JP2019112540A - 有機ケイ素化合物および表面処理剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機ケイ素化合物および表面処理剤組成物に関し、さらに詳述すると、加熱することなく室温で硬化して、撥水性、滑水性(水滴の落下性)、および耐久性に優れた撥水膜を与える有機ケイ素化合物およびそれを用いた表面処理剤組成物、並びに当該組成物による表面処理にて形成された撥水膜付き基材、および当該組成物を用いた撥水膜付き基材の製造方法に関する。
従来、ガラスの撥水処理剤として、フルオロアルキルシランやアミノ変性ポリシロキサンを配合した撥水剤組成物が提案されている(特許文献1〜6参照)。
これら各特許文献に開示された撥水剤組成物から作製された撥水膜は、撥水性には優れるものの、膜表面における水滴の滑水性が不十分である。
したがって、当該撥水膜を自動車のウィンドウガラスに適用する場合には、降雨時における良好な視界を確保するため、さらなる滑水性の改善が求められる。
これら各特許文献に開示された撥水剤組成物から作製された撥水膜は、撥水性には優れるものの、膜表面における水滴の滑水性が不十分である。
したがって、当該撥水膜を自動車のウィンドウガラスに適用する場合には、降雨時における良好な視界を確保するため、さらなる滑水性の改善が求められる。
この点、良好な撥水性と滑水性とを兼ね備えた撥水塗膜を与える組成物として、特許文献7には、直鎖片末端官能性ポリジメチルシロキサン化合物とシランカップリング剤とを含む組成物が提案されている。
しかし、特許文献7の組成物から形成された撥水膜は、耐久性が十分でないという問題があり、耐水性や耐摩耗性を十分に発現させることができず、また長期にわたり撥水性を維持することが困難であった。
しかし、特許文献7の組成物から形成された撥水膜は、耐久性が十分でないという問題があり、耐水性や耐摩耗性を十分に発現させることができず、また長期にわたり撥水性を維持することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、撥水性、滑水性および耐久性に優れる皮膜を形成しうる有機ケイ素化合物およびそれを含む表面処理剤組成物、並びに当該組成物による表面処理にて形成された撥水膜付き基材および当該組成物を用いた撥水膜付き基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定構造のシロキシ基および加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物を含む組成物が、加熱することなく室温で硬化して撥水性、滑水性および耐久性に優れる皮膜を与えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 下記式(1)で表されることを特徴とする有機ケイ素化合物、
[式中、R1は、互いに独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、R2は、互いに独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Xは、互いに独立して、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、L1は、酸素原子、またはZで置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキレン基もしくは炭素原子数2〜20のアルケニレン基を表し、Yは、下記式(2)で表される構造単位を2個以上含有する末端基を表し、Zは、塩素原子、臭素原子、シアノ基またはニトロ基を表し、aは、1〜100の数を表し、bは、0〜2の数を表す。
(式中、R3は、互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)]
2. 前記Yが、下記式(3)で表される1の有機ケイ素化合物、
{式中、R4は、互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、または下記式(4)で表される基を表すが、3つのR4のうち、2つ以上は下記式(4)で表される基である。
[式中、R5は、互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、または下記式(5)で表される基を表す。
(式中、R6は、互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)]}
3. 下記式(6)で表される1または2の有機ケイ素化合物、
(式中、R2、X、L1、a、bは、前記と同じ意味を表す。)
4. 前記L1が、酸素原子または炭素原子数1〜4のアルキレン基である1〜3のいずれかの有機ケイ素化合物、
5. 前記Xが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基である1〜4のいずれかの表面処理剤組成物、
6. 1〜5のいずれかの有機ケイ素化合物の加水分解縮合物、
7. 1〜5のいずれかの有機ケイ素化合物およびその加水分解縮合物の少なくとも一方、加水分解触媒、並びに有機溶剤を含む表面処理剤組成物、
8. 前記加水分解触媒が、塩酸、硝酸、りん酸、硫酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種である7の表面処理剤組成物、
9. 前記加水分解触媒が、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、およびアルキルナフタレンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である7または8の表面処理剤組成物、
10. 前記加水分解触媒が、ジノニルナフタレンスルホン酸およびジノニルナフタレンジスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である7〜9のいずれかの表面処理剤組成物、
11. さらに加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(ただし、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を除く)、およびその加水分解縮合物の少なくとも一方を含有する7〜10のいずれかの表面処理剤組成物、
12. 輸送機用ガラスの撥水処理用である7〜11のいずれかの表面処理剤組成物、
13. 輸送機用ボディーの撥水処理用である7〜11のいずれかの表面処理剤組成物、
14. 基材と、この基材上に設けられた、7〜11のいずれかの表面処理剤組成物からなる撥水膜とを有する撥水膜付き基材、
15. 前記基材と撥水膜との間に介在する下地層を備え、前記下地層が、加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(ただし、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を除く)の加水分解生成物からなる14の撥水膜付き基材、
16. 前記基材が、ガラス、金属、セラミックまたは樹脂である14または15の撥水膜付き基材、
17. 前記基材上に、7〜11のいずれかの表面処理剤組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜表面を拭き上げ処理した後、5〜35℃で硬化皮膜を形成する撥水膜付き基材の製造方法
を提供する。
1. 下記式(1)で表されることを特徴とする有機ケイ素化合物、
2. 前記Yが、下記式(3)で表される1の有機ケイ素化合物、
3. 下記式(6)で表される1または2の有機ケイ素化合物、
4. 前記L1が、酸素原子または炭素原子数1〜4のアルキレン基である1〜3のいずれかの有機ケイ素化合物、
5. 前記Xが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基である1〜4のいずれかの表面処理剤組成物、
6. 1〜5のいずれかの有機ケイ素化合物の加水分解縮合物、
7. 1〜5のいずれかの有機ケイ素化合物およびその加水分解縮合物の少なくとも一方、加水分解触媒、並びに有機溶剤を含む表面処理剤組成物、
8. 前記加水分解触媒が、塩酸、硝酸、りん酸、硫酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種である7の表面処理剤組成物、
9. 前記加水分解触媒が、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、およびアルキルナフタレンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である7または8の表面処理剤組成物、
10. 前記加水分解触媒が、ジノニルナフタレンスルホン酸およびジノニルナフタレンジスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である7〜9のいずれかの表面処理剤組成物、
11. さらに加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(ただし、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を除く)、およびその加水分解縮合物の少なくとも一方を含有する7〜10のいずれかの表面処理剤組成物、
12. 輸送機用ガラスの撥水処理用である7〜11のいずれかの表面処理剤組成物、
13. 輸送機用ボディーの撥水処理用である7〜11のいずれかの表面処理剤組成物、
14. 基材と、この基材上に設けられた、7〜11のいずれかの表面処理剤組成物からなる撥水膜とを有する撥水膜付き基材、
15. 前記基材と撥水膜との間に介在する下地層を備え、前記下地層が、加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(ただし、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を除く)の加水分解生成物からなる14の撥水膜付き基材、
16. 前記基材が、ガラス、金属、セラミックまたは樹脂である14または15の撥水膜付き基材、
17. 前記基材上に、7〜11のいずれかの表面処理剤組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜表面を拭き上げ処理した後、5〜35℃で硬化皮膜を形成する撥水膜付き基材の製造方法
を提供する。
本発明によれば、室温硬化が可能で、撥水性、滑水性および耐久性に優れる皮膜を形成しうる有機ケイ素化合物およびこれを含む表面処理剤組成物を提供することができる。
本発明の表面処理剤組成物を用いることで、撥水性、滑水性および耐久性に優れる撥水膜付き基材を簡便な方法で作製することができる。
特に、車両用、船舶用および航空機用のウィンドウガラスやミラー等として用いられる透明基材に本発明の撥水膜を適用することで、優れた撥水性および滑水性を付与することができる結果、降雨時にも良好な視界を確保することができるようになる。
本発明の表面処理剤組成物を用いることで、撥水性、滑水性および耐久性に優れる撥水膜付き基材を簡便な方法で作製することができる。
特に、車両用、船舶用および航空機用のウィンドウガラスやミラー等として用いられる透明基材に本発明の撥水膜を適用することで、優れた撥水性および滑水性を付与することができる結果、降雨時にも良好な視界を確保することができるようになる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る有機ケイ素化合物は下記式(1)で表される。
本発明に係る有機ケイ素化合物は下記式(1)で表される。
式(1)において、R1は、互いに独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、R2は、互いに独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Xは、互いに独立して、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、L1は、酸素原子、またはZで置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキレン基もしくは炭素原子数2〜20のアルケニレン基を表し、Yは、下記式(2)で表される構造単位を2個以上含有する末端基を表し、Zは、塩素原子、臭素原子、シアノ基またはニトロ基を表し、aは、1〜100の数を表し、bは、0〜2の数を表す。
上記R1およびR3における炭素原子数1〜12のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が挙げられる。
上記R2における炭素原子数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル基等が挙げられる。
上記R2における炭素原子数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル基等が挙げられる。
本発明において、上記R1およびR3としては、撥水性、滑水性および原料入手の容易さの観点から、炭素原子数が8以下のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。なお、これらの炭素原子数が12を超えると、撥水性および滑水性が低下することがある。
また、R2としては、メチル、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、R2としては、メチル、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Xは、互いに独立してヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Xが、加水分解性基の場合、本発明の有機ケイ素化合物は、分子末端のSi原子に結合した加水分解性基が加水分解することで形成されるシラノール基(≡Si−OH)により、耐久性のある皮膜を形成する。
このような加水分解性基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素原子等のハロゲン原子、イソシアネート基などが挙げられるが、これらの中でも、特にメトキシ基、塩素原子が好ましい。
このような加水分解性基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素原子等のハロゲン原子、イソシアネート基などが挙げられるが、これらの中でも、特にメトキシ基、塩素原子が好ましい。
L1は、酸素原子、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5のアルキレン基、炭素数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5のアルケニレン基を表す。なお、これらのアルキレン、アルケニレン基は、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよく、また、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)等のヘテロ原子が介在してもよい。
炭素数1〜20のアルキレン基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニレン基の具体例としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、ビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレン等が挙げられる。
これらの中でも、L1としては、酸素原子、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン基が好ましく、酸素原子、エチレン基がより好ましい。
炭素数2〜20のアルケニレン基の具体例としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、ビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレン等が挙げられる。
これらの中でも、L1としては、酸素原子、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン基が好ましく、酸素原子、エチレン基がより好ましい。
Yは、上記式(2)で表される構造単位を2個以上含有する末端基であれば、特に限定されるものではないが、本発明では、特に、下記式(3)で表される末端基が好ましい。
式(3)において、R4は、互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、または下記式(4)で表される基を表すが、3つのR4のうち、2つ以上は下記式(4)で表される基である。
式(4)中、R5は、互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、または下記式(5)で表される基を表す。
上記R4、R5およびR6における炭素原子数1〜12のアルキル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられるが、この場合も、エチル、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、aは、1〜100の数であるが、硬化皮膜の滑水性向上の観点から、5〜50の数が好ましい。なお、aが100を超えると、得られる硬化皮膜の耐久性が低下する。
一方、bは、0〜2の数であるが、0または1が好ましく、0がより好ましい。なお、bが2を超えると、得られる硬化皮膜の耐久性が不十分となる。
一方、bは、0〜2の数であるが、0または1が好ましく、0がより好ましい。なお、bが2を超えると、得られる硬化皮膜の耐久性が不十分となる。
本発明において、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物としては、下記式(6)で表されるものが好ましい。
式(1)で表される有機ケイ素化合物の好適な例として、以下のような化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機ケイ素化合物は、例えば、下記各スキームに示される(1)脱アルコールによるシリル化反応や、(2)ヒドロシリル化反応に示されるような、公知のシリル化反応によって合成することができる。
(1)脱アルコールによるシリル化反応では、末端にシラノール基(≡Si−OH)を有するシロキサン化合物へ、アルコキシシリル化剤であるアルコキシシランを反応させる。
アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
具体的な手法としては、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンと、シラノール基1モルに対して等モルを超える量のアルコキシシランとを、アミン触媒の存在下で反応させ、末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサンを含む生成物を得る。
アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
具体的な手法としては、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンと、シラノール基1モルに対して等モルを超える量のアルコキシシランとを、アミン触媒の存在下で反応させ、末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサンを含む生成物を得る。
アミン触媒としては、一級アミンが好適に使用され、その具体例としては、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、アリルアミン等が挙げられるが、分岐型アルキル鎖をもつイソプロピルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミンが好ましく、tert−ブチルアミンがより好ましい。なお、触媒は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や生産性、さらには生成物の着色の抑制や精製を容易にする等の観点から、末端にシラノール基(≡Si−OH)を有するシロキサン化合物に対して、0.01〜5質量%程度が好ましい。
触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や生産性、さらには生成物の着色の抑制や精製を容易にする等の観点から、末端にシラノール基(≡Si−OH)を有するシロキサン化合物に対して、0.01〜5質量%程度が好ましい。
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒を用いることもできる。
反応温度は、使用するアミン触媒の沸点にもよるが、通常、0〜100℃で行われ、0〜50℃が好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1〜10時間程度であるが、1〜5時間が好ましい。
反応温度は、使用するアミン触媒の沸点にもよるが、通常、0〜100℃で行われ、0〜50℃が好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1〜10時間程度であるが、1〜5時間が好ましい。
一方、(2)ヒドロシリル化反応では、末端に≡Si−H基を有するシロキサン化合物へ、末端に不飽和結合を有するシラン化合物を反応させる。
末端に不飽和結合を有するシラン化合物の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、スチリルシラン等が挙げられる。
末端に不飽和結合を有するシラン化合物の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、スチリルシラン等が挙げられる。
上記ヒドロシリル化反応には、白金化合物含有触媒が好適に使用される。
白金化合物含有触媒としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等や、白金−炭素、白金−アルミナ、白金−シリカ等の担持触媒などが挙げられる。
ヒドロシリル化の際の選択性の面から、0価の白金錯体が好ましく、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や生産性等の点から、Si−H基を有する有機ケイ素化合物1モルに対し、含有される白金原子が1×10-7〜1×10-2モルとなる量が好ましく、1×10-7〜1×10-3モルとなる量がより好ましい。
白金化合物含有触媒としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等や、白金−炭素、白金−アルミナ、白金−シリカ等の担持触媒などが挙げられる。
ヒドロシリル化の際の選択性の面から、0価の白金錯体が好ましく、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や生産性等の点から、Si−H基を有する有機ケイ素化合物1モルに対し、含有される白金原子が1×10-7〜1×10-2モルとなる量が好ましく、1×10-7〜1×10-3モルとなる量がより好ましい。
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。
使用可能な溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
使用可能な溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ヒドロシリル化反応における反応温度は特に限定されるものではなく、0℃から加熱下で行うことができるが、0〜200℃が好ましい。
適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40〜110℃がより好ましく、60〜100℃がより一層好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1〜10時間程度であるが、1〜5時間が好ましい。
適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40〜110℃がより好ましく、60〜100℃がより一層好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1〜10時間程度であるが、1〜5時間が好ましい。
本発明の表面処理剤組成物は、上述した有機ケイ素化合物、その加水分解縮合物、またはそれらの混合物と、有機溶剤とを含んで構成される。
使用可能な有機溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類などが挙げられ、これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
使用可能な有機溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類などが挙げられ、これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、表面処理剤組成物中に含まれる本発明の有機ケイ素化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、組成物全体に対し、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、0.5〜5.0質量%がより一層好ましく、この範囲とすることで、塗膜自体に均一で優れた撥水性、滑水性を与えることができる。
また、本発明の表面処理剤組成物には、有機ケイ素化合物が有する加水分解性基と水との反応を促進し、また、生成したシラノール(≡Si−OH)基と基板表面に存在するOH基との縮合反応を促進する加水分解触媒が含まれていてもよい。
加水分解触媒の具体例としては、酢酸、蟻酸、ナフタレンカルボン酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸およびその誘導体等の有機酸;塩酸、硝酸、りん酸、硫酸等の無機酸が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、硫酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸が好ましい。
加水分解触媒の濃度は、組成物全体に対し、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましい。
加水分解触媒の具体例としては、酢酸、蟻酸、ナフタレンカルボン酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸およびその誘導体等の有機酸;塩酸、硝酸、りん酸、硫酸等の無機酸が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、硫酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸が好ましい。
加水分解触媒の濃度は、組成物全体に対し、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましい。
さらに、本発明の表面処理剤組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。
硬化触媒の具体例としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンテトラアセチルアセトネート等のチタン触媒;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート等の錫触媒;アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート、モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム触媒;ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウム触媒などが挙げられる。
硬化触媒の濃度は、有機ケイ素化合物に対し、0.1〜15.0質量%が好ましく、1.0〜10.0質量%がより好ましい。
硬化触媒の具体例としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンテトラアセチルアセトネート等のチタン触媒;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート等の錫触媒;アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート、モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム触媒;ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウム触媒などが挙げられる。
硬化触媒の濃度は、有機ケイ素化合物に対し、0.1〜15.0質量%が好ましく、1.0〜10.0質量%がより好ましい。
本発明の表面処理剤組成物は、上述した本発明の有機ケイ素化合物以外の、Si原子に結合したヒドロキシ基もしくは加水分解性基を有するその他の有機ケイ素化合物、その加水分解縮合物、またはそれらの混合物をさらに含んでいてもよい。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、アシロキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
その他の有機ケイ素化合物の具体例としては、アルコキシシリル基を有するシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、ハロゲン化シリル基を有するシラン化合物として、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフルオロエチルトリクロロシラン等が挙げられる。
その他の有機ケイ素化合物の添加量は、得られる硬化皮膜の撥水性および滑水性に影響を及ぼさない量であれば特に制限はないが、本発明の有機ケイ素化合物に対し、20質量%以下が好ましい。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、アシロキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
その他の有機ケイ素化合物の具体例としては、アルコキシシリル基を有するシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、ハロゲン化シリル基を有するシラン化合物として、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフルオロエチルトリクロロシラン等が挙げられる。
その他の有機ケイ素化合物の添加量は、得られる硬化皮膜の撥水性および滑水性に影響を及ぼさない量であれば特に制限はないが、本発明の有機ケイ素化合物に対し、20質量%以下が好ましい。
なお、本発明の表面処理剤組成物は、以上説明した各成分に加え、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、金属酸化物、樹脂、染料、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられ、具体的には、シリカゾル、チタニアゾル、アルミナゾル等が挙げられる。
添加剤の添加量は、得られる硬化皮膜の撥水性および滑水性に影響を及ぼさない量であれば特に制限はないが、本発明の有機ケイ素化合物に対して30質量%以下が好ましい。
添加剤としては、金属酸化物、樹脂、染料、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられ、具体的には、シリカゾル、チタニアゾル、アルミナゾル等が挙げられる。
添加剤の添加量は、得られる硬化皮膜の撥水性および滑水性に影響を及ぼさない量であれば特に制限はないが、本発明の有機ケイ素化合物に対して30質量%以下が好ましい。
以上説明した本発明の表面処理剤組成物を基材に塗布し、乾燥させることで、基材上に撥水膜を形成することができる。
基材としては、ガラス、金属、セラミック、樹脂等を好適に用いることができる。金属としては、鉄、ステンレス等が挙げられ、セラミックとしては、チタニア、アルミナ、ジルコニア等が挙げられ、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
基材としては、ガラス、金属、セラミック、樹脂等を好適に用いることができる。金属としては、鉄、ステンレス等が挙げられ、セラミックとしては、チタニア、アルミナ、ジルコニア等が挙げられ、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
塗布方法としては、拭き付け塗布、スピンコート、バーコート、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布等の従来公知の方法を適宜採用することができる。
塗布後の乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥のいずれでもよいが、5〜150℃の範囲で行うことが好ましい。5℃未満では基材への本発明の有機ケイ素化合物の反応速度が小さくなり、反応に時間を要し、十分な耐久性が得られないことがある。150℃を超えると塗布した表面処理剤組成物の変成や熱分解が起こり易く、十分な撥水性、滑水性が得られないことがある。
特に、表面処理剤組成物を基材上に塗布した後、塗膜表面を拭き上げ処理することが好ましく、硬化皮膜を形成する温度は、室温近傍(5〜35℃)が好ましい。
塗布後の乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥のいずれでもよいが、5〜150℃の範囲で行うことが好ましい。5℃未満では基材への本発明の有機ケイ素化合物の反応速度が小さくなり、反応に時間を要し、十分な耐久性が得られないことがある。150℃を超えると塗布した表面処理剤組成物の変成や熱分解が起こり易く、十分な撥水性、滑水性が得られないことがある。
特に、表面処理剤組成物を基材上に塗布した後、塗膜表面を拭き上げ処理することが好ましく、硬化皮膜を形成する温度は、室温近傍(5〜35℃)が好ましい。
撥水膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、透明性および膜の機械的強度等を考慮すると、100nm以下が好ましい。
また、上記撥水膜は、2μl水滴で100°以上の水接触角、30μl水滴で30°以下の転落角を有することが好ましく、ヘイズ値(曇価)が好ましくは5以下、より好ましくは1以下、より一層好ましくは0.5以下の透明性を有することが好ましい。
また、上記撥水膜は、2μl水滴で100°以上の水接触角、30μl水滴で30°以下の転落角を有することが好ましく、ヘイズ値(曇価)が好ましくは5以下、より好ましくは1以下、より一層好ましくは0.5以下の透明性を有することが好ましい。
本発明の表面処理剤組成物は、基材表面に直接塗布して撥水膜(硬化皮膜)を形成することもできるが、基材表面と撥水膜との間に、本発明の有機ケイ素化合物以外の、加水分解性基を有するケイ素化合物の加水分解生成物から形成される下地層を介在させることが好ましい。このような下地層を設けることにより、撥水膜と基材との結合がより強固となり、本発明の撥水膜の耐久性が向上する。
下地層形成に用いられる有機ケイ素化合物としては、加水分解性が高く、室温近傍(5〜35℃)で基材上へ薄膜を形成するという点を考慮すると、下記式(7)で表されるイソシアネートシラン化合物が好適である。
以上説明した本発明の表面処理剤組成物からなる膜は、撥水性、滑水性および透明性に優れるため、輸送機用のガラスや車体の撥水処理に好適に用いることができる。特に、窓ガラスやミラーに適用した場合、雨天時における水滴付着による視認性低下を効率的に防止することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
撹拌機、温度計、エステルアダプターおよびジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに、アセトニトリル45.0g、化合物(8)173.4g(0.0665mol)、およびテトラメトキシシラン60.7g(0.399mol)を仕込んだ後、撹拌を加えながら、tert−ブチルアミン2.4gを添加し、50℃で5時間の熟成を行った。
続いて、ジムロート冷却管を排ガス管につなぎかえ、窒素ガスバブリング下、系内圧力10mmHg、120℃で3時間加熱した後、25℃まで冷却し、圧力を常圧に復圧した後、得られた液体をろ過精製し、有機ケイ素化合物(9)167.0gを得た。
続いて、ジムロート冷却管を排ガス管につなぎかえ、窒素ガスバブリング下、系内圧力10mmHg、120℃で3時間加熱した後、25℃まで冷却し、圧力を常圧に復圧した後、得られた液体をろ過精製し、有機ケイ素化合物(9)167.0gを得た。
化合物(8)173.4gを化合物(10)134.5g(0.0720mol)へ変更し、テトラメトキシシランの仕込み量を60.7gから65.7g(0.432mol)へ変更した以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、有機ケイ素化合物(11)132.5gを得た。
化合物(8)173.4gを化合物(12)150.5g(0.0594mol)へ変更し、テトラメトキシシランの仕込み量を60.7gから54.2g(0.357mol)へ変更した以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、有機ケイ素化合物(13)144.5gを得た。
[2]表面処理剤組成物の調製
[実施例2−1]
撹拌機、温度計、エステルアダプターおよびジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに、IPA99.0g、水0.198g(化合物(9)中メトキシ基の10倍mol)、および98質量%硫酸0.213gを仕込み、撹拌を加えながら、実施例1−1で得られた有機ケイ素化合物(9)1.0gを加えて、50℃で3時間の熟成を行った後、室温まで冷却し、表面処理剤組成物を得た。
[実施例2−1]
撹拌機、温度計、エステルアダプターおよびジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに、IPA99.0g、水0.198g(化合物(9)中メトキシ基の10倍mol)、および98質量%硫酸0.213gを仕込み、撹拌を加えながら、実施例1−1で得られた有機ケイ素化合物(9)1.0gを加えて、50℃で3時間の熟成を行った後、室温まで冷却し、表面処理剤組成物を得た。
[実施例2−2]
水の添加量を0.198gから0.272g(化合物(11)中メトキシ基の10倍mol)へ変更し、有機ケイ素化合物(9)を有機ケイ素化合物(11)へ変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
水の添加量を0.198gから0.272g(化合物(11)中メトキシ基の10倍mol)へ変更し、有機ケイ素化合物(9)を有機ケイ素化合物(11)へ変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
[実施例2−3]
水の添加量を0.198gから0.204g(化合物(13)中メトキシ基の10倍mol)へ変更し、有機ケイ素化合物(9)を有機ケイ素化合物(13)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
水の添加量を0.198gから0.204g(化合物(13)中メトキシ基の10倍mol)へ変更し、有機ケイ素化合物(9)を有機ケイ素化合物(13)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
[比較例1]
水の添加量を0.198gから0.218gへ変更し、有機ケイ素化合物(9)を下記式で表される有機ケイ素化合物(14)へ変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
水の添加量を0.198gから0.218gへ変更し、有機ケイ素化合物(9)を下記式で表される有機ケイ素化合物(14)へ変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
[比較例2]
水の添加量を0.198gから0.272gへ変更し、有機ケイ素化合物(9)を下記式で表される有機ケイ素化合物(15)へ変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
水の添加量を0.198gから0.272gへ変更し、有機ケイ素化合物(9)を下記式で表される有機ケイ素化合物(15)へ変更した以外は、実施例2−1と同様にして、表面処理剤組成物を作製した。
上記実施例2−1〜2−3および比較例1,2の組成(単位g)を表1に示す。
上記実施例2−1〜2−3および比較例1,2で調製した各表面処理剤組成物をティッシュペーパーへ含浸し、ガラス基板へ拭き付け塗工を行った。1分間、自然乾燥した後、ティッシュペーパーでガラス基板の塗工面の拭き上げ(乾拭き)処理を行った。25℃で2時間自然乾燥を行い、撥水膜付きガラス基板を得た。
次に、得られた撥水膜付きガラス基板を用いて、下記(1)〜(4)の評価試験を行った。評価結果を表2に示す。
なお、水接触角および水滴滑落角度(転落角)は、滑落ユニットを備えた接触角計(協和界面科学(株)製Drop Master DM−701)により測定した。
(1)撥水性
撥水膜付きガラス基板の被処理面上に2μlの水を滴下し、水接触角を測定した。
(2)滑水性
撥水膜付きガラス基板の被処理面上に30μlの水を滴下し、転落角を測定した。
(3)耐水性試験
撥水膜付きガラス基板を1質量%界面活性剤(ライポンF、ライオンハイジーン(株)製)水溶液中に浸漬し、超音波(100W、42kHz)を60分間照射した。試験前後の撥水膜付きガラス基板に関し、撥水性、滑水性を評価した。
(4)耐摩耗性試験
撥水膜付きガラス基板の被処理面上に対し、2cm×2cmネル布、1.2kg荷重、1,200回往復の条件で摩耗試験を実施した。試験前後の撥水膜付きガラス基板に関し、撥水性、滑水性を評価した。
次に、得られた撥水膜付きガラス基板を用いて、下記(1)〜(4)の評価試験を行った。評価結果を表2に示す。
なお、水接触角および水滴滑落角度(転落角)は、滑落ユニットを備えた接触角計(協和界面科学(株)製Drop Master DM−701)により測定した。
(1)撥水性
撥水膜付きガラス基板の被処理面上に2μlの水を滴下し、水接触角を測定した。
(2)滑水性
撥水膜付きガラス基板の被処理面上に30μlの水を滴下し、転落角を測定した。
(3)耐水性試験
撥水膜付きガラス基板を1質量%界面活性剤(ライポンF、ライオンハイジーン(株)製)水溶液中に浸漬し、超音波(100W、42kHz)を60分間照射した。試験前後の撥水膜付きガラス基板に関し、撥水性、滑水性を評価した。
(4)耐摩耗性試験
撥水膜付きガラス基板の被処理面上に対し、2cm×2cmネル布、1.2kg荷重、1,200回往復の条件で摩耗試験を実施した。試験前後の撥水膜付きガラス基板に関し、撥水性、滑水性を評価した。
表2に示されるように、実施例2−1〜2−3で得られた撥水膜付きガラス基板は、初期、耐水性試験後および耐摩耗性試験後における撥水性、滑水性が良好であることがわかる。
一方、比較例1,2で得られた撥水膜付きガラス基板は、耐水性試験後や耐摩耗性試験後において、特に滑水性が著しく低下していることがわかる。
一方、比較例1,2で得られた撥水膜付きガラス基板は、耐水性試験後や耐摩耗性試験後において、特に滑水性が著しく低下していることがわかる。
Claims (17)
- 下記式(1)で表されることを特徴とする有機ケイ素化合物。
- 前記L1が、酸素原子または炭素原子数1〜4のアルキレン基である請求項1〜3のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物。
- 前記Xが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基である請求項1〜4のいずれか1項記載の表面処理剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物の加水分解縮合物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物およびその加水分解縮合物の少なくとも一方、加水分解触媒、並びに有機溶剤を含む表面処理剤組成物。
- 前記加水分解触媒が、塩酸、硝酸、りん酸、硫酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項7記載の表面処理剤組成物。
- 前記加水分解触媒が、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、およびアルキルナフタレンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である請求項7または8記載の表面処理剤組成物。
- 前記加水分解触媒が、ジノニルナフタレンスルホン酸およびジノニルナフタレンジスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である請求項7〜9のいずれか1項記載の表面処理剤組成物。
- さらに加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(ただし、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を除く)、およびその加水分解縮合物の少なくとも一方を含有する請求項7〜10のいずれか1項記載の表面処理剤組成物。
- 輸送機用ガラスの撥水処理用である請求項7〜11のいずれか1項記載の表面処理剤組成物。
- 輸送機用ボディーの撥水処理用である請求項7〜11のいずれか1項記載の表面処理剤組成物。
- 基材と、この基材上に設けられた、請求項7〜11のいずれか1項記載の表面処理剤組成物からなる撥水膜とを有する撥水膜付き基材。
- 前記基材と撥水膜との間に介在する下地層を備え、
前記下地層が、加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(ただし、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を除く)の加水分解生成物からなる請求項14記載の撥水膜付き基材。 - 前記基材が、ガラス、金属、セラミックまたは樹脂である請求項14または15記載の撥水膜付き基材。
- 前記基材上に、請求項7〜11のいずれか1項記載の表面処理剤組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜表面を拭き上げ処理した後、5〜35℃で硬化皮膜を形成する撥水膜付き基材の製造方法。
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