JP2002100356A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JP2002100356A
JP2002100356A JP2000289761A JP2000289761A JP2002100356A JP 2002100356 A JP2002100356 A JP 2002100356A JP 2000289761 A JP2000289761 A JP 2000289761A JP 2000289761 A JP2000289761 A JP 2000289761A JP 2002100356 A JP2002100356 A JP 2002100356A
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nickel
manganese
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Manabu Kazuhara
学 数原
Kazuo Sunahara
一夫 砂原
Takashi Kimura
貴志 木村
Takuya Mihara
卓也 三原
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Seimi Chemical Co Ltd
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Seimi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い電圧範囲での使用を可能とし、容量が高
く、充放電サイクル耐久性に優れた高安全性の非水電解
液二次電池用正極材料を得る。 【解決手段】 リチウム遷移金属複合酸化物を主成分と
する正極活物質層を備えたリチウム二次電池において、
上記リチウム遷移金属複合酸化物に、R3−m菱面体構
造を有しLiNiMn1−y−z(ただ
し、xは0.9≦x≦1.2、yは0.40≦y≦0.
60、zは0≦z≦0.2であり、MはFe,Co,C
r,Al原子のいずれかから選択される。)で表される
リチウム−ニッケル−マンガン−M複合酸化物と、R−
3m菱面体構造を有しLiNi 1−p(ただ
し、xは0.9≦x≦1.2、pは0.75≦p≦0.
95であり、NはCoまたはMn原子。)で表されるリ
チウム−ニッケル−N複合酸化物との混合物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改良された正極活
物質層を備えたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、機器のポータブル化、コードレス
化が進むにつれ、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を
有する非水電解液二次電池に対する期待が高まってい
る。非水電解液二次電池用の活物質には、LiCo
、LiNiO、LiMn、LiMnO
どのリチウムと遷移金属の複合酸化物が知られている。
【0003】その中で特に最近では、安全性が高くかつ
安価な材料として、リチウムとマンガンの複合酸化物の
研究が盛んである。これらを正極活物質に用いて、リチ
ウムを吸蔵、放出することができる炭素材料等の負極活
物質とを組み合わせることによる、高電圧、高エネルギ
ー密度の非水電解液二次電池の開発が進められている。
【0004】一般に、非水電解液二次電池に用いられる
正極活物質は、主活物質であるリチウムにコバルト、ニ
ッケル、マンガンをはじめとする遷移金属を固溶させた
複合酸化物からなる。その用いられる遷移金属の種類に
よって、電気容量、可逆性、作動電圧、安全性などの電
極特性が異なる。例えば、LiCoO、LiNi
.8Co0.2のようにコバルトやニッケルを固溶
させたR−3m菱面体岩塩層状複合酸化物を正極活物質
に用いた非水電解液二次電池は、それぞれ140〜16
0mAh/g及び180〜200mAh/gと比較的高
い容量密度を達成できるとともに2.5〜4.3Vとい
った高い電圧域では良好な可逆性を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電池を
加温した際に、充電時の正極活物質と電解液溶媒との反
応により電池が発熱し易い問題や、原料となるコバルト
やニッケルが高価であるので活物質のコストが高くなる
問題がある。
【0006】一方、比較的安価なマンガンを原料とする
LiMnからなるスピネル型複合酸化物を活物質
に用いた非水電解液二次電池は、充電時の正極活物質と
電解液溶媒との反応により電池が比較的発熱しにくいも
のの、容量が上述のコバルト系およびニッケル系活物質
にくらべ100〜120mAh/gと低く、充放電サイ
クル耐久性が乏しいという課題があるとともに、3V未
満の低い電圧領域で急速に劣化する課題もある。
【0007】これらの単独のリチウム−遷移金属複合酸
化物を正極活物質として使用する代わりに、斜方晶系の
LiMnOと、LiNiO 、LiCoOおよび
LiMnからなる群より選択される少なくとも一
種のリチウム−遷移金属複合酸化物を混合することが特
開平9−180718号公報に提案されている。かかる
混合物を用いた電池はLiMnOに起因して、充放電
サイクル耐久性が不足する問題がある。
【0008】また、特開平11−3698号公報には、
LiMn、LiNiOおよびLiCoOの3
種混合物からなるリチウム二次電池が提案されている。
かかるLiMn、LiNiOおよびLiCoO
の3種混合物を用いた電池は充放電電圧4.3〜3.
0V範囲では単位重量当たりのLiMnの放電容
量が低いので必然的に混合物も放電容量が低い問題があ
る。
【0009】また、4.3〜2.5Vにおいて充放電を
行うと充放電サイクルの進行とともにLiMn
劣化により急速に容量低下が起きる問題もある。また、
特許3024636号公報には、LiNi0.8Co
0.2とLiMnを混合することが提案され
ているが、安全性、容量、およびサイクル耐久性の見地
より正極材料のさらなる改良が望まれていた。
【0010】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、その目的は、広い電圧範囲での使用
を可能とし、容量が高く、充放電サイクル耐久性に優れ
た高安全性の非水電解液二次電池用正極材料を用いた高
エネルギー密度かつ大電流放電特性の良い非水電解液二
次電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分と
する正極活物質層を備えたリチウム二次電池において、
上記リチウム遷移金属複合酸化物が、LiNiMn
1−y−z(ただし、xは0.9≦x≦1.
2、yは0.40≦y≦0.60、zは0≦z≦0.2
であり、MはFe,Co,Cr,Al原子のいずれかか
ら選択される。)で表されるリチウム−ニッケル−マン
ガン−M複合酸化物と、R−3m菱面体構造を有し、L
Ni 1−p(ただし、xは0.9≦x≦
1.2、pは0.75≦p≦0.95であり、NはCo
またはMn原子。)で表されるリチウム−ニッケル−N
複合酸化物との混合物からなることを特徴としている。
【0012】本発明において、上記リチウム−ニッケル
−マンガン−M複合酸化物はR3−m菱面体構造である
ことが好ましい。なお、yが0.40未満であると安定
なR−3m菱面体構造をとりにくくなるので好ましくな
い。また、yが0.60を超えると安全性が低下するの
で好ましくない。yは特に好ましくは0.45〜0.5
5が採用される。xは容量発現のため、0.9≦x≦
1.2が採用される。
【0013】このリチウム−ニッケル−マンガンM複合
酸化物に対し、さらにFe,Co,Cr,Alのいずれ
かの原子を加えることにより、充放電サイクル耐久性、
安全性、容量等の向上が図れる。M原子の添加量zは0
〜0.2で、好ましくは0.01〜0.18、特に好ま
しくは0.05〜0.16である。
【0014】本発明で用いるもう一方の上記リチウム−
ニッケル−N複合酸化物において、pが0.95を上回
ると充放電サイクル特性が劣化し易くなるので好ましく
ない。また、pが0.75未満であると容量が低下する
ので好ましくない。pは特に好ましくは、0.80〜
0.90である。容量発現の点からxは0.9≦x≦
1.2の範囲とされる。
【0015】上記リチウム−ニッケル−N複合酸化物に
対して、さらにアルミニウム、鉄、カルシウム、マグネ
シウム等の金属を充放電サイクル耐久性向上あるいは電
池安全性向上のために、ニッケルと金属元素Mの合計量
に対し原子比で0.1〜5%程度固溶させ、例えばリチ
ウム−ニッケル−N−アルミニウム複合酸化物としても
よい。
【0016】本発明において、上記混合物中の上記リチ
ウム−ニッケル−マンガン−M複合酸化物の含有量は2
0〜70重量%であることが好ましい。上記含有量が2
0重量%未満であるとリチウム電池の安全性が乏しくな
り、高価なニッケルおよび/またはコバルトの使用量が
多くなり、3V未満での容量が低下するので好ましくな
い。また、上記含有量が70重量%を超えると容量が低
下するので好ましくない。特に好ましい上記含有量は3
0〜60重量%である。
【0017】本発明において、上記複合酸化物の混合物
粉末は、粉末のみを1t/cmの圧力でプレス充填し
たときの粉体プレス密度が3.0g/cm以上である
ことが好ましい。これによれば、上記混合物をスラリー
となして集電体アルミ箔に塗工・乾燥・プレスした際に
体積当たりの容量を高くすることができる。特に好まし
くい粉体プレス密度は3.15g/cm以上である。
3.0g/cm以上の粉体プレス密度は、混合物粉体
の粒径分布を適正化することにより達成される。すなわ
ち、粒径分布に幅があり、少粒径の体積分率が20〜5
0%であり、大粒径の粒径分布を狭くすること等により
高密度化が図れる。
【0018】本発明の混合物を用いると、混合に用いた
それぞれの単独のリチウム遷移金属複合酸化物を用いた
場合より、容量、安全性のバランスが向上した電池性能
が発現できる。また、単独のリチウム遷移金属化合物か
らなり、かつ、混合に用いた遷移金属元素含量と同じで
ある正極活物質を用いた場合より、容量と安全性並びに
充放電サイクル安定性の優れた電池性能を得ることがで
きる。かかる、物理的混合物の方が単独物質より優れる
原因は明らかではないが、リチウム−ニッケル−マンガ
ン−M複合酸化物(Ni/Mn=0.6/0.4〜0.
4/0.6)が特段に安全性が高く、容量の発現性が比
較的良いため、混合により相乗効果が発現したものと考
えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】 本発明に用いる結晶
構造が菱面体のR−3mからなる、LiNiMn
1− y−z(リチウム−ニッケル−M複合酸化
物)およびLiNi −p(リチウム−ニッ
ケル−N複合酸化物)の製法としては、例えばマンガン
化合物とリチウム化合物とニッケル化合物の混合物を不
活性ガス雰囲気下あるいは大気中で固相法500〜10
00℃焼成すること、500〜850℃での溶融塩法が
挙げられる。
【0020】本発明に用いる結晶構造が菱面体層状岩塩
型構造からなる、リチウム−ニッケル−マンガン−M複
合酸化物は、例えばニッケル−マンガン−金属元素から
なる複合酸化物あるいは複合水酸化物とマンガン化合物
とリチウム化合物の混合物を酸素ガス含有雰囲気下で固
相法500〜1000℃焼成すること、500〜850
℃のリチウム含有溶融塩中にニッケル−マンガン−金属
元素M含有化合物を添加する溶融塩法により得ることが
できる。
【0021】ニッケル源原料としては、酸化物(NiO
など)、水酸化物(NiOH)、オキシ水酸化物(Ni
OOH)などが挙げられる。マンガン源原料としては、
酸化物(Mn,MnO,MnOなど)、これら
酸化物の水和物、オキシ水酸化物などが挙げられる。マ
ンガン源原料としては、3価のマンガンの化合物がより
好ましい。これらのマンガン源原料は、単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】金属元素(M)源原料としては、単体金
属、水酸化物、酸化物、オキシ水酸化物、塩化物、硝酸
塩等が使用される。これらの金属元素(M)源原料は、
単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】本発明の混合物の粉末に、アセチレンブラ
ック、黒鉛、ケッチエンブラック等のカーボン系導電材
と結合材を混合することにより正極合剤が形成される。
結合材には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロー
ス、アクリル樹脂等が用いられる。本発明の混合物の粉
末と導電材と結合材ならびに結合材の溶媒または分散媒
からなるスラリーをアルミニウム箔等の正極集電体に塗
工・乾燥およびプレス圧延せしめて正極活物質層を正極
集電体上に形成する。
【0024】本発明のリチウム電池において、電解質溶
液の溶媒としては炭酸エステルが好ましい。炭酸エステ
ルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステル
としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネー
ト等が例示される。鎖状炭酸エステルとしてはジメチル
カーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカ
ーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソ
プロピルカーボネート等が例示される。
【0025】本発明では上記炭酸エステルを単独で又は
2種以上を混合して使用できる。また、他の溶媒と混合
して使用してもよい。また、負極活物質の材料によって
は、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用する
と、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良でき
る場合がある。また、これらの有機溶媒にフッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばアト
ケム社カイナー)、フッ化ビニリデン−パーフルオロプ
ロピルビニルエーテル共重合体を添加し、下記の溶質を
加えることによりゲルポリマー電解質としてもよい。
【0026】溶質としては、ClO−、CFSO
−、BF−、PF−、AsF−、SbF−、C
CO−、(CFSON−等をアニオンと
するリチウム塩のいずれか1種以上を使用することが好
ましい。上記の電解質溶液またはポリマー電解質は、リ
チウム塩からなる電解質を前記溶媒または溶媒含有ポリ
マーに0.2〜2.0mol/lの濃度で添加するのが
好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が低下
し、電解質の電気伝導度が低下する。より好ましくは
0.5〜1.5mol/lが選定される。セパレータに
は多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンフィルム
が使用される。
【0027】本発明における負極活物質は、リチウムイ
オンを吸蔵、放出可能な材料である。これらの負極活物
質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウ
ム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、15族
の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化
合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合
物等が挙げられる。
【0028】炭素材料としては、様々な熱分解条件で有
機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒
鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使用できる。また、酸化
物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用でき
る。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔等が用いら
れる。
【0029】本発明における正極および負極は、活物質
を有機溶媒と混練してスラリとし、このスラリを金属箔
集電体に塗布、乾燥、プレスして得ることが好ましい。
本発明のリチウム電池の形状に特に制約はない。シート
状(いわゆるフイルム状)、折り畳み状、巻回型有底円
筒形、ボタン形等が用途に応じて選択される。
【0030】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例1〜9および
比較例1〜6について説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されない。
【0031】《実施例1》硫酸ニッケルと硫酸マンガン
(モル比1:1)混合水溶液に、アンモニア水と水酸化
ナトリウム水溶液を加えて共沈させ、150℃で加熱・
乾燥により、ニッケル−マンガン共沈水酸化物(ニッケ
ル:マンガン原子比=1:1)を得た。このニッケル−
マンガン共沈水酸化物を550℃で大気中で焼成・粉砕
し、ニッケル−マンガン酸化物粉末を得た。ニッケル−
マンガン酸化物粉末と炭酸リチウム粉末を混合し、80
0℃で窒素ガス雰囲気中で焼成・粉砕して平均粒径4μ
mのLiNi0.5Mn0.5を合成した。この粉
末のCuKαによるX線回折分析の結果、R−3m菱面
体層状岩塩型構造であることが判った。また、硫酸ニッ
ケルと硫酸コバルト(モル比0.82:0.18)混合
水溶液に、アンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液を加
えて共沈させ、150℃で加熱・乾燥により、ニッケル
−コバルト共沈水酸化物(ニッケル:コバルト原子比=
0.82:0.18)を得た。このニッケル−コバルト
共沈水酸化物を550℃で大気中で焼成・粉砕し、ニッ
ケル−コバルト酸化物粉末を得た。ニッケル−コバルト
酸化物粉末と水酸化リチウム粉末を混合し、480℃で
焼成し、さらに大気中で800℃で焼成・粉砕して平均
粒径12μmのLiNi0.82Co0. 18を合
成した。この粉末のCuKαによるX線回折分析の結
果、R3−m菱面体層状岩塩型構造であることが判っ
た。LiNi0.5Mn0.5と、LiNi
0.82Co0.18とを重量比で50:50の割
合で混合し、この混合物粉末を1t/cmの圧力で油
圧プレスして体積と重量から粉体プレス密度を求めた結
果、3.16g/cmであった。この混合物粉末とア
セチレンブラックとポリフッ化ビニリデンとを83/1
0/7の重量比でN−メチルピロリドン加えつつボール
ミル混合し、スラリーとした。このスラリーを厚さ20
μのアルミニウム箔正極集電体上に塗布し、150℃に
て乾燥してN−メチルピロリドンを除去した。しかる後
にロールプレス圧延をして正極体を得た。セパレータに
は厚さ25μの多孔質ポリエチレンを用い、厚さ300
μの金属リチウム箔を負極に用い負極集電体にニッケル
箔を使用し、電解液には1M LiPF/EC+DE
C(1:1)を用いてコインセル2030型をアルゴン
グローブボックス内で組立た。25℃の温度雰囲気下に
おいて、1mAで4.3Vまで充電し、定電流1mAに
て2.7Vまで放電して高電流密度かつ広い電圧領域で
充放電サイクル試験を20回行ない、2回充放電後の放
電容量と20回充放電後の放電容量との比率から容量維
持率を求めた。また、電池安全性評価のため、4.3V
充電後のセルを解体し、正極をエチレンカーボネートと
ともに密閉容器に入れて試料となし、示差走査熱量測定
装置を用い、昇温せしめた時の発熱開始温度を求めたと
ころ、容量維持率は94%、発熱開始温度は210℃で
あった。なお、初期容量は175mA/g。
【0032】《実施例2》硫酸コバルトの代わりに硫酸
マンガンを使用した他は、上記実施例1と同様にニッケ
ルマンガン共沈水酸化物(ニッケル:マンガン原子比=
0.9:0.1)を合成し、ついで上記実施例1と同様
に平均粒径11μmのリチウム−ニッケル−マンガン複
合酸化物LiNi0.9Mn0.1を合成した。こ
の粉末のCuKαによるX線回折分析の結果、R−3m
菱面体層状岩塩型構造であることが判った。そして、上
記実施例1のLiNi0.82Co0.18の代わ
りに、LiNi0.90Mn0.10を用い、Li
Mn0.5Ni0.5と重量比で50:50の割合
で混合した。この混合物粉末を1t/cmの圧力で油
圧プレスして体積と重量から粉体プレス密度を求めたと
ころ、3.20g/cmであった。そして、上記実施
例1と同様に正極体および電池を作製し特性を評価し
た。その結果、容量維持率は93%、発熱開始温度は2
01℃、初期容量は183mA/gであった。
【0033】《実施例3》マンガンとニッケルの原子比
を変え、一方の複合酸化物にLiMn0.6Ni 0.4
を用い、他方の複合酸化物にLiNi0.90Co
0.10を用いて、両者を重量比で50:50の割
合で混合した他は、上記実施例1と同様に正極体および
電池を作製し特性を評価した。容量維持率は94%、発
熱開始温度は203℃、初期容量は186mA/gであ
った。
【0034】《実施例4》一方の複合酸化物にLiMn
0.5Ni0.5を用い、他方の複合酸化物にLi
Ni0.90Co0.10を用いて、両者を重量比
で40:60の割合で混合した他は、上記実施例1と同
様に正極体および電池を作製し特性を評価した。容量維
持率は93%、発熱開始温度は205℃、初期容量は1
85mA/gであった。
【0035】《実施例5》一方の複合酸化物にLiMn
0.55Ni0.45を用い、他方の複合酸化物に
LiNi0.82Co0.18を用いて、両者を重
量比で30:70の割合で混合した他は、上記実施例1
と同様に正極体および電池を作製し特性を評価した。容
量維持率は95%、発熱開始温度は198℃、初期容量
は192mA/gであった。
【0036】《実施例6》上記実施例1の硫酸ニッケル
と硫酸マンガン(モル比1:1)混合水溶液に代えて、
硫酸ニッケルと硫酸マンガンと硫酸コバルト(モル比
9:9:2)混合水溶液を用いた他は、上記実施例1と
同様にして、正極活物質として平均粒径5μmのLiN
0.45Mn0.45Co0.1を合成した。こ
の粉末のCuKαによるX線回折分析の結果、R−3m
菱面体層状岩塩型構造であることが判った。そして、L
iNi0.45Mn0.45Co0.1と、LiN
0.82Co0.18とを重量比で50:50の
割合で混合し、この混合物粉末を1t/cmの圧力で
油圧プレスして体積と重量から粉体プレス密度を求めた
ところ、3.17g/cmであった。上記実施例1と
同様にして正極体および電池を作製し特性を評価した。
容量維持率は95%、発熱開始温度は204℃、初期容
量は181mAh/gであった。
【0037】《実施例7》上記実施例1の硫酸ニッケル
と硫酸マンガン(モル比1:1)混合水溶液に代えて、
硫酸ニッケルと硫酸マンガンと硫酸クロム(モル比9:
9:2)混合水溶液を用いた他は、上記実施例1と同様
にして、正極活物質として平均粒径5μmのLiNi
0.45Mn0.45Cr0.1を合成した。この
粉末のCuKαによるX線回折分析の結果、R−3m菱
面体層状岩塩型構造であることが判った。そして、Li
Ni0.45Mn0.45Cr0.1と、LiNi
0.82Co0.18とを重量比で50:50の割
合で混合し、この混合物粉末を1t/cmの圧力で油
圧プレスして体積と重量から粉体プレス密度を求めたと
ころ、3.18g/cmであった。上記実施例1と同
様にして正極体および電池を作製し特性を評価した。容
量維持率は95%、発熱開始温度は207℃、初期容量
は183mAh/gであった。
【0038】《実施例8》上記例1の硫酸ニッケルと硫
酸マンガン(モル比1:1)混合水溶液に代えて、硫酸
ニッケルと硫酸マンガンと硫酸鉄(モル比9:9:2)
混合水溶液を用いた他は、上記実施例1と同様にして、
正極活物質として平均粒径5μmのLiNi0.45
0.45Fe0.1を合成した。この粉末のCu
KαによるX線回折分析の結果、R−3m菱面体層状岩
塩型構造であることが判った。そして、LiNi
0.45Mn0.45Fe0.1と、LiNi
0.82Co0.18とを重量比で50:50の割
合で混合し、この混合物粉末を1t/cmの圧力で油
圧プレスして体積と重量から粉体プレス密度を求めたと
ころ、3.16g/cmであった。上記実施例1と同
様にして正極体および電池を作製し特性を評価した。容
量維持率は95%、発熱開始温度は210℃、初期容量
は174mAh/gであった。
【0039】《実施例9》上記実施例1の硫酸ニッケル
と硫酸マンガン(モル比1:1)混合水溶液に代えて、
硫酸ニッケルと硫酸マンガンと硫酸アルミニウム(モル
比9:9:2)混合水溶液を用いた他は、上記実施例1
と同様にして、正極活物質として平均粒径5μmのLi
Ni0.45Mn0.45Al0.1を合成した。
この粉末のCuKαによるX線回折分析の結果、R−3
m菱面体層状岩塩型構造であることが判った。そして、
LiNi0.45Mn0.45Al0.1と、Li
Ni0.82Co0.18とを重量比で50:50
の割合で混合し、この混合物粉末を1t/cmの圧力
で油圧プレスして体積と重量から粉体プレス密度を求め
たところ、3.15g/cmであった。上記実施例1
と同様にして正極体および電池を作製し特性を評価し
た。容量維持率は95%、発熱開始温度は212℃、初
期容量は172mAh/gであった。
【0040】〈比較例1〉上記実施例1において使用し
たLiNi0.5Mn0.5を単独で使用した他
は、上記実施例1と同様に正極体および電池を作製し特
性を評価した。容量維持率は92%、発熱開始温度は2
30℃、初期容量は130mAh/gであった。
【0041】〈比較例2〉硫酸ニッケルと硫酸マンガン
(モル比0.70:0.30)混合水溶液に、アンモニ
ア水と水酸化ナトリウム水溶液を加えて共沈させ、15
0℃で加熱・乾燥により、ニッケル−コバルト−マンガ
ン共沈水酸化物(ニッケル:マンガン原子比=0.7
0:0.30)を得た。このニッケル−マンガン共沈水
酸化物を550℃で大気中で焼成・粉砕し、ニッケル−
マンガン酸化物粉末を得た。ニッケル−マンガン酸化物
粉末と水酸化リチウム粉末を混合し、480℃で焼成
し、さらに大気中で800℃で焼成・粉砕してLiNi
0.7Mn0.3を合成した。このLiNi0.7
Mn0.3を単独で使用した他は、上記実施例1と
同様に正極体および電池を作製し特性を評価した。容量
維持率は91%、発熱開始温度は200℃、初期容量は
170mAh/gであった。
【0042】〈比較例3〉上記実施例2において使用し
たLiNi0.9Mn0.1を単独で使用した他
は、上記実施例例1と同様に正極体および電池を作製し
特性を評価した。容量維持率は91%、発熱開始温度は
160℃、初期容量は200mAh/gであった。
【0043】〈比較例4〉上記実施例1において使用し
たLiNi0.82Co0.18を単独で使用した
他は、上記実施例1と同様に正極体および電池を作製し
特性を評価した。容量維持率は95%、発熱開始温度は
175℃、初期容量は204mAh/gであった。
【0044】〈比較例5〉上記実施例3において使用し
たLiNi0.9Co0.1を単独で使用した他
は、上記実例1と同様に正極体および電池を作製し特性
を評価した。容量維持率は83%、発熱開始温度は15
1℃、初期容量は210mAh/gであった。
【0045】〈比較例6〉硫酸ニッケルと硫酸コバルト
と硫酸マンガン(モル比0.66:0.09:0.2
5)混合水溶液に、アンモニア水と水酸化ナトリウム水
溶液を加えて共沈させ、150℃で加熱・乾燥により、
ニッケル−コバルト−マンガン共沈水酸化物(ニッケ
ル:コバルト:マンガン原子比=0.66:0.09:
0.25)を得た。このニッケル−コバルト−マンガン
共沈水酸化物を550℃で大気中で焼成・粉砕し、ニッ
ケル−コバルト−マンガン酸化物粉末を得た。ニッケル
−コバルト−マンガン酸化物粉末と水酸化リチウム粉末
を混合し、480℃で焼成し、さらに大気中で800℃
で焼成・粉砕してLiNi0.66Co0.09Mn
0. 25を合成した。この粉末のCuKαによるX
線回折分析の結果、R−3m菱面体層状岩塩型構造であ
ることが判った。このLiNi0.66Co0.09
0.25を単独で使用した他は、上記実施例1と
同様に正極体および電池を作製し特性を評価した。容量
維持率は90%、発熱開始温度は190℃、初期容量は
170mAh/gであった。
【0046】参考として、次表に上記実施例1〜9およ
び比較例1〜6で用いた複合酸化物と評価結果をまとめ
て示す。
【表1】
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、リチウム遷移金属
複合酸化物を主成分とする正極活物質層を備えたリチウ
ム二次電池において、リチウム遷移金属複合酸化物に本
発明の混合物を用いることにより、混合に用いたそれぞ
れの単独のリチウム遷移金属複合酸化物を用いた場合よ
り、容量、安全性のバランスが向上した電池性能が発現
できる。
【0048】また、単独のリチウム遷移金属化合物から
なり、かつ、混合に用いた遷移金属元素含量と同じであ
る正極活物質を用いた場合より、容量と安全性並びに充
放電サイクル安定性の優れた電池性能を得ることができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 木村 貴志 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎三丁目2番10号 セイミケミカル株式会社内 (72)発明者 三原 卓也 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎三丁目2番10号 セイミケミカル株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AK03 AL02 AL06 AL07 AL12 AM03 AM05 AM07 DJ17 HJ01 HJ02 HJ08 5H050 AA02 AA07 AA08 BA16 BA17 CA08 CA09 CB02 CB07 CB08 CB12 FA19 HA01 HA02 HA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム遷移金属複合酸化物を主成分と
    する正極活物質層を備えたリチウム二次電池において、 上記リチウム遷移金属複合酸化物が、LiNiMn
    1−y−z(ただし、xは0.9≦x≦1.
    2、yは0.40≦y≦0.60、zは0≦z≦0.2
    であり、MはFe,Co,Cr,Al原子のいずれかか
    ら選択される。)で表されるリチウム−ニッケル−マン
    ガン−M複合酸化物と、R−3m菱面体構造を有し、L
    Ni1−p(ただし、xは0.9≦x≦
    1.2、pは0.75≦p≦0.95であり、NはCo
    またはMn原子。)で表されるリチウム−ニッケル−N
    複合酸化物との混合物からなることを特徴とするリチウ
    ム二次電池。
  2. 【請求項2】 上記混合物中の上記リチウム−ニッケル
    −マンガン−M複合酸化物の含有量が20〜70重量%
    であることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電
    池。
  3. 【請求項3】 上記混合物の粉体プレス密度が3.0g
    /cm以上であることを特徴とする請求項1または2
    記載のリチウム二次電池。
  4. 【請求項4】 上記リチウム−ニッケル−マンガン−M
    複合酸化物が、R−3m菱面体構造であることを特徴と
    する請求項1,2または3に記載のリチウム二次電池。
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