JP2015040199A - 化粧料のための組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】抱水性が高く、各種化粧料の成分として利用しやすい汎用性の高い組成物を提供する。
【解決手段】 脂肪酸ステロールエステルとステロールを重量比98:3〜80:20の割合で含有する抱水性を有する組成物、及び、それを含有する化粧料又は外用剤である。オレイン酸コレステリルとコレステロール組成物が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、皮膚や頭皮・頭髪に用いる化粧料に抱水性を付与する組成物に関する。
皮膚や頭皮・頭髪からの水分蒸散を防止してうるおいを保持し,柔軟にする効果をエモリエント効果と呼ぶ。理想的なエモリエント剤は,皮膚表面で皮脂膜を構成してうるおいを守る皮脂そのものである。したがって、化粧料には、エモリエント効果を付与する成分として各種油脂が用いられる。特に、多量の水を吸収(抱水)することのできる「抱水性油分」が保湿性ないしエモリエント性付与の目的で配合される。
エモリエント剤には,皮膚表面になめらかに伸展し,皮膚閉塞性の高い各種油性物質が好適である。各種天然油脂、脂肪酸エステル、ラノリンおよびその誘導体、脂肪族高級アルコール、炭化水素類、リン脂質、脂肪酸類などが用いられており、使用する肌質や季節などに応じて種類や量を使い分けることで、適切なエモリエント効果をもつ製品(乳液タイプのエモリエントローションや、クリーム状のエモリエントクリーム)がつくられる(特許文献1、2等)。
特開2006−241038号 特開2011−195509号
本発明は、従来知られているエモリエント剤よりもさらに抱水性が高く、各種化粧料の成分として利用しやすい汎用性の高い組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、抱水剤として用いることが知られているコレステロールやコレステロール脂肪酸エステルのうち、特定の成分を組み合わせることにより、抱水性が格段に高くなることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(1)〜(6)の組成物、及び化粧品又は外用剤を要旨とする。
(1)脂肪酸ステロールエステルとステロールを重量比98:2〜80:20の割合で含有する抱水性を有する組成物。
(2)脂肪酸ステロールエステルがオレイン酸コレステリルである(1)の組成物。
(3)ステロールがコレステロールである(1)又は(2)の組成物。
(4)(1)ないし(3)いずれかの組成物を含有する化粧料又は外用剤。
(5)化粧料又は外用剤が乳化物である(4)の化粧料又は外用剤。
(6)(1)ないし(3)いずれかの組成物を0.1〜5重量%含有する(4)又は(5)の化粧料又は外用剤。
本発明の組成物は500%以上という高い抱水性を有し、白色で臭いが無く、室温で固形物であり、44〜47℃で容易に融解する。また、本組成物を添加した化粧料の乳化安定性も高い。そのため、添加するだけで、抱水性を付与することができる汎用性の高い成分として、各種化粧料に用いることができる。
図1は実施例2の各サンプルを添加した化粧品モデルの製造直後の油滴の状態を観察した光学顕微鏡(100倍)写真である。 図2は実施例2の各サンプルを添加した化粧品モデル(増粘剤無し)の製造3日後の乳化状態を示す写真である。
本発明は脂肪酸ステロールエステルとステロールを重量比98:2〜80:20の割合で含有する抱水性を有する組成物である。さらに好ましくは、脂肪酸ステロールエステルとステロールを重量比98:3〜83:17の割合で含有する組成物である。
抱水性を有するとは、水を抱え込む性質を有することであり、抱水力100%以上、すなわち自重以上の水を保持できるものが好ましい。さらに好ましくは300%以上、特に好ましくは500%以上の抱水力を有するものである。
本発明において、脂肪酸ステロールエステルとは、ステロールと脂肪酸のエステルである。具体的には、オレイン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等のコレステロール脂肪酸エステルやオレイン酸フィトステリル、ステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等のフィトステロール脂肪酸エステルなどが例示される。オレイン酸コレステリルが特に好ましい。魚油由来のコレステロールを原料として用いて製造したオレイン酸コレステリルは安全性の点からも好まれる。
本発明において、ステロールとは、コレステロール、コレスタノール、デヒドロコレステロール、フィトステロール、フィトステノール、デヒドロフィトステロールなどが例示される。コレステロールが特に好ましい。特に魚油由来のコレステロールは安全性の点からも好まれる。
脂肪酸ステロールエステルとステロールは加熱して溶解することにより、均一に混合することができる。例えば、コレステロールとオレイン酸コレステリルでは、80℃に加熱すると容易に溶解混合することができる。
本発明の成分は抱水性があるとされている他の成分と併用してもよい。
このような抱水性油分として、プロピレングリコールモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエステル、トリメチロールプロパンジアルキルエステル、エリスリトールトリアルキルエステル、テトラグリセリンペンタアルキルエステル、アミノ酸エステル等のエステル類が挙げられ、具体的には、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等のアミノ酸エステル油剤、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット等のペンタエリスリトール安息香酸エステル油剤、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、等のグリセリン脂肪酸エステル油剤、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸、及び、(アジピン酸・2−エチルへキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、(12−ヒドロキシステアリン酸・ステアリン酸・ロジン酸)ジペンタエリスリトール、(12−ヒドロキシステアリン酸・イソステアリン酸)ジペンタエリスリトール等のジペンタエリスリット脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本発明の組成物は脂肪酸ステロールエステルとステロールを含有する組成物は、各種化粧料や外用剤の成分として用いることができる。一般的な乳液タイプの化粧料であれば、0.1〜5重量%添加するのが適当である。好ましくは0.5〜3重量%、特に好ましくは0.5〜1.5重量%である。
化粧料は水系ゲル状化粧料、水中油型化粧料が好ましく、例えば、水性ジェル、乳液、クリーム、ローション、パック、リキッドファンデーション、口紅、アイライナー、マスカラ、美容液、日焼け止め化粧料等が例示される。
本発明の組成物を添加する化粧料のその他の油相成分は特に限定されはないが、例えば、通常化粧料に配合される炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、モノエステル油等の低極性油などが挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
モノエステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレンジラフィー油等が挙げられる。
なお、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリエチルヘキサノイン(トリ2‐エチルヘキサン酸グリセリル)、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、コハク酸ジエチルヘキシル等、その他のエステル油も用いてもよい。
また、本発明においては、油相成分として油溶性の紫外線吸収剤を配合することができる。このような紫外線吸収剤として、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン(t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ジメチコンジエチルベンザルマノエート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
本発明の組成物を添加する化粧料の水相は、水あるいは水性溶媒を主な媒体としてなるものであれば、特に限定されるものではない。水相には、水あるいは水性溶媒の他、通常化粧料に用いられる成分を安定性に影響が出ない範囲内の配合量で配合していても構わない。
例えば、水相に、安定性を損ねない範囲で、使用感触、仕上がりの美しさを向上させるために、粉体を配合することも可能である。配合する粉体としては、親水性の粉末が適している。例えば、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、合成フッ素金雲母、第二リン酸カルシウムなどが挙げられる。そして、親水化処理を施した有機樹脂粉末や親水基を導入した有機樹脂粉末なども挙げられる。
また、同じく安定性を損ねない範囲で、例えば、低級アルコールや多価アルコールを配合してもよい。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−へキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖類(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解等還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール、POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
なお、通常、低級アルコールは多くの場合で乳化組成物の経時安定性を著しく低下させることが知られている。
また、本発明においては、水相に、さらに増粘剤を配合することが好適である。特に、カルボキシビニルポリマー、サクシノグリカン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガムを配合することで、経時による乳化粒子の安定性がさらに改善される。増粘剤の配合量としては、組成物全量に対して、0.1〜3質量%が好ましい。0.1質量%未満であると、乳化安定性の改善が十分でない場合があり、3質量%を超えると、よれが生じるなど使用感が悪くなることがある。
なお、本発明にかかる水中油型乳化化粧料に対する水相成分としての配合量は特に制限されないが、通常、20〜90質量%程度である。
また、本発明にかかる水中油型乳化化粧料には、上記必須成分の他、通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば、保湿剤、前記以外の紫外線吸収剤、有機系粉末、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、薬剤、植物抽出液、香料、色素等を本発明の効果を損ねない範囲で配合することができる。
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリンエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、アミノ酸、核酸、エラスチン等のタンパク質、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類等が挙げられる。
また、前記以外の紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸誘導体系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸誘導体系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸誘導体系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン誘導体系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩等のベンゾフェノン誘導体系紫外線吸収剤、ジフェニルアクリレート誘導体系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール誘導体系紫外線吸収剤、エチルヘキシルトリアジン等のトリアジン誘導体系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−3−ペンテン−2−オン等のベンジリデンカンファー誘導体系紫外線吸収剤、フェニルベンズイミダゾール誘導体系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体系紫外線吸収剤、ポリシリコーン15等のベンザルマロネート誘導体紫外線吸収剤、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニゾイルメタン、メギゾリル等が挙げられる。
有機系粉末としては、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリメチルシルセスキオキサン粉末、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー粉末、アクリル樹脂粉末等が挙げられる。
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としては、α−トコフェロール、フェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素等が挙げられる。
本発明の組成物は、外皮に適用される化粧料、医薬品、及び医薬部外品に広く適用することが可能である。また、製品形態も任意であり、例えば、化粧水、乳液、クリーム、乳化型ファンデーション、乳化型日焼け止め等とすることができる。
本発明の組成物は化粧料のうちの、その他の油性成分と混合して用いることができる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
オレイン酸コレステリルとコレステロールを含有する組成物の物性評価
<オレイン酸コレステリルの調製>
魚油由来コレステロール(日本水産株式会社製)とオレイン酸(ヤシ・パーム油等の植物油から抽出・精製/オレイン酸純度75%以上)を原料とし、魚油由来コレステロール40〜50%、オレイン酸50%〜60%の割合で混合、温度200〜250℃・反応時間5〜8時間のエステル反応後、温度170〜250℃・真空度0.005〜0.01mmHgで分子蒸留、白土を用いた脱色・ろ過を行い、温度150〜200℃・真空度20Torr以下で1〜2時間の脱臭処理後冷却し、オレイン酸コレステリルを得た。
<サンプル調製>
オレイン酸コレステリル(OMC)とコレステロール(C)を表1の比率で混合した混合物を調製した。OMCとCの混合は、80℃の温浴下で溶解、撹拌して行った。また、表2に示すその他の脂肪酸ステロールエステルについても試験した。
<抱水性試験>
試験方法(英国薬局方のラノリン含水率試験法を参考)
試料約5gを秤量して50〜60℃の水浴で加温し、撹拌しながら同温の水を徐々に添加して水が試料から排液してくるまで添加する。「排液する」とは容器を傾けたときに水が保持されずに、流れ出てくる状態をいう。水が排液しない最大重量を測定し、この数値を試料重量で除して100倍したものを抱水率とする(100%であると自重と等量の水を抱水したことになる)。安定性は6ヶ月室温保存し、水分の分離が認められるかどうかを判断した。表3の○は分離なし、△は分離あり、×は1日目で分離あり、を意味する。
結果を表3に示す。OMC単独ではほとんど抱水性を示さず実質は0%であった。コレステロール(C)も単独では抱水しない。Cを添加していくと0.2%添加より抱水性が現れ、1% では300%以上、2%以上では500%以上となった。作製した抱水物としては1%以下の添加ではツヤや滑らかさがなく不安定に見えた。一方、2%以上の添加では安定性が高く、室温6ヶ月の保管でも離水しなかった。ステアリン酸コレステリル(SC)も単独では抱水性を示さなかったが、Cを5%添加したところ、120%の抱水性を示しCの添加効果が観察された。マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル(MFP)は単独で353%であったが、抱水保持能はあまり強くなく、調整後5時間後より離水がはじまり、8時間で明確な離水が認められた。
以上の結果よりオレイン酸コレステリルとコレステロールの混合物(OMC-C)は抱水性に優れ、安定性も高いことが確認された。その効果はOMCに対して2%以上のC添加で発揮されることが確認された。
モデル処方による配合適性評価:乳化安定性
4種類の配合比のOMC-C(OMC-C0, OMC-C1, OMC-C3, OMC-C15)サンプルを表4の化粧品モデル処方に1%添加して、50, 40, 25, 5℃又は5℃と40℃を12時間毎に変動させるサイクルのいずれかの条件で3ヶ月間保存して、乳化安定性評価について検討した。なお、OMC-Cを添加しないものを作製し、対照とした。
評価は乳化液の油滴径の観察と凝集(結晶化)の有無の観察を光学顕微鏡にて行った。乳化安定性は目視による観察も行った。
各サンプルを添加した化粧品モデルの製造直後の油滴径を観察したところ、図1に示すように、OMC-C0およびOMC-C1添加化粧品では油滴の形状、大きさには影響は認められない。一方、OMC-C3、OMC-C15を添加した化粧品では油滴径が明らかに小さくなり、特にOMC-C15では非常に細かい油滴径となった。したがって、乳化物の安定性の観点からは、OMCにCを3%以上、特に15%以上添加した組成物が好ましい。
保存3カ月後では、全体的に大きな分離は認められないものの、凝集や結晶化などの性状変化が観察された。OMC-C0、OMC-C1、OMC-C3を添加した化粧品では、5℃で保存した場合に、油滴径が大きくなる傾向があった。OMC-C3は調製時の油滴径は小さかったが、25、40、50℃での保存中にOMC-C0、OMC-C1と同程度の大きさになった。OMC-C15は保存中に油滴径に変化はなかった。
油滴の状態の顕微鏡観察において、凝集(結晶化)の有無を評価し、表5に示した。凝集の程度を−、±、+、2+の4段階で評価した。OMCを添加すると5℃、40℃などで凝集が生じるが、Cを3%以上添加すると低減することができた。
図2は、油と水の分離が明確になるように表4の組成から増粘剤(カーボポール)を除去して調製したサンプルの写真である。各化粧品モデルを室温にて3日保管後に目視観察を行ったところ、対照、OMC-C0、OMC-C1添加化粧品では油分が分離し、乳化を保つ事ができなかった。一方、OMC-C3およびOMC-C15を添加した化粧品では乳化状態を保っており、特にOMC-C15では高い乳化安定性が認められた。図2の乳化液は、乳化が維持されていると不透明であり、乳化状態が壊れて水と油が分離するとサンプル瓶の背景にある三重線が透けて見えている。KC, K0, K1, K3, K15はそれぞれ、OMC無し、OMC-C0, OMC-C1, OMC-C3, OMC-C15を添加した化粧品モデルであることを示す。
以上の結果より、コレステロールの添加は3%以上が効果的で、特に15%では乳化の状態も、凝集の生成もほとんど観察されず、非常に高い乳化安定性を保持することができる。
さらにCの配合比を20%、30%に調整したOMC-C20 (OMC : C = 80 : 20)、OMC-C30 (OMC : C = 70 : 30)についても配合適性評価を行ったところ、化粧品モデルに添加時点で白濁が認められ、OMC-C30では乳化できなかった。
したがって、OMCに対するCの含有率は3〜20%程度が好ましい。そのような組成物を乳液タイプの化粧品であれば、0.5〜1.5重量%配合するのが好ましい。
本発明の組成物は周知の成分を一定の比率で組み合わせることにより、予想外の抱水性を有する組成物を提供することができる。あらゆる化粧料の成分として配合することにより、化粧料に抱水性を付与することができる。

Claims (6)

  1. 脂肪酸ステロールエステルとステロールを重量比98:2〜80:20の割合で含有する抱水性を有する組成物。
  2. 脂肪酸ステロールエステルがオレイン酸コレステリルである請求項1の組成物。
  3. ステロールがコレステロールである請求項1又は2の組成物。
  4. 請求項1ないし3いずれかの組成物を含有する化粧料又は外用剤。
  5. 化粧料又は外用剤が乳化物である請求項4の化粧料又は外用剤。
  6. 請求項1ないし3いずれかの組成物を0.1〜5重量%含有する請求項4又は5の化粧料又は外用剤。
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