JP2017201011A - 化合物、及び化合物を含む組成物 - Google Patents

化合物、及び化合物を含む組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、撥水性、液滴の滑り性及び基板密着性を両立できる皮膜を形成可能な化合物の提供を課題とする。
【解決手段】本発明のシランイソシアネート化合物では、アルキル基の炭素数が1〜4であるトリアルキルシリルオキシ基と、イソシアナト基結合ケイ素原子とがポリシリルオキシ基で連結されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種基材に撥水性を付与できる皮膜を形成するための化合物及び該化合物を含む組成物に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れや腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められている。
こうした皮膜として、特許文献1には表面処理剤として(CH33SiO−(Si(CH32O)46−Si(CH32−(CH22−Si(NCO)3、(CH33SiO−(Si(CH32O)10−Si(CH32−(CH22−Si(NCO)3等を用いて形成される表面処理層が提案されている。
特開2002−166506号公報
従来から知られる皮膜は、基板密着性が十分でない場合があった。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撥水性、液滴の滑り性及び基板密着性を両立できる皮膜を形成可能な化合物の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討する中で、中心ケイ素原子にイソシアナト基と特定の基が結合した化合物を用いると、撥水性、液滴の滑り性及び基板密着性を両立できる皮膜を形成可能となることを見出した。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]アルキル基の炭素数が1〜4であるトリアルキルシリルオキシ基と、イソシアナト基結合ケイ素原子とがポリシリルオキシ基で連結されたシランイソシアネート化合物。
[2]式(I)で表される[1]記載のシランイソシアネート化合物。
Figure 2017201011
[式(I)中、Rs1は、炭素数1〜4の炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs2及びRs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。
s1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
n1は、1以上の整数を表す。
p1及びp2は、それぞれ独立に、1〜3であり、その合計は4以下である。]
[3]Rs1が(Rs33SiO−を表す[2]に記載のシランイソシアネート化合物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のシランイソシアネート化合物及び溶剤を含むコーティング組成物。
[5]さらに、少なくとも1つの加水分解性基が中心金属原子に結合している金属化合物を含む[4]に記載のコーティング組成物。
[6]式(I−X1)で表される化合物と式(I−X2)で表される化合物とを反応させることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物の製造方法。
Figure 2017201011
[式(I−X1)中、
s1は、炭素数1〜4の炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs2及びRs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。
n1は、1以上の整数を表す。
式(I−X2)中、
s1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基、又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
p3は、2〜4の整数を表す。]
本発明のシランイソシアネート化合物(a)は、トリアルキルシリルオキシ基とイソシアナト基結合ケイ素原子とをポリシリルオキシ基で連結しているため、該シランイソシアネート化合物(a)から形成される撥水皮膜は、撥水性、液滴の滑り性及び基板密着性が良好である。
図1は、ウシオ電機社製「SP−9 250DB」の発光スペクトルを表す。
本発明のシランイソシアネート化合物(a)は、トリアルキルシリル基と、イソシアナト基結合ケイ素原子(シランイソシアネート)とがポリシリルオキシ基で連結されている。このため、該シランイソシアネート化合物(a)は、撥水性、液滴の滑り性及び基板密着性を両立可能な皮膜を形成することができる。特に、本発明のシランイソシアネート化合物(a)において、トリアルキルシリルオキシ基と、イソシアナト基結合ケイ素原子とを結合する分子鎖はポリシリルオキシ基で構成され、炭素−炭素結合が含まれていないため、耐光性が良好な皮膜を形成することができる。
前記トリアルキルシリルオキシ基は、単独で前記ポリシリルオキシ基に結合してもよく、複数が一つのシリルオキシ基に結合することで形成される基(以下、複合基という場合がある)が前記ポリシリルオキシ基に結合してもよい。これら単独のトリアルキルシリル基及び複合基は、式(s1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2017201011
[式(s1)中、Rs1は炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。*はポリシリルオキシ基との結合手を表す。]
s1の炭化水素基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs1が全て炭化水素基である場合、3つのRs1の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
s1の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。複数のRs1は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
前記Rs3のアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。フッ素原子の置換数としては、炭素原子の数をAとしたとき、1以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、2×A+1以下が好ましい。Rs1の炭化水素基又はRs3のアルキル基に含まれる水素原子がフッ素原子に置換される場合、置換されるRs1の炭化水素基又はRs3のアルキル基の数は、Rs1又はRs3が結合するケイ素原子1つあたり1〜3となる範囲で適宜選択できる。
s1が全て炭化水素基(アルキル基)である(Rs13SiO−又は(Rs33SiO−(これらはいずれもトリアルキルシリルオキシ基になる)として、最も好ましくは、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Figure 2017201011
また、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である(Rs13SiO−又は(Rs33SiO−に含まれるRs1又はRs3の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である(Rs13SiO−又は(Rs33SiO−に含まれるRs1又はRs3のうち、少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs1又はRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs1又はRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
また、Rs1の少なくとも1つが(Rs33SiO−(トリアルキルシリルオキシ基)である基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2017201011
前記ポリシリルオキシ基は、直鎖状の2価の基であってもよく、分岐鎖状の3価以上の基であってもよく、ポリジアルキルシロキシ基であるのが好ましい。前記ポリシリルオキシ基は、式(s2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2017201011
[式(s2)中、Rs2は炭素数1〜4のアルキル基を表す。n1は、1以上の整数を表す。左側の*は、式(s1)で表される基との結合手を表し、右側の*はイソシアナト基結合ケイ素原子との結合手を表す。]
前記Rs2のアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
n1は、1〜100であることが好ましく、より好ましくは1〜80、さらに好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜30である。
前記イソシアナト基結合ケイ素原子としては、1つ以上のイソシアナト基を有していればよく、1つのイソシアナト基が結合しているケイ素原子(モノイソシアナトケイ素原子)、2つのイソシアナト基が結合しているケイ素原子(ジイソシアナトケイ素原子)、3つのイソシアナト基が結合しているケイ素原子(トリイソシアナトケイ素原子)のいずれでもよい。モノ又はジイソシアナトケイ素原子の場合、ケイ素原子には、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基、又はシリルオキシ基含有基が結合していてもよく、該炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
この様なイソシアナト基結合ケイ素原子としては、式(s3)で表される基が挙げられる。
Figure 2017201011
[式(s3)中、Xs1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基、又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。p1及びp2は、それぞれ独立に、1〜3であり、その合計は4以下である。*はポリシリルオキシ基との結合手を表す。]
p1は、1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。p2は、1〜3であることが好ましく、より好ましくは2〜3であり、特に好ましくは3である。4−p1−p2は、0〜1であることが好ましく、より好ましくは0である。
前記イソシアナト基以外の加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;アセトキシ基;塩素原子;等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
シランイソシアネート化合物(a)としては、式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017201011
[式(I)中、Rs1は、炭素数1〜4の炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs2及びRs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。Xs1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基、又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。n1は、1以上の整数を表す。p1及びp2は、それぞれ独立に、1〜3であり、その合計は4以下である。]
前記式(I)で表される化合物は、トリアルキルシリルオキシ基として前記式(s1)で表される基を有し、ポリシリルオキシ基として前記式(s2)で表される基を有し、イソシアナト基結合ケイ素原子として前記式(s3)で表される基を有しており、式(I)における(s1)該当部分、(s2)該当部分、及び(s3)該当部分の好ましい態様は、上述の式(s1)、(s2)、及び(s3)と同様である。
前記シリルオキシ基含有基は、シリルオキシ基(−Si−O−)を含有する1価の基であり、式(I)のp1でくくられている構造(以下、「トリアルキルシリルオキシ基含有基」という場合がある)よりも少ない数の原子数で構成されていることが好ましい。
前記シリルオキシ基含有基は、下記式(s4)で表される基であることが好ましい。
Figure 2017201011
[式(s4)中、Rs2は上記と同義である。Rs5は、炭素数1〜4の炭化水素基又はヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。Zs2は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。Ys2は、単結合又は−Ls2−Si(Rs22−を表す。Ls2は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。n2は、0〜5の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
s5の炭化水素基としては、Rs1の炭化水素基と同様の基が挙げられる。Zs2又はLs2の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、更に好ましくは炭素数1のメチレン基である。メチレン基である場合、より耐光性が良好な皮膜を得られる。シリルオキシ基含有基としては、好ましくは下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2017201011
s1の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基が好ましい。炭化水素基に含まれる−CH2−が−O−に置き換わった基としては、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
中でも、シランイソシアネート化合物(a)は、下記式(I−1)で表される化合物であることが好ましく、式(I−2)で表される化合物であってもよい。
Figure 2017201011
[式(I−1)及び(I−2)中、Rs2、Rs3、n1は、それぞれ上記と同義である。]
シランイソシアネート化合物(a)としては、下記式で表される化合物が特に好ましい。式中、n10は1〜30の整数を表す。
Figure 2017201011
シランイソシアネート化合物(a)は、トリアルキルシリルオキシ基とヒドロキシ基とがポリシリルオキシ基で連結されている化合物とイソシアナト化ケイ素化合物とを反応させることによって製造でき、例えば、前記式(I)で表される化合物は、式(I−X1)で表される化合物と、式(I−X2)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
Figure 2017201011
[式(I−X1)中、Rs1は、炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs2及びRs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。n1は、1以上の整数を表す。
式(I−X2)中、Xs1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基、又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。p3は、2以上の整数を表す。]
化合物(I−X2)は、化合物(I−X1)1モルに対して、1モル以上であることが好ましく、より好ましくは1.5モル上、更に好ましくは2モル以上であり、5モル以下であることが好ましく、より好ましくは3モル以下である。
上記の反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキシアニソール等のエーテル溶媒が挙げられる。また反応温度は、−10〜50℃であることが好ましく、−5〜40℃であることがより好ましい。
前記化合物(I−X1)は、ジアルキルシロキサン鎖の両末端にハロゲン原子が結合した化合物(以下、「ジハロゲン化ジアルキルシロキサン」)又は環状ジアルキルシロキサンと、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基と、M1O−基(M1は、アルカリ金属を表す。)が結合した化合物(以下、「アルカリ金属シリルオキシド」)とを反応させることにより製造することができる。
前記ジハロゲン化ジアルキルシロキサンに含まれるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。また、前記アルカリ金属としては、リチウムが好ましい。
また、前記環状ジアルキルシロキサンに含まれるケイ素原子の数は、2以上、10以下であることが好ましく、より好ましくは2以上、5以下、さらに好ましくは2以上、4以下である。
アルカリ金属シリルオキシドは、(Rs13Si−OHで表される化合物に、アルキルアルカリ金属を反応させることにより製造することができる。アルキルアルカリ金属としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムが挙げられ、特に好ましくはn−ブチルリチウムである。
上記シランイソシアネート化合物(a)と、溶剤(c)とを含む組成物も本発明の範囲に包含される。シランイソシアネート化合物(a)は、中心ケイ素原子に結合しているイソシアナト基を有するため各種基材との密着性が良好であり、撥水性、液滴の滑り性及び耐光性を両立できる皮膜を形成可能である。
シランイソシアネート化合物(a)の含有率は、組成物100質量%中、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
特に、組成物に後述する金属化合物(b)が含まれない場合、シランイソシアネート化合物(a)の含有率は、組成物100質量%中、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上である。
また、組成物に後述する金属化合物(b)が含まれる場合、シランイソシアネート化合物(a)の含有率は、組成物100質量%中、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
前記組成物には、さらに、金属原子に加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物(b)が含まれていてもよく、前記シリルオキシ基含有基又は前記炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい。前記シリルオキシ基含有基の原子数及び前記炭化水素鎖含有基の炭化水素鎖部分の炭素数は、それぞれシランイソシアネート化合物(a)の中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりもが少ないため、本発明の組成物から形成される皮膜において、スペーサー機能を有する部位が形成されうる。その結果、トリアルキルシリル基含有分子鎖による撥水性向上作用を高めることができる。金属原子に結合している基としては、シリルオキシ基含有基が好ましい。
前記金属化合物(b)は、式(II−1)、(II−2)又は(II−3)で表される化合物であることが好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。また、式(II−1)、(II−2)又は(II−3)で表される化合物は、その加水分解縮合物であってもよい。ここで、加水分解縮合物は、各化合物(II)に含まれる全部又は一部の加水分解性基が、加水分解により縮合した化合物を意味する。
Figure 2017201011
[式(II−1)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Rb1は、シリルオキシ基含有基、炭化水素基又は加水分解性基を表し、該Rb1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしケイ素原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。Ab1は、加水分解性基を表す。kは、Mの価数より2少ない数である。
式(II−2)中、Rf1はフッ化炭素含有基を表す。Af1は加水分解性基を表す。Zf1は、シリルオキシ基含有基、炭化水素基又は加水分解性基を表し、該Zf1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしケイ素原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
式(II−3)中、Rf2は加水分解性シランオリゴマー残基を表す。Af2は、それぞれ独立に加水分解性基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
Mは、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であり、該金属原子には、Si、Ge等の半金属も含まれる。Mとしては、Al、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;等が挙げられ、好ましくはSiである。
b1、Ab1、Af1、Zf1又はAf2の加水分解性基としては、シランイソシアネート化合物(a)における加水分解性基と同様の基及びイソシアナト基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
b1又はZf1のシリルオキシ基含有基又は炭化水素基としては、Xs1のシリルオキシ基含有基又は炭化水素基としてそれぞれ説明した範囲から適宜選択でき、その個数は、1以下であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
f1のフッ化炭素含有基は、フッ素原子が炭素原子に結合した構造を含む1価の基であり、フルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)を末端に有する基が好ましい。フッ化炭素含有基としては、式(f1)で表される基が好ましい。
Figure 2017201011
[上記式(f1)中、Rf3は、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。Rf4は、フッ素原子又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。Rb4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Lは、−O−、−COO−、−OCO−、−NRf5−、−NRf5CO−、及び−CONRf5−のいずれかを表す。Rf5は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフルオロアルキル基を表す。h1〜h5は0以上100以下の整数であり、h1〜h5の合計値は100以下である。また、h1〜h5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意である。*は結合手を表す。]
f3又はRf4のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜20であり、1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。また、Rf3又はRf4のフルオロアルキル基におけるフッ素原子の置換数は、該フルオロアルキル基に含まれる炭素原子の数をAとしたとき、1以上、2A+1以下であり、2A+1であること、すなわち該フルオロアルキル基はペルフルオロアルキル基であることが好ましい。Rb4のアルキル基としては、Rs1の炭化水素基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。Lf1としては、−O−、−COO−、又は−OCO−が好ましい。
h1は1〜30であることが好ましく、1〜25であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜5であることが特に好ましく、最も好ましくは1〜2である。h2は0〜15であることが好ましく、より好ましくは0〜10である。h3は0〜5であることが好ましく、より好ましくは0〜2である。h4は0〜4であることが好ましく、より好ましくは0〜2である。h5は0〜4であることが好ましく、より好ましくは0〜2である。h1〜h5の合計値は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また80以下が好ましく、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
特に、Rf3が炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基であり、Rf4がフッ素原子又は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基であり、Rb4が水素原子であり、h3、h4及びh5がいずれも0であり、h1が1〜5であり、h2が0〜5であることが好ましい。
前記フッ化炭素含有基としては、下記式で表される基が挙げられる。式中、Rf3、Rb4は上記と同義であり、Rf3は好ましくは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基であり、Rb4は好ましくは水素原子である。また、r2は5〜20(好ましくは8〜15)であり、r3は1〜7(好ましくは2〜6)であり、r4は1〜10(好ましくは3〜7)であり、r5は1〜6(好ましくは2〜4)である。
Figure 2017201011
式(f1−1)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2017201011
式(f1−2)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。
Figure 2017201011
式(f1−3)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。
Figure 2017201011
式(f1−4)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。
Figure 2017201011
式(f1−5)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf3は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Figure 2017201011
フッ化炭素含有基は、フルオロアルキルアリール基、フルオロアルキルアルケニル基、フルオロアルキルアルキニル基等であってもよい。フルオロアルキルアリール基としては、(C1-8フルオロアルキル)フェニル基、(C1-8フルオロアルキル)ナフチル基が挙げられ、フルオロアルキルアルケニル基としては、(C1-17フルオロアルキル)ビニル基が挙げられ、フルオロアルキルアルキニル基としては、(C1-17フルオロアルキル)エチニル基が挙げられる。
式(II−3)中、Rf2の加水分解性シランオリゴマー残基は、ケイ素原子と、ケイ素原子に結合する加水分解性基とを含む化合物(以下、「加水分解性シランモノマー」という場合がある)の加水分解縮合物に由来する1価の基を意味する。加水分解性シランオリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数は、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは7以上である。加水分解性シランオリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、さらに好ましくは10以下である。
また、前記加水分解性シランオリゴマー残基がアルコキシ基を有する場合、該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基等である。前記加水分解性シランオリゴマー残基は、これらアルコキシ基の1種又は2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。
加水分解性シランオリゴマー残基は、式(f2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2017201011
[上記式(f2)中、Af3は、加水分解性基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフルオロアルキル基を表す。h6は0以上100以下の整数である。*はSiとの結合手を表す。]
f3の加水分解性基としては、Rb1の加水分解性基と同様の基が挙げられ、アルコキシ基が好ましく、エトキシ基、メトキシ基等の炭素数1〜4(好ましくは1〜2)のアルコキシ基;イソシアナト基が好ましい。
h6は0以上10以下であることが好ましく、より好ましくは0以上7以下である。Af3としては加水分解性基又は炭素数1〜4のフルオロアルキル基が好ましく、Af3のうち少なくとも一つが炭素数1〜4のフルオロアルキル基であることが好ましい。またAf3のうち少なくとも一つは加水分解性基(特にメトキシ基、エトキシ基)であることが好ましい。
加水分解性シランオリゴマー残基としては、下記式で表される基が好ましい。
Figure 2017201011
b1は、シリルオキシ基含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。Rb1が複数含まれる場合、いずれも加水分解性基であることが好ましい。この場合、Rb1とAb1とは同一の加水分解性基であることが好ましい。Zf1はシリルオキシ基含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。Af2はフルオロアルキル基又は加水分解性基であることが好ましい。
化合物(II−1)としては、加水分解性基のみを有する化合物;シリルオキシ基含有基と加水分解性基を有する化合物;2個のシリルオキシ基含有基と加水分解性基を有する化合物;炭化水素基と加水分解性基を有する化合物;2個の炭化水素基と加水分解性基を有する化合物;等を挙げることができる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;等が挙げられる。
シリルオキシ基含有基と加水分解性基を有する化合物としては、トリメチルシリルオキシトリメトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリエトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリプロポキシシラン等のトリメチルシリルオキシトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個のシリルオキシ基含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジメトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジエトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジプロポキシシラン等のジ(トリメチルシリルオキシ)ジアルコキシシラン;等が挙げられる。
炭化水素基と加水分解性基を有する化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個の炭化水素基と加水分解性基を有する化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。
化合物(II−2)としては、下記式で表される化合物も挙げられる。式中、r2は5〜20(好ましくは8〜15)であり、r3は1〜7(好ましくは2〜6)であり、r4は1〜10(好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5)であり、r5は1〜5(好ましくは2〜4)であり、r6は2〜10(好ましくは2〜8)であり、r7は2〜10(好ましくは3〜7)である。
Figure 2017201011
化合物(II−3)としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017201011
組成物に金属化合物(b)を含む場合、その含有率は、組成物100質量%中、0.02質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。
本発明の組成物に金属化合物(b)が含まれる場合、金属化合物(b)とシランイソシアネート化合物(a)の比(金属化合物(b)/シランイソシアネート化合物(a))は、モル基準で1/10以上であることが好ましく、より好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上であり、100/1以下であることが好ましく、より好ましくは50/1以下、さらに好ましくは40/1以下、よりいっそう好ましくは30/1以下である。
本発明の組成物は、溶剤(c)を含むことが好ましい。溶剤(c)としては、水;アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の親水性有機溶剤;芳香族炭化水素系溶剤、飽和炭化水素系溶剤等の疎水性有機溶剤が挙げられる、これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、飽和炭化水素系溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、エーテル系溶剤、飽和炭化水素系溶剤が好ましい。
溶剤(c)は、シランイソシアネート化合物(a)(金属化合物(b)を含む場合、シランイソシアネート化合物(a)及び金属化合物(b))の合計1質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは12質量部以上であり、100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。溶剤(c)の量がこの範囲にあると、皮膜の厚みの制御が容易である。
本発明の組成物は、触媒(d)を含まなくともよいが、必要に応じて触媒(d)を含んでいてもよい。触媒(d)は、ケイ素原子に結合するイソシアナト基及びその他の加水分解性基の加水分解触媒として作用しうるものであればよく、酸性化合物;塩基性化合物;有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニア;アミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn等の金属元素を中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物;オクチル酸鉄等の有機鉄化合物;亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
触媒(d)を含む場合、その含有量は、シランイソシアネート化合物(a)(金属化合物(b)を含む場合、シランイソシアネート化合物(a)及び金属化合物(b))の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0002質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
さらに本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等の各種の添加剤を含んでいてもよい。
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−ジエチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。
前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。
前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;第四級アンモニウム塩;アルカンチオール;イミダゾリン、イミダゾール、アルキルイミダゾリン誘導体、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール等のアゾール類;メタバナジン酸ナトリウム;クエン酸ビスマス;フェノール誘導体;アルキルアミンやポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン、芳香族アミン、エトキシ化アミン、シアノアルキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミン、アルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミド;アルキルエステル;ピリミジン;ナフテン酸;スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩;ポリアルコール、ポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩;ゼラチン;カルボン酸のポリマー;ニトロ化合物;ホルムアルデヒド;アセチレンアルコール;脂肪族チオール、芳香族チオール、アセチレンチオール等のチオール化合物;脂肪族スルフィド、芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物;スルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物;チオ尿素;アミン又は第四級アンモニウム塩とハロゲンイオンの組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンとリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。
前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、ソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウム、デヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノール及び1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。
前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(P−トリル)メタンスルフェンアミド、ピリジン−トリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、チオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類、アルキルピリジン化合物、グラミン系化合物、イソニトリル化合物等が挙げられる。
前記消臭剤としては、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸、アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類;ウンデシレン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄、硫酸鉄、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化銀、酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン、可視光応答型二酸化チタン(窒素ドープ型等)等の金属化合物;α−、β−又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類;多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチン、キトサン、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、セラミック等の多孔質体等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ−ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料等が挙げられる。
前記難燃剤としてはデカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤、カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。
また、添加剤としてさらに、滑剤、充填剤、可塑剤、核剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、結着剤等を共存させてもよい。
これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、組成物中、好ましくは0.1〜70質量%であり、より好ましくは0.1〜50質量%であり、よりいっそう好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%である。
また、シランイソシアネート化合物(a)と金属化合物(b)及び/又は溶剤(c)の合計の含有量は、組成物中、このましくは60質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上、よりいっそう好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
上記組成物から形成される皮膜も本発明の範囲に包含される。該皮膜には、シランイソシアネート化合物(a)に由来する構造が含まれる。
本発明の皮膜は、皮膜に対する水の初期接触角をθ01、70℃のイオン交換水に12時間浸漬した後の接触角をθw2としたとき、下記式で表される接触角変化率dw2は、−10%以上であることが好ましく、より好ましくは−5%以上、さらに好ましくは−1%以上であり、0%であることが好ましいものの、2%以下、さらには5%以下であることも許容される。
接触角変化率dw2(%)=(θw2−θ01)/θ01×100
本発明の皮膜に対する水の初期接触角θ01は、80°以上であることが好ましく、より好ましくは90°以上、さらに好ましくは100°以上であり、140°以下であってもよく、さらには130°以下であってもよい。
前記接触角は、液量3.0μLの水を用い、θ/2法により測定した値を意味する。
本発明の皮膜における水の転落角αwは、40°以下であることが好ましく、より好ましくは35°以下、さらに好ましくは30°以下であり、特に好ましくは25°以下であり、5°以上であってもよく、さらには10°以上であってもよい。
また、本発明の皮膜における水の接触角ヒステリシスΔθwは、20°以下であることが好ましく、より好ましくは15°以下、さらに好ましくは10°以下であり、1°以上であってもよい。
前記水の接触角ヒステリシスΔθw及び転落角αwは、液量6.0μLの水を用い、滑落法により測定することができる。
本発明の皮膜における滑落速度は、1mm/sec以上であることが好ましく、より好ましくは5mm/sec以上、さらに好ましくは10mm/sec以上であり、特に好ましくは20mm/sec以上である。
前記滑落速度は、本発明の皮膜を有する基材を20°傾け、50μLの液滴(水)を滴下したときの移動距離を移動に要した時間で除することにより求められる値とする。具体的には、協和界面製の接触角計の動的滑落法を用いて測定することができる。
本発明の皮膜は、皮膜に対する水の初期接触角をA1、300nm以下の領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として、温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、6時間照射した後の接触角をBZとしたとき、下記式に基づいて計算される照射前後の接触角の変化率が、好ましくは−10%以上、より好ましくは−4.5%以上、さらに好ましくは−4%以上であり、例えば0%以下、さらには−1%以下であることも許容される。
接触角変化率(%)={(BZ−A1)/A1}×100(%)
シランイソシアネート化合物(a)に由来する構造(A)は、アルキル基の炭素数が1〜4であるトリアルキルシリルオキシ基と、ポリシリルオキシ基とが結合している構造(トリアルキルシリルオキシ基含有基)を含み、式(IA)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2017201011
[式(IA)中、Rs1、Rs2及びn1は上記と同義である。Za1は、(Rs13Si−O−(Si(Rs22−O−)n1−、シリルオキシ基含有基、炭化水素基又は−O−を表し、該Za1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。]
式(IA)中、Za1のシリルオキシ基含有基、炭化水素基は、それぞれ、シリルオキシ基含有基、炭化水素基として上記説明した範囲から適宜選択できる。Za1は、シリルオキシ基含有基又は−O−であることが好ましく、−O−であることがより好ましい。
構造(A)としては、式(IA−1)で表される構造が好ましい。
Figure 2017201011
[式(IA−1)中、Rs1、Rs2及びn1は、上記と同義である。]
構造(A)としては、下記式で表される構造が特に好ましい。式中、n10は1〜30の整数を表す。
Figure 2017201011
また、本発明の組成物から形成される皮膜には、金属化合物(b)に由来する構造が含まれることも好ましい。金属化合物(b)に由来する構造(B)では、金属原子(ただし金属原子がケイ素原子である場合、トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合しているケイ素原子とは異なる)に結合する基(炭化水素基、シリルオキシ基含有基、ヒドロキシ基等)は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも構成元素数が少ないため、該構造(B)がスペーサーとして作用する結果、トリアルキルシリル基含有分子鎖による撥水性向上作用が高められやすくなる。
金属化合物(b)に由来する構造(B)は、式(IIB1)、(IIB2)又は(IIB3)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2017201011
[式(IIB1)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Rb2は、シリルオキシ基含有基、炭化水素基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、該Rb2の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしケイ素原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。kは、Mの価数に応じて、1又は2の整数を表す。
式(IIB2)中、Rf1は、フッ化炭素含有基を表す。Zf2は、シリルオキシ基含有基、炭化水素基、ヒドロキシ基又は−O−を表し、該Zf2の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
式(IIB3)中、Rf2は、加水分解性シランオリゴマー残基を表す。Zf3は、炭素数1〜12のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基又は−O−を表す。]
b2又はZf2のシリルオキシ基含有基、Rb2又はZf2の炭化水素基、及びRf2の加水分解性シランオリゴマー残基の原子数は、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖の原子数よりも少ないものであることが好ましい。これにより、構造(B)が皮膜においてスペーサーとして作用することが容易となる。
b2又はZf2のシリルオキシ基含有基、及びRb2又はZf2の炭化水素基としては、Za1のシリルオキシ基含有基、及び炭化水素基とそれぞれ同様の基が挙げられる。
b2としては、シリルオキシ基含有基、ヒドロキシ基又は−O−が好ましく、ヒドロキシ基又は−O−がより好ましい。Zf2としては、シリルオキシ基含有基、ヒドロキシ基又は−O−が好ましく、ヒドロキシ基又は−O−がより好ましい。Zf3としては、フルオロアルキル基、ヒドロキシ基又は−O−が好ましい。
構造(B)としては、Mがケイ素原子の場合、下記式で表される構造が挙げられる。式中、Lf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。r8は1〜20(好ましくは1〜10)であり、r9は1〜10(好ましくは1〜5)であり、r10は1〜10(好ましくは1〜5)である。
Figure 2017201011
Figure 2017201011
本発明の組成物から形成される皮膜において、構造(B)と構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))は、モル基準で1/10以上であることが好ましく、より好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上であり、100/1以下であることが好ましく、より好ましくは50/1以下、さらに好ましくは30/1以下、よりいっそう好ましくは25/1以下である。
上記組成物を基材と接触させることにより、前記皮膜を形成することができる。組成物と基材を接触させる方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が挙げられ、スピンコーティング法、スプレーコーティング法が好ましい。スピンコーティング法、スプレーコーティング法によれば、皮膜厚さの調整が容易になる。
この際、組成物は、必要に応じて、さらに希釈しておいてもよい。希釈倍率は、希釈前の組成物に対して、2〜100倍であることが好ましく、より好ましくは5〜50倍である。希釈溶剤としては、溶剤(c)として例示した溶媒を適宜使用することができる。
本発明の組成物と基材とを接触させた状態で、空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解されてシロキサン骨格を形成し、皮膜が形成される。静置する際、40〜250℃で保持してもよい。
さらに、基材上に本発明の皮膜を形成した皮膜処理基材も本発明の範囲に包含される。基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料、無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックス;ガラス;Fe、Si、Cu、An、Al等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には、予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。
プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)(以下、成分(P)という場合がある。)を含むプライマー層形成用組成物から形成された層が好ましい。プライマー層形成用組成物は、成分(P)として下記式(Pa)で表される化合物(以下、化合物(Pa)という場合がある。)及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含むことが好ましい。
Si(XP24 …(Pa)
[式(Pa)中、XP2は、ハロゲン原子、アルコキシ基又はイソシアナト基を示す。]
上記式(Pa)中、XP2は、塩素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基又はイソシアナト基等の加水分解性基であることが好ましく、4個のXP2が同一であることが好ましい。
化合物(Pa)としては、1種又は2種以上を用いることができ、Si(NCO)4、Si(OCH34、Si(OC254等が好ましい。
プライマー層形成用組成物に含まれる(P1)成分は、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pa)の部分加水分解縮合物は、酸触媒や塩基触媒を用い、一般的な加水分解縮合方法により製造することができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度であることが好ましい。(Pa)成分としては、化合物(Pa)であっても、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(Pa)とその部分加水分解縮合物との混合物、未反応の化合物(Pa)が含まれる化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pa)やその部分加水分解縮合物としては市販品を用いることもできる。
また、プライマー層形成用組成物は、成分(P)として、さらに式(Pb)で表される化合物(以下、化合物(Pb)という場合がある)及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分を含んでいてもよい。
(XP33Si−(CH2p−Si(XP33 …(Pb)
[ただし、式(Pb)中、XP3はそれぞれ独立して加水分解性基又は水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]
式(Pb)中、XP3で示される加水分解性基としては、上記XP2と同様の基又は原子が挙げられる。化合物(Pb)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、XP3としては、アルコキシ基及びイソシアナト基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。化合物(Pb)中に複数個存在するXP3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
化合物(Pb)としては、1種又は2種以上を用いることができ、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH33、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C25O)3SiCH2CH2Si(OC253、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33等が挙げられる。
成分(P2)は、化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pb)の部分加水分解縮合物は、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度であることが好ましい。成分(P2)としては、化合物(Pb)であっても、化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(Pb)とその部分加水分解縮合物との混合物、未反応の化合物(Pb)が含まれる化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pb)やその部分加水分解縮合物としては市販品を用いることも可能である。またプライマー層形成用組成物には、成分(P)として化合物(Pb)と化合物(Pa)との共加水分解による共加水分解縮合物が含まれていてもよく、各種ポリシラザンが含まれていてもよい。
プライマー層形成用組成物は、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであることが好ましく、組成物に用いられる溶剤(c)と同様の溶剤が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性、蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。プライマー層形成用組成物が部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。
さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒がプライマー層形成用組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。プライマー層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。
プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤を適用可能な方法を用いることができる。はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、手塗り等の方法でプライマー層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中又は窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いるプライマー層形成用組成物の種類、濃度等により適宜制御される。なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、組成物の硬化と同時に行ってもよい。
プライマー層の厚さは、その上に形成される皮膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。
本発明の化合物を含む組成物から形成される皮膜は、撥水性と液滴の滑り性、さらには耐光性を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。本発明の化合物を含む組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート等の屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽等にも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイル等の陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボール等にも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部等、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例で用いた測定方法は、以下の通りである。
(接触角評価)
接触角測定装置(DM700、協和界面科学社製)を用いた。液量3μLのイオン交換水を用い、θ/2法にて接触角を測定した。
(動的撥水特性評価)
協和界面科学社製DM700を使用し、滑落法(解析法:接触法、液量:6.0μL、傾斜方法:連続傾斜、滑落検出:滑落後、移動判定:前進角、滑落判定距離:0.25mm)により、透明皮膜表面の水に対する動的撥水特性(接触角ヒステリシス、転落角)を測定した。
(密着性評価)
70℃のイオン交換水にサンプルを12時間浸漬して温水試験を行い、浸漬前後の水接触角を測定した。
(液滴滑り性評価)
協和界面科学社製DM700を使用し、動的滑落法(解析法:液量:50.0μL、傾斜方法:サンプル傾斜、傾斜角:20°)により、透明皮膜表面の水に対する動的撥水特性(水滴滑り性)を測定した。
(耐光性評価)
水銀ランプ(ウシオ電機社製「SP−9 250DB」)に均一光照射ユニット(ウシオ社製)を取り付け、レンズから17.5cmの距離にサンプルを設置した。200−800nmの光強度を強度計(OPHIL社製「VEGA」)を用いて測定したところ、200mW/cm2であった。温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、水銀ランプをサンプルに6時間照射した。透明皮膜上の液滴(液量3μLのイオン交換水)の初期接触角をA1、照射後の液滴の接触角度をBZとして、下記式に基づいて計算される照射前後の接触角の変化率を表3に示す。
接触角変化率(%)={(BZ−A1)/A1}×100(%)
なお、上記水銀ランプ(ウシオ電機社製「SP−9 250DB」)の分光放射照度は図1に示す通りであり、300nm以下の領域に輝線を有していた。
実施例1−1
トリメチルシラノール1.6g、テトラヒドロフラン(THF)8mLを四つ口フラスコに仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を11.1mL滴下した。0℃まで昇温し、28mLのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン31.68gを滴下し、室温に昇温して17時間撹拌した。反応液にTHF、イオン交換水、ヘキサンを順次加え、分液して、有機層を取り分けた。イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、下記式で表される無色透明の中間体1を32g得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数nは、8であった。以下、平均繰り返し数は、NMRスペクトルから算出した。
Figure 2017201011
テトライソシアネートシラン0.98gをジエチルエーテル8mLに溶解した後、0℃に冷却し、ジエチルエーテル40mLに溶解した中間体1を9.35g滴下し、35℃で2h撹拌した。3hPa、35℃で溶媒を留去し、下記式で表される化合物1を9.6g得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数nは、8であった。
Figure 2017201011
得られた化合物(1)の29Si−NMR(400MHz,基準:CDCl3 (=7.
24ppm)緩和試薬:アセチルアセトンクロム、溶質に対して10%添加)の測定結果を以下に示す。
29Si-NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):8.20-8.80((CH3)3-Si)、−22.50-−21.00((CH3)−Si)、−106.50-−105.4 (Si−NCO )
実施例1−2
三ツ口フラスコに、トリス(トリメチルシロキシ)シラノールを6.25g、THFを28g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を12.5mL滴下した。0℃まで昇温し、28gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン35.59gを滴下し、17時間撹拌した。−40℃に冷却し、反応液にTHF、イオン交換水、ヘキサンを順次加え、分液して、有機層を取り分けた。イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、下記式で表される無色透明の中間体2を得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数nは、8であった。
Figure 2017201011
テトライソシアネートシラン0.98gをジエチルエーテル8mLに溶解した後、0℃に冷却し、ジエチルエーテル40mLに溶解した中間体2を9.90g滴下し、35℃で2h撹拌した。3hPa、35℃で溶媒を留去し、下記式で表される化合物2を10.0g得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数nは、8であった。
得られた化合物(2)の29Si−NMR(400MHz,基準:CDCl3 (=7.24ppm)緩和試薬:アセチルアセトンクロム、溶質に対して10%添加)の測定結果を以下に示す。
29Si-NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):8.20-8.80((CH3)3-Si)、−22.50-−21.00((CH3)2−Si)、−106.50-−105.4(Si−NCO)
Figure 2017201011
比較例1−1
トリメチルシラノール0.45g、テトラヒドロフラン(THF)5.1mLを四つ口フラスコに仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を3.13mL滴下した。0℃まで昇温し、11.9mLのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン16.68gを滴下し、室温に昇温して17時間撹拌した。減圧濃縮し、無色透明の中間体3を得た。−40℃に冷却し、クロロトリエトキシシラン0.99gを滴下した。ヘキサン100mLを加えて濾過した。濾液を130hPa、25℃で濃縮し、下記式で表される化合物3を16.33g得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数nは、8であった。
Figure 2017201011
比較例1−2
10.0gの中間体1にオルトけい酸テトラメチル4.8g、tert−ブチルアミン56mgを仕込み、窒素雰囲気下で30℃で5時間撹拌した。室温に戻したのち、減圧濃縮し、下記式で表される化合物4を10.6g得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数nは、15であった。
Figure 2017201011
実施例2−1、2−2
シランイソシアネート化合物(a)としての化合物1、2及びメチルエチルケトンを表1に示す通りの組成で混合し、塗布溶液1、2を得た。
実施例2−3、2−4
シランイソシアネート化合物(a)としての化合物1、2、金属化合物(b)としてのテトラエトキシシラン(TEOS)及びメチルエチルケトンを表1に示す通りの組成で混合し、1時間撹拌して試料溶液を作製した。得られた試料溶液をさらにメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、塗布溶液3、4とした。
比較例2−1、2−2、2−3
化合物3〜5及びメチルエチルケトンを表1に示す通りの組成で混合し、塗布溶液5、6を得た。
Figure 2017201011
化合物5は、下記式で表される化合物を意味する。
Figure 2017201011
実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−3
アルカリ洗浄したガラス基板(EAGLE XG、Corning社製)にスピンコーター(MIKASA社製)を用いて前記塗布溶液1〜4及び比較塗布溶液を3000rpm、で20秒間コーティングし、室温で静置した。得られた皮膜について、初期の接触角、液滴すべり性、密着性、耐光性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2017201011
本発明の化合物を含む組成物から形成される皮膜は、撥水性と液滴の滑り性、さらには密着性を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。本発明の化合物を含む組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート等の屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽等にも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイル等の陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボール等にも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部等、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

Claims (6)

  1. アルキル基の炭素数が1〜4であるトリアルキルシリルオキシ基と、イソシアナト基結合ケイ素原子とがポリシリルオキシ基で連結されたシランイソシアネート化合物。
  2. 式(I)で表される請求項1に記載のシランイソシアネート化合物。
    Figure 2017201011
    [式(I)中、Rs1は、炭素数1〜4の炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs2及びRs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。
    s1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
    n1は、1以上の整数を表す。
    p1及びp2は、それぞれ独立に、1〜3であり、その合計は4以下である。]
  3. s1が(Rs33SiO−を表す請求項2に記載のシランイソシアネート化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のシランイソシアネート化合物及び溶剤を含むコーティング組成物。
  5. さらに、少なくとも1つの加水分解性基が中心金属原子に結合している金属化合物を含む請求項4に記載のコーティング組成物。
  6. 式(I−X1)で表される化合物と式(I−X2)で表される化合物とを反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の製造方法。
    Figure 2017201011
    [式(I−X1)中、
    s1は、炭素数1〜4の炭化水素基又は(Rs33SiO−を表し、Rs2及びRs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。該Rs1の炭化水素基及びRs3のアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。
    n1は、1以上の整数を表す。
    式(I−X2)中、
    s1は、イソシアナト基以外の加水分解性基、炭化水素基、又はシリルオキシ基含有基を表し、該Xs1の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはない。
    p3は、2〜4の整数を表す。]
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