JP2002201093A - シリコン単結晶ウエーハおよびシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
シリコン単結晶ウエーハおよびシリコン単結晶の製造方法Info
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- C30B15/14—Heating of the melt or the crystallised materials
Abstract
子間シリコンリッチのI域のいずれにも属さず、かつ確
実に酸化膜耐圧等の電気特性を向上させることができる
CZ法によるシリコン単結晶ウエーハを安定した製造条
件下に製造する。 【解決手段】 チョクラルスキー法により育成されたシ
リコン単結晶ウエーハにおいて、ウエーハ全面が熱酸化
処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のN領
域であって、Cuデポジションにより検出される欠陥領
域が存在しないものであることを特徴とするシリコン単
結晶ウエーハ及びシリコン単結晶の製造方法。
Description
領域、OSF領域およびI領域のいずれの欠陥領域でも
なく、さらに銅デポジション処理により検出される酸化
膜欠陥も形成されない、高耐圧で優れた電気特性をもつ
シリコン単結晶ウエーハ及びシリコン単結晶の製造方法
に関するものである。
子の微細化に伴い、その基板となるチョクラルスキー法
(以下、CZ法と略記する)で作製されたシリコン単結
晶に対する品質要求が高まってきている。特に、FP
D、LSTD、COP等のグローンイン(Grown−
in)欠陥と呼ばれる酸化膜耐圧特性やデバイスの特性
を悪化させる、単結晶成長起因の欠陥が存在しその密度
とサイズの低減が重要視されている。
ず、シリコン単結晶に取り込まれるベイカンシイ(Va
cancy、以下Vと略記することがある)と呼ばれる
空孔型の点欠陥と、インタースティシアル−シリコン
(Interstitial−Si、以下Iと略記する
ことがある)と呼ばれる格子間型シリコン点欠陥のそれ
ぞれの取り込まれる濃度を決定する因子について、一般
的に知られていることを説明する。
acancy、つまりシリコン原子の不足から発生する
凹部、穴のようなものが多い領域であり、I領域とは、
シリコン原子が余分に存在することにより発生する転位
や余分なシリコン原子の塊が多い領域のことであり、そ
してV領域とI領域の間には、原子の不足や余分が無い
(少ない)ニュートラル(Neutral、以下Nと略
記することがある)領域が存在していることになる。そ
して、前記グローンイン欠陥(FPD、LSTD、CO
P等)というのは、あくまでもVやIが過飽和な状態の
時に発生するものであり、多少の原子の偏りがあって
も、飽和以下であれば、欠陥としては存在しないことが
判ってきた。
晶の引上げ速度(成長速度)と結晶中の固液界面近傍の
温度勾配Gとの関係から決まり、V領域とI領域との境
界近辺にはOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidati
on Indused Stacking Faul
t)と呼ばれる欠陥が、結晶成長軸に対する垂直方向の
断面で見た時に、リング状に分布(以下、OSFリング
ということがある)していることが確認されている。
中固液界面近傍の温度勾配Gが大きい炉内構造(ホット
ゾーン:HZということがある)を使用したCZ引上げ
機で結晶軸方向に成長速度を高速から低速に変化させた
場合、図7に示したような欠陥分布図として得られる。
ると、例えば成長速度が0.6mm/min前後以上と
比較的高速の場合には、空孔タイプの点欠陥が集合した
ボイド起因とされているFPD、LSTD、COP等の
グローンイン欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在し、
これら欠陥が存在する領域はV領域と呼ばれている(図
7のライン(A))。また、成長速度が0.6mm/m
in以下の場合は、成長速度の低下に伴い、OSFリン
グが結晶の周辺から発生し、このリングの外側に転位ル
ープ起因と考えられているL/D(Large Dis
location:格子間転位ループの略号、LSEP
D、LFPD等)の欠陥が低密度に存在し、これら欠陥
が存在する領域はI領域(L/D領域ということがあ
る)と呼ばれている。さらに、成長速度を0.4mm/
min前後以下と低速にすると、OSFリングがウエー
ハの中心に凝集して消滅し、全面がI領域となる(図7
のライン(c))。
リングの外側に、N領域と呼ばれる、空孔起因のFP
D、LSTD、COPも、転位ループ起因のLSEP
D、LFPDも存在しない領域の存在が発見されてい
る。この領域はOSFリングの外側にあり、そして、酸
素析出熱処理を施し、X−ray観察等で析出のコント
ラストを確認した場合に、酸素析出がほとんどなく、か
つ、LSEPD、LFPDが形成されるほどリッチでは
ないI領域側であると報告されている(図7のライン
(B))。
速度を下げた時に成長軸方向に対して斜めに存在するた
め、ウエーハ面内では一部分にしか存在しなかった。こ
のN領域について、ボロンコフ理論(V.V.Voro
nkov;Journal of Crystal G
rowth,59(1982)625〜643)では、
引上げ速度(V)と結晶固液界面軸方向温度勾配(G)
の比であるV/Gというパラメータが点欠陥のトータル
な濃度を決定すると唱えている。このことから考える
と、面内で引上げ速度は一定のはずであるから、面内で
Gが分布を持つために、例えば、ある引上げ速度では中
心がV領域でN領域を挟んで周辺でI領域となるような
結晶しか得られなかった。
この斜めでしか存在しなかったN−領域を、例えば、引
上げ速度Fを徐々に下げながら引上げた時に、ある引上
げ速度でN領域が横全面に広がった結晶が製造できるよ
うになった。また、この全面N領域の結晶を長さ方向へ
拡大するには、このN領域が横に広がった時の引上げ速
度を維持して引上げればある程度達成できる。また、結
晶が成長するに従ってGが変化することを考慮し、それ
を補正して、あくまでもV/Gが一定になるように、引
上げ速度を調節すれば、それなりに成長方向にも、全面
N領域となる結晶が拡大できるようになった。
ングの外側に隣接するNv領域(空孔の多い領域)とI
領域に隣接するNi領域(格子間シリコンが多い領域)
とがあり、Nv領域では、熱酸化処理した際に酸素析出
量が多く、Ni領域では酸素析出が殆ど無いことがわか
っている。
り、熱酸化処理した際にOSFリングを発生せず、かつ
全面にFPD、L/Dが存在しない単結晶であるにもか
かわらず酸化膜欠陥が著しく発生する場合があることが
わかった。そして、これが酸化膜耐圧特性のような電気
特性を劣化させる原因となっており、従来の全面がN領
域であるというだけでは不十分であり、さらなる改善が
望まれていた。
ような問題点に鑑みてなされたもので、空孔リッチのV
領域、OSF領域、そして格子間シリコンリッチのI領
域のいずれにも属さず、かつ確実に酸化膜耐圧等の電気
特性を向上させることができるCZ法によるシリコン単
結晶ウエーハを安定した製造条件下に得ることを目的と
する。
成するために為されたもので、本発明に係るシリコン単
結晶ウエーハは、チョクラルスキー法により育成された
シリコン単結晶ウエーハにおいて、ウエーハ全面が熱酸
化処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のN
領域であって、Cuデポジションにより検出される欠陥
領域が存在しないものであることを特徴としている(請
求項1)。
ーハは、ウエーハ全面が熱酸化処理をした際にリング状
に発生するOSFの外側のN領域であって、特にCuデ
ポジションにより検出される欠陥領域が存在しない無欠
陥ウエーハであり、デバイスを作製しても酸化膜耐圧特
性等の電気特性を劣化させることのない高品質のシリコ
ンウエーハとなる。
ン単結晶ウエーハは、チョクラルスキー法により育成さ
れたシリコン単結晶ウエーハにおいて、ウエーハ全面が
熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外側
のN領域であって、Cuデポジションにより検出される
欠陥領域および酸素析出が生じにくいNi領域がウエー
ハ全面内に存在しないものであることを特徴としている
(請求項2)。
ーハは、ウエーハ全面が熱酸化処理をした際にリング状
に発生するOSFの外側のN領域であって、特にCuデ
ポジションにより検出される欠陥領域および酸素析出が
生じにくいNi領域がウエーハ全面内に存在しない無欠
陥ウエーハであり、デバイスを作製しても酸化膜耐圧特
性等の電気特性を劣化させないとともに、ゲッタリング
能力も高いものである。
法は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成
する場合において、育成されたシリコン単結晶ウエーハ
に熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外
側のN領域であって、Cuデポジションにより検出され
る欠陥領域が存在しない無欠陥領域内で結晶を成長させ
ることを特徴としている(請求項3)。
方法は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育
成する場合において、引上げ中のシリコン単結晶の成長
速度を漸減した場合、OSFリング消滅後に残存するC
uデポジションにより検出される欠陥領域が消滅する境
界の成長速度と、さらに成長速度を漸減した場合に格子
間転移ループが発生する境界の成長速度との間の成長速
度に制御して結晶を育成することを特徴としている(請
求項4)。
リコン単結晶ウエーハに熱酸化処理をした際にリング状
に発生するOSFの外側のN領域であって、特にCuデ
ポジションにより検出される酸化膜耐圧等の電気特性を
劣化させる欠陥領域が存在しない無欠陥シリコン単結晶
ウエーハを製造することができる。
方法の第2の態様は、チョクラルスキー法によりシリコ
ン単結晶を育成する場合において、育成されたシリコン
単結晶ウエーハに熱酸化処理をした際にリング状に発生
するOSFの外側のN領域であって、Cuデポジション
により検出される欠陥領域および酸素析出が生じにくい
Ni領域が存在しない領域内で結晶を成長させることを
特徴としている(請求項5)。
造方法は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を
育成する場合において、引上げ中のシリコン単結晶の成
長速度を漸減した場合、OSFリング消滅後に残存する
Cuデポジションにより検出される欠陥領域が消滅する
境界の成長速度と、さらに成長速度を漸減した場合に酸
素析出が生じにくいNi領域が発生する境界の成長速度
との間の成長速度に制御して結晶を育成することを特徴
としている(請求項6)。
が熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外
側のN領域であって、Cuデポジションにより検出され
る欠陥領域および酸素析出が生じにくいNi領域がウエ
ーハ全面内に存在しない無欠陥シリコン単結晶ウエーハ
を製造することができる。従って、酸化膜耐圧およびゲ
ッタリング能力ともに良好な結晶を得ることができる。
引上げ速度を0.5mm/min以上とすることが好ま
しい(請求項7)。このように、結晶成長時の引上げ速
度を0.5mm/min以上とすれば、本発明の無欠陥
領域、特に酸素析出物層が形成される領域の製造マージ
ンが拡大し、安定供給が可能になる。
発明はこれらに限定されるものではない。説明に先立ち
各用語につき予め解説しておく。 1)FPD(Flow Pattern Defec
t)とは、成長後のシリコン単結晶棒からウエーハを切
り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチン
グして取り除いた後、K2 Cr2 O7 と弗酸と水の混合
液で表面をエッチング(Seccoエッチング)するこ
とによりピットおよびさざ波模様が生じる。このさざ波
模様をFPDと称し、ウエーハ面内のFPD密度が高い
ほど酸化膜耐圧の不良が増える(特開平4−19234
5号公報参照)。
it Defect)とは、FPDと同一のSecco
エッチングを施した時に、流れ模様(flow pat
tern)を伴うものをFPDと呼び、流れ模様を伴わ
ないものをSEPDと呼ぶ。この中で10μm以上の大
きいSEPD(LSEPD)は転位クラスターに起因す
ると考えられ、デバイスに転位クラスターが存在する場
合、この転位を通じて電流がリークし、P−Nジャンク
ションとしての機能を果たさなくなる。
ring Tomography Defect)と
は、成長後のシリコン単結晶棒からウエーハを切り出
し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングし
て取り除いた後、ウエーハを劈開する。この劈開面より
赤外光を入射し、ウエーハ表面から出た光を検出するこ
とでウエーハ内に存在する欠陥による散乱光を検出する
ことができる。ここで観察される散乱体については学会
等ですでに報告があり、酸素析出物とみなされている
(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.32,
P3679,1993参照)。また、最近の研究では、
八面体のボイド(穴)であるという結果も報告されてい
る。
nated Particle)とは、ウエーハの中心
部の酸化膜耐圧を劣化させる原因となる欠陥で、Sec
coエッチではFPDになる欠陥が、SC−1洗浄(N
H4 OH:H2 O2 :H2 O=1:1:10の混合液に
よる洗浄)では選択エッチング液として働き、COPに
なる。このピットの直径は1μm以下で光散乱法で調べ
る。
tion:格子間転位ループの略号)には、LSEP
D、LFPD等があり、転位ループ起因と考えられてい
る欠陥である。LSEPDは、上記したようにSEPD
の中でも10μm以上の大きいものをいう。また、LF
PDは、上記したFPDの中でも先端ピットの大きさが
10μm以上の大きいものをいい、こちらも転位ループ
起因と考えられている。
ハの欠陥の位置を正確に測定し、半導体ウエーハの欠陥
に対する検出限度を向上させ、より微細な欠陥に対して
も正確に測定し、分析できるウエーハの評価法である。
表面上に所定の厚さの絶縁膜を形成させ、前記ウエーハ
の表面近くに形成された欠陥部位上の絶縁膜を破壊して
欠陥部位にCu等の電解物質を析出(デポジション)す
るものである。つまり、Cuデポジション法は、Cuイ
オンが溶存する液体の中で、ウエーハ表面に形成した酸
化膜に電位を印加すると、酸化膜が劣化している部位に
電流が流れ、CuイオンがCuとなって析出することを
利用した評価法である。酸化膜が劣化し易い部分にはC
OP等の欠陥が存在していることが知られている。
位は、集光灯下や直接的に肉眼で分析してその分布や密
度を評価することができ、さらに顕微鏡観察、透過電子
顕微鏡(TEM)または走査電子顕微鏡(SEM)等で
も確認することができる。
コン単結晶成長に関し、V領域とI領域の境界近辺につ
いて、詳細に調査したところ、V領域とI領域の中間で
OSFリングの外側に、FPD、LSTD、COPの数
が著しく少なく、L/Dも存在しないニュートラルなN
領域を見出した。そして、このN領域をさらに分類する
と、OSFリングの外側に隣接するNv領域(空孔の多
い領域)とI領域に隣接するNi領域(格子間シリコン
が多い領域)とがあり、Nv領域では、熱酸化処理した
際に酸素析出量が多く、Ni領域では酸素析出が無いこ
とがわかってきた。
も、酸化膜耐圧が悪いものがあり、その原因がよく判っ
ていなかった。そこで本発明者等は、Cuデポジション
法によりN領域についてさらに詳細に調査したところ、
OSF領域の外側のN領域であって、析出熱処理後酸素
析出が発生し易いNv領域の一部にCuデポジション処
理で検出される欠陥が著しく発生する領域があることを
発見した。そして、これが酸化膜耐圧特性のような電気
特性を劣化させる原因となっていることをつきとめた。
て、Cuデポジションにより検出される欠陥領域のない
領域をウエーハ全面に広げることができれば、前記種々
のグローンイン欠陥がないとともに、確実に酸化膜耐圧
特性等を向上することができるウエーハが得られること
になる。
度と欠陥分布の関係を求め、その結果に基づいて単結晶
棒を育成し、ウエーハの酸化膜耐圧特性を評価した。 (実験1)図2(a)の装置Aおよび図2(b)の装置
Bに示したMCZ法単結晶引上げ装置(横磁場印加)の
内、装置Aは24インチ石英ルツボに原料多結晶シリコ
ンを150kgチャージし、装置Bは26インチ石英ル
ツポに原料多結晶シリコンを160kgチャージし、各
装置にて直径8インチ(直径200mm)、方位<10
0>のシリコン単結晶を引上げた。単結晶を引上げる
際、成長速度を0.7mm/minから0.3mm/m
inの範囲で結晶頭部から尾部にかけて漸減させるよう
制御した。またウエーハの酸素濃度が22〜23ppm
a(ASTM’79値)となるように単結晶を作製し
た。
に、引上げた結晶の頭部から尾部にかけて結晶軸方向に
縦割り切断し、4枚のウエーハサンプルを作製した。4
枚中3枚はWLT(ウエーハライフタイム)測定(測定
器:SEMILAB WT−85)およびセコエッチン
グによりV領域、OSF領域、I領域の各領域の分布状
況とFPD、LEPの分布状況、そしてOSF熱処理に
よるOSF発生状況を調査し、各領域境界の成長速度を
確認した。さらに結晶軸方向に縦割り切断したサンプル
の内1枚は、図3(c)に示したように、直径6インチ
のウエーハ形状にくり抜き加工し、1 枚は鏡面加工仕上
げの上、ウエーハ表面に熱酸化膜を形成した後、Cuデ
ポジション処理を施し、酸化膜欠陥の分布状況を確認し
た。
評価結果の詳細を以下に述べる。 (1)引上げた単結晶棒を結晶軸方向10cm毎の長さ
にブロック切断後、縦結晶軸方向に縦割り切断し、約2
mm厚さのサンプルを4枚作製した。 (2)上記サンプルのうち1枚目は、ウェーハ熱処理炉
内620℃、2時間、窒素雰囲気下において熱処理後、
800℃、4時間(窒素雰囲気下)熱処理を施し、その
後1000℃、16時間(ドライ酸素雰囲気下)熱処理
後冷却し、SEMILAB−85によりウエーハライフ
タイム(WLT)のマップを作成した(図4(a)、
(b)参照)。また2枚目はミラーエッチング後セコエ
ッチングを施し、FPDおよびLEPの分布を観察し
た。そして3枚目はOSF熱処理後セコエッチングして
酸化膜を除去し、OSFの分布状況を確認した。これら
の結果からV領域、OSF領域、I領域の各領域を特定
し、各境界の成長速度を調査した。
各境界の成長速度(図4(a)参照)は、次のようにな
った。 V領域/OSF領域境界: 0.484mm/min、 OSF消滅境界: 0.472mm/min、 Cuデポジション欠陥消滅境界: 0.467mm/min、 非析出N(Ni)領域/I領域境界: 0.454mm/min、
各境界の成長速度(図4(b)参照)は、次の通りであ
る。 V領域/OSF領域境界: 0.596mm/min、 OSF消滅境界: 0.587mm/min、 Cuデポジション欠陥消滅境界: 0.566mm/min、 析出N(Nv)領域/Ni領域境界: 0.526mm/min、 Ni領域/I領域境界 : 0.510mm/min、
に縦割り切断したサンプルの内残り1枚を直径6インチ
のウェーハ形状にくり抜き加工(図3(c)参照)し、
鏡面加工仕上げの上、ウエーハ表面に熱酸化膜形成後C
uデポジション処理を施し、酸化膜欠陥の分布状況を確
認した。評価条件は次のとおりである。 1)酸化膜:25nm、 2)電解強度:6MV/c
m、 3)電圧印加時間:5分間。
評価した結果図を示す。図5(a)はCuデポジション
により発生した欠陥領域の欠陥分布を、(b)はCuデ
ポジションによる欠陥のないNv領域の欠陥分布を示
す。図6(a)は、Cuデポジションで欠陥が発生した
Nv領域の評価結果であり、(b)は、Cuデポジショ
ンにより欠陥が発生しなかったNv領域の評価結果であ
る。
領域の内、酸素析出が生じ易いNv領域中に、酸化膜欠
陥の生じ易いCuデポジションにより検出される欠陥領
域が存在することが判る。この領域では、Nv領域であ
るにもかかわらず、酸化膜耐圧が必ずしも良くない。一
方、同じNv領域でも、このCuデポジションにより検
出される欠陥領域のないNv領域では酸化膜耐圧が満足
できる結果となることが判る。
(図2(b))を用いてOSF外側のN領域であって、
Cuデポジション欠陥領域(Dn領域)でない領域およ
びさらに酸素析出が生じにくいNi領域も含まない領域
が狙えるように成長速度を制御し、引上げた結晶から鏡
面仕上げのウエーハに加工し、酸化膜耐圧特性の評価を
行った。なお、C−モード測定条件は次のとおりであ
る。 1)酸化膜:25nm、 2)測定電極:リン・ドー
プ・ポリシリコン、 3)電極面積:8mm2 、 4)判定電流:1mA/c
m2 。 その結果、酸化膜耐圧レベルは100%の良品率であっ
た。
を踏まえた上で鋭意検討を重ね、本発明に想到したもの
である。本発明の第1のシリコン単結晶の製造方法は、
育成されたシリコン単結晶ウエーハに熱酸化処理をした
際にリング状に発生するOSFの外側のN領域であっ
て、Cuデポジションにより検出される欠陥領域が存在
しない無欠陥領域内で結晶を成長させることを特徴とし
ている。
上げ中のシリコン単結晶の成長速度を漸減した場合、O
SFリング消滅後に残存するCuデポジションにより検
出される欠陥領域が消滅する境界の成長速度と、さらに
成長速度を漸減した場合に格子間転移ループが発生する
境界の成長速度との間の成長速度に制御して結晶を育成
することになる。
から切り出されたウエーハは、ウエーハ全面が熱酸化処
理をした際にリング状に発生するOSFの外側のN領域
であって、Cuデポジションにより検出される欠陥領域
が全く存在しない無欠陥シリコン単結晶ウエーハとな
る。
コン単結晶ウエーハに熱酸化処理をした際にリング状に
発生するOSFの外側のN領域であって、Cuデポジシ
ョンにより検出される欠陥領域および酸素析出が生じに
くいNi領域が存在しない領域内で結晶を成長させるこ
とを特徴としている。
上げ中のシリコン単結晶の成長速度を漸減した場合、O
SFリング消滅後に残存するCuデポジションにより検
出される欠陥領域が消滅する境界の成長速度と、さらに
成長速度を漸減した場合に酸素析出が生じにくいNi領
域が発生する境界の成長速度との間の成長速度に制御し
て結晶を育成することになる。
ら作製されたウエーハは、ウエーハ全面が熱酸化処理を
した際にリング状に発生するOSFの外側のN領域であ
って、Cuデポジションにより検出される欠陥領域およ
び酸素析出が生じにくいNi領域がウエーハ全面内に存
在しない無欠陥シリコン単結晶ウエーハとすることがで
きる。
i領域を含まず、全てNv領域であるので、無欠陥領域
中に窒素およびドライ酸素雰囲気下に熱処理した際、酸
素析出物層がバルク中に形成される。従って、この領域
から作製したシリコン単結晶ウエーハは、酸化膜耐圧等
が良好であるのみならず、優れたゲッタリング能力を持
つ。
シリコン単結晶を0.5mm/min以上の成長速度で
引上げ可能な急冷構造のCZ引上げ装置を使用すれば、
本発明の無欠陥領域、特に酸素析出物層が形成される領
域(Nv−Dn)の方がより拡大し、製造上安定性を維
持することができた。
向温度勾配Gcが小さく、本発明の無欠陥領域製造の
際、0.5mm/minの成長速度が超えられないCZ
法引上げ装置の場合、本発明品の成長速度マージンは
0.02mm/minを下回るため、容易に量産できな
かったが、Gcが大きく、本発明の無欠陥領域製造の
際、0.5mm/min以上の成長速度が達成できるC
Z法引上げ装置の場合、本発明品の成長速度マージンは
0.02mm/min以上であり、最大約0.05mm
/minを達成することができた。特に上記のように
0.5mm/min以上の成長速度で本発明品を製造し
た場合、窒素およびドライ酸素雰囲気中の熱処理後に酸
素析出物層がバルグ中に形成される領域の成長速度マー
ジンの方が容易に拡大できることがわかった。
晶引上げ装置の構成例を図2(a)(b)により説明す
る。図2(a)に示すように、この単結晶引上げ装置3
0は、引上げ室31と、引上げ室31中に設けられたル
ツボ32と、ルツボ32の周囲に配置されたヒータ34
と、ルツボ32を回転させるルツボ保持軸33及びその
回転機構(図示せず)と、シリコンの種結晶を保持する
シードチャック6と、シードチャック6を引上げるワイ
ヤ7と、ワイヤ7を回転又は巻き取る巻取機構(図示せ
ず)を備えて構成されている。ルツボ32は、その内側
のシリコン融液(湯)2を収容する側には石英ルツボが
設けられ、その外側には黒鉛ルツボが設けられている。
また、ヒータ34の外側周囲には断熱材35が配置され
ている。
を設定するために、環状の黒鉛筒(遮熱板)9を設けて
いる。また、図2(b)に示したものは、結晶の固液界
面4の外周に環状の外側断熱材10を設けている。この
外側断熱材10は、その下端とシリコン融液2の湯面3
との間に2〜20cmの間隔を設けて設置されている。
さらに、冷却ガスを吹き付けたり、輻射熱を遮って単結
晶を冷却する筒状の冷却装置を設けることもある。別
に、最近では引上げ室31の水平方向の外側に、図示し
ない磁石を設置し、シリコン融液2に水平方向あるいは
垂直方向等の磁場を印加することによって、融液の対流
を抑制し、単結晶の安定成長をはかる、いわゆるMCZ
法が用いられることも多い。
単結晶育成方法について説明する。まず、ルツボ32内
でシリコンの高純度多結晶原料を融点(約1420°
C)以上に加熱して融解する。次に、ワイヤ7を巻き出
すことにより融液2の表面略中心部に種結晶の先端を接
触又は浸漬させる。その後、ルツボ保持軸33を適宜の
方向に回転させるとともに、ワイヤ7を回転させながら
巻き取り種結晶を引上げることにより、単結晶育成が開
始される。以後、引上げ速度と温度を適切に調節するこ
とにより略円柱形状の単結晶棒1を得ることができる。
成するために特に重要であるのは、図2(a)または図
2(b)に示したように、引上げ室31の湯面上の単結
晶棒1中の液状部分の外周空間において、湯面近傍の結
晶の融点から1400℃までの温度域が制御できるよう
に環状の黒鉛筒(遮熱板)9や外側断熱材10を設けた
ことである。
に、例えば図2(b)に示したように、引上げ室31内
に外側断熱材10を設け、この下端と融液表面との間隔
を2〜20cmに設定すればよい。こうすれば、結晶中
心部分の温度勾配Gc[℃/cm]と結晶周辺部分の温
度勾配Geとの差が小さくなり、例えば結晶周辺の温度
勾配の方が結晶中心より低くなるように炉内温度を制御
することもできる。この外側断熱材10は黒鉛筒12の
外側にあり、黒鉛筒12の内側にも断熱筒11を設けて
いる。また、黒鉛筒12の上は金属筒13につながり、
その上には冷却筒14があって冷却媒体を流して強制冷
却している。
造されたシリコン単結晶をスライスして得られるシリコ
ン単結晶ウエーハは、ウエーハに熱酸化処理をした際
に、リング状に発生するOSFの外側のN領域であっ
て、Cuデポジションにより検出される欠陥領域が存在
しない無欠陥ウエーハである。あるいはウエーハ全面が
熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外側
のN領域であって、Cuデポジションにより検出される
欠陥領域および酸素析出が生じにくいNi領域がウエー
ハ全面内に存在しない無欠陥ウエーハである。
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
インチのシリコン単結晶を育成する場合につき例を挙げ
て説明したが、本発明はこれには限定されず、直径10
〜16インチあるいはそれ以上のシリコン単結晶にも適
用できる。また、本発明は、シリコン融液に水平磁場、
縦磁場、カスプ磁場等を印加するいわゆるMCZ法にも
適用できることは言うまでもない。
V領域、OSF領域およびI領域のいずれの欠陥領域で
もなく、さらにCuデポジション処理により検出される
酸化膜欠陥も形成されない、高耐圧で優れた電気特性を
もつシリコン単結晶ウエーハを安定的に供給することが
できる。
説明図である。
ある。 (a)装置A、 (b)装置B。
示す関係図である。 (b)各引上げ装置のOSFシュリンク速度を示す説明
図である。 (c)Cuデポジション評価試料の作製方法を示す説明
図である。
単結晶の結晶軸方向のWLTマップである。 (a)装置A、 (b)装置B。
分布を観察した結果図である。 (a)Cuデポジション領域、 (b)欠陥のないNv
領域。
図である。 (a)Cuデポジションにより欠陥発生領域、 (b)
欠陥が発生しなかったNv領域。
示す説明図である。
固液界面、6…シードチャック、7…ワイヤ、9…黒鉛
筒、10…外側断熱材、11…内側断熱筒、12…黒鉛
筒、13…金属筒、14…冷却筒、30…単結晶引上げ
装置、31…引上げ室、32…ルツボ、33…ルツボ保
持軸、34…ヒータ、35…断熱材。V…V領域、N…
N領域、OSF…OSFリング及びOSF領域、I…I
領域、Nv…Nv領域、Ni…Ni領域、Dn…Cuデ
ポジション欠陥領域。
Claims (7)
- 【請求項1】 チョクラルスキー法により育成されたシ
リコン単結晶ウエーハにおいて、ウエーハ全面が熱酸化
処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のN領
域であって、Cuデポジションにより検出される欠陥領
域が存在しないものであることを特徴とするシリコン単
結晶ウエーハ。 - 【請求項2】 チョクラルスキー法により育成されたシ
リコン単結晶ウエーハにおいて、ウエーハ全面が熱酸化
処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のN領
域であって、Cuデポジションにより検出される欠陥領
域および酸素析出が生じにくいNi領域がウエーハ全面
内に存在しないものであることを特徴とするシリコン単
結晶ウエーハ。 - 【請求項3】 チョクラルスキー法によりシリコン単結
晶を育成する場合において、育成されたシリコン単結晶
ウエーハに熱酸化処理をした際にリング状に発生するO
SFの外側のN領域であって、Cuデポジションにより
検出される欠陥領域が存在しない無欠陥領域内で結晶を
成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方
法。 - 【請求項4】 チョクラルスキー法によりシリコン単結
晶を育成する場合において、引上げ中のシリコン単結晶
の成長速度を漸減した場合、OSFリング消滅後に残存
するCuデポジションにより検出される欠陥領域が消滅
する境界の成長速度と、さらに成長速度を漸減した場合
に格子間転移ループが発生する境界の成長速度との間の
成長速度に制御して結晶を育成することを特徴とするシ
リコン単結晶の製造方法。 - 【請求項5】 チョクラルスキー法によりシリコン単結
晶を育成する場合において、育成されたシリコン単結晶
ウエーハに熱酸化処理をした際にリング状に発生するO
SFの外側のN領域であって、Cuデポジションにより
検出される欠陥領域および酸素析出が生じにくいNi領
域が存在しない領域内で結晶を成長させることを特徴と
するシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項6】 チョクラルスキー法によりシリコン単結
晶を育成する場合において、引上げ中のシリコン単結晶
の成長速度を漸減した場合、OSFリング消滅後に残存
するCuデポジションにより検出される欠陥領域が消滅
する境界の成長速度と、さらに成長速度を漸減した場合
に酸素析出が生じにくいNi領域が発生する境界の成長
速度との間の成長速度に制御して結晶を育成することを
特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項7】 前記結晶成長時の引上げ速度を0.5m
m/min以上とすることを特徴とする請求項3ないし
請求項6のいずれか1項に記載したシリコン単結晶の製
造方法。
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