JP2017174510A - 複合金属酸化物、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物、及びナトリウム二次電池 - Google Patents

複合金属酸化物、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物、及びナトリウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】ナトリウム二次電池の電池性能を向上させることができる複合金属酸化物、当該複合金属酸化物により構成される正極活物質を用いて作製した正極を備えるナトリウム二次電池を提供する。【解決手段】NaxM11−aM2aO2で表される酸化物であって、前記xは0<x<1であり、前記M1はMn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であり、前記M2はCuであり、前記aは0<a<1/6であることを特徴とする、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。【選択図】なし

Description

本発明は、複合金属酸化物、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物、及びナトリウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は高エネルギー密度の二次電池であり、携帯電話やノートパソコン等の小型電源として既に実用化されている。また、リチウム二次電池は電気自動車、ハイブリッド自動車等の小型電源として既に実用化されている。また、リチウム二次電池は電気自動車、ハイブリッド自動車等の自動車用電源や分散型電力貯蔵用電源等の大型電源として使用可能であることから、その需要は増大しつつある。
しかし、リチウム二次電池にはリチウム等の稀少金属元素が使用されているため、リチウム二次電池の需要が増大した場合に、上記稀少金属元素の供給不安定が懸念される。
上記の供給懸念の問題を解決するために、ナトリウム二次電池の研究が進められている。ナトリウム二次電池用の正極活物質には、高価なリチウムではなく、資源量が豊富でしかも安価なナトリウムが使用される。したがって、ナトリウム二次電池を実用化することができれば、上記供給不安定の問題は解消される。
ところで、ナトリウム二次電池用の正極活物質としては、NaとCr、Mn、Fe、Co、Ni等の遷移金属の複合酸化物が使用されている。これらの複合金属酸化物の中でも稀少金属元素であるCoを含まないものは、ナトリウム二次電池の生産コストの削減に寄与するとともに、ナトリウム二次電池の需要増大にも対応することができる。
特に、これら複合金属酸化物の中でも、層状複合金属酸化物は、遷移金属酸化物の層間に存在するNaのサイトによって、O2またはO3型と、P2またはP3型と分類することできる。即ち、O2またはO3型はNaがオクタヘドラルサイトに存在する結晶構造を示し、P2またはP3型はNaがプリズマティックサイトに存在する結晶構造を示す。
特開2007−287661号公報 特開2012−182087号公報 特開2012−201588号公報 特開2014−160653号公報 国際公開第2015/177556号
J. Mater. Chem. A, 2015, 3, 22846-22852
特許文献1〜3に開示されるP2型構造を有する複合金属酸化物から構成される正極活物質を用いたナトリウム二次電池は、特に充放電サイクル特性の観点で現在実用化されているリチウム二次電池の性能と比較して十分とは言えない。すなわち、充放電を繰り返すことで放電容量が大きく低下する課題があり改良が必要であった。そのため、例えば、特
許文献4と特許文献5は、遷移金属の一部をMgで置換することで充放電サイクル特性を向上させている。併し、置換元素にMgを用いた場合は、初回放電量の減少と4.5V充電での平均電圧の低下が見られ、電池性能が十分とは言えない。非特許文献1では、置換元素にCuを用いた例が報告されているが、容量が不十分である。
本発明の目的は、高容量かつ圧耐久性の高いナトリウム二次電池を実現するための複合金属酸化物を提供すること、及び該複合金属酸化物を用いたナトリウム二次電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ナトリウムを含む金属酸化物であって、遷移金属の一部をCuにより置換した複合金属酸化物を用い、好ましくはNaがプリズマティックサイトに存在する結晶構造を有すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)Na 1−a で表される酸化物であって、前記xは0<x<1であり、前記MはMn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であり、前記MはCuであり、前記aは0<a<1/6であることを特徴とする、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。
(2)前記酸化物は、少なくともNaがプリズマティックサイトに存在する結晶構造を有する、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。
(3)前記MがNiMn1−bであり、前記bは0<b≦1/3である、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。
(4)ナトリウム及び遷移金属を含む酸化物からなる正極と、負極と、非水電解質とを備え、前記正極は、NaMOを含み、前記xは0<x<1であり、前記Mは少なくともNiとMnを含み、前記Mの一部がCuで置換されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
(5)前記Mは、M 1−a で表され、前記MはMn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であり、前記MはCuであり、前記aは0<a<1/6である、(4)に記載の非水電解質二次電池。
本発明の複合金属酸化物をナトリウム二次電池用正極活物質として使用すれば、ナトリウム二次電池の電池性能を従来のナトリウム二次電池の性能と比較して向上させることができる。具体的には、本発明のナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物を備えるナトリウム二次電池は充放電(とくに高電圧)を繰り返しても高い放電容量を安定して示し、さらに従来よりも高い電池容量を得ることができる。
また、少なくともNaがプリズマティックサイトに存在する結晶構造を有することが好ましく、Naがオクタヘドラルサイトに存在する場合、隣接する空の4配位サイトにHが安定配置しやすく、イオン交換が容易に進行するのに対して、Naがプリズマティックサイトに存在する場合は、隣接する空のプリズマティックサイトにHが安定配置できないためイオン交換は進行し難いと推定される。そのため、結晶構造としてP2またはP3型構造をもつものは、二次電池用電極材料として好ましいと考えられる。
本発明で得られた複合金属酸化物のCu置換量の変化に伴う格子定数の変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の具体的な実施形態に限定されない。
<複合金属酸化物>
本発明の一態様である複合金属酸化物は、Na 1−a (0<x<1であり、MはMn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であり、MはCuであり、0<a<1/6である。)で表されることを特徴とする。
は生産コスト削減の観点から、Mn、Fe、Niから選択されることが好ましく、Mn及びNiから選択されることが好ましい。
xは、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/2以上であり、好ましくは5/6以下、より好ましくは2/3以下である。
aはCuの置換量を表し、好ましくは0.01以上、より好ましくは1/25以上、更に好ましくは1/18以上であり、好ましくは1/7以下、より好ましくは1/8以下、更に好ましくは1/9以下、特に好ましくは1/12以下である。Cuの置換量が1/6を超えると容量低下が大きく好ましくない。また置換量が0.01以上で置換効果が大きくなり好ましい。
上記範囲内であると、充放電(特に高電位)を繰り返しても高い放電容量を安定して示す材料となる。なお、x、aの値は、原料の使用量、製造条件等を制御することで調整することができる。
Cuは、Mを置換しうる元素であって、2価の価数で存在する場合は2価のNiよりもイオン半径が大きい特徴を持っている。Cu置換による効果の発現機構は定かではないが、例えば以下のことが挙げられる。即ち、少なくともNiの一部をCuで置換することによって、充電端でNaイオンが抜けきらないことによるピラー効果のため、材料の体積変化が抑制され、繰り返し充放電に対して安定な材料となるものと推定している。また、Mgとは異なり、置換元素Cuの一部が電気化学的活性であるために、電池容量の低下を抑えると考えられる。
また、別の態様としては、NaMOであり、前記xは0<x<1であり、前記Mは少なくともNiとMnを含み、前記Mの一部がCuで置換されている。Cuの置換量は、上記同様、好ましくは0.01以上、より好ましくは1/25以上、更に好ましくは1/18以上であり、通常1/6以下、好ましくは1/7以下、より好ましくは1/8以下、更に好ましくは1/9以下、特に好ましくは1/12以下である。
本実施態様に係る複合金属酸化物は、好ましい態様としてP2またはP3型の結晶構造を有することを特徴とするが、P2、P3型構造についてさらに詳しく述べる。P2型構造を有するものの代表的な結晶系としては、その対称性から空間群P63/mmcに帰属される。P3型構造を有するものの代表的な結晶系としては、その対称性から空間群R3mに帰属される。また、さらに対称性が低下する場合にはCmcmなど斜方晶さらにはC2/mなど単斜晶系の空間群に帰属可能な場合もあるが、基本的な構造はP2またはP3型に分類される層状構造である。但し、P2またはP3型構造を母構造として、P3やP2、O3型の積層欠陥が起こることもある。なお、複合金属酸化物がP2またはP3型構造を有する酸化物であるか否かは、X線回折により確認することができる。なお、2価のCuのイオン半径が2価のNiよりも大きいために、置換によって格子定数が増加すると推測できる。
(平均一次粒子径)
本実施態様に係る複合金属酸化物の平均一次粒子径は、特に限定されないが、下限としては通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.3μm以上、また、上限としては通常5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下、更に好ましくは1.5μm以下である。平均一次粒子径が、上記上限を超えると比表面
積が低下したりするために、レート特性や出力特性等の電池特性が低下する可能性が高くなる場合がある。上記下限を下回ると結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明における複合金属酸化物の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した平均一次粒子径であり、30,000倍のSEM画像を用いて、10〜30個程度の複合金属酸化物の一次粒子径の平均値として求めることができる。
(メジアン径(二次粒子))
本実施態様に係る複合金属酸化物の二次粒子のメジアン径(50%積算径(D50))は特に限定されないが、通常1μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは4μm以上で、また、通常20μm以下、好ましくは18μm以下、より好ましくは15μm以下である。メジアン径がこの下限を下回ると、正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下を来す可能性がある。
(BET比表面積)
本実施態様に係る複合金属酸化物のBET比表面積は、特に限定されないが、通常0.1m/g以上、好ましくは0.2m/g以上、より好ましくは0.3m/g以上で、通常10m/g以下、好ましくは5m/g以下、より好ましくは3m/g以下、更に好ましくは2m/g以下、最も好ましくは1m/g以下である。
BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなり、正極活物質層形成時の塗布性に問題が発生しやすくなるという可能性がある。
(タップ密度)
本実施態様に係る複合金属酸化物のタップ密度は、特に限定されないが、通常0.8g/cc以上、好ましくは1g/cc以上、より好ましくは1.4g/cc以上、更に好ましくは1.5g/cc以上で、通常4.0g/cc以下、好ましくは2.8g/cc以下、より好ましくは2.5g/cc以下である。タップ密度がこの上限を上回ることは、粉体充填性や電極密度向上にとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる可能性があり、電池性能が低下する可能性がある。タップ密度がこの下限を下回ると粉体充填性や正極調製に悪影響を及ぼす可能性がある。
なお、タップ密度は、複合金属酸化物粉体5〜10gを10mlのメスシリンダーに入れ、ストローク20mmで200回タップした時の粉体充填密度として求める。
本実施態様に係る複合金属酸化物は、前述の条件を満たすものであればその他については特に限定されないが、対極に金属ナトリウムを使用して電池を作製した時の開回路電圧が、2.5V以上となることが好ましく、2.6V以上となることがより好ましく、2.7V以上となることがさらに好ましい。上記範囲内であると、良好な性能を有するナトリウム二次電池を製造することができる。
(複合金属酸化物の製造方法)
本実施態様に係る複合金属酸化物は、以下に説明する通り、金属含有化合物の混合物を焼成することによって製造できるが、本発明の技術的範囲はかかる製造方法によって製造された複合金属酸化物に限定されないことは言うまでもない。
具体的には、対応する金属元素を含有する金属含有化合物を所定の組成となるように秤量し混合した後に、得られた混合物を焼成することによって製造することができる。
例えば、Na:Ni:Mn:Cu=2/3 : 5/18 : 2/3 : 1/18で表される金属元素比を有する複合金属酸化物は、炭酸ナトリウム(NaCO)と水酸化ニ
ッケル(Ni(OH))と三酸化二マンガン(Mn)と酸化銅(CuO)の各原料を、Na:Ni:Mn:Cuのモル比が7/10(5%過剰): 5/18 : 2/3 : 1/18となるように秤量し、それらを混合し、得られた混合物を焼成することによって製造することができる。
複合金属酸化物を製造するために用いることができる金属含有化合物としては、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩等の有機酸塩を用いることができる。ナトリウム化合物としてはNaCO、NaHCO、Naが好ましく、取り扱い性の観点で、より好ましくはNaCOである。マンガン化合物としてはMnO、Mn、Mnが好ましく、ニッケル化合物としてはNiCO、Ni(OH)、NiOOH、NiOが好ましい。また、置換元素Cuの原料化合物の例として、CuO、CuO、硝酸銅が好ましい。また、これらの金属含有化合物は水和物であってもよい。
金属含有化合物の混合には、ボールミル、V型混合機、攪拌機、ダイノーミル等の、工業的に通常用いられている装置を用いることができる。この時の混合は、乾式混合、湿式混合のいずれでもよい。また、晶析法によって、所定の組成の金属含有化合物の混合物を得てもよい。さらに、共沈法によって、所定の組成の複合金属炭酸塩または水酸化物を得た上でナトリウム化合物との混合物を得てもよい。
上記のようにして得た金属含有化合物の混合物を焼成することによって、上記複合金属酸化物を得ることができる。焼成条件については特に限定されないが、焼成温度を700〜1000℃の範囲、焼成時間を2〜24時間の範囲に設定することが好ましい。焼成温度が800℃以上であれば、過度な積層欠陥の生成を抑制するという理由で好ましく、焼成温度が900℃以下であれば、一次粒子サイズを低減するという理由で好ましい。また、焼成時間が12時間以上であれば単一粒子の均一な化学組成を得るという理由で好ましく、焼成時間が24時間以下であれば低温で積層欠陥を維持したまま結晶成長を行わせることも可能になるという理由で好ましい。
焼成時の雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気;空気、酸素、酸素含有窒素、酸素含有アルゴン等の酸化性雰囲気;及び水素を0.1〜10体積%含有する水素含有窒素、水素を0.1〜10体積%含有する水素含有アルゴン等の還元性雰囲気のいずれでもよい。強い還元性の雰囲気で焼成するために、適量の炭素を金属含有化合物の混合物に含有させて焼成してもよい。焼成時の雰囲気としては、空気等の酸化性雰囲気が好ましい。
原料の金属含有化合物として、高温で分解及び/又は酸化しうる化合物、例えば水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩を使用した場合、上記の焼成を行う前に、200〜500℃の温度範囲で金属含有化合物の仮焼を行って、酸化物にしたり、結晶水を除去したりしてもよい。仮焼を行う雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性雰囲気又は還元性雰囲気のいずれでもよい。また、仮焼後の仮焼物を粉砕して用いてもよい。
また、上記のようにして得られる複合金属酸化物に、必要に応じボールミルやジェットミル等を用いた粉砕、分級等を行って、粒度を調節することが好ましいことがある。また、焼成を2回以上行ってもよい。また、複合金属酸化物の粒子表面をW、Mo、Nb、Al、Zr、Mg、Si、Y、B等を含有する無機物質で被覆する等の表面処理を行ってもよい。
<ナトリウム二次電池>
本実施態様に係るナトリウム二次電池は、前述の複合金属酸化物から構成される正極活物質を含む正極を備えるものであれば、その他については特に限定されず、公知のナトリウム二次電池に用いられる材料、技術を適宜採用することができる。なお、本実施態様に係るナトリウム二次電池に使用される具体的な材料の種類およびその製造方法等については、後述するもののほか、例えば特開2011−236117号公報、特開2014−160653号公報に記載されている内容を適宜採用することができる。
[正極]
正極は集電体と、その集電体の表面に形成された正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極活物質、導電材、結着剤を含む。
正極活物質層中の正極活物質の含有量は特に限定されないが、80〜98質量%であることが好ましい。
本実施態様に使用可能な導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。正極活物質層中の導電材の含有量は特に限定されないが、1〜10質量%であることが好ましい。
本実施態様に使用可能な結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFということがある。)ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体等が挙げられる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。結着剤のその他の例示としては、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリロニトリル、ニトロセルロース等の多糖類及びその誘導体が挙げられる。また、使用可能な結着剤として、無機の微粒子、例えばコロイダルシリカ等を挙げることもできる。正極活物質中の結着剤の含有量は特に限定されないが、1〜10質量%であることが好ましい。
本実施態様に使用可能な集電体としては、ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)等の導電性の材料を用いた箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタル等が挙げられる。メッシュの目開き、線径、メッシュ数等は特に限定されず、従来公知のものを使用できる。集電体の一般的な厚さは5〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
正極を製造する方法としては、先ず、正極活物質と導電材と結着剤と有機溶媒とを混合させて正極活物質スラリーを調製する。ここで使用可能な有機溶剤としては、N,N−ジメチルアミノプロピリアミン、ジエチルトリアミン等のアミン系;エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のエーテル系;メチルエチルケトン等のケトン系;酢酸メチル等のエステル系、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
また、本実施態様に係る複合金属酸化物は水に対する安定性が高いため、水を溶媒に使用したスラリー中でも層状構造を維持するため、水和相が形成される場合にも乾燥することより水和水が容易に脱離し、電極作製を行うことが可能である。
次いで、上記正極活物質スラリーを正極集電体上に塗工し、乾燥後プレスする等して固着する。ここで、正極活物質スラリーを正極集電体上に塗工する方法としては、例えばスリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等を挙げることができる。
なお、正極活物質層を正極集電体上に形成する方法としては、上記の方法以外に、正極活物質、導電材、結着剤の混合物を正極集電体上に設置し、加圧成型する方法でもよい。
[負極]
負極は集電体と、その集電体の表面に形成された負極活物質層を含み、負極活物質層は負極活物質及び結着剤を含む。また、負極としては、負極活物質を含む負極合剤を負極集電体に担持したもの、ナトリウム金属又はナトリウム合金等のナトリウムイオンを吸蔵・脱離可能な電極を用いることができる。
負極活物質としては、ナトリウムを吸蔵・脱離することのできる天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、ハードカーボン、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素材料が挙げられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体等のいずれでもよい。ここで炭素材料は、導電材としての役割を果たす場合もある。
上記の通り、本実施態様において負極活物質は、特定のものに限定されないが、ハードカーボンを使用することが好ましい。負極活物質としてハードカーボンを使用することで、負極活物質が原因となる電池性能の低下を抑えられる。
ハードカーボンは2000℃以上の高温で熱処理しても殆ど積層秩序が変化しない炭素材料であり、難黒鉛化炭素ともよばれる。ハードカーボンとしては、炭素繊維の製造過程の中間生成物である不融化糸を1000〜1400℃程度で炭化した炭素繊維、有機化合物を150〜300℃程度で空気酸化した後、1000〜1400℃程度で炭化した炭素材料等が例示できる。ハードカーボンの製造方法は特に限定されず、従来公知の方法により製造されたハードカーボンを使用することができる。
ハードカーボンの平均粒径、真密度、(002)面の面間隔等は特に限定されず、適宜好ましいものを選択して実施することができる。
負極活物質層中の負極活物質の含有量は特に限定されないが、80〜98質量%であることが好ましい。
結着剤としては、正極に使用可能なものと同様のものが使用可能であるため、これらについては説明を省略する。集電体としては、ニッケル、アルミニウム、銅、ステンレス(SUS)等の導電性の材料を用いる。集電体は正極用の集電体と同様に、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタル等から構成される。
また、負極活物質層を集電体上に形成する方法としては、正極活物質層を集電体上に形成する方法と同様の方法を採用することができる。
[電解質]
電解質は特に限定されず、一般的な電解液、固体電解質のいずれも使用可能である。電解液としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート
、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタン等のカーボネート類;
1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;
ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;
アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;
3−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート類;
スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトン等の含硫黄化合物;
又は上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができる。通常は有機溶媒として、これらのうちの二種以上を混合して用いる。
上記電解液の中でも、実質的に飽和環状カーボネート(ただし、エチレンカーボネートの単独使用を除く)、又は飽和環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒からなる非水溶媒を採用することが好ましい。特に、これらの非水溶媒の中からいずれかを採用し、負極活物質としてハードカーボンを採用すると、ナトリウム二次電池は優れた充放電効率及び充放電特性を持つ。必要に応じてリチウムイオン電池に用いられている既知の添加剤を用いてもよい。特に、フルオロエチレンカーボネートは添加剤として好ましい。
ここで、「実質的に」とは、飽和環状カーボネートのみからなる非水溶媒(ただし、エチレンカーボネートの単独使用を除く)、飽和環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒からなる非水溶媒の他、充放電特性等のナトリウム二次電池の性能に影響を与えない範囲で、他の溶媒を本発明に用いる上記非水溶媒に含んだ溶媒も含むことを指す。
飽和環状カーボネートの中でもプロピレンカーボネートの使用が好ましい。また、混合溶媒の中でもエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒、又はエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合溶媒の使用が好ましい。
電解質として、電解液を採用した場合に使用可能な電解質塩は、特に限定されず、ナトリウム二次電池に一般的に用いられる電解質塩を使用できる。
ナトリウム二次電池に一般的に用いられる電解質塩としては、例えば、NaClO、NaPF、NaBF、CFSONa、NaAsF,NaB(C,CHSONa、NaN(SOCF、NaN(SO、NaC(SOCF、NaN(SOCF等を挙げることができる。また、電解質塩として、前記Na塩の他、Li塩を用いてもよい。なお、これらの電解質のうち1種を用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電解液中の電解質塩の濃度は特に限定されないが、上記電解質塩の濃度は3〜0.1mol/Lであることが好ましく、1.5〜0.5mol/Lであることがより好ましい。
固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物等の有機系固体電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。また、NaS−SiS、NaS−GeS、NaTi(PO、NaFe(PO、Na(S
、Fe(SO(PO)、Fe(MoO等の無機系固体電解質を用いてもよい。本実施態様において、P2型およびP3型層状構造を有する複合金属酸化物である場合には、O3型層状構造を有する複合金属酸化物よりも柔らかいため、固体電解質との密着性に優れた効果が期待できる。
[ナトリウム二次電池の構造]
本実施態様に係るナトリウム二次電池の構造としては特に限定されず、形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、捲回型(円筒型)電池等、従来公知のいずれの形態・構造にも適用しうるものである。また、ナトリウム二次電池内の電気的な接続形態(電池構造)で見た場合、(内部並列接続タイプ)電池及び双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用しうるものである。
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
複合金属化合物がNa2/3Ni5/18Cu1/18Mn2/3となるように、NaCO、Ni(OH)、Mn、CuOを秤量し、ボールミルで12時間にわたって混合して金属含有化合物の混合物を得た。なお、秤量の際、NaCOは製造中でのロスを考慮し、5モル%をさらに追加した。得られた混合物をペレット成型した後、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて大気雰囲気において900℃で24時間の条件で焼成することによって、実施例1の複合金属酸化物、P2型Na2/3Ni5/18Cu1/18Mn2/3を得た。
実施例1の複合金属酸化物と、導電材としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのポリビニリデンフルオライドとを、80:10:10(質量比)の組成となるように以下の手順で正極を作製した。先ず、実施例1の複合金属酸化物と導電材とをメノウ乳鉢で十分に混合し、この混合物に結着材とN−メチルピロリドンとを加えて引き続き均一になるように混合し、混合物スラリーを作製した。次いで、得られた上記スラリーを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上に、アプリケータを用いて塗布し、これを乾燥機に入れ、N−メチルピロリドンを除去しながら十分に乾燥することによって正極を得た。この正極を直径1.0cmに打ち抜いてコイン電池用正極を得た。
対極に金属ナトリウムを用いて作製した負極と、作用極に前記作製したコイン電池用正極とを使用して電池1と電池7を作製した。電解液としては、1Mの電解質塩(NaPF)を非水溶媒(プロピレンカーボネート)に溶解させたものを用いた。セパレータとしてはガラスフィルタを使用した。また、ナトリウム二次電池の作製は、アルゴンを満たしたグローブボックス中にて行った。
(実施例2)
複合金属化合物がNa2/3Ni2/9Cu1/9Mn2/3となるように、NaCO、Ni(OH)、Mn、CuOを秤量し、ボールミルで12時間にわたって混合して金属含有化合物の混合物を得た。なお、秤量の際、NaCOは製造中でのロスを考慮し、5モル%をさらに追加した。得られた混合物をペレット成型した後、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて大気雰囲気において900℃で24時間の条件で焼成することによって、実施例2の複合金属酸化物、P2型Na2/3Ni2/9Cu1/9Mn2/3を得た。そして、実施例2の複合金属酸化物を用いて作製した正極を使用した以外は、電池1と同様の方法で、電池2と電池8を作製した。
(比較例1)
複合金属化合物がNa2/3Ni1/3Mn2/3となるように、NaCO、Ni(OH)、Mnを秤量し、ボールミルで12時間にわたって混合して金属含有化合物の混合物を得た。なお、秤量の際、NaCOは製造中でのロスを考慮し、5モル%をさらに追加した。得られた混合物をペレット成型した後、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて大気雰囲気において900℃で24時間の条件で焼成することによって、比較例1の複合金属酸化物、P2型Na2/3Ni1/3Mn2/3を得た。そして、比較例1の複合金属酸化物を用いて作製した正極を使用した以外は、電池1と同様の方法で、電池3と電池9を作製した。
(比較例2)
複合金属化合物がNa2/3Ni5/18Mg1/18Mn2/3となるように、NaCO、Ni(OH)、Mn、MgOを秤量し、ボールミルで12時間にわたって混合して金属含有化合物の混合物を得た。なお、秤量の際、NaCOは製造中でのロスを考慮し、5モル%をさらに追加した。得られた混合物をペレット成型した後、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて大気雰囲気において900℃で24時間の条件で焼成することによって、比較例2の複合金属酸化物、P2型Na2/3Ni5/18Mg1/18Mn2/3を得た。そして、比較例2の複合金属酸化物を用いて作製した正極を使用した以外は、電池1と同様の方法で、電池4と電池10を作製した。
(比較例3)
複合金属化合物がNa2/3Ni2/9Mg1/9Mn2/3となるように、NaCO、Ni(OH)、Mn、MgOを秤量し、ボールミルで12時間にわたって混合して金属含有化合物の混合物を得た。なお、秤量の際、NaCOは製造中でのロスを考慮し、5モル%をさらに追加した。得られた混合物をペレット成型した後、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて大気雰囲気において900℃で24時間の条件で焼成することによって、比較例3の複合金属酸化物、P2型Na2/3Ni2/9Mg1/9Mn2/3を得た。そして、比較例3の複合金属酸化物を用いて作製した正極を使用した以外は、電池1と同様の方法で、電池5と電池11を作製した。
(参考例1)
複合金属化合物がNa2/3Ni1/6Cu1/6Mn2/3となるように、NaCO、Ni(OH)、Mn、CuOを秤量し、ボールミルで12時間にわたって混合して金属含有化合物の混合物を得た。なお、秤量の際、NaCOは製造中でのロスを考慮し、5モル%をさらに追加した。得られた混合物をペレット成型した後、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて大気雰囲気において900℃で24時間の条件で焼成することによって、参考例1の複合金属酸化物、P2型Na2/3Ni1/6Cu1/6Mn2/3を得た。そして、参考例1の複合金属酸化物を用いて作製した正極を使用した以外は、電池1と同様の方法で、電池6を作製した。
(XRD測定による結晶構造の同定と格子定数の算出)
実施例及び比較例の複合金属酸化物について、粉末X線回折測定を行った。測定は、リガク製の粉末X線回折測定装置MultiFlexを用いて、以下の条件で行った。
X線:CuKα
電圧−電流:40kV−20mA
測定角度範囲:2θ=10〜70°
ステップ:0.02°
スキャンスピード:6°/分
格子定数は格子定数精密化プログラムCellRefを用いて算出した。半値幅中点法によりピークサーチして算出したピーク位置データを基に、CuKα線の波長を1.54
187Å、結晶格子を六方晶系、空間群をP6/mmcとして、格子定数を最小二乗法により計算した。
XRD測定結果により、実施例、比較例ともにP2型層状構造を有する酸化物が得られていることが判った。P2型層状構造をもとに計算した格子定数を図1に示す。Cu置換量が0から少なくとも1/9までは、Cu置換量の増加に伴い格子定数が大きくなることから、Cu置換体が得られていると推定できる。併し、Cu置換量が1/6以上となると、格子定数が小さくなることが分かる。
(充放電評価)
作製したナトリウム二次電池について、充放電評価を行った。各電池の正極中の複合酸化物に対して電流密度が12.9mA/gになるように設定し、指定の充電電圧まで定電流充電を行った。電池1から電池6は充電電圧を4.1Vまでにし、電池7から電池11は充電電圧を4.5Vまでとした。各指定電圧まで充電した後、電流密度が12.9mA/gの電流になるように設定し、2.0V(放電電圧)まで定電流放電を行った。上記の充放電電圧での耐久性を確認するために、繰り返し充放電試験を25℃で行った。
表1に充電電圧4.1V−放電電圧2.0V条件で、初回放電容量と、平均電圧、10回繰り返し充放電試験前後の容量を示す。充電電圧4.1Vでは、Cu置換及びMg置換ともに、平均電圧が無置換より高いことが判る。また、同置換量で比較すると、Cu置換がMg置換より初期放電容量が高いことが判る。また、Cuの置換量が1/6では無置換より初期放電容量が小さいことが判る。
表2に充電電圧4.5V−放電電圧2.0V条件で、初回放電容量と、平均電圧と、繰り返し充放電試験後の電池容量を示す。本実施例の複合金属酸化物は、Cuによって遷移金属元素が置換されており、無置換体である比較例1より繰り返し試験後の容量が大きいことが判る。Cu置換による耐久性の向上機構は定かではないが、例えば、少なくともNiの一部をCuで置換することによって、充電端でNaイオンが抜けきらないことによるピラー効果と推定している。なお、Mg置換体と比べ、Cu置換体の初回放電容量が大きく、平均電圧も高いため、Cu置換体を使用するとMg置換体に比べ電池容量が高いことが判る。これは、Mgとは異なり、置換元素Cuの一部が電気化学的活性であるために、電池容量が高いと考えられる。
本発明のナトリウム二次電池用正極活物質を備えたナトリウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、定置型電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、ペースメーカー、電動工具、自転車・バイク用動力源、自動車用動力源、軌道車両動力源、人工衛星用動力源等を挙げることができる。

Claims (5)

  1. Na 1−a で表される酸化物であって、前記xは0<x<1であり、前記MはMn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であり、前記MはCuであり、前記aは0<a<1/6であることを特徴とする、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。
  2. 前記酸化物は、少なくともNaがプリズマティックサイトに存在する結晶構造を有する、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。
  3. 前記MがNiMn1−bであり、前記bは0<b≦1/3である、ナトリウム二次電池正極用複合金属酸化物。
  4. ナトリウム及び遷移金属を含む酸化物からなる正極と、負極と、非水電解質とを備え、前記正極は、NaMOを含み、前記xは0<x<1であり、前記Mは少なくともNiとMnを含み、前記Mの一部がCuで置換されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
  5. 前記Mは、M 1−a で表され、前記MはMn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であり、前記MはCuであり、前記aは0<a<1/6である、請求項4に記載の非水電解質二次電池。
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