JP2006347861A - 亜鉛系酸化物の製造方法及びその方法により製造される亜鉛系酸化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安価な酸化亜鉛を母材とし、高い移動度又は高い熱電性能を有する亜鉛系酸化物を、低温で焼成できる製造方法を提供する。
【解決手段】 亜鉛元素と酸素元素を含む原料物質を、不活性ガス中にて焼成する亜鉛系酸化物の製造方法。この製造方法で得られる亜鉛系酸化物は、n型半導体材料や熱電変換材料として有用であり、例えば、n型熱電変換材料としてこの亜鉛系酸化物を用いると、効率の高い熱電変換モジュールとなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、亜鉛系酸化物(酸化亜鉛又は亜鉛含有複合酸化物)の製造方法、亜鉛系酸化物及び熱電変換モジュールに関する。
亜鉛系酸化物は安価であり、導電性等、様々な性質を有することから、各種分野、例えば、熱電変換材料や導電性フィラーとして使用され、又は使用が検討されている。
熱電変換材料を使用する熱電発電は、熱電効果を利用して熱エネルギーを直接電力に変換する技術であり、可動部がなく安定性に優れる。このため、この技術は体温で作動する腕時計や僻地用電源、宇宙用電源、軍事用電源等として一部で実用化されている。
熱電発電用の熱電変換素子材料としては、これまでPbTe系、BiTe系等があるが、価格と毒性の問題があり、発電用の材料としては問題がある。
この問題を改良したものとして、近年、毒性が少なく、価格の安い元素からなるCoを含む層状ペロブスカイト型酸化物で、高い熱電性能をもつ材料が発見されている(特許文献1、2参照)。
しかし、このCo系の複合酸化物は、p型の熱電変換材料であり、安全で化学的に安定な酸化物を用いた熱電素子の実現のためにはn型の酸化物熱電材料が必要であった。
n型の熱電変換材料としては安価なZnOにアルミニウムを添加したり、酸化イットリウムを加え、真空中で焼結することにより高性能化した材料が公開されている(特許文献3、4参照)。
しかしながら、真空下での焼結は装置の機密性が必要となるため、高価な焼成炉が必要となる。
また、酸化亜鉛にインジウムを加えることにより高性能化した材料が、特許文献5に開示されている。しかし、これもインジウムの添加により移動度(キャリア移動度)の低下が大きく、熱電性能の向上は十分ではない。
また、特許文献6には、ZnOにアルミニウムを添加し、大気圧下で焼成した材料が開示されている。
しかしながら、これらの材料では、いまだ熱電性能は十分ではなかった。
一方、導電性フィラー等として使用される亜鉛系酸化物粉体の製造方法として、酸化亜鉛と各種添加剤を混合し、還元雰囲気下で焼成する方法が開示されている。例えば、特許文献7には、水溶性亜鉛と水溶性アルミニウム、ガリウム化合物を共沈させ、水素存在下で焼成することが開示されている。また、特許文献8には酸化亜鉛に対し酸化ガリウムを乾式混合し固体炭素存在下、約800〜1100℃で加熱焼成することが開示されている。さらに、特許文献9には酸化亜鉛100重量部とAl、In、Ti、Gaを酸化物として0.01〜1重量部存在させ、可燃性ガス中で焙焼する方法が開示されている。
上記の方法は、いずれも還元雰囲気の下、焼成を行うことを特徴としているが、これは大気中での焼成では、装置が簡素で安価にできるため大量製造に適しているが、焼成された粉体は着色が激しく電気伝導性が十分に上がらないためである。
しかしながら上記の方法は、還元雰囲気下で高温にすることから、プロセス上、多量の排出ガスの問題、爆発の危険性の問題があったり、また、酸化亜鉛の大量の還元揮発を伴い、収率の低下をもたらすという問題があった。
特開平9−321346号公報 特開平10−256612号公報 特開昭62−132380号公報 特開昭62−179781号公報 特開昭63−115388号公報 特開平8−186293号公報 特開平3−23220号公報 特開昭58−145620号公報 特開昭59−097531号公報
亜鉛系酸化物を用いた熱電変換材料について、本発明者は上記問題が、材料の移動度が低いことに起因していることから、酸化亜鉛にランタノイド酸化物等を添加することにより、材料に高い移動度を発現させ、熱電性能を向上できることを見出している(特願2004−128038号)。しかしながら、大気中で焼成する場合、高い移動度とするためには高い焼成温度が必要であり、装置、省エネルギー、コスト等の問題があった。
一方、導電性亜鉛系酸化物粉体については、大気中での焼成では表面にできる高電気抵抗層のために十分に電気抵抗を下げることができなかった。
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、本発明の第一の目的は、安価な酸化亜鉛を母材とする亜鉛系酸化物であって、高い移動度又は高い熱電性能を有する酸化物を、低温で焼成する製造方法を提供することである。
また、本発明の第二の目的は、安価な酸化亜鉛を母材とし、安全な焼成条件で導電性のよい亜鉛系酸化物粉体を提供することである。
本発明者は、上記課題を克服するために鋭意検討を重ねた結果、原料物質を窒素等の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより、高い移動度を発現でき、また、比較的低温で焼成できることを見出した。
さらに、原料粉体を窒素等の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより、高い電気伝導性を有する導電性亜鉛系酸化物粉体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の亜鉛系酸化物の製造方法、亜鉛系酸化物及び熱電変換モジュールが提供される。
1.亜鉛元素と酸素元素を含む原料物質を、不活性ガス雰囲気にて焼成する亜鉛系酸化物の製造方法。
2.焼成温度が700℃〜1500℃である1記載の亜鉛系酸化物の製造方法。
3.前記不活性ガスが窒素である1又は2記載の亜鉛系酸化物の製造方法。
4.上記1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造される亜鉛系酸化物。
5.前記亜鉛系酸化物が粉体状の亜鉛含有複合酸化物であり、体積抵抗値が10MΩ・cm以下である4記載の亜鉛系酸化物。
6.前記亜鉛系酸化物が粉体状の酸化亜鉛のみからなり、体積抵抗値が10MΩ・cm以下である請求項4記載の亜鉛系酸化物。
7.前記亜鉛系酸化物が、酸化亜鉛とランタノイド元素を含む亜鉛含有複合酸化物である4記載の亜鉛系酸化物。
8.上記4又は7記載の亜鉛系酸化物を熱電変換材料として含む熱電変換モジュール。
9.p型熱電変換材料としてコバルト含有酸化物を用い、n型熱電変換材料として4又は6記載の亜鉛系酸化物を用いた8記載の熱電変換モジュール。
本発明によれば、安価な酸化亜鉛を母材とし、高い移動度又は高い熱電性能を有する亜鉛系酸化物が得られる。また、低温で焼成できる亜鉛系酸化物の製造方法が提供される。さらに、高い電気導電性を有する亜鉛系酸化物粉体が得られる。
本発明の亜鉛系酸化物の製造方法は、亜鉛元素と酸素元素を含む原料物質を、不活性ガス雰囲気にて焼成することを特徴としている。原料物質を不活性ガス雰囲気で焼成することにより、高い移動度を有し、ひいては高い出力因子を示す亜鉛系酸化物が得られる。また、原料物質を粉体状のままで焼成を行うことで、高い導電性を示す亜鉛系酸化物粉体が得られる。
尚、亜鉛系酸化物には、酸化亜鉛単体、及び酸化亜鉛を主体とし、ランタノイド元素、Al、Ga、Sc、Y等の短周期型周期表第3A,B族元素(以下、3族元素という)、3d遷移金属元素又はアルカリ土類元素等を、少なくとも1種含んでいる亜鉛含有複合酸化物が含まれる。
亜鉛系酸化物の原料としては、必要な元素源を含む粉体等が使用でき、各成分元素、各成分元素の酸化物等の化合物、又は焼成時に酸化物となる物質が使用できる。
例えば、Zn源としては、金属(Zn)、酸化物(ZnO)、水酸化物[Zn(OH)]、硝酸塩[Zn(NO]等が用いられる。
3d遷移金属元素であるNi源としては、金属(Ni)、酸化物(NiO)、炭酸化物、硝酸塩等が用いられる。
ランタノイドを含む材料としては、例えば、Ce源として、金属(Ce)、酸化物(CeO)、炭酸化物〔Ce(CO・8HO〕、硝酸塩〔Ce(NO・6HO〕〕、酢酸塩〔(CHCOO)Ce・HO〕等が用いられる。Nd源としては、例えば、酸化物(Nd)、炭酸化物〔Nd(CO〕、硝酸塩〔Nd(NO〕等が用いられる。Yb源としては、例えば、酸化物(Yb)、炭酸化物〔Yb(CO〕、硝酸塩〔Yb(NO〕等が用いられる。Eu源としては、例えば、酸化物(Eu)等が用いられる。Ga源としては、例えば、酸化物(Ga)等が用いられる。Ho源としては、例えば、酸化物(Ho)等が用いられる。Er源としては、例えば、酸化物(Er)等が用いられる。
その他、3族元素やアルカリ土類元素についても同様に、金属単体又は各種化合物が使用できる
上記の原料を単体にて、又は2種以上を均一に混合し、必要により加圧成型等により所望の形状に成型した後、不活性ガス雰囲気で焼成する。
また、亜鉛系酸化物の粉体は、原料である上記粉体を成形せずに不活性ガス雰囲気下で焼成することによって、電気伝導度の高い粉体を得ることができる。
不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等が使用できる。この中でも、安価であるため、窒素が好ましい。
尚、焼成前には仮焼を行なってもよい。
焼成は、不活性ガスを充填でき、炉内を不活性ガス雰囲気に維持できるものであれば、公知の焼成炉を用いて実施できる。
本発明においては、焼成温度を700℃〜1500℃とすることが好ましく、特に1000℃〜1300℃とすることが好ましい。
また、焼成時間は使用する原料の種類等により適宜調整するが、一般的には、1分〜3時間であり、好ましくは、10分〜2時間である。
焼成した後、室温まで冷却することにより、本発明の亜鉛系酸化物が得られる。
本発明の亜鉛系酸化物のうち、酸化亜鉛とランタノイド元素を含む亜鉛含有複合酸化物が、熱電変換材料として特に優れた性能(高い出力因子)を有している。
ランタノイド元素としては、例えば、Ce、Sm、Yb、Ndが好ましく使用できる。特に好ましくは、Ce、Ybである。
亜鉛含有複合酸化物におけるランタノイド元素の添加量は、Zn元素1モルに対し、0.2モル以下であることが好ましく、特に、0.005〜0.1モルであることが好ましい。
尚、ランタノイド元素の他、さらに3族元素やアルカリ土類元素を含む亜鉛含有複合酸化物も熱電変換材料として優れた性能を有する。
3族元素やアルカリ土類元素の添加量は、Zn1モルに対して0.001〜0.1モルであることが好ましい。
本発明の亜鉛系酸化物は、高移動度及び高出力因子を示すため、熱電変換モジュールの熱電変換材料として好適に使用できる。
例えば、本発明の熱電変換モジュールとして、上記の亜鉛系酸化物をn型熱電変換材料に用い、Co系酸化物からなるp型熱電変換材料と組み合わせたモデュールがある。それ以外の他の構成部分は、公知の材料で構成できる。
図1は、本発明の熱電変換モジュールの一実施形態を示す模式図である。
熱電変換モジュール1において、n型熱電変換材料2及びp型熱電変換材料3は、共通の高温側電極4と、2つの低温側電極5及び6に接合している。ここで、高温側電極4を加熱すると、高温側接合部7の温度が上がりThとなり、低温側接合部8の温度Tcとの間に温度差ΔT(ΔT=Th−Tc)が生じ、高温側電極4と低温側電極5及び6との間に電圧が発生する。そして、低温側電極5及び6の間に負荷抵抗(R)を接続すると電流(I)が流れ、この電流を電力(W)として取り出すことができる。
このように構成される熱電変換モジュールは、温度差から起電力を得るだけでなく、電力を逆に加えることで冷却や加熱を行なうヒートポンプとしても用いることができる。
本発明において、p型熱電変換材料には、Co酸化物からなるものを使用する。これにより、高温での使用が可能で、高い変換効率の素子が得られる。
Co酸化物系p型熱電変換材料は、例えば、特開2000−156529に開示された材料を用いることができる。
本発明において、亜鉛系酸化物が亜鉛含有複合酸化物、又は酸化亜鉛のみからなる粉体状である場合、その体積抵抗値は10MΩ・cm以下であることが好ましく、1MΩ・cm以下であることが特に好ましい。
上記の体積抵抗値を有することで、帯電防止や静電気防止用の白色導電性フィラーとして好適に使用できる。本発明で得られる粉体は、優れた導電性を有するため、上記の体積抵抗値を満たすことができる。
尚、粉体の体積抵抗値は、粉体の集合体に100kg/cmの荷重をかけて圧縮した状態で測定した値を意味する。
実施例1
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)40gを秤量し、100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。得られた粉体を金型に入れて、約幅7mm、厚さ7mm、長さ20mmの棒状及び10mmφ×2mmの円盤状に成型し、CIP(冷間等方圧プレス)成型により圧力1tにて加圧成型した。
こうして得られた成形体を、不活性ガスとして窒素を用い、窒素雰囲気下にて、室温から2時間かけて1200℃まで昇温し、1時間保持して焼成した。その後、室温まで冷却して、亜鉛系酸化物(酸化亜鉛)を得た。
得られた亜鉛系酸化物の表面を、約1mm程度研磨又は切断したものを測定用試料とした。
ホール測定(キャリア移動度、キャリア濃度の測定)には、約3mm角×厚み0.5mmの形状に切断したものを測定用試料とした。ホール測定は、東洋テクニカ製、ResiTest8300を用い、室温(約22℃)にて測定した。
ゼーベック係数等の測定には、約3mm角×長さ17mmの角柱としたものを測定用試料とした。ゼーベック係数及び電気伝導度の測定は、アルバック理工(株)製のZEM−2を用い、約200℃の温度で測定した。
尚、出力因子は、下記の計算により求めた。
出力因子(W/Kcm)=(電気伝導度×ゼーベック係数の二乗)
また、密度は、アルキメデス法により、水中重量と大気中重量の測定結果から計算して求めた。
酸化物の焼成条件及び測定結果を表1及び2に示す。
Figure 2006347861
Figure 2006347861
この結果からわかるように、実施例1で作製した酸化亜鉛の移動度は、多結晶体であるにもかかわらず単結晶と同等の高い移動度を示すことから、n型半導体材料として有用であることが明らかになった。
実施例2
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)37.61gを秤量し、次いで、酸化セリウム(純度99.9%)を2.39gを秤量し混合した後、100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。得られた粉体を金型に入れて、約幅7mm、厚さ7mm、長さ20mmの棒状及び10mmφ×2mmの円盤状に成型し、CIP成型により圧力1tにて加圧成型した。こうして得られた成形体を窒素雰囲気下にて、室温から2時間かけて1200℃まで昇温し、1時間保持して焼成した後、室温まで冷却し、亜鉛系酸化物(亜鉛含有複合酸化物)を作製した。
この亜鉛含有複合酸化物について、実施例1と同様にして評価を行なった。測定結果を表1及び2に示す。
この結果からわかるように、1200℃の低温焼成であるにもかかわらず高い移動度を示すため、n型半導体材料として有用であることが明らかになった。
実施例3
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)37.29g、酸化セリウム(純度99.9%)2.36gを秤量し、次いで、硝酸アルミニウム九水塩の10重量%水溶液を3.44g添加した。乳鉢で混合し、乾燥したものを、500℃で3時間仮焼した。
得られた乾燥粉体を乳鉢で砕いた後、100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。得られた粉体を金型に入れて、約幅7mm、厚さ7mm、長さ20mmの棒状及び10mmφ×2mmの円盤状に成型し、CIP成型により圧力1tにて加圧成型した。こうして得られた成形体を窒素雰囲気下にて、室温から2時間かけて1200℃まで昇温し、1時間保持した後、2時間かけて室温まで冷却し、亜鉛系酸化物(亜鉛含有複合酸化物)を作製した。
この亜鉛含有複合酸化物について、実施例1と同様にして評価を行なった。測定結果を表1及び2に示す。
この結果からわかるように、移動度は1200℃の低温焼成であるにもかかわらず、高い移動度を示すことが明らかになった。一方、ゼーベック係数、電気伝導度も高い値を示し、熱電材料の性能を示す出力因子も高い値を示すため、熱電変換材料として有用であることが明らかになった。
実施例4
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)39.63g、次いで、硝酸アルミニウム九水塩の10重量%水溶液を3.65g添加し、乳鉢で混合した後、乾燥し、500℃で3時間仮焼した。得られた乾燥粉体を乳鉢で砕いた後、100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。得られた粉体を、金型に入れて、約幅7mm厚さ7mm長さ20mmの棒状及び10mmφ×2mmの円盤状に成型し、CIP成型により圧力1tにて加圧成型した。こうして得られた成形体を窒素雰囲気下にて、室温から2時間かけて1200℃まで昇温し、1時間保持した後、2時間かけて室温まで冷却し、亜鉛系酸化物(亜鉛含有複合酸化物)を作製した。
この亜鉛含有複合酸化物について、実施例1と同様にして評価を行なった。測定結果を表1及び2に示す。
移動度は1200℃の低温焼成であるにもかかわらず、高い移動度を示すことが明らかになった。一方、ゼーベック係数、電気伝導度も高い値を示し、熱電材料の性能を示す出力因子も高い値を示すことから、熱電変換材料として有用であることが明らかになった。
実施例5
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)32.91g、酸化セリウム(純度99.9%)2.09gを秤量した。次いで、硝酸アルミニウム九水塩の10重量%水溶液を3.03g、硝酸ニッケル六水塩4.7gを添加し、乳鉢で混合した後、乾燥し、500℃で3時間仮焼した。得られた乾燥粉体を乳鉢で砕いた後、100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。
得られた粉体を金型に入れて、約幅7mm厚さ7mm長さ20mmの棒状及び10mmφ×2mmの円盤状に成型し、CIP成型により圧力1tにて加圧成型した。こうして得られた成形体を窒素雰囲気下にて、室温から2時間かけて1200℃まで昇温し、1時間保持した後、2時間かけて室温まで冷却し、亜鉛系酸化物(亜鉛含有複合酸化物)を作製した。
この亜鉛含有複合酸化物について、実施例1と同様にして評価を行なった。測定結果を表1及び2に示す。
この結果からわかるように、移動度は1200℃の低温焼成であるにもかかわらず、高い移動度を示すことが明らかになった。一方、ゼーベック係数、電気伝導度は高い値を示し、熱電材料の性能を示す出力因子も高い値を示すことから、熱電変換材料として有用であることが明らかになった。
実施例6
不活性ガスとしてArを用いた他は、実施例3と同じ条件にて試料を作製し、評価を行った。測定結果を表1及び2に示す。
この結果からわかるように、移動度は1200℃の低温焼成であるにもかかわらず、高い移動度を示すことが明らかになった。一方、ゼーベック係数、電気伝導度は高い値を示し、熱電材料の性能を示す出力因子も高い値を示すことから、熱電変換材料としても有用であることが明らかになった。
比較例1〜5
焼成時において不活性ガス雰囲気とせず、大気中1200℃に変更した他は、各々実施例1〜5と同じ条件で試料を作製し、測定評価した。測定結果を表1及び2に示す。
移動度は不活性ガス雰囲気にて焼成した場合と比べ、小さくなることが明らかになった。
[粉体状亜鉛系酸化物]
実施例7
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)19.462g、次いで、硝酸アルミニウム九水塩の10重量%水溶液を5.38g添加し、乳鉢で混合した後、乾燥した。この混合物を窒素雰囲気下、1100℃で30分間焼成した後、室温まで冷却した。
得られた粉体(粒径:約2.5μm)を加圧(100kg/cm)しながら体積抵抗値を測定した結果、152Ω・cmであり、小さな値となった。
尚、体積抵抗値の測定方法は、絶縁体であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)製の円柱(外径30mm、内径10mm、高さ50mm)に測定用の粉体を詰め、上面及び底面の両側からリード線を側部に付けた銅製のピストンを差込み、油圧ジャッキで圧力をかけながら電気抵抗を測定し、そのときの試料厚みを計測して体積抵抗値を算出して行なった。
また、粉体の粒径は走査型電子顕微鏡により観測した。
実施例8
酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)19.954gに酸化ガリウムを0.046g添加し、ボールミルで混合した。この混合物を、電気炉で窒素雰囲気下、1100℃で30分間焼成した後、室温に冷却した。得られた粉体は薄く青みがかった白色であった。
この粉体(粒径:約2.0μm)を加圧(100kg/cm)しながら体積抵抗値を測定した結果、2.9Ω・cmであり、小さな値となった。
比較例6
実施例7と同様に原料を乳鉢で混合し、乾燥した後、大気中にて1100℃で30分間焼成した。
得られた粉体を加圧(100kg/cm)しながら体積抵抗値を測定した結果、10MΩ・cmを超えていた。
比較例7
実施例8と同様に原料を混合し、大気中にて、1100℃で30分間焼成した。
得られた粉体を加圧(100kg/cm)しながら体積抵抗値を測定した結果、10MΩ・cmを超えていた。
本発明の亜鉛系酸化物の製造方法は、安価な酸化亜鉛を母材とし、高い移動度又は高い熱電性能を有する材料を低温で焼成できることから、省エネルギー性に優れた製造方法である。
また、本発明は酸化物の移動度を向上し、電気伝導性を高める効果が大きいので、導電性酸化亜鉛粉体等の製造方法としても有用である。
本発明の亜鉛系酸化物は、n型半導体材料、導電性フィラー、熱電変換モジュールで使用されるn型熱電変換材料として好適である。
熱電変換モジュールは、腕時計等の小型機器用電源、僻地用電源、宇宙用電源及び軍事用電源等に使用できる。
本発明の熱電変換モジュールの一実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1 熱電変換素子
2 n型熱電変換材料(亜鉛系酸化物)
3 p型熱電変換材料
4 高温側電極
5、6 低温側電極
7 高温側接合部
8 低温側接合部

Claims (9)

  1. 亜鉛元素と酸素元素を含む原料物質を、不活性ガス雰囲気にて焼成する亜鉛系酸化物の製造方法。
  2. 焼成温度が700℃〜1500℃である請求項1記載の亜鉛系酸化物の製造方法。
  3. 前記不活性ガスが窒素である請求項1又は2記載の亜鉛系酸化物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造される亜鉛系酸化物。
  5. 前記亜鉛系酸化物が粉体状の亜鉛含有複合酸化物であり、体積抵抗値が10MΩ・cm以下である請求項4記載の亜鉛系酸化物。
  6. 前記亜鉛系酸化物が粉体状の酸化亜鉛のみからなり、体積抵抗値が10MΩ・cm以下である請求項4記載の亜鉛系酸化物。
  7. 前記亜鉛系酸化物が、酸化亜鉛とランタノイド元素を含む亜鉛含有複合酸化物である請求項4記載の亜鉛系酸化物。
  8. 請求項4又は7記載の亜鉛系酸化物を熱電変換材料として含む熱電変換モジュール。
  9. p型熱電変換材料としてコバルト含有酸化物を用い、n型熱電変換材料として請求項4又は6記載の亜鉛系酸化物を用いた請求項8記載の熱電変換モジュール。
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