JP2004217499A - 複合酸化物、n型熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子 - Google Patents

複合酸化物、n型熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】良電気伝導性で、高熱起電力を安定して発現できる複合酸化物、n型熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子を提供する。
【解決手段】Znと、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiとを含み、前記Ln及びTiの原子比xが、Znを1としたとき、0<x<0.5である複合酸化物。好ましいLnは、希土類元素(ただし、Laを除く)、及びZr等の4族元素である。この複合酸化物からn型熱電変換材料2を製造し、熱電変換素子1に使用できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良電気伝導性で、高い熱起電力を持つ複合酸化物、n型熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電発電は、熱電効果を利用して熱エネルギーを直接電力に変換する技術であり、可動部がなく安定性に優れるため、この技術は、体温で作動する腕時計や僻地用電源、宇宙用電源、軍事用電源等として一部で実用化されている。
【0003】
しかし、これまでに用いられてきたPbTe系やBiTe系等の熱電変換材料は、Te等の高価な元素や、Pb等の有毒な元素を用いるため、発電用の材料としては、価格と毒性の点に問題があった。
【0004】
そこで、近年、上記問題点を改良した熱電変換材料として、毒性が少なく、価格の安い元素からなるNaを含む層状ペロブスカイト型酸化物で、高い熱電性能を持つ材料が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0005】
しかし、このNa系の複合酸化物は、いずれもp型の熱電変換材料であるため、安全で化学的に安定な酸化物を用いた熱電変換素子の実現のためには、n型の熱電変換材料と組み合わせて用いることが必要とされた。
【0006】
n型の熱電変換材料としては、例えば、NdCuOにZrをドープした複合酸化物、酸化インジウムにマンガンを含有させた複合酸化物、及び酸化亜鉛にインジウムをドープした複合酸化物等が開示されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。
【0007】
しかし、これらの複合酸化物は、いずれも熱電性能に難点があり、熱電変換材料として使用するには性能的に不十分であったため、より高性能のn型熱電変換材料が求められていた。
【0008】
また、酸化亜鉛に、アルミニウム、イットリウム、インジウムを加え、真空中で焼結させて高性能化させた材料が開示されている(例えば、特許文献6〜8参照。)。
しかし、真空中で焼結させるには、真空焼成炉が必要となるため、製造コストが高くなる。また、酸化亜鉛を含む材料を真空中で高温焼成すると、亜鉛が蒸発して、真空焼成炉を汚すだでなく、材料の組成比が変化して、安定した性能が得られないという問題が生ずる。
【0009】
一方、より安価な熱電変換材料として、酸化亜鉛とアルミナとを大気圧下で焼成した複合酸化物が開示されている(特許文献9参照)。しかし、この複合酸化物は、低温での熱伝導度が大きいため、低温での熱電性能が低い。また、アルミニウムを添加した材料では、一般に、電気伝導が高い反面、熱起電力が比較的低いという問題がある。
【0010】
また、酸化亜鉛にTiを添加した検討例が報告されている(非特許文献1参照)。しかし、複合酸化物の製造条件が最適化されていないため、熱電性能が低い値に止まっている。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−321346号公報
【特許文献2】
特開平10−256612号公報
【特許文献3】
特開2000−012914号公報
【特許文献4】
特開平7−231122号公報
【特許文献5】
特開2000−012915号公報
【特許文献6】
特開昭62−132380号公報
【特許文献7】
特開昭62−17981号公報
【特許文献8】
特開昭63−115388号公報
【特許文献9】
特開平8−186293号公報
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ マテリアルズ サイエンス レターズ(Journal of Materials Science Letters),(米国),1997年,第16巻,第2号,p.155−157
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良電気伝導性で、高熱起電力を安定して発現できる複合酸化物、n型熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子を提供することを目的とする。
【0013】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、Znと、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiとを特定の原子比で含む複合酸化物が、より高い電気伝導性と負の高熱起電力を併せ持ち、n型熱電変換材料として優れた特性を有することを見い出した。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、Znと、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiとを含み、Ln及びTiの原子比xが、Znを1としたとき、0<x<0.5である複合酸化物が提供される。
【0015】
本発明の第二の態様によれば、Znを含む原料と、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiを含む原料とを混合し、大気圧下で焼成することを含む上記の複合酸化物の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の第三の態様によれば、上記の複合酸化物からなるn型熱電変換材料が提供される。
【0017】
本発明の第四の態様によれば、上記のn型熱電変換材料を用いてなる熱電変換素子が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の複合酸化物は、Znと、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiとを含み、これらを主体とする酸化物で示される成分を基本としている。
Lnの原子比xは、Znを1としたとき、0<x<0.5、好ましくは0<x<0.2、より好ましくは0<x<0.1である。xが0.5以上になると、電気伝導度が小さくなり、熱電変換材料として適さなくなる。
【0019】
Lnは、Inを除き、Znより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得るものであれば特に制限されない。好適なLnとしては、例えば、希土類元素(ただし、Laを除く)、Ti以外の周期律表の4族元素(Zr、Hf等)等が挙げられる。希土類元素の中でも、好ましくは、ランタノイド(ただし、Laを除く)であり、より好ましくは、Ce、Pr、Nd、Sm、Er及びYbである。また、4族元素の中でも、より好ましくは、Zrである。また、複合酸化物に含まれるLnは、一種でもよく、また、二種以上でもよい。
【0020】
これら各種組成の複合酸化物は、必要な元素源を含む原料を、粉末等として均一に混合し、大気圧下で焼成することにより得られる。
複合酸化物を製造するに際して用いられる原料としては、各成分元素、各成分元素の酸化物又はその焼成時に酸化物となる原料が使用できる。
【0021】
Zn源としては、例えば、金属(Zn)、酸化物(ZnO)、水酸化物[(Zn(OH))]、硝酸塩[Zn(NO]等が用いられる。また、希土類元素のうち、Ce源としては、例えば、金属(Ce)、酸化物(CeO)、炭酸化物[Ce(CO・8HO]、硝酸塩[Ce(NO・6HO]等が、Pr源としては、例えば、酸化物(Pr)、炭酸化物[Pr(CO]、硝酸塩[Pr(NO]等が、Sm源としては、例えば、酸化物(Sm)、炭酸化物[Sm(CO]、硝酸塩[Sm(NO]等が、Nd源としては、例えば、酸化物(Nd)、炭酸化物[Nd(CO]、硝酸塩[Nd(NO]等が、Er源としては、例えば、酸化物(Er)、炭酸化物[Er(CO]、硝酸塩[Er(NO]等が、Yb源としては、例えば、酸化物(Yb)、炭酸化物[Yb(CO]、硝酸塩[Yb(NO]等がそれぞれ用いられる。また、Ti以外の4族元素のうち、Zr源としては、例えば、金属(Zr)、酸化物(ZrO)、炭酸化物[Zr(CO・nHO]、硝酸塩[Zr(NO・2HO]等が、Hf源としては、例えば、金属(Hf)、酸化物(HfO)等がそれぞれ用いられる。また、Ti源としては、例えば、金属(Ti)、酸化物(TiO)等が用いられる。
また、複合酸化物を製造する際には、Ni等の3d遷移金属等の元素源及び/又はAl、In等の13族元素源を含む原料を、さらに混合することができる。
【0022】
本発明の複合酸化物は、電気伝導性が高く、かつ、負の大きな熱起電力を持っているため、熱電発電の性能の指標である出力因子(電気伝導度×熱電能の二乗)が高く、特に高い複合酸化物は、180℃の比較的低温において、1μW/Kcm以上の値を示す。
尚、一般に、熱起電力の絶対値の大きさと電気伝導度とは負の相関関係にあり、電気伝導度が上がると熱起電力の絶対値は低下してしまうが、本発明の複合酸化物では、Zn及び特定元素Ln及び/又はTiを主体とし、これらの原子比が上記範囲を満たしているため、従来の複合酸化物に比べ、熱起電力の絶対値と電気伝導度とを共に上昇させるか、又は熱起電力の絶対値の低下を抑制することができる。
【0023】
本発明の複合酸化物は、その高い電気伝導性から、熱電変換材料として好適である。また、この複合酸化物は、熱電変換材料のみならず、電極等の高電気伝導性が要求される用途にも好適である。さらに、この複合酸化物は、1,000K以上の高温度においても熱電性能が低下しないため、高温での使用にも適している。このように、本発明の複合酸化物は、良電気伝導性の酸化物材料として有用である。
【0024】
本発明の熱電変換素子は、上記の複合酸化物をn型熱電変換材料として用いた熱電変換素子である。それ以外の他の構成部分は、公知の材料で構成できる。例えば、n型熱電変換材料と併用するp型熱電変換材料としては、上述の特許文献に開示された材料を用いることができる。
【0025】
図1は、本発明の熱電変換素子の一実施形態を示す模式図である。熱電変換素子1において、n型熱電変換材料2及びp型熱電変換材料3は、共通の高温側電極4と、2つの低温側電極5及び6に接合している。ここで、高温側電極4を加熱すると、高温側接合部7の温度が上がりThとなり、低温側接合部8の温度Tcとの間に温度差ΔT(ΔT=Th−Tc)が生じ、高温側電極4と低温側電極5及び6との間に電圧が発生する。そして、低温側電極5及び6の間に負荷抵抗(R)を接続すると電流(I)が流れ、この電流を電力(W)として取り出すことができる。
このように構成される熱電変換素子は、温度差から起電力を取り出せるだけでなく、電力を逆に加えることで冷却や加熱を行なうヒートポンプとしても用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0027】
実施例1(ZnCe0.01
酸化亜鉛(ZnO)粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.752g及び酸化セリウム(CeO)(純度99.9%、平均粒径約0.4μm)0.248gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。X線測定の結果、ZnOとCeOの回折ピークに帰属されるピークが見られた。X線回折図を図2に示す。組成分析の結果、Zn及びCeのモル比は、Zn:Ce=0.99:0.01であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.5g/cmであった。
【0028】
電気伝導度は、直流4端子法を用いて測定した。また、熱電能を測定するために、試料の両端に熱電対を接触させ、試料温度を直接計った。二つの銅ブロックに試料を渡し、銅ブロック間に温度差をつけて熱起電力を測定し、温度差と熱起電力の直線の傾きから熱電能を求めた。
出力因子は、電気伝導度及び熱電能の値から求めた。
この試料の100℃及び200℃での電気伝導度、熱電能、及び出力因子を表1に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。また、X線測定の結果から、セリウムは、完全に固溶していなくても熱電性能を高めていることが分かった。
【0029】
実施例2(ZnCe0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.064g及び酸化セリウム(純度99.9%、平均粒径約0.4μm)0.936gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。X線測定の結果、ZnOとCeOの回折ピークに帰属されるピークが見られた。X線回折図を図3に示す。組成分析の結果、Zn及びCeのモル比は、Zn:Ce=0.961:0.039であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.5g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表1に示す。
また、800℃までの高温領域における電気伝導度及び熱電能を、熱電特性評価装置(真空理工(株)製、ZEM−2)を用いて測定した。結果を図4及び図5に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。また、X線測定の結果から、セリウムは、完全に固溶していなくても熱電性能を高めていることが分かった。
【0030】
実施例3(ZnNd0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.084g及び酸化ネオジウム(Nd)(純度99.9%)0.916gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。組成分析の結果、Zn及びNdのモル比は、Zn:Nd=0.958:0.042であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.4g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表1に示す。
また、800℃までの高温領域における電気伝導度及び熱電能を、実施例2と同様に測定した。結果を図4及び図5に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0031】
実施例4(ZnSm0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.053g及び酸化サマリウム(Sm)(純度99.9%)0.947gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。組成分析の結果、Zn及びSmのモル比は、Zn:Sm=0.957:0.043であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は5.3g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表1に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0032】
実施例5(ZnYb0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)10.941g及び酸化イッテルビウム(Yb)(純度99.9%)1.059gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。組成分析の結果、Zn及びYbのモル比は、Zn:Yb=0.959:0.041であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.5g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表1に示す。
また、800℃までの高温領域における電気伝導度及び熱電能を、実施例2と同様に測定した。結果を図4及び図5に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0033】
実施例6(ZnEr0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)10.969g及び酸化エルビウム(Er)(純度99.9%)1.031gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で80℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から7時間かけて、大気圧下、1,400℃まで昇温し、10時間保持した後、7時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。組成分析の結果、Zn及びErのモル比は、Zn:Er=1:0.039であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.6g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。100℃及び180℃での結果を表1に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0034】
比較例1(ZnCe
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)12gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。密度は、5.4g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表1に示す。
この試料は、電気伝導度が低いことから、熱電変換材料としては適さないことが分かった。
【0035】
比較例2(ZnCe0.7
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)4.839g及び酸化セリウム(純度99.9%、平均粒径約0.4μm)7.161gを秤量し、遊星ボールミルで1時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で120℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から12時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、7時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。組成分析の結果、Zn及びCeのモル比は、Zn:Ce=0.586:0.414であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、6.2g/cmであった。
この試料の電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表1に示す。
この試料は、電気伝導度が低く、熱電変換材料としては適さないことが分かった。
【0036】
【表1】
Figure 2004217499
【0037】
実施例7(ZnZr0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.752g及び酸化ジルコニウム(純度99.9%、300メッシュ以下)0.248gを秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で80℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から8時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。X線測定の結果、ZnOとZrOの回折ピークに帰属されるピーク見られ、混合物となっていることが分かった。X線回折図を図6に示す。組成分析の結果、Zn及びZrのモル比は、Zn:Ce=1:0.038であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.6g/cmであった。
【0038】
この試料の室温から180℃までの温度領域における電気伝導度及び熱電能を実施例1と同様にして測定し、これらの値から出力因子を求めた。100℃及び180℃での結果を表2に示す。
また、この試料の室温から約800℃までの高温領域における電気伝導度及び熱電能を、熱電特性評価装置(真空理工(株)製、ZEM−1)を用いて測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を図7に示す。
この試料は、電気伝導度が高く、熱電能が大きな負の値を示すことから、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。また、図7から、この試料は、高温領域においても、出力因子が高い値を示すことが分かった。
【0039】
実施例8(ZnTi0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.547g及び酸化チタン(純度99.9%、300メッシュ以下)0.453gを秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で80℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から8時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。X線測定の結果、ZnOとZnTiOの回折ピークに帰属されるピーク見られ、混合物となっていることが分かった。X線回折図を図8に示す。組成分析の結果、Zn及びTiのモル比は、Zn:Ti=1:0.039であり、配合比とほぼ等しかった。
また、密度は、5.6g/cmであった。
この試料の室温から180℃までの電気伝導度及び熱電能を実施例7と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表2に示す。
この試料は、出力因子が1μW/Kcm以上と高く、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0040】
実施例9(ZnZr0.1
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)10.423g及び酸化ジルコニウム(純度99.9%、300メッシュ以下)1.577gを秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で80℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から8時間かけて、大気圧下、1,450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。X線測定の結果、得られた試料は、ZnOとZrOの混合物となっていることが分かった。組成分析の結果、Zn及びZrのモル比は、Zn:Zr=1:0.098であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.6g/cmであった。
この試料の室温から180℃までの電気伝導度及び熱電能を実施例7と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表2に示す。
この試料は、出力因子が1μW/Kcm以上と高く、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0041】
実施例10(ZnTi0.04
酸化亜鉛粉(純度99.9%、平均粒径約2μm)11.547g及び酸化チタン(純度99.9%、300メッシュ以下)0.453gを秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA水溶液を12g添加し、良く混合した。これを乾燥機で80℃、5時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュの篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約20mmの棒状に加圧成形した。こうして得られた成形体を、室温から8時間かけて、大気圧下、1,350℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却した。
得られた焼結体の表面を約1mm研磨して測定試料とした。X線測定の結果、、ZnOとZnTiOの回折ピークに帰属されるピークが見られ、混合物となっていることが分かった。組成分析の結果、Zn及びTiのモル比は、Zn:Ti=1:0.039であり、配合比とほぼ等しかった。また、密度は、5.6g/cmであった。
この試料の室温から180℃までの電気伝導度及び熱電能を実施例7と同様に測定し、これらの値から出力因子を求めた。結果を表2に示す。
この試料は、出力因子が1μW/Kcm以上と高く、n型熱電変換材料として有用であることが分かった。
【0042】
【表2】
Figure 2004217499
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、良電気伝導性で、高熱起電力を安定して発現できる複合酸化物、n型熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電変換素子の一実施形態を示す模式図である。
【図2】実施例1の複合酸化物のX線回折図である。
【図3】実施例2の複合酸化物のX線回折図である。
【図4】実施例2、3及び5の複合酸化物の、800℃までの高温領域における電気伝導度を示す図である。
【図5】実施例2、3及び5の複合酸化物の、800℃までの高温領域における熱電能を示す図である。
【図6】実施例7の複合酸化物のX線回折図である。
【図7】実施例7の複合酸化物の、室温から約800℃までの高温領域における出力因子を示す図である。
【図8】実施例8の複合酸化物のX線回折図である。
【符号の説明】
1 熱電変換素子
2 n型熱電変換材料(複合酸化物)
3 p型熱電変換材料
4 高温側電極
5、6 低温側電極
7 高温側接合部
8 低温側接合部

Claims (8)

  1. Znと、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiとを含み、前記Ln及びTiの原子比xが、Znを1としたとき、0<x<0.5である複合酸化物。
  2. 前記Lnが、希土類元素である請求項1に記載の複合酸化物。
  3. 前記Lnが、ランタノイド(ただし、Laを除く)から選ばれた一種又は二種以上である請求項1又は2に記載の複合酸化物。
  4. 前記Lnが、Zrである請求項1に記載の複合酸化物。
  5. 出力因子が、1μW/Kcm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の複合酸化物。
  6. Znを含む原料と、これより原子量が大きく、3価以上の価数を取り得る元素Ln(ただし、Inを除く)及び/又はTiを含む原料とを混合し、大気圧下で焼成することを含む請求項1〜5のいずれかに記載の複合酸化物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合酸化物からなるn型熱電変換材料。
  8. 請求項6に記載のn型熱電変換材料を用いてなる熱電変換素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007161578A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Degussa Gmbh 酸化亜鉛−酸化セリウム−複合粒子
KR101267935B1 (ko) 2012-03-26 2013-05-27 한국세라믹기술원 ZnO-계 열전재료 및 그의 제조 방법
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