JP5176356B2 - 正極用粉末および正極合剤 - Google Patents
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Description
<1>一次粒子および一次粒子の凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径が0.01μm以上5μm以下である正極活物質粉末と、黒鉛粒子からなる黒鉛粉末であり、該粉末における黒鉛粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径で、最大の値を示す粒径が0.1μm以上10μm以下である黒鉛粉末とを含有する正極用粉末。
<2>正極活物質粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子の平均粒径が0.1μm以上3μm以下である前記<1>記載の正極用粉末。
<3>黒鉛粉末における黒鉛粒子の粒径で、最大の値を示す粒径の平均値が1μm以上6μm以下である前記<1>または<2>記載の正極用粉末。
<4>黒鉛粒子が、鱗片状黒鉛粒子である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の正極用粉末。
<5>正極活物質の組成が、式(1)で表される前記<1>〜<4>のいずれかに記載の正極用粉末。
Lix1Ni1-y1M1 y1O2 (1)
(式(1)中、x1、y1はそれぞれ0.9≦x1≦1.2、0≦y1≦0.5であり、M1はCoである。)
<6>正極活物質の組成が、式(2)で表される前記<1>〜<4>のいずれかに記載の正極用粉末。
Lix2Ni1-y2M2 y2O2 (2)
(式(2)中、x2、y2はそれぞれ0.9≦x2≦1.2、0.3≦y2≦0.9であり、M2はCoおよびMnである。)
<7>さらに非黒鉛炭素質材料を含有する前記<1>〜<6>のいずれかに記載の正極用粉末。
<8>さらに繊維状炭素材料を含有する前記<1>〜<7>のいずれかに記載の正極用粉末。
<9>一次粒子および一次粒子の凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径が0.01μm以上5μm以下である正極活物質粉末と、黒鉛粒子からなる黒鉛粉末であり、該粉末における黒鉛粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径で、最大の値を示す粒径が0.1μm以上10μm以下である黒鉛粉末とを混合する正極用粉末の製造方法。
<10>正極活物質粉末のBET比表面積が1m2/g以上7m2/g以下である前記<9>記載の正極用粉末の製造方法。
<11>黒鉛粉末のBET比表面積が12m2/g以上20m2/g以下である前記<9>または<10>記載の正極用粉末の製造方法。
<12>正極活物質粉末100重量部に対して黒鉛粉末が5重量部以上20重量部以下である前記<9>〜<11>のいずれかに記載の正極用粉末の製造方法。
<13>さらに非黒鉛炭素質材料を混合する前記<9>〜<12>のいずれかに記載の正極用粉末の製造方法。
<14>さらに繊維状炭素材料を混合する前記<9>〜<13>のいずれかに記載の正極用粉末の製造方法。
<15>前記<1>〜<8>のいずれかに記載の正極用粉末または前記<9>〜<14>のいずれかに記載の製造方法によって得られた正極用粉末とバインダーとを有する正極合剤。
<16>前記<1>〜<8>のいずれかに記載の正極用粉末または前記<9>〜<14>のいずれかに記載の製造方法によって得られた正極用粉末とバインダーとを有する非水電解質二次電池用正極。
<17>前記<16>記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
(式(1)中、x1、y1はそれぞれ0.9≦x1≦1.2、0≦y1≦0.5であり、M1はCoである。)
ここで、放電容量をより高くする意味で、x1は1.0以上1.1以下が好ましく、より好ましくは1.0以上1.05以下である。また、同様の意味で、y1は0.05以上0.3以下が好ましく、より好ましくは0.1以上0.2以下である。
(式(2)中、x2、y2はそれぞれ0.9≦x2≦1.2、0.3≦y2≦0.9であり、M2はCoおよびMnである。)
ここで、放電容量をより高くする意味で、x2は1.0以上1.1以下が好ましく、より好ましくは1.0以上1.05以下である。また、同様の意味で、y2は0.4以上0.8以下が好ましく、より好ましくは0.5以上0.7以下である。また、M2は、Co:Mnがモル比で50:50〜20:80の範囲であることが好ましく、より好ましくは40:60〜30:70の範囲である。
本発明における正極活物質粉末は、焼成により正極活物質粉末となり得る金属化合物混合物を焼成することにより製造することができる。すなわち、対応する金属元素を含有する化合物を、所定の組成となるように秤量し、混合した後に得られる金属化合物混合物を焼成することにより製造することができる。例えば、好ましい組成の一つであるLi1.08[Ni0.35Mn0.44Co0.21]O2で表される複合酸化物は、水酸化リチウム、三酸化二ニッケル、炭酸マンガン、酸化コバルトをLi:Ni:Mn:Coのモル比が1.08:0.35:0.44:0.21となるように秤量し、混合した後に得られる金属化合物混合物を焼成することにより得ることができる。
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒を用いてペースト化された正極合剤を、正極集電体に塗布して、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。正極合剤を正極集電体に塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。以上に挙げた方法により、本発明の非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
リチウム二次電池は、セパレータ、負極集電体に負極合剤が担持されてなる負極、および上述の正極を、積層および巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
前記の電解液が後述のエチレンカーボネートを含有しない場合において、ポリエチレンカーボネートを含有した負極合剤を用いると、得られる電池のサイクル特性と大電流放電特性が向上することがあり好ましい。
該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法等が挙げられる。
環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。
また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの高分子電解質を用いることができる。また、高分子に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P2S5、Li2S−B2S3などの硫化物電解質、またはLi2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機化合物電解質を用いると、安全性をより高めることができることがある。
走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を撮影し、上記の方法により求めた。
(2)黒鉛粉末の粒子の粒径の最大値の測定
走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を撮影し、上記の方法により求めた。
粉末1gを窒素気流中150℃、15分間乾燥した後、マイクロメリティックス社製フローソーブII2300を用いて測定した。
正極活物質粉末と黒鉛粉末とアセチレンブラックとバインダーとしてのPVDFの1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとすることがある)溶液とを、正極活物質粉末:黒鉛粉末:アセチレンブラック:PVDFが重量比で87:9:1:3となるように混合・混練することによりペースト状正極合剤を得て、正極集電体となる厚さ20μmのAl箔に該正極合剤を塗布して、60℃で熱風乾燥機にて1時間乾燥後、50℃で8時間真空乾燥を行い、ロールプレスにて圧密化処理を行い、1.5cm×2cmのサイズに切り出し正極を得た。得られた正極の重量を測定し、正極の重量からAl箔の重量を減じ、正極合剤重量を算出し、さらに、上記のペースト状正極合剤の重量比から正極活物質粉末重量を算出した。
得られた正極と、電解液としてエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)と、セパレータとしてポリエチレン多孔質膜と、また対極および参照極電極として金属リチウムとを用い、これらを組み合わせて平板型電池を作製した。
(1)正極活物質粉末の合成
水酸化ニッケル(関西触媒化学株式会社製)、酸化マンガン(高純度化学製)、炭酸リチウム(本荘ケミカル株式会社製)、酸化コバルト(正同化学社製)、ホウ酸(米山化学)を各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.07:0.35:0.44:0.21:0.03となるように秤取した後、15mmφのアルミナボールをメディアとした乾式ボールミルにより4時間(周速0.7m/s)粉砕混合し粉体を得た。この粉体をトンネル型の連続炉に入れ、空気中にて1040℃で4時間保持して焼成し、焼成品を得た。該焼成品をロールクラッシャーにて粗粉砕を行った後、ジェットミル(日本ニューマチック社製スパイラルジェットミルNPK100型)を用いて、粉末供給量2kg/h、圧力4kg/cm2の条件で本粉砕し、粉砕粉末を得た。該粉砕粉末を45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、正極活物質粉末1を得た。正極活物質粉末1のSEM写真において、粒子の90%以上が0.01μm以上5μm以下であることがわかった。また、平均粒径は1.4μmであった。また、粉末のBET比表面積は3.3m2/gであった。
正極活物質粉末として、正極活物質粉末1を用いて、黒鉛粉末として、構成する粒子のうち90%以上の粒子の最大径が0.1μm以上10μm以下であり、粒子の最大径の平均値が3μmであり、BET比表面積が18m2/gの燐片状黒鉛粒子からなる粉末を用いて、平板型電池を作製し、以下の条件で定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
充放電条件:
正極活物質単位重量当りの電流値を1C=150mA/gとして、上記により得られた正極活物質粉末重量を乗ずることにより、1Cの電流値を算出する。
充電は、充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.2Cの条件で行い、放電は、放電最小電圧3.0V、放電電流0.2C、1C、5C、10Cの条件で行った。尚、それぞれの放電試験前には同じ条件で充電を行った。
(1)正極活物質粉末の合成
水酸化ニッケル(関西触媒化学株式会社製)、酸化マンガン(高純度化学製)、炭酸リチウム(本荘ケミカル株式会社製)、酸化コバルト(正同化学社製)、ホウ酸(米山化学)を各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.08:0.35:0.44:0.21:0.03となるように秤取した後、15mmφのアルミナボールをメディアとした乾式ボールミルにより4時間(周速0.7m/s)粉砕混合し粉体を得た。この粉体をトンネル型の連続炉に入れ、空気中にて1040℃で4時間保持して焼成し、焼成品を得た。該焼成品を15mmφのアルミナボールをメディアとした乾式ボールミルにより13時間(周速0.7m/s)粉砕し、風力分級機(株式会社セイシン企業製スペディッククラッシファイアーSPC−250)を用いて、粉末供給量1kg/h、風量20m3/min、ローター回転数2000rpmの条件で風力分級を行い、粗大粒子を除去し、正極活物質粉末2を得た。該正極活物質粉末2のSEM写真において、粒子の90%以上が0.01μm以上5μm以下であることがわかった。また、平均粒径は1.6μmであった。また、粉末のBET比表面積は2.3m2/gであった。
正極活物質粉末として正極活物質粉末2を用いて、黒鉛粉末として、構成する粒子のうち90%以上の粒子の最大径が0.1μm以上10μm以下であり、粒子の最大径の平均値が6μmであり、BET比表面積が14m2/gの燐片状黒鉛粒子からなる粉末を用いて、平板型電池を作製し、実施例1と同一の条件にて定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.10:0.36:0.42:0.21:0.03となるようにした以外は、実施例1と同様にして、正極活物質粉末3を得た。正極活物質粉末3のSEM写真の結果、BET比表面積の結果は、実施例1と同様であった。正極活物質粉末3を用いて、実施例1と同様にして、平板型電池を作製し、実施例1と同様にして、定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.11:0.36:0.42:0.21:0.03となるようにした以外は、実施例2と同様にして、正極活物質粉末4を得た。正極活物質粉末4のSEM写真の結果、BET比表面積の結果は、実施例2と同様であった。正極活物質粉末4を用いて、実施例2と同様にして、平板型電池を作製し、実施例2と同様にして、定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施したところ、実施例2と同様の結果が得られた。
リチウム二次電池の充放電性能評価
正極活物質粉末として正極活物質粉末2を用いて、黒鉛粉末として、構成する粒子のうち54%の粒子の最大径が0.1μm以上10μm以下であり、粒子の最大径の平均値が13μmであり、BET比表面積が11m2/gの燐片状黒鉛粒子からなる粉末を用いて、平板型電池を作製し、実施例1と同一の条件にて定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
Claims (16)
- 一次粒子および一次粒子の凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物であり、該粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径が0.01μm以上5μm以下である正極活物質粉末と、黒鉛粒子からなる黒鉛粉末であり、該粉末における黒鉛粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径で、最大の値を示す粒径が0.1μm以上10μm以下であり、該粉末の黒鉛粉末のBET比表面積が12m 2 /g以上20m 2 /g以下である黒鉛粉末とを含有する正極用粉末。
- 正極活物質粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子の平均粒径が0.1μm以上3μm以下である請求項1記載の正極用粉末。
- 黒鉛粉末における黒鉛粒子の粒径で、最大の値を示す粒径の平均値が1μm以上6μm以下である請求項1または2記載の正極用粉末。
- 黒鉛粒子が、鱗片状黒鉛粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の正極用粉末。
- 正極活物質の組成が、式(1)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の正極用粉末。
Lix1Ni1-y1M1 y1O2 (1)
(式(1)中、x1、y1はそれぞれ0.9≦x1≦1.2、0≦y1≦0.5であり、M1はCoである。) - 正極活物質の組成が、式(2)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の正極用粉末。
Lix2Ni1-y2M2 y2O2 (2)
(式(2)中、x2、y2はそれぞれ0.9≦x2≦1.2、0.3≦y2≦0.9であり、M2はCoおよびMnである。) - さらに非黒鉛炭素質材料を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の正極用粉末。
- さらに繊維状炭素材料を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の正極用粉末。
- 一次粒子および一次粒子の凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物であり、該粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径が0.01μm以上5μm以下である正極活物質粉末と、黒鉛粒子からなる黒鉛粉末であり、該粉末における黒鉛粒子のうち90%以上の数の粒子の粒径で、最大の値を示す粒径が0.1μm以上10μm以下であり、該粉末の黒鉛粉末のBET比表面積が12m 2 /g以上20m 2 /g以下である黒鉛粉末とを混合する正極用粉末の製造方法。
- 正極活物質粉末のBET比表面積が1m2/g以上7m2/g以下である請求項9記載の正極用粉末の製造方法。
- 正極活物質粉末100重量部に対して黒鉛粉末が5重量部以上20重量部以下である請求項9または10記載の正極用粉末の製造方法。
- さらに非黒鉛炭素質材料を混合する請求項9〜11のいずれかに記載の正極用粉末の製造方法。
- さらに繊維状炭素材料を混合する請求項9〜12のいずれかに記載の正極用粉末の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の正極用粉末または請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法によって得られた正極用粉末とバインダーとを有する正極合剤。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の正極用粉末または請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法によって得られた正極用粉末とバインダーとを有する非水電解質二次電池用正極。
- 請求項15記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
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