JP4671144B2 - ブラックマトリックス用カーボンブラック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶カラーフィルターのブラックマトリックスとして好適なカーボンブラックに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、液晶となる結晶材料を透明電極間に挟み、電圧を印加して液晶の分子配列を変えることにより入射光の透過を制御し、反射板と偏光板を組み合わせることにより画像や文字などを表示するものであり、消費電力が少なくて済むため、時計、カメラ、各種電気機器などの表示装置として広く使用されている。
【0003】
この液晶ディスプレイをカラー化したカラー用液晶ディスプレイは、画素ごとに赤、青、緑のフィルターを付けて光の三原色をつくり、各画素の明暗を制御して色の変化を表現するものである。一般に、液晶カラーフィルターは透明基板上に赤、青、緑の三原色の画素をつくり、これらの画素を組み合わせることにより色を表現するものであり、各画素間の表示コントラストを強調するために各画素間の光を遮断する遮光層(ブラックマトリックス)が形成されている。
【0004】
このブラックマトリックスには、当然、遮光性に優れていることが要求されるが、その他に、表面が平滑で、層の厚さが薄いこと、導電性が小さいこと、などが必要とされている。すなわち、表面平滑性が劣り、層厚が厚いと三原色の色パターンを形成する際に凹凸が生じることになり、また導電性が高いと印加電圧により導電性配線が短絡し誤作動を生じることになるためである。
【0005】
従来から、ブラックマトリックスには、▲1▼フォトリソグラフィ法によるCr、Ni、Alなどの金属薄膜からなるブラックマトリックス、▲2▼黒色顔料を分散した黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックス、が用いられてきた。しかしながら、金属薄膜により形成されたブラックマトリックスは導電性が高く、また金属薄膜は反射率が高いので表示品位が損なわれる難点がある。
【0006】
一方、カーボンブラックは黒色顔料として優れた黒色度を備えており、例えばカーボンブラックを分散した光重合性樹脂組成物を透明基板に塗布してブラックマトリックスを形成する方法やカーボンブラックを含有するインキを透明基板に印刷してブラックマトリックスを形成する方法などが開発されている。このブラックマトリックス用のカーボンブラックあるいはカーボンブラックを用いたブラックマトリックスのカーボンブラックの特性を規制するものとして、例えば、下記の技術などが開発、提案されている。
【0007】
樹脂中に少なくともカーボンブラックを含むインキにおいて、前記カーボンブラックが、カーボンブラック100g 当たり40〜130mlの吸油量を有し、かつ950℃で7分間加熱したときの揮発減量分が3重量%以上であって、樹脂100重量部に対して10〜50重量部の割合で配合されることを特徴とする液晶カラーフィルター遮光層用インキ(特開平8−262223号公報)、樹脂中に遮光剤を分散せしめてなる樹脂ブラックマトリックスにおいて、該遮光剤として下記(A)〜(D)のうち少なくとも1つを満たすカーボンブラックを用いることを特徴とする樹脂ブラックマトリックス。但し、(A)PH値が6.5以下、(B)表面のカルボキシル基濃度〔COOH〕が、全炭素原子あたりのモル比で、0.001<〔COOH〕、(C)表面の水酸基濃度〔OH〕が全炭素原子あたりのモル比で、0.001<〔OH〕、(D)表面のスルホン基濃度〔SO3 H〕が、全炭素原子あたりのモル比で0.001<〔SO3 H〕、(特開平9−15403 号公報)。
【0008】
また、黒色顔料としてカーボンブラックを含有するブラックマトリックスにおいて、該カーボンブラックの平均粒子径が40〜300nmであることを特徴とするカラーフィルター用ブラックマトリックス(特開平9−15419 号公報)、黒色顔料としてカーボンブラックを含有するブラックマトリックスにおいて、該カーボンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びCO2 から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり7mg以上であることを特徴とするカラーフィルター用ブラックマトリックス(特開平9−22653 号公報)、平均粒径50〜200nm、DBP吸油量10〜40ml/100g の範囲にあるカーボンブラックを含有することを特徴とするブラックマトリックス用カラーフィルターレジスト(特開平9−80220 号公報)、平均一次粒子径35〜150nm、凝集体径60〜300nm、ジブチルフタレート吸油量30〜90ml/100g のカーボンブラックを樹脂で被覆してなることを特徴とする黒色レジストパターン形成用カーボンブラック(特開平11−80583 号公報)、なども提案されている。
【0009】
更に、全酸素量が15mg/g以上、全酸素量/比表面積が0.10mg/m2 以上であるカーボンブラックを樹脂で被覆処理してなる絶縁性ブラックマトリックス用カーボンブラック(特開平9−95625 号公報)や表面のカルボキシル基濃度〔COOH〕、表面の水酸基濃度〔OH〕、表面のスルホン酸基濃度〔SO3 H〕の少なくとも1つが、全炭素原子あたりのモル比で、0.005より大きいカーボンブラックを遮光剤として含む樹脂からなるブラックマトリックスであって、比抵抗率が、7×104 Ω・cm以上であることを特徴とする樹脂ブラックマトリックス(特開平9−265006号公報)も提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ブラックマトリックスには黒色度および遮光性が高く、遮光層の膜厚が薄くても高い遮光率を有し、また遮光層の表面が平滑で、遮光層の導電性が小さいこと、などが必要とされる。そこで、本発明者はこれらのブラックマトリックスに要求される性能の向上について鋭意研究を行った結果、黒色度が高いカーボンブラックをブラックマトリックス中に高濃度に安定分散させることにより、性能向上を図ることが可能であることを見出した。
【0011】
本発明はこの知見に基づいて完成したもので、その目的とする解決課題は、膜厚が薄くても黒色度や遮光性に優れ、導電性が小さいブラックマトリックスを形成することのできるカーボンブラックを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明によるブラックマトリックス用カーボンブラックは、X線光電子分光法により測定した全炭素原子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)の値が0.1以上に酸化処理されたカーボンブラック表面の官能基を基幹として、エピクロロヒドリンを反応させることによりエポキシ基が化学修飾されてなることを構成上の特徴とする。また、カーボンブラックの特性は、窒素吸着比表面積(NSA)が50m/g以上、DBP吸収量が140cm/100g以下であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
一般に、カーボンブラックを分散媒中に分散させる場合、カーボンブラック表面に存在する官能基は分散媒との濡れ性を左右する主要因となり、またカーボンブラック粒子相互の界面における接触電気抵抗に影響する。すなわち、官能基はブラックマトリックス形成用のカーボンブラック分散樹脂組成物を作製する際の分散媒中への分散性能および形成したブラックマトリックスの電気抵抗などを決定する要因となるものである。
【0014】
本発明のブラックマトリックス用カーボンブラックは、酸化処理およびエポキシ化処理により、その表面に存在する官能基を変性したものである。一般的に、酸化処理されたカーボンブラック表面には、=O、−COOH、−OHなどの官能基が形成される。本発明のブラックマトリックス用カーボンブラックは、これらの官能基量としてX線光電子分光法により測定した全炭素原子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)の値を0.1以上に設定するものである。
【0015】
すなわち、XPSやESCAなどのX線光電子分光法により測定される(酸素結合エネルギー/炭素結合エネルギー)の強度比(原子比)の値は、カルボキシル基やヒドロキシル基の形成量に関連し、この値が0.1未満の場合にはカルボキシル基やヒドロキシル基の形成量が少ないために、次いで行うエポキシ化時にエポキシ化反応が均一かつ充分に進行しないためである。なお、通常のファーネスブラックでは強度比は0.003〜0.02程度である。
【0016】
カーボンブラックの酸化処理は、例えば、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩などのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのペルオキソ酸塩やペルオキソ酸の酸化剤水溶液中にカーボンブラックを添加して酸化する湿式酸化処理が好ましく、酸化剤水溶液の濃度、カーボンブラックの添加量、反応温度、反応時間などを適宜に制御して、全炭素原子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)が0.1以上となるように処理される。
【0017】
湿式酸化処理したカーボンブラック分散液は電気透析あるいは分離膜(逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズR.O など)によりカーボンブラックを分離、精製する。この場合、カーボンブラック分散液中の残塩濃度はカーボンブラック含有濃度を20wt%として0.2s/m 未満となるように精製することが好ましい。
【0018】
酸化処理されたカーボンブラックは、次いでエポキシ化反応によりカーボンブラック表面に形成されたカルボキシル基やヒドロキシル基を基幹として、エポキシ基が化学修飾される。エポキシ化反応は、酸化カーボンブラック分散液に水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合したのち、エピクロロヒドリンをカルボキシル基およびヒドロキシル基量の1.5倍モル量以上添加して、略150℃程度に加熱することにより、下記式 (1)、(2) に示す反応式にしたがってカーボンブラック表面にエポキシ基が導入、化学修飾される。
【0019】
【化1】
Figure 0004671144
【0020】
【化2】
Figure 0004671144
【0021】
エポキシ化反応後の分散液は2層化しているため、塩化ナトリウムやアルカリ溶液が存在する層を分離したのち、親油層側の未反応エピクロロヒドリンを加熱除去してカーボンブラックを分離し、乾燥後、蒸留水で洗浄して残存するアルカリや塩を除去したのち、真空乾燥機で110℃程度に加熱して乾燥し、粉砕することによりエポキシ基が化学修飾されたカーボンブラックが得られる。
【0022】
この場合、カーボンブラックの特性は、好ましくは窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸収量が140cm3/100g以下のものが用いられる。窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g未満であると溶媒に分散させた際に、分散液中におけるカーボンブラックの平均粒径が大きくなるため、ブラックマトリックスの黒色度および光遮蔽力が低下することとなり、また遮光層の膜厚が厚くなる。DBP吸収量が140cm3/100gを越えると樹脂と混合した場合、粘度が増大して遮光層の平滑性が損なわれることとなるためである。
【0023】
このカーボンブラックを用いて、ブラックマトリックス形成用の樹脂組成物として印刷インキを作製し、樹脂組成物を基板に塗布した後、フォトレジスト法により形成する方法や、インキを透明基板に印刷する方法、などによりブラックマトリックスが形成される。分散媒としては、表面張力が低く、沸点、粘度が低い有機性溶媒が好ましく、例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、エタノール、N-メチル-2- ピロリドン、2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホアキシド、ヘキサメチルホスファミド、などの極性溶媒が好ましい。また、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、などと水との混合溶液も好ましく用いることができる。
【0024】
なお、エポキシ基が化学修飾されたカーボンブラックを樹脂にて被覆することにより、更に絶縁性に優れたブラックマトリックスを形成することができる。被覆処理する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル酸樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、など耐熱性、流動性、カーボンブラックの分散性に支障を来さない限り、各種の樹脂を使用することができる。
【0025】
ブラックマトリックス形成用の樹脂組成物やインキなどのカーボンブラック分散液は、カーボンブラックと溶媒、樹脂とをカーボンブラック2〜20wt%、溶媒70〜96wt%、樹脂2〜10wt%の割合で混合することにより調製される。カーボンブラックが2wt%未満であると遮光性が低く、20wt%を越えると膜厚が厚くなり、溶媒が70wt%未満であると流動性が低下し、96wt%を越えると遮光性が低下する。また、樹脂分が2wt%未満であると膜強度が低下し、10wt%を越えると粘度が増大して膜厚の制御が困難となる、などの傾向があるためである。
【0026】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0027】
実施例1〜6
窒素吸着比表面積(N2SA)およびDBP吸収量が異なるカーボンブラックを用いて、カーボンブラック100g を濃度1.0mol/dm3 の過硫酸ナトリウム水溶液3dm3 に添加し、反応温度60℃、反応時間10時間、攪拌速度8.331/s で処理した。この酸化反応液から限外濾過膜(旭化成製、AHP-1010、分画分子量 50000)により反応液中に残存する塩を分離したのち、濃縮精製した。次いで、真空乾燥機により110℃で乾燥したのち、ミキサーで粉砕してカーボンブラック試料85g を得た。これらのカーボンブラック試料について酸素結合エネルギー強度と炭素結合エネルギー強度をSurface Science Instruments 社製 S-Probe ESCA 2803型により測定し、全炭素原子当たりの全酸素原子の原子比を求めた。
【0028】
次いで、この酸化処理したカーボンブラック85g をセパラブルフラスコに入れ、エピクロロヒドリン1dm3 、40%水酸化ナトリウム5cm3 を添加して8.331/s の攪拌速度で攪拌しながら、150℃で5時間反応させた。反応終了後、塩やアルカリが存在している水層を分離し、有機層中のカーボンブラックとエピクロロヒドリンをエバポレータを用いて分離し、蒸留水にて洗浄したのち80℃で真空乾燥した。このようにしてエポキシ基を化学修飾したカーボンブラック試料を調製した。
【0029】
なお、これらのカーボンブラック試料について、以下の方法でエポキシ当量を測定した。三角フラスコ中にカーボンブラックを0.3g 、酢酸溶媒にて希釈した過塩素酸溶液(濃度;0.1mol/dm3)を20cm3 、臭化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを0.05g 添加して室温にて1時間攪拌する。次いで、フィルターにて濾過分離し、濾液5cm3 に指示薬としてクリスタルバイオレットを添加し、濾液中の炭酸ナトリウム量を酢酸(濃度;0.025mol/dm3)にて滴定する。
【0030】
比較例1〜3
エポキシ化処理を施さない他は、実施例1〜3と同一のカーボンブラックを用い、同一の条件で酸化処理を施してカーボンブラック試料を調製した。
【0031】
比較例4
実施例1と同一のカーボンブラックをオゾン発生機(日本オゾン社製 ITO-4A6)により酸化(発生電圧200V、オゾン発生量5mg/sで5時間保持)した後、実施例と同様な方法にてエポキシ基の化学修飾を行った。
【0032】
比較例5、6
エポキシ化処理を施さない他は、実施例2、3と同一のカーボンブラックを用い、酸化処理としてオゾン発生機(日本オゾン社製 ITO-4A6)により発生電圧200V、オゾン発生量5mg/sで5時間処理して、カーボンブラック試料を調製した。
【0033】
これらのカーボンブラック試料の特性、原子比、エポキシ基量等を表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0004671144
【0035】
これらのカーボンブラック試料について、下記の方法で電気抵抗(粉体抵抗)を測定した。
▲1▼粉体抵抗;
カーボンブラック試料をミキサーで粉砕し、直径20mm、内容量110cm3 のテフロン容器にサンプル2.0g を入れて、5MPaの圧力でプレスした状態の電気抵抗(粉体抵抗)を測定した。
【0036】
〔ブラックマトリックス形成用分散液の調製〕
カーボンブラック試料20g に、メチルイソブチルケトン78g 、フェノール樹脂2g を加え、軽く混合したのち、ホモジナイザーにより微分散させてカーボンブラック分散液を調製した。この分散液の粘度、表面張力、および分散液中のカーボンブラックの粒径を下記の方法により測定し、その測定結果をカーボンブラック試料の粉体抵抗とともに表2に示した。
▲2▼粘度;
回転振動式粘度計(山一電機株式会社製、VM-100A-L )により、温度25℃における粘度を測定した。
▲3▼表面張力;
島津製作所製表面張力測定装置DNにより測定した。
▲4▼粒径;
ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製UPA model 9340)を用いて測定した。なお、分散液中の粒度分布の累積度数分布曲線から、50%累積度数の値を平均粒径、99%累積度数の値を最大粒径とした。
【0037】
【表2】
Figure 0004671144
【0038】
〔ブラックマトリックスの形成〕
調製した分散液を、トリクロロエチレンにて洗浄した透明ガラス板上にスピンコーターを用いて回転数1000 rpmで塗布し、常温で30分間保持した後、120〜250℃のホットプレート上で2分間処理した。次いで、500W超高圧水銀灯を用い、ブラックマトリックスパターンの描かれたフォトマスクを通して100mJ/cm2のエネルギーを塗膜上から照射した。その後、0.05%炭酸ナトリウム、0.4%エマルゲンA−60(花王製)からなる現像液(25℃)を用いて、流量8.33cm3/s 、吐出圧100KPaでシャワー洗浄を1分間行った。水洗後、表面温度200℃のホットプレート上でポストベークしてブラックマトリックスパターンを得た。
【0039】
このようにして形成したブラックマトリックスについて下記の方法により測定評価した。その結果を表3に示した。
▲5▼光学的濃度(OD値);
マクベス濃度計(コルモーゲン社製、RD-927)により測定した。
▲6▼膜厚、表面粗さ;
カットした断面を走査型プローブ顕微鏡SPM(SII 社製 SPI-3000 )により測定、および観察した。
▲7▼体積固有抵抗;
ガラス板をクロム蒸着基板に変更した以外は、ブラックマトリックスと同じ方法で塗膜を形成し、硬化した塗膜上に面積0.28cm2(S)の円形電極を銀ペーストにより形成し、この電極と対向電極であるクロム蒸着面との間に一定電圧発生装置(ケンウッド社製 PA36-2A レギュレーテッド DC パワーサプライ)を用いて一定の電圧(100V)を印加し、膜に流れる電流(I) を電流計(アドバンテスト社製 R644C デジタルマルチメーター)にて測定した。次に、黒色膜の膜厚(d) cmを測定し、下記式から体積固有抵抗Rを求めて、その対数値(log10R)を算出した。
R(Ω・cm)=(V・S)/(I・d)
▲8▼鉛筆硬度;
JISK5400「鉛筆引っかき値」により測定した。
【0040】
【表3】
Figure 0004671144
注;*1 ブラックマトリックス形成用の分散液中におけるカーボンブラックの分散性が悪く、凝集沈降して塗膜形成ができなかった。
【0041】
表3より実施例1〜6で成膜したブラックマトリックスは、光学濃度、膜厚、表面粗さ、体積固有抵抗、鉛筆硬度などが良好である。しかし、比較例1〜3の酸化のみのカーボンブラックを用いたブラックマトリックスは、メチルイソブチルケトンとの分散性不良のため、凝集沈降してしまい成膜が不可能であった。更に、オゾン酸化し、エポキシ基を修飾した比較例4を用いて成膜したブラックマトリックスは、光学濃度は良好であるが、体積固有抵抗が低く、鉛筆硬度不足、表面が凸凹、膜厚が厚すぎた。また、オゾン酸化のみのカーボンブラックを顔料として用いた比較例5、6は、分散性が非常に悪く膜の形成が困難であった。
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のブラックマトリックス用カーボンブラックは、酸化処理およびエポキシ化処理により表面が変性され、エポキシ基が化学修飾された点を特徴とし、このカーボンブラックを遮光剤として形成したブラックマトリックスによれば、遮光層の膜厚が薄くても高い遮光率を示し、また遮光層の表面が平滑で、遮光層の導電性も小さく、優れた遮光性能を備えている。

Claims (2)

  1. X線光電子分光法により測定した全炭素原子当たりの全酸素原子の原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)の値が0.1以上に酸化処理されたカーボンブラック表面の官能基を基幹として、エピクロロヒドリンを反応させることによりエポキシ基が化学修飾されてなることを特徴とするブラックマトリックス用カーボンブラック。
  2. 窒素吸着比表面積(NSA)が50m/g以上、DBP吸収量が140cm/100g以下である、請求項1記載のブラックマトリックス用カーボンブラック。
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