JPH11236293A - 高品質シリコン単結晶ウェーハ - Google Patents

高品質シリコン単結晶ウェーハ

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JPH11236293A
JPH11236293A JP4262798A JP4262798A JPH11236293A JP H11236293 A JPH11236293 A JP H11236293A JP 4262798 A JP4262798 A JP 4262798A JP 4262798 A JP4262798 A JP 4262798A JP H11236293 A JPH11236293 A JP H11236293A
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single crystal
wafer
grown
crystal
silicon single
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JP4262798A
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English (en)
Inventor
Masahiko Okui
正彦 奥井
Manabu Nishimoto
学 西元
Kazuyuki Egashira
和幸 江頭
Takayuki Kubo
高行 久保
Shingo Kizaki
信吾 木崎
Junji Horii
淳二 堀井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】R-OSF(リング状の酸化誘起積層欠陥)の発生
位置を制御して、Grown-in欠陥の発生を抑制して、デバ
イス特性に優れた半導体材料を供給できる。 【構成】CZ法によって引上げられる際に1250℃〜1000
℃の温度範囲で徐冷されたシリコン単結晶ウェーハであ
って、R-OSFの外径、酸素析出促進領域の内径または外
径、酸素析出量が小さい領域の外径、若しくは赤外散乱
体が検出される円形領域の外径が育成された結晶の直径
の0〜60%の範囲に含まれ、かつ転位クラスタ−欠陥が
ないことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウェーハ。
この高品質シリコン単結晶ウェーハの転位クラスタ−欠
陥の観察に際し、As-grown状態のウェーハにCuデコレ−
ション熱処理を行なってX線トポグラフにて観察するこ
とも、As-grown状態のウェーハにセコエッチングを行な
い、光学顕微鏡を用いて欠陥観察を行うことも可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体材料として使用
されるシリコン単結晶ウェーハに関し、さらに詳しく
は、チョクラルスキー法(以下、CZ法という)によっ
て育成されたデバイス特性に優れる高品質シリコン単結
晶ウェーハおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体材料に用いられるシリコン単結晶
を育成させるには種々の方法があるが、なかでもCZ法
が広く採用されている育成方法である。
【0003】図1は、通常のCZ法による単結晶の育成
に用いられている単結晶育成装置の模式的断面図であ
る。図1に示すように、ルツボ1は有底円筒状の石英製
の内層保持容器1aと、この内層保持容器1aの外側に嵌合
された同じく有底円筒状の黒鉛製の外層保持容器1bとか
ら構成されている。このような構成からなるルツボ1
は、所定の速度で回転する支持軸1cに支持され、ルツボ
1の外側にはヒーター2が同心円筒状に配設されてい
る。このルツボ1の内部には、前記ヒーター2の加熱に
よって溶融された原料の溶融液3が充填されており、ル
ツボ1の中心には引上げ棒あるいはワイヤー等からなる
引上げ軸4が配設されている。この引上げ軸4の先には
シードチャックおよび種結晶5が取り付けられており、
単結晶6を育成するため、この種結晶5を溶融液3の表
面に接触させる。さらに引上げ軸4を、支持軸1cによっ
て回転されるルツボ1と反対方向に所定の速度で回転さ
せながら種結晶5を引き上げることによって、種結晶5
の先端に溶融液3を凝固させて単結晶6を成長させてい
く。
【0004】単結晶の育成に際し、最初に結晶を無転位
化するために、シード絞りを行う。その後、単結晶のボ
ディ直径を確保するため、ショルダーを形成しボディ直
径になったところで肩変えを行ない、ボディ直径を一定
にして単結晶本体の育成へ移行する。ボディ直径で所定
長さの単結晶を育成すると、無転位の状態で単結晶を溶
融液から切り離すためティル絞りを行なう。そののち、
溶融液から切り離された単結晶は育成装置外に取り出さ
れ、所定の条件で冷却されて、ウェーハに加工される。
このように単結晶から加工されたウェーハは、種々のデ
バイスの基板材料として用いられる。
【0005】上記の工程で加工されたウェーハの面内に
は、単結晶の引上げ条件によって、リング状の酸化誘起
積層欠陥(以下、R-OSF(Oxidation induced Stacking F
ault)という)が発生する場合がある。また、同時にウ
ェーハの面内にはGrown-in欠陥と呼ばれる単結晶の育成
時に形成され、育成後に結晶を評価した場合に検出され
る結晶欠陥が存在する。
【0006】図2は、単結晶育成時の引上げ速度と結晶
欠陥の発生位置との一般的な関係を模式的に説明した図
である。同図に示すように、CZ法によって育成される
シリコン単結晶では引上げ速度を小さくしていくと、R-
OSFが現われる領域が結晶の外周側から内側に収縮して
いく。したがって、高速で単結晶を育成するとR-OSFの
内側領域の結晶がウェーハ全体に広がることになり、低
速で育成するとR-OSFの外側領域の結晶がウェーハ全体
に広がる。
【0007】高速で育成された結晶と低速で育成された
結晶とでは、ウェーハ面で観察されるGrown-in欠陥が相
違する。高速で育成された結晶の場合、すなわち、R-OS
Fの内側領域では赤外散乱体(同じ欠陥種としてCOP、FPD
を含む場合もある)が検出されるのに対し、低速で育成
された結晶の場合、すなわち、R-OSFの外側領域では転
位クラスタ−と呼ばれる欠陥が検出される。そして、図
2に示すように、R-OSFのすぐ外側には酸素析出が大き
く生ずる領域が存在し、この領域を酸素析出促進領域と
呼ぶ。
【0008】上記図2で示す結晶欠陥のうち、R-OSFの
内側領域で検出される赤外散乱体はウェーハの初期の酸
化膜耐圧特性の劣化因子であり、一方、R-OSFの外側領
域で検出される転位クラスタ−もデバイス特性を劣化さ
せる因子である。ところで、R-OSFをウェーハ面内に発
生させると、結晶面内には赤外散乱体と転位クラスター
がともに現れることになるが、R-OSFに近接する内側領
域には赤外散乱体が観察されない領域があるとともに、
R-OSFおよび酸素析出促進領域に近接する外側領域にはG
rown-in欠陥が検出されない無欠陥領域が存在する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ウェーハに発生する酸
化誘起積層欠陥は酸化熱処理時に生ずる格子間型の転位
ループであるが、デバイスの活性領域であるウェーハ表
面に生成し、成長した場合にはリーク電流の原因とな
り、デバイス特性を劣化させる欠陥となる。このため、
単結晶を育成する際には、ウェーハ面内に発生するR-OS
Fの位置を制御している。
【0010】通常、ウェーハ面内でのR-OSFの発生を抑
制するため、R-OSFの発生位置をウェーハの外周部に限
定する条件で単結晶を育成している。ところが、R-OSF
の発生位置は、引上げ速度の他に、単結晶育成時の最高
温部(融点〜1250℃)の温度領域で決定され、引上げ時
の最高温部での熱履歴に影響されることが確認されてい
る。そのため、R-OSFの発生位置を決定するには、育成
される単結晶の引上げ軸方向の最高温部での温度勾配と
引上げ速度に留意しなければならない。すなわち、引上
げ速度が同じであれば温度勾配を小さくすること、また
は温度勾配が同じであれば引上げ速度を速くすることに
よって、R-OSFの発生位置をウェーハの外周部に限定す
ることができる。
【0011】ウェーハ面内に発生するR-OSFの位置やそ
の幅を確認するには、As-grown状態の単結晶から加工し
たウェーハをCu溶液に浸けて、Cuを付着させ、900℃×2
0minのCuデコレーション熱処理を行ない、X線トポグラ
フによって欠陥分布を観察するのが効果的である。ま
た、前述のR-OSFのすぐ外側に存在する酸素析出促進領
域の位置も、同様の方法によって確認することができ
る。
【0012】シリコン単結晶が、例えば、13×lO17atom
s/cm3以下の低酸素である場合には、上記の方法ではR-O
SFが明確にならないことがある。この場合には、R-OSF
の位置を確認するには、As-grown状態の単結晶から加工
したウェーハを熱処理炉内に650℃で投入して、投入後
8℃/min以下で昇温して900℃×20時間および1000℃×1
0時間で熱処理を行い、X線トポグラフにてリング状の
酸素析出量が小さい領域を観察すればよい。また、同様
の方法によって、R-OSFのすぐ外側に存在する酸素析出
促進領域の位置や幅も確認することができる。
【0013】さらに、R-OSFの発生位置を確認するに
は、As-grown状態の単結晶から加工したウェーハを赤外
散乱トモグラフィを用いて、赤外散乱体を計測した場合
に、その赤外散乱体が検出される円形領域の外径を基準
にすることによっても確認することができる。
【0014】最近、デバイス工程の低温化や育成される
単結晶の低酸素化にともない、R-OSFによるデバイスへ
の悪影響が抑えられ、酸化誘起積層欠陥に起因するデバ
イス特性の劣化はさほど問題にならなくなった。一方、
Grown-in欠陥のうち赤外散乱体、転位クラスターはとも
にデバイス特性を劣化させる因子であるから、これらの
Grown-in欠陥のウェーハ面内での密度を低減させること
がより重要になる。Grown-in欠陥の密度の低い領域は前
述のR-OSFに近接する無欠陥領域が相当するが、その領
域は限定されており、非常に狭い領域に限られている。
【0015】従来から、Grown-in欠陥のウェーハ面内で
の密度を低減させるため、種々の方法が提案されてい
る。例えば、特開平8-330316号公報では、単結晶育成時
の引上げ速度と結晶内の温度勾配を制御して、転位クラ
スターを生成させることなく、R-OSFの外側領域のみを
結晶全面に拡げる方法が提案されている。しかし、提案
の方法では極めて限定された面内の温度勾配と引上げ条
件が同時に要求されるので、今後、一層大口径化し、大
量生産を要求されるシリコン単結晶の育成において、新
たな改善が要求される。
【0016】次ぎに、特開平7-257991号公報および Jou
rnal of Crystal Growth 151、(1995)273〜277頁で
は、単結晶の引上げ軸方向の温度勾配を大きくすること
により、高速引上げ条件でR-OSFを結晶の内側に消滅さ
せることができ、R-OSFの外側領域を結晶全面に生成さ
せる方法が開示されている。しかし、これらで開示され
た方法では、結晶面内での温度勾配の分布、すなわち、
ウェーハ面内における温度分布の均一性や取り込まれる
点欠陥の面内での均一化に対する配慮がなされていな
い。言い換えると、ウェーハ面内におけるGrown-in欠陥
を低減化する手段について考慮されておらず、単にR-OS
Fを内側に収縮させたとしても、ウェーハ面に転位クラ
スターが観察されるのは従来の結晶と同様である。した
がって、開示された方法によっても、Grwon-in欠陥の低
密度化に対応したウェーハを加工することができない。
【0017】本発明は、上述した従来の結晶欠陥に関す
る問題に鑑みてなされたものであり、単結晶の育成条件
によってR-OSFの発生位置を制御して、ウェーハ面内にG
rown-in欠陥である赤外散乱体や転位クラスターのない
領域を拡大でき、しかも育成に際し、大口径化、長尺化
が図れる高品質シリコン単結晶を提供することを目的と
している。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、従来の条件で育成された単結晶ウェ
ーハでのR-OSFの発生位置とその幅に対する転位クラス
ターの発生状況を調査した。以下の説明において、ウェ
ーハの結晶面内におけるR-OSFの発生位置を明確にする
ため、結晶(ウェーハ)の中心から外周までの距離(半
径)をRとし、結晶の半径方向のR-OSFの発生位置をr
として、結晶の中心に発生する場合をr=0で示し、結
晶の外周に発生する場合をr=Rで示すこととした。
【0019】上記の調査結果によれば、従来の育成条件
では、結晶面内に発生するR-OSFがr=2/3Rになると、
R-OSFの外側領域に転位クラスターが出現するようにな
り、通常、r=1/2R以下では転位クラスタ−が存在す
る。ところで、r=1/2R以下のように、R-OSFの内側領
域が狭くなれば、内側領域に発生する赤外散乱体の密度
を小さくすることができるので、酸化膜の初期耐圧特性
(TZDB)を向上させることができる。その際に、R-OSFの
外側に発生する転位クラスタ−の発生を抑制できれば、
酸化膜の初期耐圧特性(TZDB)の向上とともに、デバイス
特性の改善を図ることができる。
【0020】本発明者らは、上記の着眼点に基づいてさ
らに検討を進めた結果、従来の条件で育成された単結晶
ウェーハに比べ、R-OSFの外側領域に転位クラスターが
存在しない無欠陥領域を拡大させて、結晶面内の全体に
おいてGrown-in欠陥を低密度にすることを可能にした。
具体的には、単結晶をCZ法で育成する際に凝固界面
(融点)〜1250℃の領域での温度分布および1250℃〜10
00℃の温度範囲における熱履歴を制御し、結晶面内に取
り込まれる空孔と格子間シリコン(Si)原子の濃度をで
きるだけ面内で同一、かつ均一にすることによって、転
位クラスターの発生を抑制した。
【0021】すなわち、空孔の濃度が格子間Si原子の濃
度よりも大きくなりすぎた領域では赤外散乱体が生成
し、格子間Si原子が空孔の濃度よりも大きくなりすぎた
領域では転位クラスターが生成されることを見出して、
ウェーハの結晶面内における空孔と格子間Si原子との濃
度差を極めて小さなものとして、Grown-in欠陥の発生を
抑制した。
【0022】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたものであり、下記の(1)〜(5)の高品質シリコン単結
晶ウェーハを要旨としている。
【0023】(1)CZ法によって引上げられる際に1250
℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上の条件で
育成されるシリコン単結晶ウェーハであって、As-grown
状態の単結晶から加工したウェーハをCu溶液に浸けて、
Cuを付着させ、900℃×20minのCuデコレーション熱処理
を行ない、X線トポグラフにて観察した場合に、R-OSF
の外径が育成された結晶の直径の0〜60%の範囲に含ま
れ、かつ転位クラスタ−欠陥がないことを特徴とする高
品質シリコン単結晶ウェーハ。
【0024】(2)CZ法によって引上げられる際に1250
℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上の条件で
育成されるシリコン単結晶ウェーハであって、As-grown
状態の単結晶から加工したウェーハをCu溶液に浸けて、
Cuを付着させ、900℃×20minのCuデコレーション熱処理
を行ない、X線トポグラフにて観察した場合に、酸素析
出促進領域の内径または外径が育成された結晶の直径の
0〜60%の範囲に含まれ、かつ転位クラスタ−欠陥がな
いことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウェーハ。
【0025】(3)CZ法によって引上げられる際に1250
℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上の条件で
育成される酸素濃度の低いシリコン単結晶ウェーハであ
って、As-grown状態の単結晶から加工したウェーハを熱
処理炉内に650℃で投入して、投入後8℃/min以下で昇
温して900℃×20時間および1000℃×10時間で熱処理を
行い、X線トポグラフにて観察した場合に、リング状の
酸素析出量が小さい領域の外径が育成された結晶の直径
の0〜60%の範囲に含まれ、かつAs-grown状態のウェー
ハに900℃×20minのCuデコレ−ション熱処理を行ない、
X線トポグラフにて観察した場合に、転位クラスタ−欠
陥がないことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウェー
ハ。
【0026】(4)CZ法によって引上げられる際に1250
℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上の条件で
育成される酸素濃度の低いシリコン単結晶ウェーハであ
って、As-grown状態の単結晶から加工したウェーハを熱
処理炉内に650℃で投入して、投入後8℃/min以下で昇
温して900℃×20時間および1000℃×10時間で熱処理を
行い、X線トポグラフにて観察した場合に、酸素析出促
進領域の内径または外径が育成された結晶の直径の0〜
60%の範囲に含まれ、かつAs-grown状態のウェーハに90
0℃×20minのCuデコレ−ション熱処理を行ない、X線ト
ポグラフにて観察した場合に、転位クラスタ−欠陥がな
いことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウェーハ。
【0027】(5)CZ法によって引上げられる際に1250
℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上の条件で
育成されるシリコン単結晶ウェーハであって、As-grown
状態の単結晶から加工したウェーハを赤外散乱トモグラ
フィを用いて、赤外散乱体を計測した場合に、その赤外
散乱体が検出される円形領域の外径が育成された結晶の
直径の0〜60%の範囲に含まれ、かつAs-grown状態のウ
ェーハに900℃×20minのCuデコレ−ション熱処理を行な
い、X線トポグラフにて観察した場合に、転位クラスタ
−欠陥がないことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウ
ェーハ。
【0028】上記(1)〜(5)の高品質シリコン単結晶にお
いて、転位クラスタ−欠陥の観察に際し、As-grown状態
のウェーハにCuデコレ−ション熱処理を行なってX線ト
ポグラフにて観察するのに代えて、As-grown状態のウェ
ーハにセコエッチングを行ない、光学顕微鏡を用いて欠
陥観察を行うことも可能である。
【0029】本発明の高品質シリコン単結晶において、
R-OSFの発生領域の発生位置の基準として、R-OSFの外径
の他に、酸素析出促進領域の内径または外径および赤外
散乱体が検出される円形領域の外径を基準としているの
は、ウェーハの面内に発生するR-OSFの幅の変動やR-OSF
が現れたり、現れなかったりする発生状況が単結晶の育
成時における熱履歴に依存するので、これらの要因を排
除して、R-OSFの発生位置を制御するためである。ま
た、R-OSFの外径を基準としているのは、熱履歴に依存
してR-OSFの発生幅が変化する場合であっても、外径位
置は変動しないからである。酸素析出促進領域の内径ま
たは外径を基準としているのは、酸素析出促進領域が結
晶面で消滅し内径を基準にできない場合を想定したため
である。さらに、リング状の酸素析出量が小さい領域の
外径を基準としているのは、単結晶の低酸素化ともなっ
てR-OSFは明確に現れない場合を考慮したためである。
【0030】さらに、R-OSFの発生位置を育成された結
晶の直径の0〜60%の範囲に規定しているのは、この範
囲内であれば、Grown-in欠陥を極端に減少させ、あるい
は無くすことができるからである。通常、特定の単結晶
育成装置と育成条件に応じて、育成速度の変更試験を行
い、事前に前記図2に相当する育成速度とR-OSFの発生
位置との関係を把握しておき、育成速度を制御すること
によって、R-OSFの発生位置が結晶直径の所定の位置に
現れるようにする。
【0031】シリコン単結晶が低酸素である場合に、R-
OSFの位置を確認する処理として、ウェーハを熱処理炉
内に650℃で投入して、投入後8℃/min以下で昇温して9
00℃×20時間および1000℃×10時間の熱処理を規定して
いるが、この一例として、投入後5℃/minで昇温して90
0℃×20時間で熱処理し、次いで10℃/minで昇温して100
0℃×10時間で熱処理するようなヒートパターンが挙げ
られる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の高品質シリコン単結晶ウ
ェーハでは、CZ法で育成する際に1250℃〜1000℃の温
度範囲における熱履歴を制御し、結晶面内に取り込まれ
る空孔と格子間シリコン(Si)原子の濃度をできるだけ
面内全体に均一にすることが必要になる。そのとき、結
晶面内に取り込まれる空孔の濃度は、育成される単結晶
の温度分布の影響を受ける。
【0033】図3は、育成される単結晶の温度分布とそ
れに基因する空孔の挙動を説明する図である。図3(a)
は軸方向の温度勾配が大きい場合の育成状況を、(b)は
温度勾配が小さい場合の育成状況を示している。(a)に
示す単結晶では軸方向での温度勾配が大きくなってお
り、結晶面の外周部ほど低温化が著しく、単結晶に現れ
る等温度分布線は外周部になるほど温度勾配が大きくな
る。これに対し、(b)に示す単結晶では軸方向の温度勾
配が小さく、理想的には等温度分布線が平坦になるか、
または等温度分布線が溶融液側に対して凸状態(以下、
単に下凸状態という)で、結晶面の外周部において軸方
向の温度勾配が小さくなっている。
【0034】図3(a)に示すように温度勾配が大きくな
ると、結晶面内に取り込まれた空孔は、軸方向の凝固界
面側に拡散する坂道拡散によって、消滅する量が大きく
なって、結晶面内に保持される空孔の濃度は小さくな
る。この場合に、半径方向で軸方向の温度勾配が異なる
ことによって結晶面内に取り込まれる空孔の濃度は同じ
ではなく、低温化が著しい外周部になるほど、空孔濃度
は低くなる。一方、図3(b)に示すように温度勾配が小
さくなると、結晶面内の空孔濃度は均一化するととも
に、径方向の濃度分布も安定化する。
【0035】図4は、単結晶の育成における凝固界面近
傍および融点〜1250℃の温度範囲における空孔と格子間
Si原子の結晶面内での濃度分布の変化状況を示す図であ
る。同図(a)は凝固界面近傍での濃度分布を、(b)〜(c)
は融点〜1250℃の温度範囲での濃度分布の変化状況を示
しており、図中で空孔濃度はCVで、格子間Si原子濃度
をCIでそれぞれ表示している。
【0036】図4(a)に示すように、最初に凝固界面近
傍においては、空孔と格子間Si原子の結晶面内への取り
込みが行われるが、その場合は空孔も格子間Si原子も固
液界面では熱平衡温度で取り込まれ、空孔の熱平衡濃度
が格子間Si原子の熱平衡濃度よりも大きいので空孔の濃
度が格子間Si原子の濃度よりも高くなる。
【0037】次いで、融点〜1250℃の温度領域になる
と、図4(b)に示すように、空孔の拡散係数が格子間Si
原子の拡散係数より大きいので、空孔の軸方向の坂道拡
散と径方向の濃度勾配拡散が促進される。さらに、育成
速度が小さくなると空孔の軸方向および径方向の拡散が
より顕著になる。このため、軸方向での凝固界面側への
坂道拡散による消滅によって、結晶面内での空孔の濃度
は小さくなるとともに、径方向での濃度勾配拡散によっ
て、結晶の外周部で空孔の濃度は一層小さくなる。一
方、格子間Si原子は、融点〜1250℃の温度範囲では空孔
に比べて拡散係数が小さいため、軸方向の坂道拡散は小
さく、結晶面内で残留するとともに、結晶の外周部にお
いてもそれほど濃度低下を生じない。
【0038】したがって、育成速度を小さく維持した場
合には、図4(c)に示すように、結晶の内側では空孔濃
度が格子間Si原子濃度よりも大きいが、結晶の外周部で
は格子間Si原子濃度が空孔濃度より大きくなることがあ
る。前述の通り、転位クラスターは過剰な格子間Si原子
が凝集したものであると推定されるから、上述のよう
に、結晶の外周部で格子間Si原子濃度が空孔濃度に比べ
て大きくなりすぎた領域では、結晶が冷却される(1000
℃前後)にともなって、転位クラスターが生成されるこ
とになる。
【0039】さらに、育成が進展して、1250℃〜1000℃
の温度範囲、特に1250℃の近傍になると、格子間Si原子
の拡散係数が空孔の拡散係数よりも大きくなる。そのた
め、この温度範囲で長時間保持することによって、結晶
の外周部における格子間Si原子の濃度勾配拡散を促進す
ることができる。したがって、上記の図4(c)に示すよ
うに、結晶の外周部において格子間Si原子濃度が空孔濃
度より大きくなる場合であっても、1250℃〜1000℃の温
度範囲を徐冷することによって、格子間Si原子の径方向
の拡散を助長し、格子間Si原子の濃度を減少させて、格
子間Si原子が過剰となっていた領域を縮小できる。これ
によって、結晶の外周領域に転位クラスターが発生する
のを抑制することができる。
【0040】本発明のシリコン単結晶ウェーハにおいて
は、1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上
になることを要件としている。後述の実施例1では、対
象となる高温領域が8時間となるように徐冷された部位
では転位クラスターの生成が抑制され、R-OSFの外側の
無欠陥領域が大きく拡大している。さらに種々の試験結
果によって、1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間を7
時間以上にすることによって、転位クラスターの発生が
なくなることを確認している。
【0041】ウェーハの結晶面内において、空孔濃度が
格子間Si原子の濃度よりも大きな領域では赤外散乱体が
生成し、格子間Si原子濃度が空孔濃度に比して大きな領
域では転位クラスターが生成されることは、前述の通り
である。ところで、結晶面内で空孔と格子間Si原子の濃
度差が小さい領域では、両点欠陥が再結合し、両者が消
滅して、結晶面内にはGrown-in欠陥が生成されなくな
る。この空孔と格子間Si原子の濃度差が小さい領域を形
成するには、結晶面内へ取り込まれる空孔の濃度を均一
にするとともに、結晶面内の格子間Si原子の濃度分布に
近似させるようにする必要がある。
【0042】上記の濃度分布を実現するには、前記図3
(b)に示したように、凝固界面(融点)〜1250℃までの
温度範囲で、単結晶の等温度分布線を平坦にするか、あ
るいは等温度分布線を下凸状態として、外周部での軸方
向の温度勾配を小さくする必要がある。これにより、こ
の温度領域での空孔の坂道拡散によって結晶面内に保持
される空孔の濃度分布は全面にわたり均一になる。一
方、格子間Si原子は、凝固界面(融点)〜1250℃の温度
範囲では空孔に比べて拡散係数が小さいため、軸方向の
坂道拡散は小さく、また結晶の外周部においてもそれほ
ど濃度低下を生じないので、空孔と格子間Si原子との濃
度差を小さくすることができる。したがって、本発明の
シリコン単結晶ウェーハの育成時において、凝固界面
(融点)〜1250℃までの温度範囲で、単結晶の等温度分
布線を平坦にするか、あるいは等温度分布線を下凸状態
とするのが望ましい。
【0043】本発明のシリコン単結晶ウェーハでは、上
記のように育成条件を改善することによって、R-OSFの
外側に出現する転位クラスターの発生を抑制することが
でき、Grown-in欠陥のない領域を拡大することができ
る。これによって、デバイス特性を劣化させる赤外散乱
体や転位クラスタ−が生成する領域をウェーハの面内か
らなくし、優れた特性を発揮する高品質なシリコン単結
晶ウェーハを得ることができる。
【0044】
【実施例】本発明のシリコン単結晶ウェーハを評価する
ため、直径8″φのシリコン単結晶を製造し、R-OSFの
形態および結晶欠陥の発生状況について調査した。
【0045】(実施例1)図1に示す単結晶育成装置を
用いて、8″φの単結晶を製造する。ルツボ内に結晶用
原料としてシリコンの多結晶120kgを充填し、さらに電
気抵抗率が10Ωcmになるようにp型ドーパントとしてボ
ロンを添加する。そして、チャンバー内をAr雰囲気にし
た後、ヒーターのパワーを調整して全ての結晶用原料を
溶融する。ルツボ内の溶融液が安定した後、種結晶の下
端を溶融液に浸漬し、ルツボおよび引上げ軸を回転させ
つつ単結晶を引き上げる。
【0046】実施例1では、転位クラスターの生成挙動
が育成条件によってどの様に変化するかを調査するため
に、ボディ長500mmの部位まで一定の育成速度で、R-OSF
をr=2/5Rの位置に発生させ、R-OSFの外周部では転位
クラスターが生成される条件で結晶育成した。単結晶の
引上げがシード絞り、ショルダ−形成からボディ本体へ
移行したら、結晶直径が維持されるように引き上げ速度
とヒ−タ−パワ−を調整しながら、所定の結晶長を引き
上げる。
【0047】単結晶の引上げ長さが500mmに達したとこ
ろで、結晶の育成をある時間停止し、育成時の各温度領
域を徐冷にした後、結晶育成を続行して引上げ長さが10
00mmになったところでテイル絞りの行程に移行した。こ
れによって、転位クラスターの生成が、どの様な挙動を
示すかについて調査した。比較のために、育成を停止す
ることなく、一定の引上げ速度で育成した単結晶を比較
例として育成した。
【0048】図5は、実施例1で引き上げた単結晶をAs
-grown状態で縦割りにし、Cuを塗布し、900℃で熱処理
して各欠陥領域を顕在化した後にX線トポグラフにて観
察した結果を模式的に示した図である。同図(a)は比較
例を示し、(b)は停止時間8時間の本発明例を示してい
る。本発明例では、比較例に比べ、1200℃〜1050℃の温
度領域で徐冷された部位では転位クラスターの生成が抑
制されており、R-OSFの外側の無欠陥領域が大きく拡大
していることがわかる。
【0049】調査結果によれば、結晶育成の停止時間が
長くなるほど、転位クラスターの生成が抑制される幅が
拡大し、より広い範囲にわたって無欠陥領域が占めるこ
とになる。このように育成条件を制御することによっ
て、結晶面内で転位クラスターの発生密度を著しく低下
させることができる。
【0050】(実施例2)実施例2では、R-OSFがr=2/5
Rの位置に発生し、1250℃〜1000℃の温度範囲を10時間
保持できるように改善したホットゾーンを用いて、引上
げ速度をほぼ一定で直径8"φの結晶を育成した場合
に、転位クラスターの生成領域の幅がどの様に変化する
かを調査した。そのため、実施例1と同じ条件で、結晶
直径が維持されるように引き上げ速度とヒ−タ−パワ−
を調整しながら、引上げ長さが100mmに達したところで
引上げ速度を一定にして、引上げ長さが1000mmまで育成
し、その後テイル絞りの行程に移行した。
【0051】図6は、実施例2で引き上げた単結晶をAs
-grown状態で縦割りにし、Cuを塗布し、900℃で熱処理
して各欠陥領域を顕在化した後にX線トポグラフにて観
察した結果を模式的に示した図である。前記の比較例に
比べ、R-OSFの外側の転位クラスターが消滅し、無欠陥
領域が大きく拡大していることがわかる。
【0052】図7は、実施例2の方法によって育成され
たAs-grown状態の結晶におけるFPD欠陥の分布密度をセ
コエッチングを行って観察した結果を示す図である。通
常、1250℃〜1000℃の温度範囲で徐冷をしない従来の育
成方法では、R-OSFの外側に転位クラスターが生成され
るが、実施例2の育成条件では、結晶面内で転位クラス
ターが発生しない結晶を得ることができる。一方、R-OS
Fの内側領域では、実施例2の育成条件によってFPDの発
生密度を低減できることが分かる。また、図8は、実施
例2の方法によって育成されたAs-grown状態の結晶にお
ける赤外散乱体欠陥の分布密度を赤外散乱トモグラフィ
を用いて測定した結果を示す図である。同図の結果か
ら、赤外散乱トモグラフィを用いて測定しても、R-OSF
の発生位置が把握できることが明らかである。
【0053】(実施例3)実施例3では、空孔の取り込
み量を均一にするために融点〜1250℃の範囲での結晶内
の温度分布を均一にし、1250℃〜1000℃を10時間保持で
きるように改善したホットゾーンを用いて、R-OSFの発
生位置がr=1/4Rで、引上げ速度をほぼ一定で直径8"
φの結晶を育成した場合に、赤外散乱体、R-OSFまたは
無欠陥領域の発生状況がどのように変化するかを調査し
た。実施例1と同じ条件で、結晶直径が維持されるよう
に引き上げ速度とヒ−タ−パワ−を調整しながら、引上
げ長さが100mmに達したところで引上げ速度を一定にし
て、引上げ長さが1000mmまで育成し、その後テイル絞り
の行程に移行した。
【0054】図9は、実施例3で引き上げた単結晶をAs
-grown状態でスライス加工し、Cuを塗布し、900℃で熱
処理して各欠陥領域を顕在化した後にX線トポグラフに
て観察した結果を模式的に示した図である。R-OSFの発
生位置がr=1/4Rで、結晶面内の内側に現れているの
に拘わらず、転位クラスターが生成されておらず、無欠
陥領域が大きく拡大している。また、R-OSFの発生位置
がr=1/4Rでは、R-OSFの内側領域でも赤外散乱体に起
因するFPD欠陥は観察されない。したがって、育成条件
を制御することによって、結晶面内で赤外散乱体(FP
D、COP)や転位クラスターの密度を低減できることが分
かる。
【0055】図10は、実施例3で引き上げた単結晶から
加工されたウェーハの初期酸化膜耐圧特性(TZDB)を調査
した結果を示した図である。酸化膜厚が25nm、印加条件
8M/Vで、R-OSFの位置がr=1/4RでFPD密度が非常に小
さい場合には結晶面内のTZDBの良品率は95%以上であ
る。
【0056】(実施例4)実施例4では、空孔の取り込
み量を均一にするために融点〜1250℃の結晶内の面内の
温度分布を均一にし、1250℃〜1000℃を10時間保持でき
るように改善したホットゾーンを用いて、R-OSFが結晶
面の内側に閉じる条件で、引上げ速度をほぼ一定で直径
8"φの結晶を育成した場合に、赤外散乱体、R-OSFまた
は無欠陥領域の発生状況がどのように変化するかを調査
した。実施例1と同じ条件で、結晶直径が維持されるよ
うに引き上げ速度とヒ−タ−パワ−を調整しながら、引
上げ長さが100mmに達したところで引上げ速度を一定に
して、引上げ長さが1000mmまで育成し、その後テイル絞
りの行程に移行した。
【0057】図11は、実施例4で引き上げた単結晶をAs
-grown状態でスライス加工し、Cuを塗布し、900℃で熱
処理して各欠陥領域を顕在化した後にX線トポグラフに
て観察した結果を模式的に示した図である。R-OSFが結
晶面の中心で閉じており、酸素析出促進領域が現れてい
るが、転位クラスターが生成されておらず、無欠陥領域
が大きく拡大している。また、R-OSFが閉じていること
によって、赤外散乱体に起因するFPD欠陥は観察されな
い。したがって、育成条件を制御することによって、Gr
own-in欠陥の密度を低減できる。
【0058】実施例4では、さらに酸素析出促進領域も
結晶面の内側に閉じる条件となる引上げ速度で育成を行
ったが、この場合には、図示しないが、結晶面は酸素析
出促進領域も消滅して、無欠陥領域のみになっている。
【0059】実施例4の方法によって製造された単結晶
から加工されたウェーハの初期酸化膜耐圧特性(TZDB)を
調査したが、実施例3の場合と同様の結果(前記図10)
を示した。すなわち、酸化膜厚が25nm、印加条件8M/V
で、R-OSFが内側に消滅したウェーハでは結晶面内のTZD
Bの良品率は95%以上であった。
【0060】
【発明の効果】本発明の高品質シリコン単結晶ウェーハ
およびその製造方法によれば、単結晶の育成条件によっ
てR-OSFの発生位置を制御して、ウェーハ面内にGrown-i
n欠陥である赤外散乱体や転位クラスターのない領域を
拡大することができるので、デバイス特性の優れた半導
体材料を供給できる。しかも、本発明の単結晶は結晶の
面内に取り込まれる点欠陥の濃度を均一にすることによ
り育成されるものであるから、その育成に際し大口径
化、長尺化が図れ、製造コストの低減、育成能率の向上
が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常のCZ法による単結晶の育成に用いられて
いる単結晶育成装置の模式的断面図である。
【図2】単結晶育成時の引上げ速度と結晶欠陥の発生位
置との一般的な関係を模式的に説明した図である。
【図3】育成される単結晶の温度分布とそれに基因する
空孔の挙動を説明する図である。
【図4】単結晶の育成における凝固界面近傍および融点
〜1250℃の温度範囲における空孔と格子間Si原子の結晶
面内での濃度分布の変化状況を示す図である。
【図5】実施例1で引き上げた単結晶をAs-grown状態で
縦割りにし、Cuを塗布し、900℃で熱処理して各欠陥領
域を顕在化した後にX線トポグラフにて観察した結果を
模式的に示した図である。
【図6】実施例2で引き上げた単結晶をAs-grown状態で
縦割りにし、Cuを塗布し、900℃で熱処理して各欠陥領
域を顕在化した後にX線トポグラフにて観察した結果を
模式的に示した図である。
【図7】実施例2の方法によって育成されたAs-grown状
態の結晶におけるFPD欠陥の分布密度をセコエッチング
を行って観察した結果を示す図である。
【図8】実施例2の方法によって育成されたAs-grown状
態の結晶における赤外散乱体欠陥の分布密度を赤外散乱
トモグラフィを用いて測定した結果を示す図である。
【図9】実施例3で引き上げた単結晶をAs-grown状態で
スライス加工し、Cuを塗布し、900℃で熱処理して各欠
陥領域を顕在化した後にX線トポグラフにて観察した結
果を模式的に示した図である。
【図10】実施例3で引き上げた単結晶から加工されたウ
ェーハの初期酸化膜耐圧特性(TZDB)を調査した結果を示
した図である。
【図11】実施例4で引き上げた単結晶をAs-grown状態で
スライス加工し、Cuを塗布し、900℃で熱処理して各欠
陥領域を顕在化した後にX線トポグラフにて観察した結
果を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1:ルツボ、 1a:内層保持容器 1b:外層保持容器、 1c:支持軸 2:ヒーター、 3:溶融液 4:引上げ軸、 5:種結晶 6:単結晶
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年10月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】上記の工程で加工されたウェーハの面内に
は、単結晶の引上げ条件によって、リング状の酸化誘起
積層欠陥(以下、R-OSF(Ring-Oxidation induced Stack
ingFault)という)が発生する場合がある。また、同時
にウェーハの面内にはGrown-in欠陥と呼ばれる単結晶の
育成時に形成され、育成後に結晶を評価した場合に検出
される結晶欠陥が存在する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】本発明の高品質シリコン単結晶において、
R-OSFの発生領域の発生位置の基準として、R-OSFの外径
の他に、酸素析出促進領域の内径または外径および赤外
散乱体が検出される円形領域の外径を基準としているの
は、ウェーハの面内に発生するR-OSFの幅の変動やR-OSF
が現れたり、現れなかったりする発生状況が単結晶の育
成時における熱履歴に依存するので、これらの要因を排
除して、R-OSFの発生位置を制御するためである。ま
た、R-OSFの外径を基準としているのは、熱履歴に依存
してR-OSFの発生幅が変化する場合であっても、外径位
置は変動しないからである。酸素析出促進領域の内径ま
たは外径を基準としているのは、酸素析出促進領域が結
晶面で消滅し内径を基準にできない場合を想定したため
である。さらに、リング状の酸素析出量が小さい領域の
外径を基準としているのは、単結晶の低酸素化にともな
ってR-OSFは明確に現れない場合を考慮したためであ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】図3は、育成される単結晶の温度分布とそ
れに基因する空孔の挙動を説明する図である。図3(a)
は外周側の軸方向の温度勾配が大きい場合の育成状況
を、(b)は外周側の温度勾配が小さい場合の育成状況を
示している。(a)に示す単結晶では外周側の軸方向での
温度勾配が大きくなっており、結晶面の外周部ほど低温
化が著しく、単結晶に現れる等温度分布線は外周部にな
るほど温度勾配が大きくなる。これに対し、(b)に示す
単結晶では外周側の軸方向の温度勾配が小さく、理想的
には等温度分布線が平坦になるか、または等温度分布線
が溶融液側に対して凸状態(以下、単に下凸状態とい
う)で、結晶面の外周部において軸方向の温度勾配が小
さくなっている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】図3(a)に示すように外周側の温度勾配が
大きくなると、結晶面内に取り込まれた空孔は、軸方向
の凝固界面側に拡散する坂道拡散によって、消滅する量
が大きくなって、結晶面内に保持される空孔の濃度は小
さくなる。この場合に、半径方向で軸方向の温度勾配が
異なることによって結晶面内に取り込まれる空孔の濃度
は同じではなく、低温化が著しい外周部になるほど、空
孔濃度は低くなる。一方、図3(b)に示すように外周側
の温度勾配が小さくなると、結晶面内の空孔濃度は均一
化するとともに、径方向の濃度分布も安定化する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 高行 佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地住 友シチックス株式会社内 (72)発明者 木崎 信吾 佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地住 友シチックス株式会社内 (72)発明者 堀井 淳二 佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地住 友シチックス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チョクラルスキー法によって引上げられる
    際に1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上
    の条件で育成されるシリコン単結晶ウェーハであって、
    As-grown状態の単結晶から加工したウェーハをCu溶液に
    浸けて、Cuを付着させ、900℃×20minのCuデコレーショ
    ン熱処理を行ない、X線トポグラフにて観察した場合
    に、リング状の酸化誘起積層欠陥の外径が育成された結
    晶の直径の0〜60%の範囲に含まれ、かつ転位クラスタ
    −欠陥がないことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウ
    ェーハ。
  2. 【請求項2】チョクラルスキー法によって引上げられる
    際に1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上
    の条件で育成されるシリコン単結晶ウェーハであって、
    As-grown状態の単結晶から加工したウェーハをCu溶液に
    浸けて、Cuを付着させ、900℃×20minのCuデコレーショ
    ン熱処理を行ない、X線トポグラフにて観察した場合
    に、酸素析出促進領域の内径または外径が育成された結
    晶の直径の0〜60%の範囲に含まれ、かつ転位クラスタ
    −欠陥がないことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウ
    ェーハ。
  3. 【請求項3】チョクラルスキー法によって引上げられる
    際に1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上
    の条件で育成される酸素濃度の低いシリコン単結晶ウェ
    ーハであって、As-grown状態の単結晶から加工したウェ
    ーハを熱処理炉内に650℃で投入して、投入後8℃/min
    以下で昇温して900℃×20時間および1000℃×10時間で
    熱処理を行い、X線トポグラフにて観察した場合に、リ
    ング状の酸素析出量が小さい領域の外径が育成された結
    晶の直径の0〜60%の範囲に含まれ、かつAs-grown状態
    のウェーハに900℃×20minのCuデコレ−ション熱処理を
    行ない、X線トポグラフにて観察した場合に、転位クラ
    スタ−欠陥がないことを特徴とする高品質シリコン単結
    晶ウェーハ。
  4. 【請求項4】チョクラルスキー法によって引上げられる
    際に1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上
    の条件で育成される酸素濃度の低いシリコン単結晶ウェ
    ーハであって、As-grown状態の単結晶から加工したウェ
    ーハを熱処理炉内に650℃で投入して、投入後8℃/min
    以下で昇温して900℃×20時間および1000℃×10時間で
    熱処理を行い、X線トポグラフにて観察した場合に、酸
    素析出促進領域の内径または外径が育成された結晶の直
    径の0〜60%の範囲に含まれ、かつAs-grown状態のウェ
    ーハに900℃×20minのCuデコレ−ション熱処理を行な
    い、X線トポグラフにて観察した場合に、転位クラスタ
    −欠陥がないことを特徴とする高品質シリコン単結晶ウ
    ェーハ。
  5. 【請求項5】チョクラルスキー法によって引上げられる
    際に1250℃〜1000℃の温度範囲の通過時間が7時間以上
    の条件で育成されるシリコン単結晶ウェーハであって、
    As-grown状態の単結晶から加工したウェーハを赤外散乱
    トモグラフィを用いて、赤外散乱体を計測した場合に、
    その赤外散乱体が検出される円形領域の外径が育成され
    た結晶の直径の0〜60%の範囲に含まれ、かつAs-grown
    状態のウェーハに900℃×20minのCuデコレ−ション熱処
    理を行ない、X線トポグラフにて観察した場合に、転位
    クラスタ−欠陥がないことを特徴とする高品質シリコン
    単結晶ウェーハ。
  6. 【請求項6】転位クラスタ−欠陥の観察に際し、As-gro
    wn状態のウェーハにCuデコレ−ション熱処理を行なって
    X線トポグラフにて観察するのに代えて、As-grown状態
    のウェーハにセコエッチングを行ない、光学顕微鏡を用
    いて欠陥観察を行うことを特徴とする請求項1乃至5の
    うちいずれかに記載の高品質シリコン単結晶ウェーハ。
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