JP2008041653A - リチウム複合金属酸化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来より高い容量維持率を示すことが可能な非水電解質二次電池に有用なリチウム複合金属酸化物を提供する。
【解決手段】Li、NiおよびM(ここで、MはMnおよび/またはCoである。)を含有するリチウム複合金属酸化物であって、核磁気共鳴測定方法1により得られるリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルのうち、10kHzの回転速度でのスペクトルにおいて、以下のシグナルBを与えることを特徴とするリチウム複合金属酸化物。
<シグナルB>
中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが+1100〜+1900ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが+2100〜+2600ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
【選択図】図2

Description

本発明は、リチウム複合金属酸化物に関する。
リチウム複合金属酸化物は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池の正極に用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。
従来のリチウム二次電池に用いられているリチウム複合金属酸化物として、特許文献1には、リチウム−ニッケル−マンガン−M複合酸化物(MはFe、Co、Cr、Al)が開示され、例えば、リチウム複合金属酸化物(LiNi0.5Mn0.52)を用いたリチウム二次電池は、その充放電サイクル試験時の容量維持率が92%であったことが具体的に記載されている。
特開2002−100356号公報
しかしながら、従来のリチウム二次電池の容量維持率は十分なものではない。本発明の目的は、従来より高い容量維持率を示すことが可能な非水電解質二次電池に有用なリチウム複合金属酸化物を提供することにある。
本発明者らは、種々検討した結果、下記のリチウム複合金属酸化物が、上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記の発明から構成される。
<1>Li、NiおよびM(ここで、MはMnおよび/またはCoである。)を含有するリチウム複合金属酸化物であって、以下の核磁気共鳴測定方法1により得られるリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルのうち、10kHzの回転速度でのスペクトルにおいて、以下のシグナルBを与えることを特徴とするリチウム複合金属酸化物。
<核磁気共鳴測定方法1>
磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用いて、マジック角回転法により、リチウム複合金属酸化物をそれぞれ10kHzおよび11kHzの回転速度で回転させて、それぞれの回転速度においてリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴測定を行い、得られる2つの固体核磁気共鳴スペクトルから、中心ピークのケミカルシフトを求める(ここで該ケミカルシフト値は、外部標準物質として塩化リチウムを用い、塩化リチウムの中心ピークの位置を0ppmとして補正された値)。
<シグナルB>
中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが+1100〜+1900ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが+2100〜+2600ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
<2>以下の核磁気共鳴測定方法2により得られる水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルの最大ピークの強度を100としたとき、シグナルBの最大ピークの強度が0.05を超える前記<1>記載のリチウム複合金属酸化物。
<核磁気共鳴測定方法2>
磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用いて、マジック角回転法により、水酸化リチウム一水和物を10kHzの回転速度で回転させて、水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴測定を行い、7Liの固体核磁気共鳴スペクトルを得る。
<3>前記の10kHzの回転速度でリチウム複合金属酸化物を回転させて得られるスペクトルにおいて、さらに、以下のシグナルAを有することを特徴とする前記<1>または<2>記載のリチウム複合金属酸化物。
<シグナルA>
中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが−50〜+300ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが−50〜+300ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
<4>NiおよびMの合計量(モル)に対し、Mの量(モル)が0を超え0.9以下である前記<1>〜<3>のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
<5>MnおよびCoの合計量(モル)に対し、Coの量(モル)が0以上0.4以下である前記<1>〜<4>のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
<6>MがMnである前記<1>〜<4>のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
<7>(Ni+M)との合計量(モル)に対し、Liの量(モル)が0.6以上1.5以下である前記<1>〜<6>のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
<8>前記<1>〜<7>のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物を有する非水電解質二次電池用正極。
<9>前記<8>記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
本発明によれば、従来のリチウム二次電池に比し、容量維持率が向上した非水電解質二次電池を得ることができることから、殊に、高い電流レートにおける高出力を要求される非水電解質二次電池、すなわち自動車用や電動工具等のパワーツール用の非水電解質二次電池に極めて有用となる。
本発明のリチウム複合金属酸化物は、Li、NiおよびM(ここで、MはMnおよび/またはCoである。)を含有するリチウム複合金属酸化物であって、以下の核磁気共鳴測定方法1により得られるリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルのうち、10kHzの回転速度でのスペクトルにおいて、以下のシグナルBを与えることを特徴とする。
<核磁気共鳴測定方法1>
磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用いて、マジック角回転法により、リチウム複合金属酸化物をそれぞれ10kHzおよび11kHzの回転速度で回転させて、それぞれの回転速度においてリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴測定を行い、得られる2つの固体核磁気共鳴スペクトルから、中心ピークのケミカルシフトを求める(ここで該ケミカルシフト値は、外部標準物質として塩化リチウムを用い、塩化リチウムの中心ピークの位置を0ppmとして補正された値)。
<シグナルB>
中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが+1100〜+1900ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが+2100〜+2600ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
本発明において、中心ピークとは、7Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、回転速度によらず、同じケミカルシフトに検出されるピークのことを意味し、より具体的には上記の核磁気共鳴測定方法1に示すように、それぞれ、10kHzおよび11kHzとの回転速度の違いによらず、同じケミカルシフトに検出されるピークのことを意味する(本願添付の図面における図2、図3参照。)。
本発明において、シグナルとは、1つの中心ピークとその回転サイドバンドとからなるピーク群のことを意味する。
当該回転サイドバンドとは、7Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、中心ピークの両側に、回転速度の整数倍だけ離れたケミカルシフトに検出されるピークのことを意味する。本発明においては、磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用い、外部標準物質として塩化リチウム(7Li)を用いているので、塩化リチウムの中心ピークが116.6MHzに検出される。本発明においては、この塩化リチウムの中心ピークのケミカルシフトを0ppmとし、ケミカルシフト116.6Hzをケミカルシフト1ppmに換算して補正したスペクトルを得る。従って、本発明における回転速度が10kHzのリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルのシグナルにおいて、回転サイドバンドは、中心ピークのケミカルシフトから、その両側に、10kHz(すなわち、85.8ppm)の整数倍だけ離れたケミカルシフトに検出されることになる。
また、本発明において、最大ピークとは、上記のシグナルのピーク群の中で、最大の強度を示すピークのことを意味し、ピークの強度は、スペクトルのベースラインを基準としたときのピークの高さとする。ピークの強度を正確に測定するためには、核磁気共鳴装置の感度にもよるが、十分な積算を行い、ベースラインの平滑化を行う必要がある。ベースラインの平滑化の方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、高次(例えば、4次〜6次程度)のスプライン関数を用いる方法、線形予測法を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記シグナルBに関し、以下の核磁気共鳴測定方法2により得られる水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルの最大ピークの強度を100としたとき、シグナルBの最大ピークの強度が0.05以下である場合は、かかるリチウム複合酸化物は、シグナルBを与えないものとしてこれを扱う。
<核磁気共鳴測定方法2>
磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用いて、マジック角回転法により、水酸化リチウム一水和物を10kHzの回転速度で回転させて、水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴測定を行い、7Liの固体核磁気共鳴スペクトルを得る。
上記のように、本発明において、リチウム複合金属酸化物におけるピーク強度の基準には、化学的に安定な化合物である水酸化リチウム一水和物を用いる。一般に、ピーク強度は、測定装置、温度、試料の回転数、試料の体積、パルス幅、積算回数、積算の繰り返し時間、観測幅、データ点の取り込み開始するまでの時間、パルス照射の中心周波数等の測定条件の影響を受けることから、ピーク強度の測定においては、前記測定条件を、水酸化リチウム一水和物とリチウム複合金属酸化物とで同一とする必要がある。また、測定データの処理条件、例えば、重み付け関数の種類、広幅化パラメータ、線形予測に用いるデータ点の数、データを取り込む以前のデータ点を予測する場合には予測したデータ点の数等のデータ処理条件も、ピーク強度に影響を与えることから、ピーク強度の測定においては、前記データ処理条件を、水酸化リチウム一水和物とリチウム複合金属酸化物とで同一とする必要がある。
本発明のリチウム複合金属酸化物は、上記の核磁気共鳴測定方法2により得られる水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルの最大ピークの強度を100としたとき、シグナルBの最大ピークの強度が0.05を超える。容量維持率をより高める意味では、該最大ピークの強度が0.1%〜10%の範囲であることが好ましい。
また、本発明のリチウム複合金属酸化物は、前記の10kHzの回転速度でリチウム複合金属酸化物を回転させて得られるスペクトルにおいて、さらに、以下のシグナルAを有することが好ましい。
<シグナルA>
中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが−50〜+300ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが−50〜+300ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
本発明において、より容量維持率を高める意味では、シグナルAの最大ピーク強度は、上記の核磁気共鳴測定方法2により得られる水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルの最大ピークの強度を100としたとき、0.1以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.4以上である。また、シグナルAの最大ピーク強度の上限は、通常10程度である。またシグナルAにおいても、上記の核磁気共鳴測定方法2により得られる水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルの最大ピークの強度を100としたとき、シグナルAの最大ピークの強度が0.05以下である場合は、かかるリチウム複合酸化物は、シグナルAを有さないものとしてこれを扱う。
本発明のリチウム複合金属酸化物の組成において、NiとMとの組成としては、NiおよびMの合計量(モル)に対し、Mの量(モル)が0を超え0.9以下である場合が、容量維持率をより大きくすることができる意味で好ましく、より好ましくは0.4以上0.9以下であり、さらにより好ましくは0.5以上0.8以下である。
また、M、すなわちMnおよびCoの組成としては、MnおよびCoの合計量(モル)に対し、Coの量(モル)が0以上0.4以下である場合が、容量維持率をより大きくすることができる意味で好ましく、より好ましくは0以上0.35以下、さらにより好ましくは0以上0.25以下である。また、コスト面を考慮すると、MはMnであることが好ましい。
また、Li、NiおよびMの組成としては、(Ni+M)との合計量(モル)に対し、Liの量(モル)が0.6以上1.5以下である場合が、容量維持率をより大きくすることができる意味で好ましく、より好ましくは1.0以上1.4以下、さらにより好ましくは、1.1以上1.4以下である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、リチウム複合金属酸化物のLi、Ni、Co、Mnの一部をB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mg、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Ru、Rh、Ir、Pd、Cu、Ag、Zn等の元素で置換してもよい。
本発明のリチウム複合金属酸化物の結晶構造は、通常、層状岩塩型結晶構造、すなわち、NaFeO2型結晶構造であり、該結晶構造は、粉末X線回折測定により、測定することができる。
本発明のリチウム複合金属酸化物のBET比表面積は、通常、3m2/g以上30m2/g以下程度である。高い電流レートにおいてより高出力を示す非水電解質二次電池を得る意味で、リチウム複合金属酸化物のBET比表面積は、好ましくは4m2/g以上20m2/g以下、より好ましくは5m2/g以上16m2/g以下である。
本発明のリチウム複合金属酸化物をコア材として、その粒子の表面に、さらにB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mgおよび遷移金属元素から選ばれる1種以上の元素を含有する化合物で被着させてもよい。上記元素の中でも、B、Al、Mg、Co、CrおよびMnから選ばれる1種以上が好ましく、操作性の観点からAlがより好ましい。該化合物としては、例えば上記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩またはこれらの混合物が挙げられる。中でも、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物またはこれらの混合物が好ましい。以上の中でもより好ましくはアルミナである。
次に本発明のリチウム複合金属酸化物を製造する方法について説明する。
本発明のリチウム複合金属酸化物は、焼成により本発明のリチウム複合金属酸化物となり得る金属化合物混合物を焼成する方法、すなわち固相反応法により製造することができる。具体的には、本発明のリチウム複合金属酸化物の組成において、Li:Ni:Mn:Coのモル比が1:x:y:zのときには、Liを含有する化合物、Niを含有する化合物、Mnを含有する化合物、Coを含有する化合物を用いて、Li:Ni:Mn:Coのモル比がA:x:y:z(ただし、Aは2以上5以下の範囲の値である。)となるように秤量し、混合した後に得られる金属化合物混合物を好ましくは800℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。ここで、Aは、2.1以上3.5以下の範囲の値であることが好ましい。
前記のLi、Ni、Mn、Coそれぞれの金属元素を含有する化合物としては、酸化物を用いるか、または、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、アルコキシドなど高温で分解および/または酸化して酸化物になり得るものを用いることができる。これらの中でも、Liを含有する化合物としては水酸化物および/または炭酸塩が好ましく、Niを含有する化合物としては水酸化物および/または酸化物が好ましく、Mnを含有する化合物としては炭酸塩および/または酸化物が好ましく、Coを含有する化合物としては酸化物および/または水酸化物が好ましい。また、上記の金属元素の2種以上を含有する複合化合物を、金属元素を含有する化合物として用いてもよい。
リチウム複合金属酸化物の結晶性を高めて、初期放電容量を大きくするために、焼成前の前記の金属化合物混合物が、さらにホウ素を含有する化合物を含有していてもよい。ホウ素を含有する化合物の含有量としては、通常、前記金属化合物混合物中のリチウムを除く金属元素の総モルに対して、ホウ素換算で0.00001モル%以上5モル%以下であり、好ましくは、ホウ素換算で0.0001モル%以上3モル%以下である。ホウ素を含有する化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸が挙げられ、好ましくはホウ酸である。また、ここで金属化合物混合物にさらに含有されたホウ素は、焼成後の本発明のリチウム複合金属酸化物に残留していてもよいし、洗浄、蒸発等により除去されていてもよい。
前記金属元素を含有する化合物の混合は、乾式混合、湿式混合のいずれによってもよいが、より簡便な乾式混合が好ましく、乾式混合装置としては、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、乾式ボールミル等によって行うことができる。
前記金属化合物混合物を、必要に応じて圧縮成形した後、800℃以上1000℃以下の温度範囲にて、2〜30時間保持して焼成することによりリチウム複合金属酸化物を得る。また焼成の雰囲気としては、空気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができ、酸素が含まれている雰囲気が好ましい。
本発明のリチウム複合金属酸化物は、上記の固相反応法以外にも、例えば下記の水熱反応法、すなわち、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含む製法によっても製造することができる。
(1)NiおよびMを含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる工程。
(2)該沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る工程。
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る工程。
(4)該洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る工程。
工程(1)におけるNiおよびM(ただし、MはMnおよび/またはCoである。)を含有する水溶液は、水溶液中に、NiおよびMを含有していればよく、原料として、Ni、Mを含有する化合物で、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などの水溶性化合物を用いる場合には、該化合物を水に溶解させて製造すればよい。これらの水溶性化合物は、無水物および水和物のいずれであってもよい。また、原料として、Mi、Mの金属材料や、Ni、Mを含有する化合物で、水酸化物、酸水酸化物、酸化物などの水への溶解が困難な化合物を用いる場合には、これらを塩酸などの酸に溶解させて製造すればよい。また、Ni、Mそれぞれについて、上述の水溶性化合物、水への溶解が困難な化合物、金属材料のうち2種以上を併用してもよい。
工程(1)におけるアルカリ(A)としては、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、NH3(アンモニア)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH42CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を用いることができ、通常、これらを水に溶解させて、水溶液として用いる。該水溶液におけるアルカリ(A)の濃度は、通常0.1〜20M程度、好ましくは0.5〜10M程度である。また、リチウム複合金属酸化物における不純物を減らす観点から、アルカリ(A)として、LiOHの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。また、製造コストの面からは、アルカリ(A)としてKOHの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。また、これらのアルカリ(A)を2つ以上併用してもよい。
工程(1)において、上記のNiおよびMを含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させるときには、例えば、NiおよびMを含有する水溶液にアルカリ(A)を添加する。このとき、NiおよびMを含有する水溶液を攪拌しておくことが好ましい。粒径が均一な沈殿を得るために、NiおよびMを含有する水溶液を攪拌しながら、アルカリ(A)の水溶液を滴下することがより好ましい。この場合、NiおよびMを含有する水溶液を攪拌しながら、該水溶液のpHの計測を開始し、アルカリ(A)の水溶液を滴下するに従い、計測pHが上昇していく傾向にあるが、計測pHが11以上となるまで、アルカリ(A)の水溶液を滴下するのがよい。また添加するアルカリ(A)の量を把握しているときには、アルカリ(A)の水溶液に、NiおよびMを含有する水溶液を添加することにより、沈殿を生成させてもよい。
また、沈殿生成を均一に行う意味で、NiおよびMを含有する水溶液および/またはアルカリ(A)の水溶液を冷却して用いてもよい。この冷却のときの温度としては、10℃以下が好ましく、より好ましくは−15℃以上5℃以下程度である。冷却の温度を0℃以下とする場合には、不凍液としてメタノール、エタノール、エチレングリコールなど、水100重量部に対し、不凍液1〜50重量部の割合でNiおよびMを含有する水溶液および/またはアルカリ(A)の水溶液に添加してもよい。
本発明の効果をより上げる意味で、上記のNiおよびMを含有する水溶液中に、空気等の酸素含有ガスを導入する操作をしながら、アルカリ(A)を添加してもよい。アルカリ(A)の水溶液中に、NiおよびMを含有する水溶液を添加する場合には、アルカリ(A)の水溶液中に、ガスを導入する操作を行うのがよい。また、混合後に、該操作を行ってもよい。該操作の時間としては、1時間〜5日程度、温度としては、0〜100℃程度である。
工程(1)における混合により、生成された沈殿を有する混合液について、ろ過等の固液分離を行う場合には、混合液を固液分離し得られる沈殿を再度水に分散させて得られる分散液を、工程(2)で用いる。固液分離し得られる沈殿について、洗浄を行ってもよい。また、生成された沈殿を有する混合液を、固液分離を行うことなしに、そのまま工程(2)で用いてもよい。
工程(2)において、液状混合物は、工程(1)で得られた沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(B)とを含有するものである。酸化剤は、液状混合物中の金属元素を酸化するのに用いる。酸化剤としては、NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)、HNO3(硝酸)、KClO3(塩素酸カリウム)およびH22(過酸化水素)からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができ、製造コスト、酸化反応性の面では、H22および/またはKClO3が好ましく、酸化反応制御をし易くする意味でより好ましいのはKClO3である。また、LiOHを含むアルカリ(B)としては、LiOHの無水物および/または水和物のみか、さらにNaOHの無水物および/または水和物、KOHの無水物および/または水和物、好ましくはKOHの無水物および/または水和物を含有してもよい。これらの酸化剤およびアルカリ(B)を、上記の混合液または分散液に添加して、液状混合物を製造することができる。液状混合物中の酸化剤の濃度は、通常0.1〜10M程度、好ましくは0.3〜5M程度であり、液状混合物中のアルカリ(B)は、通常0.1〜30M程度、好ましくは、1〜20M程度であり、液状混合物中の沈殿の含有量は通常1〜200g/(液体混合物1L)程度である。また、液状混合物におけるLiの濃度は、0.1〜10Mとしておくことが好ましく、0.5〜5Mとしておくことがより好ましい。液状混合物は、必要に応じて、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウムを含有してもよい。また、液状混合物のpHは、水熱処理における反応を促進させる意味で、11以上であることが好ましく、13以上であることがより好ましい。
工程(2)において上記の液状混合物を用いて、150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る。この温度範囲における圧力は、通常、0.4MPa〜17MPa程度である。水熱処理装置としては、オートクレーブを用いればよい。水熱処理の好ましい温度範囲としては、180℃〜250℃である。水熱処理の時間としては、通常0.1〜150時間程度であり、好ましくは0.5〜50時間である。
工程(3)において、水熱処理品を洗浄する。この洗浄により、水熱処理品中の例えば水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酸化剤等の不純物を除去することができる。洗浄は、通常、水熱処理品をろ過等により固液分離後に得られる固形分を、水、水−アルコール、アセトンなどにより洗浄し、再度、固液分離する。固液分離後の固形分が、洗浄品である。
工程(4)において、洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る。この乾燥は、通常、熱処理によって行うが、送風乾燥、真空乾燥等によってもよい。熱処理によって行う場合には、通常50〜300℃で行い、好ましくは100℃〜200℃程度である。工程(4)において得られる乾燥品は、本発明におけるリチウム複合金属化合物である。
また、上記の水熱反応法においては、さらに、以下の(5)または(6)の工程を付加してもよい。
(5)上記の乾燥品を焼成し、焼成品を得る工程。
(6)上記の乾燥品とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る工程。
また、以下の(1)、(2)、(3)および(7)の工程を含む製法によって、リチウム複合金属酸化物を製造してもよい。ここで、以下の(1)、(2)および(3)の工程は、上記と同じ意味を有する。
(1)NiおよびMを含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる工程。
(2)該沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る工程。
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る工程。
(7)該洗浄品とリチウム塩とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る工程。
焼成品を得る工程がある場合には、焼成品は、本発明におけるリチウム複合金属化合物である。焼成を行うことにより、リチウム複合金属化合物の結晶性が向上し、初期放電容量が大きくなる場合がある。
工程(5)、(6)または(7)において、焼成の温度は、300℃以上1000℃以下であることが好ましく、より好ましくは500℃以上900℃以下である。前記焼成温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記焼成温度までの昇温速度は、通常50℃〜400℃/時間であり、前記焼成温度から室温までの降温速度は、通常10℃〜400℃/時間である。また、焼成の雰囲気としては、空気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、酸素が含まれている雰囲気が好ましい。
工程(6)または(7)におけるリチウム塩としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができる。乾燥品または洗浄品とリチウム塩との混合方法には、乾式混合法、湿式混合法のいずれを用いることができるが、混合をより均一にする意味では、湿式混合法であることが好ましい。この場合、湿式混合法は、乾燥品または洗浄品とリチウム塩を含有する水溶液とを混合する場合も含む。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等を挙げることができる。また、工程(6)または(7)における混合物を焼成前に乾燥してもよい。
以上の、固相反応法、水熱反応法により得られたリチウム複合金属酸化物を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕してもよいし、粉砕と焼成を2回以上繰り返してもよい。得られたリチウム複合金属酸化物は必要に応じて洗浄あるいは分級することもできる。
次に、本発明のリチウム複合金属酸化物を有する非水電解質二次電池用正極について、説明する。
非水電解質二次電池用正極は、正極活物質(リチウム複合金属酸化物)、導電材およびバインダーを含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造する。前記導電材としては炭素質材料を用いることができ、炭素質材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラックなどを挙げることができる。カーボンブラックやアセチレンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率及びレート特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着性を低下させ、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。通常、正極合剤中の導電材の割合は、5重量%以上20重量%以下である。
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、正極集電体との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒などを用いてペースト化し、正極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、正極活物質、導電材、バインダー、有機溶媒からなるスラリーを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。
正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。以上に挙げた方法により、非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
上記の非水電解質二次電池用正極を用いて、次のようにして、非水電解質二次電池を製造することができる。すなわち、セパレータ、負極集電体に負極合剤が担持されてなる負極、および上記の正極を、積層および巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸と垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
前記負極としては、リチウムイオンをドープ・脱ドーブ可能な材料を含む負極合剤を負極集電体に担持したもの、リチウム金属またはリチウム合金などを用いることができ、リチウムイオンをドープ・脱ドーブ可能な材料としては、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料が挙げられ、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープを行うことができる酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物を用いることもできる。炭素質材料としては、電位平坦性が高い点、平均放電電位が低い点などから、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素質材料を用いればよい。炭素質材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。前記の電解液が後述のエチレンカーボネートを含有しない場合において、ポリエチレンカーボネートを含有した負極合剤を用いると、得られる電池のサイクル特性と大電流放電特性が向上することがある。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVDF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
また負極合剤に含有されるリチウムイオンをドープ・脱ドーブ可能な材料として用いられる前記の酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物としては、周期率表の13、14、15族の元素を主体とした結晶質または非晶質の酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物が挙げられ、具体的には、スズ酸化物を主体とした非晶質化合物等が挙げられる。これらは必要に応じて導電材としての炭素質材料を含有することができる。
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどを挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法等が挙げられる。
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、これらの材質を2種以上用いたセパレータとしてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常10〜200μm程度、好ましくは10〜30μm程度である。
前記電解液において、電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LIBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、Li210Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、通常、これらの中でもフッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32およびLiC(SO2CF33からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いる。
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの高分子電解質を用いることができる。また、高分子に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23などの硫化物電解質、またはLi2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機化合物電解質を用いると、安全性をより高めることができることがある。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。尚、リチウム複合金属酸化物(正極活物質)の評価、充放電試験は、次のようにして行った。
正極活物質(リチウム複合金属酸化物)と導電材アセチレンブラックの混合物に、バインダーとしてPVDFの1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)溶液を、活物質:導電材:バインダー=86:10:4(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる#200ステンレスメッシュに該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、正極を得た。
得られた正極に、電解液としてエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との50:50(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+EMCと表すことがある。)、セパレータとしてポリプロピレン多孔質膜を、また、負極として金属リチウムを組み合わせて平板型電池を作製した。
上記の平板型電池を用いて、60℃保持下、以下の充放電条件で、定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施した。充放電試験のサイクルを繰り返し、所定回数のサイクルにおける放電容量を測定し、以下に従い、容量維持率を計算した。
<充放電条件>
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.4mA/cm2
放電最小電圧3.0V、放電電流0.4mA/cm2
<容量維持率>
容量維持率(%)=所定回数のサイクルにおける放電容量/初回放電容量×100
2.リチウム複合金属酸化物のBET比表面積の測定
リチウム複合金属酸化物粉末について、マイクロメトリックス製フローソーブII2300を用いてBET1点法で測定した。
3.リチウム複合金属酸化物の組成分析
粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析法(SPS3000、以下ICP−AESと呼ぶことがある)を用いて測定した。
4.7Liの固体核磁気共鳴測定
7Liの固体核磁気共鳴測定は、ブルカー社製Avance300を用い、室温において行った。試料(リチウム複合金属酸化物、塩化リチウム、水酸化リチウム一水和物)を外径4mmの測定用試料管につめ、装置に挿入し、マジック角回転法により、10kHzまたは11kHzの回転速度で回転させながら測定を行った。塩化リチウムの中心ピークを0ppmとし、−1000ppm〜3000ppmの範囲(1ppmは116.6Hz)で、測定を行った。測定のためのパルス幅は1.2マイクロ秒とした。これは約45度パルスに相当する。積算は10240回または4096回行い、積算の繰り返し時間は0.5秒とした。データ点は0.85マイクロ秒ごとに記録し、4096ポイント記録した(なお、水酸化リチウム一水和物の場合は32768ポイントとした。)。データの取り込みを開始するまでの時間(デッドタイム)は4.5マイクロ秒とした。データの最初24点に4点を加えた28点のデータを残りの実測データから線形予測した。線形予測した該28点を含む4096点(水酸化リチウム一水和物の場合は32768点)のデータを用いてフーリエ変換を行った。信号/雑音比を向上させるために、指数関数型の重み付け関数を使用し、その広幅化パラメータは50Hzとした。
実施例1
1.リチウム複合金属酸化物の製造
チタン製ビーカー内で、水酸化リチウム一水和物50g、蒸留水500mlおよびエタノール200mlを用いて、攪拌し、水酸化リチウム一水和物を完全に溶解させ、水酸化リチウム水溶液を調製した。水酸化リチウム水溶液入りチタン製ビーカーを低温恒温槽内に静置して、−10℃で保持した。ガラス製ビーカー内で、塩化ニッケル(II)六水和物20.20g、塩化マンガン(II)四水和物20.78g、硝酸コバルト(II)六水和物14.55g(Ni:Mn:Coのモル比は0.35:0.44:0.21である。)および蒸留水500mlを用いて、攪拌し、上記の塩化ニッケル(II)六水和物、塩化マンガン(II)四水和物および硝酸コバルト(II)六水和物の金属塩を完全に溶解させ、ニッケル−マンガン−コバルト水溶液を得た。該水溶液を、−10℃に保持した水酸化リチウム水溶液に、滴下し、沈殿を生成させた。
次いで、生成した沈殿を含む混合液を、低温恒温槽から取出し、室温で空気を吹き込む操作(バブリング)を1日行った。バブリング後に得られた混合液について、ろ過・蒸留水洗浄し、沈殿を得た。
ポリテトラフルオロエチレン製ビーカー内で、水酸化リチウム一水和物50g、塩素酸カリウム50g、水酸化カリウム309gおよび蒸留水500mlを用いて、攪拌し、上記で得た沈殿を添加して、さらに攪拌して沈殿を分散させ、液状混合物を得た。
上記の液状混合物入りのポリテトラフルオロエチレン製ビーカーをオートクレーブ中に静置し、220℃の温度で5時間水熱処理し、自然冷却し、水熱処理品を得た。水熱処理品をオートクレーブから取出し、蒸留水にてデカンテーションを行って、洗浄品を得た。
この洗浄品と、水酸化リチウム一水和物10.49gを蒸留水100mlに溶解させた水酸化リチウム水溶液とを混合し、100℃で乾燥させ、混合物を得た。次いで、混合物をメノウ乳鉢を用いて粉砕して得られた粉末をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気中800℃で焼成を6時間行った。焼成品を室温まで冷却し、粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、粉末A1を得た。
粉末A1の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.28:0.36:0.44:0.20であることがわかった。また、A1のBET比表面積は、7.4m2/gであった。
粉末A17Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、中心ピークが−2ppmのケミカルシフトのシグナルAおよび中心ピークが+1556ppmのケミカルシフトのシグナルBが検出された。シグナルAの最大ピークは−2ppmのケミカルシフトにあり、シグナルBの最大ピークは+2422ppmのケミカルシフトに検出された。また、水酸化リチウム一水和物の最大ピーク強度を100としたとき、シグナルAの最大ピーク強度は0.40であり、シグナルBの最大ピーク強度は0.12であった。
2.リチウム二次電池の充放電試験
粉末A1を用いて平板型電池を作製し、充放電試験のサイクルを繰り返した結果、初回、10回目、20回目、30回目、50回目における放電容量(mAh/g)は、それぞれ、118、135、151、164、175であり、容量維持率(%)は、それぞれ100、114、128、139、148であった。
実施例2
塩化ニッケル(II)六水和物23.17g、塩化マンガン(II)四水和物23.25g、硝酸コバルト(II)六水和物7.28gを用いて、Ni:Mn:Coのモル比を0.41:0.49:0.10とした以外は、実施例1と同様にして、粉末A2を得た。
粉末A2の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.34:0.41:0.49:0.10であることがわかった。また、A2のBET比表面積は、6.4m2/gであった。
粉末A27Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、中心ピークが−0.8ppmのケミカルシフトのシグナルAおよび中心ピークが+1545ppmのケミカルシフトのシグナルBが検出された。シグナルAの最大ピークは−0.8ppmのケミカルシフトにあり、シグナルBの最大ピークは+2413ppmのケミカルシフトに検出された。また、水酸化リチウム一水和物の最大ピーク強度を100としたとき、シグナルAの最大ピーク強度は、2.42であり、シグナルBの最大ピーク強度は0.41であった。
粉末A2を用いて平板型電池を作製し、充放電試験のサイクルを繰り返した結果、初回、10回目、20回目、30回目、50回目における放電容量(mAh/g)は、それぞれ、113、132、154、169、177であり、容量維持率(%)は、それぞれ100、117、136、149、156であった。
実施例3
硝酸コバルト(II)六水和物を用いずに、塩化ニッケル(II)六水和物26.15g、塩化マンガン(II)四水和物25.73gを用いて、Ni:Mnのモル比を0.46:0.54とした以外は、実施例1と同様にして、粉末A3を得た。
粉末A3の組成分析の結果、Li:Ni:Mnのモル比は、1.32:0.46:0.54であることがわかった。また、A3のBET比表面積は、5.7m2/gであった。
粉末A37Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、中心ピークが−2ppmのケミカルシフトのシグナルAおよび中心ピークが+1798ppmのケミカルシフトのシグナルBが検出された。シグナルAの最大ピークは−2ppmのケミカルシフトにあり、シグナルBの最大ピークは+2401ppmのケミカルシフトに検出された。また、水酸化リチウム一水和物の最大ピーク強度を100としたとき、シグナルAの最大ピーク強度は6.5であり、シグナルBの最大ピーク強度は0.77であった。
粉末A3を用いて平板型電池を作製し、充放電試験のサイクルを繰り返した結果、初回、10回目、20回目、30回目、50回目における放電容量(mAh/g)は、それぞれ、112、127、143、154、163であり、容量維持率(%)は、それぞれ100、113、127、137、145であった。
実施例4
水熱処理の条件を、220℃の温度で、48時間とした以外は、実施例1と同様にして、水熱処理品を得た。この水熱処理品をオートクレーブから取出し、蒸留水にてデカンテーションにより洗浄して、得られる洗浄品をシャーレに移して乾燥し、乾燥品を得た。
この乾燥品と、水酸化リチウム一水和物10.49gを蒸留水100mlに溶解させた水酸化リチウム水溶液とを混合し、100℃で乾燥させ、混合物を得た。次いで、混合物をメノウ乳鉢を用いて粉砕して得られた粉末をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気中800℃で焼成を6時間行った。焼成品を室温まで冷却し、粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、粉末A4を得た。
粉末A4の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.38:0.36:0.44:0.21であることがわかった。また、A4のBET比表面積は、6.0m2/gであった。
粉末A47Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、中心ピークが+1559ppmのケミカルシフトのシグナルBが検出された。シグナルBの最大ピークは+2437ppmのケミカルシフトに検出された。また、水酸化リチウム一水和物の最大ピーク強度を100としたとき、シグナルBの最大ピーク強度は0.33であった。
粉末A4を用いて平板型電池を作製し、充放電試験のサイクルを繰り返した結果、初回、10回目、20回目における放電容量(mAh/g)は、それぞれ、106、133、159であり、容量維持率(%)は、それぞれ100、126、150であった。
比較例1
1.リチウム複合金属酸化物の製造
水酸化ニッケル(関西触媒化学株式会社製)、酸化マンガン(高純度化学製)、炭酸リチウム(本荘ケミカル株式会社製)、酸化コバルト(正同化学社製)、ホウ酸(米山化学)を各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.15:0.36:0.42:0.21:0.03とし、粉末の総量1kgとなるように秤取した後、15mmφのアルミナボール5.75kgをメディアとした乾式ボールミルにより4時間(容積5L 周速0.7m/s)粉砕混合し粉体を得た。この粉体を箱型の電気炉に入れ、空気中にて1040℃で4時間保持して焼成し、焼成品を得た。該焼成品をプラスチックハンマーにて粗粉砕を行った後、粗粉砕品1kgを15mmφのアルミナボール5.75kgをメディアとした乾式ボールミルにより5時間(容積5L 周速0.7m/s)本粉砕し、粉砕粉末を得た。該粉砕粉末を45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、得られた粉末を、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、粉末B1を得た。
粉末B1の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.06:0.37:0.42:0.21であることがわかった。また、B1のBET比表面積は、2.6m2/gであった。
粉末B17Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、本発明におけるシグナルAおよびシグナルBは検出されなかった。
2.リチウム二次電池の充放電試験
粉末B1を用いて平板型電池を作製し、充放電試験のサイクルを繰り返した結果、初回、10回目、20回目における放電容量(mAh/g)は、それぞれ、164、157、153であり、容量維持率(%)は、それぞれ100、95、93であった。
実施例5
1.リチウム複合金属酸化物の製造
水酸化ニッケル(関西触媒化学株式会社製)、酸化マンガン(高純度化学製)、炭酸リチウム(本荘ケミカル株式会社製)、酸化コバルト(正同化学社製)、ホウ酸(米山化学)を各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=3.25:0.35:0.44:0.21:0.03とし、粉末の総量194gとなるように秤取した後、15mmφのアルミナボール1.15kgをメディアとした乾式ボールミルにより4時間(容積1L 周速0.6m/s)粉砕混合し粉体を得た。この粉体を箱型の電気炉に入れ、空気中にて900℃で8時間保持して焼成し、焼成品を得た。該焼成品をめのう乳鉢にて粉砕を行った後、得られた粉末を、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、粉末A5を得た。
粉末A5の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.36:0.37:0.43:0.20であることが分かった。また、A5のBET比表面積は、4.4m2/gであった。
粉末A57Liの固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、中心ピークが−2ppmのケミカルシフトのシグナルAおよび中心ピークが+1645ppmのケミカルシフトのシグナルBが検出された。シグナルAの最大ピークは256ppmのケミカルシフトにあり、シグナルBの最大ピークは+2334ppmのケミカルシフトに検出された。また、水酸化リチウム一水和物の最大ピーク強度を100としたとき、シグナルAの最大ピーク強度は0.43であり、シグナルBの最大ピーク強度は0.41であった。
粉末A5を用いて平板型電池を作製し、充放電試験のサイクルを繰り返した結果、初回、10回目、20回目における放電容量(mAh/g)は、それぞれ、107、118、123であり、容量維持率(%)は、それぞれ100、111、116であった。
実施例5におけるリチウム複合金属酸化物粉末A57Liの固体核磁気共鳴スペクトル(ケミカルシフトの範囲は−1000ppm〜3000ppmである。)。上のスペクトルはA5を10kHzの回転速度で回転させたときのものであり、下のスペクトルはA5を11kHzで回転させたときのものである。 図1のスペクトルで、1000〜2000ppmのケミカルシフトの範囲を拡大した図である。上のスペクトルはA5を10kHzの回転速度で回転させたときに得られたスペクトルであり、下のスペクトルはA5を11kHzで回転させたときに得られたスペクトルである。*の縦線は、シグナルBの中心ピークを示す。 図1のスペクトルで、−400〜600ppmのケミカルシフトの範囲を拡大した図である。上のスペクトルはA5を10kHzの回転速度で回転させたときに得られたスペクトルであり、下のスペクトルはA5を11kHzで回転させたときに得られたスペクトルである。*の縦線は、シグナルAの中心ピークを示す。

Claims (9)

  1. Li、NiおよびM(ここで、MはMnおよび/またはCoである。)を含有するリチウム複合金属酸化物であって、以下の核磁気共鳴測定方法1により得られるリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルのうち、10kHzの回転速度でのスペクトルにおいて、以下のシグナルBを与えることを特徴とするリチウム複合金属酸化物。
    <核磁気共鳴測定方法1>
    磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用いて、マジック角回転法により、リチウム複合金属酸化物をそれぞれ10kHzおよび11kHzの回転速度で回転させて、それぞれの回転速度においてリチウム複合金属酸化物の7Liの固体核磁気共鳴測定を行い、得られる2つの固体核磁気共鳴スペクトルから、中心ピークのケミカルシフトを求める(ここで該ケミカルシフト値は、外部標準物質として塩化リチウムを用い、塩化リチウムの中心ピークの位置を0ppmとして補正された値)。
    <シグナルB>
    中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが+1100〜+1900ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが+2100〜+2600ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
  2. 以下の核磁気共鳴測定方法2により得られる水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴スペクトルの最大ピークの強度を100としたとき、シグナルBの最大ピークの強度が0.05を超える請求項1記載のリチウム複合金属酸化物。
    <核磁気共鳴測定方法2>
    磁場強度7.05テスラの核磁気共鳴装置を用いて、マジック角回転法により、水酸化リチウム一水和物を10kHzの回転速度で回転させて、水酸化リチウム一水和物の7Liの固体核磁気共鳴測定を行い、7Liの固体核磁気共鳴スペクトルを得る。
  3. 前記の10kHzの回転速度でリチウム複合金属酸化物を回転させて得られるスペクトルにおいて、さらに、以下のシグナルAを有することを特徴とする請求項1または2記載のリチウム複合金属酸化物。
    <シグナルA>
    中心ピークおよびその回転サイドバンドを有するシグナルであって、中心ピークが−50〜+300ppmの範囲のケミカルシフトにあり、最大ピークが−50〜+300ppmの範囲のケミカルシフトにあるシグナル。
  4. NiおよびMの合計量(モル)に対し、Mの量(モル)が0を超え0.9以下である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
  5. MnおよびCoの合計量(モル)に対し、Coの量(モル)が0以上0.4以下である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
  6. MがMnである請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
  7. (Ni+M)との合計量(モル)に対し、Liの量(モル)が0.6以上1.5以下である請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物を有する非水電解質二次電池用正極。
  9. 請求項8記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
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