JP2002197507A - 紙幣判別装置および紙幣判別装置を備えた紙幣自動取引装置 - Google Patents

紙幣判別装置および紙幣判別装置を備えた紙幣自動取引装置

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JP2002197507A JP2001010984A JP2001010984A JP2002197507A JP 2002197507 A JP2002197507 A JP 2002197507A JP 2001010984 A JP2001010984 A JP 2001010984A JP 2001010984 A JP2001010984 A JP 2001010984A JP 2002197507 A JP2002197507 A JP 2002197507A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過度の使用により剛性が低下した状態の紙幣
や、切れが生じた状態の紙幣、また両状態を備えた紙幣
は障害が発生しやすく、信頼性を向上の阻害要因となっ
ている。 【解決手段】紙幣による取引を行う紙幣自動取引装置に
おいて、搬送路に紙幣の状態を判別する紙幣判別装置を
備え、前記紙幣判別装置は紙幣に光を照射する第1の投
光手段および第2の投光手段と、紙幣を通過した光を受
光する第1の受光手段と、紙幣で反射した光を受光する
第2の受光手段と、付勢手段と、演算手段とを有し、前
記第1の投光手段と前記第1の受光手段とが前記搬送路
を挟んで相対して設けられ、前記第2の投光手段と前記
第2の受光手段とが前記搬送路の片側に近接して設けら
れ、前記付勢手段は前記第1の投光手段から前記第1の
受光手段へ至る光軸の上流側近傍に設けられ、紙幣へ力
を加えて変形させるものであり、前記演算手段は前記第
1の受光手段と前記第2の受光手段との受光強度から紙
幣の状態を判別する前記紙幣判別装置であることを特徴
とする紙幣自動取引装置とすることにより解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ATM(Automated
Teller Machine)すなわち紙幣自動取引装置、特に状態
の悪い紙幣を判別して処理する紙幣自動取引装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の現金自動取引装置において、悪い
状態の紙幣を判別して処理するものとして、特公平3−
74431号に示された自動入出金機がある。ここで
は、紙幣がセンサを通過する間の透過光量の変化を測定
することによって紙幣の新旧を判断し、新しい紙幣と古
い紙幣とを分けて収納する構成が示されている。また、
特開平10−134225号の自動取引装置には、金種
と疲弊度とから装置の処理速度を変更する構成が示され
ている。また、特開平10−213581号の紙葉類の
状態検知装置には、紙幣を搬送するローラを通過する時
の反力を測定して、しわ度などの紙幣状態を検知する構
成が示されている。さらに、特開平1−256435号
および特開平8−194859号の現金自動取扱装置に
は、束で投入された紙幣を1枚ずつに分離する際に発生
するスキュー(斜行)やシフト(幅寄り)、紙幣の破れ
を検知して、入出金口に返却する構成が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】紙幣自動取引装置にお
いては、紙幣のハンドリングに関わる諸技術の向上によ
り、通常の紙幣ではジャム等の障害がほとんど発生しな
い。しかしながら、過度の使用により剛性が低下した状
態の紙幣や、切れが生じた状態の紙幣は障害が発生しや
すい。さらに信頼性を向上するためには、低剛性や切れ
がある状態の悪い紙幣を判別する手段を設け、排除する
などの処理を行う必要がある。また、近年の紙幣自動取
引装置の小型化と低価格化を鑑みて、上記の判別手段も
小型・安価に実現する必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、紙幣を入出金す
る入出金口と、紙幣の真偽を鑑別する鑑別部と、入金し
た紙幣を一時的に収納する一時集積部と、前記入出金口
と前記鑑別部と前記一時集積部とを接続し紙幣を搬送す
る搬送路とを少なくとも有する紙幣自動取引装置におい
て、前記入出金口と前記一時集積部との間の前記搬送路
に紙幣の状態を判別する紙幣判別装置を備え、前記紙幣
判別装置は紙幣に光を照射する第1の投光手段および第
2の投光手段と、紙幣を通過した光を受光する第1の受
光手段と、紙幣で反射した光を受光する第2の受光手段
と、演算手段とを有し、前記第1の投光手段と前記第1
の受光手段とが前記搬送路を挟んで相対して設けられ、
前記第2の投光手段と前記第2の受光手段とが前記搬送
路の片側に近接して設けられ、前記演算手段は前記第1
の受光手段と前記第2の受光手段との受光強度から紙幣
の状態を判別する前記紙幣判別装置であることを特徴と
する紙幣自動取引装置とした。
【0005】また、前記第1の受光手段と前記第2の受
光手段とは共通して利用することにより、コスト低減を
図ることができる。そのため、前記第1の投光手段と前
記第2の投光手段とは排他的に発光する構成とした。
【0006】また、切れ部を有する紙幣をより確実に判
別するため、前記第1の投光手段から前記受光手段へ至
る光軸の上流側近傍に、搬送方向と直交する方向に離散
的に紙幣へ力を加える付勢手段を設けた。また、紙幣面
内の搬送方向と直交する方向に引張力あるいは圧縮力を
加える付勢手段でも構成可能である。
【0007】また、前記紙幣判別装置を前記入出金口の
繰り出しローラの下流側で、紙幣の搬送方向長さの範囲
に設けた。さらに前記紙幣判別装置が状態の悪い紙幣を
判別したとき、前記繰り出しローラを逆転させて、当該
紙幣を前記入出金口へ返却することとした。また、その
とき、紙幣自動取引装置の入出力装置には当該紙幣が取
扱不可である旨の表示をするようにした。
【0008】また、前記受光手段として、紙幣の画像を
採取可能なCCD(イメージセンサ、撮像素子)を用い
ることとした。さらに、低コスト化のため、前記受光手
段として光量を測定可能な光素子を用いる構成とした。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の紙幣自動取引装
置1(以下、ATM1)の構成の一例を示す概略図であ
る。以下に、各要素と動作について説明する。
【0010】ATM1はいくつかのモジュールから構成
されており、図1には紙幣取扱装置2と入出力装置3と
が示されている。紙幣取扱装置2は紙幣を取り扱う処
理、例えば紙幣の入金や出金などの処理を行う。より詳
細な構成と動作は後述する。入出力装置3は、例えばモ
ニタとプッシュボタンの組み合わせや、両者を合わせた
タッチパネルである。入出力装置3により、ATM1の
操作者は入金や出金等の処理を選択して入力し、あるい
は操作者へ操作手順の指示などを行う。他にも、カード
を扱うモジュールや通帳を扱うモジュール、硬貨を扱う
モジュールなどを備えることがある。
【0011】紙幣を入金するとき、操作者は入出力装置
3から入金処理を選択する。入出金口4のシャッターが
開き、紙幣は束状で投入される。入出金口4は、ゴムを
周設した繰り出しローラなどの機構により、紙幣を一枚
ずつに分けて引き出して、搬送路5へ送り出す。搬送路
5は、例えばベルトやローラなどから構成され、紙幣を
挟み、ベルトやローラを移動・回転することにより、紙
幣を搬送する。搬送される紙幣は、鑑別部6において、
紙幣の光学的あるいは磁気的特徴などから真偽が判定さ
れる。ここで、偽券あるいは破れなどにより紙幣面積が
小さいなど、取引に不適であると判定された紙幣は、ゲ
ート7を切り替えて、入出金口4へ返却される。一方、
取引可能と判定された紙幣は、一時集積部8へ収納され
る。操作者と入出力装置3との間で、金額の確認等がさ
れた後、一時集積部8から紙幣を引き出して、搬送路5
を介し、集積部9へ搬送する。集積部9が複数ある場
合、ゲート7を切り替えて、例えば金種ごとに紙幣を収
納する。
【0012】一方、紙幣を出金するとき、操作者は入出
力装置3で出金処理を選択する。集積部9は指示された
枚数の紙幣を引き出して、搬送路5へ送り出す。鑑別部
6を通過する際に、紙幣が出金に不適当であると判定さ
れた場合、ゲート7を切り替えて一時集積部8に収納す
る。適当である紙幣は入出金口4へ収納する。所定の枚
数を収納した後、入出金口4のシャッターを開いて、紙
幣を操作者へ渡す状態にする。また、不適当であると判
断された紙幣Bは一時集積部8から引き出して、リジェ
クト集積部10へ収納する。
【0013】ATM1は、以上に示した概略の動作によ
り、入金および出金処理を行う。
【0014】このようなATM1においては、紙幣を取
り扱う用途と、無人店舗あるいは24時間運用という使
用形態とから高い信頼性を要求される。しかし、一般に
流通する紙幣を取り扱うため、中には状態の悪い紙幣が
存在する。特に、剛性が低くなった紙幣や切れ部が生じ
た紙幣は、搬送や集積の際に紙幣詰まり(ジャム)など
の障害が発生する確率が高い。これは、例えば紙幣を搬
送するとき、切れ部が搬送ガイドに引っ掛かって滞留す
ることや、紙幣の搬送方向先端に搬送力を与えられない
場所で剛性の低い紙幣が座屈することによりジャムが発
生する。特に切れ部と低剛性の両方を備える紙幣の場
合、障害の発生率が飛躍的に高くなる。このような剛性
の低下や切れ部の発生がみられる紙幣を判別して、通常
の処理から排除する必要がある。
【0015】そこで、図1に示すように、入出金口4か
ら一時集積部8までの間に、紙幣判別手段として紙幣判
別装置20を設けた。紙幣判別装置20の構成の一例を
図2に示す。
【0016】本実施例の紙幣判別装置20は、第1の投
光手段21と、第2の投光手段22と、受光手段23
と、付勢手段24と、演算手段25と、通過検知手段2
6とからなる。第1の投光手段21は、例えばLEDな
どからなり、紙幣Bが搬送される面を挟んで受光手段2
3と反対側に、受光手段23と向き合うように設ける。
第2の投光手段22は、例えば同様にLEDなどからな
り、紙幣を搬送する面の、受光手段23と同じ側に設け
る。受光手段23は、例えばラインCCDからなり、紙
幣の光学的画像を収集する。投光手段21、22と受光
手段23は紙幣の状態を検知する検知手段であり、付勢
手段24は紙幣Bに変形を与えるものである。
【0017】図2においては、一例として、回転軸方向
に一部が重なったローラを示している。演算手段25
は、CPUやメモリなどからなり、受光手段23から得
た光学的画像を処理するものである。通過検知手段26
は、例えば一対のフォトダイオードとフォトトランジス
タとからなり、紙幣Bが光軸を遮ることを検知して、紙
幣Bの通過を検知する。
【0018】なお、受光手段23は第1の投光手段21
と第2の投光手段22とのそれぞれに対応して別個に設
けてもよい。しかし、図2に示した共用する構成が小型
化と低コスト化に適している。この場合、第1の投光手
段21と第2の投光手段22とは、一方が発光している
ときは他方が消灯するように排他的に投光する。また、
鑑別部6に、同様な受光手段23を有する場合、受光手
段23を共用して、鑑別部6の中に紙幣判別装置20の
構成を設けてもよい。
【0019】さらに、図2において通過検知手段26は
2個設けられているが、第1の投光手段21から受光手
段23への光軸の近傍に1個設けるだけでもよい。
【0020】他の構成要素としては、搬送路5を構成す
る一部として、搬送ローラ27と搬送ガイド28とを備
える。搬送ローラ27は紙幣Bに搬送力を与えるもので
あるが、平たいベルトであってもかまわない。
【0021】図3に紙幣判別装置20の斜視図を示す。
構成をわかりやすく示すため、第2の投光手段22と、
受光手段23と、付勢手段24と、搬送ローラ27と、
搬送ガイド28とを示している。搬送ガイド28には、
第1の投光手段21と第2の投光手段22と受光手段2
3との間で光軸が遮られないように透明な部材で構成し
たガイド面28Tが設けられている。
【0022】このような紙幣判別装置20を用いた、紙
幣の切れ部の検出について説明する。
【0023】搬送ローラ27と搬送ガイド28とにより
搬送された紙幣Bは、第1の投光手段21と受光手段2
3とを結ぶ光軸上に達する。紙幣Bが光軸上に存在する
ことは、通過検知手段26を通過するタイミングから判
断する。
【0024】切れ部には図4に示すように、端辺から切
れ部k1や紙幣中央付近の折れから発生した切れ部k2
とが代表的なものである。ここで、図4にあるように、
紙幣を平坦においた場合でも、切れ部k1、k2が広が
っていることがある。これは切れ部が摩耗などにより広
がったものである。このように広がった切れ部k1、k
2は、第1の投光手段21からの光線が受光手段23へ
直接に届く。従って、演算手段25では光の受光強度が
所定の閾値より大きいとき、切れ部があると判別でき
る。
【0025】しかしながら、実際には図5に示すよう
に、紙幣を平坦に置いたときに広がりのない切れ部k
3、k4の方が多い。そこで、付勢手段24を第1の投
光手段21と受光手段23との光軸から上流側に近接し
て設け、切れ部を広げるようにした。
【0026】その様子を図6と図7とに示す。
【0027】付勢手段24は、その回転軸方向に、一部
が互いに重なるように設けられたローラから構成したた
め、紙幣に面外方向の変形を与えることができる。それ
によって、切れ部k3、k4は紙幣の厚み方向に分かれ
て、光線が通過できるようになる。この場合において
も、第1の投光手段21から受光手段23へ直接に光線
が通らない可能性があるが、切れ部が広がっているの
で、反射光により切れ部周辺が明るくなる。演算手段2
5では切れ部を判別する受光強度を、切れがない場合の
紙幣の透過光量を考慮して設定することにより、判別が
可能である。
【0028】このようにして受光手段23で得た画像よ
り切れ部の長さmあるいは長さnを演算手段25で計算
して、所定の閾値より長い場合に悪条件の紙幣であると
判別する。また、切れ部を発見した位置から搬送方向の
先後端の辺までの距離の最大値から判別しても良い。こ
の方法は切れ部の長さ測定を簡略化できるため、演算手
段25の処理性能が低くても実現可能である。また、紙
幣の範囲で切れ部と判断された面積、すなわちCCDの
ドット数を求め、その面積が所定の値より大きいとき、
問題とする切れ部があると判別しても良い。
【0029】また、上記の例では、付勢手段24は互い
に重なったローラであるとしたが、例えば図8に示すよ
うに、所々に設けた穴より空気を紙幣へ吹き付ける構成
であっても良い。ここでは、搬送と直交する方向へ非連
続的に力を与えることにより、切れ部k3を広げること
ができる。また、切れ部k4は紙幣の搬送方向前半に空
気で力が与えられるので、紙幣後半と段差を生じて、切
れ部を広げることができる。
【0030】さらに、串歯状のシート部材を設けるな
ど、付勢手段24は紙幣に搬送と直交する方向へ離散的
に力を与え、紙幣を面外方向に変形する構成が適用可能
である。
【0031】紙幣搬送面外に設けられた検知手段によっ
て、紙幣の切れ部を検出する場合、紙幣を面外方向に変
形させる際に、検知手段の位置によっては切れ部を確認
できない場合がある。したがって、紙幣面内において切
れ部を拡大させる方がさらに都合がよい。
【0032】そこで、付勢手段24として、図9や図1
0に示すように、紙幣面内で搬送と直交する方向に力を
与える構成であっても良い。
【0033】図9は、付勢手段24にテーパローラを用
いた例である。テーパローラとは円錐の一部を切り取っ
た形状のローラであり、側面の円の大きさが互いに異な
るものである。そのため、紙幣に当接する外周面はテー
パローラの回転軸あるいは搬送ガイド28に対して、所
定の角度αだけ傾いている。その形状により、大きい円
側では小さい円側に比べて搬送速度が大きくなる。この
ようなテーパローラを対称に配置することにより、紙幣
面内で搬送と直交する方向に速度分布が生じ、力を与え
ることができる。この力によって、紙幣を搬送と直交す
る方向に伸縮させ、切れ部を広げることができる。
【0034】また、図10には、付勢手段24として斜
行ローラを用いた例を示す。斜行ローラは、その搬送方
向が紙幣の搬送方向に対して、所定の角度βだけ傾いて
いる。そのため、紙幣を搬送と直交する方向に伸縮さ
せ、切れ部を広げることができる。
【0035】このように、付勢手段24は、紙幣面内で
搬送と直交する方向に力を与える構成であり、紙幣の切
れ部を拡大して、図5のk3のような切れ部であっても
検出しやすくすることができる。
【0036】本実施例では、投光手段と受光手段とを用
いて切れ部を拡大して検出したが、集音センサ等を用い
て拡大された切れ部を検出してもよい。
【0037】次に、紙幣の剛性の判別について説明す
る。
【0038】紙幣の剛性の測定方法については、特開平
10−213581号にあるように、紙幣を変形させた
反力を測定する方法がある。しかし、高速で搬送される
紙幣を変形させると、ローラに衝突する時の衝撃が大き
いため、あまり正確な測定ができない。
【0039】そこで、本発明では非接触で測定する方法
とした。紙幣は使用した度合いによって、その剛性が低
下する。同時に、紙幣は使用により擦れることや手垢が
徐々に付着することなどの原因で印刷が不鮮明になる。
そこで、第2の投光手段22と受光手段23とにより、
紙幣の印刷の外観から剛性を測定する。
【0040】図11と図12に、紙幣の曲げ剛性と外観
特性との相関を取ったグラフを示す。
【0041】これらのグラフでは、新札におけるそれぞ
れの特性の平均値を1.0として、測定値を比で表して
いる。紙幣としては、新札の他に、流通紙幣の中から剛
性の低いものと中程度のものとを選択した。また、受光
手段23にCCD(イメージセンサ)を用いて、紙幣全
面の画像を取り込んだときのグラフである。
【0042】図11は、曲げ剛性と紙幣面の平均輝度値
との相関を示している。ここで、輝度とは第2の投光手
段22で紙幣面を照らしたときの明るさ、つまり反射率
に相当し、曲げ剛性が低くなるに従って、紙幣面が暗く
見えることがわかる。
【0043】また、図12は、曲げ剛性と紙幣面輝度の
標準偏差との相関を示している。標準偏差が大きいとい
うことは、印刷の明暗がより明確に分かれている、すな
わちコントラストが高いことを示す。したがって、曲げ
剛性が低くなると標準偏差が小さくなるので、印刷がぼ
んやりとした不鮮明な外観になることがわかる。
【0044】以上より、紙幣面の平均輝度および輝度の
標準偏差を演算手段25で算出し、一方あるいは両方が
所定の閾値を下回ったとき、低剛性であると判別でき
る。
【0045】また、図4または図5に示すように、多く
の紙幣Bには図柄が印刷された図柄部B1があり、その
周囲に印刷の無いあるいは紙幣全面に施された模様のみ
の下地部B2がある。前述の例では、紙幣全体の画像を
取り込んだが、下地部B2のみでも可能である。その結
果を、図13と図14に示す。
【0046】図13は、図11と同様に、剛性が低くな
るに従って、輝度が低下する。紙幣の使用度合いが増加
して、徐々に汚れたため暗くなっている。
【0047】一方、図14は、剛性が低くなるに従っ
て、輝度の標準偏差が増加する。これは、本来は明暗の
無い下地部B2に、折れ等が生じることによって線が発
生し、輝度のばらつきが増えたためである。
【0048】このような相関から、受光手段23は、紙
幣の端辺から下地部B2の間だけ画像を取り込む。演算
手段25では、下地部B2の輝度が所定の閾値を下回る
ことと、輝度の標準偏差が所定の閾値を上回ることのい
ずれかあるいは両方の条件になるとき、紙幣が低剛性で
あると判別できる。
【0049】以上のように、紙幣Bの切れと剛性とを判
別し、いずれか一方あるいは両方が正常と定めた閾値を
逸脱したとき、悪い状態の紙幣であると判断することが
できる。そして、悪い状態の紙幣を、入出金口4に返却
することにより、集積部9への収納や収納後の出金処理
など、次に同紙幣を取り扱うときに発生しやすい障害を
防ぐことができる。
【0050】また、上記の判別では受光手段23とし
て、例えばCCD(イメージセンサ)のような、分解能
の高いセンサを用いた。しかしながら、剛性の判別を平
均輝度のみで行うならば、受光強度を所定の分解能で出
力できる光量センサ(例えば、光導電素子)を用いても
構成可能である。この場合、紙幣の搬送と直交する方向
に複数の光量センサを設ける。紙幣Bに切れ部がある場
合、上記の例と同様に、第1の投光手段21からの光線
が受光手段23へ照射される。演算手段25では切れ部
を判別する閾値を、切れがない場合の紙幣の透過光量よ
り大きく設定する。そして、受光手段23での受光強度
が所定の閾値を上回ったとき、切れ部があると判別が可
能である。また、第2の投光手段22が紙幣を照らした
ときの明るさを光量センサで測定することで剛性を判別
できる。前述の例のように、紙幣B全体あるいは下地部
B2における、受光手段23の受光強度が所定の閾値を
下回ったとき、剛性が低いと判別が可能である。このよ
うに切れ部と低剛性とを判別することができる。ここで
特に障害が発生しやすい紙幣は、切れ部を有しかつ低剛
性の紙幣が多いので、両者とも所定の閾値から外れたと
き、状態の悪い紙幣と判別する。
【0051】さらに、紙幣判別装置20を入出金口4の
近傍に配置することで、紙幣を搬送路5へ送り出す前に
判別して、入出金口4へ返却することが可能である。そ
の構成を図15に示す。
【0052】図15は入出金口4の概略構成を示す。
【0053】シャッター30が開閉して、操作者から紙
幣Bを入出金口4の中に取り込む。紙幣Bは押し板31
に押されて、案内板32との間に挟まれる。この状態
で、案内板32に最も近接した紙幣Bの一部は、繰り出
しローラ33に接する。繰り出しローラ33は外周全体
あるいは一部がゴムなどの高摩擦材料からなり、繰り出
しローラ33を回転することにより、紙幣を引き出す。
このとき、複数の紙幣が同時に引き出されることがあ
る。それを防ぐために、係止ローラ34が設けられてい
る。係止ローラ34は、全周がゴムなどの高摩擦材料か
らなるローラで、紙幣の引き出し方向とは反対方向にの
み回転するように構成されている。これにより、案内板
32に最も近接した紙幣以外は引き出されないように逆
向きの力を与え、入出金口4に留める。このように1枚
に分けられた紙幣は、搬送路5へ送り出される。
【0054】ここで、繰り出しローラ33の下流側で、
紙幣が繰り出しローラ33に接触する範囲に、紙幣判別
装置20を設ける構成とした。紙幣判別装置20の構成
は前述の構成と同様のため、省略する。ただし、繰り出
しローラ33と係止ローラ34とは、回転軸方向に互い
に重なって設けられていることがある。その場合、それ
らのローラで紙幣を面外方向へ変形させることができる
ので、付勢手段24を省くことが可能である。
【0055】このように、紙幣判別装置20を入出金口
4の近傍に設けることにより、紙幣を入出金口4から引
き出す間に、状態の判別が可能である。ここで、状態が
悪いと判別された紙幣は繰り出しローラ33を逆転させ
て、紙幣を入出金口4へ返却する。それによって、紙幣
を搬送路5へ送り出す前に返却することができ、障害の
低減に有効である。
【0056】さらに、返却した紙幣は操作者に取り除い
てもらうことが望ましい。
【0057】特開平1−256435号および特開平8
−194859号の現金自動取扱装置には、束で投入さ
れた紙幣を1枚ずつに分離する際に発生するスキュー
(斜行)やシフトを検知して、紙幣を入出金口へ返却す
る構成が示されている。
【0058】この場合、紙幣の初期姿勢が悪い(投入位
置が片寄っている、あるいは傾いている)ことが原因で
あるため、入出力装置3に「紙幣を揃えて入れてくださ
い」等の再投入要求メッセージが表示される。
【0059】また、紙幣の引き出し後に、鑑別部6で取
引に不適であると判断された紙幣も、入出金口4へ返却
される。このとき、正常な紙幣は一時収納部8へ収納さ
れ、入出金口4には不適な紙幣のみがあるため、「この
紙幣はお取り扱いできません」等の入金拒否メッセージ
が表示される。
【0060】本例の場合は、引き出し途中の1枚の紙幣
が取扱に不適であると判断し、入出金口4へ返却され
る。このとき、入出金口4には、複数の未だ引き出され
ていない紙幣が残っていることが考えられる。そこで、
「最も手前側の紙幣はお取り扱いできません」等の指定
紙幣入金拒否メッセージを表示することが望ましい。そ
れによって、不適な紙幣を明らかにし、操作者に取り除
いてもらうことにより、障害を事前に防ぐことができ
る。
【0061】さらに、これまではATM1が取り扱う金
種は1種類の場合で説明した。ATM1が複数の金種を
取り扱う場合、金種ごとに光学的特性(平均輝度、標準
偏差)が異なることがあるので、金種を判別して、切れ
部および低剛性の判別する際の各閾値を変更する必要が
ある。
【0062】金種の判別は、紙幣判別装置20が鑑別部
6の近傍あるいは鑑別部6の中に設けた場合は、鑑別部
6での判別結果を使用する。
【0063】しかし、紙幣判別装置20と鑑別部6とが
離れて配置された場合、例えば入出金口4の近傍に設け
た場合は、鑑別部6で判別結果が出るまでに時間差が大
きい。そこで、紙幣判別装置20の受光手段23に、分
解能の高い手段、例えばCCD(イメージセンサ)を用
いて画像の特徴を分析することにより、正確な真偽鑑別
までは行わずとも、大まかな金種の判別を行う。また、
色を判別する手段、例えば所定の分解能で赤・緑・青等
の受光強度を出力できるカラーセンサを用いて、金種ご
との色の違いにより、大まかな金種の判別を行う。カラ
ーセンサは、例えば光導電素子に各色のフィルタを設け
たものである。これらにより、鑑別部6での判別結果を
待たずに、紙幣判別装置20のみで、状態の悪い紙幣の
判別を行うことができる。
【0064】次に、第2の実施形態の一例を以下に示
す。本例では、切れ部を検出可能とするように構成した
紙幣判別手段としての紙幣判別装置50と、それを搭載
したATM1とを示す。まず、図16に紙幣判別装置5
0の側面図を示す。
【0065】図16において、紙幣Bは搬送ガイド55
aと搬送ガイド55bとの間を、図面上で左右に搬送さ
れる。
【0066】付勢駆動軸51と搬送駆動軸61、62、
63はそれぞれ従動軸52と対向して配置され、従動軸
52は押圧力で付勢駆動軸51及び搬送駆動軸61、6
2、63に圧接されている。付勢駆動軸51と搬送駆動
軸61、62、63は図示しないモータにより回転駆動
し、従動軸52は付勢駆動軸51から回転力を受けて回
転する。付勢駆動軸51、搬送駆動軸61、62、63
と従動軸52とにより紙幣Bを挟持して搬送する。付勢
駆動軸51は、搬送方向と紙幣面内において直交する方
向(以下、幅方向)へ紙幣Bを引っ張る力を与えて、紙
幣Bの切れ部を広げながら、紙幣Bを搬送する。その詳
細な構造は後述する。
【0067】画像取り込み手段53は、例えばLEDと
CCDラインセンサとの組み合わせであり、紙幣Bへ投
光して、その反射光や透過光を受光することにより、紙
幣Bの画像を取り込む。鎖線ロは画像を取得する位置を
示し、付勢駆動軸51の中心からは距離j1、画像取り
込み手段53の近傍の搬送駆動軸61の中心からは距離
j2だけ離れている。付勢駆動軸51で広げた切れ部を
見るためには、距離j1がなるべく小さいことが望まし
いが、付勢駆動軸51と画像取り込み手段53の配置上
の制約から約20mmとなった。勿論、本発明はこの距
離に限定されるものではなく、付勢駆動軸51で切れ部
を広げられる範囲に画像取り込み手段53があればよ
い。
【0068】付勢駆動軸51と、搬送駆動軸61、6
2、63と、従動軸52と、搬送ガイド55a、55b
はフレーム54aと54bとにより支持される。フレー
ム54aと54bは、ピボット67で回転可能に接合さ
れる。これは紙幣判別装置50内の清掃やジャム除去な
どのためであり、紙幣Bを搬送するときは付勢駆動軸5
1と搬送駆動軸61、62、63と、従動軸52とが圧
接されるように固定する。
【0069】搬送ガイド55の近傍には、通過検知手段
66と、磁気測定手段64と、厚さ測定手段65とが設
けられている。
【0070】図17は紙幣判別装置50の付勢搬送軸5
1と従動軸52と画像取り込み手段53とを、図16の
矢印イの方向から見た図である。
【0071】まず、付勢駆動軸51はシャフト101
と、ベアリング102と、テーパローラ103と、止め
輪104と、ギア105とから構成されている。ギア1
05は、図示しないモータから回転駆動され、シャフト
101へ回転が伝達される。テーパローラ103はゴム
で作られ、シャフト101と接着される。テーパローラ
103は、搬送中心線ハの側になるに従い直径が小さく
なるように設けられる。ベアリング102はシャフト1
01とフレーム54aとを回転自由に固定し、止め輪1
04で軸方向の移動を防止する。
【0072】従動軸52は従動ベアリング111と、シ
ャフト112と、バネ113とから構成される。従動ベ
アリング111はシャフト112で支持され、また軸方
向の移動は搬送ガイド55bにより限定される。バネ1
13はシャフト112を介して、従動ベアリング111
を付勢駆動軸51へ圧接する。
【0073】本例では、テーパローラ103と従動ベア
リング111は4組配置されている。内側の2組の間隔
uは約60mmであり、内側と外側の組の間隔vは約4
0mmである。テーパローラ103と従動ベアリング1
11は、紙幣Bが傾斜の向きが異なるテーパローラ10
3に挟持搬送されるように配置する。その範囲であれ
ば、上記の間隔mと間隔nはいかなる値を取っても良
い。
【0074】判別制御手段56は接続線121を介して
画像取り込み手段53と、接続線122を介して磁気測
定手段64、厚さ測定手段65、通過検知手段66と接
続する。判別制御手段56は電気回路とソフトウェアか
ら構成され、測定や検知の開始を指示し、また測定から
得られたデータを分析して、紙幣Bの切れ検出などを行
う。
【0075】機構制御手段57は、電気回路とソフトウ
ェアとからなり、ATM1の全体の動作を制御する。例
えば、図1に示したゲート7を切り替える指示などを行
う。判別制御手段56とは、接続線123を介して接続
され、紙幣情報の授受を行う。動作の例としては、紙幣
Bを入金するときは、正常な搬送経路としては、入出金
口4から紙幣を取り込み、搬送路5で搬送して、一次集
積部8へ収納する。ここで、紙幣判別装置50が図1の
鑑別部6に適用され、紙幣Bに切れ部が検出された場
合、機構制御手段57はゲート7を切り替えて、当該の
紙幣Bを入出金口4へ返却する。あるいは、一次集積部
8から集積部9へ紙幣を移し替えるとき、紙幣Bに切れ
部が検出された場合、機構制御手段57はゲート7を切
り替えて、当該の紙幣Bをリジェクト集積部10へ収納
する。
【0076】次に、付勢駆動軸51の構造と作用につい
て説明する。
【0077】図18は1組のテーパローラ103と従動
ベアリング111とを抜粋した図である。
【0078】テーパローラ103は、その外周面の幅W
のなかで、幅Tがシャフト101と略平行であり、残り
がテーパ面Cとなる。テーパローラ103の最大の直径
はφd1maxであり、搬送中心線ハに近づくに従い直
径が小さくなるようにテーパ面Cが設けられ、最小の直
径がφ1min、テーパ面Cとシャフト101とが成す
角度がθである。一方、従動ベアリング111は外周面
がシャフト101と略平行であり、直径がφd2であ
る。
【0079】本例で使用した諸寸法は、φd1maxが
約20mm、φd2が約16mm、Wが5mm、Tが
0.5mm、θが15°〜45°である。勿論、本発明
は前記の諸寸法に限定されるものではない。
【0080】このようなテーパローラ103と従動ベア
リング111との組み合わせにおいて、紙幣Bを搬送す
るとき、テーパローラ103は図18の点線で示すよう
に、直径の大きい側の外側へ変形する。この変形により
矢印で示す力Fが発生する。この変形量は、テーパロー
ラ103と従動ベアリング111との剛性の差によって
異なり、発生する力Fの大きさも異なる。ここで、図1
7に示したように、搬送中心線ハに近い側の直径が小さ
くなるようにテーパローラ103を配置すれば、紙幣B
を幅方向の両側へ向かって引っ張る力が発生する。その
様子を図20に示す。
【0081】図20において、画像取り込み窓53sは
紙幣Bの画像を取り込むため、透明になっており、図1
6において鎖線ロで示した部位である。
【0082】付勢駆動軸51により、紙幣Bを幅方向に
引っ張る力Fが発生して、紙幣Bの切れ部が開く。それ
が画像取り込み窓53sを通過するとき、紙幣Bがあっ
て画像取り込み手段53aから画像取り込み手段53b
への光が遮光される部分と、切れ部で光が通過する部分
とを捉えることができる。このとき、遮光されるべき領
域のなかで、光が透過した領域を測定することにより、
切れ部を検出できる。
【0083】一例として、図20に切れ部の検出結果を
示す。
【0084】本結果で、切れ部の長さは約50mm、マ
ーク□は約3mm以上、マーク△は約30mm以上の切
れ部として検出した件数である。
【0085】この結果より、ここで示した付勢駆動軸5
1により、切れ部を検出可能であることがわかる。ま
た、テーパ面Cの角度θは、60°未満の範囲で、切れ
部を広げることができる。θが60°以上になると、テ
ーパローラ103と紙幣Bとが接触する状態が、テーパ
の無い搬送ローラと同様になってしまうため、切れが広
がらない。また、少しでも角度があれば、切れ部を広げ
ることができるが、小さい角度のテーパは加工が難し
く、かつ搬送による摩耗でテーパが無くなる可能性があ
る。したがって、θの範囲は0°より大きく、60°未
満であり、特に15°近傍が望ましい。
【0086】以上に示した付勢駆動軸51を備える紙幣
判別装置50とすることで、切れ部を有する紙幣を検出
することができる。さらに、この紙幣判別装置50を備
えるATM1とすることにより、過度に使用した紙幣に
よるジャムを低減することができ、ATM1の信頼性を
向上することができる。
【0087】さらに、テーパローラ103の形状を図2
1に示すように、テーパ面が2つ以上ある形状としても
良い。図21では、テーパの設置間隔Pを2.5mmと
して、テーパ面を2つ設けた例を示している。なお、テ
ーパの設置間隔P、テーパ面の個数はこれに限られるも
のではない。また、上記のテーパは1つのローラに複数
のテーパ面を設けても良く、1つのテーパ面を設けたテ
ーパローラを複数個重ねても良い。
【0088】このような複数のテーパ面を設ける利点を
説明する。
【0089】まず、図22に1つのテーパ面によるテー
パローラ103で搬送するときに、紙幣Bに作用する力
を示す。図22において、黒丸PaとPbはテーパロー
ラ103と従動ベアリング111とによる挟持点であ
る。
【0090】前述のように、テーパローラ103で紙幣
Bを搬送するとき、紙幣Bを幅方向に引っ張る力Faと
Fbとがそれぞれ発生する。これによって、切れ部を広
げることができる。
【0091】しかしながら、テーパローラ103は1個
のローラ内で直径に違いがあるため、速度差が生じるこ
とがある。それによって、PaとPb周りのモーメント
力MaとMbとが発生することがある。
【0092】その結果、紙幣Bは点線で示すように大き
く変形して、紙幣Bを破損したり、あるいは搬送ガイド
55との摩擦力が大きくなってジャムを生じることがあ
る。
【0093】一方、複数のテーパ面を設けた場合、図2
3に示すように複数の挟持点を持つことになる。このと
き、挟持点Pa1とPa2、挟持点Pb1とPb2の周
りにはそれぞれ同じ向きのモーメント力が発生する。こ
こで、モーメント力Ma1とMa2は、挟持点Pa1と
Pa2との間で反対向きに作用するため、紙幣B全体に
は影響を与えない。同様にモーメント力Mb1とMb2
も互いに打ち消しあう。それにより、引張力FaとFb
のみを作用させることができる。
【0094】さらに、図24に示すように、2つの異な
る摩擦係数を有する摩擦ローラ105を用いて、摩擦係
数が小さい側を搬送中心線ハに近くなるように構成して
も良い。
【0095】図25に摩擦ローラ105の詳細な構成を
示す。
【0096】摩擦ローラ105aは摩擦ローラ105b
より摩擦係数が大きくする。例えば、ローラの一方の外
周面にフッ素樹脂等の低摩擦剤を塗布する、あるいは異
なる摩擦係数のローラを貼り合わせることにより構成で
きる。
【0097】このような摩擦ローラ105へ、従動ベア
リング111から押圧力Nを加えると、点線で示すよう
に、摩擦ローラ105が両側へ膨らむように変形する。
ここで、摩擦ローラ105aは摩擦ローラ105bより
摩擦係数が大きいので、F1>F2となり、紙幣Bを摩
擦係数が大きい側へ引っ張ることができる。
【0098】このような摩擦ローラ105を搬送中心線
ハに近い側が低摩擦になるように配置することにより、
紙幣Bを幅方向両側へ引っ張ることができ、付勢駆動軸
51を構成できる。
【0099】以上のように、紙幣Bを幅方向へ引張力を
与える付勢駆動軸51を画像取り込み手段53の近傍に
配置することによって、切れ部を検出することができ
る。
【0100】なお、上記に示した実施形態において、付
勢駆動軸51は1カ所のみであったが、複数設けても良
い。例えば、画像取り込み手段53近傍の搬送駆動軸6
1を付勢駆動軸51に構成することができる。それによ
って、紙幣Bへ引張力が加わる時間(あるいは距離)が
長くなり、切れをより大きく広げることができ、切れ部
の検出率を向上することができる。
【0101】
【発明の効果】本発明により、過度に使用されて切れた
り、剛性が低下した紙幣を検出することができ、装置の
信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紙幣自動取引装置の概略構成図。
【図2】 紙幣判別装置の概略構成図。
【図3】 紙幣判別装置の斜視図。
【図4】 切れ部を有する紙幣の模式図。
【図5】 切れ部を有する紙幣の模式図。
【図6】 切れ部を有する紙幣の変形形状を表す模式
図。
【図7】 切れ部を有する紙幣の変形形状を表す模式
図。
【図8】 紙幣判別装置の斜視図。
【図9】 紙幣判別装置の斜視図。
【図10】 紙幣判別装置の斜視図。
【図11】 剛性と光学的特性の相関図。
【図12】 剛性と光学的特性の相関図。
【図13】 剛性と光学的特性の相関図。
【図14】 剛性と光学的特性の相関図。
【図15】 入出金口の構成図。
【図16】 紙幣判別装置の側面図。
【図17】 付勢駆動軸の構成図。
【図18】 テーパローラの構成図。
【図19】 付勢駆動軸と画像取り込み手段の斜視図。
【図20】 検出件数グラフ。
【図21】 複数のテーパ面を有するテーパローラの構
成図。
【図22】 紙幣に作用する力を示す模式図。
【図23】 紙幣に作用する力を示す模式図。
【図24】 付勢駆動軸の構成図。
【図25】 異なる摩擦係数を有する摩擦ローラの構成
図。
【符号の説明】
1…紙幣自動取引装置、2…紙幣取扱装置、3…入出力
装置、4…入出金口、5…搬送路、6…鑑別部、7…ゲ
ート、8…一時集積部、9…集積部、10…リジェクト
集積部、20…紙幣判別装置、21…第1の投光手段、
22…第2の投光手段、23…受光手段、24…付勢手
段、25…演算手段、26…通過検知手段、27…搬送
ローラ、28…搬送ガイド、30…シャッター、31…
押し板、32…案内板、33…繰り出しローラ、34…
係止ローラ、50…紙幣判別装置、103…テーパロー
ラ、105…摩擦ローラ、111…従動ベアリング、。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65H 7/06 B65H 7/06 29/70 29/70 G07D 7/12 G07D 7/12 (72)発明者 改井 瑞樹 愛知県尾張旭市晴丘町池上1番地 株式会 社日立製作所情報機器事業部内 (72)発明者 吉田 和司 愛知県尾張旭市晴丘町池上1番地 株式会 社日立製作所情報機器事業部内 Fターム(参考) 3E040 AA01 BA07 DA08 FG12 FJ05 3E041 AA02 BA05 BA10 BB02 BB03 CA08 CA09 3F048 AA06 AB03 BA11 BA25 BA26 BB02 BB10 DA04 DA06 DC13 DC14 DC15 EA13 EB08 EB12 EB24 EB33 3F049 AA01 CA04 CA15 DA12 EA17 LA08 LB04 3F053 HA07 HA08 HB01 LA08 LB04

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙幣を入出金する入出金口と、紙幣の真偽
    を鑑別する鑑別部と、入金した紙幣を一時的に収納する
    一時集積部と、前記入出金口と前記鑑別部と前記一時集
    積部とを接続し紙幣を搬送する搬送路とを有する紙幣自
    動取引装置において、 前記入出金口と前記一時集積部との間の前記搬送路に紙
    幣の状態を判別する紙幣判別装置を備え、 前記紙幣判別装置は、判別される紙幣を紙幣面内であっ
    て搬送方向と異なる方向に変形を与える付勢手段と紙幣
    の切れ部検知する検知手段とを備え、 前記検知手段は、前記付勢手段によって拡大された紙幣
    の切れ部を検知することを特徴とする紙幣自動取引装
    置。
  2. 【請求項2】前記検知手段は、前記付勢手段の紙幣搬送
    方向下流側近傍に設けられ、紙幣搬送面外から搬送され
    る紙幣に光を照射する投光手段と、前記投光手段から照
    射された光を受光する受光手段とを備え、前記付勢手段
    によって紙幣搬送面内に拡大された切れ部に光を照射す
    ることによって切れ部を検知することを特徴とする請求
    項1に記載の紙幣自動取引装置。
  3. 【請求項3】紙幣を入出金する入出金口と、紙幣の真偽
    を鑑別する鑑別部と、入金した紙幣を一時的に収納する
    一時集積部と、前記入出金口と前記鑑別部と前記一時集
    積部とを接続し紙幣を搬送する搬送路とを少なくとも有
    する紙幣自動取引装置において、 前記入出金口と前記一時集積部との間の前記搬送路に紙
    幣の状態を判別する紙幣判別装置を備え、 前記紙幣判別装置は紙幣に光を照射する第1の投光手段
    および第2の投光手段と、紙幣を通過した光を受光する
    第1の受光手段と、紙幣で反射した光を受光する第2の
    受光手段と、付勢手段と、演算手段とを有し、 前記第1の投光手段と前記第1の受光手段とが前記搬送
    路を挟んで相対して設けられ、前記第2の投光手段と前
    記第2の受光手段とが前記搬送路の片側に近接して設け
    られ、前記付勢手段は前記第1の投光手段から前記第1
    の受光手段へ至る光軸の上流側近傍に設けられ、紙幣へ
    力を加えて変形させるものであり、前記演算手段は前記
    第1の受光手段と前記第2の受光手段との受光強度から
    紙幣の状態を判別する前記紙幣判別装置であることを特
    徴とする紙幣自動取引装置。
  4. 【請求項4】前記付勢手段は、紙幣の面外方向への力
    を、搬送方向と直交する方向に離散的に紙幣へ加える付
    勢手段であることを特徴とする請求項3記載の範囲の紙
    幣自動取引装置。
  5. 【請求項5】前記付勢手段は、紙幣面内の搬送方向と直
    交する方向に引張力あるいは圧縮力を加える付勢手段で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の範囲
    の紙幣自動取引装置。
  6. 【請求項6】前記入出金口は、外周に高摩擦部材を周設
    した繰り出しローラおよび係止ローラを少なくとも有
    し、前記繰り出しローラは前記入出金口に入金された紙
    幣を前記搬送路へ引き出すように動作するローラであ
    り、前記係止ローラは前記入出金口に入金された紙幣を
    前記搬送路へ引き出す方向と反対方向へのみ動作するロ
    ーラであって、 前記紙幣判別装置を前記繰り出しローラに搬送路へ引き
    出される紙幣が接する範囲に設けたことを特徴とする請
    求項1乃至請求項5のいずれかに記載の範囲の紙幣自動
    取引装置。
  7. 【請求項7】前記入出金口は、前記紙幣判別装置が引き
    出された紙幣を取扱不適と判断したとき、前記繰り出し
    ローラを逆転して、当該紙幣を入出金口へ返却するよう
    動作する入出金口であり、かつ操作者と情報の交換を行
    う入出力装置を備えて、当該紙幣を指定して入金拒否の
    表示を行うことを特徴とする請求項2乃至請求項6のい
    ずれかに記載の範囲の紙幣自動取引装置。
  8. 【請求項8】前記受光手段として紙幣の画像を取り込む
    ことが可能なCCDを用いた紙幣判別手段であることを
    特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の範
    囲の紙幣自動取引装置。
  9. 【請求項9】前記受光手段として単色あるいは複数の色
    の光量を測定可能な光素子を用いた紙幣判別手段である
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記
    載の範囲の紙幣自動取引装置。
  10. 【請求項10】前記第1の投光手段からの光が紙幣を通
    過して前記受光手段での受光強度と、 前記第2の投光手段が紙幣を照射して前記受光手段で得
    られた平均輝度あるいは輝度の標準偏差とから、紙幣の
    状態を判別する紙幣判別手段であることを特徴とする請
    求項3乃至請求項8のいずれかに記載の範囲の紙幣自動
    取引装置。
  11. 【請求項11】紙幣自動取引装置の紙幣搬送経路に配置
    され、少なくとも紙幣の画像を取り込む画像取り込み手
    段を備えた紙幣判別装置において、 前記画像取り込み手段の近傍に、紙幣へ搬送と直交する
    方向に力を与える付勢駆動手段を設けたことを特徴とす
    る紙幣判別装置。
  12. 【請求項12】前記付勢駆動手段は、付勢駆動軸と従動
    軸との組み合わせからなり、前記従動軸を前記付勢駆動
    軸へ圧接することにより紙幣を2カ所以上で挟持して搬
    送するものであって、 前記付勢駆動軸は少なくともシャフトとローラとからな
    り、前記ローラの外周面は搬送中心線側の直径が小さく
    なるように、前記シャフトに対して傾斜したテーパ面を
    有するローラとした前記付勢駆動手段であることを特徴
    とする請求項11記載の範囲の紙幣判別装置。
  13. 【請求項13】前記付勢駆動手段は、付勢駆動軸と従動
    軸との組み合わせからなり、前記従動軸を前記付勢駆動
    軸へ圧接することにより紙幣を2カ所以上で挟持して搬
    送するものであって、 前記付勢駆動軸は少なくともシャフトとローラとからな
    り、前記ローラの外周面は搬送中心線側の直径が小さく
    なるように、前記シャフトに対して傾斜したテーパ面を
    有するローラであり、前記テーパ面を有するローラをシ
    ャフト上に複数有する前記付勢駆動手段であることを特
    徴とする請求項11記載の範囲の紙幣判別装置。
  14. 【請求項14】前記付勢駆動手段は、付勢駆動軸と従動
    軸との組み合わせからなり、前記従動軸を前記付勢駆動
    軸へ圧接することにより紙幣を2カ所以上で挟持して搬
    送するものであって、 前記付勢駆動軸は少なくともシャフトとローラとからな
    り、前記ローラの外周面は搬送中心線側の摩擦係数が小
    さいローラとした前記付勢駆動手段であることを特徴と
    する請求項11のいずれかに記載の範囲の紙幣判別装
    置。
  15. 【請求項15】請求項11乃至14のいずれかに記載の
    紙幣判別装置を備え、 前記紙幣判別装置の検出結果に従い、紙幣の搬送経路を
    変更することを特徴とする紙幣自動取引装置。
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