JP2002084006A - 酸化物熱電変換材料 - Google Patents
酸化物熱電変換材料Info
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Abstract
であり、変換効率が比較的高いp型の酸化物熱電変換材
料を実現する。 【解決手段】 本発明に係る第1の酸化物熱電変換材料
は、RCoO3で表される酸化物半導体からなり、Rは
希土類元素であることを特徴とする。第2の酸化物熱電
変換材料は、希土類元素Rの一部がアルカリ土類金属元
素Mで置換されたR1−xMxCoO3(0<x≦0.
5)で表される。前記希土類元素Rは例えばHo、D
y、Gd、Sm、Nd、Prであり、前記アルカリ土類
元素Mは例えばMg、Ca、Sr、Baである。
Description
気を熱に変換できる熱電変換材料に関し、更に詳細に
は、高温領域で安定して作動する新規な酸化物半導体か
らなる酸化物熱電変換材料に関する。
ック効果と称している。この現象は、異なる二つの物質
を接合して二箇所の接合部を有する閉回路を形成し、一
方の接合部を加熱するとともに他方を冷却すると、両物
質の材質の相違及び温度差に基づいて熱起電力が発生す
ることである。
ルチエ効果がある。即ち、前記閉回路を開いて外部から
直流電流を通電すると、一方の接合部では熱を吸収し、
他方の接合部では熱を発生する。また、類似現象として
トムソン効果も知られている。均質な物質の両端に温度
差をつくり、この温度勾配に沿って電流を流すと、物質
内で熱の吸収や発生が生じる現象である。
ムソン効果等は、熱電変換効果と総称されており、いず
れの現象も可逆性を有する。これに対し、高温部から低
温部に熱が伝わる熱伝導や電気抵抗で電流発熱するジュ
ール効果などは非可逆現象である。
変換する熱電発電が可能になり、逆にペルチエ効果を利
用すれば、電気を熱に変換する熱電冷却が可能になる。
このような熱電変換効果を有する材料を熱電変換材料と
称する。
ている。例えば、エネルギーの化石燃料(石油や石炭な
ど)への依存度は極めて高く、燃焼に伴って熱と同時に
放出されるCO2、NOx、SOxは環境破壊の原因物
質とも言われている。しかも、その火力発電の効率は約
1/3に過ぎないため、残りの約2/3の熱は環境にそ
のまま放出されている。この廃熱を少しでも回収利用で
きれば、化石燃料の使用量を減じることが可能になり、
環境保全への貢献につながる。このため、熱電発電の技
術は近年極めて重要になりつつある。
ばれるn型熱電変換材料(n型導電体ともいう)と、ホ
ールにより正電荷が運ばれるp型熱電変換材料(p型導
電体ともいう)がある。n型導電体とp型導電体を並列
に接続し、一端側を加熱して他端側を冷却すると、高温
側から低温側に電子とホールが移動し、この電荷移動に
よって発電が行われる。
なり、p型導電体では低温側が正極になる。従って、p
型導電体とn型導電体がそれぞれ電池になり、しかも電
池として直列接続された形態になるため、このpn対に
より発生する電圧はp型導電体の起電力とn型導電体の
起電力の和になる。従って、このpn対を多段に直列接
続することにより大きな発電能力を得ることができ、熱
電発電の実効性を高めることができる。
温側と低温側の温度差を大きくすることが重要である。
低温側に温度限界が存在することを考慮すれば、高温側
をより高い温度に設定保持することが必要となる。言い
換えれば、高温性能の良好な熱電変換材料が要請されて
いる。ところが、従来の熱電変換材料は高温性能におい
て問題があった。
料から構成されている。例えば、多用されているBi−
Te系の熱電変換材料は主にペルチエ効果を用いた冷却
素子に使用され、レジャー用途、医療・エレクトロニク
ス用途、列車や潜水艦の冷房用途に利用されてきた。特
に、この材料は300℃の排熱利用が限界であり、50
0℃以上の高温では、酸化・分解するために使用不能で
ある。
固溶体材料や、Pb−Te系材料が開発されており、宇
宙探査機用電源に用いられたことがある。これらの材料
は宇宙空間という高真空中では高温で使用可能である
が、地球の大気環境下では高温で使用すると酸化するた
め使用不能である。
材料であるが、実際には700℃程度までの使用が限界
である。要するに、地球大気環境下で700℃以上で安
定に使用できる熱電変換材料はこれまで未開発であっ
た。
問題以外に、化学毒性の問題もあった。従来のBi−T
e系材料やPb−Te系材料は重元素を含んでいるため
化学毒性が強く、製造従事者や作業従事者にとって健康
上の問題があり、取り扱い上の安全性や使用後のリサイ
クル性などにも大きな問題を残している。
が金属材料の場合には、その熱電特性に原理的な限界が
あった。熱電変換材料の性能指数Zは、Z=α2・σ/
k(α:ゼーベック係数[μV/K]、σ:電気伝導率
[S/m]、k:熱伝導率[W/mK])で与えられ
る。ゼーベック係数αは熱起電率とも呼ばれる。
記性能指数Z(Figure ofMerit
[K−1])によって与えられ、この値が大きいほど熱
電変換材料の変換効率が高いと考えられる。また、この
性能指数Zに関連して出力因子Pで評価される場合もあ
る。この出力因子P(Power Factor[W/
K2m])はP=α2・σで与えられ、やはりこの値が
大きい程効率が高いことを示す。
扱うと、熱伝導率kと電気伝導率σの比は同一温度では
金属種によらず一定値になるというウイーデマン・フラ
ンツの法則が成立している。従って、金属の場合には理
想的にはσ/kが一定値になるから、性能指数Zを大き
くするにはゼーベック係数αを大きくする以外になく、
Zを大きくできる自由度が狭くなってしまう。この自由
度の狭さが金属における限界である。
酸化物系の熱電変換材料は、高温で分解・溶融・酸化す
る傾向を有するため高温では使用不能という欠点を有し
ているが、変換効率は比較的高いという長所を有してい
る。つまり、非酸化物系材料では高温使用性と高変換効
率とを両立させることは困難である。特に、金属では原
理的な意味で性能指数に多様性をもたらすことは難しか
った。
料が開発されてきた。例えば、ZnOやCuAlO等の
材料が研究されてきた。これらの酸化物材料は融点が極
めて高いため、高温使用性について問題はなく、耐酸化
性を有するから大気中で安定であることが分かった。と
ころが、熱電変換材料として最も重要な性能指数を高く
することが困難であった。つまり、変換効率が非酸化物
系より低いという弱点を有している。
化物熱電変換材料の一つとして、Zn−In−O系酸化
物材料の開発に成功し、平成10年に既に特許出願して
いる。このZn−In−O系酸化物半導体材料はn型導
電体として機能することが分かっている。従って、前述
したpn対を構成するためには、p型導電体として機能
する酸化物熱電変換材料が求められている。
であるとともに大気中で安定であり、変換効率が比較的
高い酸化物熱電変換材料を提供することである。同時
に、本発明の目的は、p型導電体として機能する酸化物
熱電変換材料を提供することである。
oO3で表される酸化物半導体からなり、Rは希土類元
素であることを特徴とする酸化物熱電変換材料である。
部がアルカリ土類金属元素Mで置換されたR1−xMx
CoO3(0<x≦0.5)で表される請求項1に記載
の酸化物熱電変換材料である。
o、Dy、Gd、Sm、Nd又はPrである請求項1又
は2に記載の酸化物熱電変換材料である。
元素MがMg、Ca、Sr又はBaである請求項2に記
載の酸化物熱電変換材料である。
なる新規な熱電変換材料を鋭意研究した結果、ペロブス
カイト構造を有する希土類コバルト酸化物RCoO
3(ここでRは希土類元素)が高温で安定であり、しか
も比較的高い熱電変換指数を有することを発見するに到
り、本発明を完成したものである。
ドを有する酸化物系物質に、高い熱電性能を有する材料
が発見されつつある。例えば、NaCo2O4、Ca9
Co12O28、Li添加NiO等の酸化物熱電変換材
料が発表されている。
−遷移金属バンドを有する酸化物半導体が酸化物熱電変
換材料の候補であると考えた。同時に、この酸化物を結
晶構造学的に修飾することによってより多様な材料を探
索する必要性の観点から、ペロブスカイト構造を有する
酸化物を熱電変換材料の最有力な候補であると考えた。
ンドを有するペロブスカイト構造の酸化物を鋭意研究し
た結果、希土類コバルト酸化物RCoO3を酸化物熱電
変換材料として発見するに到ったのである。
される複酸化物に見られる結晶構造であり、本発明で
は、Nとして希土類元素R、MとしてコバルトCo、X
として酸素Oが選ばれた希土類コバルト酸化物RCoO
3が対象となる。ペロブスカイト構造の単位格子におい
ては、Rが8個のコーナーに位置し、Coが体心に位置
し、Oが6面の面心に位置している。
固溶を可能にする結晶構造であり、金属イオンを適当な
割合で固溶させることによって熱電性能を可変調整でき
る利点を有している。また、ペロブスカイト構造の構成
元素を他の元素に置換することによって性質の違った熱
電変換材料を提供することが可能になる。
元素と置換する金属元素として、アルカリ土類金属元素
が適当である。その結果、希土類コバルト酸化物RCo
O3は希土類アルカリコバルト酸化物R1−xMxCo
O3になる。アルカリ土類金属元素Mとして、Mg、C
a、Sr又はBaが選ばれる。
素Mと置換することによって、熱電変換性能をRCoO
3より向上させ、熱電変換材料を多様化することができ
る。置換割合Xは、0<X≦0.5の範囲に設定され
る。X=0は置換が無い条件、即ちRCoO3を示して
いるため、希土類アルカリコバルト酸化物R1−xMx
CoO3としてはX=0は除かれる。
類アルカリコバルト酸化物R1−xMxCoO3におい
て、希土類元素RはSc、Y及びランタノイド元素から
選択される。即ち、希土類元素Rは、Sc、Y、La、
Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb又はLuから選ばれる。
換性能は希土類元素Rのイオン半径の大小に依存してい
るが、一般的傾向を簡単に言うことはできない。Pr、
Nd、Sm、Gd、Dy、Hoの+3価のイオン半径
は、オングストローム(A)単位で、0.99、0.9
83、0.958、0.938、0.912、0.90
1であるから、イオン半径の順はPr>Nd>Sm>G
d>Dy>Hoとなる。
3の3種類の範囲で述べると、希土類元素のイオン半径
が大きくなるに従って、RCoO3の電気伝導率σは大
きくなるが、RCoO3のゼーベック係数αは小さくな
る。しかし、高温になると共に、希土類元素の違いによ
る電気伝導率σ及びゼーベック係数αの値の違いは小さ
くなってゆく。他方、出力係数(Power Fact
or)Pの値はSm>Nd>Gdの順に小さくなってゆ
くから、イオン半径の順にはなっておらず、しかも50
0℃付近にピークを有した構造を採る。
ト酸化物RCoO3は、700℃以上の高温においても
地球大気環境下で安定に熱電変換能力を有しており、ま
たp型熱電変換材料として機能する。
1−xMxCoO3(0<X≦0.5)では、希土類の
イオン半径が増加するほど、電気伝導率σは増加し、ゼ
ーベック係数αは減少する。また、熱電変換性能指数Z
は複雑な挙動を示すが、イオン半径が小さくなるほど、
最大性能指数を示す温度が高温側に移動する。
xCoO3(0<X≦0.5)では、希土類コバルト酸
化物RCoO3と同様に、高温になるに従って熱電変換
性能指数Zは小さくなる。しかし、700℃以上の高温
においても熱電変換性能は安定しており、p型熱電変換
性能を有する。従って、本発明者等が既に提案している
n型熱電変換材料と組み合わせてpn対を構成すること
ができる。
も、本発明の効果を妨げない範囲内で他の成分が含まれ
ていてもよい。例えば、焼結助剤、ガラス、カーボン、
耐酸化性金属(Ag、Au、Re、Ru、Rh、Pd、
Os、Ir、Pt等の酸化物)等が含有されていても良
い。
品の用途に応じて適宜定めればよいが、通常は3〜90
%(理論密度10〜97%)であり、好ましくは10〜
80%であり、特に20〜70%であることが最も好ま
しい。気孔率が3%未満であると、熱励起により飛び出
す電子が少なすぎ、また連続気孔の形成も不十分となる
ために満足できる熱電変換性能が得られないことがあ
る。また、気孔率が90%を超えると、十分に優れた熱
電変換性能を得ることができるものの、機械的強度が低
く、加工時又は使用時に壊れやすくなるので実用上好ま
しくない。
孔を含む連続気孔(以下、「気孔」ともいう)であるこ
とが好ましい。本発明において連続気孔は、主として開
気孔と閉気孔からなる。その構成としては、本発明の効
果を損なわない範囲であれば特に限定されない。連続気
孔の形成は、例えば製造時に粉末原料に配合する有機バ
インダーの種類及び添加量を調節することによって達成
することができる。
特に制限されず、最終製品の形状等に応じて適宜設定す
ればよい。例えば、フィルム状、シート状、棒状、その
他任意の形状で用いることができる。本発明の熱電変換
材料の使用方法は、公知の熱電変換材料における使用方
法と同様にすればよい。
コバルトCo、アルカリ土類金属物質MをRCoO3又
はR1−xMxCoO3(0<X≦0.5)の化学式に
示す所定比率で添加する以外は、公知の酸化物(セラミ
ックス)の製造方法と同様の方法により製造することが
できる。
(必要ならアルカリ土類金属も)を含む粉末材料を成形
し、その成形体を焼成することによって製造できる。上
記粉末材料の調製も、セラミックス分野で通常採用され
ている公知の粉末調製法(固相法、液相法、気相法な
ど)をいずれも適用することができる。
質、コバルト(必要ならアルカリ土類金属も)を含む各
化合物を前記所定の組成比率となるように秤量・採取
し、クラッシャーミル、アトライター、ボールミル、振
動ミル、サンドグラインドミル等の公知の粉砕機を用い
て乾式又は湿式で混合・粉砕する。この場合、更に必要
に応じて有機バインダー、焼結助剤を添加することもで
きる。次いで、粉砕混合物をその焼成温度よりも低い温
度で仮焼して、目的とする相を有する仮焼体を作製し、
これを必要に応じてさらに粉砕することによって粉末原
料を調製することができる。この場合、出発原料である
上記化合物は、R2O3(R=Ho、Dy、Gd、S
m、Nd、Pr等)、MCO3(M=Mg、Ca、S
r、Ba)、Co3O4等の酸化物に限られず、例えば
水酸化物、炭酸塩等のように仮焼により最終的に酸化物
となるものであればいずれも使用できる。特に、粒径制
御が容易であって混合性に優れている化合物がより好ま
しい。
の方法を用いて、溶液原料から所望の化合物を沈殿析出
させたり、あるいは溶媒を蒸発させて蒸発固化物を得る
ことにより粉末原料を得ることができる。溶液原料とし
ては、例えば水を溶媒とし、これに希土類元素、コバル
ト、アルカリ土類金属元素の塩化物、硝酸塩、有機酸塩
等の化合物を溶解させたもの、あるいは水以外の溶媒
(メタノール、エタノール等の有機溶媒)を用い、上記
化合物のアルコキシド等の溶液を用いることもできる。
液相法により合成される粉末原料は、容易に原料組成の
均一化を図ることができる点で優れている.また、液相
法では、希土類元素、コバルト、アルカリ土類金属元素
を所定量含む溶液原料を適当な基材上に塗布し、この塗
膜を直接焼成して焼結体とすることにより、薄膜状の熱
電変換材料(あるいは熱電変換素子)を基材と一体化し
た状態で製造することもできる.
al Vapor Deposition)法、液状原
料を用いる気相分解法等が適用できる。気相法は、特に
薄膜状の熱電変換材料を基材上に直接形成する場合、あ
るいは結晶性の高い粉末原料を調製する場合等に有利で
ある。
組成、最終製品の形態等に応じて適宜変更できるが、通
常は0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜8μ
m、より好ましくは0.2〜6μmとすればよい。
ダーを配合できる。有機バインダーとしては、所望の連
続気孔を形成できるものである限り特に制限されず、一
般の焼結体の製造において用いられている有機バインダ
ーもそのまま使用できる。例えば、流動パラフィン、ワ
ックス、ポリエチレン等のオレフィン類、メチルセルロ
ース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリビニルブチ
ラール等のビニル系樹脂あるいはアルデヒド系樹脂等を
用いることができる。有機バインダーの添加量は、用い
る有機バインダーの種類、所望の気孔率等に応じて適宜
設定すればよいが、通常は最終的に得られる熱電変換材
料の気孔率が3〜90%となるように設定するのが好ま
しい。一般的には、上記粉末原料中に3〜65重量%程
度を配合すればよいが、上記気孔率との関係でこの範囲
外となってもよい。
の場合の成形方法は、特に制限されず、例えば金型を用
いる加圧成形法、冷間等方圧成形法(CIP成形(Co
ldIsoPress Mould))、押出し成形
法、ドクターブレードテープ成形法、鋳込み成形法等の
セラミックス・粉末冶金等の分野で汎用されている成形
方法を用いることができる。成形条件も、公知の各成形
方法における成形条件内で調節すればよく、特に粉末の
均一充填性が高くなるように適宜設定することが好まし
い。
結方法も、特に制限されず、公知の常庄焼結、加圧焼結
等の公知の焼結方法を採用することができる。焼結温度
は、用いる粉末原料の種類、組成等に応じて適宜変更す
ればよく、通常は1000〜1700℃程度の範囲とす
ればよい。焼結温度が低すぎると目的の緻密性を達成で
きず、また焼結体が具備すべき所定の特性が得られなく
なることがある。また、焼結温度が高すぎると組成変化
あるいは粒成長による微細構造の変化が生じるので、焼
結体の物性制御が困難となるばかりでなく、エネルギー
消費が増加したり、生産効率が低下する場合がある。
元処理の必要性に応じて選択することができる。例え
ば、焼成と同時に還元処理が必要な場合には、還元雰囲
気とすればよい。また、還元処理を必要としない場合に
は、例えば大気中で常圧焼結すればよい。酸素雰囲気下
における焼成は、焼結体の組成、微細構造等の制御が特
に必要な場合において、酸素分圧を制御するのに有効で
ある。本発明では、酸化雰囲気であれば酸素分圧は特に
制限されない。
れた粉末原料においても、焼結に先立ち必要に応じて成
形体を仮焼してもよい。仮焼温度は、その成形体におけ
る焼結温度よりも低い温度で適宜定めればよい。仮焼雰
囲気も、上記焼結の場合と同様に適宜設定することがで
きる.
実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本
発明では、各物性は次のようにして測定された。 (1)電気伝導率σ(Electrical Cond
uctivity[S/cm]) 直流四端子法により測定された抵抗率から電気伝導率σ
を求めた。 (2)ゼーベック係数α(Seebeck Coeff
icient[μV/K]) 試料を石英管内に配置し、ホットエアを流入した石英管
を試料の一端側に接触させて高温側を作り、他端側を低
温側にして両端の温度差ΔTを測定した。同時に、Pt
・Pt/Rh熱電対により両端間に発生した起電力ΔV
を測定した。これらの量からΔV/ΔTを計算して、ゼ
ーベック係数が導出された。
nductivity[W/Km]) レーザーフラッシュ法から求めた熱拡散率と、DSCか
ら求めた比熱を用いて熱伝導率を導出した。 (4)熱電変換性能指数Z(Figure of Me
rit[K−1]) 熱電変換性能指数Zはゼーベック係数α、電気伝導率σ
及び熱伝導率kの3量から、Z=α2σ/kによって求
められる。 (5)出力因子P(Power Factor[W/K
2m]) 出力因子Pはゼーベック係数αと電気伝導率σから、P
=α2σによって求められる。 (6)結晶相の同定と構造 結晶相の同定には粉末X線回折装置が用いられ、微細構
造の観察はSEMとTEMにより行われた。
(R=Nd、Sm、Gd)とCo3O4の粉末を秤量・
採取し、24時間ボールミルで乾式混合した。混合物を
ジルコニア容器に移し、大気中で1000℃、10時間
仮焼した。その後、ボールミルで6時間粉砕混合するこ
とによって平均粒径1μm以下に調節し、粉末原料を調
製した。粉末原料を196MPaの圧力でCIP成形
し、この成形体を大気中で1100℃、10時間焼結
し、RCoO3焼結体を作成した。
CoO3、GdCoO3を用いて、ゼーベック係数αと
電気伝導率σを測定し、出力因子Pを導出した。ゼーベ
ック係数αは図1に、電気伝導率σは図2に、出力因子
Pは図3に示されている。
希土類コバルト酸化物RCoO3のゼーベック係数、電
気伝導率及び出力因子は希土類元素Rのイオン半径の大
小に依存している。しかし、イオン半径との関係性を簡
明に表現することは困難である。Nd+3、Sm+3、
Gd+3のイオン半径は、オングストローム(A)単位
で、0.983、0.958、0.938であるから、
イオン半径の順はNd>Sm>Gdとなる。
3の3種類の範囲で述べると、希土類元素のイオン半径
が大きくなるに従って、RCoO3のゼーベック係数α
は小さくなるが、高温になるに従ってその差は無くな
り、一定値に収束してゆく傾向を示す。電気伝導率σは
イオン半径が大きくなると増大するが、高温になるに従
ってその差は無くなり、一定値に収束してゆく傾向を示
す。
dの順になり、イオン半径の順にはなっていない。しか
も、出力因子Pは500℃付近にピークを有し、左右に
裾野を有する構造を持つ。出力因子Pは700℃以上で
もかなり大きく、RCoO3が高温領域で有効且つ安定
な熱電変換効果を発揮することが分かる。しかも、出力
因子は1000℃近傍でも所定の大きさを有し、RCo
O3が高温で有力なp型熱電変換材料であることが実証
された。
の場合]実施例2では、X=0.1、M=Caに相当す
るR0.9Ca0.1CoO3が実施例1と同様の方法
で作成された。即ち、R2O3(R=Pr、Nd、S
m、Gd、Dy、Ho)、CaCO3及びCo3O4の
粉末をそれぞれ秤量・採取し、24時間ボールミルで乾
式混合した。混合物をジルコニア容器に移し、大気中で
1000℃、10時間仮焼した。その後、ボールミルで
6時間粉砕混合することによって平均粒径1μm以下に
調節し、粉末原料を調製した。粉末原料を196MPa
の圧力でCIP成形し、この成形体を大気中で1100
℃、10時間焼結し、R0.9Ca0.1CoO3焼結
体を作成した。
3、Nd0.9Ca0.1CoO3、Sm0.9Ca
0.1CoO3、Gd0.9Ca0.1CoO3、Dy
0.9Ca0.1CoO3、Ho0.9Ca0.1Co
O3が得られた。これらの試料に対して、ゼーベック係
数α(図4)、電気伝導率σ(図5)、熱伝導率k(図
6)、熱電性能指数Z(図7)及び出力因子P(図8)
が測定・計算され、図4〜図8に示される。
の大小関係はPr>Nd>Sm>Gd>Dy>Hoであ
る。図4のゼーベック係数αのグラフをイオン半径の大
小順と比較してみると、イオン半径が小さくなるに従っ
てゼーベック係数は大きくなっていることが分かる。し
かも、高温になると一定値に収束するようになり、この
ような傾向は実施例1と似ている。また、全ての組成と
全ての測定温度範囲でp型の伝導特性が確認された。
はイオン半径が大きくなるに連れて電気伝導率σは大き
くなり、高温になるに従って電気伝導率は増加した。し
かし、高温になると共にイオン半径の違いによる差は小
さくなる傾向がある。この傾向も実施例1と同様であ
る。また、NdとPrの組成では、700℃以上で電気
伝導率が少し減少する金属的な挙動を示した。
ク係数αと電気伝導率σは900℃まで共に安定した値
を示し、この熱電変換材料が900℃でも十分使用に耐
えるものであることが分かった。従来材料では700℃
を越えるものはなく、この材料が画期的であることを示
す。
伝導率kは増加した。また、イオン半径が大きくなるほ
ど高い熱伝導率を示したが、イオン半径が小さいGd、
Dy、Hoの系では、温度の増加に対する熱伝導率の変
化が小さいことが分かった。また、高温になるに従いイ
オン半径の違いが際だち、熱伝導率の差が大きく開いて
くる。
示し、かなり複雑な挙動を示していることが分かる。し
かし、この図から希土類元素のイオン半径が小さくなる
ほど最大性能指数を示す温度が高温側に移動することが
分かった。
力因子Pは熱電変換性能指数Zと似た挙動を示すことが
分かる。出力因子Pは900℃までプロットされてお
り、R0.9Ca0.1CoO3が900℃でも十分に
熱電変換性能を発揮することを示している。
なく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種
々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含す
るものである。
3(R:希土類元素)を酸化物熱電変換材料とするか
ら、高温使用が可能な耐酸化性・安定性を有したp型熱
電変換材料を実現でき、排熱の有効利用を積極化するこ
とができる。
土類元素Rの一部をアルカリ土類元素Mで置換したR
1−xMxCoO3(0<x≦0.5)を酸化物熱電変
換材料とするから、より高性能の酸化物熱電変換材料を
実現でき、700℃以上の高温領域でも使用が可能な耐
酸化性・安定性を有したp型熱電変換材料を実現でき
る。
してHo、Dy、Gd、Sm、Nd又はPrを利用でき
るから、入手が比較的容易な希土類元素により安価に高
性能の酸化物熱電変換材料を製造できる。
素MとしてMg、Ca、Sr又はBaの安価な元素を利
用できるから、安価に高性能の酸化物熱電変換材料を提
供できる。
ック係数の温度依存性を示す。
導率の温度依存性を示す。
子の温度依存性を示す。
CoO3のゼーベック係数の温度依存性を示す。
CoO3の電気伝導率の温度依存性を示す。
CoO3の熱伝導率の温度依存性を示す。
CoO3の熱電変換性能指数の温度依存性を示す。
CoO3の出力因子の温度依存性を示す。
Claims (4)
- 【請求項1】 RCoO3で表される酸化物半導体から
なり、Rは希土類元素であることを特徴とする酸化物熱
電変換材料。 - 【請求項2】 前記希土類元素Rの一部がアルカリ土類
金属元素Mで置換されたR1−xMxCoO3(0<x
≦0.5)で表される請求項1に記載の酸化物熱電変換
材料。 - 【請求項3】 前記希土類元素RがHo、Dy、Gd、
Sm、Nd又はPrである請求項1又は2に記載の酸化
物熱電変換材料。 - 【請求項4】 前記アルカリ土類金属元素MがMg、C
a、Sr又はBaである請求項2に記載の酸化物熱電変
換材料。
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