JP4177133B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製版済みのマスタを版胴の外周面に巻き付けて印刷を行う孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、加熱穿孔製版した孔版マスタ(以下、「マスタ」という)を回転自在な版胴の外周面に巻装し、版胴内部に設けられたインキ供給手段により版胴上の製版済みのマスタにインキを供給しながら、プレスローラあるいは版胴と略同径の圧胴等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押圧して、版胴開孔部、マスタ穿孔部よりインキを滲み出させて印刷を行う感熱デジタル式の孔版印刷装置が知られている。
【0003】
版胴は、多孔性の支持円筒体に、樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを複層巻装した構成を有している。以下、この明細書では、「版胴」をその外周部に備えた「印刷ドラム」として表現することとし、「版胴」のことを単に「印刷ドラム」というときがある。マスタは、孔版原紙とも呼ばれる。
マスタは、熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」というときがある)に、多孔質支持体(以下、単に「支持体」というときがある)を構成する和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維とを混抄したものを貼り合わせたラミネート構造を有している。マスタにおけるフィルムの厚みは、大体1〜3μm程度のものが一般に用いられる。上記孔版印刷装置では、マスタのフィルム面をサーマルヘッドの発熱素子に接触させ、サーマルヘッドを主走査方向に作動させ、搬送手段としてのプラテンローラ等でマスタを副走査方向に移動させながら加熱穿孔製版するようになっている。
【0004】
孔版印刷装置でのマスタを用いた印刷は、インキが支持体である例えば和紙繊維とフィルムの穿孔部を通過して印刷用紙に転移して行われるので、支持体繊維が複雑に絡み合って塊となっている部分とか、太い繊維が穿孔部分を横切っている場合などに、インキの通過が阻害されて画像のベタ部が抜けたり、細線や文字が切れたりかすれたりしてしまう「繊維目」と呼ばれる現象が発生するという不具合があった。
そこで、近年のマスタでは、繊維目を発生させる元となる支持体を除去したり、支持体の厚みを薄くしたり、支持体繊維を細くしたり、あるいは熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に樹脂からなる多孔性樹脂膜を有し、さらにその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなるマスタを開発したりすることにより、繊維目による画質劣化を低減させる試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−147075号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載のマスタを含め、マスタの強度を受け持っている支持体の厚みが薄くなったり、密度が下がったりしてくると、マスタ自体の強度(以下、「腰」というときがある)が低下してしまうことにより、以下のような問題が発生してしまう。
すなわち、孔版印刷装置では、通常、製版済みのマスタまたは未製版のマスタの先端を印刷ドラムの外周部に設けられているクランパ(保持手段)の挟持部(保持部)に搬送・給版し、さらに製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装した後に、そのマスタの支持体にインキを充填させてその製版済みのマスタを版胴の外周面に密着させる版付け工程や、あるいはこの版付け工程を行うことなく直接的かつ直ちに印刷が行われることにより、印刷ドラム上の製版済みのマスタは押圧手段としてのプレスローラ等で押し伸ばされる。以下、製版済みのマスタまたは未製版のマスタを前後の文脈から容易に区別することができるとき、単に「マスタ」というときがある。
【0007】
上記工程において、図6(b)に示すように、製版済みのマスタ8の先端を図示しない印刷ドラムのステージ106とこれに対して拡開されたクランパ107との間の挟持部に搬送・給版してそのマスタ8の先端部を挟持(クランプ)しようとする際、図6(a)に示すように、搬送されるマスタ8の先端部両脇部分である先端部両側縁部分8c(以下、「両側縁部分8c」という)がマスタ搬送部材(例えば、後述する搬送ローラ対等の給版搬送手段)などと擦れ合いながら送られることにより、腰の弱いマスタ8のうちでも比較的剛性の高い部位であるマスタ8の中央部と比較して、マスタ8の両側縁部分8cがマスタ搬送方向X1に僅かに遅れた状態で搬送され、この状態でクランパ107によりクランプされると、僅かではあるが撓みができた状態でクランプされて印刷ドラムの外周面に巻装されてしまう。これにより、その撓みとかが元になって印刷ドラムの外周表面から局部的に浮いた状態でその外周表面に滲み出たインキの粘着力で印刷ドラムの外周面に貼着されるため、またマスタ8がプレスローラ等の押圧部材による押圧時の回転負荷や、用紙などを回転搬送する時などの負荷により引っ張られ、マスタ8の両側が内側に移動することで、マスタ8の中央部にシワ8Aが発生してしまう。図6および後述する図7において、符号115は、クランパ7の基端部を固着しているクランパ軸を示す。
【0008】
従来のように腰(強度)のあるマスタでは、上記した版付け工程等で、プレスローラ等で押圧された時にインキの粘着力に打ち勝って印刷ドラム外周面上を移動できるために、マスタの浮きが押しつぶされてもシワが発生し難く、それによる印刷画像が悪化してしまうことが防止されていたが、支持体の厚みが薄いマスタ8等ではその強度が大きく低下してしまうので、押圧手段で押圧されたときに伸びが不十分で、その浮き部分が押しつぶされてマスタ8にシワ8Aが発生しやすくなってしまう問題点があった。
【0009】
特に、図7において、従来の製版給版装置において、マスタ幅方向にマスタを横切りながらマスタを切断するカッタ(切断手段)を採用している場合や、従来のクランパ107において、マスタ8の先端と当接し該先端の移動を停止させて該先端の位置決めを行うための、マスタ8のマスタ幅方向Yの両側端に亘ってクランパ107と一体的に形成された3つの突起状のストッパ107a(停止部材)を採用している場合は、マスタに発生するシワの程度がさらに大きくなったりその発生頻度が高くなったりするという問題が顕著であった。この問題に至る過程を、本発明の実施の形態を示す図1および図2を借りながら、図7(a)、(b)を参照して説明する。
上記した突起状のストッパ107aをクランパ107に形成している理由は、マスタ8の先端の位置決めを行うことができるために、製版給版装置側においてマスタ8の先端をクランパ107に向けて搬送・給版する搬送ローラ(従来の反転ローラ対もしくは給版ローラ対と呼ばれている給版搬送手段)等におけるマスタ8の送り量を制御するためのステッピングモータや電磁クラッチ等の制御対象構成要素を不要とすることができるという利点、およびそのため安価に構成できるという利点からである。
【0010】
図7(a)は、マスタ横断タイプのカッタで切断された製版済みのマスタ8がクランパ107に向けて搬送・給版されている状態を、図7(b)は、そのマスタ8の先端が3箇所の突起状のストッパ107aに当接して停止・位置決めされた後、そのマスタ8の先端部がクランパ107でクランプされ、その後、さらにそのマスタ8が印刷ドラムの外周面に巻装された後の版付け工程等において、そのマスタ8にシワ8Aが発生した状態を、それぞれ示す。
【0011】
上述したような孔版印刷装置において、図1および図2を借りて示すように、マスタ8自体の腰が弱いために、特にマスタ横断タイプのカッタ12(切断手段)を具備する場合では、その切断開始時と切断終了時とにおいて、図7(a)に示すように、マスタ8の先端側および後端側(こちらの側は問題とならないので、後述する図4等を含めその図示を全て省略する)がカッタ12横断時の切断抵抗でマスタ幅方向Yに撓みやすく、これによりマスタ8の両側縁部8cの切断面およびこの近傍がギザギザな状態等になって荒れてしまうことがあった。
【0012】
このような荒れた切断部分をその先端側の両側縁部8cに有するマスタ8の先端を3箇所の突起状のストッパ107aに当接させて位置決め・クランプする場合に、特にマスタ8自体の腰が弱いマスタ8ではストッパ107aに食い込む態様でさらに波形になりやすく、マスタ8が浮いたり、スキューした状態でクランプされてしまい、図7(a)に示すように、シワ8Aの発生をより顕著に助長させてしまうことがあった。
【0013】
そこで、印刷ドラム外周面へのマスタ巻装時等において、図6(b)や図7(b)に示したようなシワ8A発生を解決するための有効な手段としては、例えば特開昭62−73987号公報に開示されているように、版胴(1)と、マスタを切断しないで版胴(印刷ドラム)の外周面に巻装する着排版ユニット(9)とを有する装置が挙げられる。しかしながら、このような装置では、着排版ユニット(9)として、原紙供給部(12)と排版巻取部(15)と穿孔製版手段(14)とを具備しているため、構成が非常に複雑であり、また装置重量的にも重く高価なものになってしまうことが避けられないという問題を有していた。
【0014】
したがって、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成により、印刷ドラム外周面へのマスタ巻装時に発生しやすいマスタのシワ発生を防止して、良好な印刷画像品質(以下、「印刷画質」という)が得られる孔版印刷装置を提供することを主な目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項ごとの発明では次のような特徴的な手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、製版済みのマスタの先端部を保持する保持手段を備えた印刷ドラムと、該保持手段への上記製版済みのマスタの先端の給版時に、該製版済みのマスタの先端と当接し該製版済みのマスタの先端の移動を停止させるための、上記製版済みのマスタの幅方向の両側端に亘って配置された停止部材とを有する孔版印刷装置において、上記停止部材における上記幅方向の両端が、上記製版済みのマスタの両側縁部より上記幅方向の内側に位置するように短く配設されていることを特徴とする。
【0016】
ここで、停止部材の配置形態は、大まかに2通りある。第1の配置形態は、保持手段側に停止部材を配設したものであり、その構成が比較的簡素に済むという利点がある。さらに、保持手段側に停止部材を配設した形態には、請求項2における基台側に停止部材を一体的または別体的に設けた場合と、請求項2における開閉部材側に停止部材を一体的または別体的に設けた場合との2通りの場合がある。これらのうちで、開閉部材側に停止部材を一体的に設けた場合の例示が、後述する図1ないし図4および上述した図7(b)に示されており、これらではその構成が最も簡素に済むという利点がある。
第2の配置形態としては、印刷ドラムが給版可能となる給版位置に停止ないしは近接したとき、孔版印刷装置の本体側において給版位置に停止ないしは近接状態の印刷ドラムの保持手段に対して、停止部材が変位することにより製版済みのマスタの先端と当接して停止・位置決めする構成が挙げられる。この配置形態では、その構成が第1の配置形態のそれと比較して複雑なものとなる。
【0017】
「保持手段への上記製版済みのマスタの先端の給版時に、該製版済みのマスタの先端と当接し該製版済みのマスタの先端の移動を停止させるための、上記製版済みのマスタの幅方向の両側端に亘って配置された停止部材」とは、上記2つの配置形態を含んでおり、そのうちで本発明の停止部材は、「停止部材における上記幅方向の両端が、上記製版済みのマスタの両側縁部より上記幅方向の内側に位置するように短く配設されていることを特徴とする」ものである。また、「製版済みのマスタの両側縁部」とは、製版給版装置のマスタ搬送部材によって搬送・給版される際に、従来の技術で上述したような影響を受ける部位に対応していることを意味している。
さらに厳密に表現すると、停止部材は、製版済みのマスタの先端と当接し製版済みのマスタの先端の移動を停止させてそのマスタの先端の位置出し・位置決めを行うものであるから、「停止部材」を「マスタ先端位置決め部材」と名付けることもできる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、上記保持手段は、上記印刷ドラムの外周の一母線上に配置された基台と、該基台に対して開閉可能な開閉部材とからなり、上記停止部材は、上記開閉部材側に配設されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、上記製版済みのマスタの先端を上記停止部材に向けて給版搬送する給版搬送手段と、上記製版済みのマスタの先端が上記停止部材に当接する際の該先端を検知するマスタ先端検知手段と、上記製版済みのマスタの先端が上記停止部材に当接した後、その当接状態にある当接時間を計時する計時手段と、上記マスタ先端検知手段および上記計時手段からの各信号に基いて、上記当接時間が所定時間経過した時に上記保持手段を作動させて上記製版済みのマスタの先端部を保持させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の孔版印刷装置において、上記製版済みのマスタを上記幅方向に移動しながら切断する切断手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の孔版印刷装置において、繊維目による画質劣化を防止して画質向上を図る点からは、上記マスタは、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態や各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。上述した従来の技術例を含め公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、実施形態等のそれと区別するものとする。
【0023】
図1ないし図4を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
まず、図1に基づいて、本実施形態における孔版印刷装置100の構成の概要を説明する。孔版印刷装置100は、図示しない原稿の画像を読み取る周知構成の画像読取装置(スキャナ)50と、該画像読取装置50によって読み取られた画像情報または図示しないパーソナルコンピュータ等の外部接続機器により入力された画像情報に基づいてマスタ8を製版すると共に給版する製版給版装置51と、給紙台としての給紙トレイ58上の印刷用紙P(以下、「用紙P」という)を給紙する給紙装置52と、製版済みのマスタ8を外周面に巻装する印刷ドラム1と、該印刷ドラム1から剥離された印刷済みの用紙Pを吸引搬送する排紙搬送装置53と、該排紙搬送装置53により搬送された用紙Pが排出収容される排紙台としての排紙トレイ54と、印刷ドラム1の外周面から使用済みのマスタ8を剥離・排版する排版装置55等を有している。
【0024】
以下、上記各装置および印刷ドラム1周りの構成について詳述する。
製版給版装置51は、図1に示すように、図示しないホルダ部材、プラテンローラ10、サーマルヘッド11、カッタ12、搬送ローラ対13およびガイド板14を具備している。
【0025】
マスタ8は、芯材8bにロール状に巻成されたマスタロール8aから繰り出し可能になされている。マスタロール8aは、芯材8bを介して図示しないホルダ部材に回転可能に支持されている。マスタ8としては、比較的少ないインキ付着量で、印刷むらがなく、印刷物の裏汚れが少ないと共に、繊維目による画質劣化を低減させることが可能なものとして、例えば特開平10−147075号公報に記載されているマスタを用いている。すなわち、このマスタ8は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に樹脂からなる多孔性樹脂膜を有し、さらにその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなるマスタであって、その厚みが比較的薄く、かつ、比較的低強度であってその曲げ剛度が5mN以上である。具体的には、例えばフィルムの厚みが大体1〜2μm程度で、その支持体(多孔性樹脂膜および多孔性繊維膜)の厚みが25〜30μm程度で、トータルの厚み30〜35μm程度のものが使用される。マスタ8の腰の強さは、従来のマスタのそれと比較して、30〜50%程度低下している。
【0026】
マスタ8は、上記したものに限らず、次のようなマスタを用いても構わない。すなわち、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルムに、支持体として和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維とを混抄したものを接着剤で貼り合わせたラミネート構造を有しているものであって、従来のマスタ(具体的に言えば、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系等のフィルムの厚みが大体1〜2μm程度で、その支持体の厚みが45〜55μm程度で、トータルの厚み50〜60μm程度のものが使用されていた)と比較して、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であるもの(具体的に言えば、例えばフィルム構成は同じで、その支持体の厚みが25〜30μm程度で、トータルの厚み30〜35μm程度のものが使用される)を用いてもよい。このマスタ8の腰の強さは、このマスタ8の構成と同じでその厚みのみが異なる上記従来のマスタのそれと比較して、30〜50%程度低下している。
【0027】
マスタ8の繰り出し方向X1の下流には、図示しない製版部側板に回転自在に支持されたプラテンローラ10と、多数の発熱素子をその主走査方向に有する製版手段としてのサーマルヘッド11とが設けられている。マスタ8は、図示しないバネ部材等の付勢手段により付勢されたサーマルヘッド11によりプラテンローラ10に押圧されている。サーマルヘッド11は、マスタ8を介してプラテンローラ8に相対的に接離自在になされている。
プラテンローラ10は、図示しないギヤやタイミングベルト等の駆動伝達手段を介して、図2に示すステッピングモータ37に連結されている。したがって、プラテンローラ10は、ステッピングモータ37により時計回り方向に回転駆動され、これによりマスタ8がマスタロール8aから繰り出されるようになっている。ステッピングモータ37は、マスタ8を搬送するマスタ搬送手段としてのプラテンローラ10を駆動するマスタ搬送駆動手段としての機能を有する。
【0028】
プラテンローラ10のさらに下流側には、製版済みのマスタまたは未製版のマスタ8をマスタ搬送方向X1と直交するマスタ幅方向Y(図2参照)に移動しながら切断する切断手段としてのカッタ12が設けられている。カッタ12は、図2に少し詳しく示すように、例えば特開2000−6510号公報の図2ないし図5等に示されている切断手段(4)と同様のものである。すなわち、カッタ12は、切断手段本体としてのフレーム12cと、カッタ部材としての上回転刃12aと、これと同形の下回転刃12b等とを具備している。
【0029】
このような回転刃移動タイプのカッタ12は、特に孔版印刷装置や製版給版装置の小型化を図るためのレイアウト上の制約から、高さを抑えて上下方向に省スペース化を図るべく配置されていて、特開2000−6510号公報明細書の段落番号(0085)ないし(0087)に記載されている効果と同様の効果を奏する。
これに対して、マスタ搬送路に固定された固定刃と、これに対して昇降自在な可動刃とを具備するいわゆるギロチンタイプの切断手段は、上下方向に可動刃を昇降駆動するカム等の駆動手段が可動刃の上方に必要であり、高さを抑えて省スペース化を図ることができないという設計レイアウト上の制約がある。
【0030】
カッタ12は、その非作動時において、マスタ8の搬送に支障を与えないようにマスタ搬送路の片側端に待機していて、ここがカッタ12のホームポジションとなっている。
回転刃移動タイプの切断手段としては、カッタ12を採用したことによる上記した特有の利点・効果を望まなくてもよいのであれば、例えば特公平7−84086号公報に開示されているように、可動上刃と固定下刃とを有していて可動上刃が固定下刃に対してマスタ16の幅方向に回転しつつ移動するもの、実公平3−40556号公報に開示されているように、可動上刃のみを有していてこれがマスタ16に対して回転しつつ移動する構成のもの等であってもよい。
【0031】
カッタ12の下流側には、上記製版部側板に回転自在に支持された搬送ローラ対13が配設されており、該搬送ローラ対13は、互いに圧接した状態でニップ部を形成しながら回転可能に設けられている。搬送ローラ対13は、マスタ8の先端をクランパ7のストッパ7aに向けて給版搬送する給版搬送手段としての機能を有する。搬送ローラ対13の上側のローラは、導電性のゴムからなる駆動ローラであり、下側のローラは、マスタ8に損傷(ダメージ)を与えることを防止することとそのニップ部分での凹凸を防止するためにその外周表面が平滑な金属からなる金属製の従動ローラとなっている。
搬送ローラ対13の上側のローラは、図示しないギヤやタイミングベルト等の駆動伝達手段および図2に示す駆動力断接手段としての電磁クラッチ38を介して、ステッピングモータ37に連結されていて、ステッピングモータ37の回転駆動力が伝達される。電磁クラッチ38は、ローラ軸13aとこれに接続される上記ギヤやベルトプーリ(図示せず)との間に介装されている。搬送ローラ対13は、プラテンローラ10の周速度より僅かに速い周速度(マスタ搬送速度)に設定されている。
【0032】
後述するが、電磁クラッチ38は、製版済みのマスタ8の先端が印刷ドラム1のクランパ7に一体的に設けられたストッパ7aに当接した後にオフされることにより、ステッピングモータ37の回転駆動力が伝達されず、そのマスタ8の先端部がクランパ7の作動(閉動作)によってクランプされるまで、そのマスタ8の先端をストッパ7aに当接した状態を保持されるように制御される。搬送ローラ対13は、マスタ8との間で滑りながらマスタ8に適度な張力を付与するようになっている。
なお、電磁クラッチ38を除去しこれに代えて、ステッピングモータ37とは別のステッピングモータによって搬送ローラ対13の駆動ローラを回転駆動するように構成することもできる。
【0033】
搬送ローラ対13の下流側には、製版済みのマスタ8の先端部を後述するクランパ7に案内する湾曲したガイド板14が設けられている。
【0034】
図示しないが画像読取装置50の上部には、原稿を分離搬送する自動原稿搬送装置(ADF)が設けられている。画像読取装置50は、ADFにより搬送された原稿を順次自動的に搬送しながら読み取ったり、ADFを用いずに図示しないコンタクトガラス面に載置された原稿を読み取ることができる周知の構成・機能を有している。
【0035】
印刷ドラム1は、図1および図2に示すように、その外周部に配置された円筒状の版胴を有している。該版胴は、インキ通過性の多数の開孔を開けて形成された開孔部1aと非インキ通過性の非開孔部1bとからなる支持円筒体の外周に、図示しないメッシュスクリーンが複数層巻装された構成を有している。
開孔部1aおよび非開孔部1bを備えた上記支持円筒体は、例えばステンレススチール等の金属薄板で形成されている。開孔部1aは、図1および図2において梨地模様で示されており、クランパ7配置部の周辺を除くその円周上の所定の範囲にわたり形成されている。非開孔部1bは、図1および図2においてハッチングを施されて示されており、クランパ7配置部の周辺に形成されている。上記メッシュスクリーンは、上記支持円筒体の開孔部1aに略対応した領域に巻装されていて、例えば樹脂あるいは金属製網体状のインキ通過性領域部と、このインキ通過性領域部に連結したインキ不通過領域としてのレザー部とを有する。
【0036】
上記支持円筒体の両端部は、紙面の手前側および奥側に配設された端板としての図示しない一対のドラムフランジに固定されている。印刷ドラム1は、この一対のドラムフランジを介して、支軸5を兼ねるインキパイプ5の周りに回転自在に支持されている。印刷ドラム1は、例えばギヤやベルト等の周知の駆動伝達手段を介して印刷ドラム駆動手段としての駆動モータ(図示せず)に連結されており、上記駆動モータからの駆動力を伝達されて図1中矢印方向A(時計回り)に回転駆動される。上記駆動モータは、例えばDCモータからなり、孔版印刷装置本体側に固定されている。
【0037】
印刷ドラム1は、ホームポジションを兼ねる排版位置および給版位置近傍においてそれぞれ停止可能になっている。ここで、ホームポジション(排版位置)とは、クランパ7が印刷ドラム1の略左横ないしは左斜め上方に位置する印刷ドラム1の回転位置をいい、排版ローラ対30に近接した位置を意味する。給版位置とは、クランパ7が図1において略右横に位置する印刷ドラム1の回転位置をいう。
印刷ドラム1を排版位置および給版位置に位置決め停止させる構成は、例えば本願出願人が提案した特開平6−247031号公報の図1に示されているものと同様のものを採用している。すなわち、上記公報の図1に開示されているように、印刷ドラム1(上記公報では版胴5)の上記ドラムフランジに植設された排版位置を規定するための排版用位置決めピン(22)と、給版位置を規定するための給版用位置決めピン(21)と、孔版印刷本体側(上記公報の図2に示す側板23)に配設され排版用作動アーム(32)における他端側の折り曲げ(32a)部の裏側に固定された排版用位置決めピン(22)または給版用位置決めピン(21)と係合する排版および給版兼用の、らっぱ状の広い間口を持った開口部(37)およびこの開口部(37)に連通した位置決め溝(38)が形成された位置決めガイド(39)とから主に構成されている。
【0038】
孔版印刷装置100は、印刷ドラム1の回転角度、すなわち印刷ドラム1の回転位置を検出する周知の角度検出手段(回転位置検出手段)を有する。図2に示す印刷ドラム1の回転位置は、印刷ドラム1が給版位置を占めて停止している状態を表している。
【0039】
印刷ドラム1の内部には、図示しない側板がその軸線方向に間隔をおいてインキパイプ5に固定されている。これらの側板間には、インキローラ2がその軸部を支持されて回転自在に設けられている。インキローラ2は、図示しないギヤやベルト等の駆動伝達手段により、印刷ドラム1と同期して同一方向に回転駆動される。
インキローラ2の外周面と僅かな隙間をおいてドクターローラ3が設けられており、該ドクターローラ3は、インキローラ2とドクターローラ3との間の空間に形成される断面略楔状のインキ溜まり4のインキを計量しつつインキローラ2の外周面に薄膜状に供給する。インキ溜まり4のインキは、図示しないインキ供給装置により、印刷ドラム1の外部に設けられたインキパック等より吸引され、インキパイプ5の供給孔5aより滴下供給されてインキローラ2とドクターローラ3の回転により混練される。印刷ドラム1は、孔版印刷装置本体に対してその軸線方向に上記インキ供給装置および上記インキパック等と一体化されたドラムユニットを構成していて、孔版印刷装置本体に対して着脱可能となっている。
【0040】
印刷ドラム1の非開孔部1b外表面には、図1に示すように、製版済みのマスタ8の先端部を保持する保持手段を構成するステージ6およびクランパ7が配置されている。ステージ6は、マスタ挟持用の基台としての機能を有し、クランパ7は、基台としてのステージ6に対して開閉自在な開閉部材としての機能を有する。ステージ6およびクランパ7は、図3に示すように、使用される最大サイズの二点鎖線で示すマスタ8のマスタ幅方向Yの寸法よりも少なくとも長く印刷ドラム1の軸線方向に延びて設けられている。
【0041】
ステージ6は、印刷ドラム1の一つの母線に沿って、平坦面を有して設けられている。図2に詳しく示すように、ステージ6は、金属製のステージベース6aと、この上に固着され弾性状の永久磁石(例えばゴム磁石)からできている板状の磁石板6bとからなる。磁石板6bは、図2および図3において、梨地模様で示されている。ステージ6上には、これと平行に設けられたクランパ軸15を所定角度の範囲で回動可能に支持するクランパ軸支持部材6cがクランパ7の両端の外側に一対固着されている。
【0042】
クランパ7は、例えばステンレススチール等の強磁性体で形成された薄板状をなし、その基端部がクランパ軸15に固着されている。したがって、クランパ7は、クランパ軸15を中心として、その自由端部側が磁石板6bに対して揺動・開閉自在になされている。クランパ7の磁石板6bに対向する内側のマスタ挟持面は、マスタ8を確実に挟持・保持できるように適度に粗く仕上げられている。
【0043】
クランパ7には、そのマスタ挟持面より磁石板6b側へ突出した状態で、マスタ8の全幅寸法よりも短いストッパ7aが一体的に形成されている。ストッパ7aは、マスタ8の両側縁部8cよりマスタ幅方向Yの内側に位置するように短く形成された停止部材としての機能を有する。ストッパ7aは、本実施形態の例では、クランパ7と同じ薄板状の材料で形成され、断面視L字状をなし、マスタ8の両側縁部8cよりマスタ幅方向Yの内側に位置するように延在して設けられている。上記したとおり、停止部材としてのストッパ7aのマスタ幅方向Yの両端は、マスタ8の両側縁部8cよりマスタ幅方向Yの内側に位置するように短く配設されている。
【0044】
図3に示すように、ストッパ7aの一端(図3の右端)からマスタ8の先端が当接することなく開放されている距離YBは、孔版印刷装置100で使用されるマスタ8のマスタ幅方向Yのサイズ、すなわちマスタ幅サイズに合わせて約10〜50mm程度に設定される(図示しない左端側も同様)。換言すれば、距離YBは、マスタ8の各側縁部8cに対応して設定されているものである。
ステージ6側には、図2によく示されているように、実線で示す拡開したクランパ7が二点鎖線で示すように反時計回りに揺動・閉動作するときに、ストッパ7aの突出部と干渉しないように凹溝(本実施形態例では、ステージベース6a表面に対する磁石板6bの厚み段差として設定されている)が形成されている。
【0045】
ストッパ7aは、上記したようにクランパ7と同じ材料で一体形成してもよいし、同じ材料または別の材料で別体的に形成してネジ等の締結手段でクランパ7に固定してもよい。
本実施形態の例では、上記したようにクランパ7側にストッパ7aを設けたことにより、マスタ8の先端を確実に当接させるために図2において左右方向のストッパ7aの先端の長さを余裕を持って確保する必要から磁石板6bをステージベース6aに設けたのであるが、次のようにしても逆に構成してもよい。すなわち例えば、ストッパ7aをステージベース6a側に設けると共に、クランパ7側にはその揺動時にストッパ7aを逃がす開口を設けた場合には、従来と同様にクランパ7側に磁石板6bを設けると共に、クランパベース6a側を強磁性体で形成してもよい。
【0046】
クランパ軸15の一端には、特開平6−247031号公報の図8および図9に示されているクランパ駆動レバー(20)と同様のものが一体的に取り付けられている。一方、孔版印刷装置本体側には、上記特開平6−247031号公報の図1、図2、図6および図7に示されている原紙係止装置(60)と同様の、印刷ドラム1が排版位置および給版位置を占めたときにクランパ7を開閉する給版用作動アーム(25)、排版用作動アーム(32)およびラック駆動モータ(45)と同じ図2に示すラック駆動モータ45等を具備した開閉装置(図示せず)が配設されている。クランパ7は、開閉部材駆動手段としてのラック駆動モータ45等を具備した開閉装置により、印刷ドラム1が所定位置(排版位置や給版位置)を占めたときクランパ駆動レバー(20)を介してクランパ軸15が所定の角度回動されることで揺動し開閉される。
【0047】
説明が前後するが、図2は、印刷ドラム1が給版位置を占めて停止した状態での給版時の動作、すなわちクランパ7の閉じ動作によって、製版給版装置51から供給された製版済みのマスタ8の先端部がベース6側の磁石板6bとの間で挟持される前後の状態を表している。図2におけるクランパ7のマスタ挟持面と反対側の背面に対向する孔版印刷装置本体側には、搬送・給版されるマスタ8の先端がストッパ7aに当接する際のその先端(より正確にはストッパ7aと当接しないマスタ8の両側縁部8cを除くマスタ8の中央部先端)を検知するためのマスタ先端検知手段としてのマスタ先端検知センサ16が配置されている。マスタ先端検知センサ16は、発光素子および受光素子等を具備した光反射型の光学センサである。マスタ先端検知センサ16に対向するクランパ7の背面部には、マスタ先端検知センサ16からの入射光および反射光を通す開口が形成されている。また、入射光が入射する磁石板6bの表面は、その入射光を反射しないように吸収する黒色の光吸収表面状態になっている。
【0048】
図1に示すように、印刷ドラム1の下側には、印刷ドラム1上の製版済みのマスタ8に用紙Pを押圧する押圧手段21が設けられている。押圧手段21は、図示しない孔版印刷装置本体の側板に回転自在に支持されたアーム軸22aと、該アーム軸22aに一端側を固定されたプレスローラアーム対22と、該プレスローラアーム対22の他端側に軸部を支持されて回転自在に設けられたプレスローラ23を有している。
プレスローラ23の外周部は、その軸部を含む芯金にニトリルゴムやクロロプレンゴムの弾性体で円筒状に成形されている。アーム軸22aの一端側には、図示しないカムフォロアが設けられており、印刷ドラム1と同期して回転する図示しないカムに沿って図示しない引張バネ等の付勢手段により印刷ドラム1の外周面に対して接離するようになっている。プレスローラ23は、印刷時以外は図示しない係止手段(例えば、アーム軸22aの一端側に設けられた図示しない部材を介してプレスローラアーム対22を係止・保持するストッパ部材とこの部材の係止状態を解除・駆動するするソレノイド等)により印刷ドラム1から離間した実線で示す位置に保持されている。プレスローラ23は、印刷ドラム1の外周面から離間した位置より該外周面に接近して、図1に二点鎖線で示すように印刷ドラム1の外周部(版胴)の開孔部1a前縁の前方位置から印刷ドラム1の外周面に当接・圧接するように構成されている。なお、押圧手段としては、印刷ドラム1の外径と略同じ径を有する圧胴等を用いる場合もある。
【0049】
給紙装置52は、印刷ドラム1の右下側に配置されている。給紙装置52は、用紙Pを積載する昇降自在な給紙台としての給紙トレイ58と、用紙Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して給送する分離給紙手段としての給紙コロ59、60および分離コロ61と、分離給送された用紙Pを所定のタイミングで印刷ドラム1とプレスローラ23との間の印圧部にタイミングを取って搬送するレジストローラ対20を有している。
印刷ドラム1の左下側には、印刷ドラム1の外周面に選択的に接近して用紙Pを印刷ドラム1の外周表面より剥離する、軸部を中心に揺動自在な剥離爪62と、印刷ドラム1の外周表面に向けて送風する図示しない剥離ファンと、剥離爪62および上記剥離ファンで剥離された用紙Pを排紙トレイ54へ搬送する搬送排紙搬送装置53とが設けられている。搬送排紙搬送装置53は、剥離爪62および上記剥離ファンで剥離された用紙Pを各ローラ間に掛け渡された搬送ベルト63によりファン64の吸引力で吸着しながら排紙トレイ54へ排出する。
【0050】
排版装置55は、図1において、印刷ドラム1の左側に配置されており、印刷ドラム1の外周面に巻装された使用済みのマスタ8を挟持して剥離しながら引き込む排版ローラ対30を有している。排版ローラ対30は互いに圧接する排版ローラ上31と排版ローラ下33とを有しており、排版ローラ下33は図示しないギヤ列等の駆動伝達手段を介して、ステッピングモータ等の駆動手段に連結されていて、回転駆動される。
排版ローラ対30は、印刷ドラム1の軸線方向に間隔をおいて複数設けられており、各排版ローラ対30における排版ローラ上31の脇には該排版ローラ上31と同期回転する羽根部材としての羽根車32とが設けられている。
【0051】
排版ローラ対30の左側には、図示しない排版ユニット側板間に一端側を回転可能に支持され矢印方向(上下方向)に軸部を中心に揺動する圧縮部材としての圧縮板34が設けられている。圧縮板34の自由端側は、排版ローラ対30に近接した位置を通過して、排版ローラ対30により排出された剥離済みのマスタ8を押圧しながら排版ボックス35の壁面に沿って移動し、排版ボックス35の奥部に剥離されたマスタ8を移動しながら圧縮収納するようになっている。
圧縮板34は、図示しないモータ等により所定のタイミングで駆動される。排版ボックス35は、図示しない排版装置本体に対して着脱自在に設けられており、満杯になった剥離されたマスタ8を適宜廃棄できるようになっている。
【0052】
次に、図2を参照して、孔版印刷装置100の主としてマスタ給版時の制御構成を説明する。
図2において、符号24は、孔版印刷装置100の主としてマスタ給版時の制御を行う制御装置を示す。以下、説明の簡明化を図るため、孔版印刷装置100の上記制御以外の全体動作を制御するものとして図示しないメイン制御装置があり、このメイン制御装置と制御装置24とは互いに指令信号やオン/オフ信号あるいはデータ信号等を送受信しているものとして説明する。
制御装置24は、CPU(中央演算処理装置)25、RAM(読み書き可能な記憶装置)27、ROM(読み出し専用記憶装置)26、タイマ28およびI/O(入出力)ポート・I/F(インターフェース)29等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0053】
制御装置24は、適宜の電子回路からなるセンサ入力回路(図示せず)を介して、マスタ先端検知センサ16からのオン/オフ信号を受信する。制御装置24は、各種のモータ駆動回路や電磁クラッチ駆動回路を介して、ステッピングモータ37、ラック駆動モータ45、電磁クラッチ38に、指令信号を送信して後述する特徴的な制御を行う。
【0054】
RAM27は、CPU25での演算結果を一時記憶したり、マスタ先端検知センサ16から入力されたオン/オフ信号を随時記憶する。ROM26には、後述する特徴的な制御動作を実行するためのプログラムや、マスタ8の先端がストッパ7aへ当接している間の当接時間、すなわち所定時間に係る関係データ等が予め記憶されている。上記プログラムや関係データ等の設定や変更は、ROM26へ予めデータで与えたり、あるいはROMチップの交換等で行われる。
タイマ28は、マスタ8の先端がストッパ7aに当接した後、その当接状態にある当接時間を計時する計時手段としての機能を有する。さらに具体的には、タイマ28は、マスタ8の先端がストッパ7aに当接したことをマスタ先端検知センサ16がオン検知したときからのその当接状態にある当接時間を計時するものである。
【0055】
CPU25(以下、説明の簡明化のために「制御装置24」というときがある)は、プラテンローラ10および搬送ローラ対13の上記駆動ローラの回転によりマスタ8の先端がストッパ7aに当接するようにステッピングモータ37を制御する制御手段としての制御機能を有する。
また、制御装置24は、マスタ先端検知センサ16からのマスタ8先端検知に係るオン信号およびタイマ28からの当接時間に係る信号に基いて、マスタ8の先端がストッパ7aに当接した時からその当接時間が所定時間経過するまで、ステッピングモータ37の回転駆動力が搬送ローラ対13の上記駆動ローラへ伝達されないように電磁クラッチ38をオフ制御すると共に、上記当接時間が所定時間経過した時に、クランパ7が作動(閉動作)するようにラック駆動モータ45を制御する制御手段としての機能を有する。
【0056】
ここで、上記当接時間に係る「所定時間」は、マスタ8の腰の程度およびプラテンローラ10や搬送ローラ対13の仕様の相違によってマスタ8が搬送・給版される際のその両側縁部の状態、ならびにマスタ8の腰の程度およびカッタ12の切断動作後にマスタ8が搬送・給版される際のその両側縁部の状態と、製版給版装置51における搬送ローラ対13の周速度(マスタ搬送速度)などで変動するものなので、それらの製版給版条件に基づいて実験等によって適正な長さの所定時間に決定・設定される。
【0057】
次に、孔版印刷装置100の動作を説明する。
孔版印刷装置100の初期状態としては、印刷ドラム1の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ8が装着されたまま残っていて、印刷ドラム1はクランパ7が図2における略左横ないしは左斜め上方に位置する印刷ドラム1の回転位置、すなわち印刷ドラム1のホームポジションである排版位置を占めて停止している。
この初期状態で、図示しないADFに原稿がセットされて、図示しない操作パネルに配設されているスタートボタン等が押されること等によりスタート信号が出され、これがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。
【0058】
上記スタート信号がトリガとなって、クランパ7を開閉駆動する図示しない開閉装置のラック駆動モータ45が起動することによりクランパ7がステージ6から開放され、回転している排版ローラ対30により使用済みのマスタ8の先端部をくわえ込まれ、印刷ドラム1の外周面から剥離された後、上記開閉装置が作動することによりクランパ7が閉じられると、直ちに上記駆動モータが起動されることにより、印刷ドラム1が支軸5の周りに矢印A方向(時計回り方向)に回転を始め、これと同時に排版ローラ対30が回転駆動されることで、剥離済みのマスタ8は印刷ドラム1の回転と共に、排版ローラ上31と排版ローラ下33との間に挟持されて羽根車32により排版ローラ上31との貼り付きを防止されながら印刷ドラム1の表面から剥離され、圧縮板34と排版ボックス35との空間部に蛇腹状に折り畳まれながら収納される。
【0059】
使用済みのマスタ8の印刷ドラム1の外周表面からの剥離が完了すると、印刷ドラム1はクランパ7が図2において略右横に位置する給版位置に達するまで回転して停止する。印刷ドラム1が給版位置に停止した状態において、上記開閉装置が作動することにより、ステージベース6aに対してクランパ軸15が時計回りに回転されることで、クランパ7が拡開され給版待機状態となる。
【0060】
給版待機状態になると原稿が画像読取装置50に搬送され、CCD、A/D変換器、製版制御装置等を経由して画像情報に応じてサーマルヘッド11の発熱素子にパルス状に通電がなされる。そして、サーマルヘッド11を主走査方向に作動させると共に、ステッピングモータ37が回転駆動されてプラテンローラ10および搬送ローラ対13等によりマスタ8を副走査方向に搬送しながら、マスタ8のフィルム部分が加熱穿孔される製版が行われる。この時、制御装置24によって電磁クラッチ38がオン制御されており、ステッピングモータ37の回転駆動力が搬送ローラ対13に伝達されている。
【0061】
ガイド板14により、製版済みのマスタ8の先端がステージ6における磁石板6bとクランパ7との間に案内されつつ搬送給版され、ステッピングモータ37のステップ数およびマスタ先端検知センサ16からのオン信号に基づいて、制御装置24によってマスタ8の先端がストッパ7aに届いて当接したか否かが判断される。
この時に搬送・給版されるマスタ8の先端側の両側縁部8cは、図7(a)に示したように、カッタ12によって、荒れたギザギザ状あるいは凹凸状にその整列度が悪化した状態に切断されている。これは、マスタロール8aに巻かれたマスタ8が消費されてしまったときや搬送ジャムを生じたとき等における、新しいマスタロール8aと交換された後や搬送ジャム処理後にも、そのマスタ8の先端が確実に位置出しされるように必ず切断されるからである。
【0062】
マスタ8の先端(より正確にはストッパ7aと当接しないマスタ8の両側縁部8cを除くマスタ8の中央部先端)がストッパ7aに届いて当接したことが判断されると同時に、マスタ先端検知センサ16からのオン信号およびタイマ28からの当接時間に係る信号に基いて、制御装置24によってマスタ8の先端がストッパ7aに当接した時からその当接時間が所定時間経過するまで、ステッピングモータ37の回転駆動力が搬送ローラ対13の上記駆動ローラへ伝達されないように電磁クラッチ38がオフ制御されることで、搬送ローラ対13の回転が停止されて、マスタ8の先端がストッパ7aに当接した状態が保持される。マスタ8の先端がストッパ7aに届いて当接された時から保持されている間、マスタ8のストッパ7aと当接していない両側縁部8cは、図3に示すように距離XAだけ押し込まれた状態にある。
【0063】
制御装置24によって、上記当接時間が所定時間経過したと判断された時に、クランパ7が作動(閉動作)するようにラック駆動モータ45が制御されることにより、クランパ7が閉じられて、マスタ8の先端部が磁石板6bとクランパ7との間で吸着挟持される。
この製版済みのマスタ8の先端部の挟持と共に、印刷ドラム1がマスタ8の搬送速度と略同じ周速度で回転を再開し、製版済みのマスタ8を印刷ドラム1の外周面へ巻き付けるマスタ巻装動作が行われる。
【0064】
このマスタ巻装動作時、上述したようにマスタ8のストッパ7aと当接していない両側縁部8cが図3に示す距離XA分だけ僅かに押し込まれた状態で挟持されていると共に、またカッタ12の切断によって荒れたギザギザ状あるいは凹凸状に整列度が悪化した状態のマスタ8の両側縁部8cが開放されて押し込まれた状態にあるので、マスタ8の各側縁部8cには外側に曲がろうとする力が作用することとなり、図4に示すようにマスタ8の両側縁部8cはマスタ幅方向Yに伸長された状態で印刷ドラム1外周の開孔部1aから滲み出たインキの粘着力によて貼り付きながら連続的に巻き付けられていく。なお、図4は、マスタ8の両側縁部8cの全体の様子を理解しやすくするように、カッタ12による荒れたギザギザ状あるいは凹凸状態を簡略的な直線状態で表している。
【0065】
またこの時、マスタ8は停止している搬送ローラ対13の間を滑りながら、印刷ドラム1の回転と共に搬送移動・給版されることで適度な張力を付加され、撓みが少ない状態で巻装される。
【0066】
ステッピングモータ37のステップ数より製版が終了したと判断されると、カッタ12が作動してマスタ8が切断されると共に、プラテンローラ10が停止し、切断されたマスタ8の後端が印刷ドラム1の回転により製版給版装置51より完全に引き出されると、印刷ドラム1への1版のマスタ巻装動作が完了する。
【0067】
印刷ドラム1への製版済みのマスタ8の巻装が完了すると、給紙コロ59、60が作動することにより、給紙コロ60と分離コロ61との分離作用によって給紙トレイ58から用紙Pが1枚だけ分離されて用紙搬送方向Xに給送され、所定のタイミングで回転するレジストローラ対20により印刷ドラム1とプレスローラ23との間に向けて搬送される。図示しない用紙センサにより用紙Pの進入が検知されると、押圧手段21の図示しない係止手段が解除されることにより、プレスローラ23が図示しないカムの回転によって上昇し、印刷ドラム1上の製版済みのマスタ8に用紙Pを押圧し、マスタ8にインキを充填する版付けが行われる。
用紙Pは、印刷ドラム1に接近・離間する剥離爪62により印刷ドラム1の外周表面から剥離され、排紙搬送装置53等により搬送されて排紙トレイ54に排出積載される。その後、上記操作パネルに配設されている図示しないテンキー等により印刷枚数が入力設定され、次いで図示しない印刷スタートボタンが押されることにより、設定された印刷枚数の通常の印刷が上記したと略同じ動作で行われる。通常の印刷が上記版付け時の印刷と相違する主な点は、印刷速度が、前者では図示しない印刷速度設定キー等により設定された速度で比較的速い印刷速度で行われのに対し、後者では比較的遅い速度で行われる点にある。
【0068】
図5に、本実施形態の変形例を示す。
この変形例は、図1ないし図4に示した停止部もしくは停止部材としてのストッパ7aの両端がマスタ幅方向Yに連続的に延びて形成された形状に代えて、ストッパ7aのマスタ幅方向Yの両端の位置を変更せずに、マスタ幅方向Yに所定の幅を持って断続的に分割した状態でクランパ7の挟持面側に一体的に形成したストッパ7a’(停止部もしくは停止部材)を有することのみ相違する。
【0069】
図5に示したように、マスタ幅方向Yに所定の幅を持って断続的に分割したストッパ7a’であっても、その分割されたストッパ7a’の形状が、図7に示したようなマスタ8の先端が食い込んでしまうような突起状のストッパ107aでない限り、上記実施形態と同様の後述する作用・効果を奏することは言うまでもない。適宜分割されたストッパ7a’は、材料の節減や軽量化を図れる利点がある。要するに、停止部もしくは停止部材としてのストッパは、そのマスタ幅方向Yの両端が、給版搬送手段や切断手段の影響を受けることにより、マスタ8の中央部よりもさらに腰が弱く不安定な整列度を有し給版時においてマスタ8の中央部先端よりも先にストッパに当接してしまう製版済みのマスタ8の両側縁部8cよりマスタ幅方向Yの内側に位置するように短く配設されていればよい。
【0070】
本実施形態や変形例によれば、給版時において製版済みのマスタ8の両側縁部8cを避けたマスタ8の中央部先端を停止させてその位置決め機能を有する停止部もしくは停止部材としてのストッパ7a、7a’を有することにより、図6や図7を参照して説明したようなシワ8Aの発生を未然に防止することができる。
【0071】
また、給版時において製版済みのマスタ8の先端を停止させてその位置決め機能を有する停止部もしくは停止部材としてのストッパ7aや7a’を有すると共に、ステッピングモータ37へ供給するパルス数(もしくはステップ数)およびマスタ先端検知センサ16からマスタ8の先端がステージ6とクランパ7との間の挟持部へ到達したことを確実かつ信頼性高く判断しているので、マスタ8の先端の位置出し精度は優れたものとなる。
これと比較して、保持手段に停止部もしくは停止部材を有していない従来の孔版印刷装置では、ステッピングモータへ供給するパルス数(もしくはステップ数)からマスタ8の先端が保持手段の挟持部へ到達したことを半ば推定し判断しているので、マスタ8の先端の位置出し精度は多少劣る結果となる。このように、ストッパ7a、7a’を有する場合、マスタ8の先端の位置がストッパ7a、7a’によって常に規制されるので、ストッパ7a、7a’が無いタイプよりは位置決め精度が向上することとなる。
【0072】
したがって、本実施形態および変形例は、上述した構成に限らず、例えば切断手段を挟んでマスタ搬送路の上流側に一対のテンションローラを配設すると共に下流側に一対の搬送ローラ(給版ローラもしくは反転ローラ)を配設し、かつ、ストッパ7aまたは7a’を有するような場合では、クランパ7によるマスタ8先端のクランプ時の位置出し(クランプレジスト)を上記搬送ローラを一定時間駆動させるためのステッピングモータや電磁クラッチを不要として、単一のステッピングモータ37で制御することも可能となるから、より簡素な構成にして安価に構成することもできる。
本発明の切断手段は、上記した回転刃移動タイプのものに限らず、回転刃移動タイプの切断手段を採用することによる利点をそれ程望まなくてもよいのであれば、可動刃が固定刃に対して昇降するギロチンタイプのカッタでもよい(請求項1ないし3参照)。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する問題を解決して新規な孔版印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1、4および5記載の発明によれば、停止部材におけるマスタの幅方向の両端が、製版済みのマスタの両側縁部よりマスタの幅方向の内側に位置するように短く配設されているという簡素な構成により、例えば製版済みのマスタを搬送・給版する際の搬送ローラ等のマスタ搬送部材との擦れ合いによって製版済みのマスタの中央部よりも腰が弱いその両側縁部で生じる不安定な整列度を有する部分を避けて開放した状態で、製版済みのマスタの両側縁部よりも腰があり安定した整列度を有するその中央部先端を先に停止部材に当接させた状態にして、保持手段で保持するようにしたので、マスタ巻装時の撓みやスキューによるマスタの浮きが低減され、押圧時に押しつぶされてシワになってしまうことが未然に防止され、ひいては良好な印刷画質が得られる。
特に、製版済みのマスタをマスタの幅方向に移動しながら切断する切断手段を有する場合では、マスタ切断時にその切断面近傍が荒れやすい切断開始部分と切断終了部分に対応したマスタの両側縁部を避けて開放した状態で、製版済みのマスタの両側縁部よりも腰があり安定した整列度を有するその中央部先端を先に停止部材に当接させた状態にして、保持手段で保持するようにしたので、上記効果が顕著になる。
さらに加えて、繊維目による画質劣化を防止して画質向上を図る点から用いられるような厚みが比較的薄く、かつ、低強度であるマスタを使用した場合には、上記効果がさらに顕著になる。
【0074】
請求項2記載の発明によれば、請求項1、4または5記載の発明の各効果に加えて、保持手段は、印刷ドラムの外周の一母線上に配置された基台と、該基台に対して開閉可能な開閉部材とからなり、停止部材を開閉部材側に配設したことにより、最も簡素な構成で上記各効果を奏する。
【0075】
請求項3記載の発明によれば、制御手段は、マスタ先端検知手段および計時手段からの各信号に基いて、製版済みのマスタの先端が停止部材に当接している当接時間が所定時間経過した時に保持手段を作動させて製版済みのマスタの先端部を保持させることにより、請求項1または2記載の発明の各効果に加えて、製版済みのマスタの両側縁部が停止部材の影響を受けることなく開放された状態でその中央部より確実に前方に進入することができるようになり、製版済みのマスタにはその両側縁部が外側に曲がろうとする力が作用することとなって、マスタの幅方向に張った状態でマスタの先端部より印刷ドラムに巻装できるようになるので、マスタ巻装時の撓みやスキューによるマスタの浮きがより確実に低減され、押圧時に押しつぶされてシワになってしまうことがより確実に未然に防止され、ひいてはより良好な印刷画質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置全体の一部断面正面図である。
【図2】図1の孔版印刷装置における給版時の主な制御構成およびマスタ給版時動作を示す一部断面拡大正面図である。
【図3】図1の孔版印刷装置におけるクランパ、ストッパによるマスタ巻装時動作をクランパの一部を破断して示す拡大平面図である。
【図4】図3におけるステージおよびクランパ軸を省略した図であって、クランパ、ストッパによるマスタ巻装時動作をクランパの一部を破断して簡略的に示す平面図である。
【図5】変形例におけるクランパ、ストッパ周りの要部構成および給版時動作を一部破断して示す拡大平面図である。
【図6】従来の問題点を説明するための、マスタの搬送給版時およびマスタ巻装時動作を一部破断して示す平面図である。
【図7】従来の問題点を説明するための、回転刃移動タイプのカッタで切断されたマスタの搬送給版時およびマスタ巻装時動作を一部破断して示す平面図である。
【符号の説明】
1 印刷ドラム
6 保持手段を構成する基台としてのステージ
6b 磁石板
7 保持手段を構成する開閉部材としてのクランパ
7a、7a’ 停止部材ないしはマスタ先端位置決め部材としてのストッパ
8 マスタ(孔版原紙)
8c 側縁部
12 切断手段としてのカッタ
13 給版搬送手段としての搬送ローラ対
15 クランパ軸
16 マスタ先端検知手段としてのマスタ先端検知センサ
24 制御手段としての制御装置
28 計時手段としてのタイマ
37 マスタ搬送駆動手段としてのステッピングモータ
38 駆動力断接手段としての電磁クラッチ
45 開閉部材駆動手段としてのラック駆動モータ
51 製版給版装置
100 孔版印刷装置
X1 マスタ搬送方向
Y マスタ幅方向

Claims (5)

  1. 製版済みのマスタの先端部を保持する保持手段を備えた印刷ドラムと、該保持手段への上記製版済みのマスタの先端の給版時に、該先端と当接し該先端の移動を停止させるための、上記製版済みのマスタの幅方向の両側端に亘って配置された停止部材とを有する孔版印刷装置において、
    上記停止部材における上記幅方向の両端が、上記製版済みのマスタの両側縁部より上記幅方向の内側に位置するように短く配設されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 請求項1記載の孔版印刷装置において、
    上記保持手段は、上記印刷ドラムの外周の一母線上に配置された基台と、該基台に対して開閉可能な開閉部材とからなり、
    上記停止部材は、上記開閉部材側に配設されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
    上記製版済みのマスタの先端を上記停止部材に向けて給版搬送する給版搬送手段と、
    上記製版済みのマスタの先端が上記停止部材に当接する際の該先端を検知するマスタ先端検知手段と、
    上記製版済みのマスタの先端が上記停止部材に当接した後、その当接状態にある当接時間を計時する計時手段と、
    上記マスタ先端検知手段および上記計時手段からの各信号に基いて、上記当接時間が所定時間経過した時に上記保持手段を作動させて上記製版済みのマスタの先端部を保持させる制御手段と、
    を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  4. 請求項1、2または3記載の孔版印刷装置において、
    上記製版済みのマスタを上記幅方向に移動しながら切断する切断手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  5. 請求項1、2、3または4記載の孔版印刷装置において、
    上記マスタは、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であることを特徴とする孔版印刷装置。
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