JPH08231223A - 熱電変換材料 - Google Patents

熱電変換材料

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JPH08231223A
JPH08231223A JP7039976A JP3997695A JPH08231223A JP H08231223 A JPH08231223 A JP H08231223A JP 7039976 A JP7039976 A JP 7039976A JP 3997695 A JP3997695 A JP 3997695A JP H08231223 A JPH08231223 A JP H08231223A
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JP
Japan
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oxide
powder
phase
dried
thermoelectric
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Application number
JP7039976A
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English (en)
Inventor
Toichi Takagi
東一 高城
Naoko Hikima
尚子 引馬
Tetsuya Wada
徹也 和田
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全性が高く、安価でもあり、また熱電変換
材料としての性能が優れ特性的に安定で工業的に有用な
酸化物系熱電変換材料を提供する。 【構成】 ストロンチウム酸化物とチタン酸化物或いは
ストロンチウム酸化物、バリウム酸化物とチタン酸化物
からなる複合酸化物の組成比や構成結晶相を特定範囲に
したことを特徴とする熱電変換材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電冷却素子や熱電発
電素子に好適な酸化物系熱電変換材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題からのフロン使用規
制や、電子機器等の局所冷却、除湿などの小型冷却装置
などに対する要求からペルチェ効果を利用した熱電冷却
用電子部品に対する要求は大きい。また、排熱や温度差
を利用した熱電発電もエネルギー問題と関連して重要性
を増してきている。このうち、室温付近で用いる熱電冷
却用の電子部品としては、Bi−Te系の単結晶もしく
は多結晶凝固体を熱電変換材料として使用したものが知
られている。熱電変換素子はn型素子とp型素子を電気
的に直列に接合して用いられるがBi−Te系素子では
特性調整のためn型素子部にはSeを添加して用いられ
ている。
【0003】しかしながら、これらの素子において、と
くに添加物として加えられるSeは毒性が大きく、また
主成分のBi−Te系組成自体が高価でありこのため素
子の使用範囲が制限されていた。また、一般的に熱電変
換材料の性能は、ゼーベック係数をs、導電率をσ,熱
伝導率をkとすると、性能指数Z=s×s×σ/kで表
わされる。熱電冷却素子の場合、Zの大きいものほど冷
却時の消費電力当りの吸収熱量や放熱側との温度差が大
きくとれ、各種半導体材料がBi−Te系を置き換える
目的で検討されてきたが、特性的にこれを超えるものは
現在のところ報告されていない。
【0004】このような現状を踏まえ、材料としての毒
性が少なく、かつ安価で性能が優れ特性的に安定した新
たな熱電変換材料が強く望まれており、特開平5−21
8511号では、酸化物半導体がストロンチウム酸化物
とチタン酸化物を少なくとも構成成分とする複合酸化物
よりなり、複合酸化物組成におけるSrに対するTiの
モル比をaとしたとき、1.005≦a≦1.120の
範囲内にあり、かつ素子酸化物半導体が酸素中で完全に
高温酸化した後の重量に対する酸素欠損量を重量%で表
わした値をbとするとき、0.06≦b≦0.55の範
囲内にあることを特徴としペロブスカイト相を主体とす
る熱電半導体、或いは、ストロンチウム酸化物の一部を
バリウム酸化物に置換した複合酸化物系の熱電半導体素
子が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の熱電半導体素子
は毒性が少なくかつ安価であり高い性能指数を示すもの
であることが開示されているが、熱電材料として十分な
ものであるとは言えず、さらなる性能指数の向上、熱電
特性の向上が強く望まれている。本発明はかかる課題に
鑑み、さらに熱電特性の優れた熱電変換材料を提供する
ことを目的に鋭意検討した結果、チタンの量、ストロン
チウムとバリウムに対するストロンチウムの量、またス
トロンチウムとバリウムに対するチタンの量と導電率を
特定すること、さらに結晶構造の種類と構成を特定する
ことによって熱電材料特性を向上できることを見い出し
本発明を完成させた。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の発明の熱電変換材料は、ストロンチウム酸化物とチタ
ン酸化物を主構成成分とする複合酸化物よりなり、該複
合酸化物におけるSrに対するTiのモル比をaとする
とき、a<1.005であり、その導電率が100S/
cm以上であることを特徴とするものである。
【0007】また、第2の発明の熱電変換材料は、スト
ロンチウム酸化物、バリウム酸化物とチタン酸化物を主
構成成分とする複合酸化物よりなり、該複合酸化物にお
けるSrとBa合計モル数に対するSrのモル比をb、
SrとBaの合計モル数に対するTiのモル比をcとす
るとき、0.45≦b<1.00かつc<1.005で
あり、その導電率が100S/cm以上であることを特
徴とするものである。
【0008】次に本発明の第3の発明の熱電変換材料
は、第1及び第2の発明の熱電変換材料において、複合
酸化物を構成する結晶相の90%以上が少なくともSr
TiO 3 相(ペロブスカイト型結晶構造)、Sr2 Ti
4 相(K2 NiF4 型結晶構造)、Sr3 Ti2 7
相(Sr3 Ti2 7 型結晶構造)のうちの少なくとも
1種以上からなることを特徴とするものである。
【0009】以下、第1の発明から順に本発明について
さらに詳細に説明する。
【0010】第1の発明では、複合酸化物におけるSr
に対するTiのモル比をaとしたとき、a<1.005
であることが重要である。このように限定した理由は、
この組成範囲で熱電特性が優れているからである。ま
た、導電率が100S/cmより小さいとゼーベック係
数とのバランスで決まる性能指数が大きくならず好まし
くない。
【0011】導電率を100S/cm以上とする方法と
しては、酸素欠損を導入したり、置換元素の導入により
行なうことができる。酸素欠損導入は還元雰囲気中の焼
結や熱処理により結晶中の酸素位置に欠損を生成し電子
をキャリアとして導入することである。この熱処理雰囲
気、温度及び時間を変えることによって酸素欠損量を調
整し、導電率100S/cm以上とすることができる。
また、置換元素導入は一般に導電性を付与する際に行な
われるのと同様にSr或いはTiをそれらよりも大きな
価数の元素で置換することによって電子を導入したり
(ゼーベック係数は負の値となる)、価数の小さな元素
を導入してホールを導入する(ゼーベック係数は正の値
となる)ことである。この際、置換元素を導入すると同
時に還元雰囲気中の熱処理などにより酸素欠損を導入し
ても良い。酸素欠損量及び/または置換元素導入量は、
得られる熱電変換材料の導電率が100S/cm以上と
なるように適宜調整し行なわれる。また、置換という形
ではなく、添加物としてSrやTi以外の成分を添加す
ることも可能であるが、この場合もその添加量は導電率
が100S/cm以上となるように適宜調整する必要が
ある。
【0012】次に第2の発明では、複合酸化物における
SrとBa合計モル数に対するSrのモル比をb、Sr
とBaの合計モル数に対するTiのモル比をcとすると
き、0.45≦b<1.00かつc<1.005である
ことが重要である。このように限定した理由は、この組
成範囲で熱電特性が優れているからである。また、導電
率が100S/cmより小さいとゼーベック係数とのバ
ランスで決まる性能指数が大きくならず好ましくない。
【0013】導電率を100S/cm以上とする方法と
しては、第1の発明で説明したと同様に酸素欠損を導入
したり、置換元素の導入により行なうことができる。酸
素欠損導入は還元雰囲気中の焼結や熱処理により結晶中
の酸素位置に欠損を生成し電子をキャリアとして導入す
ることである。また、置換元素導入は一般に導電性を付
与する際に行なわれるのと同様にSr、Ba或いはTi
をそれらよりも大きな価数の元素で置換することによっ
て電子を導入したり、価数の小さな元素を導入してホー
ルを導入することである。この際、置換元素を導入する
と同時に還元雰囲気中の熱処理などにより酸素欠損を導
入しても良い。酸素欠損量及び/または置換元素導入量
は、得られる熱電変換材料の導電率が100S/cm以
上となるように適宜調整し行なわれる。また、置換とい
う形ではなく、添加物としてSr、BaやTi以外の成
分を添加することも可能であるが、この場合もその添加
量は導電率が100S/cm以上となるように適宜調整
する必要がある。
【0014】第3の発明では、構成結晶相の90%以上
が少なくともSrTiO3 相(ペロブスカイト型結晶構
造)、Sr2 TiO4 相(K2 NiF4 型結晶構造)、
Sr 3 Ti2 7 相(Sr3 Ti2 7 型結晶構造)の
うち少なくとも1種以上からなることからなることが特
徴である。ここで、SrTiO3 相,Sr2 TiO
4相、Sr3 Ti2 7 相とは、結晶構造を示してお
り、SrとTi或いはSr、Ba、Tiのみで構成され
ている場合ばかりでなく、SrやTiの一部を置換元素
で置き換えた組成も同様の結晶構造であればよい。すな
わち、第3の発明で重要な点は上述の特定の結晶相以外
の結晶相が10%を越えて存在すると熱電特性が低下し
好ましくないという点である。特定の結晶相以外の相と
しては、例えばTiO2 相やSrO相或いはSrCO3
相などが挙げられる。
【0015】結晶相の存在量は、一般に行なわれるよう
に粉末エックス線回折のピーク強度の定量により測定す
る。あらかじめ測定した検量線をもとに各結晶相のピー
ク強度比からその存在比を測定することができる。この
測定法の検出限界は数%程度であり、結晶相の性質によ
って異なる。したがって、本発明の結晶相は粉末エック
ス線で検出可能な相と定義される。
【0016】熱電特性の評価法について説明する。性能
指数を算出するための因子のうち、ゼーベック係数sの
評価法としては、試料の両端に温度差をつけその温度差
と熱起電力を測定してゼーベック係数sを算出する方法
が適用される。また、導電率σは直流4端子法などを適
用して測定することができる。一方、熱電変換材料の熱
伝導率の評価は一般に難しいと言われており、測定法に
よって差異が生じることがある。この点を考慮して本発
明者らは簡便なレーザーフラッシュ法を全ての測定に適
用することとした。レーザーフラッシュ法では、測定し
た熱拡散率とDSC法(示差熱量分析法)などにより測
定した比熱から熱伝導率を算出する方法である。この場
合、測定精度は熱拡散率及び比熱の測定により影響され
る。
【0017】本発明の熱電変換材料は、焼結体として熱
電変換素子に適用される。以下、焼結体の製造方法につ
いて説明する。本発明の熱電変換材料には一般のセラミ
ックスの焼結体作製方法を適用することができる。ま
ず、焼結体作製用粉末の合成方法としては、固相法、液
相法、気相法などの方法がある。気相法ではCVD法
(化学蒸着法)や液状原料を用いた気相分解法などが適
用される。気相法は一般に高価な原料と装置を必要とす
るためその適用範囲は限られている。また、気相法では
焼結体作製用粉末原料を製造するばかりでなく、本発明
の熱電変換材料の緻密な膜を形成することも可能であ
る。これらの膜は膜状の熱電変換素子に適用することが
できる。
【0018】液相法では、共沈法や水熱合成法などの液
状原料から沈澱を析出する方法や溶媒を蒸発させるなど
して除去する溶媒除去法などが挙げられる。液状原料と
しては水を溶媒とし、水溶性の原料の塩化物、硝酸塩、
有機酸塩などを用いる方法や水以外のアルコールなどの
有機溶媒を用いた各種アルコキシドなどの溶液を液状原
料として用いる方法などがある。液相法で合成される粉
末は粉末特性が優れているが、原料が比較的高価である
ことや製造工程及び装置が複雑であることなどの問題点
がある。気相法と同様に液相法でも焼結体用の粉末を作
製するのではなく、基材の上に膜を形成しそれを焼結す
ることによって膜状の熱電変換素子に適用することがで
きる。
【0019】以下、最も生産性の高い固相法による焼結
体用粉末の製造方法について説明する。一般的に行なわ
れるように固相法ではストロンチウム、バリウムやチタ
ンを含む各種化合物などの原料粉末を混合し、仮焼して
目的の相を形成しその粉末を用いて成形、焼結して焼結
体を製造する。固相法に用いる原料粉末としては、加熱
により酸化物になるものであって、粉末の粒径が小さ
く、その粒径分布が狭く、混合性の優れた粉末であれば
特に限定されるものではない。具体例としては各種酸化
物、炭酸塩、水酸化物或いは塩化物、硝酸塩、硫酸塩、
さらにシュウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩等の有機酸塩などが
挙げられるが、焼結時に不純物を残留しないものが好ま
しい。尚、置換成分、添加成分等を加える場合には、上
記原料粉末で説明したのと同様にそれらの成分を含む混
合性の良い化合物粉末を選定することが好ましい。ま
た、混合の均一性を高めるためにこれらの成分を溶液状
態で混合する方法も可能である。
【0020】これらの原料粉末の混合方法としては、均
一に混合できる方法であれば特に限定されるものではな
く、通常のミキサー、乳鉢、ボールミル、振動ミル等を
用いた乾式或いは湿式等の方法が挙げられる。このう
ち、アルコール類、水、アセトン、クロロセンなどの溶
媒を用いた湿式混合法の方が混合効率が高く好ましい。
【0021】次に得られた混合物を仮焼する。仮焼工程
を行なわずに焼結することも可能であるが、目的とする
結晶相を形成し焼結体中の成分の均一性を向上したり、
粉体特性を整えたり、焼結時の変形を抑制するために、
通常のセラミックス製造工程で行なわれるように仮焼す
ることが好ましい。仮焼温度は、添加物や置換元素など
種類や量により異なるが、700℃〜1400℃程度で
ある。仮焼温度低いと仮焼による固相反応が不充分で仮
焼の効果が少なく、逆に仮焼温度が高すぎると粉末同士
の凝集が進み粉末特性が低下する。仮焼温度の決定は通
常のセラミックスの焼結と同様にこれらの点を考慮して
行なう。仮焼時間は、粉末の仕込量や組成の違いのよる
固相反応速度の違いなどにより異なるが、30分程度か
ら数時間が適当である。仮焼時間が短いと固相反応が不
充分となり不均一な部分ができやすい傾向があり、逆に
時間が長いと生産効率が低下し好ましくない。尚、仮焼
を行なわずに成形し直接焼結することも可能である。
【0022】この成形体の作製方法としては、通常の粉
末の成形方法が適用可能である。すなわち、金型等によ
る加圧成形、CIP成形、押し出し成形、ドクターブレ
ードなどによるシート成形などが挙げられる。成形条件
としては通常の焼結体製造時と同様に成形体中の粉末の
充填の均一性が高くなるよう成形方法に応じて適宜選択
することが好ましい。例えば加圧成形の場合の成形圧力
は高すぎると粉末の充填が不均一となる傾向があり、低
すぎると成形密度が上がらないので好ましくない。成形
方法の選択は、目的とする熱電変換素子の形状により適
宜行なえばよい。
【0023】次に成形体を焼結することにより最終的な
焼結体を作製する。焼結は、常圧焼結法、加圧焼結法な
どの通常の焼結方法が適用でき、その焼結温度は110
0℃以上1700℃未満がよいが、より好ましくは、1
400℃〜1700℃未満、さらに好ましくは1500
℃より高く1700℃未満がよい。もちろん、1700
℃以上の温度で焼結することも可能であるが、高価な焼
結炉を必要とし、エネルギー消費量が増すことや成分の
揮散による組成変化や焼結体の粒成長による機械的特性
の低下などの問題があり、1700℃未満の温度で焼結
することが好ましい。また、置換元素や添加物の種類や
量により異なるが、1100℃未満の温度では緻密化が
不充分であり好ましくない。焼結温度の選定は緻密化が
充分進行する温度で特性を発現する温度であればできる
だけ低いことが望ましい。焼結時間は、緻密化と特性発
現を考慮して決定されるが、30分程度から数時間が適
当である。焼結時間が短いと緻密化などが不充分となり
不均一な部分ができやすい傾向があり、逆に時間が長い
と生産効率が低下するからである。
【0024】尚、(a又はc)が1付近、特に0.95
2≦(a又はc)<1.005の組成のものは、ホット
プレス法(HP)や熱間静水圧プレス法(HIP)など
の加圧焼結法によれば焼結性がよくより好ましく、この
時の焼結温度は、1400℃以上1700℃未満が好ま
しい。この時得られる焼結体の結晶構造はペロブスカイ
ト型結晶構造が主相である。また、(a又はc)≦0.
670の組成の場合は、常圧焼結によってSr2 TiO
4 相(K2 NiF4 型結晶構造)、Sr3 Ti 2 7
(Sr3 Ti2 7 型結晶構造)を主相とする焼結体が
得られ、その焼結温度は、1400℃〜1700℃未満
がより好ましく、1500℃〜1700℃がさらに好ま
しい。前者と後者の中間、すなわち、0.670≦(a
又はc)≦0.952の組成の場合は、ペロブスカイト
相とSr3 Ti2 7 相の混合相を含んだ焼結体が常圧
焼結又はホットプレスによって得ることができる。この
時の焼結温度も1400℃〜1700℃未満がより好ま
しく、1500℃〜1700℃がさらに好ましい。
【0025】焼結雰囲気は、還元処理の必要の有無によ
って異なる。焼結時と同時に還元処理を行なう場合に
は、還元雰囲気で行なう。還元雰囲気の調整は通常の還
元処理に用いられる雰囲気ガスを用いればよい。例え
ば、水素、一酸化炭素などの還元ガスを用い、キャリア
ガスとしてアルゴンなどの不活性ガスを用いたり、場合
によっては窒素ガスを用いることも可能である。また、
焼結体と還元物質を接触させて還元することも可能であ
る。還元物質としてはチタン金属やカーボンなどが挙げ
られる。還元処理を同時に行なわない場合には、空気中
で常圧焼結する方法が一般的であるが、酸素雰囲気を用
いることによって焼結が促進される場合には酸素雰囲気
下で焼結することもできる。尚、還元雰囲気での熱処理
の方法は、焼結後に還元処理を別に行なう場合にも適用
可能である。
【0026】尚、仮焼工程を行なわずに成形体とし焼結
する場合で成形体中に加熱により分解する成分が含まれ
ている場合には、焼結工程で成形体中の分解成分を除去
できる中間温度での加熱工程を加えることが好ましい。
この加熱工程は、成形体中の原料の分解挙動によって異
なるが、温度300℃〜1400℃、好ましくは温度5
00℃〜1200℃、より好ましくは800℃〜100
0℃の温度範囲で一旦保持する工程などを加えることに
より行なうことが好ましい。この保持時間は少なくとも
0.5時間以上、好ましくは1時間以上がよい。この加
熱工程は焼結とは別の工程で行なっても、焼結工程の昇
温工程の制御で行なってもよい。
【0027】
【作用】本発明によれば、ストロンチウム酸化物とチタ
ン酸化物或いはストロンチウム酸化物、バリウム酸化物
とチタン酸化物からなる複合酸化物の組成比や構成結晶
相を特定範囲にすることによって、強い毒性を有する元
素を含有せず、安全性が高く、安価でもあり、また熱電
変換材料としての性能が優れ特性的に安定で工業的に有
用な熱電変換材料を提供することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例、比較例を用いて本発明をさら
に具体的に説明する。
【0029】(実施例1)所定比のストロンチウム酸化
物とチタン酸化物を主構成成分とする複合酸化物を作製
し熱電変換材料としての特性を評価した。出発原料とし
てSrCO3 粉末とTiO2 粉末を用い、所定比に秤量
したのちナイロン被覆ボールを混合媒体にして純水とと
もにボールミルで20時間混合し乾燥した。乾燥した粉
末混合物はアルミナ坩堝にいれ電気炉を用い空気中11
00℃で12時間仮焼した。仮焼粉末はふたたびジルコ
ニア質ボールを解砕媒体とし純水とともにボールミルで
湿式粉砕し平均粒径0.8μmの粉末とし、300℃で
乾燥した。
【0030】No.1〜No.10の試料については、
ホットプレス法を用いて焼結体を得た。仮焼粉末3.5
gを直径20mmの円筒型カーボン型に入れ、圧力20
MPa、温度1550℃で5〜15分間ホットプレスし
た。得られた焼結体を2×2×15mm程度の直方体形
状に切断研磨加工した。
【0031】No.11〜No.19の試料について
は、仮焼粉末は5wt%の水を加えたのち造粒し、金型
を用いて圧力70MPaでプレス成形した。この成形体
を温度1500を越え、1700℃未満の温度で空気中
で、3時間常圧焼結した。得られた焼結体を2×2×1
5mm程度の直方体形状に切断研磨加工した。
【0032】上記方法で得られたNo.1〜No.19
の焼結体をスポンジチタン粒子中に埋め込むように磁器
製さやに入れ、管状炉に挿入し、20%水素−アルゴン
ガスを流しながら1100〜1500℃で0.5〜24
時間熱処理した。得られた焼結体の結晶相の同定及び存
在量の定量は詳細な説明に示したように粉末エックス線
回折法により行なった。さらに焼結体中のSrとTiの
モル比は蛍光X線分析法により測定した。その結果、全
ての試料でSrとTiのモル比は配合組成と変化はな
く、スポンジチタンからのTiの拡散や、蒸発などの影
響は無視できることが確認された。また、熱伝導率は以
下に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。表1
に実施例で得られた焼結体のSrに対するTiのモル比
a、結晶相の種類と存在量、ゼーベック係数s、電気伝
導度σ、熱伝導度k、性能指数Zを示す。尚、表中*印
を付したNo.の試料は本発明の範囲外の比較例を示
す。熱電特性の評価は以下に示す方法により測定した。
【0033】熱伝導率の測定 熱伝導率はレーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定
し、これとは別に行ったDSC測定より比熱を求め、こ
れらより熱伝導率kl を求めた。しかしながら、レーザ
ーフラッシュ法で測定された熱伝導率kl とオングスト
ローム法で測定された熱伝導率kでは倍近い違いがある
ため、以下の方法で換算してオングストローム法による
熱伝導率kに換算した。 (換算方法)特開平5−218511記載の実施例の試
料番号8と同一の試料を作製し、レーザーフラッシュ法
で測定した熱伝導率kl は、kl =5.4W/m・Kで
あり、オングストローム法で測定した値は、ka =2.
9W/m・K)であった。本発明の実施例の熱伝導率k
は下記の式により算出した。 k=(レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率kl
×(2.9/5.4)
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかな通り、複合酸化物におけ
るSrに対するTiのモル比をaとしたときa<1.0
05であり、その導電率が100S/cm以上である熱
電変換材料は、大きな性能指数を示すことが判明した。
また、複合酸化物を構成する結晶相の90%以上が少な
くともSrTiO3 相(ペロブスカイト型結晶構造)、
Sr2 TiO4 相(K2 NiF4 型結晶構造)、Sr3
Ti2 7 相(Sr3Ti2 7 型結晶構造)のうち少
なくとも1種以上からなる焼結体の性能指数が大きいこ
とが分かった。
【0036】(実施例2)所定比のストロンチウム酸化
物、バリウム酸化物とチタン酸化物を主構成成分とする
複合酸化物を作製し熱電変換材料としての特性を評価し
た。出発原料としてSrCO3 粉末、BaCO3 粉末と
TiO2 粉末を用い、所定比に秤量したのちナイロン被
覆ボールを混合媒体にして純水とともにボールミルで2
0時間混合し乾燥した。乾燥した粉末混合物はアルミナ
坩堝にいれ電気炉を用い空気中1100℃で12時間仮
焼した。仮焼粉末はふたたびジルコニア質ボールを混合
媒体とし純水とともにボールミルで湿式粉砕し平均粒径
0.8μmの粉末とし、300℃で乾燥した。
【0037】No.20〜No.27、No.31〜N
o.35、No.40〜No.44及びNo.48の試
料については、ホットプレス法を用いて焼結体を得た。
仮焼粉末3.5gを直径20mmの円筒型カーボン型に
入れ、圧力20MPa、温度1550℃で5〜15分間
ホットプレスした。得られた焼結体を2×2×15mm
程度の直方体形状に切断研磨加工した。
【0038】No.28〜No.30、No.36〜N
o.39、No.45〜No.47及びNo.49の試
料については、仮焼粉末は5wt%の水を加えたのち造
粒し、金型を用いて圧力70MPaでプレス成形した。
この成形体を温度1500を越え、1700℃未満の温
度で空気中で、3時間常圧焼結した。得られた焼結体を
2×2×15mm程度の直方体形状に切断研磨加工し
た。
【0039】上記方法で得られたNo.20〜No.4
9の焼結体をスポンジチタン粒子中に埋め込むように磁
器製さやに入れ、管状炉に挿入し、20%水素−アルゴ
ンガスを流しながら1500℃で0.5〜24時間熱処
理した。
【0040】得られた焼結体の評価は実施例1と同じ方
法により行なった。さらに焼結体中のSrとTiのモル
比は蛍光X線分析法により測定した。その結果、全ての
試料でSrとTiのモル比は配合組成と変化はなく、ス
ポンジチタンからのTiの拡散や、蒸発などの影響は無
視できることが確認された。表2にSrとBa合計モル
数に対するSrのモル比b、SrとBaの合計モル数に
対するTiのモル比c、結晶相の種類と存在量、ゼーベ
ック係数s、電気伝導度σ、熱伝導度k、性能指数Zを
示す。尚、表中*印を付したNo.の試料は本発明の範
囲外の比較例を示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかな通り、複合酸化物におけ
るSrとBa合計モル数に対するSrのモル比をb、S
rとBaの合計モル数に対するTiのモル比をcとする
とき、0.45≦b<1.00かつc<1.005であ
り、その導電率が100S/cm以上である熱電変換材
料は、大きな性能指数を示すことが判明した。また、複
合酸化物を構成する結晶相の90%以上が少なくともS
rTiO3 相(ペロブスカイト型結晶構造)、Sr2
iO4 相(K2 NiF4 型結晶構造)、Sr3Ti2
7 相(Sr3 Ti2 7 型結晶構造)のうちの少なくと
も1種以上からなる試料の性能指数が大きいことが分か
った。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、ストロンチウム酸化物
とチタン酸化物或いはストロンチウム酸化物、バリウム
酸化物とチタン酸化物からなる複合酸化物の組成比や構
成結晶相を特定範囲にすることによって、強い毒性を有
する元素を含有せず、安全性が高く、安価でもあり、ま
た熱電変換材料としての性能が優れ特性的に安定で工業
的に有用な熱電変換材料を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストロンチウム酸化物とチタン酸化物を
    主構成成分とする複合酸化物よりなり、該複合酸化物に
    おけるSrに対するTiのモル比をaとするとき、a<
    1.005であり、その導電率が100S/cm以上で
    あることを特徴とする熱電変換材料。
  2. 【請求項2】 ストロンチウム酸化物、バリウム酸化物
    とチタン酸化物を主構成成分とする複合酸化物よりな
    り、該複合酸化物におけるSrとBa合計モル数に対す
    るSrのモル比をb、SrとBaの合計モル数に対する
    Tiのモル比をcとするとき、0.45≦b<1.00
    かつc<1.005であり、その導電率が100S/c
    m以上であることを特徴とする熱電変換材料。
  3. 【請求項3】 複合酸化物を構成する結晶相の90%以
    上が少なくともSrTiO3 相(ペロブスカイト型結晶
    構造)、Sr2 TiO4 相(K2 NiF4 型結晶構
    造)、Sr3 Ti2 7 相(Sr3 Ti2 7 型結晶構
    造)のうちの少なくとも1種以上からなることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の熱電変換材料。
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