JP2007335504A - 熱電変換材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力因子(PF)の値が従来より大きい熱電変換材料とその製造方法を提供する。
【解決手段】マンガン(Mn)と銅(Cu)と酸素とを含有し、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の範囲の値である酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料。酸化物が、式(1)で表される前記の熱電変換材料。Cu1+xMn1-x2 (1)(ただし、式中のxは0.06以上0.18以下の範囲の値である。) マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を成形して得られる成形体を、空気中において700℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性ガス雰囲気中で降温することにより焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は熱電変換材料に関する。より詳しくはp型熱電変換材料に関する。
熱電変換発電とは、熱電変換材料に温度差を付けることにより熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することによる発電である。熱電変換発電は、地熱や焼却炉の熱などの排熱を熱エネルギーとして利用できることから、環境保全型の発電として期待されている。
熱電変換材料の、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率(以下、「エネルギー変換効率」ということがある。)は、熱電変換材料の性能指数の値(Z)に依存する。性能指数の値(Z)は、熱電変換材料のゼーベック係数の値(α)、電気伝導度の値(σ)および熱伝導度の値(κ)を用いて、以下の式(1)で求まる値であり、この性能指数の値(Z)が大きい熱電変換材料ほど、エネルギー変換効率が良好な熱電変換素子となるとされ、特に、式(1)中のα2×σの値が大きい熱電変換材料ほど、単位温度あたりの出力が良好な熱電変換素子となるとされている。また、このα2×σは出力因子(PF)と呼ばれている。
Z=α2×σ/κ (1)
熱電変換材料にはゼーベック係数が正の値であるp型熱電変換材料と、ゼーベック係数が負の値であるn型熱電変換材料とがある。通常、熱電変換発電には、p型熱電変換材料とn型熱電変換材料とを電気的に直列に接続した熱電変換素子が使用される。熱電変換素子のエネルギー変換効率は、このp型熱電変換材料およびn型熱電変換材料の性能指数の値(Z)に依存する。エネルギー変換効率が良好な熱電変換素子を得るために、性能指数の値(Z)が大きいp型熱電変換材料およびn型熱電変換材料が求められている。
従来のp型熱電変換材料としては、式CuMnO2で表されるデラフォサイト型結晶構造を有する酸化物からなる熱電変換材料が特許文献1に例示されている。
特開2005−276952号公報(段落[0009])
本発明者らは式CuMnO2で表される酸化物からなる熱電変換材料を製造するために、Cu/Mnのモル比を1とする酸化物を焼結して熱電変換材料を得たのであるが、当該熱電変換材料の出力因子(PF)の値は十分なものではなかった。本発明の目的は、出力因子(PF)の値が従来より大きい熱電変換材料とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、特定の組成を有する酸化物からなる熱電変換材料の出力因子(PF)の値が大きくなることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は下記の熱電変換材料、その製造方法を提供するものである。
<1>マンガン(Mn)と銅(Cu)と酸素とを含有し、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の範囲の値である酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料。
<2>酸化物が、式(1)で表される前記<1>記載の熱電変換材料。
Cu1+xMn1-x2 (1)
(ただし、式中のxは0.06以上0.18以下の範囲の値である。)
<3>酸化物が、クレドネライト型結晶構造を有する前記<1>または<2>に記載の熱電変換材料。
<4>形状が焼結体であり、該焼結体の相対密度が60%以上である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の熱電変換材料。
<5>焼結体の表面の少なくとも一部が、酸素不透過膜でコーティングされている前記<4>記載の熱電変換材料。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかに記載の熱電変換材料を有する熱電変換素子。
<7>マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を成形して得られる成形体を、空気中において700℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性ガス雰囲気中で降温することにより焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
<8>マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を、空気中において600℃以上1100℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性雰囲気中で降温することにより焼成して、得られる粉末を成形して得られる成形体を空気中において900℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性ガス雰囲気中で降温することにより焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
<9>金属化合物混合物中のCu/Mnのモル比が1より大きく1.3以下であり、焼成の降温時の雰囲気が不活性ガス雰囲気である前記<8>記載の熱電変換材料の製造方法。
<10>金属化合物混合物中のCu/Mnのモル比が1より大きく1.3以下であり、焼結の降温時の雰囲気が不活性ガス雰囲気である前記<7>〜<9>のいずれかに記載の熱電変換材料の製造方法。
本発明の熱電変換材料は、出力因子(PF)の値が良好であることから、該熱電変換材料を有する熱電変換素子はエネルギー変換効率が良好であり、該熱電変換素子は、工場の廃熱や焼却炉の廃熱、工業炉廃熱、自動車廃熱、地熱、太陽熱などを利用した熱電発電器、レーザーダイオード等の精密温度制御装置、冷暖房装置、冷蔵庫等に用いられる熱電変換素子として好適に使用でき、また、電気伝導性が良好であり、透明導電材料等の導電材料としての利用も可能であることから、本発明は工業的に極めて有用である。
本発明の熱電変換材料はマンガン(Mn)と銅(Cu)と酸素とを含有し、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の範囲の値である酸化物からなることを特徴とする。Cu/Mnのモル比が1以下であるか、または1.5を超えると、出力因子(PF)の値が低くなり、好ましくない。なお、本発明において、Cu/Mnのモル比が1より大きいとは、Cuのモル分率がMnのモル分率より大きいことを意味する。
本発明の熱電変換材料は、式(1)で表される酸化物からなることが好ましい。
Cu1+xMn1-x2 (1)
(ただし、式中のxは0.06以上0.18以下の範囲の値である。)
該酸化物とすることで、本発明の熱電変換材料は、出力因子(PF)の値がより高くなる。出力因子の値がさらにより高くなる意味で、xは0.08以上0.16以下の範囲の値であることがより好ましい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の熱電変換材料は、マンガン(Mn)と銅(Cu)の一部を、イオン半径および/または原子価の同じ、または異なる元素で置換されてもよい。この置換により、本発明の熱電変換材料の電気伝導度を向上させたり、熱伝導度を低減させたりして、性能指数の値(Z)が大きくなることがある。
Mnを置換する元素としては、具体的にはMg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、NiおよびRuからなる群より選ばれる1種以上の元素が挙げられ、好ましくはMg、Ca、Sr、Ba、CoおよびNiからなる群より選ばれる1種以上の元素である。また、置換量としては、通常、Mnの0.1モル%〜50モル%である。
Cuを置換する元素としては、具体的にはAg、NiおよびZnからなる群より選ばれる1種以上の元素が挙げられ、好ましくはAgおよびNiが挙げられる。また、置換量としては、通常、Cuの0.1モル%〜50モル%である。
本発明の熱電変換材料は、主に粉体、焼結体、薄膜の形状で用いられ、特に、焼結体として用いられる。本発明の熱電変換材料を焼結体として用いる場合、その形及び寸法は、熱電変換素子として適切な形で用いることができる。具体的には、板状、円柱状、角状等、熱電変換素子として適切な形で用いることができる。
本発明の熱電変換材料は、電気伝導度の値(σ)をより大きくする意味で、配向性の高い熱電変換材料であることが好ましい。配向性の高い熱電変換材料の形状としては、配向焼結体、単結晶等が挙げられる。
次に本発明の熱電変換材料を製造する方法について説明する。
本発明の熱電変換材料を焼結体の形状で用いる場合を例に挙げて、本発明の熱電変換材料を製造する方法について説明する。本発明の熱電変換材料は、焼結により本発明の熱電変換材料となる金属化合物混合物を成形して得られる成形体を、焼結することにより製造することができ、すなわち、マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を成形して得られる成形体を焼結することにより製造することができる。具体的には、対応する金属元素を含有する化合物を所定の組成となるように秤量し、混合した後に得られる金属化合物混合物を成形して得られる成形体を、焼結することにより製造することができる。例えば、好ましい組成の一つであるCu1.1Mn0.92で表される化合物は、CuOとMnO2をCu:Mnのモル比が1.1:0.9となるように秤量し、混合した後に得られる金属化合物混合物を成形して得られる成形体を、焼結することにより製造することができる。
前記の金属元素を含有する化合物としては、CuおよびMnの金属元素を含有する化合物で、例えば、酸化物を用いるか、または水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩など、高温で分解および/または酸化して酸化物になる化合物が使用される。また該化合物の代わりに、前記の金属元素を含有する金属を用いてもよい。Cuを含有する化合物としては、例えば、酸化第一銅、酸化第二銅、硝酸銅等が挙げられ、酸化第二銅が好ましい。また、Mnを含有する化合物としては、一酸化マンガン、二酸化マンガン、三二酸化マンガン、四三酸化マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等が挙げられ、二酸化マンガンが好ましい。
前記金属元素を含有する化合物の混合は、乾式混合法、湿式混合法のいずれによってもよいが、金属元素を含有する化合物をより均一に混合できる方法によることが好ましく、この場合、混合装置としては、例えばボールミル、V型混合機、振動ミル、アトライター、ダイノーミル、ダイナミックミル等の装置が挙げられる。
成形体は、板状、角状、円柱状等の熱電変換素子として適切な形となるように製造すればよく、成形方法としては、例えば、一軸プレス、冷間静水圧プレス(CIP)、メカニカルプレス、ホットプレス、熱間等圧プレス(HIP)などにより行うことができる。また、成形体はバインダー、分散剤、離型剤等を含有してもよい。
前記成形体を、700℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持して焼結することにより、本発明の熱電変換材料を得ることができる。焼結の保持時間としては、0.5〜48時間が挙げられる。焼結温度が700℃未満では焼結し難く、熱電変換材料の組成によっては、電気伝導度の値(σ)が低下することがある。また、焼結温度が1300℃を超えるときは、熱電変換材料の組成によっては、異常粒成長や溶融することにより本発明の熱電変換材料の性能指数の値(Z)が低くなる場合がある。焼結温度は、好ましくは900℃以上1200℃以下の範囲の温度であり、さらに好ましくは1000℃以上1150℃以下である。
焼結の雰囲気としては、空気中または不活性ガス雰囲気が挙げられ、空気中が好ましい。不活性ガス雰囲気としては、窒素雰囲気、希ガス雰囲気が挙げられる。また、焼結において、上記温度で保持後、降温するときの雰囲気としては、空気中または不活性ガス雰囲気が挙げられる。金属化合物混合物中のCu/Mnのモル比が1より大きく1.3以下である場合には、上記の降温の雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
また、成形の前に前記金属化合物混合物を焼成することが好ましい。具体的には、マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を、空気中において600℃以上1100℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性雰囲気中で降温することにより焼成して、得られる粉末を成形して得られる成形体を空気中において900℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性ガス雰囲気中で降温することにより焼結して熱電変換材料の製造することが好ましい。焼成の保持時間としては、0.5〜24時間が挙げられる。また、焼成により得られる焼成品につき、成形前に、粉砕を行い粉砕品を製造することもできる。この粉砕は、例えばボールミル、振動ミル、アトライター、ダイノーミル、ダイナミックミル等の通常工業的に用いられている粉砕装置により行うことができる。
前記のように成形の前に焼成することにより、前記金属化合物混合物に、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、有機酸塩など、高温で分解および/または酸化して酸化物になり得るものが含有されている場合、酸化物としたり、炭酸ガス、結晶水を除去することが可能であり、また、焼結時に得られる焼結体の組成の均一性、焼結体の構造の均一性を向上させたり、焼結体の変形を抑制することができる。
また、前記焼成において、上記温度で保持後、降温するときの雰囲気としては、金属化合物混合物中のCu/Mnのモル比が1より大きく1.3以下である場合には、上記の降温の雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
上記に述べた本発明の熱電変換材料の製造方法は、本発明の熱電変換材料を焼結体の形状で用いる場合の本発明の熱電変換材料の製造方法であるが、このときは、焼結体の強度を確保する意味で、焼結体の密度は相対密度で60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは90%以上である。また、相対密度が60%未満であれば、電気伝導度の値(σ)も小さくなる傾向にある。焼結体の密度は、金属化合物混合物の粒子サイズ、焼成品の粒子サイズまたは粉砕品の粒子サイズ、成形体を製造するときの成形圧力、焼結の温度、焼結の時間等により、制御することができる。また、上記の焼結により得られる焼結体を粉砕して、焼結体粉砕品を製造して、該焼結体粉砕品について、再度上記のような焼結を行ってもよい。
また、本発明の熱電変換材料において、その表面が酸化され性能が低下するおそれがある場合は、焼結体の表面が酸素が透過しにくい酸素不透過膜でコーティングされてもよい。酸素不透過膜の材料としては具体的には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭化珪素等が挙げられ、該材料で熱電変換材料をコーティングする方法としては例えば、エアロゾルデポジション法、溶射法、CVD法(化学気相堆積法)等が挙げられる。
本発明の熱電変換材料は、上記の方法により製造することができるが、他の製造方法としては、共沈工程を含む方法、水熱工程を含む方法、ドライアップ工程を含む方法、スパッタリング工程を含む方法、CVDによる工程を含む方法、ゾルゲル工程を含む工程、FZ(浮遊帯域溶融法)工程を含む方法、TSCG(テンプレート型単結晶育成法)による工程を含む方法等が挙げられる。
また本発明の熱電変換材料を有する熱電変換素子について説明する。熱電変換素子としては、例えば、特開平5−315657号公報に開示されているような公知の技術が使用できる。また、本発明の熱電変換材料は主にp型熱電変換材料であるが、この場合、n型熱電変換材料を併用する。n型熱電変換材料としては、公知の技術が使用でき、例えば、Zn0.98Al0.02O、SrTiO3等が挙げられる(特開平8−186293号公報、特開平8−231223号公報参照)。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。尚、熱電変換材料の特性および構造の評価は以下に示す方法を用いた。
1.電気伝導度(δ)
焼結体試料を角柱状に加工し、銀ペーストで白金線を装着し、直流四端子法により、電気伝導度の値(δ)を測定した。測定は窒素ガスフロー中で室温〜1073Kの範囲で温度を変化させながら行った。δの単位は、S/mとした。
2.ゼーベック係数(α)
電気伝導度測定時と同様の形状に加工した焼結体試料の両端面それぞれに、R熱電対(白金−ロジウム線および白金線の対からなる)を銀ペーストにより装着して、焼結体試料両端面の温度および熱起電力を測定した。測定は窒素ガスフロー中で室温〜1073Kの範囲で温度を変化させながら行った。焼結体試料の片端面にエアを流入したガラス管を接触させて低温部を作り、焼結体試料両端面の温度をR熱電対で測定し、同時に焼結体試料の両端面間に生じている熱起電力(ΔV)を白金線で測定した。焼結体試料両端の温度差(ΔT)は、ガラス管に流入するエアの流量を制御することで1〜10℃の範囲で制御し、ΔTとΔVの傾きからゼーベック係数の値(α)を算出した。αの単位は、μV/Kとした。
3.出力因子(PF)
上記のδ、αの値から、次式により、PFの値を算出した。
PF=α2×σ
4.構造解析
焼成品、焼結体資料の結晶構造は、株式会社リガク製X線回折測定装置RINT2500TTR型を用いて、CuKαを線源とする粉末X線回折法により分析した。
5.焼結体の密度
焼結体試料の相対密度はアルキメデス法により算出した。
実施例1(x=0.1)
CuO(株式会社高純度化学研究所製、CuOの純度99.9%)を6.764g、MnO2(株式会社高純度化学研究所製、MnO2の純度99%)を6.048g秤取し(原料混合比でCu:Mn=1.1:0.9、Cu/Mnのモル比は1.22)、ジルコニア製のボールを用い、湿式ボールミルにより20時間混合した。該混合物を空気中において900℃で10時間保持して焼成して、得られた焼成品をジルコニア製のボールを用い、湿式ボールミルにより20時間粉砕し、1軸プレス(成形圧は250kg/cm2)により円盤状に成形し、得られた成形体を空気中において1100℃で10時間保持し、窒素雰囲気中で降温することにより焼結し、焼結体1を得た。得られた焼結体1のX線回折図形を図1に示す。図1より、焼結体1はクレドネライト型結晶構造を有することがわかった。
焼結体1の特性としては、673Kでの測定でゼーベック係数は262(μV/K)、電気伝導度は、1.7×102(S/m)であり、出力因子(PF)を算出すると、12×10-6(W/mK2)であった。
実施例2(x=0.08)
原料混合比でCu:Mn=1.08:0.92(Cu/Mnのモル比は1.17)とした以外は実施例1と同様にして、焼結体2を作製した。
焼結体2の特性としては、673Kでの測定でゼーベック係数は343(μV/K)、電気伝導度は、0.97×102(S/m)であり、出力因子を算出すると、11×10-6(W/mK2)であった。また873Kでの測定でゼーベック係数は312(μV/K)、電気伝導度は、3.4×102(S/m)であり、出力因子(PF)を算出すると、33×10-6(W/mK2)であった。また、焼結体2も焼結体1と同様にクレドネライト型結晶構造を有することがわかった。
実施例3(x=0.06)
原料混合比でCu:Mn=1.06:0.94(Cu/Mnのモル比は1.13)とした以外は実施例1と同様にして、焼結体3を作製した。
焼結体3の特性としては、673Kでの測定でゼーベック係数は348(μV/K)、電気伝導度は、0.81×102(S/m)であり、出力因子(PF)を算出すると、9.8×10-6(W/mK2)であった。また、焼結体3も焼結体1と同様にクレドネライト型結晶構造を有することがわかった。
実施例4(x=0.16)
原料混合比でCu:Mn=1.16:0.84(Cu/Mnのモル比は1.38)とした以外は実施例1と同様にして、焼結体4を作製した。
焼結体4の特性としては、673Kでの測定でゼーベック係数は218(μV/K)、電気伝導度は、2.4×102(S/m)であり、出力因子(PF)を算出すると、11×10-6(W/mK2)であった。また、焼結体4も焼結体1と同様にクレドネライト型結晶構造を有することがわかった。
実施例5(x=0.18)
原料混合比でCu:Mn=1.18:0.82(Cu/Mnのモル比は1.44)とした以外は実施例1と同様にして、焼結体5を作製した。
焼結体5の特性としては、673Kでの測定でゼーベック係数は192(μV/K)、電気伝導度は、2.6×102(S/m)であり、出力因子(PF)を算出すると、9.5×10-6(W/mK2)であった。また、焼結体5も焼結体1と同様にクレドネライト型結晶構造を有することがわかった。
比較例1(x=0)
原料混合比でCu:Mn=1.00:1.00(Cu/Mnのモル比は1)とした以外は実施例1と同様にして、焼結体6を作製した。
焼結体6の特性としては、673Kでの測定でゼーベック係数は80(μV/K)、電気伝導度は、11×102(S/m)であり、出力因子を算出すると、7.0×10-6(W/mK2)であった。
表1に、焼結体1〜6におけるxの値とPFの値の関係を示す。
Figure 2007335504
焼結体1のX線回折図形を示す図。

Claims (10)

  1. マンガン(Mn)と銅(Cu)と酸素とを含有し、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の範囲の値である酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料。
  2. 酸化物が、式(1)で表される請求項1記載の熱電変換材料。
    Cu1+xMn1-x2 (1)
    (ただし、式中のxは0.06以上0.18以下の範囲の値である。)
  3. 酸化物が、クレドネライト型結晶構造を有する請求項1または2に記載の熱電変換材料。
  4. 形状が焼結体であり、該焼結体の相対密度が60%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換材料。
  5. 焼結体の表面の少なくとも一部が、酸素不透過膜でコーティングされている請求項4記載の熱電変換材料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換材料を有する熱電変換素子。
  7. マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を成形して得られる成形体を、空気中において700℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性ガス雰囲気中で降温することにより焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
  8. マンガン(Mn)および銅(Cu)を、Cu/Mnのモル比が1より大きく1.5以下の値となるように含有する金属化合物混合物を、空気中において600℃以上1100℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性雰囲気中で降温することにより焼成して、得られる粉末を成形して得られる成形体を空気中において900℃以上1300℃以下の温度範囲の温度で保持し、空気中または不活性ガス雰囲気中で降温することにより焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
  9. 金属化合物混合物中のCu/Mnのモル比が1より大きく1.3以下であり、焼成の降温時の雰囲気が不活性ガス雰囲気である請求項8記載の熱電変換材料の製造方法。
  10. 金属化合物混合物中のCu/Mnのモル比が1より大きく1.3以下であり、焼結の降温時の雰囲気が不活性ガス雰囲気である請求項7〜9のいずれかに記載の熱電変換材料の製造方法。
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