JP5242880B2 - エレベータの乗場の戸 - Google Patents

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Description

この発明は、表板と、この表板の裏面に取り付けられている補強材とを有するエレベータの乗場の戸に関するものである。
一般に、エレベータの乗場の戸は、建物側に取り付けられた戸であり、建物側で発生した火災がエレベータの昇降路を伝って他の階に延焼するのを防ぐ防火戸としての機能が必要である。このため、従来は、金属製の表板に金属製の補強材を溶接したエレベータの乗場の戸が用いられていた。
しかしながら、建物側で火災が発生すると、表板表面の温度が補強材の温度よりも高くなるため、乗場の戸が乗場側に膨れるように反る。また、この反りが大きくなると、建物と乗場の戸との間に隙間が生じ、この隙間から炎が昇降路に入り込むこととなる。
このような乗場の戸の反りを小さくするため、従来は、表板及び補強材の板厚を上げたり、補強材の個数を増やしたりして、乗場の戸全体の剛性を高くしていた。
しかし、上記のような方法で剛性を高くすると、乗場の戸の重量が増加してしまう。また、溶接箇所が増加するため、製造工程が複雑になり、溶接歪みも増加してしまう。
一方、例えば実開昭57−120574号公報には、表板に補強材を接着したかご室の壁パネルが示されている。この壁パネルでは、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤が用いられる。
しかし、上記のように、乗場の戸は、防火戸の機能を持つことが要求されるため、接着剤を用いたパネルの採用は難しかった。
即ち、従来の接着剤は、高温になると発火し、燃えつきるまで燃焼が続くため、「発火後10秒以内に消炎する」という規定(British Standard BS476の規定)を満足できなかった。また、従来の接着剤は、燃えつきるまで発煙が続くので、「火災発生から15分間以上発煙が続いてはならない」という規定(European Standard EN81−8の規定)も満足できなかった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、発火が防止されるか、又は発火しても速やかに消炎され、発煙量が少なく、発煙時間が短縮される防火戸として有用なエレベータの乗場の戸を得ることを目的とする。
この発明によるエレベータの乗場の戸は、表板と、上記表板の裏面に、難燃剤を含有する有機系接着剤からなる接着層を介して接合されている補強材とを備えたものである。
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータの乗場の戸を背面から見た斜視図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
図において、金属製の表板21は、戸閉時に乗場に臨む平板部21a、平板部21aの幅方向両端部に設けられている側面部21b,321c、平板部21aの上端部に設けられている上面部21d、平板部21aの下端部に設けられている下面部21e、上面部21dの端部に設けられている上部折返部21f、及び下面部21eの端部に設けられている下部折返部21gを有している。
側面部21b,21c、上面部21d及び下面部21eは、平板部21aに対して直角に延びている。上部折返部21f及び下部折返部21gは、上面部21d及び下面部21eに対して直角に延び、平板部21aの裏面に対向している。また、平板部21a、側面部21b,21c、上面部21d、下面部21e、上部折返部21f及び下部折返部21gは、1枚の金属板を折り曲げ加工することにより形成されている。
表板21の裏面には、金属製の補強材22が固定されている。補強材22は、平板部21aの裏面に接合される一対の接着固定部22a,22b、上部折返部21fに当接される上部当接部22c、及び下部折返部21gに当接される下部当接部22dを有している。
接着固定部22a,22bは、接着層23を介して平板部21aの裏面に接合されている。接着層23は、難燃剤であるポリリン酸アンモニウムを含有する有機系接着剤からなっている。
上部当接部22cは、リベット24により上部折返部21fに固定されている。リベット24は、補強材22が表板21から完全に外れるのを防止するものであり、例えば溶接部であってもよい。
このように、実施の形態1による乗場の戸では、防火戸としての機能を満たすため、表板21及び補強材22が十分な耐火性を持つ金属材料により構成され、かつ十分な耐火性を持つ金属材料からなるリベット24により、上部当接部22cが上部折返部21fに固定されている。
また、実施の形態1では、ポリリン酸アンモニウムを含有する有機系接着剤からなる接着層23を介して、補強材22が表板21の裏面に接着されている。このような有機系接着剤は、高温では接着強度が低下し、せん断力よりも剥離力に弱くなる。このため、火災発生後短時間で、表板21の反り力により補強材22と表板21とを分離させることができ、表板21の反りを抑えることができる。
また、補強材22が表板21から分離することにより、接着層23を構成する有機系接着剤が空気に直接触れ、燃焼し易くなる。従って、有機系接着剤を短時間で焼失させ、発煙を短時間で終了させることができる。
しかも、有機系接着剤を用いた接合は、金属材料を用いた溶接接合よりも製造工程が容易である。
このように、ポリリン酸アンモニウムを難燃剤として含有した有機系接着剤を用いることにより、発火を防止したり、又は発火後10秒以内に消炎することができ、かつ発煙量を減らすことができる。ポリリン酸アンモニウムの含有量は、20〜43重量%、望ましくは23〜38重量%である。上記含有量の範囲より少ないと、発火時の消炎効果が減少し、含有量が多いと、接着剤としての強度、耐久性、特に耐湿性が低下する。
なお、ポリリン酸アンモニウムに他の難燃剤を混合して用いても、上記したBS476の規定及びEN81−8の規定を満たすことができる。しかし、ポリリン酸アンモニウムの割合が大きい程発煙量が少なくなるため、ポリリン酸アンモニウム単独で用いることが好適であり、発煙量が最も少なくなる。
また、接着層23の厚さは、0.03〜1.0mm、望ましくは0.08〜0.5mmである。上記範囲より薄いと、剥離力や衝撃力などに対する接着強度が低下し、厚いと、せん断接着強度が低下するとともに発煙量が増加する。
さらに、有機系の接着剤の主成分として、2液室温硬化形アクリル系接着剤を用いると、通常のエレベータ使用環境において、高いせん断接着強度、剥離接着強度及び衝撃接着強度を得ることができ、しかも火災により昇温したときには、接着強度が急激に低下し、補強材22を速やか剥離させることができる。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による乗場の戸の断面図である。図において、表板21の平板部21aと接着層23との間には、プライマ層25が介在されている。
このような乗場の戸は、平板部21aの裏面の接着部に、プライマを薄く塗布してプライマ層25を形成した後、難燃剤を含有した有機系接着剤からなる接着層23により補強材22を接着することにより製造される。
プライマは、金属と接着剤との間の接着強度を増加させるためのものである。例えば、含水有機リン酸化合物を用いると、アクリル系接着剤による金属との接着強度を増加させることができる。
つまり、プライマ層25を設けることにより、表板21と接着層23との間の接着強度が補強材22と接着層23との間の接着強度よりも高くなる。このため、火災時には、接着層23が表板21の裏面に付着したままの状態で、補強材22が接着層23から剥離する。そして、補強材22の剥離後には、表板21の裏面側の温度が補強材22に比べて急速に上昇するため、表板21に付着したままの接着層23が短時間で燃焼し炭化する。このため、発煙時間を短縮することができ、発火時間を10秒以内に収めることができる。
実施の形態3.
次に、図4はこの発明の実施の形態3による乗場の戸の断面図である。図において、補強材22の接着固定部22a,22bと接着層23との間には、熱可塑性樹脂層26が設けられている。
このような乗場の戸は、接着固定部22a,22bの一部に熱可塑性樹脂を薄く塗布し冷却固化して熱可塑性樹脂層32を形成し、この後、接着層33で補強材22を表板21に接着することにより製造される。
熱可塑性樹脂は、火災時に接着層23の温度が上昇すると、短時間で軟化、溶融する。このため、火災時には、表板21の裏面側に接着層23が付着したままの状態で、補強材22が接着層23から剥離する。そして、補強材22の剥離後には、表板21の裏面側の温度が補強材22に比べて急速に上昇するため、表板21に付着したままの接着層23が短時間で燃焼し炭化する。このため、発煙時間を短縮することができ、発火時間を10秒以内に収めることができる。
このとき、熱可塑性樹脂の軟化温度が60℃〜100℃であると、通常のエレベータ使用環境においては十分な接着強度を有しており、火災時に昇温が始まると補強材22を短時間で速やかに剥離させることができる。
実施の形態4.
次に、図5はこの発明の実施の形態4による乗場の戸の断面図である。実施の形態4では、表板21と接着層23との間にプライマ層25が介在され、かつ補強材22と接着層23との間に熱可塑性樹脂層26が設けられている。このように、プライマ層25と熱可塑性樹脂層26とを併用することで、より確実に、接着層23が表板21側に付着したままの状態で、補強材22を接着層23から剥離させることができる。
なお、実施の形態2〜4においても、実施の形態1で用いたポリリン酸アンモニウムを含有する有機系接着剤を用いることにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施例1.
次に、上記実施の形態1に係る実施例1について説明する。実施例1においては、幅785mm×高さ2525mmの寸法を持つ乗場の戸を製造した。
まず、板厚1.6mmの鋼板を加工して表板21を得た。また、板厚1.6mmの鋼板を加工して、断面ハット形の補強材22を2本用意した。即ち、図1では補強材22を1本だけ示したが、実施例1では2本の補強材22を互いに平行に表板21の裏面に固定した。
各上部当接部22cは、2本のリベット24により上部折返部21fに固定した。リベット24としては、径4.8mmの鋼製リベットを用いた。
接着層23は、ガラス転移温度が68℃(粘弾性測定のtanδピーク)である、2液室温硬化形アクリル系接着剤を主成分とし、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムのみを31重量%含有するもの(商品名:ハードロックC375、電気化学工業(株)製)を用いた。また、接着層23は、厚さ0.2mmで塗布することにより形成した。
次に、実施例1の乗場の戸を、厚さ24mmの繊維混入ケイ酸カルシウム板で囲み、耐火試験加熱炉に取り付けた。そして、下式で示されるBS746規定の温度上昇式に従って表板21側から加熱した。なお、式中、tは加熱時間(分)である。
T(℃)=345・log(8t+1)+20
この耐火試験の結果、加熱開始から約2分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は120℃で、反り量は25mmであった(反り量は、表板21の裏面中央部で測定)。その後、132分まで加熱を続けたが接着層23の発火は起こらなかった。
なお、試験開始後4分から接着層23が発煙を始めたが、発煙は試験開始後15分以内で終了した。また、発煙量も少なく、視界が遮られない程度であった。
試験終了後、接着剤23を観察したところ、表板21と補強材22とに付着した接着剤23は全て炭化していた。
なお、図1では、乗場の戸の裏面側を簡略化して示したが、実際の表板21の上部には、ローラ等が取り付けられる鋼板製のドアハンガが取り付けられている。また、実際の表板21の下部には、レールガイド等が取り付けられる鋼板製の下部構造部材が溶接されている。さらに、補強材22は、ハンガ部材とリベット24で締結されている。
実施例2.
次に、上記実施の形態2に係る実施例2について説明する。実施例1において、表板21に補強材23を接着する前に、表板21の裏面の接着部にプライマ層25を形成した。プライマ層25は、含水有機リン酸化合物を主成分とする3%溶液を刷毛で薄く塗布し、溶剤を乾燥させることにより形成した。プライマ層25を形成する他は、実施例1と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例1と同様の耐火試験を施したところ、加熱開始から約2.5分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は160℃で、反り量は31mmであった。その後132分まで加熱を続けたが、接着層23の発火は起こらなかった。
なお、試験開始後3分から接着層23が発煙を始め、発煙は試験開始後10分まで続いた。試験終了後、接着層23を観察したところ、接着層23は殆どが表板21側に付着しており、全て炭化していた。
このように、含水有機リン酸化合物を主成分とするプライマ層25を用いることにより、特に発煙時間を短縮できる。
実施例3.
次に、上記実施の形態3に係る実施例3について説明する。実施例1において、表板21に補強材22を接着する前に、補強材22の接着部に熱可塑性樹脂層26を形成した。熱可塑性樹脂層26は、軟化温度90℃のエチレン酢ビ共重合体の熱可塑性接着剤(商品名:エバフレックス、三井・デュポンポリケミカル(株)製)を180℃で溶融し、0.1mmの厚さに塗布した後、冷却固化させることにより形成した。熱可塑性樹脂層26を形成する他は、実施例1と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例1と同様の耐火試験を施したところ、加熱開始から約2分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は120℃で、反り量は31mmであった。その後132分まで加熱を続けたが、接着層23の発火は起こらなかった。
なお、試験開始後3分から接着層23が発煙を始め、発煙は試験開始後10分まで続いた。試験終了後、接着層23を観察したところ、接着層23は殆どが表板21側に付着しており、全て炭化していた。
このように、軟化温度が60℃〜100℃の熱可塑性樹脂層26を用いることにより、特に発煙時間を短縮できる。
実施例4.
次に、上記実施の形態4に係る実施例4について説明する。実施例1において、表板21に補強材22を接着する前に、表板21の裏面の接着部にプライマ層25を形成し、補強材22の接着部に熱可塑性樹脂層26を形成した。プライマ層25は、実施例2と同様に形成した。また、熱可塑性樹脂層26は、実施例3と同様に形成した。プライマ層25及び熱可塑性樹脂層26を形成する他は、実施例1と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例1と同様の耐火試験を施したところ、加熱開始から約2.5分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は160℃で、反り量は31mmであった。その後132分まで加熱を続けたが、接着層23の発火は起こらなかった。
なお、試験開始後3分から接着層23が発煙を始め、発煙は試験開始後10分まで続いた。試験終了後、接着層23を観察したところ、接着層23は殆どが表板21側に付着して全て炭化していた。
比較例1.
次に、比較例1について説明する。比較例1では、実施例1の接着層23に含有する難燃剤を、リン酸エステル系難燃剤に置き換えた。他は実施例1と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例1と同様の耐火試験を施したところ、132分まで接着剤の発火は起こらなかったが、試験開始後3分から接着剤が発煙を始め、発煙量が多く視界が遮られる程であった。
実施例5.
次に、実施例5について説明する。難燃剤として、ポリリン酸アンモニウム20重量%、水酸化アルミニウム10重量%使用した接着剤を使用した。他は実施例1と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例1と同様の耐火試験を施したところ、132分まで接着層23の発火は起こらなかった。
なお、試験開始後3分から接着層23が発煙を始め、発煙は試験開始後15分以内で終了した。また、発煙量は比較例1よりも少なかった。
実施の形態5.
次に、図6はこの発明の実施の形態5によるエレベータの乗場の戸を背面から見た斜視図である。図において、表板21及び補強材22は、融点900℃以上の金属により構成されている。上部当接部22cは、第1の固定手段31により上部折返部21fに固定されている。下部当接部22dは、第2の固定手段32により下部折返部21gに固定されている。
第1及び第2の固定手段31,32のいずれか一方は、金属材料により構成され、他方は、一方よりも融点が低い金属材料により構成されている。ここでは、第1の固定手段31が表板21及び補強材22と同等の融点の金属材料により構成され、第2の固定手段32が200〜600℃の金属材料により構成されている。
具体的には、第1の固定手段31として、融点900℃以上の金属、例えば鋼製やステンレス鋼製のリベットが用いられる。また、第2の固定手段32としては、例えばアルミニウム、はんだ、又は亜鉛等からなるリベットが用いられる。
他の構成は、実施の形態1と同様である。
なお、表板21、補強材22及び第1の固定手段31に融点900℃以上の金属材料を用いるのは、これらが火災時に溶融しないようにするためである。
また、補強材22を複数用いてもよい。
このような乗場の戸では、第2の固定手段32の材料の融点が200〜600℃であるため、火災が発生した場合には、第2の固定手段32が比較的早期に溶融し、下部当接部22dが下部折返部21gから分離される。
例えば、第2の固定手段32をアルミニウム製のリベットで構成すると、接着層23の剥離後、500℃程度で第2の固定手段32が溶融する。第2の固定手段32が溶融するまでは、上下方向の伸びが規制されているため、表板21は乗場側に突出するように反っている。しかし、第2の固定手段32が溶融すると、上下方向への伸びの規制が解除されるため、表板21の反り量は減少する。
次に、例えば、表板21の材料をステンレス鋼板、補強材22の材料を軟鋼板とするなど、表板21の熱膨張係数が補強材22の熱膨張係数よりも大きい場合について説明する。
火災時には、表板21の温度が補強材22の温度よりも上昇するため、表板21と補強材22の温度差と熱膨張係数の差とにより、表板21と補強材22とに熱膨張係数の差がない場合よりも、建物側への表板21の反り力は増加する。このため、表板21と補強材22とが分離する温度を低くすることができる。即ち、補強材22の剥離後は表板21の反りは小さくなるため、火災発生後短時間で建物と乗場の戸との隙間をなくすことができる。
なお、第1の固定手段31は融点の高い材料により構成されているため、火災時に接着層23が剥離し、第2の固定手段32が溶融しても、補強材22が落下するのを防止することができる。
エレベータの乗場の戸は、通常使用環境(−20〜+50℃)において高い剛性を有していることが必要であるため、有機系接着剤として熱硬化性樹脂を用いる場合は、ガラス転移温度(粘弾性測定のtanδピーク)が50〜120℃のものを用いるのが望ましい。なお、熱硬化性樹脂を用いることにより、接着強度及び耐久性に優れた接着層23を得ることができる。
上記ガラス転移温度が50℃未満の場合は、通常使用環境において接着剤が柔らかく、接着強度が低いため、戸の剛性が維持できなくなる。一方、ガラス転移温度が120℃を越えると、通常使用環境において接着剤が硬すぎて衝撃に弱くなる。
また、有機系接着剤として熱可塑性樹脂を用いる場合には、軟化温度が60〜100℃のものを用いるのが望ましい。なお、熱可塑性樹脂を用いると、接着時間を短縮できる。
上記のような軟化温度範囲の接着剤では、使用環境においても接着強度が低くなることがなく、早期に接着層23が剥離して表板21と補強材22とを分離できるため望ましい。
実施例6.
次に、上記実施の形態5に係る実施例6について説明する。実施例6においては、幅785mm×高さ2525mmの寸法を持つ乗場の戸を製造した。
まず、板厚1.6mmの鋼板を加工して表板21を得た。また、板厚1.6mmの鋼板を加工して、断面ハット形の補強材22を2本用意した。即ち、図6では補強材22を1本だけ用いたが、実施例6では2本の補強材22を互いに平行に表板21の裏面に固定した。
各上部当接部22cは、第1の固定手段31である2本のリベットにより上部折返部21fに固定した。リベット24としては、径4.8mmの鋼製リベットを用いた。
接着層23としては、ガラス転移温度が105℃(粘弾性測定のtanδピーク)である2液室温硬化形アクリル系接着剤(商品名:ハードロックC373、電気化学工業(株)製)を用いた。
次に、実施例6の乗場の戸を、厚さ24mmの繊維混入ケイ酸カルシウム板で囲み、耐火試験加熱炉に取り付けた。そして、実施例1と同様にBS746規定の温度上昇式に従って表板21側から加熱した。
この耐火試験の結果、加熱開始から約3分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は200℃で、反り量は38mmであった。その後、132分まで加熱を続けたが、その間の最大反り量は34mmであった。
なお、図6では、乗場の戸の裏面側を簡略化して示したが、実際の表板21の上部には、ローラ等が取り付けられる鋼板製のドアハンガが取り付けられている。また、実際の表板21の下部には、レールガイド等が取り付けられる鋼板製の下部構造部材が溶接されている。さらに、補強材22は、第1の固定手段31によりハンガ部材と締結されている。
比較例2.
次に、比較例2について説明する。比較例2では、実施例6の接着層23の代わりに、スポット溶接により表板21に補強材22を接合する。他は実施例6と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に実施例6と同じ条件で耐火試験を実施した結果、132分間の耐火試験終了まで、補強材22が表板21から分離することはなく、その間の最大反り量は66mmであった。
実施例7.
次に、上記実施の形態5に係る実施例7について説明する。実施例7では、第1の固定手段31として鋼製のリベット2本を用い、第2の固定手段32としてアルミニウム製のリベット(径3.2mm)2本を用いた。他は実施例6と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例6と同じ条件で耐火試験を行った結果、加熱開始から約2分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は120℃で、反り量は25mmであった。また、試験開始から10分後には、第2の固定手段32であるアルミニウムリベットが変形して外れた。このときの反り量は30mmであった。その後、132分まで加熱を続けたが、その間の最大反り量は34mmであった。
実施例8.
次に、上記実施の形態5に係る実施例8について説明する。実施例8では、表板21の材料として、鋼板より線膨張係数の大きいステンレス鋼板(SUS304)を用いた。他は実施例6と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例6と同じ条件で耐火試験を行った結果、加熱開始から約2分後に補強材22が剥がれた。このときの表板裏面中央部の温度は120℃で、反り量は25mmであった。その後、132分まで加熱を続けたが、その間の最大反り量は36mmであった。
実施例9.
次に、上記実施の形態5に係る実施例9について説明する。実施例6では、接着層23を構成する接着剤として、エチレン酢ビ共重合体の熱可塑性接着剤(商品名:エバフレックス、三井・デュポンポリケミカル(株)製)(軟化温度90℃)を用いた。他は実施例6と同様にして乗場の戸を製造した。
この乗場の戸に、実施例6と同じ条件で耐火試験を行った結果、加熱開始から約2分後に補強材22が剥がれた。このときの表板21の裏面中央部の温度は120℃で、反り量は20mmであった。その後132分まで加熱を続けたが、その間の最大反り量は34mmであった。
実施例10.
以下、難燃剤を含有する有機系接着剤の具体例である実施例10について説明する。
有機系接着剤は、重合性ビニルモノマー、重合開始剤、還元剤、難燃剤を含有している。そして、重合性ビニルモノマー、重合開始剤及び還元剤の合計100質量部に対して、25〜75質量部の難燃剤を含有している。難燃剤としては、燃えたときにダイオキシン等の有害物質を発生しない非ハロゲン系難燃剤が好適である。
好適には、有機系接着剤は、さらにエラストマー成分を含有している。
本発明で使用する重合性ビニルモノマーは、ラジカル重合可能であればいかなるものでもよい。重合性ビニルモノマーの中では、硬化速度の点で、(メタ)アクリル酸誘導体であることが好ましく、重合性ビニルモノマーが全て(メタ)アクリル酸誘導体であることがより好ましい。
ここで重合性(メタ)アクリル酸誘導体とは、重合性アクリル酸誘導体及び/又は重合性メタクリル酸誘導体をいう。これらは通常、液状ないし固形状のものが使用される。
重合性ビニルモノマーとしては、耐歪み性の点で、単独重合体のガラス転移温度(以下Tgということもある)が0℃以下の重合性ビニルモノマーを使用する。
(1)単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の重合性ビニルモノマー、例えば、単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の重合性(メタ)アクリル酸誘導体としては、フェノキシエチルアクリレート(Tg=−22℃)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(Tg=−25℃)、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート(Tg=−18℃)、メトキシエチルアクリレート(Tg=−50℃)、メトキシブチルアクリレート(Tg=−56℃)、2−エチルヘキシルメタクリレート(Tg=−10℃)、ノニルフェニルテトラエチレングリコールアクリレート(Tg=−20℃)、ノニルフェニルトリプロピレングリコールアクリレート(Tg=−3℃)、2−エチルヘキシルトリカルビトールアクリレート(Tg=−65℃)、イソブチルアクリレート(Tg=−24℃)、イソオクチルアクリレート(Tg=−45℃)、n−ラウリルアクリレート(Tg=−3℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Tg=−12℃)、2−ヒドロキシエチアクリレート(−15℃)及び2−ヒドロキシプロピルアクリレート(Tg=−7℃)等が挙げられる。
これらの中では、耐歪み性に優れる点で、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
(1)単独重合体のガラス転移温度が0℃以下の重合性ビニルモノマーの使用量は、成分(1)と単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性ビニルモノマー(5)との合計100質量部に対して、10〜40質量部が好ましく、20〜30質量部がより好ましい。10質量部未満だと耐歪み性が小さいおそれがあり、40質量部を越えると接着強度が低下するおそれがある。
本発明で使用する(2)重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、反応性の点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
(2)重合開始剤の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。0.1質量部未満だと硬化速度が遅いおそれがあり、20質量部を越えると貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
本発明で使用する(3)還元剤は、前記重合開始剤と反応し、ラジカルを発生する公知の還元剤であれば使用できる。代表的な還元剤としては、第3級アミン、チオ尿素誘導体及び遷移金属塩等が挙げられる。
第3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。チオ尿素誘導体としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、シブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素及びエチレンチオ尿素等が挙げられる。遷移金属塩としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅及びバナジルアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの中では、反応性の点で、チオ尿素誘導体及び/又は遷移金属塩が好ましい。チオ尿素誘導体の中では、反応性の点で、エチレンチオ尿素が好ましく、遷移金属塩の中では、反応性の点で、バナジルアセチルアセトネートが好ましい。
(3)還元剤の使用量は重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.05〜15質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。0.05質量部未満だと硬化速度が遅いおそれがあり、15質量部を越えると硬化成分の分子量が低下し、接着強度が低下するおそがある。
本発明で使用する(4)難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤及び無機系難燃剤等の慣用の難燃剤が挙げられる。
ハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロモジフェニルオキサイド、ビストリブロモフェノキシエタン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー・ポリマー、デカブロモジフェニルエタン、ポリジブロモフェニルオキサイド、ヘキサブロモベンゼン、テトラデカブロモジフェノキシオキシベンゼン、臭素化エポキシオリゴマー、ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸及びテトラブロモ−p−クレゾール等の臭素系難燃剤、塩素化パラフィンやパークロロシクロペンタデカン等の塩素系難燃剤等が挙げられる。
リン系難燃剤としては、トリクレジルホスフェート、レゾルシニルジフェニルホスフェート、ハイドロキノニルジフェニルホスフェート、フェニルノニルフェニルハイドロキノニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、フェニルジノニルフェニルホスフェート、テトラフェニルレゾルシノールジホスフェート、テトラクレジルビスフェノールAジホスフェート及びトリス(ノニルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル系難燃剤、ジフェニル−4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモベンジルホスフォネート、ジメチル−4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモベンジルホスフォネート及びジフェニル−4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモベンジルホスフォネート等の含ハロゲンリン酸(又はホスホン酸)エステル系難燃剤、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸塩、並びに赤リン等が挙げられる。
有機金属塩系難燃剤としては、有機スルホン酸金属塩、カルボン酸金属塩及び芳香族スルホンイミド金属塩等が挙げられる。
無機系難燃剤としては、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、窒素化グアニジン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、亜鉛、酸化亜鉛及びジルコニウム化合物等が挙げられる。これらの中では、包含結晶水の放出温度が、接着剤の熱分解温度に近い、水酸化アルミニウムが好ましい。
これらの難燃剤は1種又は2種以上を併用してもよい。これらの中では、接着性、耐歪み性及び難燃性の点で、リン系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤の中では、接着性、低発煙性、耐歪み性及び難燃性の点で、ポリリン酸塩が好ましく、ポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
ポリリン酸アンモニウムは微粒子化したものが好ましく、粒子表面が化学的に未処理のものや、粒子表面を熱硬化性樹脂でマイクロカプセル化したものが用いられる。
(4)難燃剤の使用量は、成分(1)と必要に応じて使用する成分(5)を含有する重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて使用する(6)エラストマー成分を含有する硬化性樹脂組成物100質量部に対して、25〜75質量部であり、30〜60質量部が好ましい。25質量部未満だと十分な難燃性が得られず、75質量部を越えると著しい粘度上昇を伴い、接着剤組成物の塗布作業が困難になるとともに、耐歪み性が不十分になる。
さらに、本発明では接着性を向上させるために、(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性ビニルモノマーを使用することが好ましい。(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性ビニルモノマーとして好ましくは、単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性ビニルモノマー、例えば、単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性(メタ)アクリル酸誘導体としては、メチルメタクリレート(Tg=105℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg=55℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg=180℃)、イソボルニルアクリレート(Tg=94℃)、メタクリル酸(Tg=185℃)、エチルメタクリレート(Tg=65℃)、イソブチルメタクリレート(Tg=48℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg=66℃)、ベンジルメタクリレート(Tg=54℃)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(Tg=76℃)、グリシジルメタクリレート(Tg=46℃)、tert−ブチルメタクリレート(Tg=107℃)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(60℃)、ベンジルメタクリレート(Tg=54℃)、トリプロピレングレコールジアクリレート(90℃)、テトラエチレングリコールジアクリレート(Tg=50℃)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Tg=250℃以上)及びトリメチロールプロパントリアクリレート(Tg=250℃以上)等が挙げられる。
これらの中では、硬化性及び接着性に優れる点で、メチルメタクリレート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
(5)単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える重合性ビニルモノマーの使用量は、成分(1)と成分(5)との合計100質量部に対して60〜90質量部が好ましく、70〜80質量部がより好ましい。60質量部未満だと接着性が小さいおそれがあり、90質量部を越えるとが耐歪み性が小さいおそれがある。
なお、重合性(メタ)アクリル酸誘導体以外の重合性ビニルモノマーとしては、スチレン、α−アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルエーテル、ジビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン及び酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
さらに、本発明では耐衝撃性を向上させるために、(6)エラストマー成分を使用する。エラストマー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をいい、重合性ビニルモノマーに溶解又は分散できるものが好ましい。
このようなエラストマー成分としては、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MBS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体(MBAS)、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又は2種以上を使用してもよい。
これらの中では、化合物に対する溶解性及び接着性の点で、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、メチルメタクリレート−プタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体とアクリロニトリル−ブタジエンゴムの併用がより好ましい。
(6)エラストマー成分の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。5質量部未満だと粘度及び靱性が低下するおそれがあり、50質量部を越えると粘度が高すぎて作業上不都合が生じるおそれがある。
さらに、本発明では密着性を向上させるために、下記一般式(I)で示される酸性リン酸化合物を使用することができる。
Figure 0005242880
を示し、mは1〜10の整数を表す。)を示し、nは1又は2の整数を表す。)
この一般式(I)で示される酸性リン酸化合物としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート及びビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等が挙げられる。
これらの中では、密着性が良好な点で、(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアシッドホスフェートが好ましい。
一般式(I)で示される酸性リン酸化合物の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、0.05質量部未満だと密着性が得られないおそれがあり、10質量部を越えると密着性が悪くなるおそれがある。
さらに、本発明では、空気に接する部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類としては、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、セレシン及びガンデリラろう等が挙げられる。これらの中では、パラフィンが好ましい。パラフィン類の融点は40〜100℃が好ましい。
パラフィン類の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。0.1質量部未満だと空気に接している部分の硬化が悪くなるおそれがあり、5質量部を越えると接着強度が低下するおそれがある。
さらに、本発明では、貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、トリフェニルホスファイト、フェノチアジン及びN−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中では、p−メトキシフェノールが好ましい。
酸化防止剤の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.001〜3質量部が好ましい。0.001質量部未満だと効果がないおそれがあり、3質量部を越えると硬化強度が低下するおそれがある。
本発明では粘度の調整や粘性・流動性の調整で、微粉末シリカ等も使用することができる。これらの他にも所望により可塑剤、充填剤、着色剤又は防錆剤等の既に知られている物質を使用することもできる。
本発明の難燃硬化性樹脂組成物は、その硬化体の23℃の貯蔵弾性率が1500MPa以下であることが好ましく、1000MPa以下であることがより好ましい。1500MPaを越えると耐歪み性が低下するおそれがある。
本発明の実施態様としては例えば、二剤型の難燃硬化性樹脂組成物として使用することが挙げられる。二剤型については、本発明の難燃硬化性樹脂組成物の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、難燃硬化性樹脂組成物を第一剤及び第二剤に分け、第一剤に(2)重合開始剤を、第二剤に(3)還元剤を別々に貯蔵する。二剤型は貯蔵安定性に優れる点で好ましい。この場合、両剤を同時に又は別々に塗布して接触、硬化することにより、二剤型の難燃硬化性樹脂組成物として使用できる。
(4)難燃剤の添加方法は特に制限はなく、(i)第一剤と第二剤それぞれに別の配合で添加する方法、(ii)一方の剤のみに添加する方法、及び(iii)同じ割合で等量ずつ均等に添加する方法等が挙げられる。これらの中では、第一剤と第二剤の粘度が等しく、作業性が容易な点で、(iii)の方法が好ましい。
本発明で使用する難燃硬化性接着剤は、被着体が金属の場合、優れた接着性を示す。金属としては、鉄、ステンレス、真鍮及び亜鉛等が挙げられる。
金属板の厚さは0.1〜3.2mmが好ましい。0.1mm未満だと接着歪みのない状態に貼り合わせるのが難しいおそれがあり、3.2mmを越えると金属板が重くなり、エレベーターパネル等金属板の軽量化ができなくなるおそれがある。
以下、実験例により実施例10をさらに詳細に説明する。ポリリン酸アンモニウムは粒子表面がメラミン樹脂でコートされ、かつ、微粒子化したものを用い、パラフィンは融点56℃のものを用い、酸性リン酸化合物は(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアシッドホスフェートを用いた。
なお、以下、各物質の使用量の単位は質量部で示す。各物質については、次のような略号を使用した。
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム
MBAS:メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体
TCP:トリクレジルホスフエート
また、各種物性については、次のようにして測定した。
〔貯蔵弾性率〕
接着剤組成物を厚さ1mmのシート状にして硬化させ、得られた硬化体を粘弾性測定装置(セイコー電子工業(株)製テンションモジュールDMS210)により測定し、23℃における貯蔵弾性率を求めた。
〔歪み量・歪み〕
長さ200mm×幅25mm×厚さ0.3mmのSPCC試験片中央部に接着剤組成物を長さ100mm×幅25mm×厚さ2mmのサイズに塗布、硬化させ、室温で24時間養生した後の、SPCC試験片の反り量(単位:mm)を測定した。また、養生後、試験片から5m離れた位置から、目視により歪みの有無を判定した。判定は以下の通りである。○:反りがわからない。△:わずかに反りが見られる。×:明らかに反りがある。
〔引張剪断接着強さ〕
JIS K−6856に従い、試験片(100mm×25mm×1.6mmt、SECC−Dサンドブラスト処理)の片方に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布した。その後、直ちにもう片方の試験片を重ね合わせて張り合わせた後、室温で24時間養生したものを試料とした。
なお、試料の引張剪断接着強さ(単位:MPa)は、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、引張速度10mm/分で測定した。
〔難燃性〕
UL−94垂直燃焼試験法に準じて厚さ1/8インチ(0.3175cm)の硬化体を作製し、燃焼性を評価した。
〔発煙性〕
150mm×150mm×1.6mmのSPCC板中央に接着剤組成物を30mm×30mm×2mmのサイズに塗布、硬化させ、SPCC板下部より火炎であぶった際の発煙性を、目視により評価した。全く発煙しない場合を○、少し発煙した場合を△、かなり発煙した場合を×とした。
実験例1
表1に示す、組成物A(第一剤用)と組成物B(第二剤用)を調製した。但し、モノマーは表2に示す組成のものを使用した。組成物Aと組成物Bを用い、第一剤と第二剤からなる二剤型難燃硬化惟接着剤組成物を調製し、物性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005242880
Figure 0005242880
実験例2
表4に示す、第一剤と第二剤からなる二剤型難燃硬化性接着剤組成物を調製し、物性を評価したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
Figure 0005242880
実験例3
表5に示す組成のモノマーを使用し、組成物Aと組成物Bを用い、表6に示す、第一剤と第二剤からなる二剤型難燃硬化性接着剤組成物を調製し、物性を評価したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表6に示す。
Figure 0005242880
Figure 0005242880
実施例11.
以下、難燃剤を含有する有機系接着剤の具体例である実施例11について説明する。
実施例11による有機系接着剤は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物と、(4)リン酸エステル及び(5)金属水酸化物とを含有するものである。なお、樹脂組成物には、パラフィン類や酸化防止剤を含有させてもよい。
実施例11で使用する(1)重合性ビニルモノマーは、ラジカル重合可能であればいかなるものでもよい。重合性ビニルモノマーの中では、硬化速度等の点で、重合性ビニルモノマーが重合性(メタ)アクリル酸誘導体であることが好ましく、重合性ビニルモノマー100質量部中、重合性(メタ)アクリル酸誘導体が70質量部以上であることがより好ましく、重合性ビニルモノマーが全て重合性(メタ)アクリル酸誘導体であることが最も好ましい。
ここで重合性(メタ)アクリル酸誘導体とは、重合性アクリル酸誘導体及び/又は重合性メタクリル酸誘導体をいう。これらは通常、液状ないし固形状のものが使用される。重合性(メタ)アクリル酸誘導体としては例えば、次のようなものが挙げられる。
▲1▼一般式
Z−O−Rで示される単量体。
式中、Zは(メタ)アクリロイル基、CH=CHCOOCH−CH(OH)CH−基、又はCH=C(CH)COOCH−CH(OH)CH−基を示し、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基、ジシクロペンチル基、ジシクロペンテニル基又は(メタ)アクリロイル基を示す。
このような単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、グリセロール(メタ)アクリレート及びグリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
▲2▼一般式
Z−O−(RO)−R
で示される単量体。
式中、Z及びRは前述の通りである。Rは−C−、−C−、−CHCH(CH)−、−C−又は−CHO12−を示し、pは1〜25の整数を表す。
このような単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
▲3▼一般式
Figure 0005242880
で示される単量体。
式中、Z及びRは前述の通りである。Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、qは0〜8の整数を表す。
このような単量体としては例えば、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
▲4▼前記▲1▼、▲2▼又は▲3▼に記載の単量体に含まれない多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル。
このような単量体としては例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
▲5▼(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマー。
このような単量体は、例えば水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート及び多価アルコールを反応することにより得られる。
ここで水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。
また、有機ポリイソシアネートとしては例えば、トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
多価アルコールとしては例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリエステルポリオール等が挙げられる。
▲6▼上記実施例10に記載した一般式(I)で示される酸性リン酸化合物。
以上、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼又は▲6▼の単量体は、1種又は2種以上を使用することができる。
また、重合性(メタ)アクリル酸誘導体以外の重合性ビニルモノマーの例は、実施例10に示したとおりである。
実施例11で使用する(2)重合開始剤の材料、使用量は、実施例10と同様である。
実施例11で使用する(3)還元剤の材料、使用量は、実施例10と同様である。
実施例11で使用する(4)リン酸エステルとしては、難燃性の点で、一般式(A)及び/又は一般式(B)で示されるリン酸エステルが好ましい。
一般式(A)
Figure 0005242880
一般式(B)
Figure 0005242880
(式中、R、R、R、R、R10、R11及びR12はCH−、C−、C−、CH−C−又は(CH−C−を示し、R、R、R、R、R10、R11及びR12は同一でもよく、異なってもよい)
一般式(A)及び/又は一般式(B)で示されるリン酸エステルとしては、例えばトリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、クレジル−2,6−キシレニルフォスフェート、トレゾルシノールジフォスフェート、リン酸−t−ブチルフェニルフォスフェート及び芳香族縮合リン酸エステル類等が挙げられる。
これらの中では、単位重量あたりのリン含有量が高く、難燃性が大きい点で、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート及びトリキシレニルフォスフェートからなる群のうちの1種以上が好ましく、トリエチルフォスフェート及び/又はトリフェニルフォスフェートがより好ましく、沸点が低く、該難燃性樹脂組成物を用いて接合した被着体を塗装炉内で焼き付け塗装する際に塗装炉が汚染しにくい点で、トリフェニルフォスフェートが最も好ましい。
リン酸エステルの使用量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物100質量部に対して5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。5質量部未満だと十分な難燃性が得られず、また、十分な難燃性を得るために添加する金属水酸化物の割合が多くなるので著しい粘度上昇を伴い、接着剤組成物の塗布作業が困難になるおそれがあり、40質量部を越えると接着性が極端に低下するおそれがある。
実施例11で使用する(5)金属水酸化物としては、樹脂組成物中の各成分の熱分解や解重合が起こりうる200〜400℃の範囲内に結晶水の放出を起こすものが好ましい。この条件を満たすものとして、水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムが好ましい。これらの中では、硬化性や難燃性の点で、水酸化アルミニウムが好ましい。
金属水酸化物の使用量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物100質量部に対して10〜75質量部が好ましく、30〜50質量部がより好ましい。10質量部未満だと十分な難燃性が得られず、接着強度が低下するおそれがあり、75質量部を越えると、著しい粘度上昇を伴い、接着剤組成物の塗布作業が困難になるおそれがある。
リン酸エステルと金属水酸化物の添加方法は特に制限はなく、▲1▼第一剤と第二剤それぞれに別のものを添加する方法、▲2▼一方の剤のみに添加する方法、▲3▼同じ割合で等量ずつ均等に配分する方法があるが、第一剤と第二剤の粘度が等しくなる点で、▲3▼の方法が好ましい。
さらに、実施例11では、樹脂組成物の靱性を向上させる目的で、(6)エラストマー成分を使用することが好ましい。エラストマー成分の材料、使用量は、実施例10と同様である。
エラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又は2種以上が使用できる。また、末端メタクリル変性したポリブタジエンも使用できる。
さらに、実施例11では、空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類の材料、使用量については、実施例10と同様である。
さらにまた、貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
また、粘度の調整や粘性・流動性の調整をするために、微粉末シリカ等の充填剤を使用してもよい。これらの他にも所望により可塑剤、着色剤及び防錆剤等の既に知られている物質を使用してもよい。
また、実施例11の有機系接着剤は、実施例10と同様に、二剤型の接着剤として使用することが好ましい。
以下、実験例により実施例11をさらに詳細に説明する。各物質の使用量の単位は質量部で示す。各物質については、次のような略号を使用した。また、パラフィンの融点は約56℃である。
〔略号〕
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム
MBAS:メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体
酸性リン酸化合物:アシッドフォスフォキシエチルメタクリレート
TPP:トリフェニルフォスフェート
TEP:トリエチルフォスフェート
また、各種物性については、次のようにして測定した。
〔粘度〕
JIS K−7117に従い、第一剤と第二剤を500mlずつ取り、25℃の恒温槽に24時間放置したものを試料とした。粘度の測定は25℃で単一円筒型粘度計を用いて2分間連続して測定した(ローター回転数:20rpm)。
〔引張剪断接着強さ〕
実施例10と同様。
〔難燃性〕
実施例10と同様。
実験例4
表7に示す組成の樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、表8に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製し、物性を評価した。結果を表8に示す。
Figure 0005242880
実験例5
表9に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製したこと以外は、実験例4と同様に行った。結果を表9に示す。
Figure 0005242880
実施例12.
以下、難燃剤を含有する有機系接着剤の具体例である実施例12について説明する。
実施例12による有機系接着剤は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(5)エラストマー成分を含有する樹脂組成物と、(4)リン酸塩とを含有するものである。なお、樹脂組成物には、パラフィン類や酸化防止剤を含有させてもよい。
実施例12で使用する(1)重合性ビニルモノマーは、実施例11と同様である。
実施例12で使用する(2)重合開始剤の材料、使用量については、実施例10と同様である。
実施例12で使用する(3)還元剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
実施例12で使用する(4)リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛及びリン酸アルミニウム等のリン酸金属塩、これらリン酸金属塩の水和物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ナトリウム及びポリリン酸カリウム等のポリリン酸塩、リン酸アンモニウム、エチレンジアミンのリン酸塩やジエチレントリアミンのリン酸塩等のリン酸アミン塩並びにグアニジンのリン酸塩等が挙げられる。これらの中では、難燃性、硬化性、接着性及び取り扱いが容易な点で、ポリリン酸塩が好ましく、ポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
ポリリン酸アンモニウムとしては、ポリリン酸アンモニウムを微粒子化したものが好ましく、粒子表面が化学的に未処理のものや粒子表面を熱硬化性樹脂でマイクロカプセル化したものが用いられる。
リン酸塩の使用量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(5)エラストマー成分を含有する樹脂組成物100質量部に対して10〜75質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。10質量部未満だと十分な難燃性が得られないおそれがあり、75質量部を越えると剥離接着強さや衝撃接着強さが低下するとともに著しい粘度上昇を伴い、接着剤組成物の塗布作業が困難になるおそれがある。
リン酸塩の添加方法は特に制限はなく、▲1▼第一剤と第二剤それぞれに添加する方法、▲2▼一方の剤のみに添加する方法、▲3▼同じ割合で等量ずつ均等に配分する方法があるが、第一剤と第二剤の粘度が等しくなる点で、▲3▼の方法が好ましい。
さらに、実施例12では、樹脂組成物の靱性を向上させる目的で、(5)エラストマー成分を使用することが好ましい。エラストマー成分の材料、使用量は、実施例11と同様である。
さらにまた、実施例12では、空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類の材料、使用量については、実施例10と同様である。
また、貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
さらに、粘度の調整や粘性・流動性の調整をするために、微粉末シリカ等の充填剤を使用してもよい。これらの他にも所望により可塑剤、着色剤及び防錆剤等の既に知られている物質を使用してもよい。
さらにまた、実施例12の有機系接着剤は、実施例10と同様に、二剤型の接着剤として使用することが好ましい。
以下、実験例により実施例12をさらに詳細に説明する。各物質の使用量の単位は質量部で示す。各物質については、次のような略号を使用した。また、ポリリン酸アンモニウムは、熱硬化性樹脂により微粒子化した市販品を用い、パラフィンの融点は約56℃である。
〔略号〕
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム
MBAS:メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体
酸性リン酸化合物:アシッドフォスフォキシエチルメタクリレート
また、各種物性については、次のようにして測定した。
〔耐湿性〕
温度23℃、相対湿度50%の環境下でJIS K−6854に従い、一枚の試験片(200mm×25mm×1.6mm、SECC鋼板)の片方に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布し、その後、直ちにもう片方の試験片(200mm×25mm×0.5mm:SECC鋼板)を重ね合わせて張り合わせた後、室温で24時間養生したものを試料とした。
次に、接着した試験片を温度60℃、湿度90%の環境試験機内に7日間暴露後、環境試験機から取り出し、剥離接着強さ(単位:kN/m)を測定し、暴露前の剥離接着強さに対する強度保持率を評価した。
なお、試料の剥離接着強さ(単位:kN/m)は、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、引張速度50mm/分で測定した。
〔難燃性〕
実施例10と同様。
〔作業性〕
耐湿性試験において、接着剤組成物を試験片に塗布しやすかった場合を○、粘度が高く塗布しにくかった場合を×とした。
実験例6
表10に示す組成の樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、表11に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製し、物性を評価した。結果を表11に示す。
Figure 0005242880
実験例7
表12に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製したこと以外は、実験例6と同様に行った。結果を表12に示す。
Figure 0005242880
実施例13.
以下、難燃剤を含有する有機系接着剤の具体例である実施例13について説明する。
実施例13による有機系接着剤は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物と、(4)縮合リン酸や必要に応じて(5)金属水酸化物とを含有するものである。なお、樹脂組成物には、パラフィン類や酸化防止剤を含有させてもよい。
実施例13で使用する(1)重合性ビニルモノマーは、実施例11と同様である。
実施例13で使用する(2)重合開始剤の材料、使用量については、実施例10と同様である。
実施例13で使用する(3)還元剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
実施例13で使用する縮合リン酸(4)とは、2個以上のPO四面体が酸素原子を共有し重合して生成するリン酸をいい、一般式がHn+23n+1(nは2以上の整数)で示されるポリリン酸、(HPO(nは3以上の整数)で示されるメタリン酸、xHO・yP(0<x/y<1)で示されるウルトラリン酸をいう。これらの中では、難燃性や硬化性が良好な点で、ポリリン酸が好ましい。
縮合リン酸(4)の縮合度nは10以上が好ましく、100以上がより好ましい。縮合度が10未満だと樹脂組成物中で遊離したプロトンが、硬化性を阻害するおそれがある。
縮合リン酸の使用量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物100質量部に対して10〜75質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましい。10質量部未満だと十分な難燃性が得られないおそれがあり、75質量部を越えると接着性が低下し、著しい粘度上昇を伴い、接着剤組成物の塗布作業が困難になるおそれがある。
また、実施例13では、難燃性向上の点で、(5)金属水酸化物を使用することが好ましい。実施例13で使用する(5)金属水酸化物の材料、使用量については、実施例11と同様である。
なお、縮合リン酸と金属水酸化物の合計の使用量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物100質量部に対して15〜120質量部が好ましく、30〜100質量部がより好ましい。
縮合リン酸と金属水酸化物の添加方法は特に制限はなく、▲1▼第一剤と第二剤それぞれに別のものを添加する方法、▲2▼一方の剤のみに添加する方法、▲3▼同じ割合で等量ずつ均等に配分する方法があるが、第一剤と第二剤の粘度が等しくなる点で、▲3▼の方法が好ましい。
さらに、実施例13では、接着性向上の点で、(6)エラストマー成分を使用することが好ましい。エラストマー成分の材料、使用量は、実施例11と同様である。
さらにまた、粘度の調整や粘性・流動性の調整のために、微粉末シリカ等を使用できる。
また、空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類の材料、使用量については、実施例10と同様である。
また、貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
さらに、これらの他にも所望により可塑剤、充填剤、着色剤又は防錆剤等の既に知られている物質を使用することもできる。
さらにまた、実施例13の有機系接着剤は、実施例10と同様に、二剤型の接着剤として使用することが好ましい。
以下、実験例により実施例13をさらに詳細に説明する。各物質の使用量の単位は質量部で示す。各物質の略号(NBR、MBAS、酸性リン酸化合物)は、実施例12と同様である。また、パラフィンの融点は56℃である。
また、各種物性については、次のようにして測定した。
〔粘度〕
実施例11と同様。
〔引張剪断接着強さ〕
実施例10と同様。
〔難燃性〕
実施例10と同様。
実験例8
実施例13の表10に示す組成の樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、表13に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製し、物性を評価した。結果を表13に示す。
Figure 0005242880
実験例9
表14に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製したこと以外は、実験例8と同様に行った。結果を表14に示す。
Figure 0005242880
実施例14.
以下、難燃剤を含有する有機系接着剤の具体例である実施例14について説明する。
実施例14による有機系接着剤は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物と、(4)リン酸塩及び(5)金属水酸化物とを含有するものである。なお、樹脂組成物には、パラフィン類や酸化防止剤を含有させてもよい。
実施例14で使用する(1)重合性ビニルモノマーは、実施例11と同様である。
実施例14で使用する(2)重合開始剤の材料、使用量については、実施例10と同様である。
実施例14で使用する(3)還元剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
実施例14で使用するリン酸塩の材料、使用量については、実施例12と同様である。
実施例14で使用する(5)金属水酸化物の材料は、実施例11と同様である。また、金属水酸化物の使用量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤(3)還元剤及び必要に応じて用いる(6)エラストマー成分を含有する樹脂組成物100質量部に対して5〜75質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。5質量部未満だと十分な難燃性が得られないおそれがあり、75質量部を越えると剥離接着強さや衝撃接着強さが低下すると共に、著しい粘度上昇を伴うため、接着剤組成物の塗布作業が困難になるおそれがある。
リン酸塩と金属水酸化物の添加方法は特に制限はなく、▲1▼第一剤と第二剤それぞれに別のものを添加する方法、▲2▼一方の剤のみに添加する方法、▲3▼同じ割合で等量ずつ均等に配分する方法があるが、第一剤と第二剤の粘度が等しくなる点で、▲3▼の方法が好ましい。
また、実施例14では、樹脂組成物の靱性を向上させる目的で、(6)エラストマー成分を使用することが好ましい。エラストマー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をいい、(メタ)アクリル系モノマーに溶解又は分散できるものが好ましい。
このような(6)エラストマー成分としては、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−チレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又は2種以上が使用できる。
また、末端メタクリル変性したポリブタジエンも使用できる。
これらの中では、樹脂組成物に対する溶解性及び接着性の点で、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体とアクリロニトリル−ブタジエンゴムの併用がより好ましい。
エラストマー成分の使用量は、実施例10と同様である。
さらにまた、粘度の調整や粘性・流動性の調整のために、微粉末シリカ等を使用できる。
また、空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類の材料、使用量については、実施例10と同様である。
また、貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤の材料、使用量についても、実施例10と同様である。
さらに、粘度の調整や粘性・流動性の調整をするために、微粉末シリカ等の充填剤を使用してもよい。これらの他にも所望により可塑剤、着色剤及び防錆剤等の既に知られている物質を使用してもよい。
さらにまた、実施例14の有機系接着剤は、実施例10と同様に、二剤型の接着剤として使用することが好ましい。
以下、実験例により実施例14をさらに詳細に説明する。各物質の使用量の単位は質量部で示す。各物質の略号(NBR、MBAS、酸性リン酸化合物)は、実施例12と同様である。また、ポリリン酸アンモニウムは熱硬化性樹脂により微粒子化した市販品を用い、パラフィンの融点は約56℃である。
また、各種物性については、次のようにして測定した。
〔耐湿性〕
実施例12と同様。
〔難燃性〕
実施例10と同様。
〔作業性〕
実施例12と同様。
実験例10
表15に示す組成の樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、表16に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製し、物性を評価した。結果を表16に示す。
Figure 0005242880
Figure 0005242880
実験例11
表17に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製したこと以外は、実験例10と同様に行った。結果を表17に示す。
Figure 0005242880
実験例12
表18に示す組成の二剤型難燃性接着剤組成物を調製したこと以外は、実験例10と同様に行った。結果を表18に示す。
Figure 0005242880
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータの乗場の戸を背面から見た斜視図、
図2は図1のII−II線に沿う断面図、
図3はこの発明の実施の形態2による乗場の戸の断面図、
図4はこの発明の実施の形態3による乗場の戸の断面図、
図5はこの発明の実施の形態4による乗場の戸の断面図、
図6はこの発明の実施の形態5によるエレベータの乗場の戸を背面から見た斜視図である。

Claims (14)

  1. 表板と、
    上記表板の裏面に、難燃剤を含有する有機系接着剤からなる接着層を介して接合されている補強材と
    を備え、
    上記補強材は、上記表板の裏面に前記接着層を介して接合された接着固定部と、上記表板に固定された当接部とを有しており、
    上記接着固定部は、上記表板の幅方向の上記補強材の端部に設けられており、
    上記表板の裏面の上記接着固定部が接合された部分に隣接する部分が、昇降路側に露出されており、
    上記当接部が上記表板に固定されていることにより、上記接着層の接着強度が高温で低下し上記接着固定部が上記表板から剥離しても上記補強材が上記表板から完全に外れるのが防止されるエレベータの乗場の戸。
  2. 上記難燃剤は、非ハロゲン系難燃剤である請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
  3. 上記非ハロゲン系難燃剤は、ポリリン酸アンモニウムである請求項2記載のエレベータの乗場の戸。
  4. 上記有機系接着剤には、上記ポリリン酸アンモニウムが20〜43重量%含有されている請求項3記載のエレベータの乗場の戸。
  5. 上記有機系接着剤には、重合性ビニルモノマー、重合開始剤、還元剤及び上記難燃剤が含有されており、
    上記重合性ビニルモノマー、上記重合開始剤及び上記還元剤の合計100質量部に対して、25〜75質量部の上記難燃剤が含有されている請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
  6. 上記重合性ビニルモノマーは、単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である第1の重合性ビニルモノマーと、単独重合体のガラス転移温度が0℃を越える第2の重合性ビニルモノマーとを含む請求項5記載のエレベータの乗場の戸。
  7. 上記有機系接着剤には、さらにエラストマー成分が含有されている請求項5記載のエレベータの乗場の戸。
  8. 上記接着層と上記表板との間に設けられているプライマ層をさらに備えている請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
  9. 上記プライマ層は、酸性リン酸化合物により構成されている請求項8記載のエレベータの乗場の戸。
  10. 上記接着層と上記補強材との間に設けられている熱可塑性樹脂層をさらに備えている請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
  11. 上記熱可塑性樹脂層の軟化温度は、60℃〜100℃である請求項10記載のエレベータの乗場の戸。
  12. 上記有機系接着剤は、2液室温硬化形アクリル系接着剤を主成分とする請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
  13. 上記有機系接着剤は、ガラス転移温度が50〜120℃の熱硬化性樹脂を含む請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
  14. 上記有機系接着剤は、軟化温度が60〜100℃の熱可塑性樹脂を含む請求項1記載のエレベータの乗場の戸。
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