JP2007276229A - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔性支持体が薄く強度が低いマスタを用いた場合あるいは低強度のレジストローラ対を用いた場合であっても、マスタへのしわの発生を防止して良好な印刷を継続して行うことが可能な孔版印刷装置を提供する。
【解決手段】版胴5と、用紙Pを分離給送する給紙部4と、用紙Pを版胴5に押圧するプレスローラ6とを有する孔版印刷装置1において、給紙部4は版胴5とプレスローラ6との間に向けて用紙Pを所定のタイミングで給送する互いに圧接した第1ローラ26aと第2ローラ26bとを有するレジストローラ対26を具備し、用紙Pの先端が各ローラ26a,26bの圧接部を通過した後に各ローラ26a,26bの圧接力を低減する構成とした。
【選択図】図1
【解決手段】版胴5と、用紙Pを分離給送する給紙部4と、用紙Pを版胴5に押圧するプレスローラ6とを有する孔版印刷装置1において、給紙部4は版胴5とプレスローラ6との間に向けて用紙Pを所定のタイミングで給送する互いに圧接した第1ローラ26aと第2ローラ26bとを有するレジストローラ対26を具備し、用紙Pの先端が各ローラ26a,26bの圧接部を通過した後に各ローラ26a,26bの圧接力を低減する構成とした。
【選択図】図1
Description
本発明は版胴上にマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷装置に関し、詳しくは印刷部へ用紙を給送する給紙機構に関する。
多孔性の支持円筒体からなる版胴と、熱可塑性樹脂フィルムに多孔性支持体を貼り合わせたラミネート構造のマスタとを用い、マスタの熱可塑性樹脂フィルム面をサーマルヘッドで加熱溶融穿孔製版した後に版胴に巻装し、版胴内部に設けられたインキ供給手段により版胴の内周面に適量のインキを供給し、プレスローラや圧胴等の押圧部材で用紙を版胴に押圧することにより、版胴開孔部及びマスタ穿孔部より滲出したインキを用紙に転写させることにより印刷を行うデジタル式感熱孔版印刷装置がよく知られている。
この孔版印刷装置では、押圧部材として一般的にプレスローラが用いられており、版胴上に巻装されたマスタの製版領域と合致する所定のタイミングで用紙を版胴に押圧することにより用紙上に製版画像が転写される。この所定のタイミングで用紙をプレスローラと版胴との間に給送する手段として、通常はレジストローラ対が用いられている。このレジストローラ対は版胴の回転周期に合わせて回転駆動され、版胴1回転毎に通常は1枚の用紙を所定のタイミングで版胴とプレスローラとの間に向けて給送する。このようなレジストローラ対として、版胴と同期して回転するカムにより回転駆動するレジストローラ対を有する孔版印刷装置が例えば「特許文献1」に、また版胴駆動手段とは独立したモータにより回転駆動するレジストローラ対を有する孔版印刷装置が例えば「特許文献2」にそれぞれ開示されている。
上述の孔版印刷では、印刷に使用されるインキはマスタを構成する多孔性支持体の隙間及び熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を通過して用紙に転写される。ここで多孔性支持体の厚みが大きい場合には、多孔性支持体の内部に入り込んだまま廃棄されるインキ量が多くなりコストアップしてしまうという問題点、多孔性支持体の繊維が複雑に絡み合っている部分あるいは太い繊維が穿孔部を横切っている部分では画像のべた部が抜けたり画像が切れたりかすれたりする一般的に繊維目と呼ばれる現象が発生するという問題点があった。そこで、廃棄されるインキ量の低減及び繊維目の発生防止を図るため、多孔性支持体の厚みを小さくしたり繊維自体を細くしたりする試みがなされている。しかし、マスタの強度を受け持っている多孔性支持体の厚みが減少したり密度が低下したりすると、マスタ自体の強度が低下して通常のマスタに比して伸び易くなってしまう。
「特許文献1」に開示されているような従来の孔版印刷装置では、用紙の先端が版胴とプレスローラとのニップ部をある程度通過するまでは用紙の搬送をレジストローラ対の回転力によって行っており、その後はレジストローラ対による用紙搬送が終了して版胴とプレスローラとの押圧(版胴回転力)により用紙が搬送される。この版胴回転力によって用紙が搬送される際に用紙の後端は未だ給紙部内に残っているため、分離給送部材間での挟持による負荷、給紙ローラとの接触による摩擦負荷、給紙ローラの回転負荷等の負荷が用紙後端に掛かることにより、用紙と接触している版胴上のマスタが用紙搬送方向後方に向けて徐々に伸ばされ、マスタ後半部にしわが発生したり穿孔部分から破れたりしてしまうという問題点がある。
また、「特許文献2」に開示されたようにレジストローラ対をモータによって版胴とは別駆動している場合には、高速回転時におけるモータ脱調等の不具合が発生することを防止するために回転部のイナーシャ低減に伴う軽量化が必要であり、ローラ単体の強度をあまり高めることができない。このためレジストローラ対が互いに圧接して用紙を搬送する際に図8に示すように各ローラが撓むことがあり、この撓みにより各ローラ間の接触圧が不均一となって各ローラ間における用紙搬送速度が異なることにより用紙が波形に変形し易くなる。用紙が変形した状態で版胴とプレスローラとの圧接部に送り込まれると、印刷時において用紙の変形が伸ばされることにより用紙と接触しているマスタに負荷が掛かり、マスタにしわが発生したり破れたりして印刷不良が発生してしまうという問題点がある。
本発明は上述の問題点を解決し、多孔性支持体が薄く強度が低いマスタを用いた場合あるいは低強度のレジストローラ対を用いた場合であっても、マスタへのしわの発生を防止して良好な印刷を継続して行うことが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、版胴と、用紙を分離給送する給紙部と、前記用紙を前記版胴に押圧するプレスローラとを有する孔版印刷装置において、前記給紙部は前記版胴と前記プレスローラとの間に向けて前記用紙を所定のタイミングで給送する互いに圧接した第1ローラと第2ローラとを有するレジストローラ対を具備し、前記用紙の先端が前記各ローラの圧接部を通過した後に前記各ローラの圧接力を低減することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記給紙部は前記用紙を分離給送する分離給送手段を有し、前記レジストローラ対による前記用紙の給送を前記用紙の後端が前記分離給送手段を抜ける位置まで継続することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の孔版印刷装置において、さらに低減後における前記各ローラの圧接力は、前記分離給送手段の用紙搬送抵抗力よりも前記レジストローラ対の用紙搬送力が大きくなるように設定されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記各ローラの圧接力を低減する手段としてカムが用いられることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記各ローラの圧接力を低減する手段としてソレノイドが用いられることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記各ローラが接離自在であることを特徴とする。
本発明によれば、分離給送された用紙がレジストローラ対に向けて送られたときにはレジストローラ対の第1ローラと第2ローラとは互いに最大付勢力によって圧接されているため、送られた用紙の先端が各ローラ間に入り込むことなく確実に用紙の先端位置決めを行うことができ、その後、レジストローラ対が用紙を送り出した直後には各ローラが互いに用紙の後端に作用する用紙搬送抵抗力よりも僅かに大きい圧接力で圧接するため、レジストローラ対に撓みが生じることなく用紙へのしわの発生が防止されて良好な印刷を行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態を採用した孔版印刷装置の要部概略正面図である。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4等を有している。
印刷部2は、図示しない装置本体のほぼ中央に位置し図示しない版胴駆動手段によって図1において時計回り方向に回転駆動される版胴5と、版胴5の外周面に対して接離自在に設けられたプレスローラ6とを有している。
版胴5は、その両側縁部を図示しない一対の端板の各周面にそれぞれ取り付けられた多孔性支持板5aと、多孔性支持板5aの外周に複数層巻装された図示しないメッシュスクリーンとを有しており、多孔性支持板5aには複数の開孔5bを有する開孔部が形成されている。多孔性支持板5aの非開孔部には、版胴5の一母線に沿った平面をなすステージ部7が設けられており、ステージ部7上には支軸8aによって回動自在に支持されたクランパ8が配設されている。クランパ8は、版胴5が所定位置を占めた際に図示しない開閉手段によって開閉される。
版胴5は、その両側縁部を図示しない一対の端板の各周面にそれぞれ取り付けられた多孔性支持板5aと、多孔性支持板5aの外周に複数層巻装された図示しないメッシュスクリーンとを有しており、多孔性支持板5aには複数の開孔5bを有する開孔部が形成されている。多孔性支持板5aの非開孔部には、版胴5の一母線に沿った平面をなすステージ部7が設けられており、ステージ部7上には支軸8aによって回動自在に支持されたクランパ8が配設されている。クランパ8は、版胴5が所定位置を占めた際に図示しない開閉手段によって開閉される。
版胴5の内部にはインキ供給手段9が配設されている。インキ供給手段9は、版胴5の支軸を兼用するインキ供給パイプ10、インキローラ11、ドクターローラ12等を有している。
インキ供給パイプ10は図示しない一対の端板間に設けられており、図示しない軸受を介して各端板をそれぞれ回転自在に支持している。インキ供給パイプ10には図示しないインキポンプ及びインキパックが接続されており、インキポンプの作動によりインキパック内のインキがインキ供給パイプ10に複数穿設されたインキ供給孔10aから版胴5の内部に供給される。
インキ供給パイプ10は図示しない一対の端板間に設けられており、図示しない軸受を介して各端板をそれぞれ回転自在に支持している。インキ供給パイプ10には図示しないインキポンプ及びインキパックが接続されており、インキポンプの作動によりインキパック内のインキがインキ供給パイプ10に複数穿設されたインキ供給孔10aから版胴5の内部に供給される。
インキローラ11は、図示しない一対の端板間に配設されそれぞれインキ供給パイプ10に固設された図示しない一対の側板間に回転自在に支持されており、図示しない回転駆動手段によって版胴5と同期して同方向に回転駆動される。インキローラ11は、その周面と版胴5の内周面との間に僅かな隙間が生じる位置に配設されている。
インキローラ11の近傍にはドクターローラ12が配設されている。ドクターローラ12もインキローラ11と同じ図示しない側板間に回転自在に支持されており、図示しない回転駆動手段によってインキローラ11と同期して逆方向に回転駆動される。ドクターローラ12は、その周面とインキローラ11の周面との間に僅かな隙間が生じる位置に配設されている。
インキローラ11とドクターローラ12との近接部には断面楔形状の空間が形成され、この空間にインキ供給孔10aから供給されたインキが溜まることによりインキ溜まり13が形成される。インキ溜まり13のインキは、インキローラ11とドクターローラ12との近接部を通過する際にインキローラ11の周面上に薄層状に供給され、後述するプレスローラ6によって版胴5が押圧された際にインキローラ11の周面と版胴5の内周面とが接触することにより版胴5の内周面に供給される。
版胴5の下方にはプレスローラ6が配設されている。版胴5の軸方向長さとほぼ同じ長さを有し、芯部6aの周囲にゴム等の弾性体を巻成してなるプレスローラ6は、芯部6aの両端を一対のプレスローラアーム14の一端間にそれぞれ回転自在に支持されている。板状部材である一対のプレスローラアーム14は、図示しない装置本体に回転自在に支持されたプレスローラ軸15にそれぞれの他端を固着されており、図示しないプレスローラ揺動手段によってそれぞれ一体的に揺動される。この揺動によりプレスローラ6は、その周面を版胴5の外周面から離間させる図1に示す離間位置と、その周面を所定の押圧力で版胴5の外周面に圧接させる押圧位置とを選択的に占める。
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、図示しないマスタ貯容手段、プラテンローラ16、サーマルヘッド17、マスタ切断手段18、マスタ搬送ローラ対19、マスタガイド板20等を有している。
図示しないマスタ貯容手段は製版部3の図示しない一対の側板にそれぞれ設けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタ21をロール状に巻成したマスタロール21aの芯部21bを回転自在かつ着脱自在に支持する。
マスタロール21a配設位置の左方にはプラテンローラ16が配設されている。プラテンローラ16はその軸方向長さがマスタ21の幅とほぼ同じ長さに形成されており、装置本体の図示しない側板間に回転自在に支持されている。プラテンローラ16はステッピングモータ22から駆動力を伝達され、図1において時計回り方向に回転駆動される。
プラテンローラ16の下方にはサーマルヘッド17が配設されている。サーマルヘッド17は、その幅がプラテンローラ16の幅方向長さよりも大きく形成され、その上面には複数の発熱素子が配設されており、この発熱素子面をプラテンローラ16に圧接させるように図示しない付勢手段によって付勢されている。各発熱素子は図示しないサーマルヘッドドライバによってその作動を個々に制御され、このサーマルヘッドドライバには装置本体の上部に設けられた図示しない画像読取部からの画像情報に応じた作動信号が送られる。
プラテンローラ16及びサーマルヘッド17の左方にはマスタ切断手段18が配設されている。マスタ切断手段18は、図示しない装置本体に固定されその幅がマスタ21の幅よりも大きく形成された下刃18aを有する図示しない下刃ホルダと、下刃18a上をマスタ21の幅方向に移動する回転自在な上刃18bを有する図示しない上刃ホルダとからなる周知の構成である。
マスタ切断手段18の左方にはマスタ搬送ローラ対19が配設されている。マスタ搬送ローラ対19は、共に図示しない側板間に回転自在に支持された駆動ローラ19a及び従動ローラ19bを有しており、図示しない駆動手段により回転駆動される駆動ローラ19aとこれに圧接された従動ローラ19bとによってマスタ21を挟持して搬送する。マスタ搬送ローラ対19の左方には、図示しない側板間に固定されマスタ搬送ローラ対19によって搬送されるマスタ21を版胴5へと案内するマスタガイド板20が配設されている。
版胴5の右下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ23、給紙ローラ24、分離給送手段25、レジストローラ対26等を有している。
その上面に多量の用紙Pを積載可能な給紙トレイ23は図示しない装置本体に昇降自在に支持されており、図示しないトレイ昇降手段の作動によって昇降される。
その上面に多量の用紙Pを積載可能な給紙トレイ23は図示しない装置本体に昇降自在に支持されており、図示しないトレイ昇降手段の作動によって昇降される。
給紙トレイ23の上方には給紙ローラ24が配設されている。周面に摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ24は、装置本体の図示しない側板間に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されている。この図示しないブラケットには図示しない付勢手段が設けられており、給紙ローラ24は給紙トレイ23が給紙位置まで上昇したときに、給紙トレイ23上の最上位の用紙Pに所定の圧接力で圧接される。給紙ローラ24には図示しない給紙モータが接続されており、この給紙モータの作動により給紙ローラ24は所定のタイミングで図1において時計回り方向に回転駆動される。
給紙ローラ24の左方には、分離ローラ25aと分離部材25bとを有する分離給送手段25が配設されている。周面に高摩擦抵抗部材を有する分離ローラ25aは上述した図示しないブラケットに回転自在に支持されており、この図示しないブラケットは分離ローラ25aの支軸25cを中心として揺動自在に支持されている。分離ローラ25aはベルトあるいはチェーン等の駆動力伝達部材を介して給紙ローラ24に接続されており、上述した図示しない給紙モータの作動により給紙ローラ24と同期して同方向に回転駆動される。
分離ローラ25aの下方には、高摩擦抵抗部材からなる分離部材25bが配設されている。分離部材25bは装置本体の図示しない側板間に上下動自在に支持されており、図示しない付勢手段によって所定の圧接力で分離ローラ25aに圧接されている。
給紙ローラ24及び分離給送手段25よりも用紙搬送方向下流側には、第1ローラである駆動ローラ26aと第2ローラである従動ローラ26bとを有するレジストローラ対26が配設されている。駆動ローラ26aは装置本体の図示しない側板間に回転自在に支持されており、図示しないステッピングモータによって所定のタイミングで停止状態から徐々に版胴5の周速度に合わせて加速して回転駆動される。図示しないステッピングモータは、後述する構成によって駆動ローラ26aと従動ローラ26bとが離間した際にその作動を停止される。
従動ローラ26bは、一端を支軸27によって揺動自在に支持された支持アーム28の他端に回転自在に支持されており、支持アーム28の一端には図2に示すように一端に回転自在なカムフォロア29aを有する上下アーム29の他端が固着されている。上下アーム29には一端を装置本体に固着された引張ばね30の他端が取り付けられており、支持アーム28は従動ローラ26bの周面を駆動ローラ26aの周面に当接させる向きに付勢されている。
図2においてカムフォロア29aの左方には、カムフォロア29aに接離することにより従動ローラ26bを駆動ローラ26aに対して接離させる接離カム31が配設されている。接離カム31は、版胴5を構成する図示しない一対の端板のうちの一方の外面に固定されていて版胴5と一体的に回転駆動され、その周面には大径部31a、中径部31b、小径部31cが形成されている。
上述の構成により、小径部31cがカムフォロア29aと対応する位置を接離カム31が占めると図2に示すように従動ローラ26bが引張ばね30の付勢力によって駆動ローラ26aに圧接し、中径部31bがカムフォロア29aと対応する位置を接離カム31が占めると図3に示すように従動ローラ26bが引張ばね30の付勢力(図2に示した状態よりも弱い)によって駆動ローラ26aに圧接し、大径部31aがカムフォロア29aと対応する位置を接離カム31が占めると図4に示すように従動ローラ26bが引張ばね30の付勢力に抗して駆動ローラ26aより離間する。中径部31bの大きさは従動ローラ26bが引張ばね30の最大付勢力よりも小さな付勢力で駆動ローラ26aに圧接するように形成されており、その圧接力は用紙Pの後端に接触する給紙ローラ24の圧接力及び回転抵抗力並びに分離給送手段25の摩擦抵抗力、すなわち用紙Pの後端に作用する用紙搬送抵抗力よりも僅かに大きくなるように設定されている。大径部31aの有効長さ(カムフォロア29aとの接触長さ)は多孔性支持板5aの非開孔部長さに対応しており、中径部31b及び小径部31cの有効長さについては後述する。
分離ローラ25aと従動ローラ26bとの間の位置には用紙ガイド板32が、また駆動ローラ26aよりも用紙搬送方向下流側には用紙ガイド板33がそれぞれ配設されている。各用紙ガイド板32,33は、装置本体の図示しない側板間にそれぞれ固設されている。
図1において版胴5の左上方には、版胴5の外周面に対して接離自在に設けられ版胴5の外周面から使用済みのマスタを剥離する図示しない排版部が配設されている。この図示しない排版部は、使用済みのマスタを版胴5の外周面より剥離した後に搬送する一対の排版部材、使用済みのマスタを貯容する排版ボックス、使用済みのマスタを圧縮する圧縮板等を有しており、排版ボックスは装置本体に対して着脱可能に構成されている。
図1において版胴5の左下方であって図示しない排版部の下方には、印刷がなされた用紙Pを装置本体から排出する図示しない排紙部が配設されている。この図示しない排紙部は、版胴5の外周面に対して近接離間自在であって版胴5に近接してその周面上から印刷済みの用紙Pを剥離する剥離爪、剥離爪によって剥離された印刷済みの用紙Pを吸引搬送する用紙搬送手段、用紙搬送方向によって搬送された印刷済みの用紙Pを積載する図示しない排紙トレイ等を有している。
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を説明する。図示しない画像読取部に原稿がセットされ、オペレータにより図示しない製版スタートキーが押下されると、版胴5が回転すると共に図示しない排版部が作動して排版動作が行われる。排版完了後、版胴5はクランパ8がほぼ右真横に位置する給版待機位置まで回転して停止し、図示しない開閉手段が作動してクランパ8が開放され、孔版印刷装置1は給版待機状態となる。
クランパ8が開放されると、プラテンローラ16及びマスタ搬送ローラ対19が作動し、マスタロール21aからマスタ21が送り出される。送り出されたマスタ21はサーマルヘッド17によって製版され、製版後のマスタ21はマスタガイド板20に案内されて開放されたクランパ8とステージ部7との間に向けて搬送される。そして、ステッピングモータ22のステップ数よりマスタ21の先端がステージ部7とクランパ8との間の所定位置まで搬送されたと判断されると、図示しない開閉手段が作動してクランパ8が閉じられる。
クランパ8が閉じられると、版胴5がマスタ21の搬送速度と同じ周速度で回転駆動され、版胴5へのマスタ21の巻装動作が行われる。そして、ステッピングモータ22のステップ数より1版分のマスタ21が搬送されたと判断されると、マスタ切断手段18が作動してマスタ21が切断されると共に、プラテンローラ16及びマスタ搬送ローラ対19の作動が停止される。切断されたマスタ21は版胴5の回転によって製版部3より引き出され、版胴5へのマスタ21の巻装動作が完了する。
巻装動作完了後、給紙ローラ24及び分離ローラ25aが回転駆動され、給紙トレイ23上より1枚の用紙Pが給送される。給紙ローラ24により引き出された用紙Pは分離給送手段25によって分離給送され、所定のタイミングで接離されるレジストローラ対26に向けて送られる。用紙Pが送られたとき、接離カム31は小径部31cをカムフォロア29aに対応させた位置を占めており、図2に示すように駆動ローラ26aと従動ローラ26bとは引張ばね30の最大付勢力によって当接していて、分離給送された用紙Pの先端はレジストローラ対26のニップ部で一時停止される。
巻装動作完了後、印刷部2では版胴5が低速で回転駆動される。そして版胴5に巻装されたマスタ21の製版画像先端部がプレスローラ6と対応する位置に到達するよりも若干早い所定のタイミングで駆動ローラ26aが回転駆動され、用紙Pが版胴5とプレスローラ6との間に向けて給送される。レジストローラ対26による用紙Pの送出とほぼ同時にプレスローラ揺動手段が作動し、用紙Pはプレスローラ6によって版胴5の周面に押圧されることで画像を転写される。駆動ローラ26aはカムフォロア29aが接離カム31の大径部31aに接触するまで回転を継続し、カムフォロア29aが接離カム31の大径部31aに接触すると駆動ローラ26aの回転が停止されると共に駆動ローラ26aから従動ローラ26bが離間して図5に示す状態となる。
プレスローラ6により版胴5に押圧された用紙Pは版胴5の回転によって搬送されつつ画像を転写され、その先端部から図示しない剥離爪によって版胴5の周面より剥離される。剥離された印刷済みの用紙Pは図示しない用紙搬送手段によって搬送され、図示しない排紙トレイ上に排出されて版付け動作が完了する。版付け動作後、オペレータにより印刷条件が入力された後に図示しない印刷スタートキーが押下されると、版胴5が高速で回転すると共に給紙部4より用紙Pが連続的に給送され、版付け時と同様に印刷動作が行われる。
上述した版付け時及び印刷時において、「発明が解決しようとする課題」の欄でも述べたように、本実施形態のようにレジストローラ対をモータによって版胴とは別駆動している場合にはローラ単体の強度をあまり高めることができないため、レジストローラ対が互いに圧接して用紙を搬送する際に各ローラが図8に示すように撓み、これにより用紙が波形に変形してマスタにしわが発生したり破れたりして印刷不良が発生してしまう。この不具合の発生を防止するため、本発明ではレジストローラ対26による用紙Pの圧接力を低減させ、レジストローラ対26に撓みが生じないように構成した。この低減時におけるレジストローラ対26の圧接力は、上述したように用紙Pの後端に作用する用紙搬送抵抗力よりも僅かに大きくなるように設定されており、その開始タイミングは少なくとも用紙Pの先端が一時停止後にレジストローラ対26より送り出された後となるように、レジストローラ対26の回転終了タイミングは図6に示すように用紙Pの後端が分離給送手段25を抜ける位置までとなるように、接離カム31の中径部31b及び小径部31cの有効長さが設定されている。
上述の構成により、給紙トレイ23上から用紙Pがレジストローラ対26に向けて送られたときには図2に示すように接離カム31の小径部31cがカムフォロア29aと対向する位置を占めており、レジストローラ対26の各ローラ26a,26bは互いに引張ばね30の最大付勢力によって圧接されているため送られた用紙Pの先端が各ローラ26a,26b間に入り込むことなく確実に用紙Pの先端位置決めを行うことができ、その後、レジストローラ対26が回転駆動して用紙Pを送り出した直後には図3に示すように接離カム31の中径部31bがカムフォロア29aと対向する位置を占め、各ローラ26a,26bは互いに用紙Pの後端に作用する用紙搬送抵抗力よりも僅かに大きい圧接力で圧接するため、レジストローラ対26に撓みが生じることなく用紙Pへのしわの発生が防止され、良好な印刷を行うことができる。また、各ローラ26a,26bの圧接状態が図6に示すように用紙Pの後端が分離給送手段25を抜ける位置まで継続され、その後、レジストローラ対26の回転が停止されて図5に示すように各ローラ26a,26bが離間するので、版胴5に圧接された用紙Pに対して用紙搬送を阻害する外力が作用することを防止でき、版胴5の周面上に巻装されたマスタ21に対して外力が作用することによりマスタ21にしわが発生することを防止でき、良好な印刷を継続して行うことができる。
図7は、上記実施形態の変形例を示している。この変形例は、上記実施形態と比較すると、接離カム31に代えて接離カム34を用いる点及びソレノイド35を用いる点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。
接離カム34は、版胴5を構成する図示しない一対の端板のうちの一方の外面に固定されていて版胴5と一体的に回転駆動され、その周面には大径部34a、小径部34bが形成されている。小径部34bがカムフォロア29aと対応する位置を接離カム34が占めると従動ローラ26bが引張ばね30の付勢力によって駆動ローラ26aに圧接し、大径部34aがカムフォロア29aと対応する位置を接離カム34が占めると従動ローラ26bが引張ばね30の付勢力に抗して駆動ローラ26aより離間する。大径部34aの有効長さは多孔性支持板5aの非開孔部長さに対応しており、小径部34bの有効長さは多孔性支持板5aの開孔部長さに対応している。
プル型のソレノイド35は図示しない装置本体に取り付けられており、そのプランジャ35aは支持アーム28に回転自在に取り付けられている。ソレノイド35は通電によりプランジャ35aを吸引し、支軸27を中心に支持アーム28を図7において反時計回り方向に回動させる。ソレノイド35の作動時において、従動ローラ26bは駆動ローラ26aに対する圧接力が、上記実施形態と同様に用紙Pの後端に作用する用紙搬送抵抗力よりも僅かに大きくなるように設定されている。
上述の構成により、レジストローラ対26が回転駆動して用紙Pを送り出した直後にソレノイド35を作動させ、用紙Pの後端が分離給送手段25を抜ける位置までソレノイド35の作動を継続させた後、レジストローラ対26の回転を停止して各ローラ26a,26bを離間させることにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
1 孔版印刷装置
4 給紙部
5 版胴
6 プレスローラ
25 分離給送手段
26 レジストローラ対
26a 第1ローラ(駆動ローラ)
26b 第2ローラ(従動ローラ)
31,34 カム(接離カム)
35 ソレノイド
P 用紙
4 給紙部
5 版胴
6 プレスローラ
25 分離給送手段
26 レジストローラ対
26a 第1ローラ(駆動ローラ)
26b 第2ローラ(従動ローラ)
31,34 カム(接離カム)
35 ソレノイド
P 用紙
Claims (6)
- 版胴と、用紙を分離給送する給紙部と、前記用紙を前記版胴に押圧するプレスローラとを有する孔版印刷装置において、
前記給紙部は前記版胴と前記プレスローラとの間に向けて前記用紙を所定のタイミングで給送する互いに圧接した第1ローラと第2ローラとを有するレジストローラ対を具備し、前記用紙の先端が前記各ローラの圧接部を通過した後に前記各ローラの圧接力を低減することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記給紙部は前記用紙を分離給送する分離給送手段を有し、前記レジストローラ対による前記用紙の給送を前記用紙の後端が前記分離給送手段を抜ける位置まで継続することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項2記載の孔版印刷装置において、
低減後における前記各ローラの圧接力は、前記分離給送手段の用紙搬送抵抗力よりも前記レジストローラ対の用紙搬送力が大きくなるように設定されていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
前記各ローラの圧接力を低減する手段としてカムが用いられることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
前記各ローラの圧接力を低減する手段としてソレノイドが用いられることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
前記各ローラが接離自在であることを特徴とする孔版印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006104016A JP2007276229A (ja) | 2006-04-05 | 2006-04-05 | 孔版印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006104016A JP2007276229A (ja) | 2006-04-05 | 2006-04-05 | 孔版印刷装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007276229A true JP2007276229A (ja) | 2007-10-25 |
Family
ID=38678218
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006104016A Pending JP2007276229A (ja) | 2006-04-05 | 2006-04-05 | 孔版印刷装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007276229A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014038201A (ja) * | 2012-08-16 | 2014-02-27 | Konica Minolta Inc | 画像形成装置 |
-
2006
- 2006-04-05 JP JP2006104016A patent/JP2007276229A/ja active Pending
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