JP2002203609A - 非水電解質二次電池の充電方法 - Google Patents
非水電解質二次電池の充電方法Info
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Abstract
非水電解質二次電池の製造方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質
を含有する負極と、非水溶媒を含有する非水電解質とを
具備する非水電解質二次電池の充電方法において、定電
流充電後に定電圧充電を行うことにより前記非水電解質
の前記非水溶媒に分解反応を生じさせて前記負極の表面
に保護皮膜を形成する工程と、前記負極にリチウムを吸
蔵させるための充電工程とを具備することを特徴とす
る。
Description
池の充電方法に関するものである。
水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池が商
品化されている。この電池は、リチウムコバルト酸化物
(LiCoO2)のようなリチウム含有複合酸化物を含
む活物質含有層及び前記活物質含有層が担持される集電
体を有する正極と、黒鉛質材料や炭素質材料のような炭
素質物を含む負極と、リチウム塩が溶解された有機溶媒
からなる液状の非水電解質とを備えている。
質二次電池を充電すると、負極に含まれる炭素質物の炭
素層間にリチウムイオンが挿入される。この充電状態に
ある負極の電位は、金属リチウムに近いため、負極によ
る非水電解質の還元反応が無視できない場合がある。非
水電解質の還元反応が生じると、負極の電位が変化する
ため、電池のサイクル特性及び容量が低下するという問
題点を生じる。
の際に、負極に含まれる炭素質物の炭素層間にリチウム
が吸蔵されるのに伴って溶媒がコインターカレーション
しやすい。溶媒のコインターカレーションは、二次電池
組立て後、最初に行われる充電(初充電)において特に
起こりやすい。炭素質物に溶媒が混入すると、溶媒と炭
素質物との相互作用により、炭素質物の微細構造の破壊
などの劣化現象を生じるため、電池のサイクル特性およ
び容量が低下する。
ト(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの非
水溶媒を含有する非水電解質を用い、初充電により負極
の表面に保護皮膜を形成し、負極による非水電解質の還
元分解を抑制することが試みられている。
は、リチウム吸蔵電位まで定電流充電で、その後、リチ
ウム吸蔵電位で定電圧充電を施すことによりなされるた
め、負極表面に保護皮膜が完全に形成される前にリチウ
ムの吸蔵反応に移行する。その結果、リチウム吸蔵時の
溶媒のコインターカレーションを保護皮膜で防ぐことが
困難になるため、優れたサイクル特性が得られないとい
う問題点がある。
かつ充放電サイクル特性に優れる非水電解質二次電池の
製造方法を提供することを目的とする。
方法は、正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質を含有
する負極と、非水溶媒を含有する非水電解質とを具備す
る非水電解質二次電池の充電方法において、定電流充電
後に定電圧充電を行うことにより前記非水電解質の前記
非水溶媒に分解反応を生じさせて前記負極の表面に保護
皮膜を形成する工程と、前記負極にリチウムを吸蔵させ
るための充電工程とを具備することを特徴とする非水電
解質二次電池の充電方法である。
リチウムを吸蔵・放出する物質を含有する負極と、非水
電解質とを具備する未封口の非水電解質二次電池を組み
立てる工程と、前記未封口の二次電池に、負極表面に保
護皮膜を形成するための原料ガスの存在下で、定電流充
電後に定電圧充電を施すことにより前記負極の表面に保
護皮膜を形成する工程と、前記未封口の二次電池を密閉
する工程と、前記負極にリチウムを吸蔵させるための充
電工程とを具備することを特徴とする非水電解質二次電
池の充電方法である。
リチウムを吸蔵・放出する物質を含有する負極と、還元
分解電位の異なる2種類以上の非水溶媒を含有する非水
電解質とを具備する非水電解質二次電池の充電方法にお
いて、定電流充電後に定電圧充電を施すことにより前記
非水溶媒を分解させて前記負極の表面に保護皮膜を形成
する工程を、非水溶媒1種類毎に還元分解電位が貴側に
ある方から順番に行い、前記負極の表面に多層構造の保
護皮膜を形成する工程と、前記負極にリチウムを吸蔵さ
せるための充電工程とを具備することを特徴とする非水
電解質二次電池の充電方法である。
リチウムを吸蔵・放出する物質を含有する負極と、非水
溶媒を含有する非水電解質とを具備する未封口の非水電
解質二次電池を組み立てる工程と、前記未封口の二次電
池に定電流充電後、第1の定電圧充電を行うことにより
前記非水電解質の前記非水溶媒に分解反応を生じさせて
前記負極の表面に第1層の保護皮膜を形成する工程と、
前記未封口の二次電池に、別の非水溶媒を添加した後、
密閉する工程と、前記二次電池に定電流充電後、第2の
定電圧充電を行うことにより前記別の非水溶媒に分解反
応を生じさせて前記第1層の保護皮膜の表面に第2層の
保護皮膜を形成する工程と、前記負極にリチウムを吸蔵
させるための充電工程とを具備することを特徴とする非
水電解質二次電池の充電方法である。
リチウムを吸蔵・放出する物質を含有する負極と、非水
溶媒を含有する非水電解質とを具備する未封口の非水電
解質二次電池を組み立てる工程と、前記未封口の二次電
池に定電流充電後、第1の定電圧充電を行うことにより
前記非水電解質の前記非水溶媒に分解反応を生じさせて
前記負極の表面に第1層の保護皮膜を形成する工程と、
前記未封口の二次電池に、負極表面に保護皮膜を形成す
るための原料ガスの存在下で、定電流充電後に第2の定
電圧充電を施すことにより前記第1層の保護皮膜の表面
に第2層の保護皮膜を形成する工程と、前記未封口の二
次電池を密閉する工程と、前記負極にリチウムを吸蔵さ
せるための充電工程とを具備することを特徴とする非水
電解質二次電池の充電方法である。
非水電解質二次電池の充電方法について説明する。
で充電される非水電解質二次電池について説明する。
蔵・放出する物質を含有する負極と正極とを有する電極
群と、非水溶媒を含有する非水電解質と、前記電極群及
び前記非水電解質が収納され、密閉された容器とを具備
する。この非水電解質二次電池においては、正極と負極
の間にセパレータを介在させることができる。
タ及び容器について説明する。
を適当な溶媒に懸濁し、得られた懸濁物を導電体に塗布
し、乾燥した後、加圧成形を施すことにより作製され
る。
(例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化
物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバル
ト化合物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチ
ウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物)
や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン
化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含
有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2)、リチウム
含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8C
o0.2O2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、L
iMn2O4、LiMnO2)を用いると、高電圧が得ら
れるために好ましい。
ブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることがで
きる。
フルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等
を用いることができる。
合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重
量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好まし
い。
テンレス箔、ニッケル箔、タングステン箔等を使用する
ことができる。
物と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物
を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレ
スもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製さ
れる。
は、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素など
の黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方
性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系
炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェー
ズピッチ系炭素繊維が好ましい)に500〜3000℃
で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭
素質材料等を挙げることができる。中でも、熱処理の温
度を2000℃以上にすることにより得られ、(00
2)面の面間隔d002が0.34nm以下である黒鉛結
晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このよう
な黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を備えた非水電
解液二次電池は、電池容量および大電流特性を大幅に向
上することができる。面間隔d002は、0.336nm
以下であることが更に好ましい。
フルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、
カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いること
ができる。
蔵放出する物質(例えば、炭素質物)の重量に対して2
0重量%以下の範囲内にすることが好ましい。
物90重量%以上、結着剤10重量%以下であることが
好ましい。特に、炭素質物は負極を作製した状態で50
〜200g/m2の範囲にすることが好ましい。
ス箔、ニッケル箔、タングステン箔、モリブテン箔等を
用いることができる。
する炭素質物を含む負極を備える非水電解質二次電池の
他に、金属酸化物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化
物を含む負極を備える非水電解質二次電池や、リチウム
金属またはリチウム合金からなる負極を備える非水電解
質二次電池にも同様に適用することができる。
物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化
物、タングステン酸化物等を挙げることができる。
物、チタン硫化物等を挙げることができる。
バルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒
化物等を挙げることができる。
アルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合
金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
非水電解質が挙げられる。
解質を溶解することにより調製される。
電解質を高分子材料に溶解させ、熱処理等でゲル化する
ことにより得られる。前記高分子材料としては、例え
ば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオ
キシド(PEO)、ジアクリル酸(C10)等が挙げら
れる。
電解質について説明する。
表面に保護皮膜を形成することが可能なものが含まれて
いる。初充電により分解して負極表面に保護皮膜を形成
することが可能な非水溶媒(以下、保護皮膜形成溶媒と
称す)には、例えば、プロピレンカーボネート(P
C)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボ
ネート(DMC)、プロピレンサルファイト(PS)、
エチレンサルファイト(ES)及びテトラヒドロフラン
(THF)よりなる群から選択される少なくとも1種類
の溶媒を使用することができる。
成されていても良いが、他の溶媒を併用することも可能
である。併用溶媒としては、例えば、メチルエチルカー
ボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DE
C)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−
ブチロラクトン(γ−BL)、アセトニトリル(A
N)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレン、酢酸
メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)などが挙げられ
る。かかる併用溶媒は、単独または2種以上の混合物の
形態で用いることができる。
は、体積比率で10〜80%であることが好ましい。よ
り好ましい保護皮膜形成溶媒の配合量は、体積比率で2
0〜75%である。
MEC、ECとPCとMEC、ECとMECとDEC、
ECとMECとDMC、ECとMECとPCとDECの
混合溶媒である。この混合溶媒中のMECの体積比率は
30〜80%とすることが好ましい。より好ましいME
Cの体積比率は、40〜70%の範囲である。また、非
水溶媒として、ECとγ―BLの混合溶媒も好ましい。
この混合溶媒中のγ―BLの体積比率は30〜80%で
あることが好ましい。
ム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiP
F6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒
素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホ
ン酸リチウム(LiCF3SO 3)、ビストリフルオロメ
チルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)
2]、ビスパーフルオロエチルスルフォニルイミドリチ
ウム[Li(C2F5SO2)2N]などのリチウム塩が挙
げられる。かかる電解質には、前述した種類の中から選
ばれる1種以上もしくは2種類以上のリチウム塩を使用
することができる。
5〜2モル/Lとすることが望ましい。
場合、液状非水電解質の量は、電池単位容量100mA
h当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。
ピレンまたはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む
多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることがで
きる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレ
ン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の
安全性を向上できるため、好ましい。
ことが好ましい。厚さが30μmを越えると、正負極間
の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがあ
る。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好まし
い。厚さを5μm未満にすると、セパレータの強度が著
しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがあ
る。厚さの上限値は、25μmにすることがより好まし
く、また、下限値は10μmにすることがより好まし
い。
放置したときの熱収縮率が20%以下であることが好ま
しい。熱収縮率は、15%以下にすることがより好まし
い。
囲であることが好ましい。これは次のような理由による
ものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータ
において高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れ
がある。一方、多孔度が60%を超えると、十分なセパ
レータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより
好ましい範囲は、35〜50%である。
00cm3以下であることが好ましい。空気透過率が6
00秒/100cm3を超えると、セパレータにおいて
高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れ
がある。また、空気透過率の下限値は、100秒/10
0cm3にすることが好ましい。空気透過率を100秒
/100cm3未満にすると、十分なセパレータ強度を
得られなくなる恐れがあるからである。空気透過率の上
限値は500秒/100cm3にすることより好まし
く、また、下限値は150秒/100cm3にすること
より好ましい。
が、正極及び負極の端部より延出していることが好まし
い。セパレータの延出寸法は、負極の端部より0.25
mm以上とすることが望ましい。延出寸法が不足する
と、内部ショートが生じ易くなる。セパレータの4辺全
てが正極及び負極の端部より延出していることが内部シ
ョートを防止する点で望ましい。
等にすることができる。
形成することができる。
ば、金属フィルム、熱可塑性樹脂などの樹脂製シート、
可撓性を有する金属層の片面または両面に熱可塑性樹脂
のような樹脂層が被覆されているシート等から形成する
ことができる。前記樹脂製シート及び前記樹脂層は、1
種類の樹脂もしくは2種類以上の樹脂からそれぞれ形成
することができる。一方、前記金属層は、1種類の金属
もしくは2種類以上の金属から形成することができる。
また、前記金属フィルムは、例えば、アルミニウム、
鉄、ステンレス、ニッケルなどから形成することができ
る。
る。
電圧充電を行うことにより非水電解質の非水溶媒に分解
反応を生じさせて負極の表面に保護皮膜を形成する工程
と、負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程とを具
備する。
ることにより負極表面に保護皮膜を形成する効果が得ら
れるが、非水電解質二次電池組立て後、最初に行われる
充電について適用することが好ましい。初充電を、本発
明に係る第1の充電方法で行うことによって、充放電サ
イクル特性を効果的に改善することができる。
しい。充電温度が50℃よりも高くなると、正極で非水
電解質中の非水溶媒の分解によりガス発生を生じる恐れ
がある。また、充電温度の下限は、−80℃にすること
が望ましい。充電温度が−80℃よりも低くなると、非
水電解質の分解反応速度が低下して負極表面に保護膜を
むらなく形成することが困難になる可能性がある。よっ
て、充電温度は、−80℃以上、50℃以下にすること
が好ましい。さらに好ましい範囲は、−40〜25℃で
ある。
溶媒に還元反応を生じさせて負極表面に保護皮膜が形成
されるように設定すると良い。保護皮膜の形成に最適な
負極電位は、溶媒の種類により以下に説明するように異
なる。
DMCよりなる群から選択される1種類以上の溶媒を使
用する際、定電圧充電時の負極電位は、対リチウム電極
で0.5V(vs.Li/Li+)もしくは0.5V
(vs.Li/Li+)より貴側にすることが好まし
い。負極電位を前記範囲に設定することによって、P
C、EC及びDMCの分解反応を促進することができる
ため、負極表面に均一に、かつ十分な量の保護膜を形成
することができる。その結果、二次電池の容量、充放電
サイクル特性及び保存特性を向上することが可能にな
る。定電圧充電時の負極電位のより好ましい範囲は、
0.5〜0.9V(vs.Li/Li+)である。
(CH2OCO2CH2)及びDMC(CH3OCO2C
H3)は、それぞれ、下記の化1〜化3に示す反応によ
り、リチウム炭酸アルキル化合物(ROCO2Li)を
生成する。このため、PC、EC及びDMCよりなる群
から選択される1種類以上の溶媒によると、リチウム炭
酸アルキル化合物を含む保護皮膜を形成することができ
る。リチウム炭酸アルキル化合物を含む保護皮膜は、リ
チウムイオンに対して高い導電性を示す。
合、定電圧充電時の負極電位は、対リチウム電極で2.
0V(vs.Li/Li+)にすることが好ましい。負
極電位を前記範囲に設定することによって、PSの還元
反応を促進することができるため、負極表面に均一に、
かつ十分な量の保護皮膜を形成することができる。その
結果、二次電池の容量、充放電サイクル特性及び保存特
性をより向上することが可能になる。
合、定電圧充電時の負極電位は、対リチウム電極で1.
9〜2.1V(vs.Li/Li+)の範囲内にするこ
とが好ましい。負極電位を前記範囲に設定することによ
って、ESの還元反応を促進することができるため、負
極表面に均一に、かつ十分な量の保護皮膜を形成するこ
とができる。その結果、二次電池の容量、充放電サイク
ル特性及び保存特性をより向上することが可能になる。
うち少なくともいずれか一方を使用することによって、
SEI film(Solid electrolyte interphase film)
と呼ばれるイオン導電性を持つ固体電解質の薄膜を形成
することができる。
は、リチウム吸蔵反応が生じる電位まで定電流充電を行
った後、この電位で定電圧充電を施すことにより行うこ
とができる。定電圧充電の際、負極電位は、対リチウム
電極で100〜200mV(vs.Li/Li+)の範
囲内にすることが好ましい。
によれば、定電流充電後に定電圧充電を行うことによ
り、非水電解質に含まれる非水溶媒の一部を分解して負
極の表面に均一、かつ十分な量の保護皮膜を形成するこ
とができる。その結果、充電時、特に初充電工程におけ
るリチウム吸蔵時に、負極の炭素質物の黒鉛層間に溶媒
がコインターカレーションされるのを抑制することがで
きるため、非水電解質と負極との反応を防ぐことがで
き、炭素質物の微細構造を安定に保つことができる。ま
た、この保護皮膜は、イオン導電性で、リチウムイオン
に対して導電性を有する。これらの結果として、負極が
安定化されるため、二次電池の自己放電を抑制すること
ができ、放電容量及び充放電サイクル特性を向上するこ
とができる。さらに、保護皮膜は、負極から炭素質物が
脱落するのを抑えることができるため、負極中の結着剤
の含有量を例えば2重量%以下と少なくすることがで
き、負極の利用率を向上させることができる。
て、LiAsF6及びLiClO4のうち少なくともいず
れか一方を含む電解質を含有する非水電解質を使用する
ことによって、LiAsF6及びLiClO4を1〜1.
5Vの電位(vs.Li/Li+)で分解させて、負極
表面に保護膜を形成することが可能である。
水電解質には、水を含有させても良い。非水電解質中の
H2O含有量は、700ppm〜1000ppmの範囲
内にすることが望ましい。水を添加することによって、
リチウム炭酸アルキル化合物(ROCO2Li)を含む
保護皮膜が下記化4に示す反応式によって炭酸リチウム
に変化するため、保護皮膜の安定化を図ることができ
る。
未封口の非水電解質二次電池に初充電を施す。ここで、
未封口の非水電解質二次電池とは、リチウムを吸蔵・放
出する物質を含有する負極と正極とを有する電極群と、
非水電解質が容器内に収納されているものの、容器が密
閉されていない状態にあるものを意味する。
は、前述した第1の充電方法で説明したのと同様なもの
を使用することができる。
解質、ゲル状非水電解質が挙げられる。
解質を溶解することにより調製される。
電解質を高分子材料に溶解させ、熱処理等でゲル化する
ことにより得られる。前記高分子材料には、前述した第
1の充電方法で説明したのと同様なものを使用すること
ができる。
媒として公知の非水溶媒を用いることができ、特に限定
はされないが、プロピレンカーボネート(PC)及びエ
チレンカーボネート(EC)よりなる群から選択される
1種類以上からなる第1の溶媒と、PC及びECより低
粘度であり且つドナー数が18以下である溶媒1種以上
から構成される第2の溶媒とからなる混合溶媒を主体と
する非水溶媒を用いることが好ましい。かかる混合溶媒
を主体とする非水溶媒を含む非水電解質は、負極の表面
に保護皮膜を形成することができるため、充電により負
極にリチウムが挿入されるのに伴ってリチウムと溶媒和
した非水溶媒が負極にコインターカレーションするのを
抑制することができる。
しく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチル
エチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート
(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチ
ル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、アセトニトリル
(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレン、
酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)などが挙げら
れる。かかる第2の溶媒は、単独または2種以上の混合
物の形態で用いることができる。特に、第2の溶媒のド
ナー数は、16.5以下であることがより好ましい。
mp以下であることが好ましい。
中の第1の溶媒の配合量は、体積比率で10〜80%で
あることが好ましい。より好ましい第1の溶媒の配合量
は、体積比率で20〜75%である。
のうちより好ましいのは、ECとMEC、ECとPCと
MEC、ECとMECとDEC、ECとMECとDM
C、ECとMECとPCとDECの混合溶媒である。こ
の混合溶媒中のMECの体積比率は30〜80%とする
ことが好ましい。より好ましいMECの体積比率は、4
0〜70%の範囲である。また、第1の溶媒と第2の溶
媒からなる混合溶媒として、ECとγ―BLの混合溶媒
も好ましい。この混合溶媒中のγ―BLの体積比率は3
0〜80%であることが好ましい。
ム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiP
F6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒
素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホ
ン酸リチウム(LiCF3SO 3)、ビストリフルオロメ
チルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)
2]、ビスパーフルオロエチルスルフォニルイミドリチ
ウム[Li(C2F5SO2)2N]などのリチウム塩が挙
げられる。かかる電解質には、前述した種類の中から選
ばれる1種以上もしくは2種類以上のリチウム塩を使用
することができる。中でも、LiCF3SO3、LiN
(CF3SO2)2、Li(C2F5SO2)2N、LiP
F6、LiBF4を用いるのが好ましい。
5〜2モル/Lとすることが望ましい。
場合、液状非水電解質の量は、電池単位容量100mA
h当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。
る。
電池に、負極表面に保護皮膜を形成するための原料ガス
(以下、原料ガスと称する)の存在下で、定電流充電後
に定電圧充電を施すことにより前記負極の表面に保護皮
膜を形成する工程と、前記未封口の二次電池を密閉する
工程と、前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工
程と、を具備する。
独、炭酸ガスを含む混合ガス等を使用することができ
る。炭酸ガスと併用するガスには、希ガス及び酸素ガス
のうちの少なくともいずれか一方を使用することが好ま
しい。また、希ガスとしては、アルゴンガスが好まし
い。
は、予め原料ガスが吹き込まれた非水電解質を用いて未
封口の二次電池を組み立てる方法、原料ガスを含む雰囲
気において充電する方法などを採用することができる。
明したのと同様な理由により、50℃以下にすることが
好ましい。充電温度のより好ましい範囲は、−80℃以
上、50℃以下で、さらに好ましい範囲は、−40℃以
上、25℃以下である。
極で60mV(vs.Li/Li+)もしくは60mV
(vs.Li/Li+)よりも卑側にすることが好まし
い。負極電位を前記範囲に設定することによって、保護
膜形成反応を促進することができるため、負極表面に均
一に、かつ十分な量の保護膜を形成することができる。
その結果、二次電池の容量、充放電サイクル特性及び保
存特性を向上することが可能になる。
容器内に残存する原料ガスをArガスのような希ガスで
置換することが好ましい。この置換処理としては、容器
内に高圧の希ガスを導入することにより容器内の原料ガ
スを希ガスに強制的に置換する方法や、希ガス雰囲気に
二次電池を放置する方法が挙げられる。
は、例えば、前述した第1の充電方法で説明したのと同
様な方法により行うことができる。
によれば、未封口の二次電池に、負極表面に保護皮膜を
形成するための原料ガスの存在下で、定電流充電後に定
電圧充電を施すことによって、前記負極と前記ガスとを
反応させて前記負極の表面に均一に、かつ十分な量の保
護皮膜を形成することができる。その結果、充電時、特
に初充電工程におけるリチウム吸蔵時に、負極の炭素質
物の黒鉛層間に溶媒がコインターカレーションされるの
を抑制することができるため、非水電解質と負極との反
応を防ぐことができ、炭素質物の微細構造を安定に保つ
ことができる。前記原料ガスの一例である炭酸ガスは、
以下の化5に示す反応によりLi2CO3の皮膜を生成す
ることができる。
SEI film(Solid electrolyteinterphase film)と
呼ばれるイオン導電性を持つ固体電解質の薄膜であるた
め、リチウムイオンに対して導電性を有する。これらの
結果として、負極が安定化されるため、二次電池の自己
放電を抑制することができ、放電容量及び充放電サイク
ル特性を向上することができる。
される非水電解質二次電池は、リチウムを吸蔵・放出す
る物質を含有する負極と正極とを有する電極群と、還元
分解電位の異なる2種類以上の非水溶媒を含有する非水
電解質と、前記電極群及び前記非水電解質が収納され、
密閉された容器とを具備する。この非水電解質二次電池
においては、正極と負極の間にセパレータを介在させる
ことができる。
いては、前述した第1の充電方法で説明したのと同様な
ものを挙げることができる。
解質、ゲル状非水電解質が挙げられる。
解質を溶解させることにより調製される。
電解質を高分子材料に溶解させ、熱処理等でゲル化する
ことにより得られる。前記高分子材料には、前述した第
1の充電方法で説明したのと同様なものを使用すること
ができる。
媒には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカ
ーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DM
C)、プロピレンサルファイト(PS)、エチレンサル
ファイト(ES)及びテトラヒドロフラン(THF)よ
りなる群から選択される2種類以上の溶媒を使用するこ
とができる。
以上の非水溶媒のみから形成されていても良いが、他の
溶媒を併用することも可能である。併用溶媒としては、
前述した第1の充電方法で説明したのと同様なものを挙
げることができる。
る2種類以上の非水溶媒の配合量は、体積比率で10〜
80%であることが好ましい。より好ましい配合量は、
体積比率で20〜75%である。
MEC、ECとPCとMEC、ECとMECとDEC、
ECとMECとDMC、ECとMECとPCとDECの
混合溶媒である。この混合溶媒中のMECの体積比率は
30〜80%とすることが好ましい。より好ましいME
Cの体積比率は、40〜70%の範囲である。また、非
水溶媒として、ECとγ―BLの混合溶媒も好ましい。
この混合溶媒中のγ―BLの体積比率は30〜80%で
あることが好ましい。
で説明したのと同様なものを挙げることができる。
5〜2モル/Lとすることが望ましい。
場合、液状非水電解質の量は、電池単位容量100mA
h当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。
る。
電圧充電を施すことにより前記非水溶媒を分解させて前
記負極の表面に保護皮膜を形成する工程を、非水溶媒1
種類毎に還元分解電位が貴側にある方から順番に行い、
前記負極の表面に多層構造の保護皮膜を形成する工程
と、前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程と
を具備する。
ても負極表面に保護皮膜を形成する効果が得られるが、
非水電解質二次電池組立て後、最初に行われる充電につ
いて適用することが好ましい。初充電を、本発明に係る
第1の充電方法で行うことによって、充放電サイクル特
性を効果的に改善することができる。
明する方法で行う。まず、定電流充電後に第1の定電圧
充電を施すことにより前記非水溶媒のうち還元分解電位
が最も貴側にある非水溶媒を分解させて前記負極の表面
に第1層の保護皮膜を形成する。次いで、還元分解電位
が2番目に貴側にある非水溶媒を分解させて前記第1層
の保護皮膜の表面に第2層の保護皮膜を形成する。この
ような保護皮膜形成を、還元分解電位が貴側にある方か
ら順番に行うことにより、負極表面に多層構造の保護皮
膜を形成する。
用いる場合、以下に説明する方法で保護皮膜の形成を行
う。まず、定電流充電後に第1の定電圧充電を施すこと
により前記非水溶媒のうち還元分解電位が貴側にある第
1の非水溶媒を分解させて前記負極の表面に保護皮膜を
形成する。次いで、定電流充電後、第2の定電圧充電を
行うことにより、残りの非水溶媒(還元分解電位が第1
の非水溶媒に比べて卑側にある非水溶媒)を分解させて
前記第1層の保護皮膜の表面に第2層の保護皮膜を形成
する。
した第1の充電方法で説明したのと同様な理由により、
50℃以下にすることが好ましい。充電温度のより好ま
しい範囲は、−80℃以上、50℃以下で、さらに好ま
しい範囲は、−40℃以上、25℃以下である。
好ましい組み合わせとしては、還元分解電位が比較的貴
側にある非水溶媒にプロピレンサルファイト(PS)及
びエチレンサルファイト(ES)のうちの少なくとも一
方を使用し、かつ還元分解電位が比較的卑側にある非水
溶媒にプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカー
ボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)
よりなる群から選択される1種類以上を使用する例を挙
げることができる。このような組み合わせによると、負
極表面に形成されるSEI film(Solid electrolyte
interphase film)と呼ばれるイオン伝導性の固体電解
質膜と、この膜上に形成されるリチウム炭酸アルキル化
合物(ROCO2Li)を含む皮膜とからなる二層構造
の保護皮膜を形成することができる。
は、例えば、前述した第1の充電方法で説明したのと同
様な方法により行うことができる。
によれば、定電流充電後に定電圧充電を施すことにより
前記非水溶媒を分解させて前記負極の表面に保護皮膜を
形成する工程を、非水溶媒1種類毎に還元分解電位が貴
側にある方から順番に行い、前記負極の表面に多層構造
の保護皮膜を形成する。このような保護皮膜は、充電
時、特に初充電工程におけるリチウム吸蔵時に、負極の
炭素質物の黒鉛層間に溶媒がコインターカレーションさ
れるのを十分に抑制することができるため、非水電解質
と負極との反応を防ぐことができ、炭素質物の微細構造
を安定に保つことができる。また、この保護皮膜は、イ
オン導電性で、リチウムイオンに対して導電性を有す
る。これらの結果として、負極が安定化されるため、二
次電池の自己放電を抑制することができ、放電容量及び
充放電サイクル特性を向上することができる。さらに、
この保護皮膜は、負極から炭素質物が脱落するのを抑え
ることができるため、負極中の結着剤の含有量を例えば
2重量%以下と少なくすることができ、負極の利用率を
向上させることができる。
される未封口の非水電解質二次電池は、リチウムを吸蔵
・放出する物質を含有する負極と正極とを有する電極群
と、非水電解質が容器内に収納されているものの、容器
が密閉されていない状態にあるものである。
容器については、前述した第1の充電方法で説明したの
と同様なものを使用することができる。
る。
電池に定電流充電後、第1の定電圧充電を行うことによ
り前記非水電解質の前記非水溶媒に分解反応を生じさせ
て前記負極の表面に第1層の保護皮膜を形成する第1の
保護皮膜形成工程と、前記未封口の二次電池に、別の非
水溶媒を添加した後、密閉する工程と、前記二次電池に
定電流充電後、第2の定電圧充電を行うことにより前記
別の非水溶媒に分解反応を生じさせて前記第1層の保護
皮膜の表面に第2層の保護皮膜を形成する第2の保護皮
膜形成工程と、前記負極にリチウムを吸蔵させるための
充電工程とを具備する。
ーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)及
びジメチルカーボネート(DMC)よりなる群から選択
される1種類以上の溶媒による保護皮膜を形成し、かつ
第2の保護皮膜形成工程で、プロピレンサルファイト
(PS)及びエチレンサルファイト(ES)のうちの少
なくとも一方の溶媒による保護皮膜を形成することが好
ましい。このような方法によると、負極表面に形成され
るリチウム炭酸アルキル化合物(ROCO2Li)を含
む皮膜と、この皮膜上に形成されるSEI film(Soli
d electrolyte interphase film)と呼ばれるイオン伝
導性の固体電解質膜とからなる二層構造の保護皮膜を形
成することができる。
る非水溶媒の添加量は、非水電解質全体量に対して体積
比率で5%以下にすることが好ましい。特に、負極表面
に保護皮膜を緻密に形成する観点から、添加量は、非水
電解質全体量に対して体積比率で0.01%以上、5%
以下にすることがより好ましい。
程における充電温度は、前述した第1の充電方法で説明
したのと同様な理由により、50℃以下にすることが好
ましい。充電温度のより好ましい範囲は、−80℃以
上、50℃以下で、さらに好ましい範囲は、−40℃以
上、25℃以下である。
程において、定電圧充電時の負極電位は、非水溶媒に還
元反応を生じさせて負極表面に保護皮膜が形成されるよ
うに設定すると良い。各種非水溶媒についての保護皮膜
形成に最適な負極電位は、前述した第1の充電方法で説
明したのと同様な範囲に設定することができる。
は、例えば、前述した第1の充電方法で説明したのと同
様な方法により行うことができる。
によれば、未封口の二次電池に、定電流充電後に定電圧
充電を行うことにより、非水電解質に含まれる非水溶媒
を分解して負極の表面に均一、かつ十分な量の第1層の
保護皮膜を形成することができる。次いで、前記未封口
の二次電池に別の非水溶媒を添加した後、密閉し、前記
二次電池に定電流充電後に第2の定電圧充電を行うこと
によって、前記第1層の保護皮膜の表面に第2層の保護
皮膜を形成することができ、二層構造の保護皮膜を得る
ことができる。
るリチウム吸蔵時に、負極の炭素質物の黒鉛層間に溶媒
がコインターカレーションされるのを十分に抑制するこ
とができるため、非水電解質と負極との反応を防ぐこと
ができ、炭素質物の微細構造を安定に保つことができ
る。また、この保護皮膜は、イオン導電性で、リチウム
イオンに対して導電性を有する。これらの結果として、
負極が安定化されるため、二次電池の自己放電を抑制す
ることができ、放電容量及び充放電サイクル特性を向上
することができる。さらに、保護皮膜は、負極から炭素
質物が脱落するのを抑えることができるため、負極中の
結着剤の含有量を例えば2重量%以下と少なくすること
ができ、負極の利用率を向上させることができる。
される未封口の非水電解質二次電池は、リチウムを吸蔵
・放出する物質を含有する負極と正極とを有する電極群
と、非水電解質が容器内に収納されているものの、容器
が密閉されていない状態にあるものである。
容器については、前述した第1の充電方法で説明したの
と同様なものを使用することができる。
る。
電池に定電流充電後、第1の定電圧充電を行うことによ
り前記非水電解質の前記非水溶媒に分解反応を生じさせ
て前記負極の表面に第1層の保護皮膜を形成する工程
と、前記未封口の二次電池に、負極表面に保護皮膜を形
成するための原料ガスの存在下で、定電流充電後に第2
の定電圧充電を施すことにより前記保護皮膜の表面に第
2層の保護皮膜を形成する工程と、前記未封口の二次電
池を密閉する工程と、前記負極にリチウムを吸蔵させる
ための充電工程とを具備する。
は、充電温度は、前述した第1の充電方法で説明したの
と同様な理由により、50℃以下にすることが好まし
い。充電温度のより好ましい範囲は、−80℃以上、5
0℃以下で、さらに好ましい範囲は、−40℃以上、2
5℃以下である。
電時の負極電位は、保護皮膜形成溶媒に還元反応を生じ
させて負極表面に保護皮膜が形成されるように設定する
と良い。第1層の保護皮膜の形成に最適な負極電位は、
前述した第1の充電方法で説明したのと同様な条件に設
定することができる。
ガスとしては、前述した第2の充電方法で説明したのと
同様なものを挙げることができる。このガスの存在下で
充電を行う方法としては、予めガスが吹き込まれた非水
電解質を用いて未封口の二次電池を組み立てる方法、ガ
スを含む雰囲気において充電する方法などを採用するこ
とができる。
電時の負極電位は、前述した第2の充電方法で説明した
のと同様な理由により、対リチウム電極で60mV(v
s.Li/Li+)もしくは60mV(vs.Li/L
i+)より卑側にすることが好ましい。
容器内に残存する原料ガスをArガスのような希ガスで
置換することが好ましい。この置換処理としては、容器
内に高圧の希ガスを導入することにより容器内の原料ガ
スを希ガスに強制的に置換する方法や、希ガス雰囲気に
二次電池を放置する方法が挙げられる。
は、例えば、前述した第1の充電方法で説明したのと同
様な方法により行うことができる。
によれば、定電流充電後に定電圧充電を行うことによ
り、非水電解質に含まれる非水溶媒を分解して負極の表
面に均一、かつ十分な量の第1層保護皮膜を形成するこ
とができる。次いで、負極表面に保護皮膜を形成するた
めの原料ガスの存在下で、定電流充電後に第2の定電圧
充電を施すことにより前記第1層保護皮膜の表面に第2
層の保護皮膜を形成することによって、非水電解質によ
る保護皮膜の安定化を図ることができる。例えば、P
C、EC及びDMCよりなる群から選択される1種類以
上の溶媒を含む非水電解質を使用し、かつ負極表面に保
護皮膜を形成することが可能な原料ガスとして炭酸ガス
を用いると、負極の表面にリチウム炭酸アルキル化合物
(ROCO2Li)を含む保護皮膜を形成することがで
き、さらにこの保護皮膜上にLi2CO3を含む固体電解
質皮膜を形成することが可能になる。
るリチウム吸蔵時に、負極の炭素質物の黒鉛層間に溶媒
がコインターカレーションされるのを十分に抑制するこ
とができるため、非水電解質と負極との反応を防ぐこと
ができ、炭素質物の微細構造を安定に保つことができ
る。また、この保護皮膜は、イオン導電性で、リチウム
イオンに対して導電性を有する。これらの結果として、
負極が安定化されるため、二次電池の自己放電を抑制す
ることができ、放電容量及び充放電サイクル特性を向上
することができる。さらに、保護皮膜は、負極から炭素
質物が脱落するのを抑えることができるため、負極中の
結着剤の含有量を例えば2重量%以下と少なくすること
ができ、負極の利用率を向上させることができる。
して詳細に説明する。
CoO2;但し、原子比xは0≦x≦1である)粉末9
1重量%と、アセチレンブラック3重量%と、グラファ
イト3重量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン
(PVdF)3重量%と、溶媒であるN−メチル−2−
ピロリドン(NMP)とを混合することによりスラリー
を調製した。
ニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、
プレスすることにより、密度が3g/cm3の活物質含
有層が集電体の両面に担持された構造の正極を得た。
℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(繊維径
が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔
(d002)が0.3360nm)の粉末を93重量%
と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)7
重量%とを混合し、スラリーを調製した。前記スラリー
を厚さが12μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布
し、乾燥し、プレスすることにより電極密度が1.4g
/cm3の活物質含有層が集電体に担持された構造の負
極を作製した。
℃、1時間での熱収縮が20%で、多孔度が50%のポ
リエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを用意
した。
ト(EC)とγ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶媒
(混合体積比率1:2)に四フッ化ホウ酸リチウム(L
iBF4)をその濃度が1.5Mになるように溶解させ
て、界面活性剤としてトリオクチルホスフェート(TO
P)を0.5%と、保護皮膜を形成することが可能な添
加物としてプロピレンサルファイト(PS)とを添加し
て、非水電解液(液状非水電解質)を調製した。なお、
得られた非水電解液において、EC,GBL及びPSよ
りなる混合非水溶媒中のPSの含有量を4体積%とし
た。
の正極リードを溶接し、前記負極の集電体に帯状の負極
リードを溶接した後、前記正極および前記負極をその間
に前記セパレータを介して渦巻き状に捲回し、電極群を
作製した。
ス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納して、図1に示
す構造を有する円筒形リチウムイオン二次電池を組み立
てた。
の容器1は、底部に絶縁体2が配置されている。電極群
3は、前記容器1に収納されている。前記電極群3は、
正極4、セパレータ5、負極6及びセパレータ5を積層
した帯状物を前記セパレータ5が外側に位置するように
渦巻き状に捲回した構造になっている。
ている。中央部が開口された絶縁紙7は、前記容器1内
の前記電極群3の上方に配置されている。絶縁封口板8
は、前記容器1の上部開口部に配置され、かつ前記上部
開口部付近を内側にかしめ加工することにより前記封口
板8は前記容器1に固定されている。正極端子9は、前
記絶縁封口板8の中央に嵌合されている。正極リード1
0の一端は、前記正極4に、他端は前記正極端子9にそ
れぞれ接続されている。前記負極6は、図示しない負極
リードを介して負極端子である前記容器1に接続されて
いる。
当)の定電流で1.79V{負極電位は2.0V(v
s.Li/Li+)}まで充電した後、その電位で定電
圧充電を30分行い、還元分解電位が貴側にある溶媒
(PS)による1層目の皮膜を形成した。次いで、10
0mA(0.2C相当)の定電流で3.28V{負極電
位は0.5V(vs.Li/Li+)}まで充電した
後、その電位で定電圧充電を30分行い、還元分解電位
がPSよりも卑側にある溶媒(EC)による2層目の皮
膜を形成した。
で4.2Vまで定電流充電を行った後、定電圧充電を施
した。この定電流充電と定電圧充電は、合計で10時間
行った。
ットオフ電圧は3.0Vとし電池容量を確認した。その
後、この電池を500mA(1.0C相当)−4.2V
−3時間の定電流−定電圧充電を行い、500mA
(1.0C相当)−3.0Vカットの定電流放電を行う
という方法でサイクル試験を行い、500サイクル後の
放電容量を下記表1に示す。
C)とγ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶媒(混合
体積比率1:2)に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF
4)をその濃度が1.5Mになるように溶解させて、界
面活性剤としてトリオクチルホスフェート(TOP)を
0.5%を添加して、非水電解液(液状非水電解質)を
調製した。
は、前述した実施例1で説明したのと同様にして円筒形
非水電解質二次電池を組み立てた。
ブに従って初充電を施した。すなわち、100mA
(0.2C相当)の定電流で3.28V{負極電位は
0.5V(vs.Li/Li+)}まで充電した後、そ
の電位V1で定電圧充電を30分行った。次いで、10
0mA(0.2C相当)で4.2Vまで定電流充電を行
った後、4.2V(V2)で定電圧充電を施した。この
定電流充電と定電圧充電は、合計で10時間行った。な
お、図2において、横軸Tは時間、左側の縦軸E(V)
は電池電圧、右側の縦軸I(mA)は充電電流を示す。
また、図2中の実線で示すカーブ(V)が電池電圧曲線
で、点線で示すカーブ(I)が充電電流曲線である。
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして充放
電サイクル試験を行い、500サイクル目の放電容量を
下記表1に示す。
C)とエチレンサルファイト(ES)の混合溶媒(混合
体積比率95:5)に過塩素酸リチウム(LiClO
4)をその濃度が1Mになるように溶解させて、界面活
性剤としてトリオクチルホスフェート(TOP)を0.
5%を添加して、非水電解液(液状非水電解質)を調製
した。
は、前述した実施例1で説明したのと同様にして円筒形
非水電解質二次電池を組み立てた。
当)の定電流で1.89V{負極電位は1.9V(v
s.Li/Li+)}まで充電した後、その電位で定電
圧充電を30分行った。次いで、100mA(0.2C
相当)で4.2Vまで定電流充電を行った後、定電圧充
電を施した。この定電流充電と定電圧充電は、合計で1
0時間行った。
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして充放
電サイクル試験を行い、500サイクル目の放電容量を
下記表1に示す。
C)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(混
合体積比率1:3)に六フッ化砒素リチウム(LiAs
F6)をその濃度が1Mになるように溶解させて非水電
解液(液状非水電解質)を調製した。次いで、非水電解
液中に炭酸ガス(CO2)を飽和になるように吹き込ん
だ。
をしないこと以外は、前述した実施例1で説明したのと
同様にして未封口の円筒形非水電解質二次電池を組み立
てた。
当)の定電流で3.73V{負極電位は0.055V
(vs.Li/Li+)}まで充電した後、その電位で
定電圧充電を30分行った。次いで、電池をアルゴンガ
ス雰囲気に放置し、電池内に残存するCO2をアルゴン
ガスで置換した後、電池に蓋をし、100mA(0.2
C相当)で4.2Vまで定電流充電を行った後、定電圧
充電を施した。この定電流充電と定電圧充電は、合計で
10時間行った。
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして充放
電サイクル試験を行い、500サイクル目の放電容量を
下記表1に示す。
C)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(混
合体積比率1:3)に六フッ化砒素リチウム(LiAs
F6)をその濃度が1Mになるように溶解させて非水電
解液(液状非水電解質)を調製した。
をしないこと以外は、前述した実施例1で説明したのと
同様にして未封口の円筒形非水電解質二次電池を組み立
てた。
流で3.28V{負極電位は0.5V(vs.Li/L
i+)}まで充電した後、その電位で定電圧充電を30
分行った。この段階で、負極表面に第1層の保護皮膜が
形成された。
(5atm)に放置し、10分後、100mA(0.2
C相当)の定電流で3.73V{負極電位は0.055
V(vs.Li/Li+)}まで充電した後、その電位
で定電圧充電を30分行った。次いで、電池をアルゴン
ガス雰囲気に放置し、電池内に残存するCO2をアルゴ
ンガスで置換した後、電池に蓋をして、100mA
(0.2C相当)で4.2Vまで定電流充電を行った
後、定電圧充電を施した。この定電流充電と定電圧充電
は、合計で10時間行った。
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして充放
電サイクル試験を行い、500サイクル目の放電容量を
下記表1に示す。
C)とγ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶媒(混合
体積比率1:2)に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF
4)をその濃度が1.5Mになるように溶解させ、界面
活性剤としてトリオクチルホスフェート(TOP)を
0.5%を添加して、非水電解液(液状非水電解質)を
調製した。
をしないこと以外は、前述した実施例1で説明したのと
同様にして未封口の円筒形非水電解質二次電池を組み立
てた。
電流で3.28V{負極電位は0.5V(vs.Li/
Li+)}まで充電した後、その電位で定電圧充電を3
0分行った。この段階で第1層の皮膜が形成された。
を添加し、電池の蓋をし、第2層の皮膜を形成するため
に、100mA(0.2C相当)の定電流で1.79V
{負極電位は2V(vs.Li/Li+)}まで充電し
た後、その電位で定電圧充電を30分行った。次いで、
100mA(0.2C相当)で4.2Vまで定電流充電
を行った後、定電圧充電を施した。この定電流充電と定
電圧充電は、合計で10時間行った。
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして充放
電サイクル試験を行い、500サイクル目の放電容量を
下記表1に示す。
ただし、初期充電においては、100mA(0.2C相
当)4.2Vの定電流・定電圧充電を10時間行なっ
た。
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして充放
電サイクル試験を行い、500サイクル目の放電容量を
下記表1に示す。
二次電池は、比較例の二次電池に比べて充放電サイクル
寿命を向上できることがわかる。
次電池についてのサイクル数変化に伴う放電容量カーブ
を示したが、この図3からも、実施例1の二次電池は、
長期のサイクルに亘って高い放電容量を維持できること
がわかる。
を収納する容器として金属缶を使用する例を説明した
が、少なくとも樹脂層を含むラミネートフィルムから形
成した容器を用いる非水電解質二次電池にも同様に適用
することができる。
高容量で、長寿命で、かつ保存特性に優れる非水電解質
二次電池の製造方法を提供することができる。
す部分切欠断面図。
す特性図。
次電池における充放電サイクル数の増加に伴う放電容量
変化を示す特性図。
Claims (5)
- 【請求項1】 正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質
を含有する負極と、非水溶媒を含有する非水電解質とを
具備する非水電解質二次電池の充電方法において、 定電流充電後に定電圧充電を行うことにより前記非水電
解質の前記非水溶媒に分解反応を生じさせて前記負極の
表面に保護皮膜を形成する工程と、 前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程とを具
備することを特徴とする非水電解質二次電池の充電方
法。 - 【請求項2】 正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質
を含有する負極と、 非水電解質とを具備する未封口の非水電解質二次電池を
組み立てる工程と、 前記未封口の二次電池に、負極表面に保護皮膜を形成す
るための原料ガスの存在下で、定電流充電後に定電圧充
電を施すことにより前記負極の表面に保護皮膜を形成す
る工程と、 前記未封口の二次電池を密閉する工程と、 前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程とを具
備することを特徴とする非水電解質二次電池の充電方
法。 - 【請求項3】 正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質
を含有する負極と、還元分解電位の異なる2種類以上の
非水溶媒を含有する非水電解質とを具備する非水電解質
二次電池の充電方法において、 定電流充電後に定電圧充電を施すことにより前記非水溶
媒を分解させて前記負極の表面に保護皮膜を形成する工
程を、非水溶媒1種類毎に還元分解電位が貴側にある方
から順番に行い、前記負極の表面に多層構造の保護皮膜
を形成する工程と、 前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程とを具
備することを特徴とする非水電解質二次電池の充電方
法。 - 【請求項4】 正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質
を含有する負極と、非水溶媒を含有する非水電解質とを
具備する未封口の非水電解質二次電池を組み立てる工程
と、 前記未封口の二次電池に定電流充電後、第1の定電圧充
電を行うことにより前記非水電解質の前記非水溶媒に分
解反応を生じさせて前記負極の表面に第1層の保護皮膜
を形成する工程と、 前記未封口の二次電池に、別の非水溶媒を添加した後、
密閉する工程と、 前記二次電池に定電流充電後、第2の定電圧充電を行う
ことにより前記別の非水溶媒に分解反応を生じさせて前
記第1層の保護皮膜の表面に第2層の保護皮膜を形成す
る工程と、 前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程とを具
備することを特徴とする非水電解質二次電池の充電方
法。 - 【請求項5】 正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質
を含有する負極と、非水溶媒を含有する非水電解質とを
具備する未封口の非水電解質二次電池を組み立てる工程
と、 前記未封口の二次電池に定電流充電後、第1の定電圧充
電を行うことにより前記非水電解質の前記非水溶媒に分
解反応を生じさせて前記負極の表面に第1層の保護皮膜
を形成する工程と、 前記未封口の二次電池に、負極表面に保護皮膜を形成す
るための原料ガスの存在下で、定電流充電後に第2の定
電圧充電を施すことにより前記第1層の保護皮膜の表面
に第2層の保護皮膜を形成する工程と、 前記未封口の二次電池を密閉する工程と、 前記負極にリチウムを吸蔵させるための充電工程とを具
備することを特徴とする非水電解質二次電池の充電方
法。
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