JP2002206100A - 植物ステロール含有油脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

植物ステロール含有油脂組成物及びその製造方法

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JP2002206100A JP2000358314A JP2000358314A JP2002206100A JP 2002206100 A JP2002206100 A JP 2002206100A JP 2000358314 A JP2000358314 A JP 2000358314A JP 2000358314 A JP2000358314 A JP 2000358314A JP 2002206100 A JP2002206100 A JP 2002206100A
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詔司 丸銭
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浩 荒川
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佳史 奥村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コレステロール吸収抑制作用を付与すること
ができ、かつマーガリン、ファットスプレッド、ホイッ
プクリーム等の乳化物の形態の油脂食品の製造に利用す
る場合、乳化剤の無添加あるいは乳化剤量の低減化が可
能で、乳化剤独特の風味が無いあるいは低減化した乳化
物を得ることができる、植物ステロール含有油脂組成物
を提供すること。 【解決手段】 植物ステロール脂肪酸エステル(A)及
び10〜70重量%の部分グリセリド(B)を含有する
植物ステロール含有油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マーガリン、ファ
ットスプレッド、ホイップクリーム等の油脂食品に好適
に用いられる植物ステロール含有油脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】植物ス
テロールには小腸からのコレステロールの吸収抑制作用
があることが古くから知られており、血漿コレステロー
ル濃度低下剤として用いられている。コレステロールの
吸収は、コレステロールが胆汁酸ミセルへ溶解すること
が必要である。しかし、コレステロールの胆汁酸への溶
解量は低く、大部分はエマルジョンの状態にある。
【0003】一方、植物ステロールの場合もコレステロ
ールとほぼ同程度の量が胆汁酸ミセルへ溶解する。従っ
て、コレステロールと植物ステロールが共存すると、コ
レステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量が減少すること
になる。また、植物ステロールの小腸からの吸収率は低
く、小腸内腔に残存するため、コレステロールの胆汁酸
ミセルへの溶解量は制限されたままとなり、コレステロ
ールの吸収が抑制されることとなる。従って、食事から
摂取するコレステロールの影響を受けやすいヒトの場
合、植物ステロールは有効な血漿コレステロール低下剤
として、臨床的に利用されている。
【0004】この植物ステロールは植物油脂や大豆、小
麦等に含まれており、日常の食事で摂取しているが、そ
の量はごく僅かなものである。現在の日本人の食生活を
見てみると、食事からのコレステロールの吸収を抑制さ
せるためには、1日約1〜2gの植物ステロールが必要
であり、通常のヒトの食事でそのような多量の植物ステ
ロールを摂取することは困難である。
【0005】植物ステロールを油脂食品に利用した技術
としては以下のものがあげられる。特公昭57−267
32号公報には、油脂中の遊離脂肪酸の含量を高めるこ
とによって植物ステロールの油脂への溶解性を高める方
法が提案されている。この方法では、植物ステロールの
油脂への溶解性は向上するが、油脂中の遊離脂肪酸の含
量が高くそのまま製品化するのは難しい。
【0006】特開昭59−147099号公報には、脱
臭スカムを食用油脂に添加し、それを精製して油脂中の
植物ステロール含量を高める方法が、特開昭57−39
736号公報には、食用油脂から有機溶剤を用いて植物
ステロールを抽出し、それを添加した油脂組成物が、そ
れぞれ提案されているが、これらの方法で調製した油脂
中の植物ステロールの含量はごく僅かなものであり満足
できるものではない。
【0007】特開昭57−206336号公報には、植
物ステロールを0.5〜30重量%含有した食用油脂が
提案されている。しかし、植物ステロールの油脂への溶
解性は僅かであるため単に植物ステロールを油脂に混ぜ
ただけでは、油脂への溶解性を改良したことにはなって
おらず、これを油脂食品に利用することは困難である。
このように、植物ステロールは、油脂への溶解性が低い
ため油脂食品への利用はほとんど行われていないのが現
状である。
【0008】他方、植物ステロールを植物ステロール脂
肪酸エステルにすることにより油脂への溶解性を高め
て、油脂食品に利用している例もある。例えば、ベルギ
ー特許第753648号明細書には、植物ステロール脂
肪酸エステルを0.5〜10重量%添加したサラダ油
が、特表平6−506909号公報には、植物スタノー
ル脂肪酸エステルを含有した油脂組成物が、それぞれ提
案されている。しかし、これらの油脂組成物は、乳化物
の形態の油脂食品の製造に利用する場合、乳化剤を添加
する必要があり、乳化物の風味を改良することはできな
い。
【0009】また、特開平11―127779号公報に
は、遊離の植物ステロールと植物ステロール脂肪酸エス
テルとの比率を特定した脂肪に基づく食品生成物が提案
されている。しかし、この公報に記載の食品生成物も、
乳化物の形態の油脂食品の製造に利用する場合、乳化剤
量を低減することはできない。
【0010】従って、本発明の目的は、コレステロール
吸収抑制作用を付与することができ、かつマーガリン、
ファットスプレッド、ホイップクリーム等の乳化物の形
態の油脂食品の製造に利用する場合、乳化剤の無添加あ
るいは乳化剤量の低減化が可能で、乳化剤独特の風味が
無いあるいは低減化した乳化物を得ることができる、植
物ステロール含有油脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、植物ステロー
ル脂肪酸エステル(A)及び10〜70重量%の部分グ
リセリド(B)を含有する植物ステロール含有油脂組成
物を提供することにより、上記目的を達成したものであ
る。また、本発明は、上記の本発明の植物ステロール含
有油脂組成物の好ましい製造方法として、植物ステロー
ルと、部分グリセリド及び/又はトリグリセリドとを、
無溶媒下でリパーゼ又はアルカリを触媒としてエステル
化反応を行うことを特徴とする植物ステロール含有油脂
組成物の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施形態】以下、先ず、本発明の植物ステロー
ル含有油脂組成物について詳細に説明する。
【0013】本発明の植物ステロール含有油脂組成物の
(A)成分の植物ステロール脂肪酸エステルを構成する
植物ステロールとしては、特に制限はなく、例えばβ−
シトステロール、スチグマステロール、カンペステロー
ル、ブラシカステロール等の植物ステロールや、これら
の植物ステロールを水素添加した植物スタノールがあげ
られ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上であ
る。上記植物ステロールとしては、β−シトステロー
ル、β−シトスタノール、カンペステロール及びカンペ
スタノールの中から選ばれた1種又は2種類以上を含有
するのが好ましい。
【0014】上記植物ステロール脂肪酸エステル(A)
を構成する脂肪酸としては、特に制限はなく、好ましく
は炭素数4〜24の飽和及び不飽和脂肪酸があげられ、
これらのうち炭素数16〜24の飽和及び不飽和脂肪酸
を含有するのが好ましく、さらに炭素数16〜24の不
飽和脂肪酸を含有するのが好ましい。
【0015】上記植物ステロール脂肪酸エステル(A)
は、植物ステロール含有油脂組成物中、好ましくは1重
量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、最も好まし
くは5重量%以上含有する。
【0016】また、本発明の植物ステロール含有油脂組
成物の(B)成分の部分グリセリドとは、モノグリセリ
ド及び/又はジグリセリドを意味する。上記部分グリセ
リドにおいて、ジグリセリド(E)とモノグリセリド
(F)の重量比E/Fは、好ましくは5以上、さらに好
ましくは6以上とする。上記重量比E/Fが5よりも小
さいと、植物ステロール含有油脂組成物を調理時に加熱
をする調理用やフライ用の油脂組成物として使用した場
合、発煙を生じやすい。
【0017】上記部分グリセリド(B)を構成する脂肪
酸としては、特に制限はなく、上記植物ステロール脂肪
酸エステル(A)を構成する脂肪酸として上記に例示し
た脂肪酸と同様な脂肪酸があげられる。上記部分グリセ
リド(B)を構成する脂肪酸組成と、上記植物ステロー
ル脂肪酸エステル(A)を構成する脂肪酸組成とは、実
質的に同一であることが好ましい。
【0018】上記部分グリセリド(B)は、植物ステロ
ール含有油脂組成物中、10〜70重量%、好ましくは
15〜65重量%、さらに好ましくは20〜60重量%
含有する。部分グリセリド(B)の含有量が10重量%
よりも少ないと、これを乳化物に使用する場合、乳化剤
の添加量を低減することができず、乳化物の風味を改良
することができないので好ましくない。一方、部分グリ
セリド(B)の含有量が70重量%よりも多いと、製造
コストが高いだけでなく、油脂食品に使用した場合、固
化性が遅くなる等の物性に影響がでるので好ましくな
い。
【0019】本発明の植物ステロール含有油脂組成物
は、上記の植物ステロール脂肪酸エステル(A)と部分
グリセリド(B)のほかに、遊離の植物ステロール、ト
リグリセリド及び遊離脂肪酸の中から選ばれた1種又は
2種以上を含有してもよい。
【0020】上記の遊離の植物ステロールの含有量は、
特に制限はないが、本発明の植物ステロール含有油脂組
成物中、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3
重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。ここ
でいう遊離の植物ステロールとしては、例えばβ−シト
ステロール、スチグマステロール、カンペステロール、
ブラシカステロール等の植物ステロールや、これらの植
物ステロールを水素添加した植物スタノールがあげら
れ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上である。
上記遊離の植物ステロールとしては、β−シトステロー
ル、β−シトスタノール、カンペステロール及びカンペ
スタノールの中から選ばれた1種又は2種類以上を含有
するのが好ましい。
【0021】上記トリグリセリドの含有量は、特に制限
はないが、本発明の植物ステロール含有油脂組成物中、
好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜
90重量%、一層好ましくは35〜85重量%、最も好
ましくは40〜80重量%である。
【0022】本発明において、上記遊離の植物ステロー
ルを含有する場合、植物ステロール脂肪酸エステル
(A)と該遊離の植物ステロール(C)との重量比A/
Cは、好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上、一
層好ましくは8以上、最も好ましくは9以上とする。上
記重量比A/Cが6よりも小さいと、遊離の植物ステロ
ールが溶解せず、結晶化し易くなる。
【0023】本発明において、上記トリグリセリドを含
有する場合、部分グリセリド(B)と該トリグリセリド
(D)との重量比B/Dは、好ましくは4以下、さらに
好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下とする。
上記重量比B/Dが4よりも大きい場合、部分グリセリ
ドを濃縮するため製造コストが高くなり実用的でないば
かりでなく、マーガリン等の油脂食品へ利用した場合の
固化性が遅くなりやすい。また、上記遊離脂肪酸の含有
量は、特に制限はないが、本発明の植物ステロール含有
油脂組成物中、好ましくは0.6重量%以下、さらに好
ましくは0.4重量%以下、最も好ましくは0.3重量
%以下である。
【0024】本発明の植物ステロール含有油脂組成物
は、植物ステロール脂肪酸エステル(A)と10〜70
重量%の部分グリセリド(B)とを含有するため、コレ
ステロール吸収抑制効果だけでなく、これを乳化物に使
用する場合、乳化剤の添加量を低減もしくは完全に無添
加にすることができる。
【0025】また、本発明の植物ステロール含有油脂組
成物は、単独もしくは、他の食用油脂と配合して、製菓
用、製パン用、洋菓子用の、ショートニング、マーガリ
ン、練り込み用油脂、ロールイン用油脂;ホイップクリ
ーム用油脂;マヨネーズ用油脂;チョコレート用油脂;
無水クリーム用油脂;調理用油脂;フライ用油脂、スプ
レー用油脂等の食品として用いることができる。そして
上記のような油脂を用いて食パン、菓子パン、パイ、デ
ニッシュ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クラッカー、ク
ッキー、ビスケット、ワッフル、スコーン、スナック菓
子、ホイップクリーム、乳代替組成物、デザート、アイ
スクリーム、飲料、マヨネーズ、ドレッシング、チョコ
レート、無水クリーム、キャンディー、ガム、米菓、サ
ンドクリーム、フィリングクリーム、サラダ、レトルト
食品、ルー、フライ食品、冷凍食品等の食品を製造する
ことができる。
【0026】上記食品は、本発明の植物ステロール含有
油脂組成物を含有する以外に、例えば、ブドウ糖、果
糖、蔗糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化
物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリ
デキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロー
ス、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリス
リトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリ
ゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノー
ス、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビ
ア、アスパルテーム等の糖類、リン酸塩(ヘキサメタリ
ン酸、第2リン酸、第1リン酸)、クエン酸のアルカリ
金属塩(カリウム、ナトリウム等)、グアーガム、キサ
ンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン
酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチ
ン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼ
ラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定
剤、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血
清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、その他の乳
蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビ
チン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コン
アルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、
グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、
その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質、食塩、岩
塩、海塩、塩化カリウム等の無機塩類、酢酸、乳酸、グ
ルコン酸等の酸味料、β―カロチン、カラメル、紅麹色
素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止
剤、全卵、卵黄、卵白、酵素処理卵等の卵類、強力粉、
中力粉、薄力粉等の穀類、大豆粉末等の豆類、水、着香
料、乳製品、調味料、pH調整剤、酵素、食品保存料日
持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、
香辛料、カカオマス、ココアパウダー、野菜類、肉類、
魚介類等の食品素材や食品添加物を含有させてもよい。
【0027】次に具体的な食品の組成について説明す
る。ただし、油脂とは、トリグリセリド、部分グリセリ
ド、植物ステロール脂肪酸エステル、植物ステロール等
を含有するものである。
【0028】1 油中水型乳化物(マーガリン、ファッ
トスプレッド) ・油相/水相(重量比率) 95/5〜30/70 ・油中水型乳化物中の植物ステロール脂肪酸エステルの
含有量 1〜60重量% ・油中水型乳化物中の部分グリセリドの含有量 3〜3
0重量% ・油相中の油脂の融点 20〜50℃
【0029】2 ショートニング ・ショートニング中の植物ステロール脂肪酸エステルの
含有量 1〜70重量% ・ショートニング中の部分グリセリドの含有量 3〜4
0重量% ・油相中の油脂の融点 20〜50℃
【0030】3 フライ用油脂、調理用油脂、スプレー
用油脂 ・フライ用油脂、調理用油脂又はスプレー用油脂中の植
物ステロール脂肪酸エステルの含有量 1〜70重量% ・酸化防止剤 0〜500ppm ・消泡剤 0〜500ppm
【0031】4 チョコレート用油脂、無水クリーム用
油脂 ・チョコレート用油脂又は無水クリーム用油脂中の植物
ステロール脂肪酸エステルの含有量 1〜70重量% ・チョコレート用油脂又は無水クリーム用油脂中の部分
グリセリドの含有量3〜40重量% ・油相中の油脂の融点 15〜40℃
【0032】5 酸性水中油型乳化食品(マヨネーズ、
ドレッシング) ・油相/水相(重量比率) 80/20〜20/80 ・酸性水中油型乳化食品中の植物ステロール脂肪酸エス
テルの含有量 1〜60重量% ・酸性水中油型乳化食品中の部分グリセリドの含有量
3〜40重量% ・油相中の油脂の融点 20℃以下
【0033】6 ホイップクリーム ・油相/水相(重量比率) 60/40〜20/80 ・ホイップクリーム中の植物ステロール脂肪酸エステル
の含有量 1〜50重量% ・ホイップクリーム中の部分グリセリドの含有量 2〜
30重量% ・油相中の油脂の融点 25〜35℃
【0034】7 パン ・油脂含量 10〜40重量% ・油脂含量に対する部分グリセリドの含有量 5〜30
重量% ・油脂含量に対する植物ステロール脂肪酸エステルの含
有量 0.1〜30重量% ・小麦粉 20〜50重量% ・糖質 5〜25重量% ・食塩 0.1〜0.5重量% ・蛋白質 3〜15重量%
【0035】8 焼き菓子 ・油脂含量 10〜40重量% ・油脂含量に対する部分グリセリドの含有量 5〜30
重量% ・油脂含量に対する植物ステロール脂肪酸エステルの含
有量 0.1〜30重量% ・小麦粉 20〜40重量% ・糖質 5〜25重量% ・食塩 0.1〜0.5重量% ・蛋白質 3〜10重量%
【0036】9 チョコレート ・油脂含量 25〜60重量% ・油脂含量に対する部分グリセリドの含有量 5〜30
重量% ・油脂含量に対する植物ステロール脂肪酸エステルの含
有量 0.1〜30重量% ・カカオマス 0〜50重量% ・ココアパウダー 0〜30重量% ・粉乳 0〜30重量% ・糖質 10〜60重量% ・乳化剤 0〜5重量% ・香料 0〜3重量%
【0037】10 無水クリーム ・油脂含量 25〜60重量% ・油脂含量に対する部分グリセリドの含有量 5〜30
重量% ・油脂含量に対する植物ステロール脂肪酸エステルの含
有量 0.1〜30重量% ・糖質 10〜60重量% ・呈味パウダー 0〜30重量% ・粉乳 0〜30重量%
【0038】11 キャンディー ・油脂含量 1〜45重量% ・油脂含量に対する部分グリセリドの含有量 5〜30
重量% ・油脂含量に対する植物ステロール脂肪酸エステルの含
有量 0.1〜30重量% ・糖質、呈味成分 40〜90重量%
【0039】12 ルー(カレー用、シチュー用、ハヤ
シ用等) ・油脂含量 25〜60重量% ・油脂含量に対する部分グリセリドの含有量 5〜30
重量% ・油脂含量に対する植物ステロール脂肪酸エステルの含
有量 0.1〜30重量% ・小麦粉 0〜40重量% ・調味料 10〜60重量%
【0040】次に、本発明の植物ステロール含有油脂組
成物の好ましい製造方法について説明する。本発明の植
物ステロール含有油脂組成物の製造方法は、植物ステロ
ールと、部分グリセリド及び/又はトリグリセリドと
を、無溶媒下でリパーゼ又はアルカリを触媒としてエス
テル化反応を行うことにより、上述した本発明の植物ス
テロール含有油脂組成物を製造する。
【0041】本発明の製造方法で用いられる上記部分グ
リセリドとしては、反応モノグリセリド、蒸留モノグリ
セリド、ジグリセリド、天然の油脂から抽出したジグリ
セリド等があげられる。
【0042】本発明の製造方法で用いられる上記トリグ
リセリドとしては、例えば構成脂肪酸が、炭素数4〜2
4の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からなる油脂で、具体
的にはパーム油、パームオレイン、スーパーオレイン、
パームステアリン、パーム中融点部等のパーム系油脂、
大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、サンフラワー
油、ハイオレイックサンフラワー油、ハイオレイックサ
フラワー油、米糠油等の液状油、パーム核油、ヤシ油等
のラウリン系油脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の動物油
脂、MCT等の合成油、これらの硬化油、分別油、ある
いはエステル交換油を単独あるいは2種以上配合して用
いることができる。これらの内、上記トリグリセリドと
しては、構成脂肪酸として、炭素数16〜24の不飽和
脂肪酸を好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは
45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上含有す
るものを使用するのが好ましい。
【0043】植物ステロールと、部分グリセリド及び/
又はトリグリセリドとを無溶媒下でリパーゼを触媒とし
てエステル化反応を行う場合、必要により、部分グリセ
リド及び/又はトリグリセリドに、グリセリン、脂肪酸
低級アルコールエステル及び脂肪酸から選ばれた1種又
は2種以上を添加してもかまわない。
【0044】上記脂肪酸低級アルコールエステルとして
は、特に制限はないが、脂肪酸部分が、好ましくは炭素
数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好ましくは
炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸で、アルコー
ル部分が、エタノール、メタノール等で加水分解された
ときに遊離のアルコールの沸点が100℃以下の低級ア
ルコールであるものが好ましい。
【0045】また、上記脂肪酸としては、特に制限はな
いが、好ましくは炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪
酸、さらに好ましくは炭素数16〜24の飽和又は不飽
和脂肪酸を用いる。
【0046】本発明の製造方法で触媒として用いられる
リパーゼとしては、特に制限はないが、位置選択性の無
いものを使用するのが好ましい。具体的にはAlcaligene
s 属、Chromobacterium 属、Pseudomonas 属、Humicola
属から得られる酵素等が好ましく、この中で、Alcalige
nes 属、Chromobacterium 属、Pseudomonas 属から得ら
れる酵素等がさらに好ましく、Alcaligenes 属から得ら
れる酵素が最も好ましい。これらの酵素は、酵素粉末の
ままで使用することも可能であるが、ケイソウ土、アル
ミナ、イオン交換樹脂、活性炭、セラミック等の担体に
固定化して用いてもかまわない。
【0047】上記リパーゼを触媒として用いる場合、エ
ステル化反応の反応系の水分量は、好ましくは900p
pm以下、さらに好ましくは500ppm以下であるこ
とが、反応油の加水分解をできるだけ低くし、脱臭工程
での損失を低くできるため望ましい。また、エステル化
反応は常圧もしくは減圧の条件下で行なうことができ
る。
【0048】また、触媒としてアルカリを用いる場合
は、ソジウムメチラートを使用するのが好ましい。ソジ
ウムメチラートを触媒として使用する場合、植物ステロ
ールと部分グリセリド及び/又はトリグリセリドとの混
合物を80〜100℃に加熱し、好ましくは900pp
m、さらに好ましくは500ppm以下の水分まで脱水
した後、触媒を添加し、常圧もしくは減圧下でエステル
化反応を行うのがよい。エステル化反応終了後、クエン
酸、リン酸等の酸で中和、水洗、脱水を行う。触媒とし
ては、リパーゼを使用した方が、アルカリ触媒を使用す
るよりも効率的かつ経済的である。
【0049】また、上記のリパーゼ又はアルカリを触媒
としてエステル化反応を行う場合、ランダムエステル交
換を行うのが好ましい。ランダムエステル交換を行うこ
とにより、植物ステロールが部分グリセリド及び/又は
トリグリセドの構成脂肪酸でランダムにエステル化され
るため、植物ステロール脂肪酸エステルと部分グリセリ
ドの構成脂肪酸が実質的に同一になる。
【0050】このようにして得られる植物ステロール含
有油脂組成物は、ヘキサンやアセトン等の溶剤もしくは
乾式分別を行い、遊離の植物ステロールを除去してもか
まわない。その後、植物ステロール含有油脂組成物は、
通常の油脂の精製方法と同じ方法により精製を行う。こ
こでいう通常の油脂の精製方法とは、漂白、脱臭又は脱
酸のことである。上記精製を行うことで、植物ステロー
ル特有の臭いが無くなり、風味、色調の良好な本発明の
植物ステロール含有油脂組成物が得られる。
【0051】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何等制限される
ものではない。
【0052】実施例1〜9 位置選択性の無いリパーゼである市販リパーゼ(リパー
ゼ商品名:リパーゼQL(Alcaligenes 属)、名糖産業
(株)製)を触媒として、下記表1に記載の配合で油脂
と植物ステロールの混合物(800g)を65℃で、反
応系の水分量を200ppmに調節してエステル化反応
を行った。下記表1には、反応系の全組成を示し、下記
表2には、反応で使用した植物ステロールの全組成とス
テロール組成を示した。次いで、リパーゼを濾過した
後、白土2重量%(但し実施例9のみ5重量%)を添加
して漂白し、脱臭温度200℃で脱臭を行い、本発明の
植物ステロール含有油脂組成物を得た。得られた本発明
の植物ステロール含有油脂組成物の全組成と特定成分の
比率を下記表3に示した。また、得られた本発明の植物
ステロール含有油脂組成物の特定成分の脂肪酸組成を下
記表4に示した。下記表4の記載から明らかなように、
実施例1〜9の植物ステロール含有油脂組成物は、トリ
グリセリド、ジグリセリド及び植物ステロール脂肪酸エ
ステルの構成脂肪酸組成が実質的に同一であることがわ
かる。また、得られた植物ステロール含有油脂組成物の
風味と色調についての評価を下記表5に示した。
【0053】実施例10 位置選択性の無いリパーゼである市販リパーゼ(リパー
ゼ商品名:リパーゼQL(Alcaligenes 属)、名糖産業
(株)製)を触媒として、下記表1に記載の配合で油脂
と植物ステロールの混合物(800g)を65℃で、反
応系の水分量を200ppmに調節してエステル化反応
を行った。下記表1には、反応系の全組成を示し、下記
表2には、反応で使用した植物ステロールの全組成とス
テロール組成を示した。反応終了後リパーゼを濾過し、
反応油を80℃で完全に溶解した。次に、これを5℃/
hrの冷却速度で5℃まで冷却し、その後5℃で40h
r保持し、遊離の植物ステロールを結晶化させた。結晶
と濾液を減圧濾過にて濾別し、濾液部分に白土2重量%
添加して漂白し、脱臭温度200℃で脱臭を行い、本発
明の植物ステロール含有油脂組成物を得た。下記表4に
示したように、実施例10の植物ステロール含有油脂組
成物は、トリグリセリド、ジグリセリド及び植物ステロ
ール脂肪酸エステルの構成脂肪酸組成が実質的に同一で
あることがわかる。また、実施例10の植物ステロール
含有油脂組成物の風味と色調についての評価を下記表5
に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】実施例11(マーガリンの調製) 硬化大豆油(融点45℃)20重量%、パーム油35重
量%、実施例3の植物ステロール含有油脂組成物30重
量%、水13.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.
5重量%及びフレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑
化によりマーガリンを作成した。このマーガリンは、植
物ステロール脂肪酸エステルを10.2重量%、遊離の
植物ステロールを0.9重量%含有していた。得られた
マーガリンは、乳化剤を添加していないが、急冷可塑化
中、保存中(4カ月)のいずれにおいても水の分離がな
かった。また、乳化剤を添加していないため、風味も非
常に良好であった。また、得られたマーガリンを、基準
油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−19
96(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に
準じて測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)
を7.5重量%含有していた。
【0060】実施例12(マーガリンの調製) 硬化大豆油(融点45℃)20重量%、パーム油35重
量%、実施例10の植物ステロール含有油脂組成物30
重量%、水13.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳
0.5重量%及びフレーバー0.2重量%を乳化、急冷
可塑化によりマーガリンを作成した。このマーガリン
は、植物ステロール脂肪酸エステルを14.7重量%、
遊離の植物ステロールを0.3重量%含有していた。得
られたマーガリンは、乳化剤を添加していないが、急冷
可塑化中、保存中(4カ月)のいずれにおいても水の分
離がなかった。また、乳化剤を添加していないため、風
味も非常に良好であった。また、得られたマーガリン
を、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.
1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラ
フ法)に準じて測定したところ、植物ステロール(遊離
型換算)を8.4重量%含有していた。
【0061】実施例13(ファットスプレッドの調製) 魚硬化油(融点36℃)27.6重量%、実施例3の植
物ステロール含有油脂組成物18.4重量%、水52.
3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%及びフ
レーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりファッ
トスプレッドを調製した。このファットスプレッドは、
植物ステロール脂肪酸エステルを6.3重量%、遊離の
植物ステロールを0.6重量%含有していた。得られた
ファットスプレッドは、乳化剤を添加していないが、急
冷可塑化中、保存中(3カ月)のいずれにおいても水の
分離がなかった。また、乳化剤を添加していないため、
風味も非常に良好であった。また、得られたファットス
プレッドを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.
4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロ
マトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロー
ル(遊離型換算)を4.6重量%含有していた。
【0062】実施例14(ファットスプレッドの調製) 魚硬化油(融点36℃)27.6重量%、実施例10の
植物ステロール含有油脂組成物18.4重量%、水5
2.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%及
びフレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりフ
ァットスプレッドを調製した。このファットスプレッド
は、植物ステロール脂肪酸エステルを9.0重量%、遊
離の植物ステロールを0.2重量%含有していた。得ら
れたファットスプレッドは、乳化剤を添加していない
が、急冷可塑化中、保存中(3カ月)のいずれにおいて
も水の分離がなかった。また、乳化剤を添加していない
ため、風味も非常に良好であった。また、得られたファ
ットスプレッドを、基準油脂分析法(日本油化学協会)
の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガ
スクロマトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ス
テロール(遊離型換算)を5.2重量%含有していた。
【0063】実施例15(マーガリンの調製) 硬化大豆油(融点45℃)20重量%、パーム油35重
量%、実施例1の植物ステロール含有油脂組成物30重
量%、水13.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.
5重量%及びフレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑
化によりマーガリンを作成した。このマーガリンは、植
物ステロール脂肪酸エステルを4.5重量%、遊離の植
物ステロールを0.3重量%含有していた。得られたマ
ーガリンは、乳化剤を添加していないが、急冷可塑化
中、保存中(4カ月)のいずれにおいても水の分離がな
かった。また、乳化剤を添加していないため、風味も非
常に良好であった。また、得られたマーガリンを、基準
油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−19
96(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に
準じて測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)
を3.1重量%含有していた。
【0064】実施例16(ファットスプレッドの調製) 魚硬化油(融点36℃)27.6重量%、実施例1の植
物ステロール含有油脂組成物18.4重量%、水52.
3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%及びフ
レーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりファッ
トスプレッドを調製した。このファットスプレッドは、
植物ステロール脂肪酸エステルを2.8重量%、遊離の
植物ステロールを0.2重量%含有していた。得られた
ファットスプレッドは、乳化剤を添加していないが、急
冷可塑化中、保存中(3カ月)のいずれにおいても水の
分離がなかった。また、乳化剤を添加していないため、
風味も非常に良好であった。また、得られたファットス
プレッドを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.
4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロ
マトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロー
ル(遊離型換算)を1.9重量%含有していた。
【0065】実施例17 実施例11で得られたマーガリンを用いて下記表6に記
載の配合と下記製法にて食パンを製造した。得られた食
パンを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.
9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロマト
グラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロール脂
肪酸エステルを0.5重量%、遊離の植物ステロールを
0.05重量%(遊離型換算で計0.4重量%)含有し
ていた。
【0066】
【表6】
【0067】 (製法) ミキシング(中種) 低速2分、中高速2分 発酵(中種)条件 30℃ 4時間 ミキシング(本捏) 低速2分、中高速2分、油脂組成物添 加後低速2分、中高速2分、高速2分 フロアタイム 20分 分割、丸め 生地重400gに分割して、丸める ベンチタイム 20分 成形 モルダーにて ホイロ条件 38℃、50分 焼成条件 210℃、30分
【0068】実施例18 実施例12で得られたマーガリンを用いて実施例17と
同様の配合と製法にて食パンを製造した。得られた食パ
ンを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.
9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロマト
グラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロール脂
肪酸エステルを0.9重量%、遊離の植物ステロールを
0.02重量%(遊離型換算で計0.5重量%)含有し
ていた。
【0069】実施例19 実施例15で得られたマーガリンを用いて実施例17と
同様の配合と製法にて食パンを製造した。得られた食パ
ンを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.
9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロマト
グラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロール脂
肪酸エステルを0.3重量%、遊離の植物ステロールを
0.02重量%(遊離型換算で計0.2重量%)含有し
ていた。
【0070】実施例20 実施例11で得られたマーガリンを用いてビスケットを
製造した。ビスケット生地は、マーガリン35重量部、
上白糖40重量部を混ぜ合わせ、これに全卵5重量部と
水18重量部と食塩0.5重量部の混合物を加えて混ぜ
合わせ、さらに薄力粉100重量部を加えて均一に混合
して得た。このビスケット生地を直径35mm、重量4
gの円形に成形し、焼成することによりビスケットを得
た。得られたビスケットを、基準油脂分析法(日本油化
学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグ
ラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール脂肪酸エステルを2.2重量%、遊
離の植物ステロールを0.2重量%(遊離型換算で計
1.6重量%)含有していた。
【0071】実施例21 実施例12で得られたマーガリンを用いて実施例20と
同様の配合と製法にてビスケットを製造した。得られた
ビスケットを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の
2.4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガス
クロマトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ステ
ロール脂肪酸エステルを3.2重量%、遊離の植物ステ
ロールを0.06重量%(遊離型換算で計1.8重量
%)含有していた。
【0072】実施例22 実施例15で得られたマーガリンを用いて実施例20と
同様の配合と製法にてビスケットを製造した。得られた
ビスケットを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の
2.4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガス
クロマトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ステ
ロール脂肪酸エステルを1.0重量%、遊離の植物ステ
ロールを0.07重量%(遊離型換算で計0.7重量
%)含有していた。
【0073】実施例23(マーガリンの調製) 硬化大豆油(融点45℃)20重量%、実施例3の植物
ステロール含有油脂組成物65重量%、水13.3重量
%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%及びフレーバ
ー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりマーガリンを
作成した。このマーガリンは、植物ステロール脂肪酸エ
ステルを22.1重量%、遊離の植物ステロールを2.
0重量%含有していた。得られたマーガリンは、乳化剤
を添加していないが、急冷可塑化中、保存中(4カ月)
のいずれにおいても水の分離がなかった。また、乳化剤
を添加していないため、風味も非常に良好であった。ま
た、得られたマーガリンを、基準油脂分析法(日本油化
学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグ
ラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール(遊離型換算)を16.3重量%含
有していた。
【0074】実施例24(マヨネーズの調製) 卵黄9重量%、デンプン5.2重量%、砂糖8.2重量
%、食塩2.8重量%、食酢8重量%、調味香辛料1重
量%及び水35.8重量%を混合し、水相を調製した。
これに実施例1の植物ステロール含有油脂組成物30重
量%を添加し、攪拌して予備乳化後、コロイドミルによ
って仕上げ乳化を行い、マヨネーズを得た。このマヨネ
ーズは、植物ステロール脂肪酸エステルを4.5重量
%、遊離の植物ステロールを0.3重量%含有してい
た。得られたマヨネーズは、保存中(3カ月)に水の分
離がなかった。また、風味も非常に良好であった。ま
た、得られたマヨネーズを、基準油脂分析法(日本油化
学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグ
ラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール(遊離型換算)を3重量%含有して
いた。
【0075】実施例25(マヨネーズの調製) 卵黄9重量%、デンプン5.2重量%、砂糖8.2重量
%、食塩2.8重量%、食酢8重量%、調味香辛料1重
量%及び水35.8重量%を混合し、水相を調製した。
これに実施例3の植物ステロール含有油脂組成物30重
量%を添加し、攪拌して予備乳化後、コロイドミルによ
って仕上げ乳化を行い、マヨネーズを得た。このマヨネ
ーズは、植物ステロール脂肪酸エステルを10.2重量
%、遊離の植物ステロールを0.9重量%含有してい
た。得られたマヨネーズは、保存中(3カ月)に水の分
離がなかった。また、風味も非常に良好であった。ま
た、得られたマヨネーズを、基準油脂分析法(日本油化
学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグ
ラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール(遊離型換算)を7.1重量%含有
していた。
【0076】実施例26(マヨネーズの調製) 卵黄9重量%、デンプン5.2重量%、砂糖8.2重量
%、食塩2.8重量%、食酢8重量%、調味香辛料1重
量%及び水35.8重量%を混合し、水相を調製した。
これに実施例10の植物ステロール含有油脂組成物30
重量%を添加し、攪拌して予備乳化後、コロイドミルに
よって仕上げ乳化を行い、マヨネーズを得た。このマヨ
ネーズは、植物ステロール脂肪酸エステルを14.7重
量%、遊離の植物ステロールを0.3重量%含有してい
た。得られたマヨネーズは、保存中(3カ月)に水の分
離がなかった。また、風味も非常に良好であった。ま
た、得られたマヨネーズを、基準油脂分析法(日本油化
学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグ
ラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール(遊離型換算)を9.3重量%含有
していた。
【0077】実施例27(ソフトチョコレートの調製) 砂糖50重量部、カカオマス5重量部、全脂粉乳15重
量部、実施例4の植物ステロール含有油脂組成物30重
量部、レシチン0.3重量部、バニリン0.04重量部
からなる配合にて、常法に従いロール掛け、コンチング
処理し、ソフトチョコレートを得た。このソフトチョコ
レートは、植物ステロール脂肪酸エステルを8.4重量
%、遊離の植物ステロールを0.6重量%含有してい
た。得られたソフトチョコレートは、ブルームが発生せ
ず、風味も非常に良好であった。また、得られたソフト
チョコレートを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の
2.4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガス
クロマトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ステ
ロール(遊離型換算)を5.7重量%含有していた。
【0078】実施例28〈無水クリームの調製〉 実施例4の植物ステロール含有油脂組成物70重量%、
ナタネ硬化油(融点23℃)29重量%、ナタネ硬化油
(融点60℃)1重量%の油脂を混合し、急冷可塑化
し、油脂混合物を調製した。該油脂混合物35重量%、
砂糖45重量%、呈味パウダー10重量%、粉乳10重
量%を混合し、無水クリームを得た。この無水クリーム
は、植物ステロール脂肪酸エステルを6.9重量%、遊
離の植物ステロールを0.5重量%含有していた。得ら
れた無水クリームは、風味が非常に良好であった。ま
た、得られた無水クリームを、基準油脂分析法(日本油
化学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマト
グラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール(遊離型換算)を4.7重量%含有
していた。
【0079】実施例29〈サンドクリームの調製〉 実施例1の植物ステロール含有油脂組成物70重量部、
ナタネ硬化油(融点36℃)30重量部、モノグリセリ
ド0.1重量部を混合し、急冷可塑化し、油脂混合物を
調製た。該油脂混合物をホイップし比重を0.3とし
た。そしてシロップ100重量部を添加し、さらにホイ
ップし、比重0.65のサンドクリームを得た。このサ
ンドクリームは、植物ステロール脂肪酸エステルを5.
2重量%、遊離の植物ステロールを0.3重量%含有し
ていた。得られたサンドクリームは、風味が非常に良好
であった。また、得られたサンドクリームを、基準油脂
分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−1996
(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じ
て測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)を
3.5重量%含有していた。
【0080】実施例30〈ハードキャンディの調製〉 実施例2の植物ステロール含有油脂組成物100重量部
に、ポリグリセリン脂肪酸エステル23重量部、グリセ
リン脂肪酸エステル14重量部、ショ糖脂肪酸エステル
4重量部を添加してなる油脂組成物を予め用意した。こ
の乳化剤を添加してなる油脂組成物35重量部、砂糖3
5重量部、水飴8.5重量部、脱脂粉乳1.5重量部、
水40重量部を混合し、水中油型乳化物とし、これを1
40℃になるまで煮詰め、水分含量が1.9重量%とな
るまで水分をとばし、冷却、成形し、ハードキャンディ
ーを得た。このハードキャンディーは、植物ステロール
脂肪酸エステルを7.2重量%、遊離の植物ステロール
を0.5重量%含有していた。得られたハードキャンデ
ィーは、保存中の油のしみだしがなく、風味も良好であ
った。また、得られたハードキャンディーを、基準油脂
分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−1996
(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じ
て測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)を
4.9重量%含有していた。
【0081】実施例31〈ホイップクリームの調製〉 まず、水50重量%を60℃に昇温し、攪拌しながら、
脱脂粉乳4.9重量%、トリポリリン酸ナトリウム0.
1重量%を溶解させた水性相を用意した。一方、大豆硬
化油(融点36℃)10重量%、実施例3の植物ステロ
ール含有油脂組成物35重量%を混合した油性相を用意
し、上記の水性相に油性相を加え混合攪拌して、予備乳
化物を調製した。予備乳化後5MPaの圧力で均質化し
た後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌
機)で142℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で
均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間
エージングを行い、ホイップクリームを得た。このホイ
ップクリームは、植物ステロール脂肪酸エステルを1
1.9重量%、遊離の植物ステロールを1.1重量%含
有していた。得られたホイップクリームは、オーバーラ
ン、乳化安定性、耐熱保形性、風味、口どけ、造花性の
いずれも良好であった。また、得られたホイップクリー
ムを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.
9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロマト
グラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロール
(遊離型換算)を8.4重量%含有していた。
【0082】実施例32〈ホイップクリームの調製〉 まず、水50重量%を60℃に昇温し、攪拌しながら、
脱脂粉乳4.9重量%、トリポリリン酸ナトリウム0.
1重量%を溶解させた水性相を用意した。一方、バター
オイル10重量%、実施例3の植物ステロール含有油脂
組成物35重量%を混合した油性相を用意し、上記の水
性相に油性相を加え混合攪拌して、予備乳化物を調製し
た。予備乳化後5MPaの圧力で均質化した後、VTI
S殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142
℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃
まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを
行い、ホイップクリームを得た。このホイップクリーム
は、植物ステロール脂肪酸エステルを11.9重量%、
遊離の植物ステロールを1.1重量%含有していた。得
られたホイップクリームは、オーバーラン、乳化安定
性、耐熱保形性、風味、口どけ、造花性のいずれも良好
であった。また、得られたホイップクリームを、基準油
脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−199
6(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準
じて測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)を
8.4重量%含有していた。
【0083】実施例33〈ホイップクリームの調製〉 水49.5重量%を60℃に昇温し、攪拌しながら、脱
脂粉乳4.9重量%、トリポリリン酸ナトリウム0.1
重量%、ポリグリセリン脂肪酸0.2重量%を溶解させ
た水性相を用意した。一方、バターオイル10重量%、
ナタネ硬化油(融点36℃)25重量%、実施例3の植
物ステロール含有油脂組成物10重量%に大豆レシチン
0.1重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.2重量%
を溶解した油性相を用意し、上記の水性相に油性相を加
えて混合攪拌し、予備乳化物を調製した。予備乳化後5
MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルフ
ァラバル社製UHT殺菌機)で142℃、4秒間殺菌
し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。
その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、ホイップ
クリームを得た。このホイップクリームは、植物ステロ
ール脂肪酸エステルを3.4重量%、遊離の植物ステロ
ールを0.3重量%含有していた。得られたホイップク
リームは、オーバーラン、乳化安定性、耐熱保形性、風
味、口どけ、造花性のいずれも良好であった。また、得
られたホイップクリームを、基準油脂分析法(日本油化
学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグ
ラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したとこ
ろ、植物ステロール(遊離型換算)を2.4重量%含有
していた。
【0084】実施例34〈乳代替組成物の調製〉 水64重量%を60℃に昇温し、攪拌しながら、脱脂粉
乳25重量%、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.2重量
%、クエン酸ナトリウム0.2重量%、ショ糖脂肪酸エ
ステル0.3重量%を溶解した水性相に、実施例3の植
物ステロール含有油脂組成物10重量%にグリセリン脂
肪酸エステル0.3重量%を溶解した油性相を加えて混
合攪拌し、予備乳化物を調製した。予備乳化後5MPa
の圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバ
ル社製UHT殺菌機)で142℃、4秒間殺菌し、再度
15MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却、乳代替組成
物を得た。この乳代替組成物は、植物ステロール脂肪酸
エステルを3.4重量%、遊離の植物ステロールを0.
3重量%含有していた。得られた乳代替組成物は、風
味、乳化安定性のいずれも良好であった。また、得られ
た乳代替組成物を、基準油脂分析法(日本油化学協会)
の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガ
スクロマトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ス
テロール(遊離型換算)を2.4重量%含有していた。
【0085】実施例35(フライ用油脂の調製) 実施例2の植物ステロール含有油脂組成物50重量%と
沃素価111.0の菜種油50重量%を混合し、トコフ
ェロール100ppmを添加し、フライ用油脂を得た。
このフライ用油脂は、植物ステロール脂肪酸エステルを
14重量%、遊離の植物ステロールを1重量%含有して
いた。得られたフライ用油脂の酸化安定性は良好であっ
た。また、得られたフライ用油脂を、基準油脂分析法
(日本油化学協会)の2.4.9.1−1996(薄層
クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定
したところ、植物ステロール(遊離型換算)を9.5重
量%含有していた。
【0086】実施例36(フライ用油脂の調製) 実施例2の植物ステロール含有油脂組成物100重量%
に、トコフェロール100ppmを添加し、フライ用油
脂を得た。このフライ用油脂は、植物ステロール脂肪酸
エステルを28重量%、遊離の植物ステロールを2重量
%含有していた。得られたフライ用油脂の酸化安定性は
良好であった。また、得られたフライ用油脂を、基準油
脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−199
6(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準
じて測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)を
19.1重量%含有していた。
【0087】
【発明の効果】本発明の植物ステロール含有油脂組成物
は、コレステロール吸収抑制作用を付与することがで
き、かつマーガリン、ファットスプレッド、ホイップク
リーム等の乳化物の形態の油脂食品の製造に利用する場
合、乳化剤の無添加あるいは乳化剤量の低減化が可能
で、乳化剤独特の風味が無いあるいは低減化した乳化物
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23D 7/00 508 A23D 7/00 508 4B047 7/04 500 7/04 500 4H059 9/00 506 9/00 506 9/007 9/04 9/04 A23G 1/00 A23G 1/00 3/00 101 3/00 101 A23L 1/19 A23L 1/19 1/24 A 1/24 1/30 B 1/30 C11C 3/04 C11C 3/04 A23D 9/00 516 (72)発明者 丸銭 詔司 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 荒川 浩 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 奥冨 保雄 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 奥村 佳史 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B014 GB01 GB06 GG14 GL06 4B018 MD14 ME04 MF12 4B025 LB20 LB21 LG15 4B026 DC05 DH01 DL02 DP10 4B032 DB02 DB21 DK18 4B047 LB09 LG10 LG66 4H059 BA34 BB02 BB03 BB57 BC03 BC13 CA48 EA17 EA36

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物ステロール脂肪酸エステル(A)及
    び10〜70重量%の部分グリセリド(B)を含有する
    植物ステロール含有油脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記植物ステロール脂肪酸エステル
    (A)の含有量が1重量%以上である請求項1記載の植
    物ステロール含有油脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記植物ステロール脂肪酸エステル
    (A)の構成脂肪酸組成と上記部分グリセリド(B)の
    構成脂肪酸組成とが、実質的に同一である請求項1又は
    2記載の植物ステロール含有油脂組成物。
  4. 【請求項4】 遊離の植物ステロール(C)を含有し、
    上記植物ステロール脂肪酸エステル(A)と上記遊離の
    植物ステロール(C)との重量比A/Cが6以上である
    請求項1〜3の何れかに記載の植物ステロール含有油脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 トリグリセリド(D)を含有し、上記部
    分グリセリド(B)と上記トリグリセリド(D)の重量
    比B/Dが4以下である請求項1〜4の何れかに記載の
    植物ステロール含有油脂組成物。
  6. 【請求項6】 上記部分グリセリドがジグリセリド
    (E)とモノグリセリド(F)から成り、その重量比E
    /Fが5以上である請求項1〜5の何れかに記載の植物
    ステロール含有油脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の植物ステ
    ロール含有油脂組成物を使用した食品。
  8. 【請求項8】 植物ステロールと、部分グリセリド及び
    /又はトリグリセリドとを、無溶媒下でリパーゼ又はア
    ルカリを触媒としてエステル化反応を行うことを特徴と
    する植物ステロール含有油脂組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記リパーゼが、位置選択性の無いリパ
    ーゼである請求項8記載の植物ステロール含有油脂組成
    物の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記エステル化反応の反応系の水分量
    が、900ppm以下である請求項8又は9記載の植物
    ステロール含有油脂組成物の製造方法。
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