JP4228642B2 - カーボンブラック及びインキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンブラック及び当該カーボンブラックを含有するインキ組成物、塗料組成物及び樹脂組成物に関する。好ましくは本発明は印刷インキに好適なカーボンブラックと、このカーボンブラックを含有するインキ組成物、塗料組成物及び樹脂組成物に関する。ここで、印刷インキとは、平版印刷インキ、グラビア印刷インキ、凸版印刷インキ、スクリーン印刷インキ、フレキソ印刷インキ、凹版印刷インキ、特殊印刷インキ等を示す。
【0002】
【従来の技術】
印刷インキ用カーボンブラックは、黒色度が高いほど好ましく、また粘度が高くかつ流動性が良いものほど好ましい。
【0003】
一般に、カーボンブラックは、1次粒子径が小さいほど黒色度が高くなるが、逆に1次粒子径が小さいほど流動性が悪くなり、黒色度と流動性とは二律背反の関係にある。
【0004】
カーボンブラックの流動性を高める方法として、カーボンブラックを表面酸化処理して表面に酸性官能基を導入する方法がある(例えば下記特許文献1)。
【0005】
しかしながら、表面酸化処理により表面に酸性官能基が導入されたカーボンブラックを使用したインキは、乾燥性に劣るという問題がある。すなわち、乾燥促進のために添加されるドライヤーがカーボンブラックの表面に吸着され、ドライヤーの効果が損なわれる。従って、乾燥性を上げるためにはカーボンブラック表面の酸性官能基を減らす必要がある。
【0006】
表面酸化処理が施されておらず、適度なタックを有し且つ降伏価を持たないインキ用のカーボンブラックとして、本出願人による特開平7−18200号公報に記載のカーボンブラック(比着色力:80〜115%、窒素吸着比表面積:50〜100m2/g、DBP吸収量60〜100cm3/100g、遠心沈降法による凝集体径Dmod140〜230nm)が挙げられる。しかしながら、このカーボンブラックは黒色度が不十分である。
【0007】
特公平7−68463には、同様に表面酸化処理が施されていない、カラー用カーボンブラック及びその製造方法が記載されている。
【0008】
同号公報のカラー用カーボンブラックは、窒素吸着法によって測定される該カーボンブラックの比表面積(SBET:m2/g)、電子顕微鏡測定法によって測定される該カーボンブラックの体面積平均径(Da:nm)及び水銀ポロシメーター法によって測定される該カーボンブラックの細孔容積(AVHg:cc/100g)が、下記の式により算出されるラフネス・フアクター(R.F)及びアグレゲート・フアクター(A.F)の値を共に負の値とするような比表面積(SBET)、体面積平均径(Da)及び細孔容積(AVHg)を有することを特徴とする高級カラー用カーボンブラックである。
R.F=SBET−28710/(Da)+1450A.F=AVHg+14×(Da)−290但しDaは17nm以下である。
【0009】
このカーボンブラックは、酸素含有ガスと燃料とを混合して高温燃焼ガス流を形成させる第1帯域と該第1帯域の下流部であって得られた高温燃焼ガス流に原料炭化水素を混合してカーボンブラックを生成させた後、該カーボンブラック生成反応を停止させるまでの第2帯域からなる反応帯域において、高級カラー用カーボンブラックを製造する際に、第2帯域にはカーボンブラック生成時での高温ガス流体に撹乱を付与するために絞り部を設け、該絞り部出口における高温ガス流体の流速を350〜650m/秒とし、かつ第2帯域での温度を1700〜1980℃、帯留時間を1〜40ミリ秒とする方法により製造される。
【0010】
同号公報のラフネス・フアクター(R.F)とは下記の(1)式で規定されるものであり、得られたカーボンブラックの表面粗度を示す指標である。
R.F=SBET−28710/(Da)+1450 ……(1)
また、アグレゲート・フアクター(A.F)は、下記の(2)式で規定されるものであり、得られたカーボンブラックの凝集性度合を示す指標である。
A.F=AVHg+14×(Da)−290 ……(2)
しかしながら、この特公平7−68463号のカラー用カーボンブラックは、黒度及び流動性に改善すべき余地がある。
【0011】
【特許文献1】
特公昭45−29754号
【特許文献2】
特開平7−18200号
【特許文献3】
特公平7−68463号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様に、表面酸化処理が施されていないカーボンブラックによりインキの黒色度と流動性を共に満足することは困難である。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、表面酸化処理を施すことなく、黒色度及び流動性が満足できる範囲にある印刷インキ用カーボンブラックとして好適なカーボンブラックと、このカーボンブラックを用いたインキ組成物、塗料組成物及び樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のカーボンブラックは、表面酸化処理を施していないカーボンブラックであって、次の特性を有することを特徴とするものである。
体面積粒子径Da:29〜47(nm)
表面ラフネスRf:1.3〜5.0
pH :3.5以上
DBP吸油量 :110以下(cm3/100g)
【0015】
また、本発明のインキ組成物は、かかる本発明のカーボンブラックを含有するものである。
【0016】
また、本発明の塗料組成物は、かかる本発明のカーボンブラックを含有するものである。
【0017】
また、本発明の樹脂組成物は、かかる本発明のカーボンブラックを含有するものである。
【0018】
本発明者は、印刷インキ用として好適なカーボンブラックについて種々の研究を重ねた結果、体面積粒子径、表面ラフネス、pH及びDBP吸油量が所定範囲にあるカーボンブラックは、黒色度及び流動性のいずれにも優れることを見出した。
【0019】
本発明における体面積粒子径、表面ラフネス、pH及びDBP吸油量の定義は次の通りである。
【0020】
[体面積粒子径Da(nm)]
カーボンブラックをクロロホルムに投入し、200kHzの超音波を20分間照射し、分散した後、分散試料を支持膜に固定する。これを電子顕微鏡で撮影し、画像処理して一次粒子径Dを計算し、このD値と計測粒子数nとに基づいて以下の式より算出し、nmで表示する。
Da=Σ(nD3)/Σ(nD2)
ただし、n:計測粒子数(個)
D:一次粒子径(nm)
【0021】
なお、この画像処理手順は次の通りである。
(1)背景とアグリゲート(カーボンブラックの撮像)を分離する。
(2)アグリゲート中の濃淡差のある部分を一次粒子の境界線(尾根線)として抽出する。
(3)境界の一部分に相当する一定長さの尾根線から属する円の半径を計算する。
(4)弛緩法に基づいて一つの円に属する尾根線をグループ化する。
(5)グループ化によって作成された円が妥当か判断する
(候補が複数個ある場合は原画と比較して最も適する円に絞り込む)。
(6)以上の操作で求まった(近似)円の直径を一次粒子径Dとする。
【0022】
[表面ラフネス度Rf]
表面ラフネス度Rfは、窒素吸着比表面積SN2と電子顕微鏡比表面積SEMとの比、即ち
Rf=SN2/SEM
である。
【0023】
窒素吸着比表面積SN2は、JIS K6217に準拠して定義される(単位はm2/g)。
【0024】
電子顕微鏡比表面積SEMは、上記体面積粒子径Da(nm)とカーボンブラックの真比重ρ=1.86(g/cm3)との積で6000を除した値(単位はm2/g)であり、
SEM=6000/(ρ・Da)
である。ここで、定数6000は形状係数6と単位換算係数1000との積に由来する。
【0025】
[pH]
pHはJIS K6221の6.4.2に準拠する。
【0026】
[DBP吸油量]
DBP吸油量はJIS K6217に準拠する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷インキ用カーボンブラックは、上記の通り、
体面積粒子径Da:23〜60(nm)
表面ラフネスRf:1.3〜5.0
pH :3.5以上
DBP吸油量 :110以下(cm3/100g)
である。
【0028】
この体面積粒子径Daは、カーボンブラックの1次粒子についての径であり、前記の通り、小さくなるほどカーボンブラックの黒色度を高くするが、流動性を悪化させる。本発明では、黒色度及び流動性のバランスをとるために、23≦Da≦60(nm)好ましくは25≦Da≦50(nm)とする。Daが23nmよりも小さいと、流動性が過度に低下し、一方、Daが60nmよりも大きいと、黒色度が不足する。
【0029】
本発明のカーボンブラックの表面ラフネスRfは1.3〜5.0好ましくは1.3〜3.5である。Rfが1.3よりも小さいとカーボンブラックの黒色度と流動性のバランスが悪化し、5.0よりも大きいと流動性が不足する。
【0030】
本発明のカーボンブラックは、pHが3.5以上、好ましくは3.5〜7である。一般に、カーボンブラックの表面に酸性官能基が多いとpHは小さくなる。表面酸化処理したカーボンブラックのpHは3.5よりも小さい。インキ中に表面酸化処理したカーボンブラックを添加した場合、インキ中のワニスの酸化重合を促進するために添加されるドライヤーがカーボンブラックの表面に吸着しその効力を落とす。
【0031】
これに対し、本発明のカーボンブラックは、表面酸化処理されておらず、表面の酸性官能基が少なく、インキの乾燥性が良好である。なお、pHが7よりも高いと、ワニスとの親和性が悪化し、流動性が低下する。
【0032】
本発明のカーボンブラックは、DBP吸油量が110(cm3/100g)以下好ましくは30〜100(cm3/100g)である。DBP吸油量が110(cm3/100g)よりも大きいと、黒色度及び流動性がいずれも悪くなる。一方、DBP吸油量が30(cm3/100g)よりも小さいと、分散が困難となり十分な黒色度を発揮させることができなくなる。
【0033】
次に、本発明に係るカーボンブラックの製造方法について説明する。本発明に係るカーボンブラックの製造方法においては、一般的なファーネスタイプの炉で作ることができる。ファーネス炉は、燃料を酸素含有ガスで燃焼し高温ガスを発生する部分、引き続いて高温ガス中に原料となる芳香族炭化水素を導入して不完全燃焼によりカーボンブラックを生成する部分、さらにカーボンブラック含有高温ガスを水等で冷却し、反応を停止する反応停止部分からなる。
【0034】
原料油としては、例えば、C/Hが10〜16、BMCI値が110〜170のクレオソート油、FCC油、エチレンボトム油などが使用される。また、原料油には、通常、原料油当たり10〜1000ppmの炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物が添加される。燃料としては重油や天然ガスが使用される。
【0035】
原料油アトマイズ空気の量および燃料アトマイズ空気(又は水蒸気)の量は通常30〜250Nm3/H、原料油の量は通常800〜1300Kg/H、燃焼用空気の量は通常3500〜5500Nm3/H、燃焼用空気の量に対する液体または気体燃料の量の比率は通常10〜20の範囲からそれぞれ選択される。また、原料油の噴霧圧力は通常1.96×105〜9.8×105PaGの範囲から選択される。
【0036】
本発明では、このようにして生成させたカーボンブラックを好ましくは500℃以上例えば500〜1200℃の温度範囲にて窒素ガス雰囲気、あるいは、窒素と酸素及び/又は水蒸気の混合雰囲気にて加熱処理(賦活処理)する。水蒸気を混合する場合、雰囲気の30〜80体積%とすることが好ましい。酸素を混合する場合は雰囲気の25体積%以下とすることが好ましい。この賦活処理は、ロータリー、キルン等を用い、カーボンブラックを撹拌させながら行うのが好ましい。
【0037】
次に、本発明に係るインキ組成物について説明する。インキ組成物は、カーボンブラック、ワニス及び助剤を含む。ワニスは、天然樹脂、合成樹脂、乾性油または石油系溶剤である。助剤は、乾燥制御剤、粘度制御剤、色調整剤、の他、湿潤剤、防かび剤などが必要に応じて配合される。
【0038】
天然樹脂としては、ロジン、セラック、ギルソナイト等が、また、合成樹脂としては、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性ポリアミド樹脂などが挙げられる。乾性油としては、アマニ油、その低重合体などが挙げられる。石油系溶剤としては、スピンドル油、マシン油、モビル油などが挙げられる。
【0039】
インキ中のカーボンブラックの量は、用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは10〜20重量%の範囲である。特に、斯かる範囲であれば、降伏価を持たず、漆黒性、光沢性、乾燥性に優れたインキが得られる。
【0040】
流動性の指標値であるゾル−ゲル転移点Wgel[重量%]はレオロジー手法により求められるパーコレーションの臨界重量分率である。パーコレーション理論によると分散系において分散質が弱い凝集をする場合、分散質は固まり、クラスターを形成する。このとき、クラスターの最大の大きさは分散質の量比が多くなるに従い大きくなる。分散質の量比がゾル−ゲル転移点に達すると、分散質のクラスターは系の端から端までを繋ぐ程の大きさになる、つまりパーコレートする。更に、分散質の量比がゾル−ゲル転移点よりも多くなると分散質のネットワーク構造が形成されていく。ゾル−ゲル転移点よりも分散質の量比が小さい場合をゾル、大きい場合をゲルと呼ぶ。
【0041】
ゾル−ゲル転移点において動的弾性率を測定すると、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”は共に角周波数ωのべき乗に比例する。よって、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”の比で定義される損失正接tanδ(=G”/G’)は広い範囲の角周波数ωにおいて一定値nとなる。ゾル−ゲル転移点よりも分散質の量比が少ない場合はtanδ≧nであり、tanδは角周波数ωに依存する。ゾル−ゲル転移点よりも分散質の量比が多い場合はtanδ≦nであり、やはりtanδは角周波数ωに依存する。つまりレオロジー的に損失正接tanδが角周波数ωに依存しない分散質の濃度を求めることによりゾル−ゲル転移点を求めることが出来る。そして、本発明者らの検討の結果、次の様な知見が得られた。
【0042】
(i)インキのワニス(ビヒクルとも言う)に分散したカーボンブラックにおいても、上記のパーコレーションが生じ、パーコレーションの臨界重量分率であるゾル−ゲル転移点がレオロジーにより測定できる。そして、ゾル−ゲル転移点はカーボンブラック種により異なる。
【0043】
(ii)インキ中のカーボンブラックの量比がゾル−ゲル転移点よりも大きい場合、カーボンブラックのネットワーク構造が切断されない限り流動しないためインキは降伏価を持つが、インキ中のカーボンブラックの量比がゾル−ゲル転移点と等しいか或いはゾル−ゲル転移点よりも少ない場合は、カーボンブラックがネットワーク構造を有しないためインキは降伏価を持たず、インキとして良好である。
【0044】
インキは印刷に使用する際にタックを合わせる。この際、ワニス又はカーボンブラックを添加するためカーボンブラック種によりタック調製後のインキ中のカーボンブラックの重量分率は異なる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において使用したカーボンブラックの試験方法およびインキの調製方法ならびにその試験方法は次の通りである。
【0046】
<試験方法>
(1)ゾル−ゲル転移点Wgel[重量%]:「MS−800」ワニス(昭和ワニス製)100重量部、「F−104」ワニス(昭和ワニス製)5.3重量部、ソルベント(日本石油製「AF−5」)15重量部の混合物を測定用分散媒とした。後述する分量のカーボンブラックをこの分散媒にプレミックスした後、3本ロールミル分散機を使用して5パスさせ測定試料とした。それぞれのカーボンブラックの重量分率がW(=5、10、15、20、25、30重量%)の測定試料について以下の測定を行った。
【0047】
歪み制御型レオメータ(レオメトリクス・サイエンティフィックFE製「ARES」)とコーン−プレート(直径50mm、コーン角0.04rad)を使用する。せん断速度20s-1にて時間に対して粘度が変化しなくなる状態までせん断を加えた後、1rad/s、10rad/sの角周波数で損失正接tanδを測定する。
【0048】
横軸にカーボンブラックの重量分率W[重量%]を、縦軸に損失正接tanδをプロットする。二つの角周波数で測定したtanδの値の差が0.2以下で一致する場合には、そのWの値をゾル−ゲル転移点Wgel[重量%]とした。二つの角周波数で測定したtanδの値の差が0.2以下で一致しない場合には、以下の様にゾル−ゲル転移点Wgel[重量%]を内挿により決定する。即ち、W=5、10、15、20、25、30重量%のtanδに対し、同じ角周波数のtanδの点を直線で結び、2本の直線の交点のWの値をゾル−ゲル転移点Wgel[重量%]とする。
【0049】
<インキ適性>
(1)インキの調製:オフセット輪転インキ材料を使用してインキを調製した。「MS−800」ワニス(昭和ワニス製)100重量部、「F−104」ワニス(昭和ワニス製)5.3重量部、ソルベント(日本石油製「AF−5」)15重量部、カーボンブラック30重量部をプレミックスさせた後、3本ロールミル分散機を使用して5パスさせ分散インキを調製した。
【0050】
(2)タックの調整:インコメーターを使用しJISK5701により上記の分散インキのタック値を調整した。目標タック値は1200rpmにて1分後の読みを10±0.5とした。調整時の温度は30℃とした。
【0051】
(3)光学適性(漆黒性):東洋精機製MS展色機を使用し測定用展色紙を得た。インキピペットでタック調整インキ0.6ccを採取し、東洋精機製MS展色機の全面ロールに供給した。これを均一に広げた後、中質コート紙(王子製紙製、商品名「中質OKコート63kg」)に展色した。JIS Z8722の6.4.2に準拠(0°,−d法)し、日本電色(株)製ND−300A型測色色差計を用いてL*を求める。
L*=116・(Y/100)1/3−16
【0052】
比較例として、市販品及び市販品製造用の中間製品(比較例2)に係るカーボンブラックについての特性値測定結果を表1に示す。
【0053】
比較例1は、三菱化学株式会社製MA7である。これはカーボンブラックを酸化処理している。
【0054】
比較例2は、比較例1の中間製品であり、酸化処理前のものである。
【0055】
比較例4は、三菱化学株式会社製#85、比較例5は同#260である。これらは、いずれも酸化処理されていない。
【0056】
比較例5は、コロンビアン(Condutex−SC)である。
【0057】
比較例3は、比較例2と同じカーボンブラック中間製品を、窒素96体積%、酸素4体積%の混合雰囲気下で500℃×6.5hr賦活処理したものである。この賦活処理には、内径約60mm、長さ約250mmの金属製ロータリーキルンを用いた。回転数は2rpmとし、外部から電気ヒータで加熱した。ガス供給速度は1.6L/minとした。
【0058】
実施例1は、この比較例3の賦活時間を3.5hrと短くしたものである。
【0059】
実施例2は、雰囲気を窒素50体積%、水蒸気50体積%の混合雰囲気とし、この供給速度を3L/minとし、加熱温度及び時間を1000℃×0.5hrとしたこと以外は同様にして賦活処理したものである。
【0060】
実施例2は、上記比較例4の三菱化学株式会社製#85を実施例1と同一条件(N2+O2,500℃×3.5hr)にて処理したものである。
【0061】
比較例7として、特公平7−68463の実施例1のカーボンブラックについて行った同様の特性測定及び適性評価結果を表1に併記する。
【0062】
【表1】
表1より、実施例1〜3はいずれも黒色度が高く、流動性にも優れることが認められる。
【0063】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、黒色度及び流動性のバランスがとれた良好な特性を有するカーボンブラックと、このカーボンブラックを用いたインキ組成物、塗料組成物及び樹脂組成物とが提供される。
Claims (5)
- 表面酸化処理を施していないカーボンブラックであって、次の特性を有することを特徴とするカーボンブラック。
体面積粒子径Da:29〜47(nm)
表面ラフネスRf:1.3〜5.0
pH :3.5以上
DBP吸油量 :110以下(cm3/100g) - 請求項1において、
体面積粒子径Da:29〜47(nm)
表面ラフネスRf:1.3〜3.5
pH :3.5〜7
DBP吸油量 :30〜100(cm3/100g)
であることを特徴とするカーボンブラック。 - 請求項1又は2に記載のカーボンブラックを含有することを特徴とするインキ組成物。
- 請求項1又は2に記載のカーボンブラックを含有することを特徴とする塗料組成物。
- 請求項1又は2に記載のカーボンブラックを含有することを特徴とする樹脂組成物。
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