JP2000072590A - 高品質シリコン単結晶の育成方法 - Google Patents

高品質シリコン単結晶の育成方法

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JP2000072590A
JP2000072590A JP10236717A JP23671798A JP2000072590A JP 2000072590 A JP2000072590 A JP 2000072590A JP 10236717 A JP10236717 A JP 10236717A JP 23671798 A JP23671798 A JP 23671798A JP 2000072590 A JP2000072590 A JP 2000072590A
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高行 久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】CZ法にて転位クラスターや赤外線散乱体のよ
うなGrown-in欠陥を、できるだけ少なくしたウェーハを
採取できる、大径長尺の高品質単結晶の育成方法の提
供。 【解決手段】(1)単結晶内部に生じるリング状酸化誘起
積層欠陥の外径が、結晶の直径の0〜60%の範囲に含ま
れる低速にて、育成中の単結晶と融液との固液界面形状
が平坦もしくは上凸になる状態で引き上げをおこなうシ
リコン単結晶の育成方法。(2)るつぼの回転速度を5回転
/分以下とする(1)のシリコン単結晶の育成方法。(3)単
結晶の回転速度を13回転/分以上とする(1)のシリコン
単結晶育成方法。(4)るつぼの回転速度を5回転/分以
下、かつ単結晶の回転速度を13回転/分以上とする(1)
のシリコン単結晶育成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体材料として
使用されるシリコンウェーハ用単結晶の、より詳しくは
チョクラルスキー法(以下CZ法という)により育成す
るウェーハ用シリコン単結晶の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体材料のシリコンウェーハに用いる
シリコン単結晶を製造するには種々の方法があるが、そ
の中で最も広く採用されている方法がCZ法による単結
晶育成方法である。図1に、通常のCZ法による単結晶
育成装置の模式的断面図を示す。この図においてルツボ
1は、有底円筒状の石英製内層保持容器1a と、その外
側に嵌合された同じ形状の有底円筒黒鉛製の外層保持容
器1b とから構成されている。このルツボ1は、所要の
速度で回転できる支持軸1c に支持され、ルツボ1の外
側には円筒状ヒーター2が同心位置に配設されている。
ルツボ1の中心軸上方には引き上げ棒あるいはワイヤー
等からなる回転できる引き上げ軸4が配設され、その下
部先端にはシードチャック5が設置されている。単結晶
の育成は、ルツボ1の内部にはヒーター2により加熱溶
融した原料シリコンの融液3を充填し、引き上げ軸のシ
ードチャック5に取り付けられた種結晶を、始めに融液
3の表面に接触させる。次いで支持軸1c により回転さ
れるルツボと、同方向または逆方向に引き上げ軸を回転
させながら引き上げて、種結晶の先端に融液3を凝固成
長させていくことによって単結晶を育成していく。
【0003】単結晶は、まず結晶を無転位化するために
種結晶に付着した初期径よりも細くして成長させるシー
ド絞りをおこない、つぎに所要単結晶ボディ直径とする
ためのショルダー部を形成させ、その後、肩変えして一
定ボディ直径で成長させる。必要な長さにまで到達する
と、無転位の状態で単結晶を融液から切り離すためにテ
イル絞りをおこない、育成を終了する。融液から切り離
された単結晶は、育成装置から取り出されて、所定の条
件で冷却され、その後、結晶の引き上げ軸と垂直にスラ
イスされウェーハに加工される。このようにして得られ
たウェーハは、種々のデバイスの基板材料として用いら
れる。
【0004】CZ法による単結晶育成技術の進歩によ
り、無欠陥、無転位の大型単結晶が製造されるようにな
ってきているが、デバイスの製造では、この単結晶から
得られたウェーハが数百のプロセスを経過して製品化さ
れる。その過程で数多くの物理的処理、化学的処理、さ
らには熱的処理が施され、中には1000℃以上での高温処
理など過酷な熱的環境での処理も含まれる。このため、
結晶成長直後には観察不可能であるが、単結晶の成長過
程でその原因が導入されており、デバイス製造の過程で
もこれが消失せず、ときには顕在化するなどして、デバ
イスの性能を低減させる結果となる微小欠陥、すなわち
Grown-in欠陥が問題になる。
【0005】これらGrown-in欠陥の代表的なものの分布
は、例えば図2のように観察される。これは、成長直後
の単結晶からウェーハを切り出し、硝酸銅水溶液に浸け
てCuを付着させ、900℃、20分の熱処理後、X線トポ
グラフ法により微小欠陥分布の観察をおこなった結果
を、模式的に示した図である。すなわち、このウェーハ
は、外径の約2/3の位置に、リング状に分布した酸化誘
起積層欠陥―以下OSF(Oxygen induced Stacking Fau
lt)という―が現れたものであるが、その内側部分には
赤外線散乱体(COPあるいはFPDともいわれるがい
ずれも同じ欠陥種)欠陥が見出される。また、リング状
OSFに接してすぐ外側には酸素析出促進領域があり、
ここでは酸素析出物が現れやすい。そしてウェーハの外
周部は転位クラスターの発生しやすい部分となってい
る。
【0006】上記の欠陥の発生状況は、単結晶育成の引
き上げ速度に大きく影響される。健全な単結晶を得る育
成速度の範囲内にて、引き上げ速度を変え成長させた単
結晶について、結晶中心の引き上げ軸に沿って縦方向に
切断された面での各種のGrown-in欠陥の分布を調べる
と、図3のような結果がえられる。単結晶引き上げ軸に
対し垂直に切り出した円盤状のウェーハ面で見る場合、
ショルダー部を形成させた後、育成速度を下げていく
と、結晶外周部からリング状OSFが現れる。外周部に
現れたこのリング状OSFは、育成速度の低下にともな
い、その径が次第に小さくなり、やがては無くなって、
ウェーハ全面がリング状OSFの外側部分に相当するも
のになってしまう。すなわち図2は、図3における単結
晶のAの位置、またはその引き上げ速度で育成した単結
晶のウェーハを示したもので、リング状OSFを基準に
すれば、育成速度の速い場合はリング状OSFの内側領
域に相当する高速育成単結晶となり、遅い場合は外側領
域の低速育成単結晶となる。
【0007】結晶の転位は、その上に形成されたデバイ
スの特性を劣化させる原因になることはよく知られてい
る。また、OSFはリーク電流増大など電気特性を劣化
させるが、リング状OSFにはこれが高密度に存在す
る。そこで、現在通常のLSI用には、リング状OSF
が単結晶の最外周に分布するような、比較的高速の引き
上げ速度で単結晶が育成されている。それによって、ウ
ェーハの大部分をリング状OSFの内側部分、すなわち
高速育成単結晶として、転位クラスターを回避する。こ
れは、リング状OSFの内側部分は、デバイスの製造過
程にて発生する重金属汚染に対するゲッタリング作用
が、外側部分よりも大きいことにもよっている。
【0008】近年LSIの集積度増大にともない、ゲー
ト酸化膜圧が薄膜化されてデバイス製造工程での温度が
低温化してきている。このため、高温処理で発生しやす
いOSFが低減され、結晶の低酸素化もあってリング状
OSFなどのOSFは、デバイス特性を劣化させる因子
としての問題が少なくなってきた。しかし、高速育成単
結晶中に主として存在する赤外線散乱体欠陥の存在が、
薄膜化したゲート酸化膜の耐圧特性を大きく劣化させる
ことが明らかになっており、高集積度化への対応が困難
になっている。
【0009】これに対し、例えば、リング状OSFの外
側領域の単結晶をより高速で育成する方法の発明が特開
平2-257991号公報に開示された。これは、凝固直後の単
結晶の引き上げ軸方向の温度勾配を大きくすることによ
り、リング状OSFが単結晶内に現れない上限の引き上
げ速度を、通常の高速育成単結晶の引き上げ速度の範囲
にまで上げて、低速育成単結晶を製造しようとするもの
である。リング状OSFの外側部分の単結晶とすること
により、デバイスのゲート酸化膜耐圧特性は改善され
る。しかしながらこの公報には、転位クラスターなどの
Grown-in欠陥発生の対処については何も示されていな
い。また、特開平8-330316号公報では、単結晶育成時の
引き上げ速度と結晶内の温度勾配を制御して、転位クラ
スターを生成させることなく、リング状OSFの外側部
分のみを全面に広げる方法の発明が提示されている。し
かし、この方法は非常に限られた育成条件、すなわち極
めて狭く限定された面内の温度勾配と引き上げ条件とを
同時に要求されるので、大径化し、大量生産を要求され
る製造現場では採用困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CZ
法にて転位クラスターや赤外線散乱体のようなGrown-in
欠陥をできるだけ少なくしたウェーハを採取できる、大
径長尺の高品質単結晶を容易に製造し得る単結晶育成方
法の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、直径が6
インチ、および8インチの単結晶の通常生産の育成方法
を基本とし、その範囲内にて種々条件を変え、Grown-in
欠陥におよぼす育成条件の影響を調査した。
【0012】調査の方法は、育成後の単結晶の種々の位
置から結晶引き上げ軸方向に垂直な面のウェーハを切り
出し、それらを用いて欠陥の検出をおこない、単結晶全
体としての欠陥分布を確認した。また、引き上げ速度を
連続的に変化させて単結晶を育成し、引き上げ中心軸に
沿って単結晶を縦割りして試験片を採取し、欠陥分布の
変化を調査した。各欠陥の分布状態検出は、ウェーハな
いしは試片を硝酸銅水溶液に浸漬してCuを付着させ、
900℃にて20分間加熱する熱処理(A法)をおこなった
後のX線トポグラフ法によった。酸素濃度が低くなる
と、この条件ではOSFの分布が十分観察できないこと
があるので、その場合はウェーハないしは試験片を約65
0℃に到達した炉内に投入し、5℃/分にて900℃まで加熱
後、20時間均熱し、その後10℃/分で1000℃に昇温し、
その温度で10時間均熱する熱処理(B法)を施した後、
X線トポグラフ法を適用した。転位クラスター欠陥の密
度については、ウェーハないしは試験片の表面をSecco
液にてエッチし、光学顕微鏡を用いて欠陥観察をおこな
った。また、赤外線散乱体については赤外線トモグラフ
ィの手法を用いた。
【0013】前出の図2や図3からわかるように、赤外
線散乱体欠陥が好ましくないとすれば、引き上げ速度を
遅くしてリング状OSFの径を減少させればよい。しか
し、そうするとリング状OSFの外側領域が増大し、そ
の部分に転位クラスター欠陥が増してくる。すなわち引
き上げ速度の変更だけでは、全体として均一な、Grown-
in欠陥の少ないウェーハを得ることは困難である。
【0014】リング状OSFのすぐ外側には酸素析出が
生じやすい領域、すなわち酸素析出促進領域があり、そ
の外側の最も外周に近い部分には、転位クラスターなど
の欠陥の発生しやすい領域がある。しかし、この図3の
A位置から採取した図2のウェーハをさらに詳細に調べ
ると、酸素析出促進領域のすぐ外側に、転位クラスター
欠陥が検出されない無欠陥領域が存在していることがわ
かった。そして、リング状OSFの内側にも、リングに
接して赤外線散乱体の検出できない無欠陥領域がわずか
に存在していた。
【0015】リング状OSFと酸素析出促進領域には、
赤外線散乱体や転位クラスター欠陥は見出されない。そ
して前述のように、デバイス製造工程が低温化し結晶が
低酸素化することによって、OSFおよび酸素析出の悪
影響の問題は低減されてきており、リング状OSFの存
在は以前ほど重要ではなくなっている。したがって、こ
の無欠陥領域と、リング状OSFおよび酸素析出促進領
域を加えた部分の拡大が可能なら、赤外線散乱体および
転位クラスター欠陥の両Grown-in欠陥を低減させた単結
晶ないしはウェーハが製造できると考えられた。
【0016】このようなGrown-in欠陥の少ない単結晶を
得るためには、図3において引き上げ速度にともなうリ
ング状OSFの、V字形分布状況の上開きの角度をでき
るだけ拡大させ、可能なら水平状態にできればよい。そ
うすれば特定範囲の引き上げ速度で育成をおこなうこと
により、このような単結晶が得られるはずである。
【0017】リング状OSFの成因については諸説があ
り、必ずしも明らかではない。しかし、融液からシリコ
ンの単結晶を育成する際、固液界面から結晶内に取り込
まれた空孔、および格子間Siの拡散挙動から考えて、
空孔が過剰の状態で冷却されると赤外線散乱体欠陥とな
り、格子間Siが過剰の状態では転位クラスター欠陥と
なるが、空孔と格子間Siがバランスする場合に両欠陥
が消失し、その近傍にリング状OSFや酸素析出促進領
域ができると仮定すると、これら欠陥の分布が説明でき
ると思われた。この考え方をさらに推し進めれば、前述
の特開平8-330316号公報に開示されたように、凝固直後
のシリコン単結晶内の引き上げ軸方向の平均温度勾配
を、結晶中心部と結晶外周部とでほぼ同じとするか、中
心部から外周部の方に向けて徐々に小さくなるようにす
ればよいことになる。しかしながら、特開平8-330316号
公報には、このような結晶内温度分布を単結晶引き上げ
育成中に実現させる具体的手段は示されていない。
【0018】この凝固直後の、シリコン単結晶内部の引
き上げ軸方向温度勾配を変えるため、まず育成中結晶の
周囲に冷却あるいは保温を目的とした熱遮蔽体等を設置
することを検討した。しかし、融液面に異物を接近させ
るための汚染や、操業に支障を来す等の問題から、必ず
しも十分な効果を得ることができなかった。そこで次
に、通常単結晶育成の際に適用されている引き上げ中の
単結晶およびるつぼの回転について、その速度を変える
ことによる効果を調査した。その結果、るつぼ、または
単結晶、あるいはこれら両方の回転速度を制御し、引き
上げ速度を限定することによって、赤外線散乱体欠陥も
転位クラスター欠陥も極めて少ないウェーハの得られる
単結晶が製造できることが明らかになったのである。
【0019】育成中の単結晶は、相対的に高速引き上げ
の場合、凝固潜熱を放散する時間が少ないため、固液界
面近傍においては中心部の熱の逸散が遅れ、界面の形状
は中心部の高い上凸状態の傾向になる。これに対し低速
引き上げの場合は、凝固潜熱の放散時間が十分あること
から、単結晶内の固体熱伝達が優先してくる。さらに、
溶融液面直上の単結晶表面部分が、るつぼ加熱のための
ヒーターや溶融液面からの輻射により加熱される時間が
長くなることもあって、中心部の温度が相対的に低くな
り、固液界面は中心部が周辺部よりも低い下凸状態とな
る傾向がある。したがって、リング状OSFが内側に収
縮し、消滅するような遅い引き上げ速度では、固液界面
形状は下凸状態になっている。そして結晶内部の温度分
布は、通常引き上げ軸に対し垂直な面上では中心部の方
が高い。すなわち、模式的に示せば、図4(a)のように
なる。ここで、固液界面上はシリコンの凝固点温度であ
る一定の温度に保たれているので、そこから単結晶内部
の引き上げ軸方向の同じ温度差(ΔT)の等温線までの
間隔を考えれば、中心部の距離(Lc)の方が表面部の
距離(Ls)より大きい。すなわち、単結晶中心部の引
き上げ軸方向温度勾配Gc(=ΔT/Lc)は、単結晶
表面部の同方向温度勾配Gs(=ΔT/Ls)よりも小
さい。
【0020】これに対し、単結晶引き上げ直後の冷却条
件が同じであるとしたら、図4(b)に示すように、固液
界面を単結晶内の等温線より上凸状にしてやれば、Lc
よりもLsの方が大きくなり、GcをGsより大きくで
きるはずである。そして、凝固直後にGc≧Gsとする
ことができれば、後で説明するように、図3の引き上げ
速度変化にともなうリング状OSFのV字型分布の上開
きの角度を拡大できる可能性がある。そこでこの状態を
実現する方法を検討した。
【0021】単結晶の引き上げ速度は、上述のように、
速くすると固液界面は上凸状の傾向が強くなる。しかし
ながら、単に引き上げ速度を速くすることは、上凸状の
固液界面が得られたとしても、赤外線散乱体欠陥を増す
ことになり好ましくない。一方、引き上げ速度が遅くな
ると、固液界面は上凸状から平坦、さらには下凸状にな
ってくる。しかも単なる引き上げ速度低下では、転位ク
ラスター欠陥が生じてくる。
【0022】単結晶育成中、中心対称性の良い固液界面
での温度分布実現、熱対流に起因する不規則温度変化の
緩和、不純物や添加元素の均一化等の目的で、一般に
は、るつぼは5〜15回転分、単結晶は15〜30回転/分程
度の速度で回転される。るつぼ内の融液は、るつぼの外
周からヒーターで加熱されるので、るつぼの側壁近傍で
は上昇、中心部では下降の自然対流が生じるが、るつぼ
に回転を与えるとるつぼ内の融液の移動が拘束されるこ
ととなる。しかしながら、るつぼの回転は速くすると、
上凸状の固液界面が得られ難くなる傾向があり、できる
だけ回転速度を遅くするのが望ましいことがわかった。
単結晶の回転は、るつぼ内の融液の強制対流すなわちコ
ックラン流を生じさせる。この強制対流は、るつぼの中
心での上昇流で、単結晶の中央部に相対的に温度の高い
融液が当たり、それから周辺部へと流動していくので、
固液界面の中央部の温度をより高め、上凸傾向を強め
る。
【0023】このようにして、リング状OSFの外径が
十分小さくなる引き上げ速度域にて、るつぼの回転速
度、単結晶回転速度を組み合わせ、固液界面が平坦もし
くは上凸状となるようにして、図4(b)に示したような
温度分布を実現させる。それによって、赤外線散乱体お
よび転位クラスターのGrown-in欠陥の極めて少ないウェ
ーハの得られる単結晶が製造できることが判明した。そ
こでさらにこれら製造条件の限界を明確にし、本発明を
完成させた。本発明の要旨とするところは次のとおりで
ある。
【0024】(1) 単結晶内部に生じるリング状の酸化誘
起積層欠陥(OSF)の外径が、結晶の直径の0〜60%
の範囲に含まれる低速にて、育成中の単結晶と融液との
固液界面形状が平坦もしくは上凸になる状態で引き上げ
ることを特徴とするシリコン単結晶育成方法。
【0025】(2)るつぼの回転速度を5回転/分以下とす
ることを特徴とする上記(1)のシリコン単結晶の育成方
法。
【0026】(3) 単結晶の回転速度を13回転/分以上と
することを特徴とする上記(1)のシリコン単結晶育成方
法。
【0027】(4) るつぼの回転速度を5回転/分以下、
かつ単結晶の回転速度を13回転/分以上とすることを特
徴とする上記(1)のシリコン単結晶育成方法。
【0028】ここで、凝固直後の単結晶内部の引き上げ
軸方向温度勾配が、結晶中心部と結晶外周部とでほぼ同
じとなるか、中心部から外周部の方に向けて徐々に小さ
くなる場合、引き上げ速度の適正な選定によって、無欠
陥領域が拡大する理由について考えてみる。まず、単結
晶育成の引き上げ時、融液は凝固して固体結晶に変化し
ていくが、ランダムな原子配列の液相から整然と原子が
配列する固相に移行するため、その固液境界面近傍の固
相には、有るべき原子の欠けた空孔や、余分のSi原子
が原子の結晶格子配列の間に入り込んだ格子間原子が大
量に存在する。凝固直後は、格子間原子よりも原子が欠
けた状態の空孔の方が多いと推定される。引き上げによ
り凝固して単結晶になった部分が固液界面から離れるに
つれて、原子や空孔の移動や拡散、あるいは空孔と格子
間原子の合体などによってこれらは消失し、整然とした
原子配列となっていくが、温度の低下による移動や拡散
の速度減退により、どうしても多少は残存することにな
る。
【0029】凝固の過程で取り込まれた空孔と格子間原
子とは、数としては空孔の方が多く、高温の間はこれら
はかなり自由に結晶内を動き回ることができ、その移動
速度または拡散速度は、空孔の方が格子間原子より速い
と考えされる。ここで、高温の結晶中に存在し得る空孔
や格子間原子の飽和限界濃度は、いずれも温度が低いほ
ど低下してくる。このため、同じ量存在していたとして
も、実質的な効果として温度の低い方が濃度としては高
く、温度の高い方は濃度が低いことになる。育成中の単
結晶には垂直方向に温度勾配があり、この温度の違いに
よる実質的濃度差のため、低温側から高温側、すなわち
育成されつつある単結晶の上方から固液界面の方向への
温度勾配に逆行する拡散が起きており、温度が低下する
ほど空孔や格子間原子の数は低減していく。空孔は結晶
格子を構成する原子が欠けた状態であり、格子間原子は
原子が余分に存在する状態なので、この二つがぶつかれ
ば、お互いに相補い合体して消失し、完全な結晶格子と
なる傾向がある。
【0030】育成中の結晶の垂直引き上げ軸方向の温度
勾配は、ホットゾーンすなわち引き上げ中単結晶の冷却
部分の構造が同じであれば、引き上げ速度が変わっても
ほとんど変化しない。そして、このような空孔と格子間
原子の拡散や合体消失は、凝固点(1412℃)から1250℃
前後までの温度範囲にて活発に進行し、それ以下の温度
でも速度は遅くなるが拡散による合体消失は進行してい
くと推定される。同一温度域で温度勾配が同じ場合、温
度勾配に逆行して固液界面方向へ拡散する時間当たりの
空孔量はほぼ同じなので、引き上げ速度が速くなると、
格子間原子に比し過剰の空孔が、取り残された状態のま
ま温度が低下していく。そして表面への拡散や合体によ
る消失がさらに多少進んだとしても、これが結晶内に欠
陥となって痕跡を残す結果となり、赤外線散乱体の原因
になると考えられる。これは、図3の引き上げ速度が大
きい部分に相当する。一方、引き上げ速度が遅い図3の
下方に相当する場合、空孔の拡散消失は十分進むが、格
子間原子は空孔よりも拡散速度が遅いため、相対的に空
孔が不足になった状態で温度が低下し、最終的に余った
格子間原子が転位クラスターになる。このようにして引
き上げ速度が速い高速育成単結晶部分の欠陥は赤外線散
乱体が主となり、引き上げ速度が遅い低速育成単結晶側
には転位クラスターが主となるが、その中間部分からの
ウェハーには、両方の結晶部分が存在したものとなる。
【0031】通常の単結晶引き上げ育成方法の場合、凝
固直後では図4(a)で説明したように、中心部の温度勾
配Gcよりも、表面部の温度勾配Gsが大きい。すなわ
ち、温度勾配に基づく拡散により空孔や格子間原子の濃
度低下が表面部では中心部より速く進む。ただし、空孔
の方が格子間原子よりも拡散速度がはるかに速いので、
引き上げ軸に垂直なウェーハ面上においては、空孔の濃
度は結晶内の等温線に近い濃度分布となるのに対し、格
子間原子は引き上げ軸に垂直な面上ではほぼ同程度の濃
度分布に留まっている。さらに、空孔や格子間原子とし
ての欠陥は、結晶表面に到達すると消失するので、表面
部分の濃度が低く、温度勾配による拡散の他に表面方向
への濃度差による拡散も起きている。
【0032】この関係を模式的に示すと、図5(a)のよ
うになっていると推定される。空孔と格子間原子との間
に濃度分布の差があったとしても、引き上げ速度が速け
れば、空孔の方が過剰で全体に赤外線散乱体欠陥が発生
しやすい高速育成単結晶となり、引き上げ速度が遅けれ
ば、格子間原子が過剰となり全体が転位クラスターの発
生しやすい低速育成単結晶になる。
【0033】しかし、その中間の引き上げ速度の場合、
空孔の濃度と格子間原子の濃度が接近した状態で温度が
低下するが、引き上げ軸方向の温度勾配と拡散速度の相
違のため、それぞれの濃度分布が異なるので、図5(a)
の中間部として示したように、格子間原子に対し単結晶
中心部では空孔が過剰となり、表面に近い部分では空孔
が不足する状態となる。すなわち図2に示したような、
中心部には赤外線散乱体欠陥、外周の表面近くには転位
クラスター欠陥が主として分布した結果になる。そして
表面部と中心部の中間の部分では、空孔と格子間原子の
数がバランスし、この二つが合体してして消失してしま
うため、高速育成単結晶または低速育成単結晶に発生す
るいずれのGrown-in欠陥も存在しない無欠陥領域がで
き、ほぼ同じ場所にリング状OSFが現れる。OSF生
成の原因は、酸素析出物が核になるためであり、リング
状OSFに接して酸素析出促進領域が存在することも、
これを裏付けているようである。リング状OSFや酸素
析出促進領域には、赤外線散乱体や転位クラスターなど
のGrown-in欠陥は存在しないが、酸素析出物が析出する
際、空孔などはこれらの析出核になると考えられてお
り、これらの領域では空孔が多少残っても、酸素析出に
より消失させられてしまうのではないかと思われる。こ
のように、単結晶直径方向の濃度分布として、空孔の方
が格子間原子よりも中心部と表面部との差が大きいこと
が、引き上げ速度の低下とともに、リング状OSFや無
欠陥領域の径が小さくなる、図3のV字型分布をもたら
す原因と推定される。
【0034】以上のように、無欠陥領域の生成原因が空
孔と格子間原子の数のバランスによっており、そのバラ
ンスは、上述のように凝固直後の高温域での垂直方向の
温度勾配により支配されるとすれば、無欠陥領域の拡大
には、引き上げ中の単結晶における引き上げ軸方向の温
度勾配の大きさが、引き上げ軸に対する垂直面内、すな
わちウェーハ面内で等しくなるようにして、引き上げ速
度を調整すればよいと考えられる。ただし、この温度勾
配に基づく拡散の他に、結晶表面方向への拡散があり、
引き上げ軸方向温度勾配を中心部と表面部とで同一にす
れば、表面部での空孔濃度が低下しすぎるので、表面部
の引き上げ軸方向の温度勾配を中心部より小さくする方
が望ましい。
【0035】本発明では、引き上げ速度をリング状OS
Fがウェーハ中心側に位置するよう遅くした上で、この
引き上げ軸方向の温度勾配を、単結晶中心部と表面部と
で同等か、表面部をやや小さくする方法として、固液界
面の形態を平坦もしくは上凸状とする。このようにし
て、図5(b)に示すように、空孔の濃度分布はより平坦
化して格子間原子の濃度分布に接近し、引き上げ速度を
選定することによって、無欠陥領域の拡大された単結晶
が得られるのである。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の方法では、ウェーハにて
観察されるリング状OSFの外径が結晶の直径の0〜60
%となる速度で引き上げる。その際、育成中単結晶の凝
固点から約1250℃までの温度範囲の部分における引き上
げ軸方向の平均温度勾配が、単結晶中心部と表面部とで
同等となるようにするか、中心部よりも表面部の方を小
さくすることにより、赤外線散乱体や転位クラスターな
どのGrown-in欠陥を極めて少なくしたシリコン単結晶の
製造方法である。引き上げ速度をこのように低くする
と、通常、固液界面は平坦から下凸傾向になりがちであ
るが、上記の結晶内温度分布を得るためには、育成中単
結晶の固液界面の形状を平坦もしくは上凸形状にさせる
必要がある。
【0037】本発明の方法においては、単結晶育成時の
引き上げ速度は、ウェーハ上で観察されるリング状OS
Fの外径が、単結晶の直径の0〜60%の範囲であること
とする。このリング状OSFの外径は、引き上げ速度に
より変化し、引き上げ中の単結晶の温度条件、または育
成中の単結晶のホットゾーンの構成により、同じ外径に
なる速度は異なる。そこで、育成に使用する設備にて、
引き上げ速度を変えてリング状OSFの外径の変化を実
験的に求め、その外径が上記範囲内となる速度で育成を
おこなう。
【0038】ウェーハ面でのリング状OSFの検出は、
通常おこなわれる手法でよいが、一例を示せば、ウェー
ハを硝酸銅水溶液に浸漬してCuを付着させ、900℃に
て20分間加熱する熱処理(A法)をおこなった後の、X
線トポグラフ法によりおこなう。ただし、酸素濃度が低
くなると、この条件ではOSFの分布が十分観察できな
いことがあるので、その場合は、試験片のウェーハを約
650℃に到達した炉内に投入して、5℃/分にて900℃まで
加熱後、20時間均熱し、その後10℃/分で1000℃に昇温
してから、その温度で10時間均熱する熱処理(B法)を
施した後、X線トポグラフ法を適用すればよい。
【0039】リング状OSFの外径が60%を超える速い
引き上げ速度では、単結晶の中心部に赤外線散乱体が生
ずる部分が残る。また引き上げ速度が遅くなるとリング
状OSFの外径は次第に小さくなり、ついには0%とな
る。0%になった速度よりさらに引き上げ速度を低下さ
せると、転位クラスター欠陥が発生してしまう。そこ
で、リング状OSFの外径が、単結晶の直径の0〜60%
となるような引き上げ速度で育成するものとする。この
ような引き上げ速度の具体的数値範囲は、使用する単結
晶育成装置の構造、ことにホットゾーンの構造により異
なるので、実際に単結晶育成をおこない、その単結晶か
らウェーハを採取してリング状OSFを観察して選定す
るのが望ましい。
【0040】固液界面の形状は、平坦もしくは上凸状態
で引き上げをおこなうものとする。これは、界面の形状
をこのようにすることにより、凝固直後の単結晶内の引
き上げ軸方向温度勾配を、中心部におけるものよりも表
面部の方を小さくすることができるからである。また引
き上げ直後の単結晶表面は、融液面やヒーターからの輻
射により加熱され、引き上げ速度が低くなると、中心部
の垂直方向温度勾配よりも表面部の温度勾配の方が小さ
くなることがあるが、その場合には、固液界面は平坦に
なっていてもよい。なお、引き上げ育成中においては、
固液界面の形状は必ずしも確認できないが、引き上げ途
中の中断、あるいは育成後の単結晶の観察から知ること
ができる。すなわち、得られた単結晶を縦割り加工し、
高酸素濃度の場合は800℃にて4時間加熱後1000℃にて16
時間(乾燥酸素中)の熱処理をおこない、低酸素濃度の
場合は前述のB方の熱処理を施す。これにより、いずれ
の場合も固液界面形状を示すストライエーションを、X
線トポグラフ法にて観察することができる。
【0041】るつぼの回転速度は、本発明においては5r
pm以下とする。これはるつぼの回転速度を増すと、ウェ
ーハ面全面の極低欠陥化が困難になってくるからであ
る。るつぼの回転はるつぼ内の融液の流動を拘束する。
このためその回転数が増し5rpmを超えると、固液界面が
平坦もしくは上凸状態になる融液の流れを阻害すると考
えられる。
【0042】るつぼの回転速度の効果を比較するため、
単結晶育成装置を用い、電気抵抗が10Ωcmとなるように
p型ドーパントのボロンを添加した原料のシリコン多結
晶120kgを溶融し、8インチの単結晶を育成する際に、る
つぼの回転速度を変えて、引き上げ速度を連続的に変化
させ、欠陥の分布の変化を調査した。図6に、ルツボの
回転速度を10rpm、3rpmまたは1rpmとした場合の結果の
例を示す。これは、単結晶の回転速度は20rpmの一定と
し、ショルダーを形成させてから、引き上げ速度を0.7m
m/minにて約50mm育成させた後、引き上げ速度を0.3mm/m
inまで連続的に低下させ、ボディ長が約1000mmの単結晶
を育成したもので、得られた単結晶中心部の、引き上げ
軸に平行な垂直断面における欠陥分布の状態を模式的に
示してある。これから引き上げ速度を変えた場合のウェ
ーハの欠陥分布が推定できる。
【0043】図6(a)に示したるつぼの回転速度が10rpm
の場合、引き上げ速度を低下させると、リング状OSF
は外周部から中心部へと移動し、それによって、リング
状OSFの内側に発生しやすい赤外線散乱体欠陥を低減
できるが、今度は外周部分に転位クラスター欠陥が発生
してくる。すなわち引き上げ速度をどのように変えて
も、赤外線散乱体または転位クラスターのGrown-in欠陥
の無いウェーハを得ることができない。これに対し、図
6(b)に示したるつぼの回転速度が3rpmの場合、引き上
げ速度を低下させてリング状OSFの外径を小さくすれ
ば、Grown-in欠陥のほとんど存在しないウェーハが得ら
れる。さらに、図6(c)のようにるつぼの回転速度を1rp
mにすれば、リング状OSFの外径を小さくするか無く
してしまう幅広い引き上げ速度範囲で、Grown-in欠陥の
ないウェーハの得られる単結晶を製造することができ
る。
【0044】以上のように、るつぼの回転速度は5rpm以
下とし、0rpm、すなわち回転させなくてもよい。
【0045】引き上げ中の単結晶は、回転速度を13回転
/分以上として回転させなければならない。これは、る
つぼの中心部で上昇流、るつぼ壁近傍で下降流の強制対
流を十分に生ぜしめるために必要である。この融液の流
動によって、るつぼの中心部、すなわち育成中の結晶下
面中央部に融液の温度の高い上昇流が当たり、固液界面
を上凸状態に維持することができる。単結晶の回転速度
が13回転/分を下回ると、ウェーハ面全面にわたって欠
陥の少ない単結晶を得ることができなくなる。一方、回
転速度が大きくなりすぎると、ウェーハの欠陥の極めて
少ない範囲が減少し、結晶の成長速度も低下してくる。
これは上昇流が固液界面近傍を通過する速度が速くなり
すぎ、界面の十分な上凸状態を実現できなくなるためと
考えられる。したがって回転速度は30回転/分までとす
るのが好ましい。すなわち結晶の回転速度は13回転/分
以上とするが、望ましいのは15〜30回転/分である。
【0046】融液から引き上げられる単結晶の冷却部
分、すなわちホットゾーンの構造は、特には規制しな
い。しかし、凝固から約1250℃までの温度範囲では、単
結晶表面部分の引き上げ軸方向の温度勾配は大きくない
ことが望ましいので、融液面からすぐ上の単結晶表面
は、るつぼ壁あるいはヒーターからの輻射熱を特には遮
蔽しない構造とするのが好ましい。
【0047】
【実施例】〔実施例1〕単結晶引き上げ装置を用い、結
晶回転速度およびるつぼ回転速度を変えて、8インチの
シリコン単結晶育成をおこなった。ルツボ内に原料とし
て多結晶シリコン120kgを充填し、その中に結晶の電気
抵抗が10Ωcm程度となるようにp型ドーパントのボロン
を添加した。育成した単結晶の、引き上げ速度、結晶お
よびるつぼの回転速度を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】単結晶の上部、中間部および下部からウェ
ーハを採取し、16重量%の硝酸銅水溶液に浸漬してCu
を付着させ、900℃にて20分間加熱し冷却後、X線トポ
グラフ法によりOSFリングの位置を観察した。また、
赤外線散乱体欠陥の密度を赤外線トモグラフ法、転位ク
ラスター欠陥の密度をSeccoエッチング法にてそれぞれ
調査した。さらに、このような欠陥の分布を調査したウ
ェーハに隣接する位置より採取したウェーハにて、所定
熱処理等をおこなった後、デバイスのゲート構造を施工
し、25nmの酸化膜厚における初期酸化膜耐圧特性(TZD
B)を測定し、その良品率を求めた。
【0050】表1に、これらの調査結果をあわせて示
す。赤外線散乱体欠陥および転位クラスター欠陥の密度
は、ウェーハの任意の5ヶ所の位置における結果の平均
値を示している。これから明らかなように、本発明で定
める方法にて育成した単結晶から得られたウェーハは、
従来の製造方法によるものに比較して、赤外線散乱体や
転位クラスターなどのGrown-in欠陥は少なく、TZDBの良
品率が高い品質のすぐれたものとなっている。
【0051】
【発明の効果】本発明のシリコン単結晶育成方法によれ
ば、CZ法にて転位クラスターや赤外線散乱体のような
Grown-in欠陥をできるだけ少なくした大径長尺の高品質
単結晶を、歩留まりよく製造することができる。このよ
うにして製造された単結晶から得られるウェーハは、デ
バイス特性を劣化させる有害な欠陥が少ないため、今後
のさらなるデバイスの高集積度化や小型化に対し、効果
的に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常のCZ法による単結晶の引き上げ育成に用
いられている単結晶育成装置の模式的断面図である。
【図2】シリコンウェーハで観察される典型的な欠陥分
布の例を模式的に示した図である。
【図3】単結晶育成時の引き上げ速度と結晶欠陥の発生
位置との一般的な関係を、模式的に説明した図である。
【図4】単結晶育成時の固液界面と、単結晶内の直径方
向の温度分布とを模式的に示した図である。
【図5】育成中単結晶内の、引き上げ軸方向の温度勾配
の中心部と表面部との相違による、空孔または格子間原
子の濃度分布差を説明する概念図である。
【図6】るつぼの回転速度を変えた場合、引き上げ速度
を連続して変えた単結晶についての縦断面における欠陥
の分布を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1.ルツボ 1a.ルツボ内層保持容器 1
b.ルツボ外層保持容器 1c.ルツボ支持軸 2.ヒーター 3.
融液 4.引き上げ軸 5.シードチャック 6.
単結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 高行 佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地住 友シチックス株式会社内 (72)発明者 伊藤 誠人 佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地住 友シチックス株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BA04 CF10 EG12 EG14 EH08 HA12 PG01 PG03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単結晶内部に生じるリング状酸化誘起積層
    欠陥の外径が、結晶の直径の0〜60%の範囲に含まれる
    低速にて、育成中の単結晶と融液との固液界面形状が平
    坦、もしくは上凸になる状態で引き上げることを特徴と
    するシリコン単結晶の育成方法。
  2. 【請求項2】るつぼの回転速度を5回転/分以下とする
    ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の育
    成方法。
  3. 【請求項3】単結晶の回転速度を13回転/分以上とする
    ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の育
    成方法。
  4. 【請求項4】るつぼの回転速度を5回転/分以下、かつ
    単結晶の回転速度を13回転/分以上とすることを特徴と
    する請求項1に記載のシリコン単結晶の育成方法。
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