JP2004249550A - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マスタ8の両側縁部に対応したステージ6上のマグネット27の表面に、該マスタ8の貼り付きを防止する貼付防止手段としての、マスタ8の両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部材28を両面粘着テープ29で貼着した。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置に関し、さらに詳しくは、製版済みのマスタを版胴の外周面に給版したり、該外周面から排版したりする際に用いられるクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、孔版原紙とも呼ばれる感熱孔版マスタ(以下、「マスタ」という)を加熱穿孔製版した後、その製版済みのマスタを自身の軸線方向の周りに回転自在な版胴の外周面に巻き付け、版胴内部に設けられたインキ供給手段によりインキを供給し、プレスローラあるいは版胴と略同径の圧胴等の押圧手段で版胴上の製版済みのマスタに印刷用紙を連続的に押圧して、版胴開孔部、マスタ穿孔部よりインキを滲み出させて印刷を行う感熱デジタル式の孔版印刷装置が知られている。
版胴は、多孔性の支持円筒体に、樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを複層巻装した構成を有している。以下、この明細書では、印刷ドラムの外周部に配置された「版胴」を、版胴自体を指すほか、説明の簡明化を図るため印刷ドラム全体をも指すものとして表現する。
【0003】
マスタは、熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」というときがある)に、多孔質支持体(以下、単に「支持体」という)を構成する和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維とを混抄したものを貼り合わせたラミネート構造を有している。フィルムの厚みは、大体1〜2μm程度のものが一般に用いられる。マスタのフィルム面をサーマルヘッドの発熱素子に接触させ、サーマルヘッドを主走査方向に作動させ、搬送手段としてのプラテンローラ等でマスタを副走査方向に移動させながら加熱穿孔製版するようになっている。
【0004】
通常の孔版印刷装置は、製版済みのマスタの先端部を保持・固定するための保持手段を有している。このような保持手段を具備する孔版印刷装置の一例としては、次のようなものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1記載の孔版印刷装置における原紙係止装置は、多孔性円筒状の版胴の外周面の一つの母線に沿って延在するステージと、版胴の外周面の一つの母線に沿ってステージと平行に設けられた回動軸と、回動軸に枢着されステージとの間で製版済みのマスタの先端部を挟持する開閉可能なクランパと、ステージの近傍に揺動可能に配設され、版胴上の使用済みのマスタの先端部を版胴の略遠心方向へ蹴り出す爪状部を版胴の軸線方向に沿って複数備え、クランパの開閉動作と連動して開閉する弾性薄板(蹴り出し手段ないしは蹴り出し部材)とを具備している。
特許文献1(特開平6−247031号公報)記載の技術によれば、クランパを給版及び排版に必要な所定の角度にそれぞれ開くことができることにより比較的簡素な機構の自動給版および自動排版装置を使用することが可能となると共に、排版位置においてクランパが排版に必要な大きい角度に開かれ、クランパと連動して揺動する弾性薄板が凹部から版胴の遠心方向へ突出する向きに揺動されるので、使用済みのマスタの確実な排版を実現することができ、加えてその機構の簡単化により装置の小型軽量化を図ることでき、信頼性が高く、廉価に生産できるという効果を奏するものである。
また、特許文献1記載の技術では、マスタの先端部がステージまたは同ステージに設けられているマグネット(永久磁石)上に貼り付いてしまい、排版時にジャム等が発生するのを防止する上からはある程度有効である。
【0005】
一方、孔版印刷装置において、版胴上の製版済みのマスタないしは使用済みのマスタに付着しているインキやそのインキのオイル成分がマスタ挟持部分であるステージ上に伝わり、そのインキやオイル成分の粘着力によってマスタの先端部が同ステージもしくは同ステージに設けられているマグネット(永久磁石)上に貼り付いてしまい、排版時にジャム等が発生することがある。このような不具合を解決できる技術としては、版胴の外周面の一母線に沿って延在するステージ部(ステージ)と、ステージとの間で製版済みのマスタの先端部を挟持するクランパ部(クランパ)と、ステージ部におけるマスタの挟持部分に設けられてステージ部の側部にまで達する複数個の溝部とを具備している孔版印刷装置およびマスタクランプ機構が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2(特開2002−137520号公報)記載の技術によれば、ステージ部に回り込んだインキやインキのオイル成分を溝部によってステージ部から排出し、ステージ部における単位面積当たりのインキやインキのオイル成分の付着量を減少させることができ、また、ステージ部に設けられた溝部によってステージ部におけるマスタの接触面積を減少させることができ、したがって、ステージ部にインキやインキのオイル成分が回り込んだとしても、ステージ部に対するマスタの密着、張り付き、引っ掛かり等を防止し、マスタの確実なクランプ動作および排版動作の実現を図ることができるという効果を奏するものである。
上記各文献記載の孔版印刷装置における保持手段は、マスタを版胴の外周面に巻装する(巻き付ける)際に、該外周面上に巻装された製版済みのマスタの製版画像位置を正確に位置決め・位置出しするために、そのマスタの先端を含むマスタの先端部を確実に固定・保持するために配設されている。
【0006】
孔版印刷装置では、製版済みのマスタで所定の印刷を行った後の不要となった版胴上の使用済みのマスタは、版胴上の使用済みのマスタに接近ないしは接触してこれを剥離・排版する変位可能な剥離ローラ対を有する排版装置(以下、「剥離ローラ変位タイプの排版装置」という)や、あるいは上記特許文献1記載の弾性薄板(蹴り出し手段ないしは蹴り出し部材)を有し、この弾性薄板によって蹴り出された使用済みのマスタの先端部を挟持し剥離排版可能なは排版ローラ対を備えた排版装置(以下、「排版ローラ固定タイプの排版装置」という)によって、剥離されたマスタを搬送し排版容器内に収容されるようになっている。
以下、製版済みのマスタ、使用済みのマスタおよび未製版のマスタについて、その何れか一方であるか、あるいはそれらうちの二つまたは全てを含むかを、前後の文章から明らかに判断できるとき、単に「マスタ」というときがある。
【0007】
排版ローラ固定タイプの排版装置の一例としては、排版ローラ対の一方のローラの脇に複数の弾性羽根がその遠心方向に放射状に延びる羽根ローラを設け、弾性羽根が他方のローラの外周面に弾性的に曲がり変形しながら当接するようにし、弾性羽根で剥離されたマスタ(以下、「剥離済みのマスタ」という)を引き込むと共に、弾性羽根の弾性変形による復元反発力で剥離済みのマスタを叩いて上記一方のローラの外周面に巻き付かないようにした排版装置が知られている。(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
ところで、孔版印刷装置では、インキが多孔質支持体である和紙繊維とフィルムの穿孔部を通過して印刷用紙に転移する訳であるが、支持体が厚いとその支持体の空隙部に入り込んで捨てられる無駄な廃棄インキ量が多くなってしまったり、支持体繊維が複雑に絡み合って塊となっている部分とか、太い繊維が穿孔部分を横切っている場合などに、インキの通過が阻害されて画像のベタ部が抜けたり、細線や文字が切れたりかすれたりする「繊維目」と呼ばれる現象が発生するという不具合があった。
そこで、近年、繊維目を低減したり廃棄インキ等の低減を兼ねたりして多孔質支持体の厚み自体を薄くしたり、あるいは支持体繊維を細くしたりして繊維目による画質劣化を低減させる試みがなされている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4記載の技術では、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に樹脂からなる多孔性樹脂膜を有し、さらにその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなるマスタであって、その厚みが比較的薄く、かつ、比較的低強度であってその曲げ剛度が5mN以上であるマスタが既に実用化されている。
特許文献4(特開平10−147075号公報)記載の発明によれば、比較的少ないインキ付着量で、均一な印刷画像品質(以下、「印刷画質」という)が得られ印刷むらがなく、印刷物の裏汚れが少ないと共に、繊維目による画質劣化を低減させることができ、特に写真画質の滑らかな再現性を図れるいう効果を奏する。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−247031号公報(図8ないし図11)
【特許文献2】
特開2002−137520号公報(図3ないし図5)
【特許文献3】
特開2000−43394号公報
【特許文献4】
特開平10−147075号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1ないし3記載の技術では、以下のような問題点が生じてしまう。すなわち、特許文献2(特開2002−137520号公報)記載の技術では、その図3ないし図5に明示されているように、ステージの側部にまで達する複数個の溝部がステージにおけるマスタの挟持部分のマスタ幅方向の全領域に亘って設けられているため、クランパ側に固定されているマグネット(永久磁石)に対して強磁性体で形成されているステージの接触面積が減少することとなり、マスタ先端部の固定保持力が減少してしまいマグネット採用等による効果が発揮できなくなってしまうという問題点がある。
【0011】
また、特許文献1(特開平6−247031号公報)記載の弾性薄板(以下、「蹴り出し爪」という)と、特許文献2(特開2002−137520号公報)記載のステージに設けた溝部と、特許文献4(特開平10−147075号公報)記載のマスタとを組み合わせ適用したとしても、次のような問題点が発生してしまう。すなわち、特に長時間放置された状態にある版胴上のクランパなどで長時間挟持(クランプ)された製版済みのマスタないしは使用済みのマスタ先端部では、そのマスタの支持体が薄いために、マスタに付着しているインキやそのインキのオイル成分が毛管現象等でその支持体部分に浸透してしまうとそのオイル成分が支持体の表面に出やすくなる。これにより、結果的にオイル成分がマスタ先端部を伝わってステージやステージ上に固定されているマグネット上に付着することとなり、排版の際、蹴り出し爪の外側や隣る蹴り出し爪の間のマスタがステージやマグネットの表面に貼り付いたままとなり、排版ジャム等の排版ミスが発生するという問題点がある。
【0012】
特許文献4(特開平10−147075号公報)記載のマスタを実用化したものでは、従来のマスタと比べて、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であるため、マスタ自体の強度(腰の強さ)が大幅に下がって従来よりも曲がりやすく、マスタの中央部に比べてマスタのマスタ幅方向の両側縁部の強度が特に低くなるので、両側縁部が中央部よりも垂れ下がり易くなり、製版給版時等においてはかまぼこ状(逆U字状)の姿勢で搬送され、両側縁部が垂れ下がることで中央部に比べて遅れてしまう態様でクランパで挟持・クランプされるため、たとえ蹴り出し爪を採用したとしても、マスタの両側縁部に対応したステージやマグネットの両側縁部における上述したマスタ先端部の貼り付き現象が解消されずに、排版ジャム等の排版ミスが発生してしまう。
【0013】
そこで、蹴り出し爪の本数を増やすことが想定されるが、蹴り出し爪の本数を増やすとステージやマグネット表面との接触面積が減少することとなり、上述した特許文献2記載の技術と同様に、マスタ先端部の固定保持力(クランプ力)が減少してしまいマグネット採用等による効果が発揮できなくなってしまうという問題点に帰着することとなる。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、少なくとも繊維目による画質劣化を低減させることができるマスタ、すなわち比較的その厚みが薄く、かつ、低強度であるマスタを用いたとしても、上記諸問題点を解決して良好な排版を実現できる新規な孔版印刷装置を提供することを主な目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項ごとの発明では次のような特徴的な手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、製版済みのマスタを外周面に巻装する版胴と、版胴の外周面の一母線に沿って延在するステージと、該ステージとの間で製版済みのマスタの先端部を挟持する開閉可能なクランパとを具備する孔版印刷装置において、製版済みのマスタの両側縁部に対応した上記ステージの表面に、該マスタの貼り付きを防止する貼付防止手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、上記ステージの近傍に揺動可能に配設され、版胴の外周面に巻装された使用済みのマスタの先端部を上記版胴の略遠心方向へ蹴り出す爪状部を上記版胴の軸線方向に沿って複数備えた蹴り出し手段を有することを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の孔版印刷装置において、上記複数の爪状部における版胴の外周面に沿った方向の長さは、製版済みのマスタの両側縁部に対応して配設されたものの方が、製版済みのマスタの内側に対応して配設されたものよりも長いことを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の孔版印刷装置において、上記貼付防止手段は、製版済みのマスタの両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部材からなることを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の孔版印刷装置において、上記凹凸部材を両面粘着テープで上記ステージの表面に貼着したことを特徴とする。
ここで、凹凸部材を両面粘着テープでステージまたはステージ上の永久磁石の表面に貼着した構成から直ちに、例えばサービス等のサプライとして、両面粘着テープ付きの凹凸部材を供給する実施形態がある。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1、2または3記載の孔版印刷装置において、上記貼付防止手段は、上記ステージと実質一体的に形成された、製版済みのマスタの両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部からなることを特徴としている。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の孔版印刷装置において、上記凹凸部を、型押しで成形したことを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の孔版印刷装置において、上記凹凸部を、サンドブラストで形成したことを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項4ないし8の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記凹凸部材または上記凹凸部の凹凸延在方向を、上記版胴への製版済みのマスタの巻き付け方向または上記版胴からの使用済みのマスタの排版方向と同じにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記ステージおよび上記クランパの何れか一方が、永久磁石を有することを特徴とする。
【0024】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、繊維目による画質劣化を防止して画質向上を図る点からは、上記マスタは、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態や各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0026】
(第1の実施形態)
図1ないし図7を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
まず、図1に基づいて、本実施形態における孔版印刷装置100の構成の概要を説明する。孔版印刷装置100は、図示しない原稿の画像を読み取る周知構成の画像読取装置(スキャナ)50と、該画像読取装置50によって読み取られた画像情報または図示しないパーソナルコンピュータ等の外部接続機器により入力された画像情報に基づいてマスタ8を製版すると共に給版する製版給版装置51と、給紙台としての給紙トレイ58上の印刷用紙P(以下、「用紙P」という)を給紙する給紙装置52と、製版済みのマスタ8を外周面に巻装する版胴1と、該版胴1から剥離された印刷済みの用紙Pを吸引搬送する排紙搬送装置53と、該排紙搬送装置53により搬送された用紙Pが排出収容される排紙台としての排紙トレイ54と、版胴1の外周面から使用済みのマスタ8を剥離する排版装置55等を有している。
【0027】
以下、上記各装置および版胴1周りの構成について詳述する。
製版給版装置51は、図1に示すように、図示しないホルダ部材、プラテンローラ10、サーマルヘッド11、カッタ12、反転ローラ対13およびガイド板14を具備している。
マスタ8は、芯材8bにロール状に巻成されたマスタロール8aから繰り出し可能になされている。マスタロール8aは、芯材8bを介して図示しないホルダ部材に回転可能に支持されている。マスタ8としては、比較的少ないインキ付着量で、印刷むらがなく、印刷物の裏汚れが少ないと共に、繊維目による画質劣化を低減させることが可能なものとして、例えば特開平10−147075号公報に記載されているマスタを用いている。すなわち、このマスタ8は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に樹脂からなる多孔性樹脂膜を有し、さらにその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなるマスタであって、その厚みが比較的薄く、かつ、比較的低強度であってその曲げ剛度が5mN以上である。具体的には、例えばフィルムの厚みが大体1〜2μm程度で、その支持体(多孔性樹脂膜および多孔性繊維膜)の厚みが25〜30μm程度で、トータルの厚み30〜35μm程度のものが使用される。マスタ8の腰の強さは、従来のマスタのそれと比較して、30〜50%程度低下している。
【0028】
マスタ8は、上記マスタ8の利点をそれ程望まなくてもよいのであれば、次のようなマスタを用いても構わない。すなわち、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルムに、支持体として和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維とを混抄したものを接着剤で貼り合わせたラミネート構造を有しているものであって、従来のマスタ(具体的に言えば、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系等のフィルムの厚みが大体1〜2μm程度で、その支持体の厚みが45〜55μm程度で、トータルの厚み50〜60μm程度のものが使用されていた)と比較して、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であるもの(具体的に言えば、例えばフィルム構成は同じで、その支持体の厚みが25〜30μm程度で、トータルの厚み30〜35μm程度のものが使用される)を用いてもよい。このマスタ8の腰の強さは、このマスタ8の構成と同じでその厚みのみが異なる上記従来のマスタのそれと比較して、30〜50%程度低下している。
【0029】
マスタ8の繰り出し方向X1の下流には、図示しない製版部側板に回転自在に支持されたプラテンローラ10と、多数の発熱素子をその主走査方向に有するサーマルヘッド11とが設けられている。マスタ8は、図示しないバネ部材等の付勢手段により付勢されたサーマルヘッド11によりプラテンローラ10に押圧されている。サーマルヘッド11は、マスタ8を介してプラテンローラ8に相対的に接離自在になされている。
プラテンローラ10は、図示しないステッピングモータにより時計回り方向に回転駆動され、これによりマスタ8がマスタロール8aから繰り出されるようになっている。
プラテンローラ10のさらに下流側には、製版済みのマスタ8を所定の長さに切断するギロチンタイプのカッタ12が設けられている。カッタ12は、可動刃としての上刃12aと固定刃としての下刃12bとを有している。カッタ12としては、上記のものに限らず、回転刃移動タイプを採用してもよい。
【0030】
カッタ12の下流側には、上記製版部側板に回転自在に支持された反転ローラ対13が配設されており、該反転ローラ対13は、互いに圧接した状態で設けられている。反転ローラ対13は、プラテンローラ10の周速より僅かに速い速度に設定されており、マスタ8との間で滑りながらマスタ8に適度な張力を付与するようになっている。反転ローラ対13の下流側には、製版済みのマスタ8の先端部を後述するクランパ7に案内する湾曲したガイド板14が設けられている。
【0031】
図示しないが画像読取装置50の上部には、原稿を分離搬送する自動原稿搬送装置(ADF)が設けられている。画像読取装置50は、ADFにより搬送された原稿を順次自動的に搬送しながら読み取ったり、ADFを用いずに図示しないコンタクトガラス面に載置された原稿を読み取ることができる周知の構成・機能を有している。
【0032】
版胴1は、図1および図2に示すように、その外周部に支持円筒体を有している。該版胴は、インキ通過性の多数の開孔を開けて形成された開孔部1aと非インキ通過性の非開孔部1bとからなる支持円筒体の外周に、図示しないメッシュスクリーンが複数層巻装された構成を有している。
開孔部1aおよび非開孔部1bを備えた上記支持円筒体は、例えばステンレススチール等の金属薄板で形成されている。開孔部1aは、図1および図2において梨地模様で示されており、クランパ7配置部の周辺を除くその円周上の所定の範囲にわたり形成されている。非開孔部1bは、図1および図2においてハッチングを施されて示されており、クランパ7配置部の周辺に形成されている。上記メッシュスクリーンは、上記支持円筒体の開孔部1aに略対応した領域に巻装されていて、例えば樹脂あるいは金属製網体状のインキ通過性領域部と、このインキ通過性領域部に連結したインキ不通過領域としてのレザー部とを有する。
【0033】
上記支持円筒体の両端部は、図2に示すように、紙面の手前側および奥側に配設された端板としての一対のドラムフランジ9(図2では紙面の奥側を示す)に固定されている。版胴1は、一対のドラムフランジ9および図示しない軸受を介して、支軸5を兼ねるインキパイプ5の周りに回転自在に支持されている。版胴1は、例えばギヤやベルト等の周知の駆動伝達手段を介して版胴駆動手段としての駆動モータに連結されており、駆動モータからの駆動力を伝達されて図1中矢印方向A(時計回り)に回転駆動される。駆動モータは、例えばDCモータからなり、孔版印刷装置本体側に固定されている。
【0034】
版胴1は、ホームポジションを兼ねる排版位置および給版位置近傍においてそれぞれ停止可能になっている。ここで、ホームポジション(排版位置)とは、図2に示すように、クランパ7が版胴1の略左横ないしは左斜め上方に位置する版胴1の回転位置をいい、排版ローラ対30に近接した位置を意味する。給版位置とは、クランパ7が図1において略右横に位置する版胴1の回転位置をいう。
【0035】
版胴1をホームポジション(排版位置)および給版位置に位置決め停止させる構成は、例えば本願出願人が提案した特開平6−247031号公報の図1に示されているものと同様のものを採用している。すなわち、上記公報の図1に開示されているように、版胴1(上記公報では版胴5)のドラムフランジ9に植設されたホームポジション(排版位置)を規定するための排版用位置決めピン(22)と、給版位置を規定するための給版用位置決めピン(21)と、孔版印刷本体側(上記公報の図2に示す側板23)に配設され排版用作動アーム(32)における他端側の折り曲げ(32a)部の裏側に固定された排版用位置決めピン(22)または給版用位置決めピン(21)と係合する排版および給版兼用の、らっぱ状の広い間口を持った開口部(37)およびこの開口部(37)に連通した位置決め溝(38)が形成された位置決めガイド(39)とから主に構成されている。
孔版印刷装置100は、版胴1の回転角度、すなわち版胴1の回転位置を検出する角度検出手段(回転位置検出手段)を有する。図2に示す版胴1の回転位置は、版胴1が排版位置を占めて停止している状態を表している。
【0036】
版胴1の内部には、図示しない側板がその軸線方向に間隔をおいてインキパイプ5に固定されている。これらの側板間には、インキローラ2がその軸部を支持されて回転自在に設けられている。インキローラ2は、図示しないギヤやベルト等の駆動伝達手段により、版胴1と同期して同一方向に回転駆動される。
インキローラ2の外周面と僅かな隙間をおいてドクターローラ3が設けられており、該ドクターローラ3は、インキローラ2とドクターローラ3との間に形成される断面略楔状のインキ溜まり4のインキを計量しつつインキローラ2の外周面に薄膜状に供給する。インキ溜まり4のインキは、図示しないインキ供給装置により、版胴1の外部に設けられたインキパック等より吸引され、インキパイプ5の供給孔5aより滴下供給されてインキローラ2とドクターローラ3の回転により混練される。版胴1は、孔版印刷装置本体に対してその軸線方向に上記インキ供給装置および上記インキパック等と一体化されたドラムユニットを構成していて、孔版印刷装置本体に対して着脱可能となっている。
インキとしては、開孔部1aおよびマスタ8の穿孔部からのインキ浸透性(通過性)を良好にして画質向上を図るために比較的低粘度のエマルジョンインキを用いている。
【0037】
版胴1の非開孔部1b表面には、図1ないし図7に示すように、版胴1の一つの母線に沿って延在し平坦面を有するステージ6が設けられている。ステージ6は、例えば板金で形成されている。ステージ6上には、版胴1の軸線方向(支軸5の長さ方向)と平行に延在し軸受部を介して所定角度の範囲で回動自在に支持されたクランパ軸25が設けられている。
ステージ6上には、マスタ挟持用の基台としてのマグネット(永久磁石)27が例えば両面粘着テープや適宜の結合手段で固定されている。マグネット27は、さらに具体的には板状をなす弾性状の永久磁石(例えばゴム磁石)でできている。マグネット27には、図3ないし図7に詳しく示すように、後述する蹴り出し部材36と一体的に成形された複数の爪状部としての蹴り出し爪36a,36bを緩く嵌入する略U字形状の溝部27a,27bがクランパ軸25方向に複数形成されている。なお、マグネット27は、各図において断面を含めて梨地模様で示されている。
【0038】
ステージ6およびマグネット27と平行に、マグネット27を介してステージ6との間で製版済みのマスタ8もしくは未製版のマスタ8の先端部を挟持する開閉可能なクランパ7が設けられている。クランパ7の基端部は、上記軸受部に回動自在に支持されたクランパ軸25に固定されていて、クランパ7の自由端部が所定角度回動可能、すなわち揺動可能に支持されている。クランパ7およびマグネット27は、図3に示すように、使用される最大サイズの二点鎖線で示すマスタ8のマスタ幅方向Yの寸法よりも少なくとも長く版胴1の軸線方向に延びて設けられている。クランパ7の自由端部は、図示しない後述する開閉装置によって、版胴1の所定の回転位置、すなわち排版位置および給版位置を占めたときに、例えば図2に示されているようにクランパ軸25を中心として時計回りに回転・揺動される。
【0039】
クランパ7は、図3ないし図7に詳しく示すように、薄い板状のクランプ板の部分と、クランパ軸25方向の両端部においてクランプ板にクランク状に折り曲げ成形されたリフト爪7aと、垂下片7bとが一体的に成形されている。クランパ7は、例えばステンレススチール等の金属の強磁性体で一体的に成形されている。
なお、マグネット27表面のマスタ挟持面と対向したクランパ7のマスタ挟持面を、マグネット27の吸磁力が減少しない程度に、かつ、マスタ8に対する摩擦係数を高めた状態でマスタ8を確実に挟持・クランプできるように適度に粗く仕上げてもよい。
【0040】
図1および図3は、クランパ7の閉じ動作によって、製版給版装置51から供給された製版済みのマスタ8の先端部がマグネット27との間で挟持・クランプされている状態を表している。
【0041】
クランパ軸25の一端には、上記特開平6−247031号公報の図8および図9に示されているクランパ駆動レバー(20)と同様のクランパ駆動レバー26が実質一体的に取り付けられている。クランパ駆動レバー26には、上記特開平6−247031号公報の図1、図2、図6および図7に示されている給版用作動アーム(25)または排版用作動アーム(32)が第1または第3の位置を占めたときに給版用作動アーム(25)または排版用作動アーム(32)の各係合部(26,35)と係合する係合面26aが形成されている。
一方、孔版印刷装置本体側には、上記特開平6−247031号公報の図1、図2、図6および図7に示されている原紙係止装置(60)と同様の、版胴1がホームポジション(排版位置)および給版位置を占めたときにクランパ7を開閉する給版用作動アーム(25)、排版用作動アーム(32)およびラック駆動モータ(45)と同じ開閉装置(図示せず)が配設されている。
【0042】
クランパ7の近傍には、蹴り出し部材36が揺動可能に配設されている。蹴り出し部材36は、版胴1の外周面に巻き付けられた使用済みのマスタ8の先端部を版胴1の略遠心方向へ蹴り出す蹴り出し爪36a,36bを版胴1の軸線方向に沿って複数備えた蹴り出し手段としての構成・機能を有する。蹴り出し部材36は、例えばステンレススチール等の弾性を有する薄板でできていて、版胴1の軸線方向の中央に対してその左右両側に対称な形状をなす。蹴り出し部材36には、その自由端部側に櫛の歯状に成形された上記複数の蹴り出し爪36a,36bの他に、クランプ7のリフト爪7aに接触可能な係合爪36cがその両端部に一体的に成形されている。
版胴1の両端部のドラムフランジ9における係合爪36cの近傍には、クランパ7の開閉時に、係合爪36cとの干渉を避けるための逃げ凹部9aが形成されている。
【0043】
複数の蹴り出し爪36a,36bのうち、版胴1の外周面に沿った方向の長さは、製版済みのマスタ8もしくは使用済みのマスタ8の両側縁側に対応して配設された爪状部36aの方が、使用済みのマスタ8の内側に対応して配設された爪状部36bよりも長くなるように形成されている。図1および図3に示すように、クランパ7が閉じられているとき、蹴り出し部材36の蹴り出し爪36a,36bは、マグネット27の溝部27a,27b内に嵌入・収納されるようになっている。蹴り出し部材36の蹴り出し爪36a,36bは、後述するようにクランパ7が所定の角度θ2以上よりも大きく拡開される排版工程でのみ、マグネット27から版胴1の略遠心方向に突出することで、使用済みのマスタ8の先端部を同方向へ蹴り出す動きを行うようになっている。
【0044】
蹴り出し部材36の基端部は、クランパ軸25の配置部よりも版胴1の図2中矢印方向Aの後方寄りのステージ6に所定角度回動自在に支持された回転軸37に固定されている。回転軸37は、版胴1の軸線方向に沿ってクランパ軸25と平行に設けられている。蹴り出し部材36の自由端部は、クランパ7の開閉動作と連動して、図2において回転軸37を中心として反時計回りに回転・揺動される。
蹴り出し部材36は、図5および図7に示すように、図示しない排版用作動アーム(32)が第3の位置に揺動してクランパ駆動レバー26と係合することにより、クランパ7が所定の角度θ2以上に開いたとき、このクランパ7の開放動作と連動して揺動する。
【0045】
説明が前後するが、製版済みのマスタ8あるいは未製版のマスタ8を挟持・クランプするとき、マグネット27の複数の溝部27a,27bは、そのマスタ8の先端よりも内側になるように配置されており、マスタ8の先端部はマグネット27とクランパ7とで挟持・クランプされる。
【0046】
蹴り出し部材36の爪状部は、版胴1の軸線方向に沿う回転軸37の長さ方向に亘って全体的に爪状部36aのように長く形成してもよいが、そうするとそれだけマグネット27の溝部を長く形成しなければならず、マスタ8の先端部をクランプしたときのマスタ8を押さえる吸着面が少なくなるので、例えば印刷時等においてマスタ8に対して用紙Pの引きずり負荷等の張力が加わった時に、局部的なマスタ保持力が不足してマスタ8がクランプ部から抜けたり伸びたりすることでシワが発生し易くなってしまう。
これに対して本実施形態のように、製版済みのマスタ8や使用済みのマスタ8の両側縁側に対応して配設された爪状部36aをその中央側の爪状部36bよりも長くなるように形成した場合、その両側縁部の爪状部36aに対向したマスタ8は用紙Pの用紙幅方向(マスタ幅方向Yでもある)の両側端よりも大きいので、用紙Pの引きずり負荷なども作用しにくく、マグネット27の溝部48aが長くマスタ8の挟持面が少なくなってもマスタ8の抜けとか伸びの影響が小さく、マスタ8のシワ発生を防止できる。
【0047】
図2ないし図7に示すように、製版済みのマスタ8のマスタ幅方向Yの両側縁部に対応したステージ6を介したマグネット27の表面には、マスタ8の貼り付きを防止する貼付防止手段としての、製版済みのマスタ8と接触する接触面積を減少させる凹凸部材28が両面粘着テープ29(図3(b)参照)で貼着・固定されている。
【0048】
凹凸部材28は、具体的に言えば、断面略三角形状ないしは鋸刃状をなし、例えばポリプロピレン樹脂で形成されていて、図3(b)に示す三角形の上部は0.2〜0.6mm程度に丸められている。凹凸部材28は、孔版印刷装置100で使用されるマスタ8の幅サイズが例えば用紙A3サイズに対応した320mmの場合、その厚みHが0.1〜0.2mm程度、その幅Bが10〜15mm程度に形成される。また、図3(a)に示すように、凹凸部材28は、そのマスタ幅方向Yの一側端から、例えば用紙A3サイズに対応して使用される上記マスタ8の幅サイズのマスタ8の一側端までの距離YBが、30〜50mmの位置範囲、すなわちマスタ8の両側縁部に対応した範囲内となるようにマグネット27表面に貼着・固定される。
【0049】
凹凸部材28の断面形状、寸法および固定位置は、マスタの種類(特にマスタの腰の程度)およびインキの種類(特にオイル成分の分離性)などで有る程度変動するものなので、それらの使用条件も考慮して最終的には実験等によって適正な数値に設定される。それ故に、凹凸部材28は、これに限らず、例えば特開2002−137520号公報の図4および段落「0043」に記載されている溝部(201)およびランド部(202)の形状・寸法であっても構わない。
【0050】
凹凸部材28の凹凸の延在方向は、図3(a)に示すように、給版時において製版済みのマスタ8の先端をマグネット27とこれから拡開したクランパ7との間に挿入する方向であるマスタ搬送方向X1に設定されており、また、図2等に示すように、排版時において使用済みのマスタ8の先端部をマグネット27とこれから拡開したクランパ7に連動して反時計回りに揺動する蹴り出し部材36により蹴り出されるマスタ排出方向に設定されている。すなわち、凹凸部材28の凹凸の延在方向は、版胴1の外周面への製版済みのマスタ8の巻き付け方向と同じに設定されており、これにより、給版時や排版時においてマスタ8との引っ掛かりが防止されて、給版ジャムおよび排版ジャムを発生することなく、確実な給版および排版動作が行える。
なお、図1ないし図7では、凹凸部材28の厚みHを始めとして凹凸部材28の形状・寸法を誇張・拡大していると共に、蹴り出し部材36、マグネット27および凹凸部材28の厚み等も適宜誇張・拡大して示している。
【0051】
本実施形態では、製版済みのマスタ8のマスタ幅方向Yの両側縁部に対応したステージ6を介したマグネット27の表面にだけ凹凸部材28を貼着して配設されているので、最小限のコストでかつマスタ抜けを生じることなく後述する効果を奏する。また、従来の蹴り出し部材によるもののようにステージまたはステージ上のマグネットに対する例えば切欠きや溝部の追加のような大幅な形状変更を行うことなく、しかも蹴り出し部材を設けたことによるマスタ抜けやマグネットの強度不足・吸磁力不足等の副作用を最小限に抑えて後述する効果を奏する。
【0052】
図1および図2において、版胴1の左側に配置された排版装置55は、版胴1の外周面に巻き付けられた使用済みのマスタ8を挟持して剥離しながら引き込む排版ローラ対30を有している。排版装置55は、周知の排版ローラ固定タイプの装置である。排版ローラ対30は互いに圧接する排版ローラ上31と排版ローラ下33とを有しており、これらのローラの軸部をなす回転軸38,39は、図示しない排版ユニット側板に回転自在に支持されている。排版ローラ下33には図示しない駆動ギヤが固定されており、これと噛み合う図示しないギヤ列等の駆動伝達手段を介して、排版ローラ下33は、排版駆動手段としての例えばステッピングモータ(図示せず)に連結されている。これにより、排版ローラ上31と排版ローラ下33とは、図2に示すように上記ステッピングモータにより互いに反対向きに、ちなみに図2では排版ローラ上31が時計回りに、排版ローラ下33は反時計回りに回転駆動される。
【0053】
排版ローラ対30は、版胴1の軸線方向に間隔をおいて複数設けられており、各排版ローラ対30における排版ローラ上31の脇には該排版ローラ上31と同期回転する羽根部材としての羽根車32が設けられている。
羽根車32は、排版ローラ上31の回転軸38に固定されたローラ状の基部と、この基部から排版ローラ上31の遠心方向(径方向)に放射状に延び、排版ローラ上31の外周面・外径よりも外方に突出する長さを有する複数の弾性羽根32aを有している。排版ローラ上31および羽根車32は、例えばニトリルゴムやシリコンゴム等の弾性体で形成されている。
図2に示すように、弾性羽根32aは、排版時には排版ローラ下33に当接して折れ曲がるように変形する。弾性羽根32aは、使用済みのマスタ8の先端部に接触して排版ローラ上31と排版ローラ下33とのニップ部に使用済みのマスタ8を引き込む役目と、使用済みのマスタ8を叩くことで排版ローラ上31の周面に剥離済みのマスタ8が貼り付くことを防止する機能とを有している。
【0054】
排版ローラ下33は、樹脂(例えば、ABS樹脂やポリアセタール樹脂)で形成されており、その外周面にはインキを含んだ使用済みのマスタ8の貼り付きを低減するために、すなわち使用済みのマスタ8との接触面積を低減できるように、歯形加工やローレット加工処理が施されている。
排版ローラ対30の左側には、上記排版ユニット側板間に一端側を回転可能に支持され矢印方向(上下方向)に軸部を中心に揺動する圧縮部材としての圧縮板34が設けられている。圧縮板34の自由端側は、排版ローラ対30に近接した位置を通過して、排版ローラ対30により排出された剥離済みのマスタ8、すなわち廃棄マスタ8cを押圧しながら排版ボックス35の壁面に沿って移動し、排版ボックス35の奥部に廃棄マスタ8cを移動しながら圧縮収納するようになっている。
圧縮板34は、図示しないモータ等により所定のタイミングで駆動される。排版ボックス35は、図示しない排版装置本体に対して着脱自在に設けられており、満杯になった廃棄マスタ8cを適宜廃棄できるようになっている。
【0055】
図1等に示すように、版胴1の下側には、版胴1上の製版済みのマスタ8に用紙Pを押圧する押圧手段21が設けられている。押圧手段21は、図示しない孔版印刷装置本体の側板に回転自在に支持されたアーム軸22aと、該アーム軸22aに一端側を固定されたプレスローラアーム対22と、該プレスローラアーム対22の他端側に軸部を支持されて回転自在に設けられたプレスローラ23を有している。
アーム軸22aの一端側には、図示しないカムフォロアが設けられており、版胴1と同期して回転する図示しないカムに沿って図示しない引張バネ等の付勢手段により版胴1に対して接離するようになっている。プレスローラ23は、印刷時以外は図示しない係止手段により版胴1から離間した実線で示す位置に保持されている。なお、押圧手段としては、版胴1の外径と略同じ径を有する圧胴等を用いる場合もある。
【0056】
給紙装置52は、用紙Pを積載する昇降自在な給紙台としての給紙トレイ58と、用紙Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して給送する分離給紙手段としての給紙コロ59、60および分離コロ61と、分離給送された用紙Pを所定のタイミングで版胴1とプレスローラ23との間の印圧部に搬送するレジストローラ対20を有している。
版胴1の左下側には、版胴1に近接して用紙Pを版胴1の表面より剥離する軸部を中心に揺動自在な剥離爪62が設けられている。剥離爪62で剥離された用紙Pは排紙搬送装置53の搬送ローラ63によりファン64の吸引力で吸着されながら搬送され、排紙台としての排紙トレイ54へ排出される。
【0057】
次に、孔版印刷装置100の動作を説明する。孔版印刷装置100の初期状態としては、版胴1の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ8が装着されたまま残っていて、版胴1はクランパ7が図2における略左横ないしは左斜め上方に位置する版胴1の回転位置、すなわち版胴1の回転角度が0°(ホームポジション:排版位置)を占めて停止している。
この初期状態で、図示しないADFに原稿がセットされて、図示しない操作パネルのテンキー等により印刷枚数が入力設定される。次いで、上記操作パネルに配設されているスタートボタン等が押されること等によりスタート信号が出され、これがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。
【0058】
上記スタート信号がトリガとなって、クランパ7を開閉駆動する図示しない開閉装置のラック駆動モータ(45)が起動する直前に、図示しない上記制御手段からの指令によりステッピングモータが起動されることで、排版ローラ対30が回転駆動開始される。
次いで、直ちに、上記開閉装置のラック駆動モータ(45)が駆動されることにより、クランパ7が図2に示すように開放され、これに連動して蹴り出し部材36による使用済みのマスタ8先端部の蹴り上げ動作が行われる。
すなわち、図5および図7に示すように図示しない排版用作動アーム(32)が第3の位置へ揺動され、クランパ7が給版に必要な所定の角度θ1よりもさらに大きい排版用の角度θ2に開かれる状態になることで、リフト爪7aの上昇と連動して係合爪36cが持ち上げられ、これにより蹴り出し部材36の蹴り出し爪36a,36bがマグネット27の溝部27a,27bから版胴1の略遠心方向へ突出する向きに揺動されることで、使用済みのマスタ8の先端部がその両側縁部を含めてマスタ幅方向Yの全体に亘って確実に蹴り上げられ開放されフリーな状態となり、この状態での使用済みのマスタ8先端部の排版ローラ対30への受け渡しが確実に行われることとなる。これにより、より確実に排版ジャムの発生を防止することができる。
【0059】
この際、孔版印刷装置100がたとえ長期間使用されずに放置された状態であっても、本実施形態では、マスタ8の先端部の両側縁部を挟持・クランプしているマグネット27の表面に凹凸部材28が貼着・固定されているので、使用済みのマスタ8に付着しているインキやそのインキのオイル成分が毛管現象等でその支持体部分を浸透してマスタ8の先端部を伝わってマグネット27の表面および蹴り出し部材36の蹴り出し爪36a,36b表面に付着する量が相対的に減少すると共に、挟持・クランプされているマスタ8のうちでも腰の強さが一番弱くなっているマスタ8の先端部の両側縁部がマグネット27の表面と接触する面積が減少するので、マグネット27表面および蹴り出し爪36a,36b表面への貼り付きが防止された状態で、かつ、凹凸部材28の凹凸延在方向がマスタ排出方向(蹴り出し部材36の蹴り出し爪36a,36bによる蹴り上げ方向でもある)と同じ方向であるので、上述した蹴り出し爪36a,36bによる使用済みのマスタ8の先端部の蹴り上げ動作がマスタ8を引っ掛けたりすることなく確実になされることとなり、この状態での使用済みのマスタ8の先端部の排版ローラ対30への受け渡しがより一層確実に行われることとなって、より一層確実に排版ジャムの発生を防止することができる。
【0060】
そして、回転している排版ローラ対30により、開放された使用済みのマスタ8の先端部を羽根車32の弾性羽根32aに接触させて排版ローラ上31と排版ローラ下33のニップ部に引き込む。
使用済みのマスタ8の先端部が排版ローラ対30にくわえ込まれ排版ローラ対30の回転動作が所定時間経過した後、図示しない検知手段により剥離済みのマスタ8の先端がニップ部に引き込まれたことが検知されると、一時的に排版ローラ対30の回転が停止する。この後、上記開閉装置が作動することにより、クランパ7が閉じられると、直ちに駆動モータが起動されることにより、版胴1が支軸5の周りに図2中二点鎖線で示す矢印A方向(時計回り方向)に回転を始め、これと同時に排版ローラ対30が再び回転駆動されることで、剥離済みのマスタ8は版胴1の回転と共に、排版ローラ上31と排版ローラ下33との間に挟持されて羽根車32により排版ローラ上31との貼り付きを防止されながら版胴1の表面から剥離され、圧縮板34と排版ボックス35との空間部に蛇腹状に折り畳まれながら収納される。
【0061】
使用済みのマスタ8の版胴1の表面からの剥離が完了すると、版胴1はクランパ7が図2において略右横に位置する給版位置に達するまで回転して停止する。版胴1が給版位置に停止した状態において、上記開閉装置が作動して図示しない給版用作動アーム(25)が第1の位置へ揺動することにより、図4および図6に示すように、クランパ7が給版に必要な所定の角度θ1内に開いている状態となる。この時、リフト爪7aと係合爪36cとが当接状態で逃げ凹部9a上方に位置しており、蹴り出し部材36の蹴り出し爪36a,36bはマグネット27の溝部27a,27b内に嵌入されたままであり、また凹凸部材28の凹凸延在方向がマスタ搬送方向X1と同じ方向であるため、給版時におけるクランパ7とマグネット27とによる製版済みのマスタ8先端部の給版(着版)は、蹴り出し爪36a,36bと干渉すること無く確実になされる。
【0062】
給版待機状態になると原稿が画像読取装置50に搬送され、CCD、A/D変換器、製版制御装置等を経由して画像情報に応じてサーマルヘッド11の発熱素子にパルス状に通電がなされる。そして、サーマルヘッド11を主走査方向に作動させると共に、図示しないステッピングモータが回転してプラテンローラ10および反転ローラ対13等によりマスタ8を副走査方向に搬送しながら、マスタ8のフィルム部分が加熱穿孔される製版が行われる。
【0063】
ガイド板14により、製版済みのマスタ8の先端部がステージ6におけるマグネット27とクランパ7との間に案内されて、図示しないステッピングモータのステップ数などの情報により製版済みのマスタ8の先端部がクランパ7の挟持領域に到達したと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられることにより、製版済みのマスタ8の先端部が吸着挟持される。この製版済みのマスタ8の先端部の挟持と共に、版胴1がマスタ8の搬送速度と略同じ速度で回転を再開し、製版済みのマスタ8を版胴1の外周面へ巻き付けるマスタ巻装動作が行われる。
【0064】
この際、凹凸部材28の凹凸延在方向がマスタ搬送方向X1(図1において、製版済みのマスタ8が反転ローラ対13のニップ部から垂れ下がって拡開したクランパ7とマグネット27との挟持部に挿入される方向)と同じ方向であるので、製版済みのマスタ8の先端部のクランプ時にそのマスタ8を引っ掛けたりすることなく確実になされることとなので、凹凸部材28を配置したことに伴う給版ジャムの発生を未然に防止することができる。
【0065】
図示しないステッピングモータのステップ数より製版が終了したと判断されると、カッタ12が作動してマスタ8が切断されると共に、プラテンローラ10および反転ローラ対13等が停止し、切断された製版済みのマスタ8の後端が版胴1の回転により製版給版装置51より完全に引き出されると、版胴1へのマスタ巻装動作が完了する。
【0066】
この給版・巻装動作と並行して排版装置55における圧縮板34が時計回り方向に回転し、蛇腹状に収納された廃棄マスタ8cを排版ボックス35の壁面に沿って移動させ、奥部へ押圧しながら廃棄マスタ8cを圧縮した状態で所定位置で停止する。所定時間後、圧縮板34は反時計回り方向に回転して初期位置に復帰する。
【0067】
版胴1への製版済みのマスタ8の巻装が完了すると、給紙コロ59、60が作動することにより、給紙コロ60と分離コロ61との分離作用によって給紙トレイ58から用紙Pが1枚だけ分離されて用紙搬送方向Xに給送され、所定のタイミングで回転するレジストローラ対20により版胴1とプレスローラ23との間に向けて搬送される。図示しない用紙センサにより用紙Pの進入が検知されると、押圧手段21の図示しない係止手段が解除されることにより、プレスローラ23が図示しないカムの回転によって上昇し、版胴1上の製版済みのマスタ8に用紙Pを押圧し、マスタ8にインキを充填する版付けが行われる。
用紙Pは、版胴1に接近・離間する剥離爪62により版胴1の表面から剥離され、排紙搬送装置53等により搬送されて排紙トレイ54に排出積載される。その後、設定された枚数の印刷が同じ動作で行われる。
【0068】
なお、第1の実施形態の孔版印刷装置100は、特許文献2(特開平6−247031号公報)記載の原紙係止装置をベースとして、これを後述する効果を奏するように改良したものであるから、上記従来の技術や特開平6−247031号公報に記載されている基本的な効果を奏することはいうまでもない。
【0069】
図8に、第1の実施形態の変形例を示す。
この変形例は、第1の実施形態と比較して、凹凸部材28に代えて、ステージ6を介してマグネット27と実質一体的に形成された、製版済みのマスタ8ないしは使用済みのマスタ8と接触する接触面積を減少させる貼付防止手段としての凹凸部27Aを有することのみ相違する。
凹凸部27Aは、図8(a),(b)に示すマグネット27の上部に、型押しで成形されている。
【0070】
貼付防止手段としての凹凸部は、型押しで成形した変形例の凹凸部27Aに限らず、製版済みのマスタ8ないしは使用済みのマスタ8と接触する接触面積を減少させる貼付防止手段としての凹凸部を、同様の断面形状でサンドブラストで形成することもできる。
図8に示した変形例の凹凸部27Aは、型押しで成形したため型製作費が比較的高くなることで総合的なコストは割高となるが、サンドブラスト加工であれば、サンドを案内する案内部材の製作費だけで済むので、図8に示した変形例よりはコストダウンを図れる。なお、第1の実施形態の凹凸部材28は、上記各変形例を含め、最もコスト的に有利である。
【0071】
凹凸部27Aの断面形状は、これに限らず、図8(b)に示すような断面略三角形状ないしは鋸刃状に代えて、例えば特開2002−137520号公報の図4に示されている形状であってもよい。つまり、本発明の貼付防止手段としての凹凸部材および凹凸部は、製版済みのマスタ8ないしは使用済みのマスタ8と接触する接触面積を減少させる形状であって、マスタ8に損傷を与えず、かつ、適度の耐久性があればどのような断面形状であってもよく、例えばその凸部分が断面台形状や半丸状、その凹部分が断面台形状や半丸状の溝形状であっても構わない。また、凹凸部材および凹凸部の断面形状は、上記した加工法に限らず、周知のあらゆる加工法でも製作できる。
【0072】
第1の実施形態や上記各変形例では、永久磁石であるマグネット27をステージ6側に配置したが、これに限らず、永久磁石であるマグネット27をステージ6から除去してこれをクランパ7側に配置して、これと対向してマスタ挟持面を形成するステージ6を強磁性体で形成してもよい。すなわち、ステージおよびクランパの何れか一方が、永久磁石を有する構成であればよい(請求項10参照)。
マグネット27をステージ6上に配置したのは、給版時において製版済みのマスタ8の先端を当接させて停止させることによりそのマスタの位置出しを行うマスタ先端位置決め部材としてのストッパ(図示せず:マグネット27の下流端とクランパ軸25との間の凹部に嵌入可能に突出している板状の部材)をクランパ7と一体的に形成する都合からのものであるが、本発明では上記ストッパは必須の構成要素ではないのでその説明を省略する。
【0073】
上述した第1の実施形態および上記各変形例では、版胴1のホームポジションを排版位置としたが、例えばクランパ7が図1における略真上に位置する版胴1の回転位置をホームポジションと設定されている孔版印刷装置100では、その初期状態およびスタートボタン押下後の動作は次のようになる。
すなわち、孔版印刷装置100の初期状態としては、版胴1の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ8が装着されたまま残っていて、版胴1はクランパ7が図1における略真上に位置するホームポジションに停止している。この状態において、スタートボタン等が押されること等によりスタート信号が出され、これがトリガとなって、先ず排版工程を実行すべく、版胴1が回転移動される。すなわち、図2を借りて説明すると、駆動モータが起動されることにより、版胴1が支軸5の周りに図2中二点鎖線で示す矢印A方向(時計回り方向)に回転を始め、排版ローラ対30に近接して排版可能となる排版位置を占めるまで回転して停止する。
次いで、クランパ7を開閉駆動する図示しない開閉装置のラック駆動モータ(45)が起動する直前に、上記制御手段からの指令によりステッピングモータが起動されることで、排版ローラ対30が回転駆動開始される。以下の動作は、第1の実施形態等と同様に行われるためその説明を省略する。
【0074】
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態や変形例等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性及び用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。例えば、「課題を解決するための手段」欄に記載した請求項1ないし9記載の孔版印刷装置の構成が、マスタ8をクランプするときのクランプ力を増して確実なマスタのクランプのために採用される、ステージおよびクランパの何れか一方が永久磁石を有していないものであっても成立することは、当業者ならば容易に理解し実施できる。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な孔版印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1、10、11記載の発明によれば、製版済みのマスタの両側縁部に対応したステージまたはステージ上に配置された永久磁石の表面に、該マスタの貼り付きを防止する貼付防止手段を有することにより、たとえ孔版印刷装置が長期間放置されたときであっても、マスタのうちでも中央部に比べ特に腰の弱いマスタの両側縁部がステージまたはステージ上の永久磁石の表面に付着したインキやそのオイル成分による粘着力で貼り付くのが防止できるので、排版ジャム等の発生を無くすことができる。特に、繊維目による画質劣化を防止して画質向上を図る点から用いられるような厚みが比較的薄く、かつ、低強度であるマスタを使用した場合には、上記効果がさらに顕著になる。
【0076】
請求項2記載の発明によれば、ステージの近傍に揺動可能に配設され、版胴の外周面に巻装された使用済みのマスタの先端部を版胴の略遠心方向へ蹴り出す爪状部を版胴の軸線方向に沿って複数備えた蹴り出し手段を有するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ステージまたはステージ上の永久磁石の表面に貼り付くのがより確実に防止できる。
【0077】
請求項3記載の発明によれば、複数の爪状部における版胴の外周面に沿った方向の長さは、製版済みのマスタの両側縁部に対応して配設されたものの方が、製版済みのマスタの内側に対応して配設されたものよりも長いことにより、請求項2記載の発明の効果に加えて、例えば繊維目による画質劣化を防止して画質向上を図る点から用いられるような厚みが比較的薄く、かつ、低強度であるマスタであってもその使用済みのマスタの先端部における両側縁部を例えば排版装置に配設されている排版ローラ対に確実に受け渡すことができ、腰の弱いマスタでも確実に排版ローラ対に挿入できて、より一層確実に排版ジャムの発生を防止することができる。
【0078】
請求項4記載の発明によれば、貼付防止手段は、製版済みのマスタの両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部材からなることにより、請求項1、2または3記載の発明の効果を、比較的低コストで奏する。
【0079】
請求項5記載の発明によれば、凹凸部材を両面粘着テープでステージの表面に貼着したことにより、凹凸部材を低コストで貼着して供給できる。
【0080】
請求項6ないし8記載の発明によれば、貼付防止手段は、ステージと実質一体的に形成された、製版済みのマスタの両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部からなることにより、請求項1、2または3記載の発明の効果に加えて、請求項5記載の発明による効果と比較して、凹凸部材を両面粘着テープで貼着する手間を省くことができる。
【0081】
請求項9記載の発明によれば、凹凸部材または凹凸部の凹凸延在方向を、版胴への製版済みのマスタの巻き付け方向または版胴からの使用済みのマスタの排版方向と同じにしたことにより、給版時や排版時に、そのマスタを凹凸部材または凹凸部に引っ掛けてしまうことなく請求項4ないし8の何れか一つに記載の発明の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す孔版印刷装置の一部断面正面図である。
【図2】図1の孔版印刷装置におけるステージ、クランパ、排版装置周りの構成およびそれらの動作を示す一部断面拡大正面図である。
【図3】(a)は、図1の孔版印刷装置におけるクランパ、ステージおよび蹴り出し部材周りの平面図、(b)は、(a)におけるSb−Sb拡大断面図である。
【図4】図1の孔版印刷装置におけるクランパ、ステージおよび蹴り出し部材周りの給版位置での動作を示す斜視図である。
【図5】図1の孔版印刷装置におけるクランパ、ステージおよび蹴り出し部材周りの排版位置での動作を示す要部の斜視図である。
【図6】図4の動作を示す一部断面正面図である。
【図7】図5の動作を示す一部断面正面図である。
【図8】(a)は、変形例におけるクランパ、ステージおよび蹴り出し部材周りの平面図、(b)は、(a)におけるSb−Sb拡大断面図である。
【符号の説明】
1 版胴
6 ステージ
7 クランパ
8 マスタ(孔版原紙)
25 クランパ軸
26 クランパ駆動レバー
27 永久磁石としてのマグネット
27A 貼付防止手段としての凹凸部
28 貼付防止手段としての凹凸部材
29 両面粘着テープ
30 排版ローラ対
36 蹴り出し手段としての蹴り出し部材
36a,36b 爪状部としての蹴り出し爪
48a、48b 溝部
55 排版装置
70 突起状部材としての弾性突起部材
75 ステッピングモータ
77 制御手段
100 孔版印刷装置
Y マスタ幅方向
Claims (11)
- 製版済みのマスタを外周面に巻装する版胴と、該外周面の一母線に沿って延在するステージと、該ステージとの間で製版済みのマスタの先端部を挟持する開閉可能なクランパとを具備する孔版印刷装置において、
製版済みのマスタの両側縁部に対応した上記ステージの表面に、該マスタの貼り付きを防止する貼付防止手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記ステージの近傍に揺動可能に配設され、上記外周面に巻装された使用済みのマスタの先端部を上記版胴の略遠心方向へ蹴り出す爪状部を上記版胴の軸線方向に沿って複数備えた蹴り出し手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項2記載の孔版印刷装置において、
上記複数の爪状部における上記外周面に沿った方向の長さは、製版済みのマスタの両側縁部に対応して配設されたものの方が、製版済みのマスタの内側に対応して配設されたものよりも長いことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1、2または3記載の孔版印刷装置において、
上記貼付防止手段は、製版済みのマスタの両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部材からなることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項4記載の孔版印刷装置において、
上記凹凸部材を両面粘着テープで上記ステージの表面に貼着したことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1、2または3記載の孔版印刷装置において、
上記貼付防止手段は、上記ステージと実質一体的に形成された、製版済みのマスタの両側縁部と接触する接触面積を減少させる凹凸部からなることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項6記載の孔版印刷装置において、
上記凹凸部を、型押しで成形したことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項6記載の孔版印刷装置において、
上記凹凸部を、サンドブラストで形成したことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項4ないし8の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
上記凹凸部材または上記凹凸部の凹凸延在方向を、上記版胴への製版済みのマスタの巻き付け方向または上記版胴からの使用済みのマスタの排版方向と同じにしたことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし9の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
上記ステージおよび上記クランパの何れか一方が、永久磁石を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし10の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
上記マスタは、その厚みが比較的薄く、かつ、低強度であることを特徴とする孔版印刷装置。
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JP2003041505A JP2004249550A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 孔版印刷装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006123258A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Tohoku Ricoh Co Ltd | 製版装置および製版印刷装置 |
JP2015134449A (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-27 | 理想科学工業株式会社 | 孔版印刷装置 |
-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003041505A patent/JP2004249550A/ja active Pending
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