JP2005217310A - クラスレート化合物、熱電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

クラスレート化合物、熱電変換素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 新規なクラスレート化合物及びそれを用いた熱電変換素子並びに熱電変換素子の製造方法の提供。
【解決手段】 新規なBaAuGe系、BaAuGaGe系、BaPtGe系、BaPdGe系、BaPdGaGe系、BaPdGaSi系、BaPtGaSi系、BaCuGaGe系、BaAgGaGe系クラスレート化合物及びそれを用いた熱電変換素子並びに溶融工程と熱処理工程と微粒子化工程と焼結工程とを有する熱電変換素子の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、クラスレート化合物、熱電変換素子及びその製造方法に関する。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することを可能とする。その性質を利用し、産業・民生用プロセスや移動体から排出される排熱を有効な電力に変換することができるため、熱電変換素子は、環境問題に配慮した省エネルギー技術として注目されている。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子に用いられる熱電変換材料の性能指数ZTは、下記式(A)で表すことができる。
ZT=α2σT/κ (A)
ここで、α、σ、κ及びTは、それぞれ、ゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度及び測定温度を表す。
上記式(A)から明らかなように、熱電変換素子の性能を向上させるためには、素子に用いられる材料のゼーベック係数、電気伝導度を大きくすること、及び、熱伝導度を小さくすることが重要である。
一方、性能指数ZTにおけるZは、有効質量(m*)、移動度(μ)及び熱伝導度(κ)との間に式(B)で表される比例関係を有する。
Z∝m*3/2μ/κ (B)
上記式(B)から、Zを向上させるためには有効質量と移動度とを向上させることが重要であることがわかる。
高い性能指数を示す熱電変換材料として、従来から、ビスマス・テルル系材料、シリコン・ゲルマニウム系材料、鉛・テルル系材料などが知られている。さらに、アルミニウムをドープした酸化亜鉛粉を成形、焼成してなる熱電変換材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−118296号公報
本発明は、熱電変換素子に好適な、新規なクラスレート化合物を提供することを目的とする。さらに本発明は、熱電特性に優れた熱電変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> 下記組成式(1)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8AuaGe46-a (16/3≦a≦6) (1)
<2> 下記組成式(2)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8AubGacGe46-b-c (5≦b<16/3、c=16−3b) (2)
<3> 下記組成式(3)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8AudGaeGe46-d-e (0≦d<5、e=16−3d) (3)
<4> 下記組成式(4)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8AufGa6-fGe40 (0<f<6) (4)
<5> 下記組成式(5)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8PtgGe46-g (4<g<6) (5)
<6> 下記組成式(6)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8PdhGe46-h (5<h<6) (6)
<7> 下記組成式(7)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8PdiGajGe46-i-j (0≦i≦4、j=16−4i) (7)
<8> 下記組成式(8)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8kGalSi46-k-l (0≦k≦4、l=16−4k) (8)
(組成式(8)において、AはPd又はPtを表す。)
<9> 下記組成式(9)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8mGa6-mGe40 (5<m<6) (9)
(組成式(9)において、EはCu又はAgを表す。)
<10> 下記組成式(10)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8nGa6-nGe40 (0<n≦5)
(組成式(10)において、GはCu又はAgを表す。)
<11> 下記組成式(11)で表されるクラスレート化合物である。
Ba8oGapGe46-o-p (0<o<16/3、p=16−3o)
(組成式(11)において、JはCu又はAgを表す。)
<12> 下記組成式(1)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8AuaGe46-a (16/3≦a≦6) (1)
<13> 下記組成式(2)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8AubGacGe46-b-c (5≦b<16/3、c=16−3b) (2)
<14> 下記組成式(3)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8AudGaeGe46-d-e (0≦d<5、e=16−3d) (3)
<15> 下記組成式(4)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8AufGa6-fGe40 (0<f<6) (4)
<16> 下記組成式(5)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8PtgGe46-g (4<g<6) (5)
<17> 下記組成式(6)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8PdhGe46-h (5<h<6) (6)
<18> 下記組成式(7)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8PdiGajGe46-i-j (0≦i≦4、j=16−4i) (7)
<19> 下記組成式(8)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8kGalSi46-k-l (0≦k≦4、l=16−4k) (8)
(組成式(8)において、AはPd又はPtを表す。)
<20> 下記組成式(9)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8mGa6-mGe40 (5<m<6) (9)
(組成式(9)において、EはCu又はAgを表す。)
<21> 下記組成式(10)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8nGa6-nGe40 (0<n≦5)
(組成式(10)において、GはCu又はAgを表す。)
<22> 下記組成式(11)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子である。
Ba8oGapGe46-o-p (0<o<16/3、p=16−3o)
(組成式(11)において、JはCu又はAgを表す。)
<23> 少なくともBaとGeとを構成元素として含むクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子の製造方法であって、前記クラスレート化合物の構成元素を溶融させてクラスレート化合物を合成する溶融工程と、合成された前記クラスレート化合物を、650〜900℃で50〜250時間加熱する熱処理工程と、前記熱処理工程を経た前記クラスレート化合物を微粒子にする微粒子化工程と、前記微粒子を焼結する焼結工程と、を有する熱電変換素子の製造方法である。
本発明によれば、p型半導体の特性を有する新規クラスレート化合物及び熱電特性を発現可能な新規クラスレート化合物を提供できる。
また、本発明によれば、本発明のクラスレート化合物を用いた熱電変換素子を提供できる。
さらに、本発明によれば、少なくともBaとGeとを構成元素として含むクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子の熱電変換効率を向上させることが可能な、熱電変換素子の製造方法を提供できる。
以下、本発明のクラスレート化合物、熱電変換素子及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明のクラスレート化合物1は、下記組成式(1)で表される。
Ba8AuaGe46-a (16/3≦a≦6) (1)
本発明のクラスレート化合物1は、Auを+3価(アクセプタ)として元素置換したものであり、p型半導体としての性質(ゼーベック係数がプラスの値を示す。)を有する。なお、組成式(1)におけるaが上記範囲外であると、p型半導体としての性質を有するクラスレート化合物を得ることができない。
本発明のクラスレート化合物2は、下記組成式(2)で表される。
Ba8AubGacGe46-b-c (5≦b<16/3、c=16−3b) (2)
本発明のクラスレート化合物2は、Auを+3価(アクセプタ)として元素置換したものであり、p型半導体としての性質(ゼーベック係数がプラスの値を示す。)を有する。なお、組成式(2)におけるbが上記範囲外であると、p型半導体としての性質を有するクラスレート化合物を得ることができない。
本発明のクラスレート化合物3は、下記組成式(3)で表される。
Ba8AudGaeGe46-d-e (0≦d<5、e=16−3d) (3)
本発明のクラスレート化合物3は、Auを+3価(アクセプタ)として元素置換したものであり、BaAuGaGe系クラスレート化合物として熱電特性を発現することができる。
クラスレート化合物3において、dの好ましい範囲は、3<d<5であり、さらに好ましくは3.5<d<5である。
本発明のクラスレート化合物4は、下記組成式(4)で表される。
Ba8AufGa6-fGe40 (0<f<6) (4)
本発明のクラスレート化合物4は、Auを+3価(アクセプタ)として元素置換したものであり、BaAuGaGe系クラスレート化合物として熱電特性を発現することができる。なお、f=0ではAuを添加した効果が生じず、fが6以上であると熱電特性を有するクラスレート化合物を得ることができなくなる。
クラスレート化合物4において、fの好ましい範囲は、3.5<f<6であり、さらに好ましくは3.8<f<5.5である。
本発明のクラスレート化合物5は、下記組成式(5)で表される。
Ba8PtgGe46-g (4<g<6) (5)
本発明のクラスレート化合物5は、Ptを+4価のアクセプタとして元素置換したものであり、p型半導体としての性質(ゼーベック係数がプラスの値を示す。)を有する。なお、組成式(5)におけるgが上記範囲外であると、p型半導体としての性質を有するクラスレート化合物を得ることができない。
gの好ましい範囲は、4.5<g<5.5である。
本発明のクラスレート化合物6は、下記組成式(6)で表される。
Ba8PdhGe46-h (5<h<6) (6)
本発明のクラスレート化合物6は、Pdを+4価のアクセプタとして元素置換したものであり、p型半導体としての性質(ゼーベック係数がプラスの値を示す。)を有する。なお、組成式(6)におけるhが上記範囲外であると、p型半導体としての性質を有するクラスレート化合物を得ることができない。
本発明のクラスレート化合物7は、下記組成式(7)で表される。
Ba8PdiGajGe46-i-j (0≦i≦4、j=16−4i) (7)
本発明のクラスレート化合物7は、Pdを+4価のアクセプタとして元素置換したものであり、BaPdGaGe系クラスレート化合物で熱電特性を発現することができる。さらに、700K以下においてBaGaGe系クラスレート化合物に比べてパワーファクター(α2σ)を向上させることができる。なお、組成式(7)におけるiが上記範囲外であると、熱電特性を有するクラスレート化合物を得ることができない。
クラスレート化合物7において、iの好ましい範囲は、1<i<4であり、さらに好ましくは1<i<3である。
本発明のクラスレート化合物8は、下記組成式(8)で表される。
Ba8kGalSi46-k-l (0≦k≦4、l=16−4k) (8)
(組成式(8)において、AはPd又はPtを表す。)
本発明のクラスレート化合物8は、Pd又はPtを+4価のアクセプタとして元素置換したものであり、BaAGaSi(A:Pd又はPt)系クラスレート化合物で熱電特性を発現することができる。また、本発明のクラスレート化合物8におけるBaPdGaSi系クラスレート化合物は、その電気伝導度が室温から900℃までの間においてほぼ一定の値(約1000s/cm)を示す。なお、組成式(8)におけるkが上記範囲外であると、熱電特性を有するクラスレート化合物を得ることができない。
クラスレート化合物8において、kの好ましい範囲は、1<k<4であり、さらに好ましくは1<k<3である。
本発明のクラスレート化合物9は、下記組成式(9)で表される。
Ba8mGa6-mGe40 (5<m<6) (9)
(組成式(9)において、EはCu又はAgを表す。)
本発明のクラスレート化合物9は、Cu又はAgを+3価のアクセプタとして元素置換したものであり、p型半導体としての性質(ゼーベック係数がプラスの値を示す。)を有する。なお、組成式(9)におけるmが上記範囲外であると、p型半導体としての性質を有するクラスレート化合物を得ることができない。
本発明のクラスレート化合物10は、下記組成式(10)で表される。
Ba8nGa6-nGe40 (0<n≦5)
(組成式(10)において、GはCu又はAgを表す。)
本発明のクラスレート化合物10は、Cu又はAgを+3価のアクセプタとして元素置換したものであり、Cu又はAg系クラスレート化合物で熱電特性を発現することができる。なお、組成式(10)におけるn=0であると、Cu又はAgを添加した効果が得られず、nが5よりも大きいと、熱電特性を有するクラスレート化合物を得ることができない。
クラスレート化合物10において、nの好ましい範囲は、4.5<n≦5であり、さらに好ましくは4.8<n≦5である。
本発明のクラスレート化合物11は、下記組成式(11)で表される。
Ba8oGapGe46-o-p (0<o<16/3、p=16−3o)
(組成式(11)において、JはCu又はAgを表す。)
本発明のクラスレート化合物11は、Cu又はAgを+3価のアクセプタとして元素置換したものであり、Cu又はAg系クラスレート化合物で熱電特性を発現することができる。なお、組成式(11)におけるn=0であると、Cu又はAgを添加した効果が得られず、nが16/3よりも大きいと、熱電特性を有するクラスレート化合物を得ることができない。
クラスレート化合物11において、oの好ましい範囲は、3<o<5であり、さらに好ましくは3.5<o<4.5である。
本発明のクラスレート化合物は、該クラスレート化合物を構成する構成元素を溶融させる溶融工程を経て合成することができるが、この方法に限定されるものではない。溶融温度としては、1000〜1500℃が好ましく、1000〜1400℃がさらに好ましく、1200〜1400℃が特に好ましい。また、溶融時間としては、10〜100分が好ましく10〜60分がさらに好ましく、20〜60分が特に好ましい。溶融方法としては、アーク溶解法、高周波加熱法等を用いることができる。
本発明の熱電変換素子は、前記本発明のクラスレート化合物の焼結体である。本発明の熱電変換素子は、前記溶融工程を経て合成された本発明のクラスレート化合物を微粒子にする微粒子化工程と、前記微粒子化工程で得られた微粒子を焼結する焼結工程とを経て製造することができるが、この方法に限定されるものではない。
前記微粒子化工程においては、ボールミルや乳鉢等を用いてクラスレート化合物を粉砕することにより微粒子を得ることができる。前記微粒子の粒径としては、150μm以下が好ましく、90μm以下がさらに好ましい。また、真空中でクラスレート化合物の蒸気を発生させ、前記蒸気を高圧の不活性ガスで吹き飛ばすことにより微粒子を得る、いわゆるフローイングガスエバポレーション法を用いることができる。フローイングガスエバポレーション法の詳細は、特公平5−9483号公報等に詳しい。前記焼結工程においては、放電プラズマ焼結法、ホットプレス焼結法、熱間等方圧加圧焼結法等を用いて微粒子を焼結することができる。
放電プラズマ焼結法を用いる場合の焼結条件としては、温度は650〜950℃が好ましく、700〜900℃がより好ましい。焼結時間は、20〜120分が好ましく、30〜90分がより好ましい。圧力は、25〜40MPaが好ましく、30〜40MPaがより好ましい。
なお、本発明の熱電変換素子のうち、少なくともBaとGeとを構成元素として含むクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子の製造方法としては、前記クラスレート化合物の構成元素を溶融させてクラスレート化合物を合成する溶融工程と、合成された前記クラスレート化合物を、650〜900℃で50〜250時間加熱する熱処理工程と、前記熱処理工程を経た前記クラスレート化合物を微粒子にする微粒子化工程と、前記微粒子を焼結する焼結工程とを有する、本発明の熱電変換素子の製造方法を用いることができる。
本発明の熱電変換素子の製造方法によれば、熱電変換素子の移動度を向上させることができ、その結果として熱電変換素子の電気伝導度を向上させることができる。これは、前記溶融工程で合成されたクラスレート化合物中に含まれる未反応の構成元素が熱処理工程において反応し、クラスレート化合物になるためと考えられる。また、前記溶融工程により合成されたクラスレート化合物の、結晶欠陥を消失させることができるためと考えられる。
前記熱処理工程における加熱温度が650℃未満であると、未反応の構成元素が十分に反応できず移動度が向上しないことがある。加熱温度が900℃よりも高いと、未反応の構成元素が蒸発したり酸化するなどして組成ずれを生ずることがある。
また、加熱時間が50時間未満であると、未反応の構成元素が十分に反応できず、移動度が向上しないことがある。加熱時間が250時間よりも長いとクラスレート化合物の酸化が進み、電気伝導度が低下する可能性がある。
前記熱処理工程における加熱温度は、700〜800℃が好ましい。加熱時間は、100〜200時間が好ましい。
前記溶融工程において合成されたクラスレート化合物は、一旦冷却されてから前記熱処理工程に供されてもよいし、前記溶融工程の後に溶融温度から熱処理温度へと処理温度を変化させることにより前記熱処理工程に供されてもよいが、一旦冷却されてから前記熱処理工程に供されることが好ましい。
本発明の熱電変換素子の製造方法は、少なくともBaとGeとを構成元素として含むクラスレート化合物に有効であり、例えば、本発明のクラスレート化合物3、4、7、9、10及び11等の4成分系のクラスレート化合物のみならず、BaとGaとGeとを構成元素として含む3成分系のクラスレート化合物においても有効である。
本発明のクラスレート化合物の生成は、X線回折により確認することができる。具体的には、焼成後のサンプルがX線回折によりクラスレート相のみを示すものであれば、クラスレート化合物が合成されたことが確認できる。
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
<熱電変換素子1(Ba8Au5.5Ge40.5)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Au(99.9%)およびGe(99.9%)を用いて、Ba、Au及びGeがモル比で8:5.5:40.5となるようにBa:Au:Ge=4.9335g:4.8634g:l3.1883gを秤量し、全体で23gとした。これをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Au5.5Ge40.5を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Au5.5Ge40.5を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Au5.5Ge40.5の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度760°C、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子1を得た。熱電変換素子1は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
ゼーベック係数(Seebeck coefficient)は、上述の方法により得られた熱電変換素子1の一部を切り出した試料片に熱電対線を取り付け、昇温炉中で試料片に温度差を設けて、この際に発生する熱起電力を測定することにより求めた。結果を図1に示す。この結果から、熱電変換素子1は、p型熱電半導体であることがわかる。
[実施例2]
<熱電変換素子2(Ba8Au5Ga1Ge40)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Au(99.99%)、Ga(99.9999%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Au、Ga及びGeがモル比で8:5:1:40となるようにBa:Au:Ga:Ge=4.9961g:4.4787g:0.3171g:13.2082gを秤量し、全体で23gとした。これを、アーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させクラスレート化合物(Ba8Au5Ga1Ge40)を合成した。
次に、Ba8Au5Ga1Ge40を、乳鉢を用いて75μm以下に粉砕して微粒子を得た。この微粒子を、放電プラズマ焼結装置を用いて790℃、1時間、30MPaの条件で焼結を行い、熱電変換素子2を得た。熱電変換素子2は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。X線回折の結果を図2に示す。
実施例1と同様にしてゼーベック係数を得た。結果を図3に示す。
電気伝導度は、4端子法により測定した。結果を図4に示す。
パワーファクター(α2σ)は、上述の方法により測定されたゼーベック係数(α)及び電気伝導度(σ)を用いて計算した。その結果を図5に示す。
これらの結果から、熱電変換素子2は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例3]
<熱電変換素子3(Ba8Au4Ga4Ge38)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Au(99.9%)、Ga(99.9%)およびGe(99.9%)を用いて、Ba、Au、Ga及びGeがモル比で8:4:4:38となるようにBa:Au:Ga:Ge=5.1319g:3.6802g:1.3027g:12.8851gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Au4Ga4Ge38を合成した。その後、乳鉢を用いて、粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。さらに微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度805℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子3を得た。熱電変換素子3は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてパワーファクターを計算した。その結果を図6に示す。この結果から、熱電変換素子3は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例4]
<熱電変換素子4(Ba8Au4Ga2Ge40)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Au(99.9%)、Ga(99.9%)およびGe(99.9%)を用いて、Ba、Au、Ga及びGeがモル比で8:4:2:40となるようにBa:Au:Ga:Ge=5.1260g:3.6760g:0.6506g:13.5475gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Au4Ga2Ge40を合成した。その後、乳鉢を用いて、粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。さらに微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度805℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子4を得た。熱電変換素子4は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてパワーファクターを計算した。その結果を図6に示す。この結果から、熱電変換素子4は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例5]
<熱電変換素子5(Ba8Pt5Ge41)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Pt(99.9%)およびGe(99.9%)を用いて、Ba、Pt及びGeがモル比で8:5:41となるようにBa:Pt:Ge=5.0035g:4.4422g:l3.5543gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Pt5Ge41を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Pt5Ge41を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Pt5Ge41の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度780℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子5を得た。熱電変換素子5は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例1と同様にしてゼーベック係数を得た。その結果を図7に示す。この結果から、熱電変換素子5は、p型熱電半導体であることがわかる。
[実施例6]
<熱電変換素子6(Ba8Pd5.5Ge40.5)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Pd(99.9%)およびGe(99.9%)を用いて、Ba、Pd及びGeがモル比で8:5.5:40.5となるようにBa:Pd:Ge=5.4649g:2.9115g:14.6237gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Pd5.5Ge40.5を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Pd5.5Ge40.5を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Pd5.5Ge40.5の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度750℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子6を得た。熱電変換素子6は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例1と同様にしてゼーベック係数を得た。その結果を図7に示す。この結果から、熱電変換素子6は、p型熱電半導体であることがわかる。
[実施例7]
<熱電変換素子7(Ba8Pd2Ga8Ge36)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Pd(99.9%)、Ga(99.9999%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Pd、Ga及びGeがモル比で8:2:8:36となるようにBa:Pd:Ga:Ge=5.6362g:1.0919g:2.8616g:13.4103gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Pd2Ga8Ge36を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Pd2Ga8Ge36を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Pd2Ga8Ge36の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度775℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子7を得た。熱電変換素子7は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてゼーベック係数、電気伝導度及びパワーファクターを得た。その結果をそれぞれ図3、4及び5に示す。この結果から、熱電変換素子7は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例8]
<熱電変換素子8(Ba8Pd2Ga8Si36)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Pd(99.9%)、Ga(99.9999%)及びSi(99.999%)を用いて、Ba、Pd、Ga及びSiがモル比で8:2:8:36となるようにBa:Pd:Ga:Si=8.7727g:1.6996g:4.4540g:8.0737gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1300℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Pd2Ga8Si36を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Pd2Ga8Si36を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Pd2Ga8Si36の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度745℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子8を得た。熱電変換素子8は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてゼーベック係数、電気伝導度及びパワーファクターを得た。その結果をそれぞれ図3、4及び5に示す。この結果から、熱電変換素子8は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例9]
<熱電変換素子9(Ba8Pt2Ga8Si36)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Pt(99.9%)、Ga(99.9999%)及びSi(99.999%)を用いて、Ba、Pt、Ga及びSiがモル比で8:2:8:36となるようにBa:Pt:Ga:Si=8.2640g:2.9348g:4.1957g:7.6055gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1300℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Pt2Ga8Si36を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Pt2Ga8Si36を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Pt2Ga8Si36の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度890℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子9を得た。熱電変換素子9は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてゼーベック係数、電気伝導度及びパワーファクターを得た。その結果をそれぞれ図3、4及び5に示す。この結果から、熱電変換素子9は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例10]
<熱電変換素子10(Ba8Cu5.5Ga0.5Ge40)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Cu(99.9%)、Ga(99.9%)及びGe(99.9%)を用いて、Ba、Cu、Ga及びGeがモル比で8:5.5:0.5:40となるようにBa:Cu:Ga:Ge=5.7604g:1.8326g:0.1828g:15.2242gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Cu5.5Ga0.5Ge40を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Cu5.5Ga0.5Ge40を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Cu5.5Ga0.5Ge40の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度810℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子10を得た。熱電変換素子10は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例1と同様にしてゼーベック係数を得た。その結果を図8に示す。この結果から、熱電変換素子10は、p型熱電半導体であることがわかる。
[実施例11]
<熱電変換素子11(Ba8Ag5.5Ga0.5Ge40)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Ag(99.9%)、Ga(99.9%)及びGe(99.9%)を用いて、Ba、Ag、Ga及びGeがモル比で8:5.5:0.5:40となるようにBa:Ag:Ga:Ge=7.1180g:3.8438g:0.2259g:18.8123gを秤量し、全体で30gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Ag5.5Ga0.5Ge40を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Ag5.5Ga0.5Ge40を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Ag5.5Ga0.5Ge40の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度780℃、時間40分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子11を得た。熱電変換素子11は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例1と同様にしてゼーベック係数を得た。その結果を図8に示す。この結果から、熱電変換素子11は、p型熱電半導体であることがわかる。
[実施例12]
<熱電変換素子12(Ba8Cu5Ga1Ge40)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Cu(99.99%)、Ga(99.9999%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Cu、Ga及びGeがモル比で8:5:1:40となるようにBa:Cu:Ga:Ge=5.7552g:1.6645g:0.3653g:15.2150gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Cu5Ga1Ge40を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Cu5Ga1Ge40を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Cu5Ga1Ge40の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度815℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子12を得た。熱電変換素子12は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。X線回折の結果を図2に示す。
実施例2と同様にしてゼーベック係数、電気伝導度及びパワーファクターを得た。その結果をそれぞれ図3、4及び5に示す。この結果から、熱電変換素子12は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例13]
<熱電変換素子13(Ba8Ag5Ga1Ge40)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Ag(99.99%)、Ga(99.9999%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Ag、Ga及びGeがモル比で8:5:1:40となるようにBa:Ag:Ga:Ge=5.4787g:2.6896g:0.3477g:14.4840gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Ag5Ga1Ge40を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Ag5Ga1Ge40を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Ag5Ga1Ge40の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度785℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子13を得た。熱電変換素子13は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。X線回折の結果を図2に示す。
実施例2と同様にしてゼーベック係数、電気伝導度及びパワーファクターを得た。その結果をそれぞれ図3、4及び5に示す。この結果から、熱電変換素子13は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例14]
<熱電変換素子14(Ba8Cu4Ga4Ge38)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Cu(99.9%)、Ga(99.9%)及びGe(99.9%)を用いて、Ba、Cu、Ga及びGeがモル比で8:4:4:38となるようにBa:Cu:Ga:Ge=5.7558g:1.3317g:1.4610g:14.4517gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Cu4Ga4Ge38を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Cu4Ga4Ge38を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Cu4Ga4Ge38の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度830℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子14を得た。熱電変換素子14は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてパワーファクターを得た。その結果を図9に示す。この結果から、熱電変換素子14は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例15]
<熱電変換素子15(Ba8Ag4Ga4Ge38)の製造>
原材料として、Ba(99.9%)、Ag(99.9%)、Ga(99.9%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Ag、Ga及びGeがモル比で8:4:4:38となるようにBa:Ag:Ga:Ge=5.5324g:2.1727g:1.4044g:13.8905gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Ag4Ga4Ge38を合成した。その後、乳鉢を用いて、合成されたBa8Ag4Ga4Ge38を粒径75μm以下に粉砕して微粒子を得た。Ba8Ag4Ga4Ge38の微粒子を放電プラズマ焼結装置により、温度800℃、時間60分、圧力30MPaの条件で焼成して熱電変換素子15を得た。熱電変換素子15は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。
実施例2と同様にしてパワーファクターを得た。その結果を図9に示す。この結果から、熱電変換素子15は高い熱電特性を示す材料であることが確認できる。
[実施例16]
<熱電変換素子16(Ba8Ga16Ge30)の製造(熱処理工程有)>
原材料として、Ba(99.9%)、Ga(99.9999%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Ga及びGeがモル比で8:16:30となるようにBa:Ga:Ge=5.8598g:5.8051g:11.3352gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Ga16Ge30を合成した。
次に、合成されたBa8Ga16Ge30を、750℃で120時間熱処理した。熱処理されたBa8Ga16Ge30を、乳鉢を用いて75μm以下に粉砕して微粒子を得た。この微粒子を、放電プラズマ焼結装置を用いて790℃、1.5時間、30MPaの条件で焼結を行い、熱電変換素子16を得た。熱電変換素子16は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。X線回折の結果を図2に示す。
熱電変換素子16のキャリア濃度及びホール移動度は、Van der Pauw法により測定された。具体的には、試料に流す電流を3、5、10mAと変化させて電圧を測定し、電流−電圧特性をグラフ化し電流に比例する電圧成分のみを真の値として計算に用いた。また、印加磁界は1T、温度は27±5℃において行った。結果を図10に示す。また、実施例2と同様にして電気伝導度を測定した。結果を図11に示す。
[比較例1]
<熱電変換素子17(Ba8Ga16Ge30)の製造(熱処理工程無)>
合成されたBa8Ga16Ge30を熱処理しない以外は実施例16と同様にして熱電変換素子17を得た。実施例16と同様にしてキャリア濃度、ホール移動度を測定し、実施例2と同様にして電気伝導度を測定した。結果を図10及び図11に示す。
[実施例17]
<熱電変換素子18(Ba8Ga15.5Ge30.5)の製造(熱処理工程有)>
原材料として、Ba(99.9%)、Ga(99.9999%)及びGe(99.99%)を用いて、Ba、Ga及びGeがモル比で8:15.5:30.5となるようにBa:Ga:Ge=5.8579g:5.6218g:11.5203gを秤量し、全体で23gとした。これらをアーク溶解(アーク温度1200℃、アーク溶解時間20分)にて溶解、冷却させBa8Ga15.5Ge30.5を合成した。
次に、合成されたBa8Ga15.5Ge30.5を、750℃で120時間熱処理した。熱処理されたBa8Ga15.5Ge30.5を、乳鉢を用いて75μm以下に粉砕して微粒子を得た。この微粒子を、放電プラズマ焼結装置を用いて810℃、1時間、30MPaの条件で焼結を行い、熱電変換素子18を得た。熱電変換素子18は、X線回折によりクラスレート単相になっていることが確認された。実施例2と同様にして電気伝導度を測定した。結果を図11に示す。
[比較例2]
<熱電変換素子19(Ba8Ga15.5Ge30.5)の製造(熱処理工程無)>
合成されたクラスレート化合物を熱処理しない以外は実施例17と同様にして熱電変換素子19を得た。実施例2と同様にして電気伝導度を測定した。結果を図11に示す。
図10及び図11から明らかなように、熱処理工程を実施することにより熱電変換素子の熱電変換効率を向上させることができる。
熱電変換素子1のゼーベック係数の値を示した図である。 熱電変換素子2、12、13及び16のX線結晶回折の結果を示す図である。 熱電変換素子2、7、8、9、12及び13のゼーベック係数の値を示した図である。 熱電変換素子2、7、8、9、12及び13の電気伝導度の値を示した図である。 熱電変換素子2、7、8、9、12及び13のパワーファクターの値を示した図である。 熱電変換素子3及び4のパワーファクターの値を示した図である。 熱電変換素子5及び6のゼーベック係数の値を示した図である。 熱電変換素子10及び11のゼーベック係数の値を示した図である。 熱電変換素子14及び15のパワーファクターの値を示した図である。 熱電変換素子16及び17のホール移動度とキャリア濃度との関係を示した図である。 熱電変換素子16、17、18及び19の電気伝導度の値を示した図である。

Claims (23)

  1. 下記組成式(1)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8AuaGe46-a (16/3≦a≦6) (1)
  2. 下記組成式(2)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8AubGacGe46-b-c (5≦b<16/3、c=16−3b) (2)
  3. 下記組成式(3)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8AudGaeGe46-d-e (0≦d<5、e=16−3d) (3)
  4. 下記組成式(4)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8AufGa6-fGe40 (0<f<6) (4)
  5. 下記組成式(5)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8PtgGe46-g (4<g<6) (5)
  6. 下記組成式(6)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8PdhGe46-h (5<h<6) (6)
  7. 下記組成式(7)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8PdiGajGe46-i-j (0≦i≦4、j=16−4i) (7)
  8. 下記組成式(8)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8kGalSi46-k-l (0≦k≦4、l=16−4k) (8)
    (組成式(8)において、AはPd又はPtを表す。)
  9. 下記組成式(9)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8mGa6-mGe40 (5<m<6) (9)
    (組成式(9)において、EはCu又はAgを表す。)
  10. 下記組成式(10)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8nGa6-nGe40 (0<n≦5)
    (組成式(10)において、GはCu又はAgを表す。)
  11. 下記組成式(11)で表されるクラスレート化合物。
    Ba8oGapGe46-o-p (0<o<16/3、p=16−3o)
    (組成式(11)において、JはCu又はAgを表す。)
  12. 下記組成式(1)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8AuaGe46-a (16/3≦a≦6) (1)
  13. 下記組成式(2)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8AubGacGe46-b-c (5≦b<16/3、c=16−3b) (2)
  14. 下記組成式(3)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8AudGaeGe46-d-e (0≦d<5、e=16−3d) (3)
  15. 下記組成式(4)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8AufGa6-fGe40 (0<f<6) (4)
  16. 下記組成式(5)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8PtgGe46-g (4<g<6) (5)
  17. 下記組成式(6)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8PdhGe46-h (5<h<6) (6)
  18. 下記組成式(7)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8PdiGajGe46-i-j (0≦i≦4、j=16−4i) (7)
  19. 下記組成式(8)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8kGalSi46-k-l (0≦k≦4、l=16−4k) (8)
    (組成式(8)において、AはPd又はPtを表す。)
  20. 下記組成式(9)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8mGa6-mGe40 (5<m<6) (9)
    (組成式(9)において、EはCu又はAgを表す。)
  21. 下記組成式(10)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8nGa6-nGe40 (0<n≦5)
    (組成式(10)において、GはCu又はAgを表す。)
  22. 下記組成式(11)で表されるクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子。
    Ba8oGapGe46-o-p (0<o<16/3、p=16−3o)
    (組成式(11)において、JはCu又はAgを表す。)
  23. 少なくともBaとGeとを構成元素として含むクラスレート化合物の焼結体である熱電変換素子の製造方法であって、
    前記クラスレート化合物の構成元素を溶融させてクラスレート化合物を合成する溶融工程と、
    合成された前記クラスレート化合物を、650〜900℃で50〜250時間加熱する熱処理工程と、
    前記熱処理工程を経た前記クラスレート化合物を微粒子にする微粒子化工程と、
    前記微粒子を焼結する焼結工程と、
    を有する熱電変換素子の製造方法。
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