィン類としては、例えば、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、セレシン及びカンデリラろう等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらのパラフィン類のうち、パラフィンが好ましい。パラフィン類の融点は40~100℃のものが好ましい。パラフィン類は特に後述するプライマーに添加することが好ましい。
<二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の構成>
本発明の接着工法で使用される二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物は、少なくとも主剤と硬化剤の2つの製剤で保存され、使用時に主剤と硬化剤とを混合することで構成される。このため、「二液型」の接着剤組成物といわれている。
本発明においては、例えば、主剤として(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、(B)有機過酸化物、(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤の3成分を含むものを用い、硬化剤として(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー及び(C)有機過酸化物の分解促進剤を含むものを用いることができるが特に限定されない。(B)成分の有機過酸化物と(C)成分の有機過酸化物の分解促進剤を同じ液に使用しない限り、(A)~(D)成分を自由に組み合わせることができる。また、(E)のその他の成分は、必要に応じて、主剤及び/又は硬化剤に配合することができる。
主剤と硬化剤の配合比率は、特に限定されない。A剤1質量部に対して、例えばB剤1.5質量部以下、好ましくは1.2質量部以下、より好ましくは1.1質量部以下であり、B剤0.5質量部以上、好ましくは0.8質量部以上、より好ましくは0.9質量部以上である。主剤が極端に多い場合や極端に少ない場合には、混合後の二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物がゲル状になる、必要な接着力が得られない、硬化しない等のおそれがある。
被着体への二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いた接着方法としては、特に限定されない。主剤及び硬化剤を接着工程の前に混合し、混合物をそれぞれの被着体に塗布し、貼り合わせることが可能である。また、主剤及び硬化剤を混合せずに、主剤を一方の被着体に塗布し、硬化剤を他方の被着体に塗布し、それぞれの塗布面同士を貼り合わせることも可能である。接着剤層の厚さは特に限定されず、例えば硬化後の厚さが0.01mm以上100mm以下の範囲内とすることができる。
[被着体]
本発明の接着工法は、少なくとも1方の被着体が多孔質部材である場合に用いられる接着工法である。多孔質部材としては、例えば、コンクリートやスレート板等のセメント硬化物、レンガ、木材、日本瓦、紙、発泡体を挙げることができる。これらの多孔質部材のうち、コンクリートやスレート板等のセメント硬化物に対し、本発明の接着工法がより好適に使用できる。本発明の接着工法は、コンクリート等のセメント硬化物同士の接着のほか、コンクリートと他の被着体、例えば鉄等の金属との接着にも好適に使用することができる。特にコンクリート構造物の柱や梁を鋼板等の金属板等で補強する際に好適に使用することができる。
[プライマー]
本発明の接着工法においては、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を適用する被着面に、プライマーを塗布することが好ましい。プライマーとしては、例えば、適用する二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物に含まれる有機過酸化物の分解促進剤として作用する化合物(C’)及び/又は当該有機過酸化物の分解促進助剤として作用する化合物(D’)と、希釈剤(F)とを含む組成物が挙げられる。
適用する二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物に含まれる有機過酸化物の分解促進剤として作用する化合物(C’)としては、所定の作用を有する限り、特に限定されない。例えば、前記[二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物]の<(C)有機過酸化物の分解促進剤>として挙げた化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。なお、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物で使用される(C)有機過酸化物の分解促進剤と、プライマーに使用される有機過酸化物の分解促進剤(C’)は、同じ化合物/組成物であってもよく、異なる化合物/組成物であってもよい。
適用する二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物に含まれる有機過酸化物の分解促進助剤として作用する化合物(D’)としては、所定の作用を有する限り、特に限定されない。例えば、前記[二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物]の<(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤>として挙げた化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。なお、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物で使用される(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤と、プライマーに使用される有機過酸化物の分解促進助剤(D’)は、同じ化合物/組成物であってもよく、異なる化合物/組成物であってもよい。
希釈剤(F)としては、分解促進剤(C’)及び/又は分解促進助剤(D’)と混合可能で希釈作用を発揮するものであれば特に限定されない。希釈剤は、非反応性希釈剤、反応性希釈剤のいずれでもよい。
非反応性希釈剤としては、有機溶剤の1種以上及び/又は水が挙げられる。有機溶剤としては、特に限定されない。例えば、炭素数5~40の脂肪族炭化水素系有機溶剤(ヘキサン、パラフィン等);炭素数5~20の脂環族炭化水素系溶剤;炭素数6~20の芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、インデン等);炭素数1~10のアルコール系溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサノール等);炭素数3~20のケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、炭素数2~20のエーテル系溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等);炭素数2~20のエステル系溶剤(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
反応性希釈剤としては、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物中の(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーと反応し得る、エチレン性不飽和基を1つ以上有する化合物の1種以上が挙げられる。例えば、前記[二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物]の<(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー>として挙げた化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。なお、二液型アクリル系接着剤組成物で使用される(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーと、プライマーに使用される反応性希釈剤は、同じ化合物/組成物であってもよく、異なる化合物/組成物であってもよい。
本発明の接着工法においては、プライマーとして、有機酸の金属塩、有機金属キレート化合物等の(G)金属化合物の1種以上を含むものが好ましい。金属化合物としては、特に限定されないが、銅化合物の1種以上を含むことが特に好ましい。また、有機酸の金属塩、有機金属キレート化合物等の金属化合物の1種以上を含むプライマーは、希釈剤を用いて溶状とされていることが、被着体である多孔質部材に塗工・塗布等しやすいため好ましい。
プライマー中の(G)金属化合物の量は特に限定されない。
非反応性希釈剤を含むプライマーである場合、(G)金属化合物の量は、プライマー全量を100質量%として、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、例えば7質量%以下、好ましくは5重量%以下である。非反応性希釈剤としては、エタノールやエチルベンゼン等の、室温で揮発性の溶剤(例えば30℃における蒸気圧が20mmHg以上)を含むものであることが好ましい。室温で揮発性の溶剤は、希釈剤全量を100質量%として、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上である。
反応性希釈剤を含むプライマーである場合、(G)金属化合物の量は、プライマー全量を100質量%として、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、例えば7質量%以下、好ましくは5重量%以下である。本発明において、反応性希釈剤を含むプライマーは、反応性希釈剤に加えて非反応性希釈剤を含むことが好ましい。この場合の非反応性希釈剤としては、炭素数が15以上の脂肪族炭化水素系溶剤、例えば、パラフィン等を用いることが好ましい。
有機酸の金属塩、有機金属キレート化合物あるいはチオ尿素誘導体等の(C)成分である分解促進剤の溶液をプライマーとしこれを被着体の一方または双方に塗布しておき、主剤と硬化剤の混合物をそれぞれの被着体に塗布し、貼り合わせることが可能である。さらに有機酸の金属塩、有機金属キレート化合物あるいはチオ尿素誘導体等の(C)成分である分解促進剤の溶液を被着体の一方または双方に塗布しておき、主剤を一方の被着体に塗布し、硬化剤を他方の被着体に塗布し、貼り合わせることも可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であって、これらの実施例により本発明を限定的に解釈するべきでなく、本発明の技術思想及び均等範囲内において、多種多様な変形や修正を行うことが可能である。
なお、各例中において、特に断りのない場合、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。また、表中の配合量比に係る記載は、すべて「部」(質量部)である。
[構成成分]
表1~表3に示す実施例・比較例において、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物及びプライマーの構成成分は、以下のとおりである。
(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー
A1:ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート(共栄社化学社製、ライトエステルBP-2EM)
A2:メタクリル酸
A3:ヒドロキシプロピルメタクリレート(三菱ケミカル社製、アクリエステルHP)
A4:イソボルニルメタクリレート
A5:2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製、ライトエステルP-1M)
(B)有機過酸化物
B1:クメンハイドロパーオキサイド(CHP)
(C)有機過酸化物の分解促進剤
C1:バナジルアセチルアセトナート
C2:ネオデカン酸銅
C3:エチレンチオウレア
C4:鉄アセチルアセトナート
(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤
D1:o-安息香酸スルフィミド(サッカリン)
D2:アセチルフェニルヒドラジン(APH)
(E)その他の成分
BR:ブタジエン系ゴム(カネカ社製、カネエースM521)
BQ:ベンゾキノン
HQ:ヒドロキノン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
HPAA:ヒンダードフェノール系老化防止剤(ADEKA社製、アデカスタブ AO-60)
(F)希釈剤
S1:エタノール
S2:ノルマルパラフィン
S3:上記A1を22質量部、上記A2を15質量部、上記A3を22質量部、及び上記A4を15質量部、混合して得られたモノマー溶液。
[接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)]
被着体として、接着表面を平滑処理した2枚のISOモルタル(30mm×25mm、厚さ20mm)を用いた。
二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の主剤及び硬化剤の温度をそれぞれ23℃とし、23℃環境下で主剤と硬化剤を等量混合した。得られた混合物を、厚さ0.23mm又は0.9mm、接着面積125cm(25mm×5mm)となるように各モルタルの接着表面に塗布した後に接着した。なお、必要に応じて、各モルタルの接着表面に、プライマーが塗布されている。
23℃±3℃、湿度50%±5%の環境下で1日養生後に、23℃で圧縮せん断接着強さを測定した。測定は、JIS K 6852に準拠し、荷重速度3mm/minで3回行い、全測定値の平均値を、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の圧縮せん断接着強さとした。
[実施例1~5、比較例1~4]
実施例1~5、比較例1~4においては、(C)有機過酸化物の分解促進剤として、バナジウム化合物を使用した。
表1に記載された各成分を、それぞれ表1に記載された量(質量部)で使用して混合し、実施例1~5、比較例1~4に係る二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の主剤及び硬化剤を調製した。
また、実施例2~5及び比較例2~4においては、表1に記載された各成分を、それぞれ表1に記載された量(質量部)で使用して混合し、プライマーを調製した。
実施例1、比較例1では、プライマーを使用することなく、上記[接着性評価]により、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)を行った。結果を表1に示す。
実施例2~5、比較例2~4では、表1に示すプライマーを使用した以外は、実施例1と同様に二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023156179000001
[実施例6~11、比較例5~6]
実施例6~11、比較例5~6においては、(C)有機過酸化物の分解促進剤として、銅化合物を使用した。
表2に記載された各成分を、それぞれ表2に記載された量(質量部)で使用して混合し、実施例6~11、比較例5~6に係る二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の主剤及び硬化剤を調製した。
また、実施例7~11及び比較例5~6においては、表2に記載される各成分を、それぞれ表2に記載される量(質量部)で使用し混合し、プライマーを調製した。
実施例6では、プライマーを使用することなく、上記[接着性評価]により、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)を行った。結果を表2に示す。
実施例7~11、比較例5~6では、表2に示すプライマーを使用した以外は、実施例6と同様に二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023156179000002
(実施例12~16、比較例7~10)
実施例12~16、比較例7~10においては、(C)有機過酸化物の分解促進剤として、チオ尿素化合物を使用した。
表3に記載された各成分を、それぞれ表3に記載された量(質量部)で使用して混合し、実施例12~16、比較例7~10に係る二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の主剤及び硬化剤を調製した。
また、実施例13~16及び比較例8~10においては、表3に記載された各成分を、それぞれ表3に記載された量(質量部)で使用して混合し、プライマーを調製した。
実施例12、比較例7では、プライマーを使用することなく、上記[接着性評価]により、二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)を行った。結果を表3に示す。
実施例13~16、比較例8~10では、表3に示すプライマーを使用した以外は、実施例12と同様に二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物の接着性評価(圧縮せん断接着強さの測定)を行った。結果を表3に示す。
Figure 2023156179000003
表1~表3に示すように、少なくとも1方の被着体が多孔質部材である多孔質部材の接着工法において、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、(B)有機過酸化物、(C)有機過酸化物の分解促進剤、及び(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤、を必須成分とする二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いた場合には、接着性が改善された多孔質部材の接着工法を構成することができる。
特に、表1~表3のCASE A~D、G、J、L~Oは、接着剤の組成以外は同じ条件において、少なくとも一方の被着体が多孔質部材である多孔質部材の接着工法である。各CASEにおいて、(A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、(B)有機過酸化物、(C)有機過酸化物の分解促進剤、及び(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤、を必須成分とする二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いた場合(実施例)は、前記(A)~(D)のいずれかを含まない二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いた場合(比較例)に対して、相対的に圧縮せん断接着強さの値を大きくすることができ、接着性が改善された多孔質部材の接着工法を構成できることがわかる。

Claims (18)

  1. 少なくとも1方の被着体が多孔質部材である多孔質部材の接着工法であって、
    (A)(メタ)アクリル系重合性モノマー、
    (B)有機過酸化物、
    (C)有機過酸化物の分解促進剤、及び
    (D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤、
    を必須成分とする二液型(メタ)アクリル系接着剤組成物を用いる、多孔質部材の接着工法。
  2. さらに、被着体である多孔質部材に、(G)金属化合物を含有するプライマーを塗布する、請求項1に記載の多孔質部材の接着工法。
  3. 前記(G)金属化合物が、銅化合物である、請求項2に記載の多孔質部材の接着工法。
  4. 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  5. 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステルを含むモノマーである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  6. 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、メタクリル酸を含むモノマーである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  7. 前記(A)(メタ)アクリル系重合性モノマーが、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  8. 前記(B)有機過酸化物が、ハイドロパーオキサイド類である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  9. 前記(C)有機過酸化物の分解促進剤が、バナジル化合物である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  10. 前記バナジル化合物が、バナジルアセチルアセトネートである、請求項9に記載の多孔質部材の接着工法。
  11. 前記(C)有機過酸化物の分解促進剤が、チオ尿素誘導体である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  12. 前記チオ尿素誘導体が、エチレンチオ尿素である、請求項11に記載の多孔質部材の接着工法。
  13. 前記(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤が、ヒドラジド化合物系分解促進助剤である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  14. 前記ヒドラジド化合物系分解促進助剤が、アセチルフェニルヒドラジンである、請求項13に記載の多孔質部材の接着工法。
  15. 前記(D)ヒドラジド化合物系分解促進助剤及び/又はイミド化合物系分解促進助剤が、イミド化合物系分解促進助剤である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  16. 前記イミド化合物系分解促進助剤が、o-安息香酸スルフィミドである、請求項15に記載の多孔質部材の接着工法。
  17. 前記多孔質部材が、多孔質窯業系材料である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質部材の接着工法。
  18. 前記多孔質窯業系材料が、コンクリート及び/又はセメント硬化物である、請求項17に記載の多孔質部材の接着工法。
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