JP2002103565A - 製版装置および製版印刷装置 - Google Patents

製版装置および製版印刷装置

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JP2002103565A
JP2002103565A JP2000298392A JP2000298392A JP2002103565A JP 2002103565 A JP2002103565 A JP 2002103565A JP 2000298392 A JP2000298392 A JP 2000298392A JP 2000298392 A JP2000298392 A JP 2000298392A JP 2002103565 A JP2002103565 A JP 2002103565A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マスタセット時等において、マスタの先端部
がマスタの巻きぐせ等によりカールを含むマスタの浮き
上がりが生じた場合、マスタの先端部がきついカールや
丸みを帯びてしまうことで反転ローラ対のニップ部まで
届かずマスタ搬送ミス・ジャムになってしまうという問
題点等を解決する。 【解決手段】 マスタ22を製版するサーマルヘッド2
6と、未製版のマスタ22または製版済みのマスタ22
を搬送するプラテンローラ27、テンションローラ対3
7、反転ローラ対38と、マスタ搬送経路MRとを具備
する製版装置20において、マスタ22の浮き上がりを
防止するマスタ浮き上がり防止手段としての規制板7を
サーマルヘッド26とマスタ貯留手段30との間のマス
タ搬送経路MR上に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製版装置および製
版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】製版印刷装置として感熱デジタル製版式
の孔版印刷装置が知られている。この感熱デジタル製版
式の孔版印刷装置では、例えば厚さが1〜2μmの非常
に薄い熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体(以下、
「ベース」というときがある)として和紙等の天然繊維
とか合成繊維、あるいは天然繊維および合成繊維を混抄
したものとを貼り合わせて構成された感熱孔版マスタ
(以下、単に「マスタ」という)を製版し、その製版済
みのマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装すべく搬送し給
送する製版装置を備えている。このような製版装置とし
ては、例えば図9ないし図11に示すような構成を具備
するものが知られていて、孔版印刷装置1の動作におい
て製版・給版のためのマスタ搬送動作が概略以下のよう
に行われる。
【0003】オペレータが図示しない電源スイッチを押
して電源オン状態にする操作に前後して、必要に応じ
て、マスタ22が巻かれてロール状に形成されたマスタ
ロール22Aの着脱操作等が行われる。図11には、孔
版印刷装置1の初期状態が示されている。図11に示す
ように、製版装置200では、マスタロール22Aから
繰り出されたマスタ22の先端は反転ローラ対38のニ
ップ部に挾持されている給版待機位置を、版胴2および
圧胴9はホームポジションをそれぞれ占めている状態に
設定される。製版装置200のマスタ貯留手段30に配
設されているガイド搬送板35は、図10および図11
において、マスタ22の先端が反転ローラ対38のニッ
プ部に挾持されて給版待機位置を占めた後、図9に二点
鎖線で示すたわみ形成位置から実線で示すガイド搬送位
置を占めるようになっている。
【0004】図11において、オペレータが図示しない
操作パネルに配置されているスタートキーを押すと、製
版スタート信号が生成され、これが製版および給版のた
めの動作フローのトリガとなる。後の実施形態で詳述す
るように排版動作が終了間近になると、版胴2は、クラ
ンパ4が図9において略右横位置に位置する給版位置で
停止する。版胴2が給版位置に停止すると、図示しない
開閉装置が作動してクランパ4が拡開されることによ
り、版胴2は給版待機状態となると共に、排版工程が終
了する。
【0005】一方、製版スタート信号生成直後の製版装
置200では、後の実施形態で詳述するプラテン圧解除
機構に配設されているプラテン圧解除モータ(図示せ
ず)がオンして回転することにより、プラテンローラ2
7とサーマルヘッド26との間のマスタ22にプラテン
圧が印加される。この後、プラテンローラ27、テンシ
ョンローラ対37および反転ローラ対38を図示しない
回転伝達手段および電磁クラッチ等を介して回転駆動す
るマスタ搬送モータ32がオンすると共に、後述する反
転ローラ用電磁クラッチを所定時間オンすることによ
り、プラテンローラ27、テンションローラ対37、反
転ローラ対38を全て回転させてマスタ22のたるみを
取り除く動作が行われる。
【0006】一方、後の実施形態で詳述する原稿73の
画像読み取り動作と並行して、製版動作が自動的に並行
して進行する。すなわち、デジタルの画像信号に応じ
て、サーマルヘッド26の発熱素子が選択的に発熱さ
れ、プラテンローラ27に対してサーマルヘッド26で
押圧されるマスタ22の熱可塑性樹脂フィルムの部分が
選択的に加熱溶融されて穿孔されつつ、マスタ搬送モー
タ32がオン駆動されることにより、プラテンローラ2
7が時計回り方向に回転され、これによりマスタ22が
マスタロール22Aから引き出され、マスタ搬送方向X
およびマスタ22をマスタ搬送方向Xに通すためのマス
タ搬送経路MRの下流側へと搬送される。これと同時的
に、テンションローラ対37が同じ時計回り方向に回転
されることにより、穿孔製版された製版済みのマスタ2
2がマスタ搬送経路MRの下流側へ搬送される。このと
き、前記反転ローラ用電磁クラッチは、オフされたまま
であり、マスタ搬送モータ32の回転駆動力は反転ロー
ラ対38には伝達されない。
【0007】これと同時に、吸引ファンモータ34Mが
オンして、吸引ファン34が回転されることにより、製
版済みのマスタ22は、吸引ファン34の回転によりた
わみボックス31の形状に沿って生じる図において右向
きの空気流(吸引エア)によって、図9に二点鎖線で示
すようなたわみを形成されながら図9に示す開口31a
から垂れ下がるようにして、たわみボックス31内へと
導かれ、折り返しを受けつつ、たわみボックス31内に
貯留されていく。
【0008】マスタ搬送モータ32の所定ステップ数の
駆動により、製版済みのマスタ22がたわみボックス3
1内に所定量貯留されると、前記反転ローラ用電磁クラ
ッチがオンして、マスタ搬送モータ32の回転駆動力が
前記回転伝達手段を介して反転ローラ対38に伝達さ
れ、反転ローラ対38が回転されることによって、製版
済みのマスタ22の先端部は第2ガイド板29に案内さ
れつつ拡開されたクランパ4へと搬送される。マスタ搬
送モータ32の所定ステップ数のオン作動により、製版
済みのマスタ22の先端部がクランパ4へ届いたと判断
された時点で、前記反転ローラ用電磁クラッチがオフし
て、反転ローラ対38の作動が停止すると同時に、前記
開閉装置が作動してクランパ4が閉じられることによ
り、製版済みのマスタ22の先端部がクランパ4で挟持
・係止される。
【0009】このクランプ動作が終了すると、版胴2は
図11中矢印で示す時計回り方向に回転されると共に、
この版胴2の回転力により反転ローラ対38が連れ回り
され、たわみボックス31内に貯留されていた製版済み
のマスタ22が引き出されつつ、版胴2の外周面上に巻
装されていくこととなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の製版装置200におけるマスタ搬送方式
では、新しいマスタロール22Aの初期セット時やマス
タ22の先端を初期状態(製版待機状態)とするとき
に、図10に示すように、マスタロール22Aに巻かれ
たマスタ22の巻きぐせによって、マスタ22先端部に
強いカール22Cを生じることがある。
【0011】特に、例えば熱可塑性樹脂フィルムと細い
合成繊維が100%で形成されたベースとを有するマス
タ22、すなわち実質的に合成繊維のみからなる多孔質
支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを有するマスタ22を
用いてロール状に形成したマスタロール22Aを、長期
間装置の休止状態で、あるいは長期間高温状態等で保存
されたような状態で使用する場合には、マスタ22の巻
きぐせによって繰り出されるマスタ22の先端部に強い
カール22Cを生じる。
【0012】図9に示すように、マスタ22先端部のカ
ール22Cが強い(きつい)場合、マスタ22の先端が
実線で示すように丸みを帯びてしまうことで反転ローラ
対38のニップ部に届かず、マスタ搬送ミス・ジャムに
なってしまうという問題点があった。この問題点は、テ
ンションローラ対37から反転ローラ対38までのマス
タ搬送距離が比較的長い場合に多く発生することが分か
っている。上述した問題点に関して、図9および図11
では、熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」
というときがある)面が内側の状態でロール状に巻かれ
た、いわゆるフィルム面内巻きのマスタロール22Aで
発生すると説明したが、フィルム面が外側の状態でロー
ル状に巻かれた、いわゆるフィルム面外巻きのマスタロ
ールでも、マスタの巻きぐせによって同様に発生するこ
とが分かっている。なお、図9において、マスタ搬送経
路MR上に二点鎖線で示すマスタ22は、マスタ22の
先端を初期状態とするときの正常なマスタ搬送状態を示
している。
【0013】一方、製版済みのマスタ22をたわみボッ
クス31に貯める場合、図10に示すように製版済みの
マスタ22を最初に貯め始める貯留開始時に、マスタ2
2先端部に生じたカール22Cにより、製版済みのマス
タ22が実線で示すようにたわみボックス31の入口側
に引き込まれる方向ではなく、逆U字状に上方向に浮き
上がって大きなたわみを生じてしまい、吸引ファンによ
る吸引力にも拘わらずたわみボックス31内へと吸引で
きずにジャム等のマスタ搬送不良が発生し、これにより
製版動作の中断をしなければならないという問題点があ
った。
【0014】また特に、たわみボックス31等を有する
製版装置200では、製版済みのマスタ22が、ゴムや
樹脂等で形成されているプラテンローラ27やテンショ
ンローラ対37の回転搬送中の摩擦等に伴い発生する静
電気により帯電し、その静電気によってマスタ22がた
わみボックス31内の壁面に貼り付いたり、マスタ同士
が貼り付いたりしてしまうことで、ジャム等のマスタ搬
送不良が発生してしまい、これにより製版動作の中断を
しなければならないという問題点があった。なお、図1
0において、たわみボックス31内を含むマスタ搬送経
路MR上に二点鎖線で示すマスタ22は、製版済みのマ
スタ22が正常な状態でたわみボックス31に貯留され
ている様子を示している。
【0015】図10に示した問題点に関して、図10お
よび図11では、いわゆるフィルム面内巻きのマスタロ
ール22Aで、かつ、マスタ貯留手段30のたわみボッ
クス31の開口31aがマスタ搬送経路MRの下方に位
置する場合に発生する。そこで、フィルム面内巻きのマ
スタロールに固定した状態で、マスタ貯留手段の配置位
置の違い、すなわちマスタ貯留手段がマスタ搬送経路M
Rの下方または上方にレイアウトされている場合と、マ
スタロールのマスタの巻きぐせによるカールの方向が異
なる場合とを組み合わせた製版装置の構成例で、図9に
示した問題点と図10に示した問題点がどのようになる
のかを考察してみる。
【0016】図10に示した問題点に関して、例えばマ
スタ貯留手段30のたわみボックス31の開口31aが
図10に示されているものと同じで、マスタロールのマ
スタの巻きぐせによるカールの方向が図10に示されて
いるものと反対のマスタの繰り出し状態の場合では、マ
スタロールからのマスタの繰り出し方向がマスタロール
の下側になると共に、図10におけるサーマルヘッド2
6とプラテンローラ27との上下関係位置が逆の状態に
なる。この状態では、マスタ先端部のカールの方向がた
わみボックスの入口側に引き込まれる方向である、U字
状に下方にたわんだ状態となるので、図10に示したよ
うな問題点は発生しなくなる。
【0017】また、例えばマスタ貯留手段30のたわみ
ボックス31の開口31aが例えばマスタ貯留手段のた
わみボックスのレイアウトの都合から、図10に示され
ているものと反対で、マスタ貯留手段のたわみボックス
をマスタ搬送経路MRの上方に位置するように構成した
製版装置の場合では、マスタの巻きぐせによって生じる
カールがたわみボックスの入口側に引き込まれる方向で
ある、逆U字状に上方にたわんだ状態となるので、図1
0に示したような問題点は発生しなくなる。
【0018】一方、例えばマスタ貯留手段30のたわみ
ボックス31の開口31aが図10に示されているもの
と反対で、マスタ貯留手段のたわみボックスをマスタ搬
送経路MRの上方に位置するように構成した場合であっ
て、マスタロールのマスタの巻きぐせによるカールの方
向が図10に示されているものと反対のマスタの繰り出
し状態の場合では、マスタロールからのマスタの繰り出
し方向がマスタロールの下側になると共に、図10にお
けるサーマルヘッド26とプラテンローラ27との上下
関係位置が逆の状態になる。この状態では、マスタ先端
部のカールの方向がたわみボックスの入口側に引き込ま
れない方向である、U字状に下方にたわんだ状態となる
ので、図10に示したと同様の問題点が発生する。上述
した各場合の組み合わせに、さらにフィルム面外巻きの
マスタロールを使用する場合を考えてみると、様々な組
み合わせ例のあることが分かる。何れにしても、図9に
示したような問題点は、マスタ貯留手段の配置位置の違
い、マスタロールのマスタの巻きぐせによるカールの方
向のちがい、およびフィルム面内巻き・外巻きの違いの
如何に拘わらず発生することが分かった。また、図10
に示したような問題点は、マスタ貯留手段の配置位置の
違い、マスタロールのマスタの巻きぐせによるカールの
方向のちがい、およびフィルム面内巻き・外巻きの違い
等によって発生したり、発生しなかったりすることが分
かった。
【0019】したがって、本発明は上述した事情に鑑み
てなされたものであり、その第1の目的は、上述したよ
うな製版装置およびその製版装置を備えた製版印刷装置
におけるマスタセット時等において、マスタの先端部が
マスタの巻きぐせ等によりカールを含むマスタの浮き上
がりを生じていても、マスタを安定して搬送してセット
することができ、カールを含むマスタの浮き上がりの形
成状態に拘わらず、マスタ搬送ミス・ジャム等の低減を
図れる製版装置および製版印刷装置を提供することにあ
る。第2の目的は、製版時に、特にたわみボックスに製
版済みのマスタを貯める時に、マスタの先端部がマスタ
の巻きぐせ等によりカールのきついときでも、そのカー
ルを規制し防止することにより、マスタを安定して搬送
・貯留できる製版装置および製版印刷装置を提供するこ
とにある。第3の目的は、製版時に、特にたわみボック
スに製版済みのマスタを貯める時に、製版済みのマスタ
の静電気を除電して、マスタ貯留手段の例えばたわみボ
ックス内の壁面に貼り付いたり、マスタ同士が貼り付い
たりしてしまうことを防止して、マスタを安定して搬送
・貯留できる製版装置および製版印刷装置を提供するこ
とにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
と共に上述した目的を達成するために、各請求項毎の発
明では以下の特徴ある構成を採っている。請求項1記載
の発明は、マスタを製版する製版手段と、未製版のマス
タまたは前記製版手段により製版されたマスタを搬送す
るマスタ搬送手段と、前記未製版のマスタまたは前記製
版されたマスタをマスタ搬送方向に通すためのマスタ搬
送経路とを具備する製版装置において、マスタの浮き上
がりを防止するマスタ浮き上がり防止手段を前記マスタ
搬送経路上に設けたことを特徴とする。ここで、マスタ
の浮き上がりが、マスタ貯容手段によりマスタロールか
らマスタを繰り出し可能に貯容されたマスタロールに巻
かれたマスタの巻きぐせによるものであることが圧倒的
に多い事実に着目して、以下の解決手段を創作した(請
求項2参照)。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の製版装置において、前記マスタ搬送手段が、前記
マスタ搬送経路の下流側に配置されたマスタ搬送部材で
あり、前記マスタ浮き上がり防止手段を、前記マスタ搬
送部材における前記マスタ搬送経路の入口側近傍に設け
たことを特徴とする。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載の製版装置において、製版済みのマスタを貯留する
ためのマスタ貯留手段を有し、前記マスタ浮き上がり防
止手段を、前記製版手段と前記マスタ貯留手段との間の
前記マスタ搬送経路上に設けたことを特徴とする。
【0023】請求項5記載の発明は、請求項1ないし4
の何れか一つに記載の製版装置において、前記マスタ浮
き上がり防止手段が、前記マスタ搬送経路との間で前記
マスタの浮き上がりを規制する規制板であることを特徴
とする。規制板は、未製版のマスタまたは製版されたマ
スタに帯電している静電気を除電する上から導電性を有
する金属等の導電材料で形成することが好ましい。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項5記載の製
版装置において、前記規制板が、前記未製版のマスタま
たは前記製版されたマスタと接触可能な除電部材を有す
ることを特徴とする。
【0025】請求項7記載の発明は、請求項6記載の製
版装置において、前記除電部材が、導電性の繊維または
繊維束を編んだ除電布の両端部に貼着部材を付加したも
のであることを特徴とする。
【0026】請求項8記載の発明は、請求項7記載の製
版装置において、前記両端部における前記繊維または前
記繊維束の開放端が、前記貼着部材の付加範囲から突出
しない程度に前記貼着部材で貼着されていることを特徴
とする。
【0027】請求項9記載の発明は、請求項7または8
記載の製版装置において、前記貼着部材が、両面接着テ
ープであることを特徴とする。
【0028】請求項10記載の発明は、請求項1ないし
4の何れか一つに記載の製版装置において、前記マスタ
浮き上がり防止手段が、回転駆動されるローラであり、
このローラを回転駆動するローラ駆動手段を有すること
を特徴とする。
【0029】請求項11記載の発明は、請求項10記載
の製版装置において、前記ローラが、導電性ローラであ
ることを特徴とする。
【0030】請求項12記載の発明は、請求項10記載
の製版装置において、前記ローラが、導電性ブラシロー
ラであることを特徴とする。
【0031】請求項13記載の発明は、請求項1ないし
12の何れか一つに記載の製版装置において、前記マス
タは、熱可塑性樹脂フィルムと実質的に合成繊維のみか
らなる支持体とを有することを特徴とする。
【0032】請求項14記載の発明は、請求項1ないし
13の何れか一つに記載の製版装置と、この製版装置に
より製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、こ
の版胴上のマスタにインキを供給するインキ供給手段と
を具備し、上記版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けて
印刷用紙に印刷を行うことを特徴とする製版印刷装置で
ある。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して実施例を含む
本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)
を説明する。図9ないし図11に示した従来の技術例や
実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部
材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付す
ことによりその説明を省略する。図において一対で構成
されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素
は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載す
ることでその説明に代えるものとする。また、図および
説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素で
あっても、その図において特別に説明する必要がない構
成要素は適宜断わりなく省略することがある。各図に示
されている構成要素を説明するに当たっては、図の左側
を前側と、図の右側を後側と説明するときがある。
【0034】まず、図11を参照して、本発明に係る実
施形態が適用される製版装置を備えた製版印刷装置とし
ての感熱デジタル式の孔版印刷装置の要部構成について
説明する。図11は、本発明に係る実施形態が適用され
る製版装置200を備えた感熱デジタル式の孔版印刷装
置1の概略構成を示している。
【0035】孔版印刷装置1は、自身の骨組みをなす本
体フレーム1Fの上方に配設され、1枚もしくは複数枚
の原稿73をスキャナ部76の定位置へ順次自動移送す
るADF(自動原稿送り装置)部71およびコンタクト
ガラス74の下方に配置されADF部71から移送され
る原稿73の画像を読み取るスキャナ部76を備えた原
稿読取装置70と、この原稿読取装置70の下方の本体
フレーム1Fの一側部に配置されマスタ22がロール状
に巻かれたマスタロール22Aから繰り出されるマスタ
22を穿孔製版し搬送する製版装置200と、本体フレ
ーム1Fの略中央部に配置され穿孔製版された製版済み
のマスタ22を外周面に巻装する版胴2、およびこの版
胴2の下方に配置され給送されて来た印刷用紙Sの先端
部を挾持・保持する保持手段としての紙くわえクランパ
9Bを備え、版胴2の外周面上のマスタ22に印刷用紙
Sを押し付ける圧胴9を有する印圧装置13と、製版装
置200の下方に配置され給紙トレイ41上に積載され
た印刷用紙Sを印圧装置13の紙くわえクランパ9Bへ
向けて送出する給紙装置40と、この給紙装置40に対
向する本体フレーム1Fの下方に配置され印圧装置13
で押圧され印刷された印刷済みの印刷用紙Sを排紙トレ
イ61に排出する排紙装置60と、この排紙装置60と
原稿読取装置70との間に配置され版胴2の外周面上か
ら使用済みのマスタ22を剥ぎ取り排版ボックス54内
へ排出する排版装置50とを具備している。
【0036】孔版印刷装置1は、本願出願人が提案した
特開平10−181177号公報の従来の技術例に記載
されている構成と略同様であり、これに前後して提案し
た一連の公知の構成(特開平9−226088号公報の
図2および図3等、特開平11−91227号公報の図
1等)を付加したものであり、前記した原稿読取装置7
0、製版装置200、印圧装置13、給紙装置40、排
紙装置60および排版装置50は何れも公知の構成であ
るため、本願発明の対象とする製版装置200および印
圧装置13の一部についてのみ詳述し、他の構成につい
ては動作の説明時に適宜補充説明することをもってこれ
に代える。
【0037】製版装置200は、マスタ22がロール状
に巻かれて形成されたマスタロール22Aからマスタ2
2を繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマ
スタ支持部材23と、マスタ支持部材23の下流側に配
設され、マスタロール22Aから繰り出されるマスタ2
2に画像信号に応じて選択的に感熱製版する製版手段と
してのサーマルヘッド26と、このサーマルヘッド26
にマスタ22を相対的に押し付けながら回転し未製版の
マスタ22または製版済みのマスタ22を搬送するマス
タ搬送手段としてのプラテンローラ27と、サーマルヘ
ッド26をプラテンローラ27に接離させる接離手段と
してのプラテン圧解除機構(図示せず)と、マスタ搬送
方向Xにおけるプラテンローラ27の下流側に配設さ
れ、未製版のマスタ22または製版済みのマスタ22を
搬送するマスタ搬送手段としての上下一対のテンション
ローラ37,37(以下、「テンションローラ対37」
と略称する)と、マスタ搬送方向Xにおけるテンション
ローラ対37の下流側に配設され、未製版のマスタ22
または製版済みのマスタ22を切断するカッタ36と、
テンションローラ対37とカッタ36との間のマスタ搬
送経路MRに配設された第1ガイド板28と、マスタ搬
送方向Xにおけるカッタ36の下流側に配設され未製版
のマスタ22または製版済みのマスタ22を搬送するマ
スタ搬送手段としての上下一対の反転ローラ38,38
(以下、「反転ローラ対38」と略称する)と、テンシ
ョンローラ対37と反転ローラ対38との間のマスタ搬
送経路MRの下方に配設され、製版済みのマスタ22を
貯留するためのマスタ貯留手段30と、マスタ搬送方向
Xにおける反転ローラ対38の下流側に配設された第2
ガイド板29とを具備している。プラテンローラ27、
テンションローラ対37、反転ローラ対38は、マスタ
搬送経路MRにおいて、マスタ搬送方向Xの上流側から
下流側へとこの順に配設されたマスタ搬送部材としての
機能・構成を有する。
【0038】マスタロール22Aの中心部には、マスタ
22の幅よりもやや長い寸法に形成され、マスタロール
22Aの両端面より外側に突出した面をなすパイプ状の
芯管22Bが設けられていて、マスタロール22Aは、
芯管22Bの周りにマスタ22を巻き付けられて形成さ
れている。マスタロール22Aには、例えば250〜3
00版に相当するシート状のマスタ22が巻装されてい
て、マスタロール22Aは複数版のマスタ22を供給し
てその製版を可能とすべく構成されている。マスタ22
は、熱可塑性樹脂フィルムと実質的に合成繊維のみから
なる多孔質支持体とを有して構成されている。マスタ2
2は、実施例的に言うと、例えば本願出願人が提案した
特開平11−77949号公報の図3および図4に記載
されているような合成繊維ベースマスタ2を用いてい
る。すなわち、マスタ22は、例えばポリエチレンテレ
フタレート(PET)系の細い合成繊維が100%入っ
ているベース(多孔質支持体)と、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)系の厚さが1.5μmの熱可塑性樹
脂フィルムとを貼り合わせた厚さが25〜30μmのい
わゆる合成繊維ベースマスタ22(以下、単に「マスタ
22」というときがある)を用いている。ベースにおけ
るポリエチレンテレフタレート系の糸の径は、4〜14
μm(線密度で0.1d〜1.1d、d:デニール)の
範囲のものを用い、かつ、均一な太さでできており、ベ
ースはポリエチレンテレフタレート系の細い糸が縦方向
および横方向に丁度織り合わされるようにして形成され
ている。合成繊維をベースとしたマスタ22は、ベース
として和紙等を用いた従来のマスタと比較して、代表特
性としてタテ/ヨコの曲げ剛性(剛度とも言われてい
る)において、数倍その値が低く、いわゆる腰が弱くな
っていると共に、静電気も帯びやすくなっている。それ
故に、合成繊維をベースとしたマスタ22を用いてロー
ル状に形成したマスタロール22Aを、特に長期間装置
の休止状態で、あるいは長期間高温状態等で保存された
ような状態で使用する場合には、マスタ22の巻きぐせ
によって繰り出されるマスタ22の先端部に強いカール
22Cや小さい丸みを生じることが多い。
【0039】なお、マスタ22は、前記したものに限ら
ず、従来の和紙等をベースとしたマスタのベースの厚さ
を薄くしたマスタや、例えば厚さが1〜7μmの、実質
的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタであって
もよく、また合成樹脂フィルムに溶融した樹脂を塗布し
て合成樹脂フィルムに樹脂膜を一体的に形成したような
マスタも使用することができる。また、マスタロールと
しては、いわゆるフィルム面内巻きの他に、フィルム面
外巻きのものを使用できることは言うまでもない。
【0040】マスタ支持部材23は、芯管22Bの両端
部を着脱自在、かつ、回転可能に支持するように、製版
装置200におけるマスタ搬送経路MRの左右両側(図
11における紙面の手前側および奥側)に配設されてい
る図示しない製版側板対に設けられている。
【0041】サーマルヘッド26は、プラテンローラ2
7の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された複
数の発熱素子を有し、図示しないA/D変換部、図示し
ない製版制御部等で処理されて送出されるデジタルの原
稿画像信号に基づき、その発熱素子に対する選択的な通
電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることによ
り発熱位置に対応するマスタ22の箇所を加熱溶融させ
て穿孔する周知の機能を有する。サーマルヘッド26
は、接離手段としての前記プラテン圧解除機構によりプ
ラテンローラ27に対して接離可能に設けられている。
前記プラテン圧解除機構は、例えば、本願出願人が提案
した特開平10−157052号公報の図1ないし図7
に示されている接離手段28と同様の構成を具備してい
る。
【0042】サーマルヘッド26の上面には、サーマル
ヘッド26を駆動するサーマルヘッド駆動回路等が配設
されている基板部を保護すると共に、搬送されてくるマ
スタ22を案内するマスタ案内部材の機能も有するガイ
ド板26Aが取り付けられている。このガイド板26A
は、静電気発生予防(帯電防止)のために、プレス等で
導電性の板金を成形・切断して形成されている。
【0043】プラテンローラ27は、ローラ軸の外周部
に一体的に形成されていて、前記ローラ軸を介して前記
製版側板対に回転自在に支持されている。プラテンロー
ラ27は、前記ローラ軸に配設されたプーリ、マスタ搬
送モータ32側に設けられた駆動プーリおよびこれらの
プーリと駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベ
ルト(図示せず)等を介して連結されたマスタ搬送モー
タ32(特開平10−181177号公報ではプラテン
モータ27Mに相当する)で回転され、マスタ22をサ
ーマルヘッド26に押圧しつつマスタ搬送方向Xの下流
側へ搬送する。マスタ搬送モータ32は、例えばステッ
ピングモータからなる。
【0044】テンションローラ対37(特開平10−1
81177号公報では第1搬送ローラ対37に相当す
る)は、その上部のローラが駆動ローラ、下部のローラ
が従動ローラでそれぞれ構成されていて、前記上部の駆
動ローラはプーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等
の回転伝達手段を介してマスタ搬送モータ32に連結さ
れている。テンションローラ対37のうちの下部の従動
ローラは、前記プラテン圧解除機構に組み込まれてい
て、前記プラテン圧解除機構の動作と同様に、上部の駆
動ローラに対して接離自在になされている。
【0045】カッタ36は、図示しないカッタモータに
ワイヤ及びワイヤプーリ等を介して連結され、前記カッ
タモータの回転駆動によってマスタ22の幅方向に回転
移動される周知の回転刃で構成されている。第1ガイド
板28は、上述したと同様の静電気発生予防(帯電防
止)のために、プレス等で導電性の板金を成形・切断し
て形成されている。第1ガイド板28は、そのマスタ搬
送経路MRの下流端がカッタ36の固定刃となってい
る。カッタ36は、その非作動時において、マスタ22
の搬送に支障を与えないようにマスタ搬送経路MRの片
側端に待機していて、ここがカッタ36のホームポジシ
ョンとなっている。なお、カッタ36および第1ガイド
板28の配置位置は、特開平10−181177号公報
の図1等に示されているカッタ36および第1ガイド板
28の配置位置からマスタ搬送経路MRの下流側へ少し
ずらしている。マスタ搬送経路MRの片側端には、カッ
タ36のホームポジションを検知するためのカッタホー
ムポジション検知センサ(図示せず)が配設されてい
る。なお、カッタ36は、これに限らず、いわゆるギロ
チンタイプのものも使用される。
【0046】反転ローラ対38(特開平10−1811
77号公報では第2搬送ローラ対38に相当する)は、
その上部のローラが駆動ローラ、下部のローラが従動ロ
ーラでそれぞれ構成されていて、前記上部の駆動ローラ
は図示しない反転ローラ用電磁クラッチ(特開平10−
181177号公報では第2電磁クラッチ38Cに相当
する)、プーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の
回転伝達手段を介してマスタ搬送モータ32に連結され
ている。前記反転ローラ用電磁クラッチは、反転ローラ
対38に対してマスタ搬送モータ32の回転駆動力の伝
達を断続させる機能を有する。なお、前記反転ローラ用
電磁クラッチを除去しこれに代えて、反転ローラ対38
をマスタ搬送モータ32とは別の独立したステッピング
モータで駆動するようにしてもよく、このような構成も
周知である。また、反転ローラ対38および版胴2のク
ランパ4等は、版胴2に製版済みのマスタ22を給版す
る給版装置として捉えることもできる。
【0047】マスタ貯留手段30は、たわみボックス3
1、ガイド搬送板35、図示しない搬送板ソレノイド、
吸引ファン34および吸引ファンモータ34Mから主に
構成されている。マスタ貯留手段30は、製版済みのマ
スタ22にたわみを形成すると共に、そのたわみを一時
的に貯留する機能を有する。たわみボックス31は、上
述したと同様の静電気発生予防(帯電防止)のために導
電性の板金でできていて、マスタ搬送経路MRの下流側
に略L字型に折り曲げられて形成されている。たわみボ
ックス31は、製版済みのマスタ22にたわみを形成し
ながら製版済みのマスタ22を順次貯留する機能を有す
る。
【0048】ガイド搬送板35は、図9および図10を
借りて説明すると、図10および図11に実線で示すよ
うにマスタ搬送経路MRの直下方に位置するガイド搬送
位置と、図9に実線で、図10に二点鎖線で示すように
ガイド搬送位置から可動して下側の反転ローラ対38の
下方に直立して位置するたわみ形成位置との間で揺動自
在となっている。ガイド搬送板35がたわみ形成位置を
占めたとき、たわみボックス31の上方が開放されて、
たわみボックス31の上方には、図9および図10を借
りて説明すると、製版済みのマスタ22を導入するため
の開口31aが形成される。
【0049】ガイド搬送板35の駆動機構は、例えば、
本願出願人が提案した特開平10−202996号公報
の図12に示されているガイド板駆動機構130と同様
の構成のものを用いていて、前記搬送板ソレノイドは同
公報の図12に示されているソレノイド131に相当す
る。ガイド搬送板35は、製版動作終了後のマスタ切断
後に、前記搬送板ソレノイドが通電励磁(オン)される
ことにより、同公報の詳細動作を介して、ガイド搬送板
35が図9および図11に示すように、たわみ形成位置
から上昇されてガイド搬送位置を占めることとなり、こ
れによって、マスタ22の先端を開口31aからたわみ
ボックス31内へと落ち込ませることなく、マスタ22
の先端が図1および図11に示す給版待機位置まで搬送
されるようにガイドするようになっている。また、マス
タ22の先端が反転ローラ対38のニップ部で挾持され
前記給版待機位置に達した後、ガイド搬送板35は、前
記搬送板ソレノイドへの通電がオフされることにより、
ガイド搬送板35の自重および同公報の詳細動作を介し
て、ガイド搬送板35は下降してたわみ形成位置を再び
占めるようになっている。マスタ貯留手段30の動作
は、以下簡単に述べるに留める。
【0050】マスタ搬送経路MRの下流側に位置するた
わみボックス31の奥側には、図9および図10を借り
て説明すると、スリットや網目状の小孔等からなる吸引
口31bおよび排気口31cが設けられている。これら
の吸引口31bと排気口31cとの間のたわみボックス
31端部には、吸引ファンモータ34Mにより回転され
る吸引ファン34が配置されている。この吸引ファンモ
ータ34Mの回転駆動により、吸引ファン34が回転さ
れて、図において左側から右側へと流れる空気流(吸引
エア)が生じ、製版済みのマスタ22に徐々にたわみが
形成されるようになっている。
【0051】第2ガイド板29は、上述したと同様の静
電気発生予防(帯電防止)のために、プレス等で導電性
の板金を成形・切断して形成されている。第2ガイド板
29は、マスタ22の先端の向きを変えて図において略
鉛直下方にマスタ22を案内する機能を有する。反転ロ
ーラ対38によるマスタ搬送速度は、プラテンローラ2
7によるマスタ搬送速度よりもわずかに速くなるように
予め設定されている。第1ガイド板28、たわみボック
ス31および第2ガイド板29は、図11に示す本体フ
レーム1F側に電気的に接地(アース)されている。
【0052】印圧装置13は、図11に示すように、多
孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された複数層の
メッシュスクリーン(図示せず)と、自身の外周部の一
母線に沿って配設されているクランパ4等とを有し、支
軸3の周りに回転可能に支持されている版胴2、この版
胴2の周速度と同じ周速度で、かつ、版胴2と所定の同
期をとって回転される押圧手段としての構成・機能を有
する圧胴9および版胴2の内部に配設され版胴2上のマ
スタ22にインキを供給するインキ供給手段としてのイ
ンキ供給装置5等を有する。押圧手段としては、プレス
ローラも用いられる。
【0053】次に、孔版印刷装置1の動作について、適
宜、図9および図10を借りながら図11を参照して簡
単に説明する。なお、ここでは、従来装置の有する問題
点について図9ないし図11を参照して上述してあるの
で、未製版のマスタ22や製版済みのマスタ22が正常
に搬送され、マスタ貯留手段30で正常に貯留される場
合だけを説明する。オペレータが図示しない電源スイッ
チを押して電源オン状態にする操作に前後して、必要に
応じて、マスタロール22Aの着脱操作や動作が行われ
る。孔版印刷装置1の初期状態を図11に示す。図11
に示されているように、製版装置200では、マスタロ
ール22Aから繰り出されたマスタ22の先端は反転ロ
ーラ対38のニップ部に挾持されている給版待機位置
を、版胴2および圧胴9はホームポジションをそれぞれ
占めている状態に設定される。図11の初期状態におい
て、オペレータは原稿読取装置70の原稿載置台上に複
数枚の原稿73を載置・セットすると共に、給紙トレイ
41上において印刷用紙Sが足りない場合や無い場合に
は印刷用紙Sを適宜補充・セットする。
【0054】次いで、製版・印刷開始のための操作が行
われる。オペレータが図示しない操作パネルに配置され
ているスタートキーを押すと、製版スタート信号がメイ
ン制御装置(図示せず)に送信される。これにより、排
版、原稿の画像読み取り、製版、給版、版付け印刷、排
紙、版付け後空回転に亘る一連の動作が行われる。前記
スタートキーの押下による製版スタート信号が以降の動
作フローのトリガとなる。オペレータによるマニュアル
操作は前記スタートキーを押すまでであり、以降の版付
けまでの動作は自動で行われる。ここでは、版胴2内に
配設されているインキ供給手段としてのインキ供給装置
5によりインキがインキ溜まり8の形成部に供給されて
適度なインキ溜まり8が形成されると共に、給紙装置4
0に配置されていて印刷用紙Sを積載して昇降可能な給
紙トレイ41を昇降駆動するための昇降モータ(図示せ
ず)がオン駆動されて、所定の給紙圧・分離圧等がセッ
トされた状態となる。このとき、製版装置200のガイ
ド搬送板35はたわみ形成位置を占めている。
【0055】先ず、その外周面に前版の使用済みのマス
タ22を巻装している版胴2は、時計回り方向に回転を
開始し、図示しない版胴2の位置を検知するセンサから
の信号に基づき、版胴2が排版位置で停止され、クラン
パ4を開閉するために本体フレーム1F側に設けられた
図示しない開閉装置の作動によりクランパ4が拡開され
る。排版装置50における排版剥離ローラ51が版胴2
の外周面に近接することにより使用済みのマスタ22を
剥離できる剥離位置を占めると同時に、排版剥離ローラ
51を回転駆動する排版モータ(図示せず)がオンし、
これにより、排版剥離ローラ51は回転されつつ、クラ
ンパ4で係止されていた使用済みのマスタ22の先端部
に対応する版胴2の外周面に押し付けられることで、使
用済みのマスタの先端部22が排版剥離ローラ51によ
り版胴2の外周面からすくい上げられて剥離される。
【0056】この直後、排版剥離ローラ51は再び元の
離間位置に戻され、排版ローラ53と共に回転自在に保
持されると同時に、クランパ4が閉じられる。クランパ
4が閉じられた後、版胴2が時計回り方向に回転される
ことで、排版動作が始まり、使用済みのマスタ22が版
胴2の外周面より剥離されつつ搬送され、排版ボックス
54の内部に廃棄されていく。一版分の全ての使用済み
のマスタ22が排版ボックス54の内部に廃棄される
と、版胴2はさらに回転し、クランパ4が図11におい
て略右横位置に位置する給版位置で停止する。版胴2が
給版位置に停止すると、前記開閉装置が作動してクラン
パ4を時計回り方向に所定角度回動させることにより、
版胴2は給版待機状態となると共に、排版工程が完了す
る。
【0057】一方、製版スタート信号生成直後の製版装
置200では、プラテン圧解除機構に配設されているプ
ラテン圧解除モータ(図示せず)がオンして回転するこ
とにより、プラテンローラ27とサーマルヘッド26と
の間のマスタ22にプラテン圧が印加される。この後、
マスタ搬送モータ32をオンすると共に、前記反転ロー
ラ用電磁クラッチを所定時間オンすることにより、プラ
テンローラ27、テンションローラ対37、反転ローラ
対38を全て回転させてマスタ22のたるみを取り除く
動作が行われる。
【0058】次いで、上述した排版動作が開始するのと
同時に、これと並行して原稿読取装置70および製版装
置200で原稿73の画像読み取り動作および製版(書
き込み)動作が開始する。原稿載置台上にセットされた
複数枚の原稿73の内の最下位の原稿73がコンタクト
ガラス74上の所定位置に自動搬送され、原稿73の画
像が原稿走査用光学系で読み取られ、CCD等からなる
画像センサにより光電変換されたアナログの画像信号が
A/D変換部に入力される。画像が読み取られた原稿7
3は、原稿排紙台上へ排出される。前記A/D変換部に
入力されたアナログの画像信号は、デジタルの画像信号
に変換され、そのデジタルの画像信号は画像信号処理部
(図示せず)を経由してサーマルヘッド26の前記サー
マルヘッド駆動回路等を制御する製版制御部に送信され
る。
【0059】一方、原稿73の画像読み取り動作と並行
して、製版動作が自動的に並行して進行する。すなわ
ち、デジタルの画像信号に応じて、サーマルヘッド26
の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ27に
対してサーマルヘッド26で押圧されるマスタ22の熱
可塑性樹脂フィルムの部分が選択的に加熱溶融されて穿
孔されつつ、マスタ搬送モータ32がオン駆動されるこ
とにより、プラテンローラ27が借用した図10におい
て時計回り方向に回転され、これによりマスタ22がマ
スタロール22Aから引き出され、マスタ搬送方向Xお
よびマスタ搬送経路MRの下流側へと搬送される。これ
と同時的に、テンションローラ対37が同じ時計回り方
向に回転されることにより、穿孔製版された製版済みの
マスタ22がマスタ搬送経路MRの下流側へ搬送され
る。一方、前記反転ローラ用電磁クラッチは、オフされ
たままであり、マスタ搬送モータ32の回転駆動力は反
転ローラ対38には伝達されていない。
【0060】これと同時に、吸引ファンモータ34Mが
オンして、吸引ファン34が回転されることにより、製
版済みのマスタ22は、吸引ファン34の回転によりた
わみボックス31の形状に沿って生じる図において右向
きの空気流(吸引エア)によって、二点鎖線で示すよう
にたわみを形成されながら開口31aから垂れ下がるよ
うにして、たわみボックス31内へと導かれ、製版済み
のマスタ22がたわみボックス31内に貯留されてい
く。
【0061】マスタ搬送モータ32の所定ステップ数の
駆動により、製版済みのマスタ22がたわみボックス3
1内に所定量貯留されたと前記メイン制御装置で判断さ
れると、前記反転ローラ用電磁クラッチがオンして、マ
スタ搬送モータ32の回転駆動力が前記回転伝達手段を
介して反転ローラ対38に伝達され、反転ローラ対38
が回転されることによって、製版済みのマスタ22の先
端部は第2ガイド板29に案内されつつ拡開されたクラ
ンパ4へと搬送される。マスタ搬送モータ32の所定ス
テップ数のオン作動により、製版済みのマスタ22の先
端部がクランパ4へ届いたと判断された時点で、前記反
転ローラ用電磁クラッチがオフして、反転ローラ対38
の作動が停止すると同時に、前記開閉装置が作動してク
ランパ4が閉じられることにより、製版済みのマスタ2
2の先端部がクランパ4で挟持・係止される。
【0062】このクランプ動作が終了すると、版胴2は
図11中矢印で示す時計回り方向に回転されると共に、
この版胴2の回転力により反転ローラ対38が連れ回り
され、たわみボックス31内に貯留されていた製版済み
のマスタ22が引き出されつつ、版胴2の外周面上に巻
装されていく。このとき、版胴2の外周面に供給される
製版済みのマスタ22には、反転ローラ対38の連れ回
りによる負荷が与えられるので、所定の張力が作用する
こととなり、シワ等を発生させることなく版胴2の外周
面上に巻き付けられていく。
【0063】一方、原稿読取装置70での読み取り動作
および製版装置200での書き込み動作が進行し、読み
取り動作が終了し、次いで、マスタ搬送モータ32のス
テップ数により、1版分の製版済みのマスタ22が製版
されたと前記メイン制御装置で判断されると、前記メイ
ン制御装置からの指令により、マスタ搬送モータ32お
よび吸引ファンモータ34Mがそれぞれオフされる。こ
れにより、プラテンローラ27、テンションローラ対3
7および吸引ファン34の回転がそれぞれ停止され、製
版(書き込み)動作が終了する。このとき、マスタ貯留
手段30における製版済みのマスタ22のたわみ量は徐
々に小さくなっており、マスタ22のたわみ量が最小と
なるときにおいて、前記カッタモータがオンすることに
より、カッタ36が第1ガイド板28の先端に沿いつつ
製版済みのマスタ22の幅方向に回転しながら移動して
製版済みのマスタ22の後端を切断する。製版済みのマ
スタ22の後端を切断後、カッタ36は元のホームポジ
ションに戻る。そして、図示しないカッタホームポジシ
ョン検知センサにより、カッタ36のホームポジション
への復帰がオン検知されると、前記カッタモータがオフ
し、カッタ36の作動が停止する。
【0064】マスタ搬送モータ32のオフにより書き込
み動作が終了すると共に、前記カッタモータがオンした
ときにおいて、すなわち版胴2が図11と排版位置との
略中間に移動した回転位置において、前記反転ローラ用
電磁クラッチがオンする。前記反転ローラ用電磁クラッ
チがオンした後では、反転ローラ対38の上側ローラは
マスタ搬送モータ32のオフ状態による負荷を受けるこ
とにより、停止(ロック)状態となり、反転ローラ対3
8の下側ローラは版胴2の回転による製版済みのマスタ
22の搬送力を受けることにより連れ回り・従動回転を
する。この状態では、例えば本願出願人が提案した特開
平11−91227号公報明細書の段落番号(007
7)に記載されている技術事項および同公報の図1に示
されていると同様に、反転ローラ対38とクランパ4と
の間における製版済みのマスタ22には適度なバックテ
ンションが付与される。これにより、製版済みのマスタ
22がマスタ幅方向の中央部から両側端側へマスタ搬送
方向Xに向けて徐々に大きくなる斜めの適度なテンショ
ン(張力)を受けて、製版済みのマスタ22がズレるこ
となく、製版済みのマスタ22が両側端を張られた状態
で、かつ、空気の入り込みも非常に少ない状態で版胴2
の回転により外周面に徐々に巻き付けられていく。
【0065】その後、版胴2の回転による製版済みのマ
スタ22の巻き付けが続き、たわみボックス31の開口
31aに配設されている図示しないタワミ検知センサに
よりたわみボックス31における製版済みのマスタ22
のたわみが検知されなくなり、製版済みのマスタ22の
後端が反転ローラ対38を抜ける付近の版胴2の回転位
置において、前記反転ローラ用電磁クラッチがオフす
る。これにより、反転ローラ対38の上側ローラが回転
自在(フリー)状態となり、反転ローラ対38が共に連
れ回り状態となって、反転ローラ対38と版胴2外周面
との間における製版済みのマスタ22へのテンションを
小さくし、製版済みのマスタ22の後端が反転ローラ対
38から抜ける際のマスタ挙動をやわらげることで、版
胴2による製版済みのマスタ22の巻装時のシワの発生
やスキュー等を防ぐようにしている。
【0066】版胴2の回転により、製版済みのマスタ2
2の後端が反転ローラ対38から抜き出されると、版胴
2の外周面に製版済みのマスタ22が完全に巻装され、
給版工程が終了する。
【0067】給版工程終了後、版胴2は前記メインモー
タの駆動によってさらに時計回り方向に回転され、今度
は給版位置で停止することなく、つまり給版待機状態と
なることなく給版位置を通過し、版胴2のクランパ4が
ホームポジションの手前に至ると、この版胴のホームポ
ジションを検知する前記センサからの信号に基づいて、
前記メイン制御装置からの指令によって給紙装置40に
配設されている給紙ローラ42および分離ローラ対43
を回転駆動する図示しないステッピングモータからなる
給紙モータがオン駆動される。これにより、給紙ローラ
42および分離ローラ対43が回転することにより、給
紙トレイ41の最上位の1枚の印刷用紙Sが給送され、
その印刷用紙Sの先端がレジストローラ対44のニップ
部直前の部位に突き当てされ、印刷用紙Sの先端部に所
定のたわみが形成された後、前記給紙モータがオフして
給紙ローラ42および分離ローラ対43の回転が停止す
る。これにより、所定のたわみを形成された印刷用紙S
の先端がレジストローラ対44のニップ部に当接・保持
されると共に、印刷用紙Sの後端部が給紙ローラ42お
よび分離ローラ対43に当接・保持される。
【0068】版胴2がホームポジションを占める回転移
動動作に同期して、給紙動作が開始される。レジストロ
ーラ対44を回転駆動する図示しないステッピングモー
タからなるレジストモータがオンすることにより、印刷
用紙Sは、レジストローラ対44により版胴2の回転と
同期した所定のタイミングをとられた後給送され、これ
とタイミングを合わせて紙くわえクランパ9Bが拡開さ
れ、印刷用紙Sをくわえた後、紙くわえクランパ9Bが
閉じられ、圧胴9の外周面に印刷用紙Sが保持されたま
ま圧胴9が圧胴軸9Aの周りに回転され、版胴2と圧胴
9との間のニップ部に印刷用紙Sが送り込まれる。この
タイミングに合わせて、圧胴9の外周面が版胴2の外周
面に接離可能な状態となる。印刷動作後、圧胴9の外周
面が版胴2の外周面から離間された状態となる。版胴2
と圧胴9とのニップ部は、版胴2に対して圧胴9を接離
させるための圧胴接離手段に具備されている緊縮性の印
圧バネ(図示せず)の付勢力によって加圧されており、
これにより印刷用紙Sは版胴2の外周面上に巻装されて
いる製版済みのマスタ22に押圧される。この押圧の際
に、版胴2内のインキ供給装置5を構成しているインキ
ローラ6により版胴2の内周面に供給されたインキは、
製版画像が形成された製版済みのマスタ22の穿孔部分
を通過して滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙S
の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0069】印刷画像が形成された印刷済みの印刷用紙
Sは、圧胴9が回転して排紙爪62の手前で紙くわえク
ランパ9Bが開くことにより、排紙爪62に乗り上げて
剥離され、排紙装置60の吸引ファン66により吸引さ
れつつ、下方に位置する搬送ベルト65上に排出され
る。搬送ベルト65上の印刷済みの印刷用紙Sは、吸引
ファン66で搬送ベルト65上に吸引されつつ吸着排紙
出口ローラ64の回転によって搬送され、排紙トレイ6
1上に排出されて単に版付けとも呼ばれる版付け印刷が
終了する。この版付け印刷により排出された印刷物は正
規の印刷物としてカウントされない。
【0070】版付け印刷終了後、オペレータは排出され
た印刷物(印刷用紙S)を適宜目視して、通常の印刷動
作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、画像品質の確
認や画像位置の確認等を適宜行い、これらがオーケーで
あれば、オペレータは前記操作パネルに配置されている
テンキー(図示せず)で印刷枚数を設定した後、プリン
トキー(図示せず)を押すと、前記テンキーで設定され
た印刷枚数分の印刷用紙Sを給紙して印刷すべく、前記
したと同様の給紙工程、印刷工程および排紙工程が印刷
枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了す
る。 (第1の実施形態)図1に、本発明の第1の実施形態を
示す。この第1の実施形態を含め、後述する実施形態等
では、製版装置の構成要素(本発明の有するマスタ浮き
上がり防止手段周りの構成を除く)の基本的なレイアウ
トは同じ状態で説明する。これは、従来の問題点の発生
有無について考察した結果より、図9に示したような問
題点はマスタ貯留手段の配置位置の違いに拘わらず発生
すること、および図10に示したような問題点はマスタ
貯留手段の配置位置の違いと、マスタロールから繰り出
されるマスタの巻きぐせのカール方向の違いと、フィル
ム面内巻き・外巻きの違いに伴うプラテンローラおよび
サーマルヘッドの配置関係とにより、発生したり発生し
なかったりするので、図9および図10に示したような
従来の問題点が両方発生するレイアウト例で説明するも
のとする。
【0071】第1の実施形態は、図9ないし図11に示
した従来の製版装置200と比較して、製版装置200
に代えて、未製版のマスタ22または製版済みのマスタ
22の浮き上がりを防止するマスタ浮き上がり防止手段
としての規制板7がマスタ搬送経路MR上に設けられて
いる製版装置20を有することのみ相違する。
【0072】規制板7の配置位置についてさらに具体的
に述べると、規制板7は、マスタ搬送経路MRの最下流
側に配置されたマスタ搬送部材である反転ローラ対38
におけるマスタ搬送経路MRの入口側近傍の第1ガイド
板28の上方であって、サーマルヘッド26(製版手
段)とマスタ貯留手段30との間のマスタ搬送経路MR
上に設けられている。
【0073】規制板7は、マスタ搬送方向Xと直交する
マスタ幅方向(図1における紙面の手前側から奥側への
方向)に延在して設けられており、少なくとも未製版の
マスタ22または製版済みのマスタ22の幅寸法よりも
長く形成されている。なお、規制板7は、後述する機能
を有し後述する利点を得られるものであれば、例えば櫛
歯状に形成されていても構わない。
【0074】規制板7は、静電気発生予防(帯電防止)
および除電するために、例えばプレス等で導電性の板金
を成形・切断して形成されている。規制板7は、マスタ
搬送経路MRの入口側(テンションローラ対37の出口
側近傍でもある)の第1ガイド板28との間において間
口が大きく開口していて、マスタ搬送経路MRの出口側
の第1ガイド板28との間において間口が狭くなってい
る。規制板7は、図11に示す本体フレーム1F側に電
気的に接地(アース)されている。
【0075】これにより、規制板7は、マスタロール2
2Aに巻かれたマスタの巻きぐせによる逆U字状の上方
へのマスタの浮き上がり(例えば図9および図10に示
したきついカール2C)を、第1ガイド板28の上面と
の間において図1に実線で示すように規制して、図9お
よび図10に示したような大きなたわみに成長すること
を抑制する機能を有すると共に、未製版のマスタ22ま
たは製版済みのマスタ22をマスタ搬送経路MRの下流
側へと案内する機能も有する。規制板7が前記機能を発
揮するためには、規制板7の間口が狭い部位の下側裏面
と第1ガイド板28の上面との図1における高さ方向
(上下)の距離間隔を、例えば1〜5mm程度に設定す
ることが好ましい。
【0076】なお、後で参照する図2、図7および図8
を含め、図1において、たわみボックス31内に二点鎖
線で示されているマスタ22は、製版済みのマスタ22
が正常な状態でたわみボックス31に貯留されている様
子を示している。また、後で参照する図2、図7および
図8を含め、図1において、二点鎖線で示されている反
転ローラ対38の回転状態は、未製版のマスタ22また
は製版済みのマスタ22の先端が製版待機位置を占めて
製版待機状態になるために回転・搬送される状態を示し
ている。このとき、ガイド搬送板35は、二点鎖線で示
すガイド搬送位置を占めている。
【0077】したがって、第1の実施形態によれば、規
制板7により、第1ガイド板28の上面との間で、マス
タロール22Aに巻かれたマスタ22の巻きぐせによる
逆U字状の上方へのマスタの浮き上がり(例えば図9お
よび図10に示したきついカール2C)が図1に実線で
示すように規制されることで、図9および図10に示し
たような大きなたわみに成長することが抑制され、か
つ、未製版のマスタ22または製版済みのマスタ22が
静電気を帯びても除電することができる。それ故に、図
9および図10を参照して説明した問題点は何ら発生せ
ず、未製版のマスタ22または製版済みのマスタ22先
端部の反転ローラ対38のニップ部への正常な搬送動作
を行って製版待機状態にすることができ、また製版済み
のマスタ22のたわみボックス31内への正常な貯留動
作を行うことができる。 (第2の実施形態)図2および図3に、第2の実施形態
を示す。この第2の実施形態は、第1の実施形態の製版
装置20と比較して、図1に示した規制板7に代えて、
除電部材付き規制部材8を有していることが主に相違す
る。
【0078】除電部材付き規制部材8は、未製版のマス
タ22または製版済みのマスタ22の浮き上がりを防止
するマスタ浮き上がり防止手段としての規制板7の下側
裏面に、未製版のマスタ22または製版済みのマスタ2
2と接触可能な除電部材としての除電ブラシ10を貼着
したものからなる。第2の実施形態における規制板7の
配置位置に関しては、第1の実施形態の規制板7と比較
して、第1ガイド板28の上面からの高さが、除電ブラ
シ10の厚さを考慮して若干高めに設定されている以外
は、第1の実施形態の規制板7と同様である。
【0079】除電ブラシ10は、シート状をなし、導電
性の繊維11または繊維の束11(以下、これらを総称
して単に「導電性繊維11」というときがある)が縦糸
を形成していて、両端に切断された開放端11aを有す
る1本の導電性繊維11がその略中央部で略U字状に折
り返されて端部11bを形成している。導電性繊維11
としては、例えば導電性樹脂で形成された除電効果の高
いカーボン繊維等が用いられる。このような縦糸として
の複数の導電性繊維11の端部11b側を、同じく導電
性の横糸12(以下、「導電性横糸12」という)が縫
うように編むことで、複数の導電性繊維11をまとめて
いる。そして、複数の導電性繊維11を導電性横糸12
で編んだ後で、これら導電性繊維11の端部11b側を
導電性の両面接着テープ19(以下、「導電性両面接着
テープ19」という)で接着すると製品としての除電ブ
ラシ10が出来上がる。
【0080】このような除電ブラシ10は、図2に示す
ように、規制板7の下側裏面に沿うようにくせ付けされ
て、図2における右側の、間口の広い側の規制板7の下
側裏面に導電性両面接着テープ19で接着・固定され
る。除電ブラシ10のマスタ幅方向の長さ(導電性両面
接着テープ19のマスタ幅方向の長さに相当する)は、
マスタ22の幅方向長さと略同じか、またはやや大き目
に設定されており、第1ガイド板28のマスタ幅方向の
長さよりやや大き目に設定されている。導電性両面接着
テープ19は、例えばアルミ部材を使用したもの等が用
いられる。
【0081】なお、後述する図5および図6等に示す除
電部材14の構成要素を含め、除電ブラシ10を構成し
ている導電性繊維11、導電性横糸12および導電性両
面接着テープ19等の厚さや長さ、大きさ等は、見やす
くするために誇張して図示している。
【0082】したがって、第2の実施形態によれば、除
電部材付き規制部材8により、マスタロール22Aに巻
かれたマスタ22の巻きぐせによる逆U字状の上方への
マスタの浮き上がり(例えば図9および図10に示した
きついカール2C)が第1ガイド板28の上面との間
で、図2に実線で示すように規制されることで、図9お
よび図10に示したような大きなたわみに成長すること
が抑制され、かつ、未製版のマスタ22または製版済み
のマスタ22が静電気を帯びてもより確実に除電するこ
とができる。それ故に、図9および図10を参照して説
明した問題点は何ら発生せず、未製版のマスタ22また
は製版済みのマスタ22先端部の反転ローラ対38のニ
ップ部への正常な搬送動作を行って製版待機状態にする
ことができ、また製版済みのマスタ22のたわみボック
ス31内への正常な貯留動作を行うことができる。
【0083】このような構成の除電ブラシ10では、図
4に示すように、導電性繊維11が導電性両面接着テー
プ19で接着されている端部11b等から折れて脱落し
たり、導電性繊維11の開放端11aが除電ブラシ10
の先端部から外れて飛び跳ねたりすることがあり、脱落
した導電性繊維11がマスタ22の表面にくっついて搬
送され印刷に供されると画像が欠けるなどの問題点とな
る。また、除電効果の高いカーボン繊維製等の除電ブラ
シ10では、繊維自体の強度があるため、図4に示すよ
うに、導電性繊維11の開放端11aが除電ブラシ10
の先端部から外れて第1ガイド板28の上面方向へ飛び
跳ねた場合にはマスタ22のフィルム部分等に穴等を開
けてしまうという問題点もある。そこで、このような除
電ブラシ10の不具合発生を防止すべく以下に述べる第
2の実施形態の変形例1を創作した。 (第2の実施形態の変形例1)図5および図6に、第2
の実施形態の変形例1を示す。この変形例1は、第2の
実施形態の製版装置20Aと比較して、図2および図3
に示した除電部材付き規制部材8に代えて、除電部材付
き規制部材8Aを有していることが主に相違する。除電
部材付き規制部材8Aは、除電部材付き規制部材8と比
較して、間口の広い側の規制板7の下側裏面に導電性両
面接着テープ19で接着・固定された除電ブラシ10に
代えて、除電部材14を有することが主に相違する。
【0084】除電部材14は、図5および図6に詳しく
示すように、導電性の繊維15または繊維の束15(以
下、これらを総称して単に「導電性繊維15」というと
きがある)を通風可能に編んだ通気性除電布17の両端
部15b,15b(以下、「両端部15b」と略称す
る)に貼着部材としての導電性両面接着テープ19を接
着・付加したことを特徴とするものである。通気性除電
布17は、縦糸を形成する1本の導電性繊維15が図6
における左右の両端部15bで略U字状に折り込まれた
形状がマスタ22の幅方向に何度も繰り返され、導電性
の横糸16(以下、「導電性横糸16」という)が前記
した導電性繊維15の両端部をそれぞれ縫うように編む
ことにより、導電性繊維15が両端部15bでまとめら
れて形成される。除電部材14のマスタ幅方向の長さ
(導電性両面接着テープ19のマスタ幅方向の長さに相
当する)は、マスタ22の幅方向長さと略同じか、また
はやや大き目に設定されており、第1ガイド板28のマ
スタ幅方向の長さよりやや大き目に設定されている。
【0085】導電性繊維15としては、除電効果が高
く、製造コストとして安価であるという点から、例えば
炭素含有アクリル繊維(略称:カーボン繊維)等の導電
性樹脂で形成された繊維や繊維束が好ましく用いられ
る。導電性横糸16も、除電効果が高く、製造コストの
安い、例えば炭素含有アクリル繊維(略称:カーボン繊
維)等の導電性樹脂で形成された繊維や繊維束が好まし
く用いられる。
【0086】通気性除電布17は、実施例的に言うと、
上記炭素含有アクリル繊維の繊維束15を、繊維束と繊
維束との間が0.5mmから2mm程度のすき間がある
ように形成して通風可能にしたものを使用している。こ
のような通気性除電布17を有する除電部材14を試作
して、製版装置20Aの上述した部位に取り付けたとこ
ろ、後述する諸利点を得ることができた。
【0087】上述したように形成された通気性除電布1
7の両端部15bを導電性両面接着テープ19で接着
し、通気性除電布17の両端部15bから導電性繊維1
5、その開放端15aおよび導電性横糸16をほどけな
いようにすると、製品としての除電部材14が出来上が
る。このとき、通気性除電布17の両端部15bおよび
導電性繊維15の開放端15aは、導電性両面接着テー
プ19の付加範囲としての接着範囲から突出しない程度
に導電性両面接着テープ19で接着される。
【0088】除電部材14は、図5に示すように、規制
板7の下側裏面に沿うようにくせ付けされて、図5にお
ける右側の、間口の広い側の規制板7の下側裏面および
図5における左側の、間口の狭い側の規制板7の下側裏
面にその端縁部を覆うように導電性両面接着テープ19
で接着・固定される。
【0089】したがって、このような構成の除電部材1
4によれば、以下の利点を得ることができる。第1に、
例えば図2ないし図4に示した除電ブラシ10等のよう
に、導電性繊維15の開放端15a部分が飛び跳ねた
り、導電性繊維15が脱落したりすることがなく、導電
性繊維15の開放端15a(先端部分)がマスタ22の
フィルム面と接触することもないから、マスタ22のフ
ィルム面の損傷等をより確実に防止できる。なお、図5
で使用されているマスタロール22A(図1参照)はフ
ィルム面内巻きであるので、マスタ22のフィルム面と
直接接触することは少ないが、マスタロールとしてフィ
ルム面外巻きのものを使用した場合には前記顕著な利点
が得られる。
【0090】第2に、貼着部材を導電性両面接着テープ
19とすることにより、除電部材14の製作コストの低
減およびその取付け使用時の作業性も向上する。
【0091】第3に、除電部材14は、製版装置20A
内に配置されている規制板7の端縁を含む端部を覆うよ
うに取り付けられることで、搬送される未製版のマスタ
22または製版済みのマスタ22が規制板7の端縁を含
む端部(エッジ部)にマスタ22の表面(特にフィルム
面)が直接当たらなくなるから、マスタ22の表面(特
にフィルム面)の損傷等を防止すると共に、静電気が発
生しても除電部材14で確実に除電することができ、こ
れにより規制板7へのマスタ22の貼り付きを防止し
て、ジャム等のマスタ搬送不良を発生することなくマス
タ22を安定して搬送することができる。第4に、除電
部材14には通気性除電布17を用いているので、非通
気性の除電布で構成するよりも簡単に構成できることか
ら製造コスト的にも安価になる。
【0092】除電部材14には上述した利点があるの
で、第1ガイド板28や第2ガイド板29等のマスタ案
内部材の端縁部を覆うように除電部材14を取り付ける
ことが好ましいと言える。
【0093】本発明の除電部材に用いる貼着部材は、導
電性両面接着テープ19や非導電性の両面接着テープを
用いたことにより得られる前記利点を望まなくてもよい
のであれば、通気性除電布17の両端部15bから導電
性繊維15、その開放端15aおよび導電性横糸16を
ほどけないようにできる部材や部剤等であってもよく、
このような物をも含む。例えば、通気性除電布17の両
端部15bから導電性繊維15、その開放端15aおよ
び導電性横糸16をほどけないように適宜の接着剤によ
って接着して固めた後、ネジで締結したり、あるいはマ
ジックファスナー(商品名)やマグネットキャッチヤー
(商品名)を用いてほどけないようにした後締結したり
してもよい。
【0094】除電部材14を構成する通気性除電布17
は、前記利点を望まなくてもよいのであれば、前記した
樹脂材料で形成した物に限らず、例えば導電性繊維15
および/または導電性横糸16として細いステンレスス
チール等の金属製繊維の物であっても構わない。本発明
の除電部材は、通気性除電布17を用いた前記利点をそ
れ程望まなくてもよいのであれば、通気性除電布17を
用いた物に限らず、非通気性の除電布を用いることによ
り、換言すれば吸引エアを通過させない程度に密に編ん
だり、導電性繊維15を太くした物を用いたりすること
によって、上述した各種構成に準じて構成した物でもよ
く、このような物をも含む(請求項7ないし9参照)。 (第3の実施形態)図7に、第3の実施形態を示す。こ
の第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、第1
の実施形態の製版装置20に代えて、製版装置20Bを
有していることのみ相違する。第3の実施形態の製版装
置20Bは、第1の実施形態の製版装置20と比較し
て、図1に示した規制板7に代えて、マスタ浮き上がり
防止手段としての回転駆動される導電性ローラ45を有
していること、およびローラ45を回転駆動するローラ
駆動手段49を有することが主に相違する。
【0095】導電性ローラ45は、未製版のマスタ22
または製版済みのマスタ22の静電気を除電する点か
ら、例えば一般的な鉄やステンレススチール等の導電体
で形成した導電性のローラが好ましく用いられる。ロー
ラ45の配置位置に関しては、第1の実施形態における
規制板7の間口の狭い部位の下側裏面と第1ガイド板2
8の上面との間の距離間隔と同じになる様に、導電性ロ
ーラ45の底部外周面と第1ガイド板28の上面との間
の距離が設定されている。
【0096】導電性ローラ45は、前記マスタ幅方向
(図1における紙面の手前側から奥側への方向)に延在
して設けられており、少なくとも未製版のマスタ22ま
たは製版済みのマスタ22の幅寸法よりも長く形成され
ている。なお、導電性ローラ45は、後述する機能を有
し後述する利点を得られるものであれば、例えば分割さ
れた串刺し状に形成されていても構わない。導電性ロー
ラ45は、除電するために、図11に示す本体フレーム
1F側に電気的に接地(アース)されている。
【0097】ローラ駆動手段49は、図1を借りて示す
マスタ搬送モータ32と、このマスタ搬送モータ32の
回転駆動力をテンションローラ対37の上部の駆動ロー
ラに伝達する前記回転伝達手段(テンションローラ対3
7の上部の駆動ローラに配設された2連プーリ47)お
よびプラテンローラ27のローラ軸に配設された2連プ
ーリ(図示せず)間に掛け渡された無端ベルト(図示せ
ず)からなる)と、2連プーリ47と導電性ローラ45
の回転軸に固設されたローラプーリ46との間に掛け渡
された無端ベルト48とから主に構成されている。この
ローラ駆動手段49により、導電性ローラ45は、プラ
テンローラ27およびテンションローラ対37の回転タ
イミングと同時機に同じ時計回り方向に回転駆動され
る。
【0098】したがって、第3の実施形態によれば、ロ
ーラ駆動手段49により、回転駆動される導電性ローラ
45を有することにより、マスタロール22Aに巻かれ
たマスタ22の巻きぐせによる逆U字状の上方へのマス
タの浮き上がり(例えば図9および図10に示したきつ
いカール2C)が第1ガイド板28の上面との間で、図
7に実線で示すように規制され、かつ、搬送力を付与さ
れることで、図9および図10に示したような大きなた
わみに成長することが抑制され、なおかつ、未製版のマ
スタ22または製版済みのマスタ22が静電気を帯びて
も除電することができる。それ故に、図9および図10
を参照して説明した問題点は何ら発生せず、未製版のマ
スタ22または製版済みのマスタ22先端部の反転ロー
ラ対38のニップ部への正常な搬送動作を行って製版待
機状態にすることができ、また製版済みのマスタ22の
たわみボックス31内への正常な貯留動作を行うことが
できる。
【0099】また、第1の実施形態の規制板7を使用し
た製版装置20では、例えば図9および図10に示した
きついカール22Cよりも非常に小さいカールが発生し
て、規制板7と第1ガイド板28との間のマスタ搬送経
路MRにおいて規制板7に引っかかるような場合があ
る。このような場合には、ローラ駆動手段49により、
導電性ローラ45が回転駆動されることにより、未製版
のマスタ22または製版済みのマスタ22に搬送力が付
与されることで、未製版のマスタ22または製版済みの
マスタ22の先端部を規制板7等に引っかけることなく
各マスタ22を安定して搬送することができる。
【0100】なお、本発明の回転駆動されるローラは、
例えば帯電しにくいマスタ22を使用するような場合
や、プラテンローラ27やテンションローラ対37等の
マスタ搬送部材での除電機能が十分にあるというように
除電機能をそれ程必要としない場合には、導電性ローラ
45に限らず、導電体で形成せずに、例えば適宜の合成
樹脂やゴム等で形成してもよい。 (第3の実施形態の変形例2)図8に、第3の実施形態
の変形例2を示す。この変形例2は、第1の実施形態と
比較して、第1の実施形態の製版装置20に代えて、製
版装置20Cを有していることのみ相違する。変形例2
の製版装置20Cは、第1の実施形態の製版装置20と
比較して、図1に示した規制板7に代えて、マスタ浮き
上がり防止手段としての回転駆動される導電性ブラシロ
ーラ55を有していること、および導電性ブラシローラ
55を回転駆動するローラ駆動手段59を有することが
主に相違する。
【0101】導電性ブラシローラ55は、一般的な鉄や
ステンレススチール等の導電体で形成された金属製の軸
部57に、導電性の除電ブラシを貼り付けたものであ
る。導電性ブラシローラ55としては、図8に示すよう
に、外周部を構成する除電ブラシの先端部が開放端にな
っているものや、あるいはU字状に曲げられてループ状
をなしている態様のものが使用される。導電性ブラシロ
ーラ55の除電ブラシは、例えば導電性樹脂で形成され
た除電効果の高いカーボン繊維等が用いられる。
【0102】導電性ブラシローラ55は、前記マスタ幅
方向(図1における紙面の手前側から奥側への方向)に
延在して設けられており、少なくとも未製版のマスタ2
2または製版済みのマスタ22の幅寸法よりも長く形成
されている。なお、導電性ブラシローラ55は、後述す
る機能を有し後述する利点を得られるものであれば、例
えば分割された串刺し状に形成されていても構わない。
導電性ブラシローラ55は、除電するために、軸部57
が図11に示す本体フレーム1F側に電気的に接地(ア
ース)されている。
【0103】ローラ駆動手段59は、図1を借りて示す
マスタ搬送モータ32と、このマスタ搬送モータ32の
回転駆動力をテンションローラ対37の上部の駆動ロー
ラに伝達する前記回転伝達手段(テンションローラ対3
7の上部の駆動ローラに配設された2連プーリ47)お
よびプラテンローラ27のローラ軸に配設された2連プ
ーリ(図示せず)間に掛け渡された無端ベルト(図示せ
ず)からなる)と、2連プーリ47と導電性ブラシロー
ラ55の軸部57に固設されたローラプーリ56との間
に掛け渡された無端ベルト48とから主に構成されてい
る。このローラ駆動手段59により、導電性ブラシロー
ラ55は、プラテンローラ27およびテンションローラ
対37の回転タイミングと同時機に同じ時計回り方向に
回転駆動される。
【0104】したがって、変形例2によれば、ローラ駆
動手段59により、回転駆動される除電性能の高い導電
性ブラシローラ55を有することにより、マスタロール
22Aに巻かれたマスタ22の巻きぐせによる逆U字状
の上方へのマスタの浮き上がり(例えば図9および図1
0に示したきついカール2C)が第1ガイド板28の上
面との間で、図8に実線で示すように規制されかつ搬送
力を付与されることで、図9および図10に示したよう
な大きなたわみに成長することが抑制され、かつ、未製
版のマスタ22または製版済みのマスタ22が静電気を
帯びても除電することができる。それ故に、図9および
図10を参照して説明した問題点は何ら発生せず、未製
版のマスタ22または製版済みのマスタ22先端部の反
転ローラ対38のニップ部への正常な搬送動作を行って
製版待機状態にすることができ、また製版済みのマスタ
22のたわみボックス31内への正常な貯留動作を行う
ことができる。
【0105】また、第1の実施形態の規制板7を使用し
た製版装置20では、例えば図9および図10に示した
きついカール22Cよりも非常に小さいカールが発生し
て、規制板7と第1ガイド板28との間のマスタ搬送経
路MRにおいて規制板7に引っかかるような場合があ
る。このような場合には、ローラ駆動手段59により、
導電性ブラシローラ55が回転駆動されることにより、
未製版のマスタ22または製版済みのマスタ22に搬送
力が付与されることで、未製版のマスタ22または製版
済みのマスタ22の先端部を規制板7等に引っかけるこ
となく各マスタ22を安定して搬送することができる。
【0106】図7や図8に示した導電性のローラ45や
導電性ブラシローラ55を回転駆動するローラ駆動手段
は、上述したローラ駆動手段49やローラ駆動手段59
に限らず、例えば単独のローラ駆動手段としてのステッ
ピングモータで回転駆動してもよいし、あるいは前記プ
ーリおよび無端ベルトを備えた回転伝達手段に限らず、
複数のギヤによる回転伝達手段や、それらを適宜組み合
わせた回転伝達手段を介してマスタ搬送モータ32の回
転駆動力が伝達されるものでもよい。
【0107】また、本発明の製版装置は、接離手段とし
ての前記プラテン圧解除機構は必ずしも必要な構成では
なく、その用途・利点を望まなくてもよいのであれば、
これを除去して構成した製版装置およびこの製版装置を
備えた製版印刷装置であっても構わない(請求項1〜1
3および請求項14参照)。これと同様に、マスタ貯留
手段は、必ずしも必要な構成ではなく、その用途・利点
を望まなくてもよいのであれば、これを除去して構成し
た製版装置およびこの製版装置を備えた製版印刷装置で
あっても構わない(除く請求項4等参照)。
【0108】製版手段は、前述した実施形態のサーマル
ヘッド26に限らず、これに代えて、例えばフラッシュ
製版あるいはレーザー製版等の製版手段であってもよ
い。つまり、本発明を適用する製版装置は、上述したよ
うな製版装置200,20,20A,20B,20C、
あるいはフラッシュ製版あるいはレーザー製版等の製版
手段を備えた製版装置等に限定されず、マスタを製版す
る製版手段と、未製版のマスタまたは製版手段により製
版されたマスタを搬送するマスタ搬送手段と、未製版の
マスタまたは製版されたマスタをマスタ搬送方向に通す
ためのマスタ搬送経路とを具備する製版装置であればよ
いと言える(請求項1記載の発明における公知部分参
照)。以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の
実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述
した実施形態等に限定されるものではなく、これらを適
宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内におい
て、その必要性及び用途等に応じて種々の発明の実施形
態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかであ
る。
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の諸問題点を解決して新規な製版装置およびこの製
版装置を備えた製版印刷装置を提供することができる。
請求項毎の効果を挙げれば以下のとおりである。請求項
1および2記載の発明によれば、マスタ浮き上がり防止
手段により、マスタの巻きぐせ等によるカールを含むマ
スタの浮き上がりがマスタ搬送経路上で防止されるの
で、マスタを安定して搬送してセットすることができ、
カールを含むマスタの浮き上がりの形成状態に拘わら
ず、マスタ搬送ミス・ジャム等の低減を図ることが可能
となる。
【0110】請求項3記載の発明によれば、マスタ浮き
上がり防止手段により、マスタの巻きぐせ等によるカー
ルを含むマスタの浮き上がりがマスタ搬送部材における
マスタ搬送経路の入口側近傍のマスタ搬送経路上で防止
されるので、マスタを安定して搬送してセットすること
ができ、カールを含むマスタの浮き上がりの形成状態に
拘わらず、マスタ搬送ミス・ジャム等の低減を図ること
が可能となる。
【0111】請求項4記載の発明によれば、マスタ浮き
上がり防止手段により、マスタの巻きぐせ等によるカー
ルを含むマスタの浮き上がりが製版手段とマスタ貯留手
段との間のマスタ搬送経路上で防止されるので、マスタ
を安定して搬送してセットしたり、マスタ貯留手段にマ
スタを安定して貯留したりすることができ、カールを含
むマスタの浮き上がりの形成状態に拘わらず、マスタ搬
送ミス・ジャム等の低減を図ることが可能となる。
【0112】請求項5記載の発明によれば、規制板によ
り、マスタの巻きぐせ等によるカールを含むマスタの浮
き上がりがマスタ搬送経路上または製版手段とマスタ貯
留手段との間のマスタ搬送経路上で防止・規制されるの
で、マスタを安定して搬送してセットしたり、マスタ貯
留手段にマスタを安定して貯留したりすることができ、
カールを含むマスタの浮き上がりの形成状態に拘わら
ず、マスタ搬送ミス・ジャム等の低減を図ることが可能
となる。
【0113】請求項6記載の発明によれば、規制板が有
する除電部材により、未製版のマスタまたは製版された
マスタと接触して静電気を除電できるので、請求項5記
載の発明の効果に加えて、未製版のマスタまたは製版さ
れたマスタが規制板に貼り付いたり、マスタ貯留手段の
例えばたわみボックス内の壁面に貼り付いたり、マスタ
同士が貼り付いたりしてしまうことを防止できる。
【0114】請求項7記載の発明によれば、導電性の繊
維または繊維束を編んだ除電布の両端部に貼着部材を付
加した除電部材とすることにより、請求項6記載の発明
の効果に加えて、例えば従来使用されている除電ブラシ
等のように、導電性繊維の開放端部分が飛び跳ねたり、
導電性繊維が脱落したりすることがなくなるから、導電
性繊維の先端部分がマスタ表面(特にフィルム表面)と
接触することによるマスタのフィルム面の損傷等を防止
することができる。
【0115】請求項8記載の発明によれば、除電布の両
端部における導電性繊維または繊維束の開放端が、貼着
部材の付加範囲から突出しない程度に貼着部材で貼着さ
れていることにより、マスタのフィルム面の損傷等をよ
り確実に防止することができる。
【0116】請求項9記載の発明によれば、貼着部材を
両面接着テープとすることにより、請求項7または8記
載の発明の効果に加えて、除電部材の製作コストの低減
およびその取付け使用時の作業性の向上等を図れる。
【0117】請求項10記載の発明によれば、ローラ駆
動手段により回転駆動されるローラによって、マスタの
巻きぐせ等によるカールを含むマスタの浮き上がりがマ
スタ搬送経路上または製版手段とマスタ貯留手段との間
のマスタ搬送経路上で防止・規制されると共に、マスタ
に搬送力が付与されるので、マスタをより一層安定して
搬送してセットしたり、マスタ貯留手段にマスタをより
一層安定して貯留したりすることができ、カールを含む
マスタの浮き上がりの形成状態に拘わらず、マスタ搬送
ミス・ジャム等の低減を図ることができる。また、請求
項5記載の発明における規制板では、例えばマスタの巻
きぐせ等によってマスタ先端部に非常に小さいカールが
発生して規制板に引っかかるような場合には、ローラ駆
動手段により回転駆動されるローラによって、マスタに
搬送力が付与されるので、未製版のマスタまたは製版済
みのマスタの先端部が規制板等に引っかけることなくマ
スタを安定して搬送することができる。
【0118】請求項11記載の発明によれば、導電性ロ
ーラにより、未製版のマスタまたは製版されたマスタと
接触して静電気を除電できるので、請求項10記載の発
明の効果に加えて、未製版のマスタまたは製版されたマ
スタが規制板に貼り付いたり、マスタ貯留手段の例えば
たわみボックス内の壁面に貼り付いたり、マスタ同士が
貼り付いたりしてしまうことを防止できるようになる。
【0119】請求項12記載の発明によれば、導電性ブ
ラシローラにより、未製版のマスタまたは製版されたマ
スタと接触して静電気を確実に除電できるので、請求項
10記載の発明の効果に加えて、未製版のマスタまたは
製版されたマスタが規制板に貼り付いたり、マスタ貯留
手段の例えばたわみボックス内の壁面に貼り付いたり、
マスタ同士が貼り付いたりしてしまうことを防止でき
る。
【0120】請求項13記載の発明によれば、請求項1
ないし12の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、
熱可塑性樹脂フィルムと実質的に合成繊維のみからなる
支持体とを有する、非常に腰の弱く帯電しやすいマスタ
であっても使用できるので、画質を維持しながらコスト
低減を図れる。
【0121】請求項14記載の発明によれば、請求項1
ないし13の何れか一つに記載の製版装置を有する製版
印刷装置であることにより、請求項1ないし13の何れ
か一つに記載の発明の効果を奏する製版印刷装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す製版装置および
孔版印刷装置の要部の一部断面正面図である。
【図2】第2の実施形態を示す製版装置の要部の図であ
って、規制板を含む要部を拡大して示す一部断面正面図
である。
【図3】図2における規制板に取り付けられた除電ブラ
シの要部を拡大して示す平面図である。
【図4】図2における規制板に取り付けられた除電ブラ
シの問題点を説明する一部断面正面図である。
【図5】第2の実施形態の変形例1を示す図であって、
規制板に取り付けられた除電部材周りの要部を拡大して
示す一部断面正面図である。
【図6】図5における規制板に取り付けられた除電部材
の要部を拡大して示す平面図である。
【図7】第3の実施形態を示す製版装置の要部の図であ
って、回転駆動される導電性ローラを含む要部を拡大し
て示す一部断面正面図である。
【図8】第3の実施形態の変形例2を示す製版装置の要
部の図であって、回転駆動される導電性ブラシローラを
含む要部を拡大して示す一部断面正面図である。
【図9】従来の製版装置および孔版印刷装置におけるマ
スタセット時の問題点を説明するための一部断面正面図
である。
【図10】従来の製版装置および孔版印刷装置における
製版済みのマスタをマスタ貯留手段で貯留する時の問題
点を説明するための一部断面正面図である。
【図11】本発明を適用する製版装置および孔版印刷装
置の概略的な正面図である。
【符号の説明】
1 製版印刷装置の一例としての孔版印刷装置 2 版胴 5 インキ供給手段としてのインキ供給装置 7 マスタ浮き上がり防止手段としての規制板 8,8A 除電部材付き規制部材 10 除電部材としての除電ブラシ 11 導電性の繊維または繊維束としての導電性繊維 11a 開放端 14 除電部材 15 導電性の繊維または繊維束としての導電性繊維 15a 開放端 16 導電性横糸 17 通気性除電布 19 貼着部材の一例としての導電性両面接着テープ 20,20A,20B,20C 製版装置 22 マスタ 22A マスタロール 22C マスタの浮き上がりの一例としてのカール 23 マスタ貯容手段としてのマスタ支持部材 26 製版手段としてのサーマルヘッド 27 マスタ搬送手段およびマスタ搬送部材として
のプラテンローラ 30 マスタ貯留手段 31 マスタ貯留手段を構成するたわみボックス 37 マスタ搬送手段およびマスタ搬送部材として
のテンションローラ対 38 マスタ搬送手段およびマスタ搬送部材として
の反転ローラ対 45 導電性ローラ 49,59 ローラ駆動手段 55 導電性ブラシローラ MR マスタ搬送経路 S 印刷用紙 X マスタ搬送方向

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マスタを製版する製版手段と、未製版のマ
    スタまたは前記製版手段により製版されたマスタを搬送
    するマスタ搬送手段と、前記未製版のマスタまたは前記
    製版されたマスタをマスタ搬送方向に通すためのマスタ
    搬送経路とを具備する製版装置において、 マスタの浮き上がりを防止するマスタ浮き上がり防止手
    段を前記マスタ搬送経路上に設けたことを特徴とする製
    版装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製版装置において、 マスタがロール状に巻かれたマスタロールからマスタを
    繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段を有し、 前記マスタの浮き上がりが、前記マスタロールに巻かれ
    たマスタの巻きぐせによるものであることを特徴とする
    製版装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製版装置におい
    て、 前記マスタ搬送手段が、前記マスタ搬送経路の下流側に
    配置されたマスタ搬送部材であり、 前記マスタ浮き上がり防止手段を、前記マスタ搬送部材
    における前記マスタ搬送経路の入口側近傍に設けたこと
    を特徴とする製版装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の製版装置におい
    て、 製版済みのマスタを貯留するためのマスタ貯留手段を有
    し、 前記マスタ浮き上がり防止手段を、前記製版手段と前記
    マスタ貯留手段との間の前記マスタ搬送経路上に設けた
    ことを特徴とする製版装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4の何れか一つに記載の製
    版装置において、 前記マスタ浮き上がり防止手段が、前記マスタ搬送経路
    との間で前記マスタの浮き上がりを規制する規制板であ
    ることを特徴とする製版装置。
  6. 【請求項6】請求項5記載の製版装置において、 前記規制板が、前記未製版のマスタまたは前記製版され
    たマスタと接触可能な除電部材を有することを特徴とす
    る製版装置。
  7. 【請求項7】請求項6記載の製版装置において、 前記除電部材が、導電性の繊維または繊維束を編んだ除
    電布の両端部に貼着部材を付加したものであることを特
    徴とする製版装置。
  8. 【請求項8】請求項7記載の製版装置において、 前記両端部における前記繊維または前記繊維束の開放端
    が、前記貼着部材の付加範囲から突出しない程度に前記
    貼着部材で貼着されていることを特徴とする製版装置。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載の製版装置におい
    て、 前記貼着部材が、両面接着テープであることを特徴とす
    る製版装置。
  10. 【請求項10】請求項1ないし4の何れか一つに記載の
    製版装置において、 前記マスタ浮き上がり防止手段が、回転駆動されるロー
    ラであり、このローラを回転駆動するローラ駆動手段を
    有することを特徴とする製版装置。
  11. 【請求項11】請求項10記載の製版装置において、 前記ローラが、導電性ローラであることを特徴とする製
    版装置。
  12. 【請求項12】請求項10記載の製版装置において、 前記ローラが、導電性ブラシローラであることを特徴と
    する製版装置。
  13. 【請求項13】請求項1ないし12の何れか一つに記載
    の製版装置において、 前記マスタは、熱可塑性樹脂フィルムと実質的に合成繊
    維のみからなる支持体とを有することを特徴とする製版
    装置。
  14. 【請求項14】請求項1ないし13の何れか一つに記載
    の製版装置と、この製版装置により製版されたマスタを
    外周面に巻き付ける版胴と、この版胴上のマスタにイン
    キを供給するインキ供給手段とを具備し、上記版胴上の
    マスタに印刷用紙を押し付けて印刷用紙に印刷を行うこ
    とを特徴とする製版印刷装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008279729A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置
KR20110057886A (ko) * 2009-11-25 2011-06-01 엘지디스플레이 주식회사 필름 제진 장치

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