JP2019061823A - 非水電解質二次電池の製造方法及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池の製造方法及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電極体と電槽内の気体との間の反応によって生じる電池性能の劣化を抑制することのできる非水電解質二次電池の製造方法、及び、非水電解質二次電池を提供する。【解決手段】極板群20を電池ケース11内に収容している非水電解質二次電池の製造方法は、正極板21と負極板22とをセパレータ23を挟んで捲回する捲回工程と、極板群20と非水電解質27とを電池ケース11内に収容する収容工程と、電池ケース11内の気体の一部を不活性ガスに置換して電池ケース11を封止する不活性ガス封入工程と、二次電池10を充電後に放電する放電工程とを備える。捲回工程では、負極板22が正極板21よりも外周になるように捲回し、不活性ガス封入工程では、放電工程後における電池ケース11内の活性ガスの割合が所定割合以下となるように、電池ケース11内の気体の一部を不活性ガスに置き換える。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池の製造方法、及び、非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であることから、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、電極芯体の両面に活物質層を設けた正極板及び負極板をセパレータを介して捲回又は積層した電極体であれば、正極板及び負極板の対向面積が大きくなり大電流を取り出し易いものとなる。
一方、リチウムイオン二次電池は、長期保存した場合に生じる自己放電や電池性能の劣化が問題となることもある。そこで例えば、正極からの金属流出を促進するフッ化水素酸(HF)の生成を抑制することで電池性能の劣化を抑制するようにした技術の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含む非水電解質を有し、非水電解質がリン酸リチウム(LiPO)を含む。
特開2005−71641号公報
特許文献1に記載の技術によれば、リン酸リチウム(LiPO)を含むことで非水電解質中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF)が水分と接したとしてもフッ化水素酸(HF)の生成が抑制されるようになる。
ところで、リチウムイオン二次電池は、長期保存した場合に生じる自己放電や電池性能の劣化が、電極体と電槽内の気体との間の反応に起因して生じることも知られている。この点、特許文献1に記載の技術は、電極体と非水電解質との反応を抑制することができるものの、電極体と電槽内の気体との反応を抑制するものではない。また、電極体と電槽内の気体との間の反応とはいえ、長期保存における反応となると、この反応に起因する電池性能の劣化等も無視できないものとなる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極体と電槽内の気体との間の反応によって生じる電池性能の劣化を抑制することのできる非水電解質二次電池の製造方法、及び、非水電解質二次電池を提供することにある。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の製造方法は、電極体を電槽に収容している非水電解質二次電池の製造方法であって、正極板と金属製の集電箔の両面に活物質を有する負極板とをセパレータを挟んで捲回することで前記電極体を作製する捲回工程と、前記電極体と非水電解質とを前記電槽に収容する収容工程と、前記電極体と前記非水電解質とが収容された前記電槽内の気体の一部を不活性ガスに置換するとともに、この置換した状態で前記電槽を封止する不活性ガス封入工程と、前記電槽の封止された二次電池を充電後に放電する放電工程とを備え、前記捲回工程では、前記負極板を前記正極板よりも外周に配置する部分を有するように捲回し、前記不活性ガス封入工程では、前記放電工程後における前記電槽内の活性ガスの割合が、前記不活性ガス封入工程で前記電槽内にある気体の一部を不活性ガスに置き換えないときの前記放電工程後における前記電槽内の活性ガスの割合よりも低い割合である所定割合以下となるように、前記電槽内の気体の一部を不活性ガスに置き換える。
充電状態にある非水電解質二次電池は、負極板にリチウムイオンが保持された状態にあるが、これが長期保存されると自己放電や電池性能の劣化が生じる。すなわち、負極板に保持されたリチウムイオンが活性ガスと反応することによって失活して炭酸リチウム(LiCO)となってしまったり、負極板の内周と外周との電位差により負極板の内周から外周にリチウムイオンが移動して充電量が減少したりする。この点、このような方法によれば、放電工程後における電槽内の活性ガスの割合が所定割合以下になるように、不活性ガス封入工程で電槽内の気体の一部が不活性ガスに置き換えられる。これにより、最外周の負極板の負極活物質が電槽内の活性ガスと反応する割合を低下させて、充電状態の負極板に保持されているリチウムイオンの減少が抑制されるようになることから、電槽内の気体によって生じる電池性能の劣化を抑制することができるようになる。
好ましい方法として、前記捲回工程では、最外周の少なくとも一部に前記負極板が配置されるように前記電極体を捲回する。
このような方法によれば、電極体の負極板が最外周に配置されて電槽内の気体と反応しやすい状態にあるとしても、電槽内に封入した不活性ガスによって活性ガスとの反応が抑えられるようになる。
好ましい方法として、前記不活性ガス封入工程では、前記所定割合が30%以下になるように、前記電槽内の気体の一部を不活性ガスに置き換える。
このような方法によれば、放電工程後の活性ガスの割合が30%以下になるので電槽内の気体に接する負極板におけるリチウムイオンの失活や自己放電が抑制されるようになる。
好ましい方法として、前記不活性ガス封入工程では、前記不活性ガスとして、ヘリウムガス(He)及びアルゴンガス(Ar)の少なくとも一方が用いられる。
このような方法によれば、ヘリウムガス及びアルゴンガスによって負極板のリチウムイオンの失活等が抑制される。
好ましい方法として、前記不活性ガス封入工程と前記放電工程の終了との間にさらに、所定の充電量で二次電池を充電する充電工程と、前記充電工程で充電された後、所定の期間だけ所定の高温環境下に二次電池を維持する高温エージング工程とを備える。
このような方法によれば、封止後に充電工程及び高温エージング工程で活性ガスの割合が上昇したとしても、電槽内の活性ガスの割合を、充電工程及び高温エージング工程の後において所定割合に抑えることができるようになる。
好ましい方法として、前記不活性ガス封入工程では前記電槽内の気体の一部を予め定めた置換量だけ不活性ガスに置換し、前記不活性ガス封入工程に先立ち、予め行われた前記不活性ガス封入工程で取得された前記電槽内の気体を不活性ガスに置き換えた割合と、同じく予め行われた前記放電工程の後に取得された前記電槽内の活性ガスの割合とに基づいて、前記置換量を求める置換量算出工程をさらに備える。
このような方法によれば、不活性ガス封入工程での不活性ガスへの置換量が、不活性ガス封入工程で電槽内の空気を不活性ガスに置き換えた割合と、放電工程の後における電槽内の活性ガスの割合とに基づいて予め求められる。
好ましい方法として、前記非水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池を製造する。
このような方法によれば、充電された状態で長期保存されたリチウムイオン二次電池の自己放電や電池性能の劣化を抑制することができるようになる。
上記課題を解決する非水電解質二次電池は、電極体と非水電解質とを電槽に収容している非水電解質二次電池であって、前記電極体は、負極板が正極板よりも外周に配置された部分を有するように前記正極板と前記負極板とがセパレータを挟んで捲回されてなり、前記負極板は、金属製の集電箔の両面に負極活物質が配置され、前記電槽内の気体は、大気よりも不活性ガスの割合が多いとともに、活性ガスの割合が30%以下である。
このような構成によれば、外周の負極板の負極活物質が電槽内の活性ガスと反応する割合が低下するようになることから、充電状態の負極板に保持されているリチウムイオンの減少が抑制され、電槽内の気体によって生じる電池性能の劣化を抑制することができるようになる。
本発明によれば、電極体と電槽内の気体との間の反応によって生じる電池性能の劣化を抑制することができる。
非水電解質二次電池を具体化した一実施形態について、その構造の概略図。 同実施形態の極板群の断面構造を示す模式図。 同実施形態の非水電解質二次電池を製造する方法についてその手順を示すフローチャート。 同実施形態の極板群の充電状態を示す模式図であって、(a)は初めて充電した後の状態を示す模式図、(b)は充電状態を所定期間維持した後の状態を示す模式図。 従来の極板群の充電状態を示す模式図であって、(a)は初めて充電した後の状態を示す模式図、(b)は充電状態を所定期間維持した後の状態を示す模式図。 同実施形態の製造方法の不活性ガス封入工程で用いられる不活性ガスの置換割合を算出する方法を具体化した手順を示すフローチャート。 同実施形態の製造方法で不活性ガスの置換割合を算出するためのグラフ。 同実施形態の負極板の充電量と電位差との関係を、負極活物質を構成するカーボンの種類毎に示すグラフ。
図1〜図8に従って、非水電解質二次電池の製造方法、及び、非水電解質二次電池を具体化した一実施形態を説明する。なお、本実施形態では、非水電解質二次電池としての二次電池10はリチウムイオン二次電池である。
本実施形態の二次電池10は、バスバーで複数が接続されることにより組電池を構成する。組電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載され、電動モータ等に電力を供給する。二次電池10は、外形が直方体形状の密閉式電池である。
図1に示すように、二次電池10は、上側に開口部を有する直方体形状の電池ケース11と、電池ケース11を封止する蓋体12と、電池ケース11の内部に収容される電極体としての極板群20と、電池ケース11内に注入された液体状の非水電解質27とを備える。電池ケース11及び蓋体12はアルミニウム合金等の金属で構成されている。二次電池10は、電池ケース11に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。また二次電池10は、蓋体12に、電力の充放電に用いられる2つの外部端子13を備えている。
極板群20は、正極板21と負極板22とそれらの間に配置されたセパレータ23とが扁平に捲回されて形成されている。極板群20は、捲回される方向(捲回方向)の両端26で折り返されることにより多重に積層されている。極板群20は、捲回方向に直交する方向(捲き軸方向)の一端側に正極板21がはみ出た正極部21Aと、同直交する方向の他端側に負極板22がはみ出た負極部22Aとを有する。正極部21A及び負極部22Aはそれぞれその一部が圧縮されるとともに、それら正極部21A及び負極部22Aのうちの圧縮された部分にはそれぞれ外部端子13に接続される電極端子14が溶接されている。
セパレータ23は、正極板21及び負極板22の間に非水電解質27を保持するためのポリプロピレン製等の不織布である。また、セパレータ23としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、及び多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。
よって、電池ケース11内の非水電解質27は、セパレータ23に吸収・保持されているとともに、セパレータ23に吸収されない部分が極板群20の周囲に滞留している。つまり、極板群20は、その一部が非水電解質27中に没しているとともに、その他の部分が電池ケース11内の空間に配置されて気体にさらされている。
(非水電解質)
非水電解質27は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
(正極板)
図2を参照して、極板群20の構成について説明する。
まず、正極について詳述する。正極板21は、電極芯体である集電箔としての正極基材211の内周面211A及び外周面211Bにそれぞれ正極合剤212,213が塗布されている。なお、捲回されたとき内側になる面が内周面211A、外側になる面が外周面211Bである。正極板21の正極基材211は、従来の二次電池の構成要素と同様の構成要素を用いることができる。例えば、基材の材料として、導電性の良好な金属からなる導電性材料が好ましく用いられる。例えば、正極基材211として、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる薄膜を用いることができる。
正極合剤212,213は正極活物質を有する。正極活物質は、遷移金属元素(すなわち、Ni、Co、及びMnの少なくとも1種)の他に、付加的に、1種または複数種の元素を含有し得る。付加的な元素としては、周期表の1族(ナトリウム等のアルカリ金属)、2族(マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属)、4族(チタン、ジルコニウム等の遷移金属)、6族(クロム、タングステン等の遷移金属)、8族(鉄等の遷移金属)に属するいずれかの元素を含むことができる。また、付加的な元素としては、周期表の13族(半金属元素であるホウ素、もしくはアルミニウムのような金属)、及び17族(フッ素のようなハロゲン)に属するいずれかの元素を含むことができる。好ましくは、正極活物質は、「LiNiCoMnO系正極活物質」である。「LiNiCoMnO系正極活物質」は、LiとNiとCoとMnとを含む複合酸化物を意味し、Li、Ni、Co、及びMnとは異なる金属元素を更に含んでもよい。
また、正極合剤212,213は導電材を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
正極板21は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の正極合剤212を正極基材211に塗布して乾燥することで作製される。ここで、溶媒としては、例えばNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
(負極板)
次に負極板22は、電極芯体である集電箔としての負極基材221の内周面221A及び外周面221Bにそれぞれ負極合剤222,223が塗布されている。なお、捲回されたとき内側になる面が内周面221A、外側になる面が外周面221Bである。負極板22の負極基材221は、従来の二次電池の構成要素と同様の構成要素を用いることができる。例えば、基材の材料として、導電性の良好な金属からなる導電性材料が好ましく用いられる。例えば、負極基材221として、銅やニッケルあるいはそれらの合金からなる薄膜を用いることができる。
負極合剤222,223は、負極活物質を有する。負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いることができる。そして、負極板22は、負極活物質と、溶媒と、バインダーとを正極板21と同様に混練し、混練後の負極合剤222を負極基材221に塗布して乾燥することで作製される。本実施形態では、バインダーはナトリウム塩を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでいる。
(二次電池の製造手順)
図3を参照して、二次電池10の製造工程にかかる手順について説明する。
二次電池10の製造工程は、極板等を捲回して極板群20を製造する捲回工程(ステップS10)と、極板群20に電極端子14を溶接する端子溶接工程(ステップS11)と、電池ケース11内に絶縁フィルム(図示略)に挿入するフィルム挿入工程(ステップS12)とを有する。また、二次電池10の製造工程は、電池ケース11に極板群20を挿入する極板群挿入工程(ステップS13)と、電池ケース11に蓋体12を取り付ける封缶工程(ステップS14)と、電池ケース11内の極板群20を乾燥させる乾燥工程(ステップS15)とを有する。また、二次電池10の製造工程は、電池ケース11に非水電解質27を注入する注液工程(ステップS16)と、電池ケース11内に不活性ガスを封入する不活性ガス封入工程(ステップS17)と、電池ケース11を封止する封止工程(ステップS18)とを有する。また、二次電池10の製造工程は、二次電池10を初めて充電する初充電工程(ステップS19)と、二次電池10を所定期間だけ高温環境下に維持する高温エージング工程(ステップS20)と、二次電池10を自己放電させる自己放電工程(ステップS21)とを有する。そして、二次電池10の製造工程は、二次電池10に出荷検査を行う出荷検査工程(ステップS22)を有する。これら製造工程が終了することで、市場に流通させることのできる二次電池10が製造される。
上述の各工程について詳述する。
捲回工程(ステップS10)では、正極板21と負極板22とをそれらの間にセパレータ23が介在するように捲回方向に扁平に捲回することで極板群20が製造される。例えば、捲回前の積層体は、正極板21、セパレータ23、負極板22、セパレータ23の順に積層されているとともに、正極板21と負極板22との重なりが捲き軸方向に多少ずらされている。よって、この捲回前の積層体から、捲き軸方向の一端に正極部21Aがはみ出し、他端に負極部22Aがはみ出した極板群20が製造される。
また、極板群20の最外周には、負極板22が配置される。例えば、上述した捲回前の積層体は、正極板21が内側になるように捲回されることで、最外周には負極板22が配置される。つまり、極板群20の最外周では、負極板22が電池ケース11内において非水電解質27から露出した部分が電池ケース11内の気体にさらされることになる。一方、負極板22において、非水電解質27に浸かっている部分や、非水電解質27を含むセパレータ23が密着している最外周よりも内周の部分は、電池ケース11内で気体にさらされるおそれが低い。なお、極板群20における面積は相対的に小さいが、負極板22は、極板群20の捲き軸方向端面も電池ケース11内の気体にさらされる。
端子溶接工程(ステップS11)では、極板群20の捲き軸方向端部において、正極部21A及び負極部22Aのそれぞれその一部が圧縮されるとともに、それら正極部21A及び負極部22Aの圧縮された部分にそれぞれ外部端子13に接続される電極端子14が溶接される。
フィルム挿入工程(ステップS12)では、絶縁フィルムが電池ケース11の内壁に沿って電池ケース11に挿入される。
極板群挿入工程(ステップS13)では、電池ケース11の内壁に沿って対向する絶縁フィルムの内側に配置されるように極板群20が電池ケース11に挿入配置される。
封缶工程(ステップS14)では、極板群20が挿入された状態で電池ケース11の開口に蓋体12が溶接される。これにより、電池ケース11は、蓋体12の注液口(図示略)以外が封鎖される。
乾燥工程(ステップS15)では、電池ケース11内の極板群20が乾燥される。
注液工程(ステップS16)では、電池ケース11に非水電解質が注入される。
不活性ガス封入工程(ステップS17)では、電池ケース11内に不活性ガスが封入される。電池ケース11内の空間は、不活性ガス封入工程以前の雰囲気下における気体(通常、空気)で満たされている。そこで、例えば、蓋体12の注液口に差し込んだ不活性ガス注入管から電池ケース11内に不活性ガスを注入するとともに、同じく注液口から電池ケース11の雰囲気であった気体(以下、置換前気体)の一部を排出させる。これにより、電池ケース11内は、置換前気体の一部が不活性ガスに置換されて、不活性ガスを所定の割合で含む置換された後の気体(以下、置換後気体)となる。本実施形態では、不活性ガスは、希ガスの一つであるヘリウムガス(He)である。なお、不活性ガスは、リチウムイオン(Li)と反応しない気体、又は、反応しづらい気体であればよく、例えば、周期表の第18族(希ガス)であるアルゴンガス(Ar)等であると好ましい。例えば、大気に対する比重の大きいアルゴンガス(Ar)等は、大気に対する比重の小さいヘリウム(He)よりも電池ケース11から抜けづらいため、電池ケース11内の不活性ガスの割合が低下するおそれを小さくすることができる。
不活性ガス封入工程では、電池ケース11内に注入される不活性ガスの量、すなわち置換前気体との置換量は、電池ケース11内の空間に対する割合として予め定められている置換割合に基づいて算出される。例えば、置換割合が5%であれば、電池ケース11内の空間の全容量に対して5%の量に相当する不活性ガスが電池ケース11内に注入され、置換割合が20%であれば、電池ケース11内の空間の全容量に対して20%の量に相当する不活性ガスが電池ケース11内に注入される。
ここで、置換割合は、自己放電工程後に電池ケース11内の気体に含まれる「活性ガス」の割合が所定割合、例えば30%以下になるように定められた割合である。所定割合は、不活性ガス封入工程で置換割合を0%としたとき、自己放電工程後に電池ケース11内の気体に含まれる活性ガスの割合として通常測定される割合(基準値)よりも低い割合が設定される。例えば、置換割合を0%としたとき、通常測定される割合(基準値)が35%であるとすれば、所定割合は30%以下等に設定される。本実施形態では、活性ガスは、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、及び、酸素(O)の3種類の気体である。なお、活性ガスはさらに、酸化反応を生じさせやすい気体成分であるフルオロエタン(CHCHF)やフッ化水素酸(HF)を含んでいてもよい。
封止工程(ステップS18)では、蓋体12の注入口を封止して電池ケース11を密閉する。ここまでの工程で、二次電池10としての構成が組み上げられる。
続いて、二次電池10の電池性能が調整される工程が行われる。
初充電工程(ステップS19)では、二次電池10が満充電になるまで充電される。
高温エージング工程(ステップS20)では、満充電状態の二次電池10が、2つの外部端子13を開放した状態で所定期間、所定温度となる環境下に維持(保存)される。所定温度は、例えば、50℃である。
自己放電工程(ステップS21)は、外部端子13を開放した状態で二次電池10を所定の電池残量まで放電させる工程である。なお、自己放電工程は、初充電工程の終了後から開始され、高温エージング工程の期間を含めて進行する工程である。図3では、高温エージング工程と自己放電工程とは、直列的に記載しているが、高温エージング工程と自己放電工程とは、高温エージング工程の終了は自己放電工程の終了よりも早いが、それらの期間の一部が重複する関係を有している。例えば、自己放電工程では、所定の電池残量が「0」とされる。なお、所定の電池残量は、満充電量未満であれば適切な値を設定することもできる。
ところで、初充電工程や高温エージング工程、自己放電工程では、正極板21、負極板22及び非水電解質27との間で充放電反応が生じ、この過程で、活性ガスが発生し、電池ケース11内の活性ガスの割合が高くなることが知られている。ここで、活性ガスの発生について説明する。充電されている二次電池10内に存在する非水電解質27は、正極板21又は負極板22によって電位を印加された状態になるため、正極板21上では非水電解質27の酸化分解反応が進行しやすく、負極板22上では非水電解質27の還元分解反応が進行しやすい。また、正極板21や負極板22では、非水電解質27内の支持塩(LiPF等)に起因した電解質分解反応も生じる。非水電解質27は有機溶媒や無機化合物(LiPF等)を含んで構成されるため、電解質分解時に正極板21上や負極板22上で有機物又は無機物からなる被膜が形成されるとともに、活性ガス(CO、CO等)が水素ガス(H)等の無機ガス及びメタン、エタン、エチレン等の低沸点炭化水素とともに発生する。
なお、発明者らは、活性ガスの割合が高くなる度合いは、電池の性質(電池容量、二次電池の種類等)、電池の環境(環境温度等)、電池の材料(正極合剤や負極合剤、非水電解質の成分及び添加物等)に応じて二次電池毎に相違することを確認している。その一方、発明者らは、活性ガスの割合が高くなる度合いは、電池の性質、電池の環境及び電池の材料が同様であれば、それぞれの二次電池が同様の傾向を有することも確認している。例えば、工業的に同一の製品として製造された複数の二次電池10は、初充電工程、高温エージング工程及び自己放電工程を経たとき、電池ケース11内の活性ガスの高くなる割合が同様である傾向にある。こうしたことから、発明者らは、不活性ガス封入工程で、電池ケース11内に予め定めた置換割合に基づいて不活性ガスを注入することで、自己放電工程後の電池ケース11内の活性ガスの割合を所定割合とすることができることを見出した。換言すると、発明者らは、自己放電工程後の電池ケース11内の活性ガスの割合を所定割合とすることができる置換割合を予め定めることができることを見出した。
出荷検査工程(ステップS22)は、二次電池10を出荷するに際して行われる検査である。その後、二次電池10は、出荷されることで市場に流通された状態におかれる。換言すると、出荷前の二次電池10は、製造状態にあり、未使用状態である。
(作用)
図4及び図5を参照して、上述のようにして製造された二次電池10について、これを充電状態で長期保存したときの自己放電や電池性能の劣化について説明する。なお、図4及び図5は、負極板22が最外周にある部分を示している。
図4(a)に示すように、例えば、不活性ガス封入工程で置換割合の不活性ガスが注入されて製造された二次電池10は、充電後、負極板22の負極合剤222,223中にはリチウムイオン(Li)やリチウム(Li)が保持されている。このとき最外周の負極板22は、外周面221Bの負極合剤223が電池ケース11内の気体に接しており、該気体と負極合剤223とが反応する可能性を有している。
図4(b)に示すように、例えば、不活性ガス封入工程で置換割合の不活性ガスが注入されて製造された二次電池10は、充電後、外部端子13を開放した状態で、長期保存されたとしても、負極板22の負極合剤222,223中にはリチウムイオン(Li)やリチウム(Li)が保持されている。通常、高温エージング工程や自己放電工程で電池ケース11内の活性ガスの割合が高くなると、最外周の負極合剤223が活性ガスと反応する可能性が高まるが、不活性ガス封入工程で気体の一部がヘリウムガス(He)に置換されていることから、活性ガスの相対的な割合が低く抑えられる。よって、外周面221Bの負極合剤223は、リチウムイオン(Li)やリチウム(Li)が活性ガスに接して酸化によって失活することが抑制される。すなわち、二次電池10としての自己放電や電池性能の劣化が抑制される。
図5(a),(b)は、不活性ガス封入工程での置換割合が低い場合、例えば置換割合が0%である場合について示す。
図5(a)に示すように、二次電池10は、充電終、負極板22の負極合剤222,223中にはリチウムイオン(Li)やリチウム(Li)が保持されている。このとき、例えば、不活性ガス封入工程で不活性ガスが注入されずに製造された二次電池10は、高温エージング工程や自己放電工程で電池ケース11内の活性ガスの割合が高くなっている。つまり、不活性ガス封入工程で気体(空気)の一部がヘリウムガス(He)に置換されていないことから外周面221Bの負極合剤223は、すぐに活性ガス(例えばCO)に接し、反応する可能性が高い。例えば、外周面221Bの負極合剤223は、リチウムイオン(Li)やリチウム(Li)が活性ガスによる酸化によって炭酸リチウム(LiCO)となって失活して負極合剤223に析出層30Aを形成するようになる。よって、二次電池10は自己放電や電池性能の劣化を生じる。
図5(b)に示すように、例えば、不活性ガス封入工程で不活性ガスが注入されずに製造された二次電池10は、充電後、外部端子13を開放した状態で、長期保存されることでさらに、最外周の負極合剤223が活性ガスと反応する。すなわち、活性ガスの割合が高くなっている電池ケース11内の気体に最外周の負極合剤223がさらされ、負極合剤223のリチウムイオン(Li)やリチウム(Li)が活性ガスと反応して酸化されることで炭酸リチウム(LiCO)が析出して負極合剤223に幅広い析出層30Bを形成するようなことが避けられない。すなわち、二次電池10は自己放電や電池性能の劣化を生じる。
また図5(b)を参照して、負極板22は、負極基材221を挟んで外周面221Bに負極合剤223、内周面221Aに負極合剤222を有している。通常、リチウムイオン(Li)は、負極合剤223と負極合剤222との間を、金属膜である負極基材221を越えて移動しない。しかし、外周面221Bの負極合剤223のリチウムイオン(Li)が大きく減少すると、負極板22において、外周面221Bの負極合剤223と内周面221Aの負極合剤222との間に大きな電位差が生じる。こうなると、大きな電位差が、内周面221Aの負極合剤222のリチウムイオン(Li)を負極基材221に引き寄せ、さらには、負極基材221の切れ目である端部を迂回させるようにして外周の負極合剤223に移動する(矢印J1,J2)。
また、負極基材221に引き寄せられることで放電時、リチウムイオン(Li)の反応速度が低下するおそれがある。
また、最外周の負極板22の外周面221Bは、正極板21に対向しないので充電量に関係しないが、その外周面221Bの負極合剤223に、充電量に貢献する内周面221Aの負極合剤222からリチウムイオン(Li)が移動する。これにより、充電量に貢献する内周面221Aにおけるリチウムイオン(Li)が減少して、二次電池10としての充電量が低下する。すなわち、自己放電が生じるとともに、充電量の低下も生じる。
また、外周面221Bの負極合剤223に移動したリチウムイオン(Li)がさらに、活性ガスと反応し、酸化して炭酸リチウム(LiCO)として負極合剤223に幅広い析出層30Bを形成するようにもなる。さらに、外周面221Bに移動して一旦電位差を小さくしたリチウムイオン(Li)が炭酸リチウム(LiCO)となれば、再び電位差が大きくなることになる。そして、引き続いて内周面221Aの負極合剤222から外周面221Bの負極合剤223にリチウムイオン(Li)が移動して二次電池10としての充電量の低下を生じる現象が継続的するようになる。
これらの点に対して、本実施形態では、不活性ガス封入工程で電池ケース11内に不活性ガスを封入することで二次電池10としての自己放電、電池性能の低下を抑制している。
また、図4(b)、図5(b)の左側に示すように、負極基材221の端部に負極合剤222,223が塗工されていない部分(未塗工部)を設けると、負極基材221を乗り越えて内周面221Aの負極合剤222から外周面221Bの負極合剤223にリチウムイオン(Li)が移動すること(矢印J2)が容易ではなくなる。逆に、図4(b)、図5(b)の右側に示すように、負極基材221の端部まで負極合剤222,223が塗工されていると、リチウムイオン(Li)が負極基材221を乗り越えて内周面221Aから外周面221Bに移動すること(矢印J1)が容易である。よって、未塗工部を設けることで、二次電池10の自己放電や電池性能の劣化を抑制することもできる。
(置換割合の算出)
図6及び図7を参照して、不活性ガス封入工程で使用する予め定められた置換割合の算出方法について説明する。
置換割合の算出には複数の二次電池10を用いるが、説明の便宜上、2つの二次電池10を例にして説明する。また、説明の便宜上、図3及び図6のフローチャートについて、各工程で2つの二次電池10に対して処理を行うものとして説明する。
まず、置換割合を求めたい二次電池10について、これと同等の二次電池10を作成する。すなわち、捲回工程(図3のステップS10)から注液工程(図3のステップS16)を通じて同等の二次電池10を2つ用意する。
それから、同等の二次電池10に対して、テスト用不活性ガス封入工程(図6のステップS170)、及び封止工程(図6のステップS18)から自己放電工程(図6のステップS21)を同様の条件となるように実行する。また、同等の二次電池10に対して、活性ガス割合取得工程(図6のステップS30)と、置換量算出工程としての置換割合算出工程(図6のステップS31)とを同様の条件となるように実行する。なお、封止工程(図6のステップS18)から自己放電工程(図6のステップS21)までの工程は、図3の封止工程(ステップS18)から自己放電工程(ステップS21)までと同様の工程であるの詳細な説明は割愛する。
図6を参照して詳述すると、テスト用不活性ガス封入工程(図6のステップS170)では、2つの二次電池10に対して相違する置換割合を適用する。例えば、一方のテスト用の二次電池10には、不活性ガス封入工程での置換割合を「15%」とし、他方のテスト用の二次電池10は、不活性ガス封入工程での置換割合を「0%」とする。そして、2つの二次電池10にそれぞれ、封止工程(図6のステップS18)から自己放電工程(図6のステップS21)までを実行する。
その後、活性ガス測定工程では、電池ケース11内の活性ガスの割合が測定される。これにより、他方のテスト用の二次電池10から、置換割合が「0%」であるときの「自己放電後のセル内の活性ガスの濃度[%]」(基準値)が測定される。また、一方のテスト用の二次電池10から、置換割合が「15%」であるときの「自己放電後のセル内の活性ガスの濃度[%]」(改善値)が測定される。そして、測定された「基準値」と「改善値」とに基づいて、二次電池10の自己放電工程後の活性ガスの割合を所定割合(例えば「30%」)とするための置換割合を算出する置換割合算出工程が行われる(図6のステップS31)。これにより、置換割合を求めたい二次電池10に対する、置換割合が算出される。そして、この算出された置換割合が、同等の二次電池10を製造する際、不活性ガス封入工程で定められた置換割合としても利用される。
図7を参照して、置換割合の算出について説明する。
図7のグラフC1は、基準値を目標値「30%」とするために必要とする置換割合の一例を示す。目標値「30%」は、所定割合であって、自己放電工程後の電池ケース11内の活性ガスの割合の値である。グラフC1に示すように、基準値と、当該基準値を有する二次電池10の改善値とが得られれば、その二次電池10を目標値にするために必要な置換割合が、基準値と、改善値と、目標値と、その基準値を改善値にする置換割合とに基づいて算出することができる。例えば、置換割合を「(基準値−目標値)/(基準値−改善値)×(改善値にする置換割合)」によって算出することができるようになる。
図7のグラフC1に示す一例は、複数の二次電池10から求めた、基準値と、目標値にする置換割合との関係を示している。グラフC1に示すように、基準値が高ければ、目標値にする置換割合も大きくなる。グラフC1によれば、基準値が40%であるとき、置換割合は15%程度に定まり、基準値が50%であるとき、置換割合は35%程度に定まる。こうして得られグラフC1によって、この二次電池10に対する不活性ガス封入工程における置換割合を定めることができる。
(負極板の電位差)
図8を参照して、極板群20の負極板22に生じる電位差について説明する。
図8は、負極板22の充電量Qと、負極板22において外周面221Bの負極合剤223と内周面221Aの負極合剤222との間に生じる電位差との関係について2つのグラフC2,C3を示す。このうちグラフC2は、負極活物質が3次元結晶を有する黒鉛(グラファイト)である場合を示し、グラフC3は、負極活物質が非晶質炭素からなるソフトカーボン又はハードカーボンである場合を示す。
本実施形態では、負極合剤222,223に含まれる負極活物質は黒鉛(グラファイト)である。黒鉛(グラファイト)を主成分とする負極活物質は、充電量Qが一定値以上の範囲にあれば、充電量Qの変化に対して電位差が小さく、かつ、低く維持される。一方、充電量Qが一定値未満の範囲にあると、充電量Qの変化に対する電位差が非常に大きくなる特性を有している。一般に、二次電池10が長期保存されるとき、充電量が管理されない状態におかれるため、充電量Qが一定未満にまで低下するおそれが高い。そして、一旦、充電量Qが一定未満にまで低下してしまうと、上述した理由等によって、負極板22の内周面221Aと外周面221Bとの間に充電量Qの差が生じると、内周面221Aと外周面221Bとの間の電位差が急激に大きくなる。そして、これも上述したように、電位差によって生じる内周面221Aの負極合剤222から外周面221Bの負極合剤223へのリチウムイオン(Li)の移動が大きな電位差により一層促進されるようになる。すなわち、一旦、充電量Qが一定未満の範囲まで低下すると、自己放電や電離性能の劣化が急激に進行するおそれがある。
この点、本実施形態の二次電池10は、不活性ガス封入工程で最外周の負極合剤223のリチウムイオン(Li)の失活や、内周面221Aから外周面221Bへの移動が抑制されることから、充電量Qの低下も抑制されて、長期保存されたとしても充電量Qが一定以上に維持される期間をより長くすることができるようになる。よって、本実施形態によれば、二次電池10を長期保存したとしても、極板群20と電池ケース11内の気体との間の反応によって生じる電池性能の劣化が抑制されるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1)充電状態にある二次電池10は、負極板22にリチウムイオン(Li)が保持された状態にあるが、これが長期保存されると自己放電や電池性能の劣化が生じる。すなわち、負極板22に保持されたリチウムイオン(Li)が活性ガスと反応することによって失活して炭酸リチウム(LiCO)となってしまったり、負極板22の内周面221Aと外周面221Bとの電位差により負極板22の内周面221Aから外周面221Bにリチウムイオン(Li)が移動して充電量が減少したりする。
この点、本実施形態は、自己放電工程後における電槽内の活性ガスの割合が所定割合以下になるように、不活性ガス封入工程で電槽内の気体の一部を不活性ガスに置き換える。これにより、最外周の負極板22の負極活物質が電槽内の活性ガスと反応する割合を低下させて、充電状態の負極板22に保持されているリチウムイオン(Li)の減少が抑制されるようになる。よって、電槽内の気体によって生じる電池性能の劣化を抑制することができる。
(2)極板群20の負極板22が最外周に配置されて電槽内の気体と反応しやすい状態にあるとしても、電槽内に封入した不活性ガスによって活性ガスとの反応が抑えられるようになる。
(3)自己放電工程後の活性ガスの割合が30%以下になるので電槽内の気体に接する負極板22におけるリチウムイオン(Li)の失活や自己放電が抑制されるようになる。
(4)不活性ガスとしてヘリウムガス(He)及びアルゴンガス(Ar)を用いることで負極板22のリチウムイオンの失活等が抑制される。
(5)電池ケース11の封止後に充電工程及び高温エージング工程で活性ガスの割合が上昇したとしても、電槽内の活性ガスの割合を、充電工程及び高温エージング工程の後において所定割合に抑えることができるようになる。
(6)不活性ガス封入工程での不活性ガスへの置換量が、不活性ガス封入工程で電槽内の空気を不活性ガスに置き換えた割合と、自己放電工程の後における電槽内の活性ガスの割合とに基づいて予め求められる。
(7)充電された状態で長期保存されたリチウムイオン二次電池の自己放電や電池性能の劣化を抑制することができるようになる。
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、極板群20は、正極板21、負極板22及びセパレータ23を捲回した構造である場合について例示した。しかしこれに限らず、二次電池の形状や使用目的に応じて適宜変更してもよい。例えば、正極板、負極板、及びセパレータを介して積層した(捲回しない)タイプの構造であってもよい。
・上記実施形態では、電池ケース11内の雰囲気の一部を不活性ガスで置換する場合について例示した。しかしこれに限らず、電池ケース内の雰囲気の全部を不活性ガスに置換してもよい(例えば、置換割合が100%)。
・上記実施形態では、不活性ガス封入工程で電池ケース11内の気体に不活性ガスの割合を置換割合にする場合について例示した。しかしこれに限らず、不活性ガスの割合が置換割合に相当する雰囲気下で、不活性ガス封入工程以前の作業を行うことで、不活性ガス封入工程を省くこともできる。または、不活性ガス封入工程で注入する不活性ガスの割合を減少させることができる。
・上記実施形態では、不活性ガスがヘリウムガスかアルゴンガスである場合について例示した。しかしこれに限らず、不活性ガスは、ヘリウムガス及びアルゴンガスが混合されていてもよいし、ヘリウムガスやアルゴンガスにその他のガスが混合されていてもよい。また、不活性ガスとして、周期表の第18族以外のガス、例えば、窒素ガス(N)を利用してもよい。
・上記実施形態では、所定割合が例えば30%以下である場合について例示したが、これに限らず、所定割合を30%未満としてもよいし、所定割合を30%より大きくしてもよい。所定割合は、二次電池の電池特性や用途などに応じて設定することができる。
・上記実施形態では、極板群20の最外周が負極板22である場合について例示した。しかしこれに限らず、極板群の最外周には、負極板の外周に捲回されたセパレータが配置されてもよい。例えば、捲回前の積層体は、正極板が内側になるように捲回されることで、負極板に捲回されているセパレータを最外周に配置させることができる。また、負極板は、その外周にセパレータが配置されていたとしても、極板間に挟み込まれているセパレータに比べて繊維の密度が低下することから、電池ケース内の気体が負極合剤に到達することがすくなくないが。
・上記実施形態では、自己放電工程を有する場合について例示したが、これに限らず、自己放電工程は、端子間に抵抗等を接続した放電工程であってもよい。
・二次電池10は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載されなくてもよい。例えば、二次電池10は、ガソリン自動車やディーゼル自動車等の車両に搭載されてもよい。また二次電池10は、鉄道、船舶、及び航空機等の移動体や、ロボットや、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
10…二次電池、11…電池ケース、12…蓋体、13,14…電極端子、20…極板群、21…正極板、21A…正極部、22…負極板、22A…負極部、23…セパレータ、26…端、27…非水電解質、30A,30B…析出層、211…正極基材、211A…内周面、211B…外周面、212,213…正極合剤、221…負極基材、221A…内周面、221B…外周面、222,223…負極合剤。

Claims (8)

  1. 電極体を電槽に収容している非水電解質二次電池の製造方法であって、
    正極板と金属製の集電箔の両面に活物質を有する負極板とをセパレータを挟んで捲回することで前記電極体を作製する捲回工程と、
    前記電極体と非水電解質とを前記電槽に収容する収容工程と、
    前記電極体と前記非水電解質とが収容された前記電槽内の気体の一部を不活性ガスに置換するとともに、この置換した状態で前記電槽を封止する不活性ガス封入工程と、
    前記電槽の封止された二次電池を充電後に放電する放電工程とを備え、
    前記捲回工程では、前記負極板を前記正極板よりも外周に配置する部分を有するように捲回し、
    前記不活性ガス封入工程では、前記放電工程後における前記電槽内の活性ガスの割合が、前記不活性ガス封入工程で前記電槽内にある気体の一部を不活性ガスに置き換えないときの前記放電工程後における前記電槽内の活性ガスの割合よりも低い割合である所定割合以下となるように、前記電槽内の気体の一部を不活性ガスに置き換える
    非水電解質二次電池の製造方法。
  2. 前記捲回工程では、最外周の少なくとも一部に前記負極板が配置されるように前記電極体を捲回する
    請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  3. 前記不活性ガス封入工程では、前記所定割合が30%以下になるように、前記電槽内の気体の一部を不活性ガスに置き換える
    請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  4. 前記不活性ガス封入工程では、前記不活性ガスとして、ヘリウムガス(He)及びアルゴンガス(Ar)の少なくとも一方が用いられる
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  5. 前記不活性ガス封入工程と前記放電工程の終了との間にさらに、
    所定の充電量で二次電池を充電する充電工程と、
    前記充電工程で充電された後、所定の期間だけ所定の高温環境下に二次電池を維持する高温エージング工程とを備える
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  6. 前記不活性ガス封入工程では前記電槽内の気体の一部を予め定めた置換量だけ不活性ガスに置換し、
    前記不活性ガス封入工程に先立ち、予め行われた前記不活性ガス封入工程で取得された前記電槽内の気体を不活性ガスに置き換えた割合と、同じく予め行われた前記放電工程の後に取得された前記電槽内の活性ガスの割合とに基づいて、前記置換量を求める置換量算出工程をさらに備える
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  7. 前記非水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池を製造する
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  8. 電極体と非水電解質とを電槽に収容している非水電解質二次電池であって、
    前記電極体は、負極板が正極板よりも外周に配置された部分を有するように前記正極板と前記負極板とがセパレータを挟んで捲回されてなり、
    前記負極板は、金属製の集電箔の両面に負極活物質が配置され、
    前記電槽内の気体は、大気よりも不活性ガスの割合が多いとともに、活性ガスの割合が30%以下である
    非水電解質二次電池。
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