JP6914714B2 - 組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、各種基材に撥水性及び撥油性を付与できる皮膜を形成するための組成物に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れや腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性及び撥油性が良好であることが求められている。
特許文献1では、曲げ形状を有するガラス基材に塗布し、滑水性ガラス物品を生産することを可能とする処理剤として、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとを含み、さらに溶剤と触媒とを含む組成物が提案されている。
特開2006−256951号公報
本発明者らは、上記特許文献1に記載の皮膜では、撥油性、密着性や製膜性が十分でない場合があるとの知見を得た。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、皮膜の撥水性と撥油性とを両立しつつ、さらには製膜性をも向上できる組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、所定の有機ケイ素化合物、金属アルコキシド及び含フッ素有機ケイ素化合物を含む組成物を用いると、得られる皮膜の撥水性と撥油性とを両立することができ、さらには製膜性も良好なものとなることを見出して、本発明を完成した。本発明は、以下の発明を含む。
[1]少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している含フッ素有機ケイ素化合物(f)を含むコーティング組成物。
[2]前記有機ケイ素化合物(a)が、式(I)で表される化合物である[1]に記載のコーティング組成物。
Figure 0006914714
[式(I)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表す。]
[3]前記金属アルコキシド(b)が、式(II)で表される化合物である[1]又は[2]に記載のコーティング組成物。
Figure 0006914714
[式(II)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Ab1は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。kは、Mに応じて、3又は4の整数を表す。]
[4]前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)が、式(III−1)及び(III−2)のいずれかで表される化合物である[1]〜[3]のいずれかに記載のコーティング組成物。
Figure 0006914714
[式(III−1)中、Rf1は、炭素数1〜8のフッ化炭素含有基を表す。Af1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Zf1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表す。]
Figure 0006914714
[上記式(III−2)中、Rf2は、加水分解性シランオリゴマー残基を表す。Af2は、それぞれ独立に、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
[5]前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)と前記有機ケイ素化合物(a)の含有率の比(含フッ素有機ケイ素化合物(f)/有機ケイ素化合物(a))が、モル比で、7/1以上、20/1以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[6]前記金属アルコキシド(b)と前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)の含有率の比(金属アルコキシド(b)/含フッ素有機ケイ素化合物(f))が、モル比で、0.01以上、50以下である[1]〜[5]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[7][1]〜[6]に記載のコーティング組成物から形成される皮膜。
本発明の組成物は、所定の有機ケイ素化合物、金属アルコキシド及び含フッ素有機ケイ素化合物を含むため、得られる皮膜の撥水性、撥油性及び密着性を両立することができ、さらには製膜性も良好となる。
本発明の組成物(以下、単に「組成物」という場合がある。)は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a);金属アルコキシド(b);及び含フッ素基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している含フッ素有機ケイ素化合物(f)を含む。金属アルコキシド(b)自体は有機ケイ素化合物(a)や含フッ素有機ケイ素化合物(f)に比べて撥水性及び撥油性への寄与は少ないものの、本発明の組成物から形成される皮膜では、金属アルコキシド(b)に由来する構造がスペーサーとして機能するためか、トリアルキルシリル基含有分子鎖や含フッ素基の撥水性及び撥油性が強調され、さらには得られる皮膜の均質性も向上すると考えられる。
前記有機ケイ素化合物(a)は、1分子中に、中心ケイ素原子に結合している少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、中心ケイ素原子に結合している少なくとも1つの加水分解性基とを有する。有機ケイ素化合物(a)としては、1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、3つの加水分解性基とが中心ケイ素原子に結合している化合物;1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つのシロキサン骨格含有基と、2つの加水分解性基とが中心ケイ素原子に結合している化合物;1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とが中心ケイ素原子に結合している化合物;等を挙げることができる。
具体的には、有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006914714
[式(I)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表す。]
前記トリアルキルシリル基含有分子鎖は、トリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した構造を有する1価の基であり、分子鎖にトリアルキルシリル含有基が結合していることで、本発明の組成物から形成される皮膜の撥水性及び撥油性が向上する。またトリアルキルシリル基含有分子鎖が存在することで、液滴(水滴、油滴等)と該皮膜の間の摩擦が低減され、液滴が移動しやすくなる。さらに、トリアルキルシリル基を有することで、化学的・物理的耐久性が高められ、耐熱性、耐光性が向上する。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に該皮膜界面(表面)の撥水・撥油性を向上することができる。
前記トリアルキルシリル含有基は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基を含む基であり、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つのトリアルキルシリル基を含む。トリアルキルシリル含有基は、式(s)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914714
[式(s)中、Rs1は炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。ただし、Rs1が全て炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基である。*は結合手を表す。]
s1で表される炭化水素基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs1が全て炭化水素基である場合、3つのRs1の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
s1で表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。複数のRs1は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。3つのRs1のうち少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、3つのRs1全てがメチル基であることが特に好ましい。
また、Rs1で表されるトリアルキルシリル基及びトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。フッ素原子の置換数としては、炭素原子の数をAとしたとき、1以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、2×A+1以下が好ましい。また、アルキル基に含まれる水素原子がフッ素原子に置換される場合、置換されるアルキル基の数は、ケイ素原子1つあたり1〜3となる範囲で適宜選択できる。
s1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Figure 0006914714
s1の少なくとも1つが、トリアルキルシリルオキシ基であってもよい。前記トリアルキルシリルオキシ基としては、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)のケイ素原子に酸素原子が結合している基が挙げられる。
s1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基である基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006914714
トリアルキルシリル基含有分子鎖において、トリアルキルシリル基は、分子鎖の末端(自由端側)、特に分子鎖の主鎖(最長直鎖)の末端(自由端側)に結合していることが好ましい。
トリアルキルシリル基が結合している分子鎖は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。前記分子鎖は、ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましく、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましい。また前記分子鎖は、2価の炭化水素基を含んでいてもよい。分子鎖の一部が2価の炭化水素基であっても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
前記分子鎖は、式(s2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914714
[式(s2)中、Rs2は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys1は、単結合又は−Si(Rs22−Ls1−を表す。Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。左側の*は、中心ケイ素原子との結合手を表し、右側の*はトリアルキルシリル含有基との結合手を表す。]
前記Rs2で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs2で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
n1は、1〜100であることが好ましく、より好ましくは1〜80、さらに好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜30である。
s1又はLs1で表される2価の炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。
また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルカンジイル基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。この場合連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素原子数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
前記式(s2)において、Zs1が−O−であり、Ys1が単結合であること、すなわち前記分子鎖は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。ジアルキルシロキサン鎖がジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなる場合、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれる分子鎖としては、下記式で表される分子鎖を挙げることができる。式中、p1は1〜30の整数を表し、*は、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子又はトリアルキルシリル含有基に結合する結合手を表すものとする。
Figure 0006914714
Figure 0006914714
Figure 0006914714
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子の合計数は、24以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上であり、1200以下であることが好ましく、より好ましくは700以下、さらに好ましく250以下である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914714
[式(s1)中、Rs1、Rs2、Zs1、Ys1、n1は、上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1−1)で表される基であることがより好ましく、下記式(s1−1−1)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 0006914714
[式(s1−1)及び(s1−1−1)中、Rs2、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*はケイ素原子との結合手を表す。]
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1−2)で表される基であることも好ましく、下記式(s1−2−1)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 0006914714
[式(s1−2)及び式(s1−2−1)中、Rs2、Rs3、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
s3で表されるアルキル基としては、Rs1で表される炭化水素基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられ、該アルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2である。また、*−Si(Rs33に含まれるRs3の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
さらに、*−Si(Rs33に含まれるRs3のうち、少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
トリアルキルシリル基含有分子鎖としては式(s1−I)で表される基が挙げられる。
Figure 0006914714
Figure 0006914714
Figure 0006914714
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の個数は、1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。
前記加水分解性基は、ケイ素原子に結合している場合、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、1〜3であり、2〜3であることが好ましい。
以下、加水分解性基がケイ素原子に結合している基を加水分解性ケイ素基という場合がある。
前記シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有する1価の基であり、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりも少ない数の原子で構成されるものであればよい。これにより、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも長さが短いか、立体的な広がり(かさ高さ)が小さな基となる。シロキサン骨格含有基には、2価の炭化水素基が含まれていてもよい。
シロキサン骨格含有基は、下記式(s2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914714
[式(s2)中、Rs2は上記と同義である。Rs5は、炭化水素基又はヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。Zs2は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys2は、単結合又は−Si(Rs22−Ls2−を表す。Ls2は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。n2は、0〜5の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]
s5で表される炭化水素基としては、Rs1で表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭素数は1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
s2又はLs2で表される2価の炭化水素基としては、Zs1で表される2価の炭化水素基と同様の基が挙げられ、炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。また、Zs2又はLs2で表される2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基であることがさらに好ましい。
n2は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006914714
前記炭化水素鎖含有基は、炭化水素鎖を含む1価の基であり、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ないものであればよい。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖の最長直鎖を構成する原子数よりも、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数が少ないものであることが好ましい。
炭化水素鎖含有基は、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されていてもよく、この炭化水素鎖に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されていることが好ましい。ただしSi原子に隣接する−CH2−は−O−に置き換わることはなく、また連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、−O−を−CH2−と読み替えて数えた炭素原子の数を意味するものとする。以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、その−CH2−のうち一部を−O−に置き換えることが可能である。
前記炭化水素鎖含有基の炭素数は1〜3であることが好ましく、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、分岐鎖状であっても直鎖状であってもよい。前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基が好ましい。
炭化水素鎖に含まれる−CH2−が−O−に置き換わる場合、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
中でも、有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I−1)で表される化合物であることが好ましく、式(I−1−1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0006914714
[式(I−1)及び(I−1−1)中、Aa1、Za1、Zs1、Ys1、Rs2、Rs3、n1は、それぞれ上記と同義である。]
また有機ケイ素化合物(a)は、式(I−2)で表される化合物であってもよく、好ましくは式(I−2−1)で表される化合物であってもよい。
Figure 0006914714
[式(I−2)及び式(I−2−1)中、Aa1、Za1、Zs1、Ys1、Rs2、Rs3、n2は、それぞれ上記と同義である。]
有機ケイ素化合物(a)としては、具体的には、式(I−I)で表される基が挙げられる。
Figure 0006914714
Figure 0006914714
Figure 0006914714
Figure 0006914714
Figure 0006914714
有機ケイ素化合物(a)の合成方法の例としては、次のような方法があげられる。第一の方法としては、トリアルキルシリル基含有分子鎖とハロゲン原子(好ましくは塩素原子)とが結合した化合物と、ケイ素原子に加水分解性基が3つ以上(特に4つ)結合した化合物とを反応させることにより、製造することができる。
第二の合成方法としては、ジアルキルシロキサン鎖の両末端にハロゲン原子が結合した化合物(以下、「ジハロゲン化ジアルキルシロキサン」)と、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基と、M1O−基(M1は、アルカリ金属を表す。)が結合した化合物(以下、「アルカリ金属シリルオキシド」)及びケイ素原子に加水分解性基が4つ結合した化合物を反応させることにより製造することができる。これらの化合物の反応順序は限定されないが、まずジハロゲン化ジアルキルシロキサンとアルカリ金属シリルオキシドを反応させ、次いで、ケイ素原子に加水分解性基が4つ結合した化合物を反応させることが好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。また、前記アルカリ金属としては、リチウムが好ましい。
アルカリ金属シリルオキシドは、例えば、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基とヒドロキシ基が結合した化合物に、アルキルアルカリ金属を反応させることにより製造することができる。有機アルカリ金属化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムが挙げられ、特に好ましくはn−ブチルリチウムである。
また第三の合成方法としては、有機ケイ素化合物(a)は、例えば、アルカリ金属シリルオキシド及び環状ジメチルシロキサンを反応させ、次いで、ケイ素原子に加水分解性基が3つとハロゲン原子(特に、塩素原子)が1つ結合している化合物を反応させることにより製造することもできる。
また、第四の合成法としては、有機ケイ素化合物(a)は、例えば、アルカリ金属シリルオキシド及び環状ジメチルシロキサンを反応させ、末端に水酸基を有するジメチルシロキサンを得、次いで、テトラアルコキシシランを反応させることにより、製造することもできる。
有機ケイ素化合物(a)の含有率は、組成物100質量%中、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
前記金属アルコキシド(b)は、アルコキシ基が金属原子に結合している化合物であり、本発明の組成物から形成される皮膜において、スペーサー機能を有する部位が形成されうる。その結果、トリアルキルシリル基含有分子鎖や含フッ素基による撥水性・撥油性向上作用を高めることができ、さらには製膜性も良好となる。
前記金属アルコキシド(b)は、具体的には、式(II)で表される化合物であることが好ましい。また、式(II)で表される化合物は、その加水分解縮合物であってもよい。ここで、加水分解縮合物は、各化合物(II)に含まれる全部又は一部のアルコキシ基が、加水分解により縮合した化合物を意味する。
Figure 0006914714
[式(II)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Ab1は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。kは、Mの価数に応じて、3又は4の整数を表す。]
Mは、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であり、該金属原子には、Si、Ge等の半金属も含まれる。Mとしては、Al、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;等が挙げられ、好ましくはAl等の3価金属;Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;であり、さらに好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、特に好ましくはSiである。これら金属のアルコキシドは、液状化が容易である。また、Mが3価金属の場合、kは3を表し、Mが4価金属の場合、kは4を表す。
b1で表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
また、有機ケイ素化合物(a)の加水分解性基と金属アルコキシド(b)のアルコキシ基は、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
金属アルコキシド(b)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;等が挙げられる。
金属アルコキシド(b)の含有率は、組成物100質量%中、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明の組成物において、金属アルコキシド(b)と有機ケイ素化合物(a)の比(金属アルコキシド(b)/有機ケイ素化合物(a))は、モル基準で1/10以上であることが好ましく、より好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上であり、100/1以下であることが好ましく、より好ましくは50/1以下、さらに好ましくは30/1以下、よりいっそう好ましくは25/1以下である。
前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)は、1分子中に、中心ケイ素原子に結合している少なくとも1つの含フッ素基と、中心ケイ素原子に結合している少なくとも1つの加水分解性基とを有する。組成物に含フッ素有機ケイ素化合物が含まれることで、得られる皮膜の撥水性及び撥油性が高められやすくなる。
前記含フッ素基は、炭素原子とフッ素原子とが結合している構造を含む基であり、置換基を有していてもよいフッ化炭化水素基であってもよく、フッ化炭化水素基が結合しているケイ素原子と−O−とが交互に配置された基(加水分解性シランオリゴマー残基という場合がある。)であってもよい。
前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)は、具体的には、下記式(III−1)又は(III−2)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。また、式(III−1)又は(III−2)で表される化合物は、それぞれ、その加水分解縮合物(化合物に含まれる加水分解性基が、加水分解により縮合した基)であってもよい。
Figure 0006914714
[式(III−1)中、Rf1は、炭素数1〜8のフッ化炭素含有基を表す。Af1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Zf1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表す。]
Figure 0006914714
[上記式(III−2)中、Rf2は、加水分解性シランオリゴマー残基を表す。Af2は、それぞれ独立に、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
f1、Af2及びZf1で表される加水分解性基としては、有機ケイ素化合物(a)の加水分解性基と同様の基が挙げられ、アルコキシ基又はイソシアネート基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましい。
また、含フッ素有機ケイ素化合物(f)と有機ケイ素化合物(a)の加水分解性基は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましく、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
f1で表されるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基及びRf1で表されるフッ化炭素含有基の原子数は、有機化合物(a)における分子鎖(好ましくはトリアルキルシリル基と加水分解性ケイ素基をつなぐ鎖状或いは環状の炭化水素及び/又は鎖状或いは環状のジアルキルシロキサン)の原子数よりも少ないことが好ましい。また、Zf1におけるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又はRf1で表されるフッ化炭素含有基に含まれる最長直鎖の炭素数は、トリアルキルシリル基含有分子鎖の原子数よりも少ないものであることが好ましい。これにより、本発明の組成物から形成される皮膜において、金属アルコキシド(b)に由来する構造がスペーサーとして作用することが可能となる。
f1で表されるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基としては、 a1 で表されるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基とそれぞれ同様の基が挙げられる。
f1で表されるフッ化炭素含有基は、フッ素原子が炭素原子に結合した構造を含む1価の基であり、フルオロアルキル基を末端に有する基が好ましく、フルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)を末端に有する基が好ましい。フッ化炭素含有基としては、式(f1)で表される基が好ましい。
Figure 0006914714
[上記式(f1)中、
f3は、炭素数1〜20の含フッ素アルキル基を表す。Rf4は、フッ素原子又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。Rb4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Lは、−O−、−COO−、−OCO−、−NRf5−、−NRf5CO−、及び−CONRf5−のいずれかを表す。Rf5は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基を表す。h1〜h5は0以上100以下の整数であり、h1〜h5の合計値は100以下である。また、h1〜h5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意である。*は結合手を表す。]
f3又はRf4で表される含フッ素アルキル基の炭素数は、1〜20であり、1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。また、Rf3又はRf4で表される含フッ素アルキル基におけるフッ素原子の置換数は、該含フッ素アルキル基に含まれる炭素原子の数をAとしたとき、1以上、2A+1以下であり、2A+1であること、すなわち該含フッ素アルキル基はペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
b4で表されるアルキル基としては、Rs1で表される炭化水素基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
Lとしては、−O−、−COO−、及び−OCO−のいずれかが好ましい。
h1は1〜30であることが好ましく、1〜25であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜5であることが特に好ましく、最も好ましくは1〜2である。h2は0〜15であることが好ましく、より好ましくは0〜10である。h3は0〜5であることが好ましく、より好ましくは0〜2である。h4は0〜4であることが好ましく、より好ましくは0〜2である。h5は0〜4であることが好ましく、より好ましくは0〜2である。h1〜h5の合計値は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また80以下が好ましく、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
特に、Rf3が炭素数1〜5のペルフルオロアルキルであり、Rf4がフッ素原子又は炭素数1〜5のペルフルオロアルキルであり、Rb4が水素原子であり、h3、h4及びh5がいずれも0であり、h1が1〜5であり、h2が0〜5であることが好ましい。
前記フッ化炭素含有基としては、例えば下記式で表される基が挙げられる。式中、Rf3、Rb4は上記と同義であり、Rf3は好ましくは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基であり、Rb4は好ましくは水素原子である。また、r2は5〜20であり、好ましくは8〜15である。r3は1〜7であり、好ましくは2〜6である。r4は1〜10であり、好ましくは3〜7である。r5は1〜6であり、好ましくは2〜4である。
Figure 0006914714
式(f1−1)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006914714
式(f1−2)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。
Figure 0006914714
式(f1−3)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。
Figure 0006914714
式(f1−4)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf2は炭素数5〜20のアルカンジイル基を表す。
Figure 0006914714
式(f1−5)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。ただしLf3は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Figure 0006914714
フッ化炭素含有基は、フルオロアルキルアリール基、フルオロアルキルアルケニル基、フルオロアルキルアルキニル基等であってもよい。フルオロアルキルアリール基としては、(フルオロC1-8アルキル)フェニル基、(フルオロC1-8アルキル)ナフチル基が挙げられ、フルオロアルキルアルケニル基としては、(フルオロC1-17アルキル)ビニル基が挙げられ、フルオロアルキルアルキニル基としては、(フルオロC1-17アルキル)エチニル基が挙げられる。
f1は、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。
式(III−2)中、Rf2で表される加水分解性シランオリゴマー残基は、ケイ素原子と、ケイ素原子に結合する加水分解性基とを含む化合物(以下、「加水分解性シランモノマー」という場合がある)の加水分解縮合物に由来する1価の基を意味する。加水分解性シランオリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数は、例えば3以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。加水分解性シランオリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。
また、前記加水分解性シランオリゴマー残基がアルコキシ基を有する場合、該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基等である。前記加水分解性シランオリゴマー残基は、これらアルコキシ基の1種又は2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。
加水分解性シランオリゴマー残基は、式(f2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006914714
[上記式(f2)中、Af3は、それぞれ独立に、加水分解性基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基を表す。h6は0以上100以下の整数である。
*はSiとの結合手を表す。]
f3で表される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4(好ましくは1〜2)のアルコキシ基;水素原子;シアノ基;アリル基、イソシアネート基;が挙げられ、アルコキシ基が好ましく、エトキシ基、メトキシ基、イソシアネート基がより好ましい。h6は0以上10以下であることが好ましく、より好ましくは0以上7以下である。
f3としては加水分解性基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基が好ましく、Af3のうち少なくとも一つが炭素数1〜4の含フッ素アルキル基であることが好ましい。またAf3のうち少なくとも一つは加水分解性基(特にメトキシ基、エトキシ基)であることが好ましい。
加水分解性シランオリゴマー残基としては、例えば下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006914714
式(III−1)で表される化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。式中、r1は1〜15であり、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6である。
式(III−1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物も挙げられる。
式中、r2は5〜20であり、好ましくは8〜15である。r3は1〜7であり、好ましくは2〜6である。r4は1〜10であり、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5である。r5は1〜5であり、好ましくは2〜4である。r6は2〜10であり、好ましくは2〜8である。r7は2〜10であり、好ましくは3〜7である。
Figure 0006914714
式(III−2)で表される化合物としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006914714
含フッ素有機ケイ素化合物(f)の含有率は、組成物100質量%中、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。
本発明の組成物において、含フッ素有機ケイ素化合物(f)と有機ケイ素化合物(a)の含有率の比(含フッ素有機ケイ素化合物(f)/有機ケイ素化合物(a))は、モル比で1/1以上であることが好ましく、より好ましくは7/1以上、さらに好ましくは10/1以上であり、100/1以下であることが好ましく、より好ましくは50/1以下、さらに好ましくは25/1以下、よりいっそう好ましくは20/1以下、特に好ましくは15/1以下である。
本発明の組成物において、金属アルコキシド(b)と含フッ素有機ケイ素化合物(f)の含有率の比(金属アルコキシド(b)/含フッ素有機ケイ素化合物(f))は、モル比で0.01以上であることが好ましく、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上であり、50以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、よりいっそう好ましくは5以下であるである。
本発明の組成物は、さらに溶剤(c)を含んでいることが好ましい。溶剤(c)としては、水;アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の親水性有機溶剤;芳香族炭化水素系溶剤、飽和炭化水素系溶剤等の疎水性有機溶剤が挙げられる、これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、飽和炭化水素系溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、水を含んでいてもよい。
水を含む場合、溶剤(c)中、水の含有率は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
溶剤(c)は、有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)の合計1質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは12質量部以上であり、100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。溶剤(c)の量がこの範囲にあると、皮膜の厚みの制御が容易である。
本発明の組成物は、さらに、触媒(d)を含んでいてもよい。触媒(d)は、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解触媒として作用しうるものであればよく、例えば、酸性化合物;塩基性化合物;有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニア;アミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn等の金属元素を中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物;オクチル酸鉄等の有機鉄化合物;亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
中でも、触媒(d)としては、有機金属化合物、酸性化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物、塩酸がより好ましい。
触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0002質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
また、触媒として酸性化合物を用いる場合、触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)の合計100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以下である。
さらに、触媒として有機金属化合物を用いる場合、触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0002質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、0.1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以下である。
さらに本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等の各種の添加剤を含んでいてもよい。
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−ジエチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。
前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。
前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;第四級アンモニウム塩;アルカンチオール;イミダゾリン、イミダゾール、アルキルイミダゾリン誘導体、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール等のアゾール類;メタバナジン酸ナトリウム;クエン酸ビスマス;フェノール誘導体;アルキルアミンやポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン、芳香族アミン、エトキシ化アミン、シアノアルキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミン、アルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミド;アルキルエステル;ピリミジン;ナフテン酸;スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩;ポリアルコール、ポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩;ゼラチン;カルボン酸のポリマー;ニトロ化合物;ホルムアルデヒド;アセチレンアルコール;脂肪族チオール、芳香族チオール、アセチレンチオール等のチオール化合物;脂肪族スルフィド、芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物;スルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物;チオ尿素;アミン又は第四級アンモニウム塩とハロゲンイオンの組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンとリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。
前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリル)ベンイミダゾール、ソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウム、デヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノール及び1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。
前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(P−トリル)メタンスルフェンアミド、ピリジン−トリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、チオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類、アルキルピリジン化合物、グラミン系化合物、イソニトリル化合物等が挙げられる。
前記消臭剤としては、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸、アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類;ウンデシレン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄、硫酸鉄、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化銀、酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン、可視光応答型二酸化チタン(窒素ドープ型など)等の金属化合物;α−、β−又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類;多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチン、キトサン、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、セラミック等の多孔質体等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ−ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料等が挙げられる。
前記難燃剤としてはデカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤、カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。
また、添加剤としてさらに、滑剤、充填剤、可塑剤、核剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、結着剤等を共存させてもよい。
これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、組成物中、通常、0.1〜70質量%であり、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%である。
また、有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)の合計(溶剤(c)を含む場合、有機ケイ素化合物(a)と金属アルコキシド(b)と含フッ素有機ケイ素化合物(f)と溶剤(c)の合計)の含有量は、組成物中、通常60質量%以上であり、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95量%以上である。
有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)とを基材と接触させる方法としては、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などが挙げられ、スピンコーティング法、スプレーコーティング法が好ましい。スピンコーティング法、スプレーコーティング法によれば、皮膜の厚さの調整が容易になる。
この際、組成物は、必要に応じて、さらに希釈しておいてもよい。希釈倍率は、希釈前の組成物に対して、例えば2〜100倍であり、好ましくは5〜50倍である。希釈溶剤としては、溶剤(c)として例示した溶媒を適宜使用することができる。
本発明の組成物と基材とを接触させた状態で、空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解されてシロキサン骨格を形成し、皮膜が形成される。静置する際、40〜250℃で保持してもよい。
上記組成物から形成される皮膜も本発明の範囲に包含される。該皮膜には、有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素有機ケイ素化合物(f)に由来する構造が含まれる。
本発明の皮膜に対する水の初期接触角θ01は、80°以上であることが好ましく、より好ましくは90°以上、さらに好ましくは100°以上であり、140°以下であってもよく、さらには130°以下であってもよい。
前記接触角は、液量3.0μLの水を用い、θ/2法により測定した値を意味する。
本発明の皮膜に対する油の初期接触角θ02は、55°以上であることが好ましく、より好ましくは60°以上、さらに好ましくは65°以上であり、120°以下であってもよく、さらには110°以下であってもよい。
前記接触角は、液量3.0μLのヘキサデカンを用い、θ/2法により測定した値を意味する。
本発明の皮膜は、70℃のイオン交換水に12時間浸漬した後の接触角をθw2としたとき、下記式で表される接触角変化率dw2は、−25%以上であることが好ましく、より好ましくは−15%以上、さらに好ましくは−12%以上であり、0%であることが好ましいものの、−1%以下、さらには−5%以下であることも許容される。
接触角変化率dw2(%)=(θw2−θ01)/θ01×100
有機ケイ素化合物(a)に由来する構造(A)は、式(IA)で表される。
Figure 0006914714
[式(IA)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は−O−基を表す。]
式(IA)中、Ra、Za1のトリアルキルシリル基含有分子鎖、Za1のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基は、それぞれ、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基として上記説明した範囲から適宜選択できる。
中でも、式(IA)中、Za1は、シロキサン骨格含有基又は−O−基であることが好ましく、−O−基であることがより好ましい。
構造(A)としては、式(IA−I)で表される構造が挙げられる。
Figure 0006914714
Figure 0006914714
Figure 0006914714
また、金属アルコキシド(b)に由来する構造(B)では、金属原子(ただし金属原子がケイ素原子である場合、トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合しているケイ素原子とは異なる)に結合する基(炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基等)は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも構成原子数が少ないため、該構造(B)がスペーサーとして作用する結果、トリアルキルシリル基含有分子鎖による撥水特性向上作用が高められやすくなる。また、金属アルコキシド(b)を含むことによって、耐温水性が高く、実用耐久性に優れた膜を得ることが出来る。
金属アルコキシド(b)に由来する構造(B)は、式(IIB)で表される。
Figure 0006914714
[式(IIB)中、M、kは上記と同義である。Rb2は、ヒドロキシ基又は−O−基を表す。]
構造(B)としては、MがSiの場合、下記式で表される構造が挙げられる。
Figure 0006914714
含フッ素有機ケイ素化合物(f)に由来する構造(F)は、式(IIIF−1)又は(IIIF−2)で表される。
Figure 0006914714
[式(IIIF−1)及び式(IIIF−2)中、Rf1、Rf2は上記と同義である。Zf2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基又は−O−基を表す。Af3は、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基又は−O−基を表す。]
f2で表されるシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基としては、 a1 で表されるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基とそれぞれ同様の基が挙げられる。
構造(F)としては、下記式で表される構造が挙げられる。式中、r8は1〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。r9は1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。r10は1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。
Figure 0006914714
本発明の組成物から形成される皮膜は、トリアルキルシリル基含有分子鎖及び含フッ素基を有するものであり、且つ金属アルコキシド(b)に由来してスペーサーとしての機能を発揮できる部位を有するものであるため、撥水性及び撥油性を両立することができるとともに、皮膜表面の平滑性も良好である。
基材上に本発明の皮膜を形成した皮膜処理基材も本発明の範囲に包含される。基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料、無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックス;ガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には、予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。
プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)(以下、成分(P)という場合がある。)を含むプライマー層形成用組成物から形成された層が好ましい。プライマー層形成用組成物は、成分(P)として下記式(Pa)で表される化合物(以下、化合物(Pa)という場合がある。)及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含むことが好ましい。
Si(XP24 …(Pa)
[式(Pa)中、XP2は、ハロゲン原子、アルコキシ基又はイソシアネート基を示す。]
上記式(Pa)中、XP2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又はイソシアネート基であることが好ましく、4個のXP2が同一であることが好ましい。
化合物(Pa)としては、1種又は2種以上を用いることができ、Si(NCO)4、Si(OCH34、Si(OC254等が好ましい。
プライマー層形成用組成物に含まれる(P1)成分は、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pa)の部分加水分解縮合物は、酸触媒や塩基触媒を用い、一般的な加水分解縮合方法により製造することができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度であることが好ましい。(P1)成分としては、化合物(Pa)であっても、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(Pa)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(Pa)が含まれる化合物(Pa)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pa)やその部分加水分解縮合物としては市販品を用いることもできる。
また、プライマー層形成用組成物は、成分(P)として、さらに式(Pb)で表される化合物(以下、化合物(Pb)という場合がある)及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分を含んでいてもよい。
(XP33Si−(CH2p−Si(XP33 …(Pb)
[ただし、式(Pb)中、XP3はそれぞれ独立して加水分解性基又は水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]
式(Pb)中、XP3で示される加水分解性基としては、上記XP2と同様の基又は原子が挙げられる。化合物(Pb)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、XP3としては、アルコキシ基及びイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。化合物(Pb)中に複数個存在するXP3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
化合物(Pb)としては、1種又は2種以上を用いることができ、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH33、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C25O)3SiCH2CH2Si(OC253、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33等が挙げられる。
成分(P2)は、化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pb)の部分加水分解縮合物は、化合物(Pa)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度であることが好ましい。成分(P2)としては、化合物(Pb)であっても、化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(Pb)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(Pb)が含まれる化合物(Pb)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(Pb)やその部分加水分解縮合物としては市販品を用いることも可能である。
またプライマー層形成用組成物には、成分(P)として化合物(Pb)と化合物(Pa)との共加水分解による共加水分解縮合物が含まれていてもよく、各種ポリシラザンが含まれていてもよい。
プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであることが好ましく、組成物に用いられる溶剤(c)と同様の溶剤が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性、蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。
プライマー層形成用組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。
さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。プライマー層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。
プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中又は窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、組成物の硬化と同時に行ってもよい。
プライマー層の厚さは、その上に形成される皮膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。
本発明の組成物から形成される皮膜は、撥水・撥油性、密着性及び製膜性を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。本発明の組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
接触角評価
協和界面科学社製DM700を使用し、液滴法(解析方法:θ/2法)で、皮膜表面の水及びヘキサデカンの接触角を測定した。水滴量は3.0μLであり、油滴量は3.0μLである。
照度1000ルクスの環境において、皮膜を目視にて観察し、着色や異物の有無(以下、まとめて「汚れ」と記載する)を官能評価にて、以下の通り製膜性を評価した。
◎:全く汚れがない
○:よく見ると汚れが確認できる
△:膜の部分的な汚れが確認できる
×:膜の全体的な汚れが確認できる
温水試験
70℃のイオン交換水に皮膜を12時間浸漬し、浸漬前後の水の接触角を測定した。
試験後の接触角と変化率から温水試験耐性の総合評価を行った。
◎:接触角が99°以上かつ接触角の変化率が−10%以上
○:接触角が99°未満〜90°以上、かつ接触角変化率が−10%以上
×:接触角が90°未満、または接触角変化率が−10%未満
実施例1−1
三ツ口フラスコに、トリス(トリメチルシロキシ)シラノールを4.69g、テトラヒドロフラン(THF)を21.0g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を9.38mL滴下した。0℃まで昇温し、21gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン10.01gを滴下し、17時間撹拌した。−40℃に冷却し、反応液にTHF、イオン交換水、ヘキサンを順次加え、分液して、有機層を取り分けた。イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、無色透明の中間体1を得た。
中間体1を9.47g、テトラメトキシシラン(TMOS)を8.97g、t−ブチルアミンを151.2μL仕込み、撹拌しながら30℃で5時間反応を行った。12hPa、140℃で減圧濃縮し、下記式で表される化合物1を得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、8であった。
Figure 0006914714
実施例1−2
トリメチルシラノール0.72g、THF6.72mLを四つ口フラスコに仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を5.00mL滴下した。0℃まで昇温し、16.43mLのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン14.24gを滴下し、室温に昇温して17時間撹拌した。−40℃に冷却し、クロロトリエトキシシラン1.59gを滴下した。ヘキサンを加えて濾過した。濾液を13hPa、25℃で濃縮し、化合物2を得た。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、8であった。
Figure 0006914714
実施例2−1
有機ケイ素化合物(a)としての化合物1、金属アルコキシド(b)としてのテトラエトキシシラン(TEOS)、含フッ素有機ケイ素化合物(f)としてのトリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン(C49−C24−Si−(OC253)、触媒(d)としての0.01M塩酸、及び溶剤(c)としてのメチルエチルケトン(MEK)を表に示す組成比で混合し、24h撹拌して塗布液を得た。アルカリ洗浄したガラス基板(EAGLE XG、Corning社)にスピンコーター(MIKASA社製)を用いて得られた塗布液を3000rpm、20sでコーティングし、1日室温で静置した後、さらに所定の温度で硬化させて、皮膜を得た。
実施例2−2〜2−8、比較例1〜4
表9に示す組成比で混合し塗布液を得た後、実施例2−1と同様の操作をして皮膜を得た。作製した皮膜について、接触角(水又はヘキサデカン)及び温水試験後の接触角を評価した。
Figure 0006914714
表中、比較化合物1は、下記式で表される化合物を表す。式中、括弧でくくられた単位の平均繰り返し数をNMRスペクトルから算出したところ、24であった。
Figure 0006914714
Figure 0006914714
実施例で得られた組成物は、皮膜形成時の製膜性に優れ、得られる皮膜は、撥水性・撥油性、密着性および製膜性に優れていた。一方、比較例で得られた組成物は、いずれも皮膜形成時の製膜性に劣っていた。さらに、比較例4の組成物から得られた皮膜は、撥水性・撥油性に劣っており、比較例2及び比較例4の組成物から得られた皮膜は、温水試験の結果、密着性が劣っていることがわかった。
本発明の組成物から形成される皮膜は、撥水・撥油性、密着性及び製膜性を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。また本発明の組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している含フッ素有機ケイ素化合物(f)を含み、前記金属アルコキシド(b)が、式(II)で表される化合物である混合組成物。
    Figure 0006914714
    [式(II)中、MはSiを表す。A b1 は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。kは4を表す。]
  2. 前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)と前記有機ケイ素化合物(a)の含有率の比(含フッ素有機ケイ素化合物(f)/有機ケイ素化合物(a))が、モル比で、7/1以上、20/1以下である請求項1に記載の組成物。
  3. 少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)、金属アルコキシド(b)及び含フッ素基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している含フッ素有機ケイ素化合物(f)を含み、前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)と前記有機ケイ素化合物(a)の含有率の比(含フッ素有機ケイ素化合物(f)/有機ケイ素化合物(a))が、モル比で、7/1以上、20/1以下である混合組成物。
  4. 前記金属アルコキシド(b)が、式(II)で表される化合物である請求項に記載の組成物。
    Figure 0006914714
    [式(II)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Ab1は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。kは、Mの価数に応じて、3又は4の整数を表す。]
  5. 前記有機ケイ素化合物(a)が、式(I)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
    Figure 0006914714
    [式(I)中、Rはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表す。]
  6. 前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)が、式(III−1)及び(III−2)のいずれかで表される化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
    Figure 0006914714
    [式(III−1)中、Rf1は、炭素数1〜8のフッ化炭素含有基を表す。Af1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Zf1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表す。]
    Figure 0006914714
    [上記式(III−2)中、Rf2は、加水分解性シランオリゴマー残基を表す。Af2は、それぞれ独立に、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
  7. 前記金属アルコキシド(b)と前記含フッ素有機ケイ素化合物(f)の含有率の比(金属アルコキシド(b)/含フッ素有機ケイ素化合物(f))が、モル比で、0.01以上、50以下である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物から形成される皮膜。
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