JP2002097192A - 表面処理剤用化合物、表面処理剤、機能性ガラス及びその製造方法 - Google Patents

表面処理剤用化合物、表面処理剤、機能性ガラス及びその製造方法

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JP2002097192A
JP2002097192A JP2000283962A JP2000283962A JP2002097192A JP 2002097192 A JP2002097192 A JP 2002097192A JP 2000283962 A JP2000283962 A JP 2000283962A JP 2000283962 A JP2000283962 A JP 2000283962A JP 2002097192 A JP2002097192 A JP 2002097192A
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JP2000283962A
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English (en)
Inventor
Takashige Yoneda
貴重 米田
Sunao Hamano
直 濱野
Tetsuro Tayu
哲朗 田湯
Yasuaki Kai
康朗 甲斐
Satoko Sugawara
聡子 菅原
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Nissan Motor Co Ltd
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材上に優れた撥水性、水滴除去性及び水滴
移動性を付与し、視界確保性を長時間維持できる表面処
理剤用化合物、表面処理剤、機能性ガラス及びその製造
方法を提供すること。 【解決手段】 基材上に水滴除去性・水滴移動性を有す
る機能層を形成する表面処理剤用化合物であり、次の化
学式(A) 【化1】 (式中のRは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数
1〜20のフルオロアルキル基、Rはメチル基、X
は加水分解性基、nは0又は自然数、pは2又は3、q
は1又は2、rは0〜2の整数を示す)で表される少な
くとも1種の直鎖状シリコーン化合物及び/又はその加
水分解生成物である。5〜30°の水滴転落角度、及び
1mm/s以上の水滴滑落速度を有する上記機能層を形
成し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に付着し
た水滴の滑落性・移動性に優れた表面処理剤用化合物、
表面処理剤、機能性ガラス及びその製造方法に係り、更
に詳しくは、車両用、船舶用及び航空機用のウィンドウ
ガラスやミラーなどに優れた撥水性、水滴除去性(水滴
が付着しても表面が傾いている場合には、その表面から
滑落して水滴の除去が容易となる性質)、及び水滴移動
性(水滴を迅速に表面から移動させる性質)を付与し得
る表面処理剤用化合物、表面処理剤、これを用いた機能
性ガラス、自動車用窓ガラス及びその製造方法に関す
る。
【0002】まず、ここで、本発明の理解を容易にすべ
く、本発明と他の近接技術とを区別し得る尺度である、
撥水性、水滴除去性及び水滴移動性について詳細に説明
する。なお、水滴除去性及び水滴移動性は、付着水滴の
除去性に優れる表面処理剤や機能性ガラスを探求する過
程において、本発明者らが鋭意検討して知見した尺度で
あり、自動車用窓ガラスなどの実使用下での特性を判断
するのに最適である。以上のことを換言すれば、本発明
は、ほぼ「撥水性」のみで論じられていた従来技術に対
して、実使用の厳しい条件下での「付着水滴の除去」と
いう新たな技術的課題を提案し、かかる課題を上述の水
滴除去性(水滴滑落角度)及び水滴移動性(水滴滑落速
度)を用いた判断により解決したものと言える。
【0003】(撥水性)基材表面に規定量の水を滴下す
ると、この水は基材の表面状態に応じて濡れ広がり、水
膜又は水滴を形成する。このとき、形成された水滴の水
相を挟む、気相/基材界面と気相/水相界面との間の角
度を水滴の接触角と規定する。一般的には、この接触角
が大きくなればなるほど基材が撥水性に優れていると判
断できる。
【0004】(水滴除去性)まず、水平に設置した平板
状の基板表面上に規定量の水滴を滴下し、ここから基材
を傾け水滴が滑り出したときの角度を水滴滑落角度と規
定する。滑り始めるまでの角度が低ければ低いほど、基
材表面の水滴は滑り落ち易いと考えられることから、基
材表面について上記水滴滑落角度を測定し、得られた水
滴滑落角度が低いものほど水滴除去性に優れていると判
断できる。
【0005】(水滴移動性)まず、水平面より規定角度
傾斜させて設置した平面状の基材表面上に規定量の水滴
を滴下すると、水滴はある程度まで加速した後一定の終
端速度で滑落する。このときの水滴の規定区間内におけ
る平均速度を滑落速度と規定する。規定量の水滴につい
て測定した滑落速度がより大きいものほど水滴移動性に
優れていると判断できる。
【0006】次に、上記水滴除去性と水滴移動性との関
係について、自動車用窓ガラスを一例として説明する。
自動車用窓ガラスの車外側表面に付着した水滴は、重力
や大気との相互作用により、蒸発、凝結及び移動等によ
り表面から排除され得る。自動車走行時に窓ガラスに付
着して視界阻害をもたらす水滴を排除することを考えた
場合、主に重力又は大気の粘性抵抗による風力を駆動力
とし、付着水滴自身が視界外へ移動する過程と、移動す
る水滴に併合された後に視界外へ移動する過程が、視界
内からの水滴排除を促しているものと考えられる。従っ
て、水滴の視野外への移動が好適である基材を選択する
ことで、降雨時にも水滴による視野障害を軽減し、運転
時の安全性を向上した自動車用窓ガラスを提供できる。
【0007】基材に付着する水滴がその付着位置にとど
まり、基材上を基材表面に沿って移動することに対する
効力は、大気−水−基材の三相境界の長さにほぼ比例す
る。付着水滴が小さな力で容易に移動する性質が水滴除
去性である。例えば霧状の微小水滴は、その体積が小さ
いことに起因して重力より受ける駆動力が小さく、ま
た、基材表面近傍に形成される基材と大気の相対速度と
の小さな領域に位置することから、風力より受ける駆動
力が小さく容易に移動しない。水滴除去性に優れた基材
を使用することで、微小水滴は容易に移動し、付近にあ
る他の水滴を併合してサイズを大きくし、最終的には視
野外へ移動し易くなる。また、視野確保の観点からは、
付着水滴が速やかに視野外に移動する必要があり、この
性質を示すのが水滴移動性である。従って、自動車用窓
ガラスなどでは、上記水滴除去性及び水滴移動性の双方
を兼備していることが望ましい。一方、水滴除去性に優
れた基材が必ずしも水滴移動性に優れるわけではなく、
ここでは両者は別々の性質であるとして定義する。
【0008】
【従来の技術】従来から、基材表面に付着した水滴の除
去を目的として、基材表面の撥水性を高めた撥水ガラス
などの開発が盛んに行われている。
【0009】例えば、基材の撥水性を向上させるため、
接触角を高く誘導する化合物としてフルオロアルキル基
含有化合物やジメチルシロキサン等の化合物に代表され
る疎水性化合物を、基材表面に塗布する試みがなされて
いる。また、特開昭58−122979号公報、特開昭
58−129082号公報、特開昭58−142958
号公報、特開昭58−147483号公報、特開昭58
−172242号公報、特開昭58−172244号公
報、特開昭58−172245号公報、特開昭58−1
72246号公報、特開平58−190840号公報及
び特開昭58−223634号公報には、ガラスなどの
素材上に、ポリフルオロアルキル基を含有する有機ケイ
素化合物を処理して製造される、高い撥水性を付与され
た処理基板が提案されている。
【0010】しかしながら、このような従来のポリフル
オロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物で処理した
処理基板は、フッ素原子を表面に数多く導入して表面エ
ネルギーを小さくすることにより高い撥水性の発現を目
的としているものの、水滴と該有機ケイ素化合物の間に
相互作用が強く働くため、一度基材表面に付着した水滴
の除去が困難であり、水滴除去性及び水滴移動性に劣る
という問題があった。また、ジメチルシロキサン等の化
合物を単に塗布しただけでは基材表面との結合力が弱
く、耐候性や耐磨耗性を充分に発現させることができ
ず、撥水性及び水滴除去性を長期に亘り維持することが
困難であった。
【0011】これら問題の対応策として、加水分解性基
を有するシリコーン化合物を基材表面に塗布・処理する
ことで維持性改善を図る工夫がなされている。代表例と
して、特開平11−315276号公報には、直鎖片末
端官能性ポリジメチルシロキサン化合物とシランカップ
リング剤の組成物から成る撥水塗膜が提案されており、
この撥水塗膜は十分な撥水性、水滴除去性及び水滴移動
性を有する。なお、上記組成物は、上記直鎖片末端官能
性ポリジメチルシロキサン化合物とシランカップリング
剤間の縮合反応の結果、基材と直接シロキサン結合を生
成することが可能な直鎖片末端官能性ポリジメチルシロ
キサン化合物を生成し、これが機能膜の主構成物質とし
て作用しているものと推測できる。
【0012】しかしながら、上記組成物から形成される
機能膜は、大気中で室温程度に数日間放置しても、水滴
除去性及び水滴移動性が維持されずに低下してしまうこ
とがあった。この現象の原因は明らかではないが、上述
の縮合反応の際の痕跡として残る官能基や組成物中の未
反応物質及び副生成物質の存在が影響しているものと推
測される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
表面処理基材は、例えば車両用窓ガラスなどにおいて求
められる視界確保性能を長期間に亘り充分に維持できる
ものではなかった。
【0014】即ち、基材の表面エネルギーを下げて撥水
性を向上させると基材上の水は濡れ広がらずに水滴を形
成するため、水滴に被覆されずに露出した領域における
視界は確保されるものの、依然として水滴が基材上に残
存することとなっていた。この残存水滴は、主にグレア
光源として作用するため、乗員は車外状況を確認しにく
くなる。また、自動車ガラス表面等の処理作業の簡便性
においては、一度の処理で数ヶ月以上に亘り良好な視界
を確保可能な窓ガラスが要求される。
【0015】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、その目的は、基材上に優れた
撥水性、水滴除去性及び水滴移動性を付与し、視界確保
性を長時間維持できる表面処理剤用化合物、表面処理
剤、機能性ガラス及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の直鎖状シリ
コーンやその加水分解生成物を用いることにより、基材
上に、上述した水滴除去性・水滴移動性を付与すること
ができ、基材上の残存水滴を速やかに減少させ、乗員等
の視認性向上が実現でき、上記課題が解決されることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】即ち、本発明の表面処理剤用化合物は、基
材上に水滴除去性・水滴移動性を有する機能層を形成す
る表面処理剤用化合物であって、次の化学式(A)
【0018】
【化2】
【0019】(式中のRは炭素数1〜20のアルキル
基又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基、Rはメ
チル基、Xは加水分解性基、nは0又は自然数、pは
2又は3、qは1又は2、rは0〜2の整数を示す)で
表される少なくとも1種の直鎖状シリコーン化合物及び
/又はその加水分解生成物であることを特徴とする。
【0020】また、本発明の表面処理剤用化合物の好適
形態は、上記化学式(A)のXが、アルコキシル基、
ヒドロキシル基、ハロゲン原子又はイソシアネート基で
あることを特徴とする。
【0021】更に、本発明の表面処理剤は、上記表面処
理剤用化合物と、有機溶剤とを含んで成ることを特徴と
する。
【0022】更にまた、本発明の表面処理剤の他の好適
形態は、上記化学式(A)のXが、アルコキシル基、
ヒドロキシル基である上記表面処理剤用化合物、酸及び
水を含むことを特徴とする。
【0023】また、本発明の表面処理剤の更に他の好適
形態は、上記化学式(A)のXが、ハロゲン原子又は
イソシアネート基である上記表面処理剤用化合物を含む
ことを特徴とする。
【0024】更に、本発明の表面処理剤の他の好適形態
は、更に加水分解性基を有するアルキルシラン化合物、
及び/又は加水分解性基を有するフルオロアルキルシラ
ン化合物を含有することを特徴とする。
【0025】更にまた、本発明の機能性ガラスは、ガラ
ス質基材上に、上記表面処理剤から形成される機能層を
有することを特徴とする。
【0026】また、本発明の機能性ガラスの好適形態
は、ガラス質基材表面と上記機能層との間に、室温近傍
で加水分解されて薄膜を形成し得るケイ素化合物(但
し、上記化学式(A)で表される直鎖状シリコーン化合
物を除く。)の加水分解生成物から形成される下地層を
配設して成ることを特徴とする。
【0027】更に、本発明の機能性ガラスの他の好適形
態は、上記加水分解性基を有するケイ素化合物が、次の
化学式(B) Si(NCO)4−x…(B) (式中のxは0又は1、Rはメチル基を示す)で表され
るイソシアネートシラン化合物であることを特徴とす
る。
【0028】更にまた、本発明の自動車用窓ガラスは、
上記機能性ガラスを用いて成ることを特徴とする。
【0029】また、本発明の機能性ガラスの製造方法
は、上記表面処理剤を、ガラス質基材上に塗布して乾燥
させることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の表面処理剤用化合
物について詳細に説明する。また、本明細書において
「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0031】上述の如く、本発明の表面処理剤用化合物
は、次の化学式(A)
【0032】
【化3】
【0033】(式中のRは炭素数1〜20のアルキル
基又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基、Rはメ
チル基、Xは加水分解性基、nは0又は自然数、pは
2又は3、qは1又は2、rは0〜2の整数を示す)で
表される少なくとも1種の直鎖状シリコーン化合物及び
/又はその加水分解生成物であり、基材上に水滴除去性
及び水滴移動性を有する機能層を形成するものであり、
該機能層はまた撥水性も有する。
【0034】ここで、上記化学式(A)におけるR
しては、炭素数が1〜20であるものが、特に水滴移動
性向上の面から有効である。炭素数が20を超えるとシ
リコーンの効果が減少し、アルキルシラン化合物又はフ
ルオロアルキルシラン化合物と同様の性能を示して水滴
除去性及び水滴移動性が低下することがある。Rがア
ルキル基である場合には、同一処理面内での水滴除去性
及び水滴移動性における均一さに優れるため、特に好ま
しい。また、上記Rとしては、メチル基が有効であ
る。Rがメチル基である直鎖状シリコーン化合物を有
する表面処理剤用化合物は、撥水性能を維持でき、原料
の入手も容易である。
【0035】更に、上記Xとしては加水分解性基が有
効である。該直鎖状シリコーン化合物又はその加水分解
生成物は、基材(ガラス質基材表面など)と化学的に強
固に結合して、十分な実用耐久性を備えた機能層を形成
する。例えば、ガラス質基材は、基材材質が主にケイ酸
化合物であることから、直鎖状シリコーン化合物又はそ
の加水分解生成物と基材とがシロキサン結合(≡Si−
O−Si≡)を形成して強固に結合する。このため、本
発明の表面処理剤用化合物(直鎖状シリコーン化合物)
分子末端の加水分解性基から形成されるシラノール基
(≡Si−OH)は、ガラス質基材の有するシラノール
基との間でシロキサン結合を形成できる。
【0036】更にまた、上記nは0又は自然数である。
このとき、nが100を超えると基材表面への塗布時に
溶液粘度が大きくなり易く取扱いが困難となるため、n
は0〜100の整数であることが好ましい。また、上記
pは2又は3であり、このときは上記直鎖状シリコーン
化合物の合成が容易であり、安価にて入手できる。更
に、上記qは1又は2である。上記化学式(A)中の置
換基C2q+1は、本発明の表面処理剤用化合物を
合成する過程で主たる反応に影響する置換基ではない
が、2よりも大きいと立体障害による反応阻害を引き起
こすことがあるため自由体積が小さい1であることが望
ましい。更にまた、上記rは0〜2の整数であり、この
ときは基材と反応する上記加水分解性基Xを1以上有
する化合物となる。
【0037】また、上記化学式(A)のXは、アルコ
キシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又はイソシア
ネート基であることが好ましい。この場合は、形成され
る機能層が十分な撥水性、水滴除去性及び水滴移動性を
有し得る。
【0038】次に、本発明の表面処理剤は、上記直鎖状
シリコーン化合物とともに有機溶剤を含有して成る。有
機溶剤は、表面処理剤の粘性を下げて取扱いを容易に
し、均一な混合を可能とし、作業性が向上する。上記有
機溶剤としては、シリコーン化合物、後述するシリカゾ
ル、アルキルシラン化合物及びフルオロアルキルシラン
化合物などを溶解し、シロキサン結合形成を阻害しない
有機溶剤から、目的に応じて適宜選択して使用できる。
有機溶剤としては、酢酸エステル類、芳香族炭化水素
類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エーテル類及び
アルコール類などを挙げることができる。なお、経済性
や(濡れ性)作業性の面からアルコール類、特に低級ア
ルコール類を用いることが好ましい。また、有機溶剤
は、1種単独であっても2種以上の溶剤からなる混合溶
液であっても使用することができる。
【0039】また、上記表面処理剤は、大別して含水系
の表面処理剤と非水系の表面処理剤とに分類できる。こ
こで、含水系の表面処理剤としては、上記化学式(A)
のXがアルコキシル基、ヒドロキシル基である表面処
理剤用化合物(その量は0.05〜20%が好まし
い。)、酸(その量は0.0005〜1%が好まし
い。)、水(その量は5%以下の割合が好ましい。)及
び有機溶剤を含む組成物が好ましい。このとき、上記表
面処理剤(直鎖状シリコーン化合物)の量が0.05%
未満では、基材上に導入されるシリコーン化合物の量が
少な過ぎて、十分な撥水性、水滴除去性及び水滴移動性
が得にくくなり、20%を超えるときは基材上への塗布
時に凝集し易く均一な導入が困難となり、同様の上記性
能が得にくくなる。良質な撥水性、水滴除去性及び水滴
移動性を発現させ、塗膜自体に良好な透明性を保持させ
るためには直鎖状シリコーン化合物の量は、表面処理剤
中に0.5〜5%含まれることがより好ましい。
【0040】また、表面処理剤中に酸及び水を含ませる
ことで、シロキサン結合の基となるシラノール基を生成
する加水分解を促進できる。特に、酸は触媒の役割を果
たし加水分解反応を促進できるので有効であり、種々の
酸を適宜選択できる。例えば、塩酸、硝酸、硫酸などの
無機酸や、酢酸、ギ酸、スルホン酸、メタンスルホン酸
などの有機酸を挙げることができる。
【0041】更に、上記含水系の表面処理剤を用いると
きは、上記化学式(A)のRは、炭素数10以下のア
ルキル基又は炭素数10以下のフルオロアルキル基であ
ることが望ましく、このときは優れた水滴除去性及び水
滴移動性を有する機能層を形成し易い。また、加水分解
性基Xは、メトキシ基又はエトキシ基などであること
が望ましく、このときは基材と強固に結合することで耐
久性に優れた機能層を形成し易い。更に、ジメチルシロ
キサンの重合度nは、シリコーン化合物により基材表面
を十分に被覆させ良好な撥水性、水滴除去性及び水滴移
動性を確保する観点から下限は9以上であることが望ま
しく、原料の粘度を小さく抑えて扱い易くする観点から
上限は60程度までとすることが望ましい。
【0042】更にまた、上記含水系の表面処理剤に含ま
せる有機溶剤量は、次式
【0043】(アルキルシラン化合物とフルオロアルキ
ルシラン化合物との総質量)/(表面処理剤の総質量)
【0044】から求まる値が、0.0005〜0.2と
なるように使用することが望ましく、所望の層厚及び塗
布方法を考慮して適宜調整することがよい。なお、含水
系の表面処理剤用化合物の調整を行う際は、上記シリコ
ーン化合物、酸、水及び有機溶剤の混合を促進でき、加
水分解の進行を補助でき、均一な表面処理剤が得られる
ため攪拌することが望ましい。
【0045】一方、上記非水系の表面処理剤としては、
上記化学式(A)のXがハロゲン原子又はイソシアネ
ート基である表面処理剤用化合物(その量は0.05〜
20%が好ましい。)、及び有機溶剤を含む組成物が好
ましい。上記表面処理剤用化合物(直鎖状シリコーン化
合物)の量が0.05%未満では基材上に導入されるシ
リコーン化合物の量が少な過ぎて、十分な撥水性、水滴
除去性及び水滴移動性が得られないことがあり、20%
を超えるときは基材への塗布時に凝集し易く均一な導入
が困難となり、同様に上記性能が得られないことがあ
る。
【0046】また、非水系の表面処理剤における化学式
(A)のRは、炭素数1のアルキル基又は炭素数8の
フルオロアルキル基であるのが原料の入手が容易であり
好ましい。更に、加水分解性基Xは、塩素原子である
ことが望ましく、このときは基材との強固な結合を実現
し易い。更にまた、ジメチルシロキサンの重合度nは、
直鎖状シリコーン化合物により基材上を十分に被覆させ
良好な撥水性、水滴除去性及び水滴移動性を確保する観
点から9以上であることが望ましく、原料の粘度を小さ
く抑えて扱い易くする観点から60程度までとすること
が望ましい。
【0047】本発明の表面処理剤は、加水分解性基を有
するアルキルシラン化合物、及び/又は加水分解性基を
有するフルオロアルキルシラン化合物を更に含有するこ
とが好ましい。具体的には、該加水分解性基としてアル
コキシシリル基又はヒドロキシシリル基を有するアルキ
ルシラン化合物、及び/又は加水分解性基としてアルコ
キシシリル基又はヒドロキシシリル基を有するフルオロ
アルキルシラン化合物を更に含有する組成物や、加水分
解性基としてハロゲン化シリル基(Si−F、Si−C
l、Si−Br又はSi−Iなど)、アシロキシシリル
基又はイソシアネートシリル基を有するアルキルシラン
化合物、及び/又は加水分解性基としてハロゲン化シリ
ル基、アシロキシシリル基又はイソシアネートシリル基
を有するフルオロアルキルシラン化合物を更に含有する
組成物が好ましい。
【0048】上記直鎖状シリコーン化合物と上記アルキ
ルシラン化合物及び/又は上記フルオロアルキルシラン
化合物の総質量が処理剤質量の0.05〜20%である
ことが好ましい。該総量が0.05%未満では基材上に
導入される上記直鎖状シリコーン化合物とアルキルシラ
ン化合物及び/又はフルオロアルキルシラン化合物の量
が少な過ぎて十分な撥水性、水滴除去性及び水滴移動性
が得られないことがある。20%を超えると基材への塗
布時に凝集し易く、均一な導入が困難となり、同様に上
記性能が得られないことがある。
【0049】かかるアルキルシラン化合物としては、例
えばCHSiCl(商品名:TSL8033、GE
東芝シリコーン(株)製)、CSiCl(商品
名:TSL8226、GE東芝シリコーン(株)製)、
及び(CHSiCl(商品名:TSL8031、
GE東芝シリコーン(株)製)など用いることができ
る。また、かかるフルオロアルキルシラン化合物として
は、例えばCFCHCHSiCl(商品名:T
SL8261、GE東芝シリコーン(株)製)、CF
(CFCHCHSiCl(商品名:TSL
8256、GE東芝シリコーン(株)製)、CF(C
CHCHSiCl(商品名:TSL82
32、GE東芝シリコーン(株)製)、及びCF(C
CH CHSiCHCl(商品名:TS
L8229、GE東芝シリコーン(株)製)などを用い
ることができる。
【0050】また、非水系の表面処理剤に含有する上記
有機溶剤量は、含水系の表面処理剤と同様に、上記式
から求まる値が、0.0005〜0.2となるように使
用することが望ましく、所望の層厚及び塗布方法を考慮
して適宜調整することがよい。本発明の表面処理剤に
は、更に各種添加剤を添加することができる。例えば、
各種金属酸化物、各種樹脂、染料、顔料、紫外線吸収剤
又は酸化防止剤などを添加することができる。
【0051】上述のように、上記表面処理剤が上記アル
キルシラン化合物及び/又はフルオロアルキルシラン化
合物を含有する場合は、上記直鎖状シリコーン化合物を
単独で用いるときよりも撥水性が向上し易い。但し、上
記シラン化合物は、次の式
【0052】(アルキルシラン化合物とフルオロアルキ
ルシラン化合物との総質量)/(アルキルシラン化合物
とフルオロアルキルシラン化合物と直鎖状シリコーン化
合物との総質量)…
【0053】から求まる値が、0.7以下となる範囲の
含有量で添加するのが好ましい。該値が0.7を超える
と過剰となり水滴除去性及び水滴移動性が低下すること
がある。更に、フルオロアルキルシランを添加した場合
は、フルオロアルキルシラン化合物を添加しない場合と
比較して、同一処理面内での水滴除去性及び水滴移動性
における均一さに劣る傾向が見られる。
【0054】また、上記アルキルシラン化合物及び/又
はフルオロアルキルシラン化合物は、分子末端に加水分
解性基を有する化合物を採用することが望ましく、これ
より表面処理剤と基材表面とをより強固に結合できる。
例えば、片末端に加水分解可能な官能基を有するアルキ
ルシラン化合物、及び片末端に加水分解可能な官能基を
有するフルオロアルキルシラン化合物、又はこれらを任
意に組合せた化合物を採用できる。
【0055】更に、かかるアルキルシラン化合物やフル
オロアルキルシラン化合物が有する加水分解性基は、ア
ルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シ
リル基又はイソシアネートシリル基、及びこれらの任意
の組合せにかかる官能基であることが性能向上の面から
好ましい。
【0056】本発明の化学式(A)で表される直鎖状シ
リコーン化合物は直鎖状構造であり、且つ片末端に加水
分解性基を有する。加水分解性基を有しジメチルシロキ
サン鎖が枝分かれした分枝状のシリコーン化合物や、直
鎖ではあるが両末端に加水分解性基を有する両末端官能
性直鎖状シリコーン化合物を用いた場合には、撥水性は
良好であるが十分な水滴除去性や水滴移動性が得られな
いためである。この原因は明らかではないが、分岐状シ
リコーン化合物を用いた場合には、加水分解性基の周囲
が嵩高いシロキサン鎖に囲まれているため、基材に十分
な量のシリコーン化合物が導入されないためと推察でき
る。
【0057】次に、本発明の機能性ガラスについて詳細
に説明する。かかる機能性ガラスは、ガラス質基材表面
に水滴除去性・水滴移動性を有する機能層を形成して成
り、上記機能層は上記表面処理剤から形成される。
【0058】また、上記表面処理剤により基材上に形成
される機能層は、5〜30°の水滴滑落角度、及び1m
m/s以上の水滴滑落速度を有することが好ましい。水
滴滑落速度がこのような範囲にないときは、特に小さな
水滴の排除が困難となり、快適な視野が得られないこと
がある。
【0059】上記水滴滑落速度は、傾斜角を水平面から
30°とした基材表面にある10μlの水滴を用いて測
定でき、機能層における水滴移動性の判断に用いられ
る。上記水滴接触角は、機能層における撥水性の判断に
用いられる。かかる水滴接触角は100°以上であるこ
とが望ましい。また、透明性も優れた機能層を得るに
は、JIS R3212に従い測定した場合のヘイズ値
(曇価)が4%以下であることが望ましい。
【0060】本発明の機能性ガラスでは、機能層と上記
ガラス質基材とが、主として上述の官能基Xや、シラ
ン化合物の加水分解を経て形成されるシロキサン結合を
介して化学的に結合している。かかるシロキサン結合を
できるだけ多く形成させることで機能層とガラス質基材
とを強固に結合させることができ、機能性ガラスの耐久
性などを向上できる。
【0061】また、上記シロキサン結合をより多く形成
させるには、機能層を形成する化合物がシロキサン結合
の基となるシラノール基を形成できることが望ましい。
このため、上記化学式(A)の加水分解性基Xは、ア
ルコキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又はイソ
シアネート基、及びこれらの任意の組合せにかかる加水
分解性基であることが好ましい。
【0062】更に、本発明の機能性ガラスにおいては、
上記ガラス質基材表面と上記機能層との間に、加水分解
性基を有するケイ素化合物の加水分解生成物を含有する
下地層を配設することができる。また、かかるケイ素化
合物は、室温近傍で加水分解により薄膜を形成できるも
のであることが好ましい。また、該ケイ素化合物は、化
学式(A)で表される直鎖状シリコーン化合物以外の化
合物である。上記下地層の配設により、機能層(直鎖状
シリコーン化合物など)のガラス質基材表面への反応サ
イトを増大でき、機能層の耐久性を向上させる面から有
効である。なお、下地層は基材表面の全体に亘って設け
られることが望ましい。
【0063】更にまた、上記下地層を形成し得るケイ素
化合物は、次の化学式(B)
【0064】Si(NCO)4−x…(B)
【0065】(式中のxは0又は1、Rはメチル基を示
す)で表されるイソシアネートシラン化合物を含有する
ことが好ましい。
【0066】また、上記イソシアネートシラン化合物
は、室温近傍でも加水分解を介して薄膜を形成すること
が可能であり、特に、視界確保や機械的強度の点から被
覆厚が薄いことが望まれる自動車用窓ガラスなどへの使
用が有効である。更に、上記イソシアネートシラン化合
物は、水分との反応性が高く、この特色を生かして大気
中、室温程度の条件下で所望のシリカ膜を容易に形成で
きるので、設備の有無、作業時間及び作業の難易度など
の面からも大変有効である。
【0067】また、上記化学式(B)のxは0又は1で
あることが好ましく、このときはSiにイソシアネート
基が3以上結合しているので、網目構造を形成できる。
更に、xが1である場合、Rはメチル基であることが、
市場での入手が容易で安価となるので好ましい。
【0068】化学式(B)で表されるケイ素化合物とし
ては、特に、室温にて固い薄膜を形成可能なテトライソ
シアネートシランを用いることが好適である。このとき
下地層の塗布溶液を調整するための溶剤としては、テト
ライソシアネートシランが凝集しない溶剤であればよ
く、例えばエステル、ケトン類、エーテル類、芳香族炭
化水素類又はこれらを任意に組合せた溶剤を適宜使用で
きる。なお、上記テトライソシアネートシランは表面処
理剤中の固形分濃度が0.05〜20%の範囲内となる
ように溶解することが望ましい。0.05%未満では基
材表面に導入されるテトライソシアネートシランが少な
過ぎるため形成される下地層の層厚に場所むらが生じ易
く、20%を超えると水分と激しく反応するというテト
ライソシアネートシランの性質より、表面処理剤の扱い
が困難となり易い。
【0069】また、上記ガラス質基材としては、表面に
官能基(水酸基、アミノ基及びチオール基など)を有す
る無機ガラスや有機ガラスを挙げることができる。例え
ば、板ガラス材料として広く用いられているソーダライ
ムガラスを用いることも可能である。また、ガラス質基
材は、合わせガラス、強化ガラスなどであってもよく、
更に表面に蒸着法、スパッタリング法及び湿式法などの
各種方法により膜などが形成されていてもよい。なお、
機能層又は下地層の形成前にガラス質基材表面を前処理
することができる。例えば、希釈したフッ酸、硫酸、硝
酸、塩酸などによる酸処理、水酸化ナトリウム水溶液な
どによるアルカリ処理、及びプラズマ照射、コロナ照
射、電子線照射などの前処理は、ガラス質基材表面との
密着性を向上させることができる。
【0070】本発明の機能性ガラスは、優れた撥水性、
水滴除去性及び水滴移動性を有し、例えば、乗り物用ガ
ラス、代表的には自動車用の窓ガラス(フロントウィン
ド、リアウィンド及びサイドウィンド)や鏡(サイドミ
ラーなど)に好適に用いることができる。この場合は水
滴の付着による視認性低下を防止することで雨天時の運
転者の視界を確保して走行運転を容易にし、安全性を向
上することができるので有効である。
【0071】次に、本発明の機能性ガラスの製造方法に
ついて説明する。本発明の機能性ガラスは、上述した本
発明の表面処理剤を上記ガラス質基材表面に塗布して乾
燥させることにより、該基材表面上に機能層を形成して
得られる。
【0072】かかる機能層の形成には、表面処理剤、即
ち上記直鎖状シリコーン化合物やシラン化合物、及び所
要に応じて添加する各種添加剤を、有機溶剤等にて調製
(混合・希釈)した溶液を用いることができる。
【0073】各種添加剤としてはシリカゾルが挙げられ
る。本発明においては、表面処理剤に適量のシリカゲル
を添加して、直鎖状シリコーン化合物のガラス質基材表
面への導入量を増加させることができる。このとき、シ
リカゾルの混合比が直鎖状シリコーン化合物の質量に対
して30%以下となるように添加することが望ましい。
30%を超えると満足できる水滴除去性及び水滴移動性
が得られないことがある。かかるシリカゾルとしては、
シリコンのアルコキシドを加水分解して得られるもので
あれば特に限定されず、例えば、商品名スーパーセラ
(大八化学工業所製)、商品名セラミカ(日板研究所
製)、商品名HAS(コルコート社製)、商品名アトロ
ンSiN−500(日本曹達(株)製)、商品名リクソ
ンコートGCS−D1−0600(チッソ(株)製)、
商品名コルコートP及びコルコート6P(日本コルコー
ト社製)などを使用できる。
【0074】上記シリカゾルを添加する場合は、50℃
以下で攪拌混合することが望ましく、室温近傍で混合攪
拌することがより望ましい。50℃を超えると攪拌中に
凝集物が発生し易く、得られた表面処理剤により形成さ
れる機能層が水滴除去性及び水滴移動性を良好に発揮し
ないことがある。
【0075】また、上記ガラス質基材への表面処理剤の
塗布方法としては、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸
漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布及び手塗りなどの
従来公知の方法を適宜採用することができる。更に、塗
布後の乾燥は、大気中で行うことができ、乾燥温度は機
能層を形成する各化合物の官能基とガラス質基材との化
学結合を促進し、該機能層の性能を維持すべく、10〜
150℃の範囲で行うことが望ましい。10℃未満では
ガラス質基材へのシリコーン化合物の反応速度が小さく
なり、長い反応時間を要することとなったり、十分な撥
水性、水滴除去性及び水滴移動性が得られないことがあ
る。150℃を超えると塗布した表面処理剤の一部など
に変成や熱分解が起こり易く、十分な撥水性、水滴除去
性及び水滴移動性が得られないことがある。更にまた、
機能層の層厚は100nm以下であることが望ましい。
100nmを超えると透明性が低下するとともに機能層
の機械的強度が低下することがある。また、層厚の下限
は単分子膜厚とすることができる。
【0076】また、本発明の他の機能性ガラスは、上記
薄膜を形成し得るケイ素化合物を上記ガラス質基材表面
に塗布し、室温近傍で乾燥させて加水分解及び/又は重
縮合反応を起こして上記下地層を形成し、この下地層
に、上述の表面処理剤を塗布して乾燥することで得られ
る。
【0077】上記加水分解反応や重縮合反応が不足する
と、ガラス質基材表面への密着性が不十分となることが
ある。かかる下地層の形成は、大気中で行うことがで
き、塗布後の乾燥は10〜600℃で行うことが望まし
い。この範囲外では、上記加水分解反応や重縮合反応が
進みすぎて下地層表面にあるシラノール基同士がシロキ
サン結合を形成するおそれがある。また、上記下地層の
塗布方法や層厚などは上記機能層と同様の理由より同様
とすることが望ましい。
【0078】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0079】[評価試験]実施例及び比較例で得られた
機能性ガラスを用いて、以下(1)〜(3)の評価試験
を、初期品、経時後(4)及び耐久後(5)のそれぞれ
の段階で行った。なお、表3では、総合判断として9項
目全部が◎又は○であるものを、必要な性能を有し効果
がある(OK)と判断し、1つでも×があるものを、必
要な性能を有さず効果なし(NG)と判断している。
【0080】(1)接触角測定(撥水性) 水平に保持した機能性ガラスの被処理面上に約3μlの
水を滴下し、形成された水滴の接触角を接触角計(協和
界面科学社製)を用いて測定し、撥水性を評価した。な
お、撥水性の評価結果は、表3に示すように、接触角が
90°を超える場合に◎印を記し、それ以外の場合には
×印を記した。また、表4に各例の接触角を示す。
【0081】(2)水滴滑落性(水滴除去性) まず、機能性ガラスを、その被処理面を上にして水平面
に保持した。次に、被処理面上の任意の場所に体積5μ
lの水滴を滴下した。基材をゆっくり傾斜させてゆき、
水滴が移動しはじめたときの傾斜角を水滴滑落角度とし
た。なお、水滴除去性の評価結果は、表3に示すよう
に、水滴滑落角度が20°以下である場合に◎印を記
し、20°超えるが30°未満である場合に○印を記
し、それ以外の場合には×印を記した。また、表4に各
例の水滴滑落角度を示す。
【0082】(3)水滴滑落速度 まず、機能性ガラスをその被処理面を上にして水平面よ
り30°傾斜させて保持した。次に、被処理面上の任意
の場所に体積10μlの水滴を滴下した。ここで、被処
理面の水滴移動性が優れている場合には、水滴はある程
度まで加速した後に一定の終端速度をもって滑落する。
このときの水滴の規定区間内における平均速度を以下
「滑落速度」とする。水滴が20mm移動するのに要す
る時間Tを測定し、水滴滑落速度は次式、 速度(mm/sec)=移動距離(20mm)/所要時間(sec)… より算出した。なお、水滴移動性の評価結果は、表3に
示すように、水滴滑落速度が10mm/s以上である場
合に◎印を記し、5mm/s以上10mm/s未満の場
合に○印を記し、それ以外の場合には×印を記した。ま
た、表4に各例の水滴滑落速度を示す。
【0083】(4)経時安定性試験 基材試作後5〜10日経過した時点で上記評価(1)〜
(3)を再度実施し、基材の撥水性、水滴除去性及び水
滴移動性の維持性を評価した。
【0084】(5)劣化試験(水拭き試験) 水を含ませた綿布を表面処理剤の被処理面に押し当て軽
く100回擦った後に、撥水性の維持性については水滴
接触角で評価し、水滴除去性の維持性については水滴移
動速度で評価した。なお、劣化試験においては綿布(A
SAHI CHEMICAL製、BEMCOT M−
3:サイズ250×250)を16重に折り曲げて幅約
60mm×長さ約60mmの短冊状としてから、更に半
分に折り曲げたときの曲げた部分(幅約60mm)を試
験片の処理面に押し当てて試験片の面に沿って綿布を往
復運動させて擦った。押し当て力は約1Nになるように
し、また、本試験中、綿布は常に純水で濡れている状態
に保った。
【0085】(実施例1)酢酸n−ブチル98.0gに
Si(NCO)2.0gを加え、室温下で10分間攪
拌することで、下地処理剤1−1を得た。イソプロピル
アルコール78.0gに0.3%硝酸水溶液1.6gを
加えてよく攪拌した後、これに以下1A(上記(A)式
において、RがCH、XがOCH、nが46、
pが2、rが0で表される化合物である)
【0086】 (CHSi(OSi(CH46OSi(CHSi (OCH…1A
【0087】で表される化合物を2.0g加え、10分
間攪拌混合し、更に予めシリカゾル(商品名:リクソン
コートCGS−D1−0600、チッソ(株)製)を重
量比でイソプロピルアルコールにて60倍に希釈した液
20.0gを加えて、室温下で10分間攪拌混合し、表
面処理剤1−2を得た。このとき、表面処理剤1−2の
原料はシリコーン化合物2.0%、硝酸0.005%、
水1.6%、シリカゾル0.02%(シリコーン化合物
質量比1%)、及び残部がイソプロピルアルコールから
成る組成であった。予めアルカリ洗浄液に一昼夜室温に
て放置乾燥後、イソプロピルアルコールを含ませた綿布
を用いて余剰分を拭取ることで機能性ガラス1を得た。
この機能性ガラス1における表面処理剤及び下地層の組
成を表1及び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0088】(実施例2)化合物1Aの代わりに、以下
の2A(上記(A)式において、RがCF(C
(CH、XがOCH、nが62、p
が2、rが0で表される化合物である)
【0089】 CF(CF(CHSi(CH(OSi(CH62 OSi(CHSi(OCH…2A
【0090】で表される化合物を用いた以外は、実施例
1と同様の操作を繰返して、機能性ガラス2を得た。こ
のとき、表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0
%、硝酸0.005%、水1.6%、シリカゾル0.0
2%(シリコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソ
プロピルアルコールから成る組成であった。この機能性
ガラス2における表面処理剤及び下地層の組成を表1及
び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0091】(実施例3)化合物1Aの代わりに、以下
の3A(上記(A)式において、RがCH(C
、XがOCH、nが58、pが2、rが0
で表される化合物である)
【0092】 CH(CHSi(CH(OSi(CH58OSi(CH Si(OCH…3A
【0093】で表される化合物を用いた以外は、実施例
1と同様の操作を繰返して、機能性ガラス3を得た。こ
のとき、表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0
%、硝酸0.005%、水1.6%、シリカゾル0.0
2%(シリコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソ
プロピルアルコールから成る組成であった。この機能性
ガラス3における表面処理剤及び下地層の組成を表1及
び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0094】(実施例4)化合物1A2.0gの代わり
に、化合物1A1.0gと化合物2A1.0gを用いた
以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、機能性ガラ
ス4を得た。このとき、表面処理剤の原料はシリコーン
化合物2.0%、硝酸0.005%、水1.6%、シリ
カゾル0.02%(シリコーン化合物質量比1%)、及
び残部がイソプロピルアルコールから成る組成であっ
た。この機能性ガラス4における表面処理剤及び下地層
の組成を表1及び表2に、評価結果を表3及び表4に示
す。
【0095】(実施例5)化合物1A2.0gの代わり
に、化合物2A1.0gと化合物3A1.0gを用いた
以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、機能性ガラ
ス5を得た。このとき、表面処理剤の原料はシリコーン
化合物2.0%、硝酸0.005%、水1.6%、シリ
カゾル0.02%(シリコーン化合物質量比1%)、及
び残部がイソプロピルアルコールから成る組成であっ
た。この機能性ガラス5における表面処理剤及び下地層
の組成を表1及び表2に、評価結果を表3及び表4に示
す。
【0096】(実施例6)化合物1A2.0gの代わり
に、化合物1A1.0gと化合物3A1.0gを用いた
以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、機能性ガラ
ス6を得た。このとき、表面処理剤の原料はシリコーン
化合物2.0%、硝酸0.005%、水1.6%、シリ
カゾル0.02%(シリコーン化合物質量比1%)、及
び残部がイソプロピルアルコールから成る組成であっ
た。この機能性ガラス6における表面処理剤及び下地層
の組成を表1及び表2に、評価結果を表3及び表4に示
す。
【0097】(実施例7)化合物1A2.0gの代わり
に、化合物1A0.67g、化合物2A0.67g及び
化合物3A0.67gを用いた以外は、実施例1と同様
の操作を繰返して、機能性ガラス7を得た。このとき、
表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0%、硝酸
0.005%、水1.6%、シリカゾル0.02%(シ
リコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソプロピル
アルコールから成る組成であった。この機能性ガラス7
における表面処理剤及び下地層の組成を表1及び表2
に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0098】(実施例8)化合物1A2.0gの代わり
に、化合物1A0.8gと以下の8A
【0099】 CF(CF(CHSi(OCH…8A
【0100】で表されるフルオロアルキルシラン化合物
(商品名 TSL8233:東芝シリコーン(株)製)
1.2gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰返
して、機能性ガラス8を得た。このとき、表面処理剤の
原料はシリコーン化合物2.0%、硝酸0.005%、
水1.6%、シリカゾル0.02%(シリコーン化合物
質量比1%)、及び残部がイソプロピルアルコールから
成る組成であった。この機能性ガラス8における表面処
理剤及び下地層の組成を表1及び表2に、評価結果を表
3及び表4に示す。
【0101】(実施例9)化合物1A2.0gの代わり
に、化合物1A0.8gと以下の9A
【0102】 CH(CHSi(OCH…9A
【0103】で表されるアルキルシラン化合物(商品名
TSL8241:東芝シリコーン(株)製)1.2g
を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、機
能性ガラス9を得た。このとき、表面処理剤の原料はシ
リコーン化合物2.0%、硝酸0.005%、水1.6
%、シリカゾル0.02%(シリコーン化合物質量比1
%)、及び残部がイソプロピルアルコールから成る組成
であった。この機能性ガラス9における表面処理剤及び
下地層の組成を表1及び表2に、評価結果を表3及び表
4に示す。
【0104】(実施例10)化合物1A2.0gの代わ
りに、化合物1A1.6g、化合物8A0.2g及び化
合物9A0.2gを用いた以外は、実施例1と同様の操
作を繰返して、機能性ガラス10を得た。このとき、表
面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0%、硝酸0.
005%、水1.6%、シリカゾル0.02%(シリコ
ーン化合物質量比1%)、及び残部がイソプロピルアル
コールから成る組成であった。この機能性ガラス10に
おける表面処理剤及び下地層の組成を表1及び表2に、
評価結果を表3及び表4に示す。
【0105】(実施例11)化合物1A2.0gの代わ
りに、化合物1A1.2g、化合物8A0.4g及び化
合物9A0.4gを用いた以外は、実施例1と同様の操
作を繰返して、機能性ガラス11を得た。このとき、表
面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0%、硝酸0.
005%、水1.6%、シリカゾル0.02%(シリコ
ーン化合物質量比1%)、及び残部がイソプロピルアル
コールから成る組成であった。この機能性ガラス11に
おける表面処理剤及び下地層の組成を表1及び表2に、
評価結果を表3及び表4に示す。
【0106】(実施例12)化合物1Aの代わりに、以
下の12A
【0107】 (CHSi(OSi(CH32OSi(CHSi (OCH…12A
【0108】で表される化合物を用いた以外は、実施例
1と同様の操作を繰返して、機能性ガラス12を得た。
このとき、表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0
%、硝酸0.005%、水1.6%、シリカゾル0.0
2%(シリコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソ
プロピルアルコールから成る組成であった。この機能性
ガラス12における表面処理剤及び下地層の組成を表1
及び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0109】(実施例13)化合物1Aの代わりに、以
下の13A
【0110】 (CHSi(OSi(CH10OSi(CHSi (OCH…13A
【0111】で表される化合物を用いた以外は、実施例
1と同様の操作を繰返して、機能性ガラス13を得た。
このとき、表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0
%、硝酸0.005%、水1.6%、シリカゾル0.0
2%(シリコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソ
プロピルアルコールから成る組成であった。この機能性
ガラス13における表面処理剤及び下地層の組成を表1
及び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0112】(実施例14)化合物1Aの代わりに、以
下の14A
【0113】 (CHSi(OSi(CH52OSi(CHSi (OC…14A
【0114】で表される化合物を用いた以外は、実施例
1と同様の操作を繰返して、機能性ガラス14を得た。
このとき、表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0
%、硝酸0.005%、水1.6%、シリカゾル0.0
2%(シリコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソ
プロピルアルコールから成る組成であった。この機能性
ガラス14における表面処理剤及び下地層の組成を表1
及び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0115】(実施例15) 酢酸n−ブチル98.0gに、以下の15A
【0116】 (CHSi(OSi(CH32OSi(CHSi Cl…15A
【0117】で表される化合物2.0gを加え、10分
間攪拌混合し、表面処理剤15−2を得た。このとき、
表面処理剤15−2の原料はシリコーン化合物2.0
%、残部がイソプロピルアルコール、シリカゾル添加な
しという組成であった。基材にあらかじめ下地処理剤1
−1を塗布しないこと、表面処理剤1−2の代わりに上
記表面処理剤15−2を用いたこと以外は実施例1と同
様の操作を繰返して、機能性ガラス15を得た。この機
能性ガラスにおける表面処理剤及び下地層の組成を表1
及び表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0118】(実施例16)イソプロピルアルコール9
8.0gに0.3%硝酸水溶液1.6gを加えてよく攪
拌した後、これに化合物1A2.0gを加え、10分間
攪拌混合し、表面処理剤16−2を得た。このとき、表
面処理剤16−2の原料はシリコーン化合物2.0%、
硝酸0.005%、水1.6%、シリカゾル添加なし、
及び残部がイソプロピルアルコールから成る組成であっ
た。表面処理剤1−2の代わりに上記表面処理剤16−
2を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を繰返し
て、機能性ガラス16を得た。この機能性ガラス16に
おける表面処理剤及び下地層の組成を表1及び表2に、
評価結果を表3及び表4に示す。
【0119】(実施例17)まず、酢酸n−ブチル9
8.0gに、Si(NCO)1.9g及びCHSi
(NCO)0.1gを加え、室温下で10分間攪拌し
下地処理剤17−1を得た。表面処理剤1−1の代わり
に上記下地処理剤17−1を用いた以外は実施例1と同
様の操作を繰返して、機能性ガラス17を得た。このと
き、表面処理剤の原料はシリコーン化合物2.0%、硝
酸0.005%、水1.6%、シリカゾル0.02%
(シリコーン化合物質量比1%)、及び残部がイソプロ
ピルアルコールから成る組成であった。この機能性ガラ
ス17における表面処理剤及び下地層の組成を表1及び
表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0120】(比較例1) イソプロピルアルコール80gに以下のX1A
【0121】
【化4】
【0122】で表される化合物(商品名:サイラプレー
ンFM−0521、チッソ(株)製、数平均分子量Mn
=5000)19.3gを加えて攪拌混合後、更に以下
のX1B
【0123】 HN(CHSi(OCH…X1B
【0124】で表される化合物(商品名:KBM−90
3、信越化学工業(株)製)0.7gを加えて室温にて
一昼夜攪拌して組成物X1−3を得た。次に、イソプロ
ピルアルコール70.0gに0.3%硝酸水溶液1.6
gを加えてよく攪拌した後、これに組成物X1−3を1
0g加え、10分間攪拌混合し、更に、あらかじめシリ
カゾル(商品名:リクソンコートCGS−D1−060
0、チッソ(株)製)を重量比でイソプロピルアルコー
ルにて60倍に希釈した溶液20.0gを加えて、室温
下で10分間攪拌混合し、表面処理剤X1−2を得た。
表面処理基剤1−2の代わりに、上記表面処理基剤X
1−2を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰返し
て、機能性ガラスX1を得た。この機能性ガラスX1に
おける表面処理剤及び下地層の組成を表1及び表2に、
評価結果を表3及び表4に示す。
【0125】(比較例2) 化合物X1A19.3gの代わりに、以下のX2A
【0126】
【化5】
【0127】で表される化合物(商品名:サイラプレー
ンFM−5521、チッソ(株)製、数平均分子量Mn
=5000)18.7gと化合物X1B1.3gを用い
た以外は、比較例1と同様の操作を繰返して、機能性ガ
ラスX2を得た。この機能性ガラスX2における表面処
理剤及び下地層の組成を表1及び表2に、評価結果を表
3及び表4に示す。
【0128】(比較例3)化合物1Aの代わりに、以下
のX3A
【0129】 (CHSiO−A−B−C−Si(CH…X3A
【0130】(式中のA、B及びCは以下の各化学式
【0131】
【化6】
【0132】で表されるシロキサン単位を示し、本物質
はランダム重合体であり、構造単位A、B及びCの異な
る分子の混合物、重合度a、b及びcの平均値はそれぞ
れ1、50及び1を示す)で表される化合物を用いた以
外は、実施例1と同様の操作を繰返して、機能性ガラス
X3を得た。この機能性ガラスX3における表面処理剤
及び下地層の組成を表1及び表2に、評価結果を表3及
び表4に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】表3及び表4に示すように、実施例1〜1
7で得られた機能性ガラスは、本発明の好適範囲内であ
り、初期、経時後及び劣化試験後における撥水性、水滴
除去性及び水滴移動性が良好である。一方、比較例1〜
3で得られた機能性ガラスは、撥水性はよいが、特に経
時後や劣化試験後に水滴除去性及び水滴移動性が著しく
低下することがわかる。
【0138】以上、本発明を好適実施例及び比較例によ
り詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の
変形が可能である。例えば、本発明が対象とする基材
は、ガラス板などの板状のものに限定されるものではな
く、湾曲していたり、多少の凹凸を有するものであって
もよい。また、本発明の表面処理剤を適用すべき部分
は、いわゆる表面のみならず裏面や側面であってもよ
い。更に、本発明の表面処理剤は、移動手段に限られ
ず、風がよく当たる固定物のガラス(例えば、のぞき窓
等)などにも用いることができる。更にまた、本発明の
表面処理剤は、基材表面に被覆して用いるのみならず、
基材表面に形成する保護膜等(例えば、Si(NCO)
など)に被覆して用いることもできる。
【0139】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、所定の直鎖状シリコーンやその加水分解生成物を用
いることにより、基材上に優れた撥水性、水滴除去性及
び水滴移動性を付与し、視界確保性を長時間維持できる
表面処理剤用化合物、表面処理剤、機能性ガラス及びそ
の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱野 直 神奈川県愛甲郡愛川町角田字小沢上原426 番1 旭硝子株式会社内 (72)発明者 田湯 哲朗 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 甲斐 康朗 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 菅原 聡子 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4G059 AA01 AB01 AB09 AB11 AB13 AC22 FA05 FA22 FB05 4H020 BA36 4H049 VN01 VP10 VQ44 VQ78 VR22 VR23 VR24 VR41 VR42 VU21 4J035 BA02 CA01N CA052 CA062 CA152 CA162 CA212 LA03 LB07 LB20

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に水滴除去性・水滴移動性を有す
    る機能層を形成する表面処理剤用化合物であって、 次の化学式(A) 【化1】 (式中のRは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数
    1〜20のフルオロアルキル基、Rはメチル基、X
    は加水分解性基、nは0又は自然数、pは2又は3、q
    は1又は2、rは0〜2の整数を示す)で表される少な
    くとも1種の直鎖状シリコーン化合物及び/又はその加
    水分解生成物であることを特徴とする表面処理剤用化合
    物。
  2. 【請求項2】 上記化学式(A)におけるnが、0、1
    又は2であることを特徴とする請求項1記載の表面処理
    剤用化合物。
  3. 【請求項3】 上記化学式(A)におけるnが、3〜1
    00の整数であることを特徴とする請求項1記載の表面
    処理剤用化合物。
  4. 【請求項4】 上記化学式(A)のXが、アルコキシ
    ル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又はイソシアネー
    ト基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    つの項に記載の表面処理剤用化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載
    の表面処理剤用化合物と、有機溶剤とを含んで成ること
    を特徴とする表面処理剤。
  6. 【請求項6】 上記化学式(A)のXが、アルコキシ
    ル基、ヒドロキシル基である上記表面処理剤用化合物、
    酸及び水を含むことを特徴とする請求項5記載の表面処
    理剤。
  7. 【請求項7】 上記化学式(A)のXが、ハロゲン原
    子又はイソシアネート基である上記表面処理剤用化合物
    を含むことを特徴とする請求項5記載の表面処理剤。
  8. 【請求項8】 更に加水分解性基を有するアルキルシラ
    ン化合物、及び/又は加水分解性基を有するフルオロア
    ルキルシラン化合物を含有することを特徴とする請求項
    5〜7のいずれか1つの項に記載の表面処理剤。
  9. 【請求項9】 ガラス質基材上に、請求項5〜8のいず
    れか1つの項に記載の表面処理剤から形成される機能層
    を有することを特徴とする機能性ガラス。
  10. 【請求項10】 上記機能層が、5〜30°の水滴滑落
    角度、及び1mm/s以上の水滴滑落速度を有すること
    を特徴とする請求項9記載の機能性ガラス。
  11. 【請求項11】 ガラス質基材がソーダライムガラスで
    あることを特徴とする請求項9又は10記載の機能性ガ
    ラス。
  12. 【請求項12】 ガラス質基材表面と上記機能層との間
    に、室温近傍で加水分解されて薄膜を形成し得る加水分
    解性基を有するケイ素化合物(但し、上記化学式(A)
    で表される直鎖状シリコーン化合物を除く。)の加水分
    解生成物から形成される下地層を配設して成ることを特
    徴とする請求項9〜11のいずれか1つの項に記載の機
    能性ガラス。
  13. 【請求項13】 上記加水分解性基を有するケイ素化合
    物が、次の化学式(B) Si(NCO)4−x…(B) (式中のxは0又は1、Rはメチル基を示す)で表され
    るイソシアネートシラン化合物であることを特徴とする
    請求項12記載の機能性ガラス。
  14. 【請求項14】 請求項9〜13のいずれか1つの項に
    記載の機能性ガラスを用いて成ることを特徴とする自動
    車用窓ガラス。
  15. 【請求項15】 請求項5〜8のいずれか1つの項に記
    載の表面処理剤を、ガラス質基材上に塗布して乾燥させ
    ることを特徴とする機能性ガラスの製造方法。
  16. 【請求項16】 室温近傍で加水分解されて薄膜を形成
    し得る加水分解性基を有するケイ素化合物(但し、上記
    化学式(A)で表される直鎖状シリコーン化合物を除
    く。)をガラス質基材上に塗布し、次に室温近傍で乾燥
    させて加水分解及び/又は重縮合反応を起こして下地層
    を形成し、 次いで、この下地層上に、請求項5〜8のいずれか1つ
    の項に記載の表面処理剤を塗布して乾燥させることを特
    徴とする機能性ガラスの製造方法。
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