JP2012256759A - クラスレート化合物および熱電変換材料ならびに熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

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大輔 菊地
Tatehiko Eguchi
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Abstract

【課題】室温〜600℃という温度領域において、熱電変換素子に好適に用いられる新規
なクラスレート化合物およびこれを用いた熱電変換材料、ならびに熱電変換材料の製造方
法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるクラスレート化合物およびこれを用いた熱電変換材は、化学
式BaGaAlSiPd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、33≦d
≦35、0<e≦2、a+b+c+d+e=54)で表される。
【選択図】図1

Description

本発明は、クラスレート化合物およびそれを用いた熱電変換材料ならびに熱電変換材料
の製造方法に関する。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する
ことを可能とする。その性質を利用し、産業・民生用プロセスや移動体から排出される排
熱を有効な電力に変換することができるため、熱電変換素子は、環境問題に配慮した省エ
ネルギー技術として注目されている。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子の無次元性能指数ZTは、下記の式(1)で表
すことができる。
ZT=ST/ρκ … (1)
式(1)中、S、ρ、κおよびTは、それぞれ、ゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導
度および測定温度を表す。
式(1)から明らかなように、熱電変換素子の性能を向上させるためには、素子のゼー
ベック係数を大きくすること、電気抵抗率を小さくすること、熱伝導度を小さくすること
が重要である。高い性能指数を示す熱電変換材料として、従来、ビスマス・テルル系材料
、シリコン・ゲルマニウム系材料、鉛・テルル系材料などを用いた熱電変換素子が知られ
ている。
ところで、従来の熱電変換素子は、それぞれ解決すべき課題を有する。
たとえば、ビスマス・テルル系材料は室温では大きなZT値を有するが、100℃を越
えれば急激にそのZT値が小さくなり、廃熱発電のような200〜800℃程度では、熱
電変換材料として利用できなくなる。また、ビスマス・テルル系、鉛・テルル系は環境負
荷物質の鉛とテルルを含んでいる。
そこで、熱電性能が良好で環境負荷が少なく、さらに軽量な新しい熱電変換材料が求め
られている。そして、そのような新しい熱電変換材料の1つとしてクラスレート化合物が
注目されている。
Ba、Ga、Al、Siからなるクラスレート化合物の組成や合成法については既に開
示されており、特許文献1には、単位格子あたりx個(10.8≦x≦12.2)のSi
原子が、Al原子とGa原子のいずれかで置換されているBa(Al,Ga)Si
6−xの単結晶とその製造方法が開示されている。特許文献2には、p型のBa−Al−
Siクラスレート化合物において700KでのZTが1.01であることが開示されてい
る。
特開2004−67425号公報 特許第4413323号公報(段落0048など)
しかし、これらのクラスレート化合物には以下の課題がある。
特許文献1に記載の技術では、ZTが明らかではなく、性能が低いことが懸念される。
特許文献2に記載の技術では、p型については開示されているが、n型についてのZTは
明らかではなく、性能が低いことが懸念される。また、これらの材料系における熱電変換
材料では、800℃付近の高温領域では好適なZTが得られるものの、室温〜600℃の
温度領域においてはZTが低いという課題があった。廃熱を熱源として利用することを考
えると、室温から高温にかけた広範囲において、高いZTを有する熱電変換材料が望まれ
る。
そこで、本発明の主な目的は、有害元素を含まず、安価な材料で、室温〜600℃とい
う温度領域において、熱電変換素子に好適に用いられる新規なクラスレート化合物および
これを用いたn型の熱電変換材料、ならびに熱電変換材料の製造方法を提供することにあ
る。
発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、Ba、Ga
、Al、Siからなるクラスレート化合物に、少量のPdを添加することで、温度依存性
のあるZTのピーク位置を低温度側にシフトできることを見出した。これにより、中温領
域においても、既存のクラスレート化合物よりも高いZTを得ることができる。
すなわち、上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
化学式BaGaAlSiPd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、33
≦d≦35、0<e≦2、a+b+c+d+e=54)で表されるクラスレート化合物が
提供される。
本発明の他の態様によれば、
n型の熱電変換材料であって、
化学式BaGaAlSiPd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、3
3≦d≦35、0<e≦2、a+b+c+d+e=54)で表されるクラスレート化合物
を含む熱電変換材料が提供される。
本発明の他の態様によれば、
前記熱電変換材料を製造する製造方法であって、Ba、Ga、Al、Si、Pdを原料
として混合・溶融・凝固して所定の組成のクラスレート化合物を調製する調製工程と、前
記クラスレート化合物を粉砕して微粒子とする粉砕工程と、前記微粒子を焼結する焼結工
程と、を有する熱電変換材料の製造方法が提供される。
さらに、上述した製造方法における焼結工程が、前記微粒子を一定の焼結温度まで加熱す
る加熱工程と、前記微粒子を前記焼結温度で一定時間保持する温度保持工程と、前記微粒
子を加熱前の温度まで冷却する冷却工程とを有し、前記加熱工程および前記温度保持工程
では加圧雰囲気とし、前記冷却工程では加圧雰囲気を解除する熱電変換材料の製造方法が
提供される。
本発明によれば、室温〜600℃という温度領域において、熱電変換材料に好適なクラ
スレート化合物およびそれを用いた熱電変換材料と、その製造方法を提供することができ
る。また、室温〜600℃といった温度範囲において、従来の同系の材料より高いZTを
有する熱電変換材料を提供することができる。本発明は、有害元素を含まず、安価な材料
で、n型の熱電変換素子に好適に用いられる新規なクラスレート化合物およびこれを用い
た熱電変換材料、さらにはその熱電変換材料の製造方法を提供することができる。
実施例1〜2および比較例にかかるサンプルの無次元性能指数(ZT)を示す概略的な図面である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
(A)クラスレート化合物および熱電変換材料
本発明の好ましい実施形態にかかるクラスレート化合物は、化学式BaGaAl
SiPd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、33≦d≦35、0<e≦2、
a+b+c+d+e=54)で表され、Ba、Ga、Si、PdまたはAlが同時に含ま
れた化合物であり、本発明の好ましい実施形態にかかる熱電変換材料は当該クラスレート
化合物を含むn型熱電材料である。
本実施形態にかかるクラスレート化合物は、主に、基本的な格子がSiのクラスレート
格子から構成され、Ba元素がその内部に内包され、クラスレート格子を構成する原子の
一部がGa、AlまたはPdで置換された構造を有している。
本実施形態にかかる「クラスレート化合物」は、Siクラスレート相を主体とするもの
であればよく、クラスレート相には該当しない他の相が含まれてもよい。当該「クラスレ
ート化合物」は好ましくはSiクラスレート単相である。
化学式BaGaAlSiPdの組成比のうち、Ga、Al、Si、Pdの各
組成比b、c、d、eは概ね、次のような関係を有する。
b+c+d+e=46
このような関係を満たせば、当該クラスレート化合物はSiクラスレート相を主体とする
ものとして実現され、理想的な結晶構造をとりうる。なお、本実施形態にかかる熱電変換
材料は、上記クラスレート化合物を主成分とし、少量の他の添加物が含まれてもよい。
(B)製造方法
本発明の好ましい実施形態にかかる熱電変換材料の製造方法は、
(1)Ba、Ga、Al、Si、Pdを原料として混合・溶融・凝固して所定の組成のク
ラスレート化合物を調製する調製工程と、
(2)前記クラスレート化合物を粉砕して微粒子とする粉砕工程と、
(3)前記微粒子を焼結する焼結工程と、
を有する。
これらの工程を経ることにより、所定の組成を有し、ポア(空隙)が少なく、組成が均
一な材料が得られるという利点がある。
(1)調製工程
調製工程では、所定の組成を有しかつ均一な組成のクラスレート化合物のインゴットを
製造する。
まず、所望のクラスレート化合物の組成となるように、所定量の原料(Ba、Ga、A
l、Si、Pd)を秤量し混合させる。原料は、単体であってもよいし、合金や化合物で
あってもよく、その形状は、粉末でも片状でも塊状であってもよい。また、Siの原料と
して単体のSiではなくAl−Siの母合金を用いると、融点が低下するのでより好まし
い。
溶融時間としては、すべての原料が液体状態で均質に混ざり合う時間が必要とされるが
、製造に要するエネルギーを考慮すると、溶融時間はできるだけ短時間であることが望ま
れる。そのため、溶融時間は、好ましくは1〜100分であり、さらに好ましくは1〜1
0分であり、特に好ましくは1〜5分である。
原料混合物からなる粉末を溶融する方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法
を用いることができる。
溶融方法としては、たとえば、抵抗発熱体による加熱、高周波誘導溶解、アーク溶解、
プラズマ溶解、電子ビーム溶解などが挙げられる。ルツボとしては、グラファイト、アル
ミナ、コールドクルーシブルなどが、加熱方法に対応して適宜用いられる。溶融の際は、
材料の酸化を防ぐために、不活性ガス雰囲気または真空雰囲気下でおこなわれるのが好ま
しい。
短時間で均質に混ざり合った状態とするためには、好ましくは微細な粉末状の原料が混
合されるのがよい。ただし、Baは、酸化を防ぐために、好ましくは塊状を呈するものを
使用する。また、溶融時に機械的な攪拌または電磁的な攪拌を加えるのも好ましい。
溶融後、インゴットにするためには、鋳型を用いて鋳造してもよいし、ルツボ中で凝固
させてもよい。できあがったインゴットの均質化のためには、溶融後にアニール処理をお
こなってもよい。
アニール処理の処理時間は、製造時の省エネルギーを考慮すると、なるべく短時間とさ
れることが望まれるが、アニール効果を考慮すると、長い時間が必要とされる。アニール
処理の処理時間は、好ましくは1時間以上であり、さらに好ましくは1〜10時間がさら
に好ましい。
アニール処理の処理温度は、好ましくは700〜950℃であり、さらに好ましくは8
50〜930℃である。処理温度が700℃未満であると、均質化が不十分になるという
問題が生じ、処理温度が950℃を超えると、再溶融による濃度偏析が生じるという問題
が生じる。
(2)粉砕工程
粉砕工程では、調製工程によって得られたインゴットを、ボールミルなどを用いて粉砕
し、微粒子状のクラスレート化合物を得ることができる。得られる微粒子としては、焼結
性を向上するために粒度が細かいことが望まれる。本実施形態では、微粒子の粒径は、好
ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上75μm以下である。
所望の粒径の微粒子とするためには、ボールミルなどによってインゴットを粉砕した後
、粒度を調製する。粒度の調製方法は、ISO3310−1規格のレッチェ社製試験ふる
いとレッチェ社製ふるい振とう機AS200デジットを用いたふるい分けによりおこなえ
ばよい。なお、この粉砕工程に代えて、ガスアトマイズ法などの各種アトマイズ法やフロ
ーイングガスエバポレーション法などを用いて微粉末を製造することもできる。
(3)焼結工程
焼結工程では、前記粉砕工程で得られた微粉末状のクラスレート化合物を焼結して、均
質で空隙の少ない、所定の形状の固体を得ることができる。焼結方法としては、放電プラ
ズマ焼結法、ホットプレス焼結法、熱間等方圧加圧焼結法などを用いることができる。
放電プラズマ焼結法を用いる場合、その焼結の1条件となる焼結温度は、好ましくは60
0〜900℃であり、より好ましくは800〜900℃である。焼結時間は好ましくは1
〜10分であり、より好ましくは3〜7分である。圧力は好ましくは40〜80MPaで
あり、より好ましくは50〜70MPaである。
焼結温度が600℃以下では焼結せず、焼結温度が1000℃以上では溶解する。焼結
時間が1分未満では密度が低く、焼結時間が10分以上では焼結が完了・飽和し、それ以
上時間をかける意義がないと考えられる。
特に、焼結工程では、微粉末状のクラスレート化合物を上記焼結温度まで加熱してその
温度で上記焼結時間保持し、その後に当該クラスレート化合物を加熱前の温度まで冷却す
る。この場合、微粉末状のクラスレート化合物を焼結温度まで加熱する工程とその温度で
保持している工程とでは加圧状態とし、その後当該クラスレート化合物を冷却する工程で
は加圧状態を解除する。かかる圧力操作によれば、微粉末状のクラスレート化合物の焼結
工程での割れを抑制することができる。
(C)クラスレート化合物相の生成の確認
前記の製造方法によって、クラスレート化合物が生成されたかどうかは、粉末X線回折
(XRD)により確認することができる。
具体的には、焼結後のサンプルを再度粉砕して粉末X線回折測定し、得られるピークが
タイプ1クラスレート相(Pm−3n、No.223)のみを示すものであれば、タイプ
1クラスレート化合物が合成されたことを確認できる。
しかし、実際にはタイプ1クラスレート相のみからなるものと、不純物相を含むものと
があるため、不純物のピークも観察される。本実施形態にかかるクラスレート化合物にお
けるSiクラスレート化合物相の最強ピーク比は85%以上であり、好ましくは90%以
上であり、さらに好ましくは95%以上である。
なお、最強ピーク比とは、粉末X線回折測定において測定されたSiクラスレート化合
物相の最強ピーク(IHS)、不純物相A(BaGa4−Y(Al,Pd,Si)(0
≦Y≦4))の最強ピーク強度(IA)、不純物相B(Ba(Al,Pd)(Si,P
d)など)の最強ピーク強度(IB)より、下記の式(2)で定義される。
「最強ピーク比」=IHS/(IHS+IA+IB)×100(%) … (2)
(D)特性評価試験
次に、上記の方法で製造される熱電変換材料の無次元性能指数ZTを算出するための特
性評価について説明する。特性評価項目は、ゼーベック係数S、電気抵抗率ρ、熱伝導度
κである。
特性評価試験では、電子線マイクロアナライザー(島津製作所製EPMA−1610)
による組成分析とミクロ組織観察、焼結密度測定をおこなう。各種特性評価用サンプルは
、20mmφ(直径20mm)×5〜20mm(高さ5〜20mm)の円柱状焼結体から
、切り出し、整形する。
「ゼーベック係数S」および「電気抵抗率ρ」は、四端子法によりアルバック理工(株
)製の熱電特性評価装置 ZEM−3を用いて測定する。
「熱伝導率κ」は、比熱c、密度δ、熱拡散率αの測定結果から、下記の式(3)によ
り算出する。
κ=cδα … (3)
「比熱c」は、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法により測定する。測
定装置として、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計 EXSTA
R6000DSCを用いる。
「密度δ」は、アルキメデス法により測定する。測定装置として、(株)島津製作所製
の精密電子天秤 LIBROR AEG−320を用いる。
「熱拡散率α」は、レーザーフラッシュ法により測定する。測定装置として、アルバッ
ク理工(株)製の熱定数測定装置 TC−7000を用いる。
以上の測定結果から、式(1)を用いて熱電変換材料の性能を評価する指数である無次
元性能指数ZTを算出することができる。算出された無次元性能指数から、その熱電変換
材料の特性を評価することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により
限定されるものではない。
(1)サンプルの作製
純度2N以上の高純度のBaと、純度3N以上の高純度のAl、Ga、Si、Pdとを
、表1に記載の配合比率で秤量し、原料混合物を調製した。なお、比較例としてPdを含
まないサンプルも調整した。
この原料混合物を、Ar(アルゴン)雰囲気中において、水冷銅ハース上で300Aの
電流で1分間アーク溶解した後、原料の不均一を解消するためにインゴットを反転して、
再度アーク溶解を行う工程を5回繰り返し、そのまま水冷銅ハース上で常温まで冷却する
ことによりクラスレート化合物を有するインゴットを得た。その後、インゴットの均一性
を高めるために、アルゴン雰囲気で、900℃で6時間のアニール処理を行った。
得られたインゴットを、メノウ製遊星ボールミルを用いて粉砕し、微粒子を得た。このと
き、得られた粒子の粒径の平均が75μm以下となるようにISO3310−1規格のレ
ッチェ社製試験ふるいとレッチェ社製ふるい振とう機AS200デジットを用いて粒度を
調製した。
得られた焼結用粒子を、放電プラズマ焼結法(SPS法)を用いて、圧力60MPaま
で加圧した後に900℃まで加熱を行い、その後900℃で5分間焼結した。焼結が終了
してから、加圧状態を解除し、900℃から室温まで冷却を行った。
なお、焼結用粒子の焼結が終了してから、加圧状態を保持し続けて冷却を行うと、割れが
生じてしまったが、上記のとおりに焼結後に加圧状態を解除して900℃から室温まで冷
却を行うと、そのような割れを抑制することができた。得られるサンプルやダイスの劣化
を考慮すると、冷却温度が500℃以上では真空雰囲気で保持することが好ましいが、5
00℃未満では大気雰囲気で保持してもかまわない。
このようにして得られたサンプルの焼結体を、組成分析するとともに、前記の「(C)
クラスレート化合物の生成の確認」のX線回折と、前記の「(D)特性評価試験」とに供
した。
(2)サンプルの評価
(2.1)組成分析
組成分析の結果を表1に示す。
表1から、実施例1および2のサンプルにおいて、所望の組成BaGaAlSi
Pd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、33≦d≦35、0<e≦2、a+
b+c+d+e=54)の化合物が得られたことがわかる。
(2.2)X線回折分析
得られたサンプルを、粉末X線回折で分析し、タイプ1クラスレート相が生成している
ことを確認した。得られた結果から、式(2)に基づき最強ピーク比を算出し、最強ピー
ク比が95%以上であることを確認した。
(2.3)特性評価
得られたサンプルについて、上記「(D)特性評価試験」の記載のとおりに、特性評価
を行った。400℃におけるゼーベック係数S(μV/K)を表1に示す。ゼーベック係
数を測定したところ、すべてのサンプルでゼーベック係数が負となり、各サンプルがn型
であることがわかった。さらに、室温から800℃における電気抵抗率、熱伝導率を測定
し、これらから各温度における無次元性能指数ZTを求めた。
得られた無次元性能指数ZTを図1に示す。
図1中、「○」印は実施例1を、「△」印は実施例2を、「+」印は比較例を、それぞ
れ示している。図1から分かる通り、Pdを含まない例(比較例)では、広い温度範囲に
おいて、実施例1および2よりもZTが低くなっている。すなわち、本実施例では、室温
〜600℃という温度領域において、Pdを含まない例(比較例)より高いZTを有する
ことが分かる。
これはBa、Ga、Al、Siからなるクラスレート化合物にPdを添加することによっ
て、ZTのピーク位置が低温度側にシフトすることによるものである。したがって、本発
明による熱電変換材料は、室温〜600℃という温度領域において用いられる熱電変換材
料に好適である。つまり、広い温度範囲で高いZTの熱電変換材料を提供することができ
る。
Figure 2012256759
(3)まとめ
表1および図1に示すように、組成比BaGaAlSiPd(7≦a≦8、
9≦b≦12、0≦c≦2、33≦d≦35、0<e≦2、a+b+c+d+e=54)
を有するクラスレート化合物およびこれを用いた熱電変換材料は、室温〜600℃という
温度領域において、Pdを含まない同系の材料よりも高いZTを有することがわかる。さ
らに、上記組成比を有するクラスレート化合物からなる熱電変換材料は、n型の熱電特性
を示す。本発明のクラスレート化合物およびこれを用いた熱電変換材料は有用である。

Claims (4)

  1. 化学式BaGaAlSiPd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、3
    3≦d≦35、0<e≦2、a+b+c+d+e=54)で表されるクラスレート化合物
  2. n型の熱電変換材料であって、
    化学式BaGaAlSiPd(7≦a≦8、9≦b≦12、0≦c≦2、3
    3≦d≦35、0<e≦2、a+b+c+d+e=54)で表されるクラスレート化合物
    を含む熱電変換材料。
  3. 請求項2に記載の熱電変換材料を製造する製造方法であって、
    Ba、Ga、Al、Si、Pdを原料として混合・溶融・凝固して所定の組成のクラス
    レート化合物を調製する調製工程と、
    前記クラスレート化合物を粉砕して微粒子とする粉砕工程と、
    前記微粒子を焼結する焼結工程と、
    を有する熱電変換材料の製造方法。
  4. 請求項3に記載の熱電変換材料の製造方法において、
    前記焼結工程は、
    前記微粒子を一定の焼結温度まで加熱する加熱工程と、
    前記微粒子を前記焼結温度で一定時間保持する温度保持工程と、
    前記微粒子を加熱前の温度まで冷却する冷却工程と、を有し、
    前記加熱工程および前記温度保持工程では加圧雰囲気とし、
    前記冷却工程では加圧雰囲気を解除することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
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