JP2011068818A - インクジェット用インク及びインクセット - Google Patents

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Abstract

【課題】ブリードを低減した画像を提供し、高い分散性及び保存安定性を有するインクジェット用インクの提供。
【解決手段】自己分散カーボンブラックと、水溶性樹脂とを含むインクジェット用インクであって、前記自己分散カーボンブラックの表面電荷は−40mV以上−20mV以下であり、前記自己分散カーボンブラックに吸着している前記水溶性樹脂が0.01質量%以上0.20質量%以下であり、前記自己分散カーボンブラックに吸着していない前記水溶性樹脂が0質量%以上0.3質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット用インク及び該インクを用いたインクセットに関する。
近年、インクジェット用インク(以下、単にインクともいう)に用いる色材として、顔料を用いることについての検討が進められている。しかし、顔料は水に不溶であり、水性インクの色材として用いるためには、顔料が水中で安定して均一な分散状態で存在していなければならない。顔料を水中で安定化させる技術として、分散剤(水溶性樹脂)を用いる技術が挙げられる。また、顔料表面を処理して顔料自体の分散性を向上させて、顔料を分散剤を用いずに分散可能とする自己分散化の技術が挙げられる。自己分散化によって得られる顔料を、以下、自己分散型顔料ともいい、自己分散化によって得られるカーボンブラックを、以下、自己分散カーボンブラックともいう。
特許文献1には、自己分散カーボンブラックと、分散剤とを含むインクジェット用インクに関する技術が提案されている。
特開2003−171590号公報
しかしながら、特許文献1の技術について本発明者等が検討を行ったところ、色調の異なるインクと共にカラー画像を形成した際に、特許文献1に記載のインクと、色調の異なるインクとの境界部分で色のにじみ(以下、ブリードともいう)が生じてしまい、本発明者等が満足するレベルの画像は得られなかった。
本発明は上述した従来技術の課題を鑑み、ブリードを低減した画像を提供し、高い分散性及び保存安定性を有するインクジェット用インク、及び該インクジェット用インクを有するインクセットを提供することを目的とする。
上記課題は、以下の発明によって達成される。即ち、本発明は、自己分散カーボンブラックと、水溶性樹脂とを含むインクジェット用インクであって、前記自己分散カーボンブラックの表面電荷は−40mV以上−20mV以下であり、前記自己分散カーボンブラックに吸着している前記水溶性樹脂が0.01質量%以上0.20質量%以下であり、前記自己分散カーボンブラックに吸着していない前記水溶性樹脂が0質量%以上0.3質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インクである。
本発明によれば、高い分散性と保存安定性とを有し、色調の異なるインクと共に用いてカラー画像を形成した際にも、ブリードを低減した画像を提供することができるインクジェット用インク、及び該インクジェット用インクを有するインクセットを提供することができる。
本発明者等は検討の結果、インク中の水溶性樹脂の存在状態や、インク中の水溶性樹脂の量が、ブリードと密接に関っていることを見いだした。具体的には、インク中で自己分散顔料に吸着している水溶性樹脂の量をわずかなものとし、インク中で自己分散カーボンブラックに吸着せず遊離している水溶性樹脂を存在させないか、わずかな量とすることで、特異的にブリードが低減できることを見いだした。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
<自己分散カーボンブラック>
本発明の自己分散カーボンブラックを製造するためのカーボンブラックとしては、特に限定されず、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等の公知のカーボンブラックをいずれも用いることができる。
本発明の自己分散カーボンブラックは、酸性の官能基が表面に直接結合しているカーボンブラックであることが好ましい。酸性の官能基をカーボンブラックの表面に直接結合する方法としては、カーボンブラックを酸化処理する方法が挙げられる。カーボンブラックの酸化処理方法としては特に限定されず、液相酸化処理、オゾン処理、プラズマ処理等の公知の処理方法を用いることができる。上記処理方法を用いて得られる自己分散カーボンブラックの表面にはカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基のいずれかが直接結合している。酸性の官能基を表面に有するカーボンブラックは、処理を行わないカーボンブラックに比べ水中で高い分散性を有する。
また、本発明の自己分散カーボンブラックは、特開2002−144554号公報に記載のように、酸性の官能基とカーボンブラックの表面との間に他の原子団を介在させ、酸性の官能基をカーボンブラック表面に間接的に結合させたものでもよい。他の原子団としては、具体的には、炭素数1〜12の直鎖もしくは分鎖状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。
尚、本発明において、カーボンブラックが自己分散カーボンブラックであるか否かは、以下の方法で判定することができる。測定対象のカーボンブラックを、水中に分散し、分散液のpHを9に調整して、測定対象のカーボンブラック10質量%の分散液を作製する。作製した分散液を室温25℃、湿度50%の条件下で1日放置する。放置後の分散液に沈殿物が確認されたか否かを目視で評価する。沈殿物が確認されなかった場合、測定対象のカーボンブラックは自己分散性カーボンブラックであると判定することができる。
また、本発明の自己分散カーボンブラックの表面電荷は−40mV以上−20mV以下である。表面電荷が−40mV未満であると水溶性樹脂が吸着にくくなり、求める印字品位も得られない。また、−20mVよりも大きいとインク中で十分な分散安定性が得られない。カーボンブラックの表面電荷を−20mV以下とすることで、カーボンブラックを水中で分散剤を用いずに分散可能とすることができる。尚、自己分散カーボンブラックの表面電荷は−35mV以上−25mV以下であることが好ましい。自己分散カーボンブラックの表面電位は、自己分散カーボンブラックの表面に電荷を有する官能基がどの程度存在しているのかを表すパラメータである。また、表面電荷が低いほど自己分散カーボンブラックの表面に多くの電離した酸性の官能基が存在していることを表している。尚、次亜塩素酸ナトリウムを用いてカーボンブラックを酸化処理して得られる自己分散カーボンブラックの表面電荷の多くは、顔料表面に存在する電離したカルボン酸に由来する。
本発明において、自己分散カーボンブラックの表面電荷は、以下のようにして測定することができる。具体的には、測定対象のカーボンブラックの濃度が10質量%となるような分散体を作製する。その後、この分散体を10000倍に希釈し、pH9に調製したものの電荷をPALS(Phase Analysis Light Scattering)法を用いて測定する。測定の結果得られた値が、本発明における自己分散カーボンブラックの表面電荷である。本発明においては、PALS法による電荷測定が可能な電荷測定装置として、Brookhaven Instruments Limited社製のZeta−PALSを用いた。
本発明におけるインクジェット用インク中の自己分散カーボンブラックの含有量は、インク全質量に対し2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
<水溶性樹脂>
本発明のインクジェット用インクは、水溶性樹脂を含む。本発明における水溶性樹脂とは、水中に溶解可能な樹脂を指す。本発明の水溶性樹脂は、疎水性モノマーとアニオン性モノマーからなる両親媒性ポリマーであることが好ましい。上記両親媒性ポリマーを合成する際に用いるアニオン性モノマーとしては、特に限定されず、アクリル酸等の公知のアニオン性モノマーを用いることができる。また、両親媒性ポリマーを合成する際に用いる疎水性モノマーとしては、特に限定されず、スチレン等の公知の疎水性モノマーを用いることができる。
また、アニオン性モノマーとして酸モノマーのみを用いる場合、水溶性樹脂の酸価は50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましい。また、水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は1000以上20000以下であることが好ましく、3000以上20000以下であることがより好ましい。尚、共重合体の多分散度Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は、3以下であることが好ましい。
[自己分散カーボンブラックに吸着して存在している水溶性樹脂]
本発明における、インク中で自己分散カーボンブラックに吸着して存在している水溶性樹脂の量(水溶性樹脂の自己分散カーボンブラックへの吸着量)は、インク全質量に対し0.01質量%以上0.20質量%以下である。また、上記吸着量は0.01質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。吸着量が0.01質量%未満である場合には、ブリードを十分に低減できない。また、0.20質量%より多い場合にも、ブリードを十分に低減できない。特に、吸着量が0.20質量%よりも多い範囲では、吸着量が多くなるにつれてブリード低減能が急激に低下してしまう。
分散体またはインク中で自己分散カーボンブラックに吸着して存在している水溶性樹脂の量は、以下のようにして求めることができる。測定対象となる分散体またはインクをそれぞれ30000回転で15時間遠心分離して、自己分散カーボンブラックと、自己分散カーボンブラックに吸着して存在している水溶性樹脂を含む沈殿物を回収する。回収した沈殿物を脱水乾燥した後、沈殿物を窒素ガス雰囲気下、100℃から900℃まで昇温して熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)を行う。そして100度における沈殿物の重量から、250℃における沈殿物の重量を差し引くことで重量減少量aを得る。この得られる重量減少量aが、自己分散カーボンブラックに吸着している水溶性樹脂の量である。
[自己分散カーボンブラックに吸着せずに存在している水溶性樹脂]
インクジェット用インク中で自己分散カーボンブラックに吸着しておらず、遊離して存在している水溶性樹脂の量は、インク全質量に対し0質量%以上0.3質量%以下である。吸着していない水溶性樹脂の量が0.3質量%より多いと、ブリードを十分に低減できない。本発明における水溶性樹脂の吸着量及び吸着していない樹脂の量は、以下に示す方法で求めることができる。
分散体中またはインク中で自己分散カーボンブラックに吸着せずに存在している水溶性樹脂の量は、以下のようにして求めることができる。測定対象となる分散体またはインクに塩酸を加えpHを2に調整し、5000回転で30分間遠心分離して、沈殿物を回収する。遠心分離後に回収した沈殿物は、自己分散カーボンブラック、自己分散カーボンブラックに吸着して存在している水溶性樹脂、及び自己分散カーボンブラックに吸着せずに存在している水溶性樹脂を含む。回収した沈殿物を脱水乾燥した後、沈殿物を100℃から900℃まで昇温して熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)を行う。そして100度における沈殿物の重量から、250℃における沈殿物の重量を差し引くことで重量減少量bを得る。この重量減少量bから、上記操作によって得られる重量減少量aを差し引いて得られる量が、自己分散カーボンブラックに吸着していない水溶性樹脂の量である。
<水性媒体>
本発明のインクに用いることのできる水性媒体としては、特に限定されず、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を用いることができる。水溶性有機溶剤としては、公知の水溶性有機溶剤を用いることができる。本発明のインク全質量に対する水溶性有機溶剤の量は3質量%以上50質量%以下であることが好ましい。インク全質量に対する水の量は50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明のインクには、所望の物性値を有するインクとするために、上記した成分の他に必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤等を添加してもよい。
<インクセット>
本発明のインクセットは、上述した自己分散カーボンブラックを含むインクの他に、他の公知のインクを有する。
他のインクとしては、特に限定されないが、シアン、マゼンタ及びイエロー等の、本発明のインクとは異なる色調を有するインク、つまりカラーインクであることが好ましい。カラーインク中の色材としては、特に限定されず、公知の染料及び顔料を用いることができる。カラーインクに用いる色材が染料である場合、カラーインク中の染料の含有量は、カラーインク全質量に対し3質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、カラーインクに用いる色材が顔料である場合、カラーインク中の顔料の含有量は、カラーインク全質量に対し2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
またカラーインクは、水及び水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、公知の水溶性有機溶剤を用いることができる。本発明のインク全質量に対する水溶性有機溶剤の量は3質量%以上50質量%以下であることが好ましい。インク全質量に対する水の量は50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクセットを用いたインクジェット記録方法は、本発明のインクと、上記した他のインクとが互いに接触するように、インクと液体組成物とを記録媒体に付与する方法である。尚、インク、他のインクのそれぞれを記録媒体に付与する順序としては特に限定されない。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
[分散体の製造]
(分散体Aの製造)
市販のカーボンブラック#990(三菱化学社製)100gを水300mLによく混合し、微分散した後、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)50gを滴下して、120℃で10時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、水洗することで自己分散カーボンブラック1を得た。得られた自己分散カーボンブラック1のウェットケークを水1Lに再分散し、逆浸透膜で脱塩した。さらに、自己分散カーボンブラック1の濃度が10質量%となるように分散液を濃縮し、自己分散カーボンブラック1を含む分散体Aを得た。得られた自己分散カーボンブラック1の表面電荷は−28mVであった。
(分散体Bの製造)
市販のカーボンブラック#990(三菱化学社製)100gを水300mLによく混合し、微分散した後、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)100gを滴下して、120℃で15時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、水洗することで自己分散カーボンブラック2を得た。得られた自己分散カーボンブラック2のウェットケークを水1Lに再分散し、逆浸透膜で脱塩した。さらに、自己分散カーボンブラック2の濃度が10質量%となるように分散液を濃縮し、自己分散カーボンブラック2を含む分散体Bを得た。得られた自己分散カーボンブラック2の表面電荷は−39.8mVであった。
(分散体Cの製造)
市販のカーボンブラック#990(三菱化学社製)100gを水300mLによく混合し、微分散した後、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)125gを滴下して、120℃で10時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、水洗することで自己分散カーボンブラック3を得た。得られた自己分散カーボンブラック3のウェットケークを水1Lに再分散し、逆浸透膜で脱塩した。さらに、自己分散カーボンブラック3の濃度が10質量%となるように分散液を濃縮し、自己分散カーボンブラック3を含む分散体Cを得た。得られた自己分散カーボンブラック3の表面電荷は−43.4mVであった。
(分散体Dの製造)
市販のカーボンブラック#990(三菱化学社製)100gを水300mLによく混合し、微分散した後、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)150gを滴下して、120℃で20時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、水洗することで自己分散カーボンブラック4を得た。得られた自己分散カーボンブラック4のウェットケークを水1Lに再分散し、逆浸透膜で脱塩した。さらに、自己分散カーボンブラック4の濃度が10質量%となるように分散液を濃縮し、自己分散カーボンブラック4を含む分散体Dを得た。得られた自己分散カーボンブラック4の表面電荷は−61.6mVであった。
(分散体Eの製造)
市販のカーボンブラック#990(三菱化学社製)100gを水300mLによく混合し、微分散した後、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)50gを滴下して、120℃で6時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、水洗することで自己分散カーボンブラック5を得た。得られた自己分散カーボンブラック5のウェットケークを水1Lに再分散し、逆浸透膜で脱塩した。さらに、自己分散カーボンブラック5の濃度が10質量%となるように分散液を濃縮し、自己分散カーボンブラック5を含む分散体Eを得た。得られた自己分散カーボンブラック5の表面電荷は−22.0mVであった。
[分散体の評価]
(表面電荷)
上記操作により得られた分散体A〜Eについて、以下の方法を用いて、表面電荷の測定を行った。得られた分散体A〜Eをそれぞれ10000倍に希釈した後、Brookhaven Instruments Limited社製のZeta−PALSを用いて電荷の測定を行った。本発明においては、上記操作によって得られた値をカーボンブラックの表面電荷とした。結果を表1に示す。
[インクの調製]
(インクA1)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA1を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(OH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.05部
・イオン交換水 44.95部
(インクA2)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA2を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(OH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.5部
・イオン交換水 44.5部
(インクA3)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA3を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 2.5部
・イオン交換水 42.5部
(インクA4)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA4を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価94mgKOH/g、Mw11400)の20質量%水溶液 0.05部
・イオン交換水 44.95部
(インクA5)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA5を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・ブチルアクリレート/スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価56mgKOH/g、Mw7600)の20質量%水溶液 0.05部
・イオン交換水 44.95部
(インクB1)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクB1を得た。
・分散体B 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.05部
・イオン交換水 44.95部
(インクB2)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクB2を得た。
・分散体B 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.5部
・イオン交換水 44.5部
(インクB3)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクB3を得た。
・分散体B 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 2.5部
・イオン交換水 42.5部
(インクB4)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクB4を得た。
・分散体B 40部
・グリセリン 15部
・ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価117mgKOH/g、Mw12000)の20質量%水溶液 2.5部
・イオン交換水 42.5部
(インクC1)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクC1を得た。
・分散体C 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.05部
・イオン交換水 44.95部
(インクC2)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクC2を得た。
・分散体C 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.5部
・イオン交換水 44.5部
(インクD1)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクD1を得た。
・分散体D 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 0.05部
・イオン交換水 44.95部
(インクE1)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクE1を得た。
・分散体E 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 2.5部
・イオン交換水 42.5部
(インクX1)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクX1を得た。尚、「#990」とは、カーボンブラック(三菱化学社製)である。
・#990 4部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 5部
・イオン交換水 76部
尚、#990の表面電荷を測定しようとしたところ、水中に分散することができなかったため、表面電荷を測定することはできなかった。
(インクA6)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA7を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 3部
・イオン交換水 42部
(インクA7)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA7を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・スチレン/アクリル酸共重合体(KOH中和物、酸価120mgKOH/g、Mw7500)の20質量%水溶液 20部
・イオン交換水 25部
(インクA8)
下記に記載した成分を混合し、十分に攪拌することで、インクA8を得た。
・分散体A 40部
・グリセリン 15部
・イオン交換水 45部
得られた各インクの組成を、表1に示す。
[インクの評価]
上記操作によって得られた各インクについて、自己分散カーボンブラックに吸着している水溶性樹脂の量及び自己分散カーボンブラックに吸着していない水溶性樹脂の量を以下の方法を用いて測定した。
(自己分散カーボンブラックに吸着している水溶性樹脂の量)
得られたインクをそれぞれ30000回転で15時間遠心分離して、沈殿物を回収した。回収した沈殿物を脱水乾燥した後、沈殿物を100℃から600℃まで昇温して熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)を行った。また、昇温中、250℃及び500℃における沈殿物の重量を測定した。その後250度における沈殿物の重量から、500℃における沈殿物の重量を差し引くことで重量減少量aを得た。得られた重量減少量aが、自己分散カーボンブラックに吸着している水溶性樹脂の量であるとした。
(自己分散カーボンブラックに吸着していない水溶性樹脂の量)
得られたインクにそれぞれに塩酸を加えpHを2に調整し、5000回転で30分間遠心分離して、沈殿物を回収した。回収した沈殿物を脱水乾燥した後、沈殿物を100℃から600℃まで昇温して熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)を行った。また、昇温中、250℃及び500℃における沈殿物の重量を測定した。その後250度における沈殿物の重量から、500℃における沈殿物の重量を差し引くことで重量減少量bを得た。上記操作によって得られた重量減少量aから、重量減少量bを差し引いて得られた量を、自己分散カーボンブラックに吸着していない水溶性樹脂の量であるとした。
(分散性)
得られた各インク中のカーボンブラックの平均粒径を、動的光散乱法(大塚電子(株)製、ELS−8000)を用いて測定した。その後各インクを純水で10倍に希釈した後、分画分子量50000の限外ろ過フィルターを用いて元の濃度になるまで濃縮した。得られた濃縮液を遠心分離装置にて12000回転、2時間の条件で遠心分離し、沈降物を取り出して純水に再分散した。この再分散液の平均粒径を、上記と同様の条件で測定した。再分散液の平均粒径をあらかじめ測定したのインクの平均粒径で割ることで、各インク中のカーボンブラックの粒径の変化率を算出した。尚、本発明における分散性の評価では、得られた変化率が少ないインクを、分散性に優れたインクであるとした。結果を表1に示す。尚、粒径の変化率が1.2以下であれば十分な性能を有するとした。
(保存安定性)
得られた各インクの粘度を測定した。各インクを1.2mL分取し、サンプルカップに入れた。その後、コーンローターを50rpmで回転させた時の粘度を、RE80L(東機産業株式会社)を用いて測定した。その後、各インクをそれぞれショット瓶に入れて密栓し、ショット瓶を60℃のオーブンに入れ、4週間保存した。4週間保存後、ショット瓶をオーブンから取り出し、各インクの粘度を上記と同様の方法を用いて測定した。各インクの保存後の粘度から各インクの保存前の粘度を割ることで、各インクの粘度の変化率を算出した。尚、本発明における保存安定性の評価では、得られた粘度の変化率が少ないインクを、分散安定性に優れたインクであるとした。結果を表1に示す。尚、粘度の変化率が1.1以下であれば十分な性能を有するとした。
(ブリード)
得られた各インクとシアン、マゼンタ、イエローインクをインクジェット記録装置に搭載し、印字を行った。シアンインクにはBCI−7C(キヤノン製)、マゼンタインクにはBCI−7M(キヤノン製)、イエローインクにはBCI−7Y(キヤノン製)を用いた。また、インクジェット記録装置にはip3100(キヤノン製)を用い、記録媒体としてキヤノン製オフィスプランナーを用いた。上記した記録装置にブラックインク及びカラーインクを搭載し、ブラックインクによるベタ部とカラーインクによるベタ部が隣接する画像を形成した。その際、ブラックインクとカラーインクは同一のスキャンで付与した。得られた画像のブラックインクによるベタ部と、カラーインクによるベタ部の境界付近をカメラで撮影したデジタル画像を2値化し、基準線からの滲みの次第長さを測定した。本発明においては、滲みの最大長さ(最大滲み長さ)が短いインクを、ブリード低減能に優れたインクであるとした。結果を表1に示す。尚、最大滲み長さが11μm以下であれば十分な性能を有するとした。また、表1中の吸着樹脂とは、インク中でカーボンブラックに吸着している樹脂であり、遊離樹脂とは、インク中でカーボンブラックに吸着していない樹脂である。
Figure 2011068818

Claims (5)

  1. 自己分散カーボンブラックと、水溶性樹脂とを含むインクジェット用インクであって、前記自己分散カーボンブラックの表面電荷は−40mV以上−20mV以下であり、前記自己分散カーボンブラックに吸着している前記水溶性樹脂が0.01質量%以上0.20質量%以下であり、前記自己分散カーボンブラックに吸着していない前記水溶性樹脂が0質量%以上0.3質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記自己分散カーボンブラックに吸着している前記水溶性樹脂が0.01質量%以上0.1質量%以下である請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記自己分散カーボンブラックの表面電荷が−35mV以上−25mV以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット用インクと、前記インクジェット用インクとは色調の異なるインクジェット用インクの少なくとも1つと、を有することを特徴とするインクセット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013184998A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Seiko Epson Corp インクジェット記録用水系インク
JP2018002764A (ja) * 2016-06-27 2018-01-11 Dic株式会社 顔料組成物及び易分散顔料

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