JPH08242021A - 熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

熱電変換材料の製造方法

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JPH08242021A
JPH08242021A JP7044208A JP4420895A JPH08242021A JP H08242021 A JPH08242021 A JP H08242021A JP 7044208 A JP7044208 A JP 7044208A JP 4420895 A JP4420895 A JP 4420895A JP H08242021 A JPH08242021 A JP H08242021A
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JP
Japan
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powder
oxide
titanium
heat
thermoelectric conversion
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JP7044208A
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Toichi Takagi
東一 高城
Tetsuya Wada
徹也 和田
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素欠損を安全に効率的よく導入することが
でき、特性の優れた酸素欠損のある酸化物系熱電変換材
料が生産性高く製造する方法を提供する。 【構成】 チタン酸化物或いはストロンチウム酸化物と
チタン酸化物を主構成成分に含む複合酸化物よりなる熱
電変換材料の製造方法において、金属チタンを原料中に
含んだものを熱処理することを特徴とする導電率が10
0S/cm以上の熱電変換材料の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電冷却素子や熱電発
電素子に好適な酸化物系熱電変換材料の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題からのフロン使用規
制や、電子機器等の局所冷却、除湿などの小型冷却装置
などに対する要求からペルチェ効果を利用した熱電冷却
用電子部品に対する要求は大きい。また、排熱や温度差
を利用した熱電発電もエネルギー問題と関連して重要性
を増してきている。このうち、室温付近で用いる熱電冷
却用の電子部品としては、Bi−Te系の単結晶もしく
は多結晶凝固体を熱電変換材料として使用したものが知
られている。熱電変換素子はn型素子とp型素子を電気
的に直列に接合して用いられるがBi−Te系素子では
特性調整のためn型素子部にはSeを添加して用いられ
ている。
【0003】これらの素子において、とくに添加物とし
て加えられるSeは毒性が大きく、また主成分のBi−
Te系組成自体が高価でありこのため素子の使用範囲が
制限されていた。また、一般的に熱電変換材料の性能
は、ゼーベック係数をs、導電率をσ,熱伝導率をkと
すると、性能指数Z=s×s×σ/kで表わされる。熱
電冷却素子の場合、Zの大きいものほど冷却時の消費電
力当りの吸収熱量や放熱側との温度差が大きく取れ、各
種半導体材料がBi−Te系を置き換える目的で検討さ
れてきたが、特性的にこれを超えるものは現在のところ
報告されていない。
【0004】このような現状を踏まえ、材料としての毒
性が少なく、かつ安価で性能が優れ特性的に安定した新
たな熱電変換材料が強く望まれており、特開平5−21
8511号では、酸化物半導体がストロンチウム酸化物
とチタン酸化物を少なくとも構成成分とする複合酸化物
よりなり、複合酸化物組成におけるSrに対するTiの
モル比をaとしたとき、1.005≦a≦1.120の
範囲内にあり、かつ素子酸化物半導体が酸素中で完全に
高温酸化した後の重量に対する酸素欠損量を重量%で表
わした値をbとするとき、0.06≦b≦0.55の範
囲内にあることを特徴としペロブスカイト相を主体とす
る熱電半導体、或いは、ストロンチウム酸化物の一部を
バリウム酸化物に置換した複合酸化物系の熱電半導体素
子が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、このような酸素
欠損をもつ複合酸化物系熱電変換材料の製造方法として
は、複合酸化物を構成する元素の酸化物或いは熱処理に
より酸化物になるものを原料として用い、水素を含む還
元性のガス雰囲気中での熱処理や還元剤存在下での熱処
理することによって酸素欠損を導入する方法が行なわれ
ていた。しかしながら、危険性の高い水素ガスを使用す
る場合には熱処理炉の構造や安全装置が複雑となる問題
点があった。また、還元剤を試料と接触させて還元する
場合には、金属チタンなどの還元剤が余分に必要である
ばかりでなく、熱処理後に酸化物系熱電変換材料を取り
出すために還元剤を除去する必要があるなどの工程上の
問題点があった。さらに、大型の試料を熱処理により酸
素欠陥を導入する際には試料の表面付近と内部に酸素欠
損量の不均一を生じさせないために長時間の熱処理が必
要であるという問題点もあった。
【0006】そこで本発明はかかる課題に鑑み、危険な
ガスや還元剤の使用がなく工程が簡略化でき、酸素欠損
量の均一性なチタン酸化物を主構成成分に含む複合酸化
物系熱電変換材料の酸素欠損導入法を提供することを目
的に鋭意検討した結果、原料中に金属チタンを入れるこ
とによって達成できることを見い出し本発明を完成させ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の発明は、チタン酸化物を主構成成分に含む複合酸化物
よりなる熱電変換材料の製造方法において、金属チタン
を原料中に含んだものを熱処理することを特徴とする導
電率が100S/cm以上の熱電変換材料の製造方法で
あり、第2の発明は、複合酸化物がストロンチウム酸化
物とチタン酸化物を主構成成分とする熱電変換材料の製
造方法において、金属チタンを原料中に含んだものを熱
処理することを特徴とする導電率が100S/cm以上
の熱電変換材料の製造方法である。
【0008】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0009】本発明の複合酸化物は、チタン酸化物を主
構成成分として含むもの、或いはストロンチウム酸化物
とチタン酸化物を主構成成分とするものであることが特
徴である。勿論、本発明は、上記主構成成分以外に置換
元素や添加物成分を含む広い組成範囲の複合酸化物に適
用することができる。本発明のポイントは目的とする複
合酸化物の組成のチタン成分原料の一部を金属チタンと
する点にあり、金属チタンの使用量は導電率が100S
/cm以上で所望の性能が得られるように適宜調整する
ことができる。導電率が100S/cmより小さいとゼ
ーベック係数とのバランスで決まる性能指数が大きくな
らず好ましくない。したがって、下記の方法で製造する
熱電変換材料の製造条件は得られる熱電変換材料の導電
率が100S/cm以上となるように適宜選択される。
【0010】金属チタンを原料に用いる点以外は、一般
のセラミックスの焼結体作製方法が適用される。すなわ
ち、構成元素からなる酸化物、炭酸塩、水酸化物などの
化合物粉末を混合し、成形して熱処理して焼結体を得
る。原料に用いる金属チタン粉末は、粒径が小さく、そ
の粒径分布が狭く、混合性の優れた粉末が好ましいが、
微粉末の製造には長時間の粉砕工程が必要であり、熱処
理後の焼結体特性に問題が生じない範囲の粉末特性であ
ればよい。
【0011】また、金属チタン以外の成分の原料粉末と
しては、粉末の粒径が小さく、その粒径分布が狭く、混
合性の優れた粉末であれば特に限定されるものではな
い。具体例としては各種酸化物、炭酸塩、水酸化物或い
は塩化物、硝酸塩、硫酸塩、さらにシュウ酸塩、ギ酸
塩、酢酸塩等の有機酸塩などが挙げられるが、熱処理時
に不純物を残留しないものが好ましい。また、金属チタ
ン以外の原料の化合物或いは固溶体の粉末を予め調製し
て使用してもよい。尚、置換成分、添加成分等を加える
場合には、上記原料粉末で説明したのと同様にそれらの
成分を含む混合性の良い化合物粉末を選定することが好
ましい。また、混合の均一性を高めるためにこれらの成
分を溶液状態で混合する方法も可能である。
【0012】これらの原料粉末の混合方法としては、均
一に混合できる方法であれば特に限定されるものではな
く、通常のミキサー、乳鉢、ボールミル、振動ミル等を
用いた乾式或いは湿式等の方法が挙げられる。このう
ち、アルコール類、水、アセトン、クロロセンなどの溶
媒を用いた湿式混合法の方が混合効率が高く好ましい。
【0013】次に得られた混合物を成形後、熱処理して
焼結体を製造するが、成形前に目的とする結晶相を充分
に形成し焼結体中の成分の均一性を向上したり、粉体特
性を整えたり、焼結時の変形を抑制するために、通常の
セラミックス製造工程で行なわれるように仮焼工程を行
なっても良い。仮焼温度は、主構成成分及びその組成比
さらに添加物や置換元素など種類や量により異なるが、
700℃〜1400℃程度である。仮焼温度が低いと仮
焼による固相反応が不充分で仮焼の効果が少なく、逆に
仮焼温度が高すぎると粉末同士の凝集が進み粉末特性が
低下する。仮焼温度の決定は通常のセラミックスの焼結
と同様にこれらの点を考慮して行なう。
【0014】仮焼時間は、粉末の仕込量や組成の違いに
よる固相反応速度の違いなどにより異なるが、30分程
度から数時間が適当である。仮焼時間が短いと固相反応
が不充分となり不均一な部分ができやすい傾向があり、
逆に時間が長いと生産効率が低下し好ましくない。仮焼
工程で重要な点は、酸化性の雰囲気を適用しないことで
ある。酸化性雰囲気では混合物中の金属チタンが酸化さ
れて充分に酸素欠損の導入効果が適用できないからであ
る。具体的には不活性雰囲気或いは還元性の雰囲気がよ
い。ただし、混合物中の原料と反応して目的以外の物
質、例えば窒化物、水素化物などが生成する雰囲気や水
素ガスなどの危険性の高いガスの使用は好ましくない。
【0015】次に混合粉末或いは仮焼により得られた粉
末の成形体を作製する。成形体の作製方法としては、通
常の粉末の成形方法が適用可能である。すなわち、金型
等による加圧成形、CIP成形、押し出し成形、ドクタ
ーブレードなどによるシート成形などが挙げられる。成
形条件としては通常の焼結体製造時と同様に成形体中の
粉末の充填の均一性が高くなるよう成形方法に応じて適
宜選択することが好ましい。例えば加圧成形の場合の成
形圧力は高すぎると粉末の充填が不均一となる傾向があ
り、低すぎると成形密度が上がらないので好ましくな
い。成形方法の選択は、目的とする熱電変換素子の形状
により適宜行なえばよい。
【0016】次に成形体を熱処理することにより焼結体
を作製する。熱処理では、酸化性の雰囲気を適用しない
ことが重要である。酸化性雰囲気では成形体中の金属チ
タンが酸化されて充分に酸素欠損の導入効果が適用でき
ないからである。具体的には不活性雰囲気或いは還元性
の雰囲気がよい。ただし、成形体中の原料の種類によっ
ては原料と反応して目的以外の物質、例えば窒化物、水
素化物などが生成する雰囲気や水素ガスなどの危険性の
高いガスの使用は好ましくない。不活性雰囲気はアルゴ
ンガスなどの不活性ガスを用いて作ることができる。
【0017】熱処理温度は800℃〜1700℃未満が
好ましい。より好ましくは1000℃〜1600℃がよ
い。もちろん、1700℃以上の温度で熱処理し焼結す
ることも可能であるが、高価な熱処理炉を必要とし、エ
ネルギー消費量が増すことや成分の揮散による組成変化
や焼結体の粒成長による機械的特性の低下などの問題が
あり、1700℃未満の温度で熱処理することが好まし
い。また、置換元素や添加物の種類や量により異なる
が、800℃未満の温度では緻密化が不充分であり好ま
しくない。熱処理温度の選定は緻密化が充分進行し目的
の相が形成され、特性を発現する温度であればできるだ
け低いことが望ましい。
【0018】熱処理時間は、緻密化と特性発現を考慮し
て決定されるが、30分程度から数時間が適当である。
焼結時間が短いと緻密化などが不充分となり不均一な部
分ができやすい傾向があり、逆に時間が長いと生産効率
が低下するからである。尚、ホットプレス法(HP)や
熱間静水圧プレス法(HIP)などの加圧焼結法を適用
することも可能である。
【0019】尚、成形体中に加熱により分解する成分が
含まれている場合には、熱処理過程で成形体中の分解成
分を除去できる中間温度での加熱工程を加えることが好
ましい。この加熱工程は、成形体中の原料の分解挙動に
よって異なるが、温度300℃〜1400℃、好ましく
は温度500℃〜1200℃、より好ましくは800℃
〜1000℃の温度範囲で一旦保持する工程などを加え
ることにより行なうことが好ましい。この保持時間は少
なくとも0.5時間以上、好ましくは1時間以上がよ
い。この加熱工程は焼結とは別の工程で行なっても、焼
結工程の昇温工程の制御で行なってもよい。
【0020】ここで、熱電特性の評価法について説明す
る。性能指数を算出するための因子のうち、ゼーベック
係数sの評価法としては、試料の両端に温度差をつけそ
の温度差と熱起電力を測定してゼーベック係数sを算出
する方法が適用される。また、導電率σは直流4端子法
などを適用して測定することができる。一方、熱電変換
材料の熱伝導率の評価は一般に難しいと言われており、
測定法によって差異が生じることがある。この点を考慮
して本発明者らは簡便なレーザーフラッシュ法を全ての
測定に適用することとした。レーザーフラッシュ法で
は、測定した熱拡散率とDSC法(示差熱量分析法)な
どにより測定した比熱から熱伝導率を算出する方法であ
る。この場合、測定精度は熱拡散率及び比熱の測定によ
り影響される。
【0021】
【作用】本発明の方法では、チタン酸化物或いはストロ
ンチウム酸化物とチタン酸化物を主構成成分とする複合
酸化物よりなる熱電変換材料の製造方法において、金属
チタンを原料中に含んだものを用いることにより、酸素
欠損を導入するために必要な還元処理工程で危険性の高
い水素ガスを使用することもなく、試料との接触還元に
還元剤を余分に使用することや還元剤除去工程も不要で
あり、大型試料でも長時間の熱処理が不要であるなどの
効果があり、酸素欠損量の均一性が高く、特性の優れた
酸素欠損のある酸化物系熱電変換材料が生産性高く製造
することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例、比較例を用いて本発明をさら
に具体的に説明する。 (実施例1)出発原料としてSrCO3 粉末、TiO2
粉末及び金属Ti粉末を用い、モル比SrCO3 :Ti
2 :Ti=1.025:0.98:0.02となるよ
うに秤量したのちボールミルで20時間粉砕混合した。
粉末混合物を金型を用いて圧力70MPaでプレス成形
した。この成形体を管状炉に挿入しアルゴンガス雰囲気
中で1500℃で3時間熱処理した。
【0023】熱電特性を評価するため、得られた焼結体
を2×2×15mm程度の直方体形状に切断研磨加工し
た。この試料の両端に金電極を蒸着し、これよりリード
線を取り出し、両端を別の熱板にはさみ温度差をつけ、
両端の温度と熱起電力からゼーベック係数sを求めた。
熱起電力を測定した焼結体は、さらに中間部に2点の電
極を形成し、4端子法で試料に直流10mAを流し初期
電位差より試料の電気伝導度σを求めた。評価したゼー
ベック係数の両端の温度平均と、電気伝導度の測定時の
試料温度は35℃を検討した。また、熱伝導率は以下に
示す測定、換算方法により算出し、熱電特性を評価し
た。
【0024】(熱伝導率の測定)熱伝導率はレーザーフ
ラッシュ法により熱拡散率を測定し、こてとは別に行っ
たDSC測定より比熱を求め、これらより熱伝導率kl
とオングトローム法で測定された熱伝導率ka では倍近
い違いがあるため、以下の方法で換算して熱伝導率kを
算出した。 (換算方法)特開平5−218511記載の実施例の試
料番号8と同一の試料を作製し、レーザーフラッシュ法
で測定した熱伝導率kl は、kl =5.4W/m・Kで
あり、オングトローム法で測定した値は、ka =2.9
W/m・Kであった。本発明の実施例の熱伝導率kは次
の式により算出した。 k=(レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率kl
×(2.9/5.4)
【0025】その結果、ゼーベック係数sは−175μ
V/K、導電率σは815S/cm、熱伝導率kは2.
9×W/m・Kであり、これらの値から計算した性能指
数Zは0.86×10-3/Kであった。
【0026】(比較例1)実施例1において、出発原料
としてSrCO3 粉末及びTiO2 粉末のみを用い、金
属Ti粉末を用いなかった以外同様の条件で焼結体を作
製した。すなわち、モル比SrCO3 :TiO2 =1.
025:1.00となるように秤量したのちボールミル
で20時間粉砕混合した。粉末混合物を金型を用いて圧
力70MPaでプレス成形した。この成形体を管状炉に
挿入しアルゴンガス雰囲気中で1500℃で3時間熱処
理した。
【0027】得られた焼結体を実施例1と同様にして評
価したところ、得られた焼結体は導電性を示さず絶縁体
であり、熱電変換材料としては使用できないことが判明
した。
【0028】(比較例2)実施例1において、出発原料
としてSrCO3 粉末及びTiO2 粉末のみを用い、金
属Ti粉末を用いなかった。これらの原料をモル比Sr
CO3 :TiO2=1.025:1.00となるように
秤量したのちボールミルで20時間粉砕混合した。粉末
混合物を金型を用いて圧力70MPaでプレス成形し
た。この成形体を管状炉に挿入し実施例1で用いたアル
ゴンガス雰囲気ではなく、20%水素−80%アルゴン
ガス中で1500℃で3時間熱処理した。
【0029】得られた焼結体を実施例1と同様にして評
価したところ、ゼーベック係数sは−320μV/K、
導電率σは68S/cm、熱伝導率kは2.8W/m・
Kであり、これらの値から計算した性能指数Zは0.2
5×10-3/Kであり、実施例1よりかなり低い特性で
あった。熱処理時に危険な水素ガスを用いているにも関
わらず、酸素欠損の導入が不充分であることが判明し
た。
【0030】(比較例3)比較例2の熱処理において、
水素ガスを用いる以外に、成形体を金属チタン還元剤粉
末中に埋め込むようにして熱処理した以外は比較例2と
同様に行なった。その結果、得られた焼結体の特性は、
ゼーベック係数sは−176μV/K、導電率σは78
0S/cm、熱伝導率kは2.9W/m・Kであり、こ
れらの値から計算した性能指数Zは0.84×10-3
Kであり、実施例1と同程度であったが、熱処理時に水
素ガスを使用し、さらに使用した還元剤を試料から取り
除く工程が必要である点で生産性が低かった。
【0031】(実施例2)出発原料としてSrCO3
末、BaCO3 粉末、TiO2 粉末及び金属Ti粉末を
用い、モル比SrCO3 :BaCO3 :TiO2 :Ti
=0.73:0.3:0.985:0.015となるよ
うに秤量したのちボールミルで20時間粉砕混合した。
粉末混合物を金型を用いて圧力70MPaでプレス成形
した。この成形体を管状炉に挿入しアルゴンガス雰囲気
中で1500℃で3時間熱処理した。
【0032】得られた焼結体を実施例1と同様にして評
価したところ、ゼーベック係数sは−170μV/K、
導電率σは630S/cm、熱伝導率kは3.0W/m
・Kであり、これらの値から計算した性能指数Zは0.
61×10-3/Kであった。
【0033】(比較例4)実施例2において、出発原料
としてSrCO3 粉末、BaCO3 粉末及びTiO2
末のみを用い、金属Ti粉末を用いなかった。これらの
原料をモル比SrCO3 :BaCO3 :TiO2 =0.
73:0.3:1.00となるように秤量したのちボー
ルミルで20時間粉砕混合した。粉末混合物を金型を用
いて圧力70MPaでプレス成形した。この成形体を管
状炉に挿入し実施例2で用いたアルゴンガス雰囲気では
なく、20%水素−80%アルゴンガス中で1500℃
で3時間熱処理した。
【0034】得られた焼結体を実施例1と同様にして評
価したところ、ゼーベック係数sは−255μV/K、
導電率σは92S/cm、熱伝導率kは3.0×W/m
・Kであり、これらの値から計算した性能指数Zは0.
20×10-3/Kであり、実施例2よりかなり低い特性
であった。熱処理時に危険な水素ガスを用いているにも
関わらず、酸素欠損の導入が不充分であることが判明し
た。
【0035】(比較例5)比較例4の熱処理において、
水素ガスを用いる以外に、成形体を金属チタン還元剤粉
末中に埋め込むようにして熱処理した以外は比較例4と
同様に行なった。その結果、得られた焼結体の特性は、
ゼーベック係数sは−166μV/K、導電率σは52
0S/cm、熱伝導率kは3.0W/m・Kであり、こ
れらの値から計算した性能指数Zは0.48×10-3
Kであり、実施例2より低い特性であった。しかも、熱
処理時に水素ガスを使用し、さらに使用した還元剤を試
料から取り除く工程が必要である点で生産性が低かっ
た。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法では、チタン酸化物或いは
ストロンチウム酸化物とチタン酸化物を主構成成分とす
る複合酸化物よりなる熱電変換材料の製造方法におい
て、金属チタンを原料中に含んだものを用いることによ
り、酸素欠損を導入するために必要な還元処理工程で危
険性の高い水素ガスを使用することもなく、試料との接
触還元に還元剤を余分に使用することや還元剤除去工程
も不要であり、大型試料でも長時間の熱処理が不要であ
るなどの効果があり、酸素欠損量の均一性が高く、特性
の優れた酸素欠損のある酸化物系熱電変換材料が生産性
高く製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸化物を主構成成分に含む複合酸
    化物よりなる熱電変換材料の製造方法において、金属チ
    タンを原料中に含んだものを熱処理することを特徴とす
    る導電率が100S/cm以上の熱電変換材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 複合酸化物がストロンチウム酸化物とチ
    タン酸化物を主構成成分とすることを特徴とする請求項
    1の熱電変換材料の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5966590A (en) * 1996-10-29 1999-10-12 Director General, Technical Research And Development Institute, Japan Defense Agency Method for manufacturing thermal-type infrared sensor
EP1289026A2 (de) * 2001-08-31 2003-03-05 Basf Aktiengesellschaft Thermoelektrisch aktive Materialien und diese enthaltende Generatoren und Peltier-Anordnungen
JP2008016474A (ja) * 2006-07-03 2008-01-24 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 優れた熱電変換性能を有する金属酸窒化物熱電変換材料

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