JP2002069327A - ブラックマトリックス用カーボンブラック顔料 - Google Patents

ブラックマトリックス用カーボンブラック顔料

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JP2002069327A JP2000257473A JP2000257473A JP2002069327A JP 2002069327 A JP2002069327 A JP 2002069327A JP 2000257473 A JP2000257473 A JP 2000257473A JP 2000257473 A JP2000257473 A JP 2000257473A JP 2002069327 A JP2002069327 A JP 2002069327A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚が薄くても黒色度や遮光性に優れ、導電
性が極めて小さなブラックマトリックスを形成すること
のできるカーボンブラック顔料を提供する。 【解決手段】 窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以
上、DBP吸収量が140cm3/100g以下のカーボンブラ
ックを湿式酸化して、X線光電子分光法により測定した
全炭素原子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネ
ルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)の値が0.
1以上に酸化処理されたカーボンブラック表面のカルボ
キシル官能基を基幹として、ビニルモノマーを反応させ
てカチオン重合によりビニルポリマーが化学結合されて
なることを特徴とするブラックマトリックス用カーボン
ブラック顔料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば液晶カラー
フィルターのブラックマトリックス用の顔料として、高
度の遮光性および黒色度を有し、導電性が極めて低いブ
ラックマトリックス形成に好適なカーボンブラック顔料
に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、液晶となる結晶材
料を透明電極間に挟み、電極間に電圧を印加して液晶の
分子配列を変えることにより入射光の透過を制御し、反
射板と偏光板を組み合わせることにより画像や文字など
を表示するものであり、消費電力が少なくて済むため、
携帯電話、時計、カメラ、各種電気機器などの表示装置
として広く使用されている。
【0003】この液晶ディスプレイをカラー化したカラ
ー液晶ディスプレイは、画素ごとに赤、青、緑のカラー
フィルターを付けて光の三原色をつくり、各画素の明暗
を制御して色の変化を表現するものである。すなわち、
カラーフィルターは透明基板上に赤、青、緑の三原色の
画素をつくり、各画素を透過する光量を制御して三原色
の加色による発色によってカラー表示を行うものであ
り、各画素間の光を遮断するための遮断層(ブラックマ
トリックス)が形成されている。
【0004】このブラックマトリックスには、当然、遮
光性に優れていることが要求されるが、その他に、表面
が平滑で、層の厚さが薄いこと、導電性が小さいこと、
などが必要とされている。すなわち、表面平滑性が劣
り、層厚が厚いと三原色の色パターンを形成する際に凹
凸が生じることになり、また導電性が高いと印加電圧に
より導電性配線が短絡し誤作動を生じることになるため
である。
【0005】このブラックマトリックスには従来から
フォトリソグラフィ法によるCr、Ni、Alなどの金
属薄膜からなるブラックマトリックス、黒色顔料を分
散した黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックス、
が用いられてきた。このうちの金属薄膜により形成さ
れたブラックマトリックスは、遮光率や光学濃度が高く
解像度に優れている反面、導電性が高く、また光反射率
が大きいので反射による写り込みが生じ易く、表示品位
が損なわれる難点がある。
【0006】一方、の黒色有機樹脂膜からなるブラッ
クマトリックスには上記のような難点が少なく、特に、
カーボンブラックは黒色顔料として優れた黒色度を備え
ているのでブラックマトリックス用の黒色顔料として好
適である。そこで、カーボンブラックを分散した光重合
性樹脂組成物を透明基板に塗布してブラックマトリック
スを形成する方法やカーボンブラックを含有するインキ
を透明基板に印刷してブラックマトリックスを形成する
方法などが開発されている。このブラックマトリックス
用のカーボンブラックあるいはカーボンブラックを用い
たブラックマトリックスのカーボンブラックの特性を規
制するものとして、例えば、下記の技術などが開発、提
案されている。
【0007】樹脂中に少なくともカーボンブラックを含
むインキにおいて、前記カーボンブラックが、カーボン
ブラック100g 当たり40〜130mlの吸油量を有
し、かつ950℃で7分間加熱したときの揮発減量分が
3重量%以上であって、樹脂100重量部に対して10
〜50重量部の割合で配合されることを特徴とする液晶
カラーフィルター遮光層用インキ(特開平8−262223号
公報)、樹脂中に遮光剤を分散せしめてなる樹脂ブラッ
クマトリックスにおいて、該遮光剤として下記(A)〜
(D)のうち少なくとも1つを満たすカーボンブラック
を用いることを特徴とする樹脂ブラックマトリックス。
但し、(A)PH値が6.5以下、(B)表面のカルボ
キシル基濃度〔COOH〕が、全炭素原子あたりのモル
比で、0.001<〔COOH〕、(C)表面の水酸基
濃度〔OH〕が全炭素原子あたりのモル比で、0.00
1<〔OH〕、(D)表面のスルホン基濃度〔SO
3 H〕が、全炭素原子あたりのモル比で0.001<
〔SO3 H〕、(特開平9−15403号公報)。
【0008】また、黒色顔料としてカーボンブラックを
含有するブラックマトリックスにおいて、該カーボンブ
ラックの平均粒子径が40〜300nmであることを特徴
とするカラーフィルター用ブラックマトリックス(特開
平9−15419 号公報)、黒色顔料としてカーボンブラッ
クを含有するブラックマトリックスにおいて、該カーボ
ンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びC
2 から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面
積100m2当たり7mg以上であることを特徴とするカラ
ーフィルター用ブラックマトリックス(特開平9−2265
3 号公報)、平均粒径50〜200nm、DBP吸油量1
0〜40ml/100g の範囲にあるカーボンブラックを含有
することを特徴とするブラックマトリックス用カラーフ
ィルターレジスト(特開平9−80220 号公報)、平均一
次粒子径35〜150nm、凝集体径60〜300nm、ジ
ブチルフタレート吸油量30〜90ml/100g のカーボン
ブラックを樹脂で被覆してなることを特徴とする黒色レ
ジストパターン形成用カーボンブラック(特開平11−80
583 号公報)、なども提案されている。
【0009】更に、全酸素量が15mg/g以上、全酸素量
/比表面積が0.10mg/m2 以上であるカーボンブラッ
クを樹脂で被覆処理してなる絶縁性ブラックマトリック
ス用カーボンブラック(特開平9−95625 号公報)や表
面のカルボキシル基濃度〔COOH〕、表面の水酸基濃
度〔OH〕、表面のスルホン酸基濃度〔SO3 H〕の少
なくとも1つが、全炭素原子あたりのモル比で、0.0
05より大きいカーボンブラックを遮光剤として含む樹
脂からなるブラックマトリックスであって、比抵抗率
が、7×104 Ω・cm以上であることを特徴とする樹脂
ブラックマトリックス(特開平9−265006号公報)など
が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ブラックマト
リックスには黒色度および遮光性が高く、遮光層の膜厚
が薄くても高い遮光率を有し、また遮光層の表面が平滑
で、遮光層の導電性が小さいこと、などが必要とされて
いる。そこで、本発明者はこれらのブラックマトリック
スに要求される諸性能の向上について鋭意研究を行った
結果、カーボンブラック粒子表面にビニルポリマーをカ
チオン重合させることにより、導電性を著しく低位にす
るとともにブラックマトリックス形成用溶媒および樹脂
液中への分散性も向上できることを見出した。
【0011】本発明はこの知見に基づいて完成したもの
で、その目的は、膜厚が薄くても黒色度や遮光性に優
れ、導電性が極めて小さなブラックマトリックスを形成
するこができ、またブラックマトリックス形成用の樹脂
液中への分散性能にも優れたブラックマトリックス用カ
ーボンブラック顔料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるブラックマトリックス用カーボンブラ
ック顔料は、窒素吸着比表面積(N2SA)50m2/g以上、D
BP吸収量140cm3/100g以下のカーボンブラックを湿
式酸化して、X線光電子分光法により測定した全炭素原
子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネルギーの
強度/炭素結合エネルギーの強度)の値が0.1以上に
酸化処理されたカーボンブラック表面のカルボキシル官
能基を基幹として、ビニルモノマーを反応させてカチオ
ン重合によりビニルポリマーが化学結合されてなること
を構成上の特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のカーボンブラック顔料に
用いるカーボンブラックには、窒素吸着比表面積(N2SA)
が50m2/g以上、DBP吸収量が140cm3/100g以下の
特性のものが対象となる。すなわち、窒素吸着比表面積
(N2SA)が50m2/g未満であると溶媒に分散させた際に、
分散液中におけるカーボンブラックの平均粒径が大きく
なるためブラックマトリックスの黒色度および光遮蔽力
が低下することとなり、遮光層の膜厚が厚くなる。また
DBP吸収量が140cm3/100gを越えると樹脂と混合し
た場合、粘度が増大して遮光層の平滑性が損なわれると
ともに比抵抗値が低下することとなるためである。
【0014】一般に、カーボンブラックを分散媒中に分
散させる場合、カーボンブラック表面に存在する官能基
は分散媒との濡れ性を左右する主要因となり、またカー
ボンブラック粒子相互の界面における接触電気抵抗に影
響する。すなわち、官能基はブラックマトリックス形成
用のカーボンブラック分散樹脂組成物を作製する際の分
散媒中への分散性能および形成したブラックマトリック
スの電気抵抗などを決定する要因となるものである。
【0015】本発明のブラックマトリックス用カーボン
ブラック顔料は、上記の窒素吸着比表面積(N2SA)50m2
/g以上、DBP吸収量140cm3/100g以下の特性を有す
るカーボンブラックを対象として、湿式酸化処理により
カーボンブラック粒子表面にカルボキシル官能基を生成
させ、該官能基を基幹としてビニルモノマーを反応さ
せ、更にカチオン重合により生成したビニルポリマーを
化学結合させ、表面変性したものである。
【0016】一般的に、酸化処理されたカーボンブラッ
ク粒子表面には、=O、−COOH、−OHなどの官能
基が形成される。本発明のブラックマトリックス用カー
ボンブラック顔料は、これらの官能基量としてX線光電
子分光法により測定した全炭素原子当たりの全酸素原子
の原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネル
ギーの強度)の値を0.1以上に設定するものである。
【0017】すなわち、ESCAなどのX線光電子分光
法により測定される全炭素原子当たりの全酸素原子の原
子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギー
の強度)の値は、カルボキシル基やヒドロキシル基など
の生成量に関連し、この値が0.1未満の場合にはカル
ボキシル基やヒドロキシル基の生成量が少ないために、
次いで行うビニルモノマーを反応させ、カチオン重合さ
せる際の反応が不均一となり、ビニルポリマーを均一に
生成、化学結合させることが困難となる。その結果、カ
ーボンブラック自体の電気抵抗が小さくなり、またブラ
ックマトリックス形成用の樹脂組成物を作製する場合
に、溶媒および樹脂中への分散性能が低下することとな
る。なお、通常のファーネスブラックでは、この強度比
(原子比)の値は0.003〜0.02程度であり、気
相酸化した、例えばオゾン酸化品でも0.03〜0.0
8程度である。
【0018】カーボンブラックの湿式酸化処理は、例え
ば、酸化剤として過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩、過リ
ン酸塩などのペルオキソ酸塩あるいはペルオキソ酸が好
適に用いられ、ペルオキソ酸塩としてはアルカリ金属塩
やアンモニウム塩などが好ましい。湿式酸化処理は、こ
れらの酸化剤水溶液中にカーボンブラックを入れて攪
拌、混合することにより行われ、酸化剤水溶液の濃度、
カーボンブラックの添加量、反応温度、反応時間などを
適宜に制御することにより、全炭素原子当たりの全酸素
原子の原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エ
ネルギーの強度)の値が0.1以上となるように酸化処
理される。
【0019】湿式酸化処理したカーボンブラック分散液
は電気透析あるいは分離膜(逆浸透膜、限外濾過膜、ル
ーズR.O など)によりカーボンブラックを分離、精製す
る。この場合、カーボンブラック分散液中の残塩濃度が
高いと、例えばカルボキシル基とビニルモノマーとの反
応に障害が生じることになるので、カーボンブラック分
散液中の残塩濃度は、カーボンブラック含有濃度を20
wt%として0.2s/m未満となるように精製することが
好ましい。次いで、例えば真空乾燥機で110℃程度に
加熱して乾燥し、粉砕して酸化カーボンブラックが得ら
れる。
【0020】本発明のブラックマトリックス用カーボン
ブラック顔料は、このようにして湿式酸化処理されてカ
ーボンブラック粒子表面に生成したカルボキシル基やヒ
ドロキシル基などの官能基のうち、カルボキシル基を基
幹として、ビニルモノマーを反応させ、カチオン重合に
より形成したビニルポリマーを官能基に化学結合したも
のであり、カーボンブラック粒子表面にビニルポリマー
が形成されている点に特徴がある。
【0021】ビニルモノマーとしては、N-ビニル-2- ピ
ロリドン(ピロリジノン)、N-ビニルアセトアミド、N-
ビニルホルムアミド、α- メチルスチレン、N-ビニルカ
ルバゾール、イソブチルビニルエーテル、N-ブチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテルなどが用いられ、ビ
ニルモノマーとの反応は、ビニルモノマーを添加した所
定の溶媒中に酸化カーボンブラックを投入し、また、未
グラフトポリマー(ホモポリマー)および未反応モノマ
ーは、メタノール、エタノール中で除去する。所定の温
度下に所定時間、攪拌、反応させて、例えばカルボキシ
ル基を基幹として下記 (1)式に示す反応式にしたがっ
て、ビニルポリマーが化学結合される。
【0022】
【化1】
【0023】このカーボンブラック顔料を用いて、ブラ
ックマトリックス形成用の樹脂組成物として印刷インキ
を作製し、樹脂組成物を基板に塗布した後、フォトレジ
スト法により形成する方法や、樹脂組成物を透明基板に
印刷する方法、などによりブラックマトリックスが形成
される。樹脂組成物は、カーボンブラック顔料を溶媒お
よび樹脂中に混合することにより調製される。
【0024】溶媒としては、例えば、N-メチル-2- ピロ
リドン、 N,N′- ジメチルホルムアミド、 N,N′- ジメ
チルアセトアミド、 N,N′- ジメチルスルホオキシド、
シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、乳酸エチル、
ピリジン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケト
ン、キシレン、トルエン、ベンゼンなどが用いられる。
【0025】また樹脂としては、例えば、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート
樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼ
ン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル酸
樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、など
耐熱性、流動性、カーボンブラック顔料の分散性に支障
を来さない限り、各種の樹脂を使用することができる。
【0026】ブラックマトリックス形成用の樹脂組成物
は、カーボンブラック顔料と溶媒および樹脂とを、カー
ボンブラック顔料2〜20wt%、溶媒60〜96wt%、
樹脂2〜20wt%の割合で混合することにより調製され
る。このような量比に調整するのは、カーボンブラック
顔料が2wt%未満であると遮光性が低く、20wt%を越
えると膜厚が厚くなり、溶媒が60wt%未満であると流
動性が低下し、96wt%を越えると遮光性が低下し、ま
た、樹脂分が2wt%未満であると膜強度が低下し、20
wt%を越えると粘度が増大して膜厚の制御が困難とな
る、などの傾向があるためである。
【0027】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
具体的に説明する。
【0028】実施例1〜4 窒素吸着比表面積(N2SA)およびDBP吸収量が異なるカ
ーボンブラックを用いて、カーボンブラック100g を
濃度1.0mol/dm3 の過硫酸ナトリウム水溶液3dm3
添加し、反応温度60℃、反応時間10時間、攪拌速度
8.3/s で処理した。この酸化反応液から限外濾過膜
(旭化成製、AHP-1010、分画分子量 50000)により反応
液中に残存する塩を分離したのち、濃縮精製した。次い
で、真空乾燥機により110℃で乾燥し、ミキサーで粉
砕してカーボンブラック試料85g を得た。
【0029】このようにして作製した酸化カーボンブラ
ック試料について、酸素結合エネルギーの強度と炭素結
合エネルギーの強度を、Surface Science Instruments
社製S-Probe ESCA 2803型により測定し、全炭素原子当
たりの全酸素原子の原子比を求めた。
【0030】次に、これらの酸化カーボンブラック試料
20g を100cm3 の密栓付き三角フラスコに入れ、溶
媒として四塩化炭素40cm3 、ビニルモノマーとしてイ
ソブチルビニルエーテル20cm3 を加え、5.0/sの
攪拌速度で攪拌しながら40℃の温度で5時間反応させ
た。反応後、未反応モノマーを除去するため、50℃メ
タノール溶液中に反応スラリーを添加する。デカンテー
ションにより上澄液を除去し、沈殿スラリーを室温にて
真空乾燥した。このようにしてカーボンブラック表面上
のカルボキシル基にビニルポリマーをカチオン重合した
ブラックマトリックス用顔料を製造した。
【0031】比較例1〜4 イソブチルビニルエーテルとの反応を行わない他は、実
施例1〜4と同一のカーボンブラックを用い、同一の条
件で酸化処理を施してカーボンブラック顔料を製造し
た。
【0032】比較例5〜7 窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸収量が本発明の要件
を外れるカーボンブラックを用いた他は、実施例1〜4
と同一の条件で酸化処理およびビニルポリマーを形成し
てカーボンブラック顔料を製造した。
【0033】比較例8〜10 カーボンブラック150g をオゾン処理器中に入れて、
オゾン発生機(日本オゾン社 (株) 製 IOT-4A6)により
酸化(発生電圧200V、オゾン発生量5mg/sで5時間
保持)した他は、実施例1〜4と同一のカーボンブラッ
クを用い、同一の方法でカーボンブラック表面官能基に
ビニルポリマーを化学結合したカーボンブラック顔料を
製造した。
【0034】これらのカーボンブラック顔料について、
使用したカーボンブラックの特性、酸化処理方法と全炭
素原子当たりの全酸素原子の原子比、およびイソブチル
ビニルエーテルの重合率を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】これらのカーボンブラック顔料について、
下記の方法で電気抵抗(粉体抵抗)を測定した。 粉体抵抗;カーボンブラック試料をミキサーで粉砕
し、直径20mm、内容量0.11dm3のテフロン(登録
商標)容器にサンプル2.0g を入れて、4.9MPa
の圧力でプレスした状態の電気抵抗(粉体抵抗)を測定
した。
【0037】〔ブラックマトリックス形成用樹脂分散液
の調製〕カーボンブラック顔料10g に、シクロヘキサ
ン70g 、メタクリル酸樹脂20g を加え、軽く混合し
た後、ホモジナイザーにより微分散させてカーボンブラ
ック顔料を分散した樹脂組成物を調製した。この分散液
の粘度、表面張力および分散液中のカーボンブラックの
粒径を下記の方法により測定し、その測定結果をカーボ
ンブラック試料の粉体抵抗とともに表2に示した。
【0038】粘度;回転振動式粘度計(山一電機株式
会社製、VM-100A-L )により、温度25℃における粘度
を測定した。 表面張力;島津製作所製表面張力測定装置DNにより
測定した。 粒径;ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測
定装置(マイクロトラック社製UPA model 9340)を用い
て測定した。なお、分散液中の粒度分布の累積度数分布
曲線から、50%累積度数の値を平均粒径、99%累積
度数の値を最大粒径とした。
【0039】
【表2】
【0040】〔ブラックマトリックスの形成〕調製した
分散液をトリクロロエチレンにて洗浄した透明ガラス板
上にスピンコーターを用いて回転数16.7/s で塗布
し、常温で30分間保持した後、120〜250℃のホ
ットプレート上で120秒間処理した。次いで、500
W超高圧水銀灯を用い、ブラックマトリックスパターン
の描かれたフォトマスクを通して100mJ/cm2のエネル
ギーを塗膜上から照射した。その後、0.05%炭酸ナ
トリウム、0.4%エマルゲンA−60(花王製)から
なる現像液(25℃)を用いて、流量8.33cm3/s 、吐
出圧0.098MPaでシャワー洗浄を60秒間行っ
た。水洗後、表面温度250℃のホットプレート上でポ
ストベークしてブラックマトリックスパターンを得た。
【0041】このようにして形成したブラックマトリッ
クスについて下記の方法により測定評価を行い、その結
果を表3に示した。 光学的濃度(OD値);マクベス濃度計(コルモーゲ
ン社製、RD-927)により(透過)測定した。 膜厚;カットした断面をSEM(電子顕微鏡、日立製
作所製 S-2100S)により観察して、膜厚を測定した。 表面粗さ;SPM(走査型プローブ顕微鏡、AFM モー
ド SII社製 SPI-3000 )にて表面を観察し、表面の粗さ
を測定した。 体積固有抵抗;ガラス板をクロム蒸着基板に変更した
以外は、ブラックマトリックスと同じ方法で塗膜を形成
し、硬化した塗膜上に面積0.28cm2(S)の円形電極を
銀ペーストにより形成し、この電極と対向電極であるク
ロム蒸着面との間に一定電圧発生装置(ケンウッド社製
PA36-2A レギュレーテッド DC パワーサプライ)を用
いて一定の電圧(100V)を印加し、膜に流れる電流(I) を
電流計(アドバンテスト社製 R644C デジタルマルチメ
ーター)にて測定した。次に、黒色膜の膜厚(d) cmを測
定し、下記式から体積固有抵抗Rを求めて、その対数値
(log10R)を算出した。 R(Ω・cm)=(V・S)/(I・d) 鉛筆硬度;JIS K5400「鉛筆引っかき値」に
より測定した。
【0042】
【表3】
【0043】表1〜3の結果から、本発明のカーボンブ
ラック顔料を用いて形成した実施例1〜4のブラックマ
トリックスは、光学濃度、膜厚、表面粗さ、体積固有抵
抗、鉛筆硬度などがいずれも良好である。一方、カーボ
ンブラック表面官能基にビニルポリマーを形成しないカ
ーボンブラック顔料を用いて形成した比較例1〜4のブ
ラックマトリックスでは膜厚当たりの光学濃度と抵抗率
が低く、カーボンブラック特性が本発明の要件を外れる
カーボンブラック顔料を用いて形成した比較例5〜7の
ブラックマトリックスは鉛筆硬度は良好であったが、光
学濃度が低く、膜厚が厚く、表面平滑性が低かった。ま
た、オゾンによる気相酸化を施したカーボンブラック顔
料を用いて形成した比較例8〜10のブラックマトリッ
クスは光学濃度が低く、抵抗率が低く、膜厚が厚く、そ
の表面平滑性も悪く、更に鉛筆硬度も不足していた。
【0044】
【発明の効果】以上のとおり、本発明のブラックマトリ
ックス用カーボンブラック顔料は、窒素吸着比表面積(N
2SA)およびDBP吸収量が特定範囲にあるカーボンブラ
ックを湿式酸化し、生成した表面官能基を基幹としてビ
ニルポリマーをカチオン重合して表面変性した点に特徴
があり、このカーボンブラック顔料を遮光剤として形成
したブラックマトリックスによれば、遮光層の膜厚が薄
くても高い遮光率を示し、また遮光層の表面が平滑で、
遮光層の導電性も小さく、優れた遮光性能を付与するこ
とが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 AA09 AA15 AA26 2H048 BA11 BA15 BA28 BA55 BB42 4J037 AA02 CC18 DD07 DD17 DD20 EE03 EE12 EE19 EE43 FF02 FF03 FF11

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素吸着比表面積(N2SA)50m2/g以上、
    DBP吸収量140cm3/100g以下のカーボンブラックを
    湿式酸化して、X線光電子分光法により測定した全炭素
    原子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネルギー
    の強度/炭素結合エネルギーの強度)の値が0.1以上
    に酸化処理されたカーボンブラック表面のカルボキシル
    官能基を基幹として、ビニルモノマーを反応させてカチ
    オン重合によりビニルポリマーが化学結合されてなるこ
    とを特徴とするブラックマトリックス用カーボンブラッ
    ク顔料。
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