JP4746278B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関するものである。
近年、VTR、携帯電話、パソコンなどの各種電子機器、コードレスの携帯型電子機器の小型、軽量化に伴ない、それら機器の電源である二次電池に対して高容量化の要求が高まっている。二次電池の高容量化を実現するには、いかに多くの正極活物質を詰め込み、その能力を引き出させる構造にするかがポイントである。
例えば、特許文献1では、正極活物質に所定の凝集状態にある二次粒子を用いることにより、正極活物質の導電性と充填性の最適化を図っている。
特許文献1に記載の正極活物質を用いて正極密度を高くすると、二次電池の初期容量を大きくすることができるものの、電解液が染み込みにくくなるために電極反応が不均一に生じるようになる。このため、充放電を繰り返すと活物質等の劣化が進んで充放電サイクル維持率が低下するばかりでなく、過充電や異常高温の際には局所的な発熱が生じて二次電池の安全性までもが低下するという問題を生じる。
特開2003−178756号公報
本発明は、高容量で、かつ充放電サイクル特性及び安全性に優れる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係る非水電解質二次電池は、正極活物質、結着剤及び導電材を含む正極と、負極と、非水電解質とを具備する非水電解質二次電池であって、
前記正極活物質は、リチウム含有金属複合酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を含み、その二次粒子の平均最大粒径をL2maxとした際に前記一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.1×L2max≦L1max≦0.5×L2maxの範囲にあり、
前記結着剤は、前記正極活物質100重量部に対して、重量平均分子量が50万〜100万の範囲にあるポリフッ化ビニリデンを1〜3重量部含み、
前記導電材は、前記正極活物質100重量部に対して、一次粒子の平均粒径が20〜100nmのアセチレンブラック1〜3重量部と平均粒径2〜10μmのグラファイト0〜1重量部とを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、高容量で、かつ充放電サイクル特性及び安全性に優れる非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の正極、負極及び非水電解質について説明する。
(i)正極
この正極は、集電体と、この集電体の両面または片面に形成され、かつ正極活物質、結着剤及び導電材を含む正極活物質含有層とを具備する。
この正極は、例えば、正極活物質、結着剤及び導電材を適当な溶媒に懸濁させ、得られた懸濁物を集電体表面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、集電体表面に正極活物質含有層を形成することで得られる。
以下、正極活物質、結着剤、導電材及び集電体について説明する。
<正極活物質>
この正極活物質は、リチウム含有金属複合酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を含み、その二次粒子の平均最大粒径をL2maxとした際に前記一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.1×L2max≦L1max≦0.5×L2maxの範囲にある。
一次粒子の平均最大粒径L1maxを前記範囲に規定するのは次に説明する理由によるものである。
一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.5×L2maxを超えると、二次粒子というよりはむしろ単粒子に近いため、プレス圧に対する二次粒子の変形の自由度が減少し、電極密度を高くするためにプレス圧を大きくする必要がある。その結果、正極の空孔径がプレスによって減少し、電解液の浸透性が低下するため、低温時に高い容量が得られなくなるだけでなく、不均一な反応が生じることから充放電を繰り返すことにより活物質等の劣化が進み、充放電サイクル特性が低下する。また、過充電時あるいは異常高温時に局所的な発熱が起こり、二次電池の安全性が低下する恐れもある。電極密度を高くするために必要なプレス圧を小さくするには一次粒子の平均最大粒径L1maxを小さくすることが好ましいものの、0.1×L2max未満にすると、正極活物質の比表面積が大きくなって熱安定性が低下し、安全性が劣化する。また、プレス圧に対する二次粒子の変形量が大きくなるため、プレスした際に凝集構造が完全に壊れてしまい、活物質間の導電パスが劣化して放電容量が低下する恐れもある。よって、一次粒子の平均最大粒径L1maxの下限値は、0.1×L2maxにすることが望ましい。一次粒子の平均最大粒径L1maxのより好ましい範囲は0.2×L2max≦L1max≦0.45×L2maxである。
リチウム含有金属複合酸化物一次粒子は、球状結晶であってもよく、板状結晶であってもよい。また、その他の形状を有するものであってもよい。
二次粒子の平均粒径は、5〜15μmの範囲にすることが好ましい。
前述した正極活物質としては、例えば、カルコゲン化合物を挙げることができる。かかるカルコゲン化合物としては、例えば、二酸化マンガン、二硫化モリブデン、コバルト酸リチウム、LiNiO2、LiMn24、下記一般式(A)または(B)で表される化合物を挙げることができ、中でも一般式(A)または(B)で表されるカルコゲン化合物が好ましい。
LiaCoM12 …(A)
但し、前記M1は、Ni、Mn、B、Al及びSnよりなる群から選択される1種類以上の元素であり、前記モル比a,b,cは、それぞれ、0.95≦a≦1.05、0.95≦b≦1.05、0≦c≦0.05、0.95≦b+c≦1.05を示す。前記モル比a,b,cのさらに好ましい範囲は、それぞれ、0.97≦a≦1.03、0.97≦b≦1.03、0.001≦c≦0.03である。
LiNi1-x-yCoxy2 …(B)
但し、前記Mは、Mn、B及びAlよりなる群から選択される1種類以上の元素を含み、前記モル比x,yは、それぞれ、0<x≦0.5、0≦y≦0.1である。前記モル比x,yのさらに好ましい範囲は、それぞれ、0.1≦x≦0.25、0≦y<0.06である。
これらのカルコゲン化合物は、2種類以上を混合して用いることができる。
前記正極活物質は、下記(1)式で算出される形状係数SF2の平均値が1を超え、2以下であることが好ましい。
SF2=R1/R2 …(1)
但し、前記R2は、前記二次粒子の二次元の像の面積を示し、前記R1は、前記二次元の像の凸部の頂点を結ぶ最短包絡線で囲まれた領域の面積を示す。
まず、前記R1及び前記R2を図1を参照して説明する。図1は、R1及びR2を説明するために使用する二次粒子の模式図である。
図1において、斜線で示されている領域が二次粒子の二次元の像の面積R2である。一方、前記二次粒子の二次元の像の凸部の頂点を結ぶ最短包絡線Aで囲まれている領域が面積R1である。二次元の像の凸部の頂点を曲線で結ぶ方法は複数通りあるため、一つの二次元像に対して複数種の包絡線を引くことができる。これら包絡線のうち、隣り合う2つの凸部と接する接線Xと包絡線とで囲まれた領域の面積が最少になるものを最短包絡線Aとする。すなわち、最短包絡線Aは、二次粒子の二次元の像の凸部の頂点を結ぶ包絡線群のうち最も短い軌跡を描く包絡線である。
このように定義されるR1、R2から算出される形状係数SF2の平均値を前記範囲に規定するのは以下に説明する理由によるものである。
形状係数SF2の平均値が1であるものは、一次粒子間の融合反応が進んでいることから、一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.5×L2max以下であってもプレス時に凝集構造の変形が起こりにくい可能性がある。また、形状係数SF2の平均値が1である二次粒子を製造するためには長時間を要することから、製造コストが高くなる恐れもある。一方、形状係数SF2の平均値が2を超えるものは、一次粒子間の融合反応が進んでおらず、粒子表面の凹凸が大きいことから導電材が二次粒子表面で局在化しやすくなるため、導電材の含有量が1〜3重量部という少量であると導電性のばらつきが生じ、非水電解質の浸透性が改善されていても正極での反応が不均一なものとなる恐れがある。形状係数SF2の平均値のさらに好ましい範囲は、1.1〜1.3である。
本発明に係る正極活物質は、例えば、以下に説明する方法で作製される。すなわち、コバルト塩を含む水溶液にアルカリ水溶液を添加することによりコバルト水酸化物を沈殿させて、コバルト水酸化物結晶の凝集体を得る。これをろ過して沈殿物を回収し、水洗を繰り返してpHが安定したところで乾燥することにより、コバルト水酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を得る。次いで、この二次粒子とリチウム化合物とを所定の比率で混合し、大気雰囲気または酸素雰囲気中で700〜1000℃の温度範囲で5〜9時間焼成することにより、正極活物質を得る。
コバルト塩としては、例えば、硫酸コバルトを挙げることができる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムを含む水溶液を挙げることができる。リチウム化合物には、乾式の粉末微粒子または湿式のゾル微粒子を使用することができる。
平均最大粒径L1max及び形状係数SF2の調整は、例えば、焼成温度や焼成時間あるいはコバルト水酸化物二次粒子とリチウム化合物との混合比の変更により行なうことができる。例えば、焼成時間を短くすると、一次粒子間の融合反応が抑えられて二次粒子表面の凹凸を大きくすることができるため、形状係数SF2を大きくすることができる。なお、コバルト水酸化物結晶の凝集体の代わりに酸化コバルトの単粒子を用いると、二次粒子ではなく、単粒子からなる正極活物質が得られる。
<結着剤>
前記結着剤は、前記正極活物質100重量部に対して、重量平均分子量が50万〜100万の範囲にあるポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFと称する)を1〜3重量部含む。
重量平均分子量が50万未満であるPVdFは、その添加量が1〜3重量部という少量であるため、必要な結着性を確保するためにはプレス圧を大きくせざるを得ない。その結果、正極の空孔径がプレスによって減少し、非水電解質の浸透性が低下する。一方、重量平均分子量が100万を超えるPVdFは、粘度が非常に高いため加工性に劣るだけでなく、正極活物質や導電材と共に均一に分散させることが困難であることから正極で不均一な反応が生じる原因となり、充放電サイクル特性や安全性あるいはハイレート特性の劣化につながる。PVdFの重量平均分子量のより好ましい範囲は、50万〜80万である。
前述したPVdFの含有量を前記範囲内に規定するのは以下に説明する理由によるものである。
PVdFの含有量を正極活物質100重量部に対して1重量部未満とすると、その重量平均分子量を50万〜100万の範囲にしても優れた結着性が得られない。一方、PVdFの含有量が3重量部を超えると、電極密度を高くした際の空孔率が不足する。PVdFの含有量のより好ましい範囲は、1.5〜2.5重量部である。
<導電材>
前記導電材は、前記正極活物質100重量部に対して、一次粒子の平均粒径が20〜100nmのアセチレンブラック1〜3重量部と平均粒径2〜10μmのグラファイト0〜1重量部とを含む。
アセチレンブラックの平均粒径は小さ過ぎても、大き過ぎても導電性に劣るため、正極に優れた導電性を付与することができず、二次電池の放電容量を向上することができない。このことから、平均粒径が20〜100nmの範囲にある導電性に優れたアセチレンブラックを、その含有量が前記範囲内となるように添加する。アセチレンブラックの含有量を前記正極活物質100重量部に対して1重量部未満とすると、平均粒径を前記範囲内としても十分な導電性を付与することができない。一方、アセチレンブラックの含有量が3重量部を超えると、電極密度を高くした際の空孔率が不足する。アセチレンブラックの平均粒径のより好ましい範囲は、30〜70nmであり、その含有量のより好ましい範囲は、1.5〜2.5重量部である。
前述した正極活物質及び結着剤とアセチレンブラックとを溶媒に懸濁させる際に平均粒径2〜10μmのグラファイトを1重量部以下添加すると、懸濁液の塗工性と静置安定性を向上することができる。しかしながら、グラファイトを前記正極活物質100重量部に対して1重量部を超えて添加するのは、正極の空孔率が低下するため、好ましくない。グラファイトの平均粒径のより好ましい範囲は、5〜8μmであり、その含有量のより好ましい範囲は、0.3〜0.7重量部である。
<集電体>
集電体としては、例えばアルミニウム板、アルミニウムメッシュ材等を挙げることができる。
電極密度は、3.5〜3.7g/ccの範囲にすることが好ましい。この範囲にした時に本発明の効果が最も強く現れるからである。
空孔率は、十分な非水電解質浸透性を得るため、22〜25%の範囲にすることが好ましい。
(ii)負極
この負極は、集電体と、この集電体の両面または片面に形成され、かつ負極活物質及び結着剤を含む負極活物質含有層とを具備する。
この負極は、例えば、負極活物質及び結着剤を有機溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥後、プレスすることにより、集電体の表面に負極活物質含有層を形成することで得られる。
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物、アルミニウム、マグネシウム、スズ、けい素等の金属、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム合金などを挙げることができる。
前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料等を挙げることができる。中でも、前記熱処理の温度を2000℃以上にすることにより得られ、(002)面の面間隔d002が0.34nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d002は、0.336nm以下であることが更に好ましい。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
集電体としては、例えば銅板、銅メッシュ材等を挙げることができる。
(iii)非水電解質
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質とを含む。非水電解質は、液状またはゲル状の形態にすることができる。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種類を主成分として含むものを挙げることができる。前記非水溶媒は、粘性との関係から単独で使用するよりも2〜3種類を混合して使用することが好ましい。
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)等を用いることができる。前記電解質は、単独で使用することもできるし、混合物の形態で使用することもできる。
非水溶媒に溶解させる電解質の濃度は0.5〜1.5モル/Lの範囲にすることが好ましい。
上述した正極と負極との間に、例えばセパレータなどを介在させて電極群を形成することができる。
このセパレータとしては、例えば、20〜30μmの厚さを有するポリエチレン多孔質フィルムもしくはポリプロピレン多孔質フィルム等を挙げることができる。
以上説明したように、本発明に係る非水電解質二次電池は、前述した平均最大粒径L1maxのリチウム含有金属複合酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を含む正極活物質と、前記正極活物質100重量部に対して、重量平均分子量が50万〜100万の範囲にあるポリフッ化ビニリデンを1〜3重量部含む結着剤と、一次粒子の平均粒径が20〜100nmのアセチレンブラック1〜3重量部及び平均粒径2〜10μmのグラファイト0〜1重量部を含む導電材とを備えることから、高い放電容量を有するだけでなく、充放電サイクル特性及び安全性にも優れる。すなわち、一次粒子が適度に凝集した二次粒子を用いることにより、活物質の比表面積が過剰に大きくなるのを防ぐことができ、また、その凝集構造はプレスされた際に変形しやすいことから、小さなプレス圧で電極密度を高くすることができ、正極の空孔径の減少を抑制することができる。さらに、前述した結着剤及び導電材を用いることにより、少量で優れた結着性と導電性とを付与することができるため、高密度を得るために活物質充填量を多くした際の正極の空孔率を増加させることができる。従って、前述した正極活物質、結着剤及び導電材を用いることにより、十分な空孔率を確保しつつ正極活物質の充填量を多くすることができ、これを無理なプレス圧を加えることなく高密度にできることから、電極密度が高く、かつ非水電解質の浸透性に優れる正極を実現することができる。この結果、高い放電容量と優れた充放電サイクル特性及び安全性を有する非水電解質二次電池を実現することができる。
さらに、前述した形状係数SF2の平均値を1を超え、2以下とすることにより、プレス圧に対する二次粒子の変形の自由度の低下及び活物質表面での導電材の局在化を防ぐことができるため、低温時や大電流放電時の電池特性を向上することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型非水電解質二次電池を図2及び図3を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型非水電解質二次電池を示す断面図、図3は、図2のA部を示す拡大断面図である。
図2に示すように、例えばラミネートフィルムからなる容器1内には、電極群2が収納されている。前記電極群2は、正極とセパレータと負極とからなる積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。前記積層物は、図3に示すように、(図の下側から)セパレータ3、正極活物質含有層4と正極集電体5と正極活物質含有層4とを備えた正極6、セパレータ3、負極活物質含有層7と負極集電体8と負極活物質含有層7とを備えた負極9、セパレータ3、正極活物質含有層4と正極集電体5と正極活物質含有層4とを備えた正極6、セパレータ3、負極活物質含有層7と負極集電体8とを備えた負極9がこの順番に積層されたものからなる。前記電極群2は、最外層に前記負極集電体8が位置している。帯状の正極リード10は、一端が前記電極群2の前記正極集電体5に接続され、かつ他端が前記容器1から延出されている。一方、帯状の負極リード11は、一端が前記電極群2の前記負極集電体8に接続され、かつ他端が前記容器1から延出されている。
また、本発明に係る非水電解質二次電池の他の例である角形非水電解質二次電池を図4を参照して説明する。
図4は、本発明に係る非水電解質二次電池の一例である角形非水電解質二次電池を示す部分切欠斜視図である。
図4に示すように、金属、例えばアルミニウムからなる有底矩形筒状の外装缶21は、例えば正極端子を兼ね、底部内面に絶縁体22が配置されている。前記外装缶21内には、電極群23が収納されている。前記電極群23は、負極24と、セパレータ25と、正極26とを前記正極26が最外周に位置するように渦巻状に捲回した後、扁平状にプレス成形することにより作製したものである。前記正極26の集電体には、正極リード(図示せず)が接続され、かつこの正極リードの他端は前記外装缶21に接続されている。
中心付近にリード取出穴を有する例えば合成樹脂からなるスペーサ27は、前記外装缶21内の前記電極群23上に配置されている。金属製の蓋体28は、前記外装缶21の上端開口部に、例えばレーザ溶接により気密に接合されている。前記蓋体28の中心付近には、負極端子30の取出穴29が開口されている。前記蓋体28には、前記外装缶21内の内圧が極端に上昇したような場合に破れて内圧を開放する安全弁機構(図示せず)が設けられている。負極端子30は、前記蓋体28の取出穴29にガラス製または樹脂製の絶縁材31を介してハーメティックシールされている。前記負極端子30の下端面には、負極リード32が接続され、かつこの負極リード32の他端は前記電極群23の負極24の集電体に接続されている。絶縁封口板33は、蓋体28の上面に配置されている。絶縁性の外装チューブ34は、外装缶21の側面並びに底面周縁と、絶縁封口板33の周縁を被覆している。
なお、前述した図2及び図4においては、正極とセパレータと負極とが偏平状に捲回された電極群を用いる例を説明したが、この代わりに、正極とセパレータと負極との積層物からなる電極群、正極とセパレータと負極との積層物が1回以上折り曲げられた構造の電極群を適用することもできる。
また、図2においては、薄型非水電解質二次電池に適用した例を説明し、図4においては、角形非水電解質二次電池に適用した例を説明したが、この他にも円筒形非水電解質二次電池等にも同様に適用することができる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
[実施例]
以下、本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
<正極活物質の作製>
(実施例1)
コバルト塩として硫酸コバルトを含む飽和水溶液を調製した。この飽和水溶液に、攪拌しながらアルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより、コバルト水酸化物を沈殿させ、コバルト水酸化物結晶の凝集体を得た。これをろ過して沈殿物を回収し、水洗を繰り返してpHが安定したところで乾燥することにより、コバルト水酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を得た。
次いで、このコバルト水酸化物にリチウム化合物として炭酸リチウム粉末をLi:Co=1:1の比率で混合し、酸素雰囲気中で920℃で6時間焼成することにより、表1に示す組成を有するリチウムコバルト複合酸化物を得た。
<正極の作製>
N−メチルピロリドンに重量平均分子量70万のポリフッ化ビニリデン樹脂(PVdF)が樹脂濃度8%となるように溶解されたバインダー溶液を用意した。得られた正極活物質100重量部に対して、PVdFが2.0重量部となるように前記バインダー溶液を加え、さらに、導電材としてのD50粒径6μmのグラファイト0.5重量部及びD50粒径50nmのアセチレンブラック2.0重量部を加えて混合し、混練した。つづいて、この混合物にN−メチルピロリドンをさらに希釈添加し、ビーズミルを用いて前記固形物を分散させて正極塗工スラリーを調製した。
次いで、前記正極塗工スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(集電体)の両面にそれぞれ216g/m2になるように塗工し、乾燥した後、線圧500kg/cmでプレスを行い、スリット加工を施すことにより厚さ135μm、幅36.5mmの帯状正極を作製した。得られた正極の電極密度及び空孔率を下記表1に示す。
電極密度は、以下に説明するように求めた。
両面に活物質が塗工された正極を5cm×5cmの大きさに切り出し、電極の総重量と厚さを測定した。次いで電極の両面から活物質層をアセトンを用いて剥ぎ取り、集電体の重量と厚さを測定した。(電極総重量−集電体重量)/((電極厚さ−集電体厚さ)×面積)により、電極の密度を計算した。
空孔率は、空孔率が0%の時の正極容積を算出し、実際の容積をこれと比較し、その差分を空孔体積として求めた。なお、空孔率は水銀圧入法によって求めることも可能である。
<正極の走査型電子顕微鏡観察>
得られた正極の任意の断面について、走査型電子顕微鏡写真を倍率2000倍で3視野撮影した。この写真から、得られた正極活物質が、球形、板状、扁平形状等の様々な形をしたリチウムコバルト複合酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を含むことを確認できた。なお、走査型電子顕微鏡には、日本電子データム(株)製のJSM−5800LVを用いた。加速電圧は20kVに設定し、Au蒸着を100Åとして観察を行った。
次いで、以下に説明する方法により形状係数SF2及び平均最大粒径L2maxを算出した。3視野の走査型電子顕微鏡写真それぞれについて、全輪郭が観察可能である二次粒子像(二次粒子の二次元的な像)を10個ずつランダムに選出し、各二次粒子像のR1およびR2を測定すると共に形状係数SF2を算出し、合計30個の二次粒子像の形状係数SF2を得た。得られたSF2の平均値を下記表1に示す。
また、選出した合計30個の二次粒子について最大粒径をそれぞれ測定し、これらの平均値を求めることにより平均最大粒径L2maxを算出した。また、各二次粒子について全輪郭が観察可能である一次粒子の最大粒径を測定し、これらの平均値を求めることにより平均最大粒径L1maxを算出した。得られたL1maxをL2maxで表わし、その結果を下記表1に示す。
<負極の作製>
カルボキシメチルセルロース濃度が0.68重量%の粘稠水溶液177重量部に対して、繊維状炭素材72重量部、メソフェーズ低温焼成炭素繊維1重量部および球塊状黒鉛27重量部をそれぞれ添加した後、せん断分散した。つづいて、この混合物にさらにSBRラテックス3.4重量部を添加し、均一に混合攪拌して負極塗工スラリーを調製した。
次いで、前記負極塗工スラリーをナイフエッジコータにより厚さ10μmの銅箔(集電体)の両面に86g/m2になるように塗工し、乾燥した。その後、プレス、スリット加工を施して厚さ117μm、幅37.5mmの帯状負極を作製した。
<電極群の作製>
前記正極の集電体に帯状アルミニウム箔(厚さ100μm)からなる正極リードを超音波溶接し、前記負極の集電体に帯状ニッケル箔(厚さ100μm)からなる負極リードを超音波溶接した後、この正極と負極をその間にポリエチレンからなるセパレータを介して渦巻き状に捲回し、電極群を作製した。この電極群を加熱しながらプレス機で加圧することにより、偏平状に成形した。
アルミニウム箔の両面をポリエチレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを、プレス機により矩形のカップ状に成形し、得られた容器内に前記電極群を収納した。
次いで、容器内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより電極群及びラミネートフィルムに含まれる水分を除去した。
<非水電解液(液状非水電解質)の調製>
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチロラクトン(GBL)を、体積比率(EC:GBL)が40:60になるように混合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を、その濃度が1.5モル/Lになるよう溶解させて、非水電解液を調製した。
<二次電池の組立て>
容器内の電極群に前記非水電解液を注入し、ヒートシールにより封止することにより、前述した図2及び図3に示す構造を有し、厚さが3.6mm、幅が35mm、高さが62mmで、公称容量が0.75Ahの443443サイズの薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例2)
実施例1と同様な正極塗工スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(集電体)の両面にそれぞれ216g/m2になるように塗工し、乾燥した後、表1に示す線圧でプレスを行い、スリット加工を施すことにより厚さ129μm、幅36.5mmの帯状正極を作製した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例3)
コバルト塩として硫酸コバルトと硫酸ニッケルを8対2のモル比で混合した飽和水溶液を調整したこと以外は実施例1と同様にしてリチウムニッケルコバルト複合酸化物を得た。
得られたリチウムニッケルコバルト複合酸化物を正極活物質として用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例4)
コバルト水酸化物の二次粒子と炭酸リチウム粉末とをLi:Co=1:1の比率で混合し、酸素雰囲気中で950℃で10時間焼成した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す組成を有するリチウムコバルト複合酸化物を得た。
得られたリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例5)
コバルト水酸化物の二次粒子と炭酸リチウム粉末とをLi:Co=1:1の比率で混合し、酸素雰囲気中で880℃で4時間焼成した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す組成を有するリチウムコバルト複合酸化物を得た。
得られたリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例6,7)
表1に示す重量平均分子量のPVdFを用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例8)
PVdFの含有量とプレス時の線圧を表1に示す値に変更した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例9)
アセチレンブラックの含有量とプレス時の線圧を表1に示す値に変更した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例10)
グラファイトを添加せず、プレス時の線圧を表1に示す値に変更した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例1)
酸化コバルト粉末と炭酸リチウム粉末とをLi:Co=1:1の比率で混合し、酸素雰囲気中で950℃で8時間焼成することにより、表1に示す組成を有するリチウムコバルト複合酸化物を得た。
得られたリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例2)
比較例1と同様な正極塗工スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(集電体)の両面にそれぞれ216g/m2になるように塗工し、乾燥した後、表1に示す線圧でプレスを行い、スリット加工を施すことにより厚さ129μm、幅36.5mmの帯状正極を作製した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例3)
表1に示す重量平均分子量のPVdFを用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例4)
PVdFの含有量とプレス時の線圧を表1に示す値に変更した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例5)
コバルト水酸化物の二次粒子と炭酸リチウム粉末とをLi:Co=1:1の比率で混合し、酸素雰囲気中で850℃で4時間焼成した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す組成を有するリチウムコバルト複合酸化物を得た。
得られたリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例6)
コバルト水酸化物の二次粒子と炭酸リチウム粉末とをLi:Co=1:1の比率で混合し、酸素雰囲気中で950℃で12時間焼成した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す組成を有するリチウムコバルト複合酸化物を得た。
得られたリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用い、表1に示す線圧でプレスを行った以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例7)
アセチレンブラックの含有量とプレス時の線圧を表1に示す値に変更した以外には実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を組立てた。
実施例3〜5及び比較例5,6の正極活物質についても実施例1と同様にして一次粒子の平均最大粒径L1max及び形状係数SF2の平均値を算出した。この結果を下記表1に示す。なお、比較例1の正極活物質については、二次凝集が認められなかったため、L1max及びSF2を算出しなかった。
また、実施例2〜10及び比較例1〜7の正極についても実施例1と同様にして電極密度及び空孔率を求めた結果を下記表1に示す。
Figure 0004746278
得られた実施例1〜10及び比較例1〜7の二次電池について以下に説明するように電池特性を評価した。
<初期容量>
室温で0.5Cで4.2Vまで定電流・定電圧充電を8時間行い、室温で放電レート0.5C、放電終止電圧3.0Vの条件で放電させることにより初期容量を測定した。この結果を下記表2に示す。
ここで、1Cとは公称容量(Ah)を1時間で放電するために必要な電流値である。
<低温容量>
室温で0.5Cで4.2Vまで定電流・定電圧充電を8時間行った。次に、温度−20℃の環境下で、放電レート0.5C、放電終止電圧3.0Vの条件で放電させることにより、低温での放電容量を測定した。その結果を低温容量として下記表2に示す。
<ハイレート特性>
0.5Cの定電流で4.2Vまで充電した後、0.5Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を5サイクル繰り返し、次いで、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電した後、1Cの定電流で3.0Vまで放電した際の放電容量を測定した。さらに、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電した後、3Cの定電流で3.0Vまで放電した際の放電容量を測定し、1Cでの放電容量を100%とした際の3C放電容量比を算出し、その結果を下記表2に示す。
<充放電サイクル特性>
1.0Cの定電流で4.2Vまで充電した後、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を繰り返した。このときの1サイクル目の放電容量と100サイクル目の放電容量を測定し、1サイクル目に対する100サイクル目の容量維持率を算出し、その結果を下記表2に示す。
<過充電試験>
得られた二次電池をそれぞれ5個ずつ用意し、これらに1.0Cの定電流で、10Vまでの充電を4時間行うことにより過充電状態とし、このときにガス噴出、発火及び破裂のうちのいずれかを生じたものの個数を確認した。その結果を下記表2に示す。
<ホットプレート試験>
得られた二次電池をそれぞれ5個ずつ用意し、250℃のホットプレートの上に載せて0.5時間放置し、このときにガス噴出、発火及び破裂のうちのいずれかを生じたものの個数を確認した。その結果を下記表2に示す。
Figure 0004746278
表1及び表2から明らかなように、前述の平均最大粒径L1maxのリチウム含有金属複合酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を含む正極活物質と、前記正極活物質100重量部に対して、重量平均分子量が50万〜100万の範囲にあるポリフッ化ビニリデンを1〜3重量部含む結着剤と、一次粒子の平均粒径が20〜100nmのアセチレンブラック1〜3重量部及び平均粒径2〜10μmのグラファイト0〜1重量部を含む導電材とを備える正極を具備する実施例1〜10の二次電池は、初期容量及び低温容量が高く、かつ充放電サイクル特性にも優れていた。また、過充電時、異常高温時ともに二次電池のガス噴出、発火及び破裂が発生することなく、安全性にも優れていた。さらに、ハイレート特性にも優れていた。
形状係数SF2の平均値が1を超え、2以下である二次粒子を用いた実施例1の二次電池は、形状係数SF2の平均値が前記範囲から外れる実施例4,5の二次電池に比べて、初期容量及び低温容量が高く、ハイレート特性に優れていた。さらに、実施例1の二次電池は、実施例5の二次電池に比べて充放電サイクル特性が向上していた。これは、実施例1の二次電池に用いた二次粒子は、実施例4で用いた二次粒子に比べて低い線圧で高い電極密度が得られたことから正極の空孔径の減少を抑制できたため、また、実施例5で用いた二次粒子に比べて導電材の局在化が起こりにくかったためと考えられる。
これに対して、正極活物質として一次粒子を用いた比較例1,2の二次電池及び一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.5×L2maxを超えていた比較例6の二次電池は、実施例1〜10の二次電池と比較して低温容量が低下し、ハイレート特性に劣っていた。また、比較例1及び比較例2の二次電池では、充放電サイクル特性も劣化していた。これらのことは、線圧を大きくした結果、正極の空孔径が減少して電解液の浸透性が低下したためと考えられる。また、比較例1,2,6の二次電池はいずれも、過充電時及び異常高温時双方の安全性が低下した。これは電解液の浸透性の低下により、活物質が不均一に濡れたため局所的な発熱が生じたことに起因するものと思われる。
重量平均分子量が50万未満であるPVdFを用いた比較例3の二次電池は、実施例1〜10の二次電池に比べて低温容量が低下し、ハイレート特性が劣化しただけでなく、過充電時及び異常高温時の安全性も劣化していた。これは、PVdFの結着性が弱かったことから線圧を大きくしたため、電解液の浸透性が低下したことに起因するものと思われる。
PVdFの含有量が3重量部を超える比較例4の二次電池は、実施例1〜10の二次電池に比べて低温容量が低下し、ハイレート特性が劣化しただけでなく、過充電時及び異常高温時の安全性も劣化していた。これは、PVdFの含有量が多かったため、正極の空孔率が低下したことに起因するものと思われる。
一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.1×L2max未満であった比較例5の二次電池は、低温容量が低下し、ハイレート特性が劣化した。これは、プレスした際に凝集構造が壊れ、活物質間の導電パスが劣化したためと考えられる。また、過充電時及び異常高温時の安全性も劣化していた。これは、活物質の比表面積が大きかったことに起因するものと思われる。
アセチレンブラックの含有量が3重量部を超える比較例7の二次電池は、実施例1〜10の二次電池に比べて初期容量、低温容量ともに低下しただけでなく、ハイレート特性も劣化した。さらに、過充電時及び異常高温時の安全性も劣化していた。これらのことは、アセチレンブラックの含有量が多かったため、正極の空孔率が低下したことに起因するものと思われる。
実際に実施例1,2及び比較例1で用いた正極の細孔分布を水銀圧入法により測定した結果を図5に示す。図5中、縦軸は、積算空孔体積(cc/g)であり、横軸は、空孔径(μm)である。
同じ電極密度の実施例1と比較例1とを比較した場合、線圧の低い実施例1の方が、線圧の高い比較例1に比べて、点線で囲まれた範囲(約0.3〜0.8μm)の空孔の存在量が多くなっており、また、0.1μm以下の空孔については、実施例1の方が比較例1よりも少ないことがわかる。この結果から、実施例1のようにプレス圧を低くできると、空孔径の減少が抑えられ、約0.3〜0.8μmの空孔の存在量が多くなることが明らかとなった。約0.3〜0.8μmの空孔の存在量がより多い正極は、非水電解液の含浸性及び保持力に優れ、液周り性が良好となる。
さらに、実施例1と実施例2の比較から、電極密度を高くした実施例2では空孔量の減少が認められるものの、約0.3〜0.8μmの空孔の存在比自体は実施例1とほぼ同じになり、本願の組成にすれば電極密度を高くした際にも高含浸性が得られることが分かった。
1及びR2の定義を説明するために使用するリチウム含有金属複合酸化物の模式図。 本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型非水電解質二次電池を示す断面図。 図2のA部を示す拡大断面図。 本発明に係る非水電解質二次電池の一例である角形非水電解質二次電池を示す部分切欠斜視図。 実施例1,2及び比較例1の非水電解質二次電池に用いた正極の細孔分布を示す特性線図。
符号の説明
1…容器、2,23…電極群、3,25…セパレータ、4…正極活物質含有層、5…正極集電体、6,26…正極、7…負極活物質含有層、8…負極集電体、9,24…負極、10…正極端子、11,30…負極端子、21…外装缶、22…絶縁体、27…スペーサ、28…蓋体、29…取出穴、31…絶縁材、32…負極リード、33…絶縁封口板、34…外装チューブ。

Claims (2)

  1. 正極活物質、結着剤及び導電材を含む正極と、負極と、非水電解質とを具備する非水電解質二次電池であって、
    前記正極活物質は、リチウム含有金属複合酸化物一次粒子が凝集した二次粒子を含み、その二次粒子の平均最大粒径をL2maxとした際に前記一次粒子の平均最大粒径L1maxが0.1×L2max≦L1max≦0.5×L2maxの範囲にあり、
    前記結着剤は、前記正極活物質100重量部に対して、重量平均分子量が50万〜100万の範囲にあるポリフッ化ビニリデンを1〜3重量部含み、
    前記導電材は、前記正極活物質100重量部に対して、一次粒子の平均粒径が20〜100nmのアセチレンブラック1〜3重量部と平均粒径2〜10μmのグラファイト0〜1重量部とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記二次粒子は、下記(1)式で算出される形状係数SF2の平均値が1を超え、2以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
    SF2=R1/R2 …(1)
    但し、前記R2は、前記二次粒子の二次元の像の面積を示し、前記R1は、前記二次元の像の凸部の頂点を結ぶ最短包絡線で囲まれた領域の面積を示す。
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