JP6914715B2 - 皮膜 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリジアルキルシロキサン骨格を含む皮膜に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術、太陽電池部材等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れや腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められている。
こうした皮膜として、特許文献1、2には表面処理剤として(CH33SiO(Si(CH32O)46Si(CH32(CH22Si(OCH33等を用いて形成される表面処理層が提案されている。
特開2002−166506号公報 特開2002−97192号公報
シロキサン結合を有する従来から知られる皮膜は、温水に対する耐久性が十分でない場合があった。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、温水に対する耐久性に優れるポリジアルキルシロキサン骨格含有皮膜の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討する中で、ポリジアルキルシロキサン骨格を含む皮膜において、膜表面に含まれる炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)を所定範囲とすると、皮膜の密着性が向上し、温水に対する耐久性が向上することを見出した。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]ポリジアルキルシロキサン骨格を含み、X線光電子分光法で測定した炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)が、モル基準で、0.93以上、1.38未満である皮膜。
[2]水の初期接触角をθ0、70℃のイオン交換水に24時間浸漬した後の水の接触角をθWとしたとき、下記式で表される接触角変化率dWの大きさが、−10%以上である[1]に記載の皮膜。
接触角変化率dW(%)=(θW−θ0)/θ0×100
[3]初期の水の転落角が30°以下である[1]又は[2]に記載の皮膜。
[4]式(s1−1)で表される基を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膜。
Figure 0006914715
[式(s1−1)中、Rs2は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys1は、単結合又は−Si(Rs22−Ls1−を表す。Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。n1は、1以上の整数を表す。][5]ポリジアルキルシロキサン骨格由来のSi原子の含有率が、皮膜に含まれるSi原子中、70モル%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膜。
[6]トリアルキルシリル基を含み、該トリアルキルシリル基由来のSi原子の含有率が、皮膜に含まれるSi原子中、5モル%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の皮膜。
本発明の皮膜は、皮膜に含まれる炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)が所定範囲にあるため、温水に対する耐久性が良好である。
皮膜表面の原子の存在量は、X線光電子分光法(XPS)により算出することができる。皮膜の撥水性や温水耐性は、皮膜表面の原子の存在比によって変化する。例えば、皮膜表面の炭素原子の存在比が高くなると撥水性が高くなる。また、膜表面に酸素原子やケイ素原子が存在すると、空気中の水分子を吸着することで、コーティング膜表面が親水化する傾向がある。
本発明の皮膜は、ポリジアルキルシロキサン骨格を含むものであり、炭素原子とケイ素原子との比率(C/Si)が、0.93以上であり、1.00以上であることが好ましく、より好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.10以上である。炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)がこの範囲にあるとき、皮膜表面のポリジアルキルシロキサン骨格の存在量が適切に調整されることにより、水接触角を高めることができる。さらに水転落角が小さく、接触角ヒステリシスも小さい表面を得ることができる。1.38未満であり、1.30以下であってもよく、さらには1.25以下であってもよい。皮膜表面の炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)を高めることで水接触角を高くすることができるが、同時に基板と皮膜との密着性が低下するため、皮膜の耐温水性が低下してしまう。
そのため、炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)は、前述の通り適切な範囲に調整される必要がある。
炭素原子とケイ素原子との比率(C/Si)は、X線光電子分光法(XPS)により測定することができる。
本発明の皮膜に対する水の初期接触角θ0は、80°以上であることが好ましく、より好ましくは90°以上、さらに好ましくは100°以上であり、140°以下であってもよく、さらには130°以下であってもよい。
前記接触角は、液量3.0μLの水を用い、θ/2法により測定した値を意味する。
本発明の皮膜における初期の水の接触角ヒステリシスΔθwは、10°以下であることが好ましく、より好ましくは8°以下、さらに好ましくは5°以下であり、1°以上であってもよく、さらには3°以上であってもよい。
また、本発明の皮膜における初期の水の転落角αwは、30°以下であることが好ましく、より好ましくは25°以下、さらに好ましくは20°以下であり、1°以上であってもよく、さらには5°以上であってもよい。
前記水の接触角ヒステリシスΔθw及び転落角αwは、液量6.0μLの水を用い、滑落法により測定することができる。また、本明細書において、初期とは、皮膜に処理を施す前の状態を意味するものとする。
前記皮膜を70℃のイオン交換水に24時間浸漬した後の接触角をθWとしたとき、下記式で表される接触角変化率dwは、−10%以上であることが好ましく、より好ましくは−5%以上、さらに好ましくは−3%以上であり、0%であることが好ましいものの、−0.1%以下、さらには−0.5%以下であることも許容される。
接触角変化率dW(%)=(θW−θ0)/θ0×100
本発明の皮膜は、ポリシロキサン骨格を含み、特に、ポリジアルキルシロキサン骨格を含む。ポリシロキサン骨格とは、ケイ素原子と酸素原子とが交互に並び、酸素原子を介してケイ素原子が3次元的に連なった骨格を意味し、ポリジアルキルシロキサン骨格とは、アルキル基が2個結合しているケイ素原子と、酸素原子とが交互に並んだ骨格を意味する。ポリシロキサン骨格(特に、ポリジアルキルシロキサン骨格)を含むことで、皮膜の化学的・物理的耐久性や、透明性が向上する。
前記ポリジアルキルシロキサン骨格としては、ポリジメチルシロキサン骨格、ポリジエチルシロキサン骨格が挙げられ、ポリジメチルシロキサン骨格が好ましい。
本発明の皮膜において、ポリジアルキルシロキサン骨格に由来するSi原子は、皮膜に含まれるケイ素原子の合計中、10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、70モル%以下であることが好ましく、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下である。
皮膜に含まれるSi原子の合計中のポリジアルキルシロキサン骨格由来のSi原子の割合(モル基準)は、29Si−NMRにより測定することができる。
本発明の皮膜は、ポリシロキサン骨格から構成されることが好ましく、2価の炭化水素基がケイ素原子間に介入した構造を有していてもよい。
また、本発明の皮膜は、トリアルキルシリル基を含むことが好ましい。本発明の皮膜において、トリアルキルシリル基に由来するSi原子は、皮膜に含まれるケイ素原子の合計中、3モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは6.5モル%以上であり、20モル%以下であってもよく、さらには15モル%以下であってもよい。
皮膜に含まれるSi原子の合計中のトリアルキルシリル基由来のSi原子の割合(モル基準)は、29Si−NMRにより測定することができる。
前記トリアルキルシリル基は、本発明の皮膜において、トリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した1価の基(以下、「トリアルキルシリル含有分子鎖」という場合がある)として含まれることが好ましい。皮膜中にトリアルキルシリル基含有分子鎖が存在することで、皮膜の撥水性が向上しやすくなるとともに、化学的・物理的耐久性が高められ、温水に対する耐久性も向上しやすくなる。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に該皮膜界面(表面)の撥水性を向上することができる。
温水に対する耐久性をより向上させることができるという点で、前記トリアルキルシリル含有基は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基を含む基であり、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つのトリアルキルシリル基を含む。
前記トリアルキルシリル含有基は、式(s)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914715
[式(s)中、Rs1は炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。*は結合手を表す。]
s1で表される炭化水素基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs1が全て炭化水素基である場合、3つのRs1の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
s1で表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。複数のRs1は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。3つのRs1のうち少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、3つのRs1全てがメチル基であることが特に好ましい。
また、Rs1で表されるトリアルキルシリル基及びトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。フッ素原子の置換数としては、炭素原子の数をAとしたとき、1以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、2×A+1以下が好ましい。また、アルキル基に含まれる水素原子がフッ素原子に置換される場合、置換されるアルキル基の数は、ケイ素原子1つあたり1〜3となる範囲で適宜選択できる。
s1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Figure 0006914715
s1で表されるトリアルキルシリルオキシ基としては、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)のケイ素原子に−O−が結合している基が挙げられる。
s1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基である基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006914715
トリアルキルシリル基含有分子鎖において、トリアルキルシリル基は、分子鎖の末端(自由端側)、特に分子鎖の主鎖(最長直鎖)の末端(自由端側)に結合していることが好ましい。
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。前記分子鎖は、ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましく、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましい。また前記分子鎖は、2価の炭化水素基を含んでいてもよい。分子鎖の一部が2価の炭化水素基であっても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
前記分子鎖は、式(s2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914715
[式(s2)中、Rs2は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys1は、単結合又は−Si(Rs22−Ls1−を表す。Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。左側の*は、ケイ素原子との結合手を表し、右側の*はトリアルキルシリル含有基との結合手を表す。n1は、1以上の整数を表す。]
前記Rs2で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs2で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
n1は、1〜100であることが好ましく、より好ましくは1〜80、さらに好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜30である。
s1又はLs1で表される2価の炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。
また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルカンジイル基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。この場合連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素原子数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
前記式(s2)において、Zs1が−O−であり、Ys1が単結合であること、すなわち前記分子鎖は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。ジアルキルシロキサン鎖がジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなる場合、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれる分子鎖としては、下記式で表される分子鎖が挙げられる。式中、p1は1〜30の整数を表し、*は、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子又はトリアルキルシリル基に結合する結合手を表すものとする。
Figure 0006914715
Figure 0006914715
Figure 0006914715
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子の合計数は、24以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上であり、1200以下であることが好ましく、より好ましくは700以下、さらに好ましく250以下である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914715
[式(s1)中、Rs1、Rs2、Zs1、Ys1、n1は、上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1−1)で表される基であることがより好ましく、下記式(s1−1−1)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 0006914715
[式(s1−1)及び(s1−1−1)中、Rs2、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*はケイ素原子との結合手を表す。]
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1−2)で表される基であることも好ましく、下記式(s1−2−1)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 0006914715
[式(s1−2)及び式(s1−2−1)中、Rs2、Rs3、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
s3で表されるアルキル基としては、Rs1で表される炭化水素基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられ、該アルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2である。また、*−Si(Rs33に含まれるRs3の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
さらに、*−Si(Rs33に含まれるRs3のうち、少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
トリアルキルシリル基含有分子鎖としては式(s1−I)で表される基が挙げられる。
Figure 0006914715
Figure 0006914715
Figure 0006914715
トリアルキルシリル含有分子鎖は、皮膜に含まれるケイ素原子(中心ケイ素原子)に結合していればよい。1つの中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の個数は、1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。
本発明の皮膜において、トリアルキルシリル含有分子鎖は、式(IA)で表される構造(以下、「構造(A)」という場合がある)の一部として含まれる。
Figure 0006914715
[式(IA)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は−O−基を表す。]
前記シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有し、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりも少ない数の原子で構成されるものであればよい。これにより、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも長さが短いか、立体的な広がり(かさ高さ)が小さな基となる。シロキサン骨格含有基には、2価の炭化水素基が含まれていてもよい。
前記シロキサン骨格含有基は、下記式(s2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914715
[式(s2)中、Rs2は上記と同義である。Rs5は、炭化水素基又はヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。Zs2は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys2は、単結合又は−Si(Rs22−Ls2−を表す。Ls2は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。n2は、0〜5の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
s5で表される炭化水素基としては、Rs1で表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭素数は1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
s2又はLs2で表される2価の炭化水素基としては、Zs1で表される2価の炭化水素基と同様の基が挙げられ、炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。また、Zs2又はLs2で表される2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基であることがさらに好ましい。
n2は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
シロキサン骨格含有基の原子数の合計は、100以下であることが好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下であり、10以上であることが好ましい。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖とシロキサン骨格含有基の原子数の差は、10以上であることが好ましく、より好ましくは20以上であり、1000以下であることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。
シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006914715
前記炭化水素鎖含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ないものであればよい。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖の最長直鎖を構成する原子数よりも、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数が少ないものであることが好ましい。
炭化水素鎖含有基は、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されていてもよく、炭化水素鎖に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されていることが好ましい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、また連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、−O−を−CH2−と読み替えて数えた炭素原子の数を意味するものとする。以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、その−CH2−のうち一部を−O−に置き換えることが可能である。
前記炭化水素鎖含有基の炭素数は1〜3であることが好ましく、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、分岐鎖状であっても直鎖状であってもよい。前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基が好ましい。
炭化水素鎖に含まれる−CH2−が−O−に置き換わる場合、エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
a1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖又は−O−基であることが好ましく、−O−基であることがより好ましい。
構造(A)は、下記式(IA−1)で表される構造であることが好ましく、式(IA−1−1)で表される構造であることがより好ましい。
Figure 0006914715
[式(IA−1)及び(IA−1−1)中、Zs1、Ys1、Rs2、Rs3、n1は、それぞれ上記と同義である。]
構造(A)は、式(IA−2)で表される構造であってもよく、好ましくは式(IA−2−1)で表される構造であってもよい。
Figure 0006914715
[式(IA−2)及び式(IA−2−1)中、Zs1、Ys1、Rs2、Rs3、n1は、それぞれ上記と同義である。]
構造(A)としては、式(IA−I)で表される構造が挙げられる。
Figure 0006914715
Figure 0006914715
Figure 0006914715
本発明の皮膜は、金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子から選ばれる金属原子と、該金属原子に結合する基であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりも少ない原子数の基とから構成される構造(B)をさらに有していることが好ましい。特に、トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合するケイ素原子とは異なるケイ素原子(第2ケイ素原子)或いは金属原子に前記トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりも少ない原子数の基が結合すると、これらの基が結合したケイ素原子(第2ケイ素原子)や金属原子もまたスペーサーとして作用し、皮膜の撥水性が向上されやすくなる。
前記構造(B)は、式(IIB)で表される構造であることが好ましい。
Figure 0006914715
[式(IIB)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。
b2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基又は−O−基を表す。
kは、Mの価数に応じて、1又は2の整数を表す。]
Mは、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であり、該金属原子には、Si、Ge等の半金属も含まれる。Mとしては、Al、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;等が挙げられ、好ましくはAl等の3価金属;Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;であり、さらに好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、特に好ましくはSiである。これら金属のアルコキシドは、液状化が容易であり、本発明の皮膜中、上記構造(B)の分布の均一性を高めるのが容易である。
また、Mが3価金属の場合、kは1を表し、Mが4価金属の場合、kは2を表す。
b2で表されるシロキサン骨格含有基及び炭化水素鎖含有基の原子数は、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖の原子数よりも少ないものであることが好ましい。これにより、構造(B)が皮膜においてスペーサーとして作用することが容易となる。
b2で表されるシロキサン骨格含有基、及び炭化水素鎖含有基としては、Za1で表されるシロキサン骨格含有基、及び炭化水素鎖含有基とそれぞれ同様の基が挙げられる。
b2は、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基又は−O−基であることが好ましく、ヒドロキシ基又は−O−基であることがより好ましい。
構造(B)としては、Mがケイ素原子の場合、下記式で表される構造が挙げられる。
Figure 0006914715
本発明の皮膜において、構造(B)と構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))は、モル基準で、1/50以上であることが好ましく、より好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上であり、100/1以下であることが好ましく、より好ましくは75/1以下、さらに好ましくは50/1以下、よりいっそう好ましくは30/1以下である。
本発明の皮膜は、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)を混合し、必要に応じて溶剤(c)で希釈して、有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)と、任意に溶剤(c)を含む組成物を調製し、この組成物を空気中で基材と接触させればよい。これにより、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)に含まれるメトキシ基や加水分解性基が加水分解・重縮合され、骨格上のケイ素原子にトリアルキルシリル基含有分子鎖が結合したシロキサン骨格が形成される。
前記組成物は、上記成分を含むものであるため、従来から知られる撥水処理剤と異なって余剰分を拭き取る必要がなく、簡便に使用可能である。
前記有機ケイ素化合物(a)は、1分子中に、中心ケイ素原子に結合している少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、中心ケイ素原子に結合している少なくとも1つのメトキシ基とを有する。中心ケイ素原子に少なくとも1つのメトキシ基が含まれることで、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の共加水分解・共縮合が促進される。そして有機ケイ素化合物(a)のポリジメチルシロキサン鎖と有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の共加水分解・共縮合部分の相溶性の違いから、相対的に皮膜表面の炭素原子の存在比が高くなることで、得られる皮膜の炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)が高められやすくなると考えられる。有機ケイ素化合物(a)としては、1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、3つのメトキシ基とが中心ケイ素原子に結合している化合物;1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つのシロキサン骨格含有基と、2つのメトキシ基とが中心ケイ素原子に結合している化合物;1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つの炭化水素鎖含有基と、2つのメトキシ基とが中心ケイ素原子に結合している化合物;等を挙げることができる。
具体的には、有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006914715
[式(I)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又はメトキシ基を表す。]
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合するメトキシ基の個数は、2〜3であることが好ましい。
有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I−1)で表される化合物であることが好ましく、式(I−1−1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0006914715
[式(I−1)及び(I−1−1)中、Za1、Zs1、Ys1、Rs2、Rs3、n1は、それぞれ上記と同義である。]
また有機ケイ素化合物(a)は、式(I−2)で表される化合物であってもよく、好ましくは式(I−2−1)で表される化合物であってもよい。
Figure 0006914715
[式(I−2)及び式(I−2−1)中、Za1、Zs1、Ys1、Rs2、Rs3、n2は、それぞれ上記と同義である。]
有機ケイ素化合物(a)としては、具体的には、式(I−I)で表される基が挙げられる。
Figure 0006914715
Figure 0006914715
Figure 0006914715
有機ケイ素化合物(a)の合成方法の例としては、次のような方法があげられる。第一の方法としては、トリアルキルシリル基含有分子鎖とハロゲン原子(好ましくは塩素原子)とが結合した化合物と、ケイ素原子にメトキシ基が3つ以上(特に4つ)結合した化合物とを反応させることにより、製造することができる。
第二の合成方法としては、ジアルキルシロキサン鎖の両末端にハロゲン原子が結合した化合物(以下、「ジハロゲン化ジアルキルシロキサン」)と、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基と、M1O−基(M1は、アルカリ金属を表す。)が結合した化合物(以下、「アルカリ金属シリルオキシド」)及びケイ素原子にメトキシ基が少なくとも3つとアルコキシ基1つ結合した化合物を反応させることにより製造することができる。これらの化合物の反応順序は限定されないが、まずジハロゲン化ジアルキルシロキサンとアルカリ金属シリルオキシドを反応させ、次いで、ケイ素原子にメトキシ基が少なくとも3つとアルコキシ基1つ結合した化合物を反応させることが好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。また、前記アルカリ金属としては、リチウムが好ましい。
アルカリ金属シリルオキシドは、例えば、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基とヒドロキシ基が結合した化合物に、アルキルアルカリ金属を反応させることにより製造することができる。有機アルカリ金属化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムが挙げられ、特に好ましくはn−ブチルリチウムである。
また第三の合成方法としては、有機ケイ素化合物(a)は、例えば、アルカリ金属シリルオキシド及び環状ジメチルシロキサンを反応させ、次いで、ケイ素原子にメトキシ基が3つとハロゲン原子(特に、塩素原子)が1つ結合している化合物を反応させることにより製造することもできる。
また、第四の合成法としては、有機ケイ素化合物(a)は、例えば、アルカリ金属シリルオキシド及び環状ジメチルシロキサンを反応させて得られる水酸基末端ポリジメチルシロキサン化合物に、テトラアルコキシシランを反応させることにより、製造することもできる。
有機ケイ素化合物(a)の含有率は、組成物の固形分100質量%中、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
なお、組成物の固形分とは、組成物に含まれる成分のうち、溶剤(c)を除いた成分を意味する。
前記金属化合物(b)は、少なくとも1つの加水分解性基が中心金属原子に結合している化合物であり、前記シロキサン骨格含有基、前記炭化水素鎖含有基、フッ化炭素含有基、又は加水分解性シランオリゴマー残基等が前記金属原子に結合していてもよい。これらの基を構成する原子の数は、それぞれ有機ケイ素化合物(a)の中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子の数よりも少ないため、本発明の皮膜において、スペーサー機能を有する部位が形成されうる。その結果、トリアルキルシリル基含有分子鎖による撥水性を高めることができる。
前記金属化合物(b)は、具体的には、式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」という場合がある)であることが好ましい。また、式(II)で表される化合物は、それらの加水分解縮合物であってもよい。ここで、加水分解縮合物は、各化合物に含まれる全部又は一部の加水分解性基が、加水分解により縮合した化合物を意味する。
Figure 0006914715
[式(II)中、M及びkは上記と同義である。Rb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、Ab1は、加水分解性基を表す。kは、Mの価数に応じて、1又は2の整数を表す。]
b1、Ab1で表される加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(Mがケイ素原子である場合、シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアナト基;等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
金属化合物(b)において、加水分解性基の個数は1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、4以下であることが好ましい。
b1で表されるシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基としては、Za1で表されるシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基としてそれぞれ説明した範囲から適宜選択でき、その個数は、1以下であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
なおシロキサン骨格含有基もまたトリアルキルシリル基を有することとなる場合があるものの、上記トリアルキルシリル基含有分子鎖よりもシロキサン骨格含有基の原子数が少なければ、得られる皮膜において、金属化合物(b)に由来する構造(構造(B))がスペーサーとしての機能を発揮しうる。
b1は、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。また、Rb1が複数含まれる場合、いずれも加水分解性基であることが好ましい。この場合、Rb1、Ab1とは同一の加水分解性基であることが好ましい。また、有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)の加水分解性基は同一の基であってもよしい。
化合物(II)としては、加水分解性基のみを有する化合物;シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;等を挙げることができる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;等が挙げられる。
シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、トリメチルシリルオキシトリメトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリエトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリプロポキシシラン等のトリメチルシリルオキシトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジメトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジエトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジプロポキシシラン等のジ(トリメチルシリルオキシ)ジアルコキシシラン;等が挙げられる。
炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。
金属化合物(b)の含有率は、組成物の固形分100質量%中、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
前記組成物において、金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)の比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、モル基準で1/10以上であることが好ましく、より好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上であり、100/1以下であることが好ましく、より好ましくは50/1以下、さらに好ましくは30/1以下、よりいっそう好ましくは25/1以下である。
前記組成物は、さらに溶剤(c)を含むことが好ましい。溶剤(c)としては、水;アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の親水性有機溶剤;芳香族炭化水素系溶剤、飽和炭化水素系溶剤等の疎水性有機溶剤が挙げられる、これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、飽和炭化水素系溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、水を含んでいてもよい。
水を含む場合、溶剤(c)中、水の含有率は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
溶剤(c)は、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の合計1質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。溶剤(c)の量がこの範囲にあると、皮膜の厚みの制御が容易である。
前記組成物は、さらに、触媒(d)を含んでいてもよい。触媒(d)は、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解触媒として作用しうるものであればよく、例えば、酸性化合物;塩基性化合物;有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニア;アミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn等の金属原子を中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物;オクチル酸鉄等の有機鉄化合物;亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
触媒(d)としては、有機金属化合物、酸性化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物、塩酸がより好ましい。
触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b))の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0002質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
さらに前記組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等の各種の添加剤を含んでいてもよい。
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−ジエチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。
前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。
前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;第四級アンモニウム塩;アルカンチオール;イミダゾリン、イミダゾール、アルキルイミダゾリン誘導体、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール等のアゾール類;メタバナジン酸ナトリウム;クエン酸ビスマス;フェノール誘導体;アルキルアミンやポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン、芳香族アミン、エトキシ化アミン、シアノアルキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミン、アルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミド;アルキルエステル;ピリミジン;ナフテン酸;スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩;ポリアルコール、ポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩;ゼラチン;カルボン酸のポリマー;ニトロ化合物;ホルムアルデヒド;アセチレンアルコール;脂肪族チオール、芳香族チオール、アセチレンチオール等のチオール化合物;脂肪族スルフィド、芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物;スルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物;チオ尿素;アミン又は第四級アンモニウム塩とハロゲンイオンの組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンとリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。
前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリル)ベンイミダゾール、ソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウム、デヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノール及び1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。
前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(P−トリル)メタンスルフェンアミド、ピリジン−トリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、チオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類、アルキルピリジン化合物、グラミン系化合物、イソニトリル化合物等が挙げられる。
前記消臭剤としては、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸、アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類;ウンデシレン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄、硫酸鉄、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化銀、酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン、可視光応答型二酸化チタン(窒素ドープ型など)等の金属化合物;α−、β−又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類;多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチン、キトサン、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、セラミック等の多孔質体等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ−ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料等が挙げられる。
前記難燃剤としてはデカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤、カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。
また、添加剤としてさらに、滑剤、充填剤、可塑剤、核剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、結着剤等を共存させてもよい。
これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、組成物中、0.1〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜50質量%であり、さらに好ましくは0.5〜30質量%であり、よりいっそう好ましくは2〜15質量%である。
また、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の合計(溶剤(c)を含む場合、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)と溶剤(c)の合計)の含有量は、組成物中、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりいっそう好ましくは95量%以上である。
有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)とを基材と接触させる方法としては、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などが挙げられ、スピンコーティング法、スプレーコーティング法が好ましい。スピンコーティング法、スプレーコーティング法によれば、皮膜の厚さの調整が容易になる。
この際、組成物は、必要に応じて、さらに希釈されていてもよい。希釈倍率は、希釈前の組成物に対して、例えば2〜100倍であり、好ましくは5〜50倍である。希釈溶剤としては、溶剤(c)として例示した溶媒を適宜使用することができる。
前記組成物と基材とを接触させた状態で、空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解されてシロキサン骨格を形成し、皮膜が形成される。静置する際、40〜250℃で保持してもよい。
基材上に本発明の皮膜を形成した皮膜処理基材も本発明の範囲に包含される。基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料、無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックス;ガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には、予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。
プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)(以下、成分(P)という場合がある。)を含むプライマー層形成用組成物から形成された層が好ましい。プライマー層形成用組成物は、成分(P)として下記式(Pa)で表される化合物(以下、化合物(Pa)という場合がある。)及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含むことが好ましい。
Si(XP24 …(Pa)
[式(Pa)中、XP2は、ハロゲン原子、アルコキシ基又はイソシアナト基を示す。]
上記式(Pa)中、XP2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又はイソシアナト基であることが好ましく、4個のXP2が同一であることが好ましい。
化合物(Pa)としては、1種又は2種以上を用いることができ、Si(NCO)4、Si(OCH34、Si(OC254等が好ましい。
プライマー層形成用組成物に含まれる(P1)成分は、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pa)の部分加水分解縮合物は、酸触媒や塩基触媒を用い、一般的な加水分解縮合方法により製造することができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度であることが好ましい。(Pa)成分としては、化合物(Pa)であっても、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(Pa)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(Pa)が含まれる化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pa)やその部分加水分解縮合物としては市販品を用いることもできる。
また、プライマー層形成用組成物は、成分(P)として、さらに式(Pb)で表される化合物(以下、化合物(Pb)という場合がある)及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分を含んでいてもよい。
(XP33Si−(CH2p−Si(XP33 …(Pb)
[ただし、式(Pb)中、XP3はそれぞれ独立して加水分解性基又は水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]
式(Pb)中、XP3で示される加水分解性基としては、上記XP2と同様の基又は原子が挙げられる。化合物(Pb)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、XP3としては、アルコキシ基及びイソシアナト基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。化合物(Pb)中に複数個存在するXP3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
化合物(Pb)としては、1種又は2種以上を用いることができ、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH33、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C25O)3SiCH2CH2Si(OC253、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33等が挙げられる。
成分(P2)は、化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pb)の部分加水分解縮合物は、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度であることが好ましい。成分(P2)としては、化合物(Pb)であっても、化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(Pb)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(Pb)が含まれる化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pb)やその部分加水分解縮合物としては市販品を用いることも可能である。
またプライマー層形成用組成物には、成分(P)として化合物(Pb)と化合物(Pa)との共加水分解による共加水分解縮合物が含まれていてもよく、各種ポリシラザンが含まれていてもよい。
プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであることが好ましく、組成物に用いられる溶剤(c)と同様の溶剤が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性、蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。
プライマー層形成用組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。
さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。プライマー層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。
プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中又は窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、組成物の硬化と同時に行ってもよい。
プライマー層の厚さは、その上に形成される皮膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。
本発明の皮膜は、温水に対する耐久性が良好であり、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。本発明の組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
C/Si比の測定
X線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製「JPS−9010MC」)を用いて、O(1s)、Ca (2p3/2),C(1s)及び、Si(2p3/2)のピークの面積強度比を測定した。測定条件は、以下の通りであった。
X線:MgKα
電流:10kV
電圧:10mA
Pass energy:10eV
中和銃:2.0mA/2.0V
step:0.1eV
Dwell time:50ms
帯電補正:C1sのピークを285eVとして補正
接触角評価
協和界面科学社製DM700を使用し、液滴法(解析方法:θ/2法)で、皮膜表面の水の接触角を測定した。水滴量は3.0μLである。
密着性評価
70℃のイオン交換水にサンプルを24時間浸漬し、浸漬前後の水接触角を測定した。
接触角ヒステリシス及び転落角の測定
協和界面科学社製DM700を使用し、滑落法(解析方法:接触法、水滴量:6.0μL、油滴量:4.0μL、傾斜方法:連続傾斜、滑落検出:滑落後、移動判定:前進角、滑落判定距離:0.125mm)により、皮膜表面の動的撥水(接触角ヒステリシス、転落角)を測定した。
合成例1
三ツ口フラスコに、トリス(トリメチルシロキシ)シラノールを4.69g、THFを21.0g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を9.38mL滴下した。0℃まで昇温し、21gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン10.01gを滴下し、17時間撹拌した。−40℃に冷却し、反応液にTHF(テトラヒドロフラン)、イオン交換水、ヘキサンを順次加え、分液して、有機層を取り分けた。イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、無色透明の中間体1を得た。
中間体1を9.47g、TMOS(テトラメトキシシラン)を8.97g、t−ブチルアミン151.2uLを仕込み、撹拌しながら30℃で5時間反応を行った。12hPa、140℃で減圧濃縮し、化合物1を得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、3であった。
Figure 0006914715
合成例2
三ツ口フラスコに、トリス(トリメチルシロキシ)シラノールを1.56g、THFを7.0g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を3.13mL滴下した。0℃まで昇温し、7gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン8.90gを滴下し、17時間撹拌した。−40℃に冷却し、反応液にTHF、イオン交換水、ヘキサンを順次加え、分液して、有機層を取り分けた。イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、無色透明の中間体2を得た。
中間体2を9.9g、TMOSを4.49g、t−ブチルアミン75.6uLを仕込み、撹拌しながら30℃で5時間反応を行った。12hPa、140℃で減圧濃縮し、化合物2を得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、8であった。
Figure 0006914715
合成例3
トリメチルシラノール0.45g、THF5.1mLを四つ口フラスコに仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を3.13mL滴下した。0℃まで昇温し、11.9mLのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン16.68gを滴下し、室温に昇温して17時間撹拌した。−40℃に冷却し、クロロトリエトキシシラン0.99gを滴下した。ヘキサンを加えて濾過した。濾液を130hPa, 25℃で濃縮し、化合物3を16.33g得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、15であった。
Figure 0006914715
合成例4
トリメチルシラノール1.6g、THF8mLを四つ口フラスコに仕込み、撹拌した。
−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を11.1mL滴下した。0℃まで昇温し、28mLのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン31.68gを滴下し、室温に昇温して17時間撹拌した。反応液にTHF、イオン交換水、ヘキサンを順次加え、分液して、有機層を取り分けた。イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、無色透明の中間体4を32g得た。
中間体4を10g、TMOSを4.8g、t−ブチルアミン56mgを仕込み、撹拌しながら30℃で5時間反応を行った。12hPa140℃で減圧濃縮し、化合物4を10.6得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、8であった。
Figure 0006914715
実施例1〜3、比較例1〜3
有機ケイ素化合物(a)としての化合物1〜4、金属化合物(b)としてのテトラエトキシシラン(TEOS)、0.01M塩酸、メチルエチルケトン(MEK)を表7に示す通りの組成で混合し、24時間撹拌して試料溶液を作製した。得られた試料溶液をさらにメチルエチルケトン(MEK)で20倍に希釈し、塗布溶液1〜とした。
Figure 0006914715
製膜
アルカリ洗浄したガラス基板(EAGLE XG、Corning社製)にスピンコーター(MIKASA社製)を用いて前記塗布溶液1〜を3000rpmで20秒間コーティングし、室温で静置した。なお、製膜にあたり拭き取り工程は要さず、簡便に皮膜を得ることができた。得られた皮膜について、初期の接触角、耐摩耗性、液滴すべり性を評価した。また、温水浸漬試験を実施した後、接触角、耐摩耗性、液滴すべり性を評価した。結果を表8に示す。なお表8の”−”は、測定不可であったことを表す。
Figure 0006914715
Figure 0006914715
XPSによる元素分析の結果を表9に示す。
測定時に、膜厚が薄すぎる、あるいはX線の入射角が大きすぎる場合には、皮膜だけでなく基板の信号も検出してしまう可能性がある。基板と皮膜の信号がどちらも含まれるような分析を行った場合、皮膜表面の分析を行ったとは言い難く、分析条件を適切に調整する必要がある。分析条件が適切かどうかは、例えば基板の元素(今回はガラス基板中のカルシウム原子)の検出の有無で確認することが出来る。今回の分析結果では、カルシウム原子が検出されていないため、皮膜のみの分析を正しく実施できたと考えて良い。
本発明の皮膜は、温水に対する耐久性が良好であり、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。本発明の組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

Claims (5)

  1. ポリジアルキルシロキサン骨格を含み、X線光電子分光法で測定した炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si)が、モル基準で、0.93以上、1.38未満であり、さらに式(s1−1)で表される基を含む皮膜。
    Figure 0006914715

    [式(s1−1)中、R s2 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R s3 は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Z s1 は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH 2 −は、−O−に置き換わっていてもよい。Y s1 は、単結合又は−Si(R s2 2 −L s1 −を表す。L s1 は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH 2 −は、−O−に置き換わっていてもよい。n1は、1〜50の整数を表す。]
  2. 水の初期接触角をθ0、70℃のイオン交換水に24時間浸漬した後の水の接触角をθWとしたとき、下記式で表される接触角変化率dWの大きさが、−10%以上である請求項1に記載の皮膜。
    接触角変化率dW(%)=(θW−θ0)/θ0×100
  3. 初期の水の転落角が30°以下である請求項1又は2に記載の皮膜。
  4. ポリジアルキルシロキサン骨格由来のケイ素原子の含有率が、皮膜に含まれるケイ素原子中、70モル%以下である請求項1〜のいずれかに記載の皮膜。
  5. トリアルキルシリル基を含み、該トリアルキルシリル基由来のケイ素原子の含有率が、皮膜に含まれるケイ素原子中、5モル%以上である請求項1〜のいずれかに記載の皮膜。
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