JP2004256726A - 白色顔料インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット用白色インクとしては、耐候性のよい二酸化チタン顔料を用いることが好ましいが、比重の大きな二酸化チタン顔料ではすぐに沈降してしまい、貯蔵性に大きな問題があった。本発明の目的は、二酸化チタン顔料を用いた貯蔵安定性のよいインクジェット用白色インクを提供すること。
【解決手段】(A)二酸化チタン顔料100重量部に対して(B)微粒子硫酸バリウム10〜100重量部及び(C)水性有機樹脂1〜50重量部(固形分)を含有してなることを特徴とするインクジェット用白色インク組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)二酸化チタン顔料100重量部に対して(B)微粒子硫酸バリウム10〜100重量部及び(C)水性有機樹脂1〜50重量部(固形分)を含有してなることを特徴とするインクジェット用白色インク組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散安定性に優れたインクジェット用白色顔料インク組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
従来プリンターなどにおけるインクジェット方式の記録機器には、赤、青、黄の3色又はそれに黒を加えた4色のインクが用いられている。これは、記録用素材として白色の紙を前程としたものであり、記録用素材が濃色であったり、紙以外の素材、例えば缶などの金属や木材などであった場合には、上記の色に加えて白色のインクが有用となってくる。
【0003】
白色インク用の白顔料として二酸化チタン顔料が考えられるが、インクジェット記録方式においては、極めて微細な吐出口から、インクを吐出するためにインクの粘度は数mPa・sと極めて低く、比重の大きな二酸化チタン顔料ではすぐに沈降してしまい、貯蔵性に大きな問題があった。
【0004】
このような問題を解決するためアルキレンビスメラミン誘導体等の有機白色顔料を使用することが提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。しかしながら、有機白色顔料は、二酸化チタン顔料に比べてコストが大幅に上がるだけでなく、耐候性も劣る。
【0005】
そこで二酸化チタン顔料の分散性を高めることが検討され、分散剤として無機リン酸化合物を使用することが提案されている(例えば、特許文献2等参照。)。しかしながら、この方法は、貯蔵安定性に改善効果が見られるものの、実用性の面ではまだ十分とはいえない。
【0006】
本発明の目的は、二酸化チタン顔料を用いた貯蔵安定性のよいインクジェット用白色インクを提供することである。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−3759
【特許文献2】
特開2002−348513
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、微粒子硫酸バリウムを分散したものを二酸化チタン顔料の水分散液に添加することにより、顔料の沈降が著しく抑制されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明は、(A)二酸化チタン顔料100重量部に対して(B)微粒子硫酸バリウム10〜100重量部及び(C)水性有機樹脂1〜50重量部(固形分)を含有してなることを特徴とするインクジェット用白色インク組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット用白色インク組成物は、二酸化チタン顔料(A)、微粒子硫酸バリウム(B)及び水性有機樹脂(C)を含有してなるものである。
二酸化チタン顔料(A)と微粒子硫酸バリウム(B)は、同時に分散してもよいが、別々に分散したものを混合しても同じ効果が得られる。このことより微粒子硫酸バリウムの効果は、チタン顔料をより細かい粒子にまで分散する効果(顔料分散性)にあるのではなく、微粒子硫酸バリウムのミクロブラウン運動によるチタン顔料の沈降防止効果にあるものと推測される。
【0011】
以下、各原料についてさらに詳細に説明する。
【0012】
二酸化チタン顔料(A)
本発明の白色インク組成物の(A)成分である二酸化チタン顔料は、インク膜に白い色をつける働きと、素地を隠蔽する働きを合わせ持つものである。
【0013】
二酸化チタン顔料は、従来より塗料等に用いられているものを使用することができ、塩素法、硫酸法等特に製造方法に制限はなく、また、結晶構造はルチル型であってもアナターゼ型であってもよいが、耐候性の点からはルチル型であることが好ましい。さらに二酸化チタン顔料は、アルミニウム、珪素、チタニウム、ジルコニウム等の金属の化合物や、リン酸化合物などで表面処理されたものであってもよい。
【0014】
二酸化チタン顔料の平均粒子径は、一次粒子で0.15〜0.35μm、特に0.20〜0.30μm程度が隠蔽性と沈降性のバランスの点から好ましい。
【0015】
また、二酸化チタン顔料(A)の含有量は、インク組成物中5〜50重量%、特に10〜40重量%の範囲内が、隠蔽性と沈降性のバランスの点から好ましい。
【0016】
微粒子硫酸バリウム(B)
本発明の白色インク組成物の(B)成分である微粒子硫酸バリウムは、上記二酸化チタン顔料の沈降を防止する働きを持つものであり、BaSO4で示される化合物を主成分とする透明性微粒子であって、平均粒子径は、一次粒子で0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.07μm程度が好ましい。これらの市販品として、バリファインBF−20、同BF−40(いずれも堺化学工業社製、商品名)等がある。
【0017】
微粒子硫酸バリウム(B)の配合比率は、上記二酸化チタン顔料(A)100重量部に対して10〜100重量部、特に15〜80重量部、さらに特に20〜50重量部の範囲内が適している。配合量が10重量部未満ではチタン顔料の沈降防止効果が十分とはいえず、また100重量部を超えるとインク膜の隠蔽性が低下する。
【0018】
水性有機樹脂(C)
本発明の白色インク組成物の(C)成分である水性有機樹脂は、水溶性又は水分散性の有機樹脂を意味し、二酸化チタン顔料(A)及び微粒子硫酸バリウム(B)の顔料分散性を高めるとともに、分散された粒子の凝集を防ぐ働きがあり、樹脂の種類としては例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げることができ、これらの樹脂はアンモニア、アミン類等の中和剤で中和してもよい。該アミン類としては、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等が好適なものとして挙げられる。
【0019】
水性有機樹脂(C)の配合比率は、二酸化チタン顔料(A)100重量部に対して樹脂固形分で1〜50重量部、特に2〜30重量部程度が好ましい。配合量が1重量部未満ではチタン顔料及び/又は微粒子硫酸バリウムの分散性が低下し、50重量部を超えるとインク膜の隠蔽性が低下する。
【0020】
白色インク組成物の製造方法は、二酸化チタン顔料(A)、微粒子硫酸バリウム(B)及び水性有機樹脂(C)を混合し、従来公知の分散機を用いて分散することにより得ることができる。分散には水性有機樹脂(C)以外の従来公知の顔料分散剤を添加してもよい。また、二酸化チタン顔料(A)と微粒子硫酸バリウム(B)を別々に分散してもさしつかえない。その場合の顔料分散剤は同じであってもよいが、別々のものを用いてもかまわない。
【0021】
本発明の白色インク組成物には、二酸化チタン顔料(A)、微粒子硫酸バリウム(B)及び水性有機樹脂(C)を必須成分として含有するものであるが、さらに、有機溶剤、添加剤(界面活性剤、防黴剤、防腐剤、消泡剤、pH調製剤等)、二酸化チタン以外の顔料、染料等を含有することができる。
【0022】
上記有機溶剤は、インク吐出口でのインクの固化を防止したり、インクの乾燥速度の調整、素材へのインクのヌレ性の調整などのために用いられるものであり、用途に応じて種類、量が調整される。
【0023】
好ましい有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができる。
【0024】
本発明の白色インク組成物は、必要に応じて水や有機溶剤で粘度を調整する。インクジェットに使用される場合の粘度は、20mPa・s以下であることが、作業性の面から好適である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0026】
顔料分散体の製造
製造例1
脱イオン水25.8部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.5部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(固形分55%、重量平均分子量約50,000、酸価53mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g)11.3部、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)61.9部、サーフィノール104A(エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤)0.5部を攪拌、混合後に、ビーズミルにて、メディアとしてジルコニアビーズ(1〜1.2mm径)を用いて分散を行って、平均粒径約0.24μmの安定した顔料分散体P1を得た。
【0027】
製造例2
脱イオン水48.0部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.9部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(固形分55%、重量平均分子量約50,000、酸価53mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g)21.1部、BF−20(テイカ社製、商品名、微粒子硫酸バリウム)29.3部、サーフィノール104A(エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤)0.7部を攪拌、混合後に、製造例1と同様の方法で分散を行って、平均粒径約0.12μmの安定した顔料分散体P2を得た。
【0028】
製造例3
脱イオン水40.6部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.7部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(固形分55%、重量平均分子量約50,000、酸価53mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g)15.4部、BF−20(テイカ社製、商品名、微粒子硫酸バリウム)8.5部、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)34.1部、サーフィノール104A(エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤)0.7部を攪拌、混合後に、製造例1と同様の方法で分散を行って、顔料の凝集がない安定した顔料分散体P3を得た。
【0029】
インクジェットプリンター用インクの製造
実施例1〜3及び比較例1〜2
下記表1に示す配合に従って、ポリエチレン製円筒型容器に顔料分散体を規定量配合し、卓上ディスパーにて攪拌しながら、脱イオン水、溶剤、添加剤等を順次添加した後、均一になるまで攪拌を行った。均一になったことを確認した後、ジメチルエタノールアミンを添加してpHを8.1となるように調整し、さらにインクの粘度を14〜18mPa・sの範囲内に調整した後、ポアサイズ5μmのミリポアフィルターで濾過を行って、各インクを得た。
【0030】
【表1】
【0031】
表1における注(*1)の原料は、下記の内容のものである。
(*1)サーフィノール465:エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤。
【0032】
性能試験
インクジェットプリンターBJF660V(キャノン社製、商品名)を使用して上記実施例及び比較例で製造した各インクについて下記試験方法に従って印字テスト及びインクの保存安定性を評価した。得られた結果を後記表2に示す。
【0033】
光線透過率:インク製造後30分以内に、インクジェット用OHPフィルム(富士ゼロックス社製)にベタ印字を行い、印字されたOHPフィルムの光線透過率を色彩濁度計COH−300A(日本電色工業社製、商品名)にて測定した。
光線透過率の低いものほどインクの隠蔽性が優れる。
【0034】
保存安定性:各インクをカートリッジに装填したまま、室温に24時間放置し、再びインクジェット用OHPフィルムにベタ印字して、保存安定性の評価を下記基準で行った。
○:インク吐出部の目詰まりがなく、印字部は均一で光線透過率も初期とほとんど変わらない。
×:インク吐出部で目詰まりが発生するか、印字部にブツやムラが発生するか、又は印字部の光線透過率が初期より10%以上上がる。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
インクジェット用白色インクとしては、耐候性のよい二酸化チタン顔料を用いることが好ましいが、比重の大きな二酸化チタン顔料ではすぐに沈降してしまい、貯蔵性に大きな問題があった。
【0037】
本発明は、二酸化チタン顔料に対して微粒子硫酸バリウム及び水性有機樹脂を配合することで、上記実施例に見られるように、インクの保存安定性に優れ、隠蔽性にも優れた白色インクを開発できたものであり、インクジェット用白色インクとして極めて有用なものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散安定性に優れたインクジェット用白色顔料インク組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
従来プリンターなどにおけるインクジェット方式の記録機器には、赤、青、黄の3色又はそれに黒を加えた4色のインクが用いられている。これは、記録用素材として白色の紙を前程としたものであり、記録用素材が濃色であったり、紙以外の素材、例えば缶などの金属や木材などであった場合には、上記の色に加えて白色のインクが有用となってくる。
【0003】
白色インク用の白顔料として二酸化チタン顔料が考えられるが、インクジェット記録方式においては、極めて微細な吐出口から、インクを吐出するためにインクの粘度は数mPa・sと極めて低く、比重の大きな二酸化チタン顔料ではすぐに沈降してしまい、貯蔵性に大きな問題があった。
【0004】
このような問題を解決するためアルキレンビスメラミン誘導体等の有機白色顔料を使用することが提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。しかしながら、有機白色顔料は、二酸化チタン顔料に比べてコストが大幅に上がるだけでなく、耐候性も劣る。
【0005】
そこで二酸化チタン顔料の分散性を高めることが検討され、分散剤として無機リン酸化合物を使用することが提案されている(例えば、特許文献2等参照。)。しかしながら、この方法は、貯蔵安定性に改善効果が見られるものの、実用性の面ではまだ十分とはいえない。
【0006】
本発明の目的は、二酸化チタン顔料を用いた貯蔵安定性のよいインクジェット用白色インクを提供することである。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−3759
【特許文献2】
特開2002−348513
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、微粒子硫酸バリウムを分散したものを二酸化チタン顔料の水分散液に添加することにより、顔料の沈降が著しく抑制されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明は、(A)二酸化チタン顔料100重量部に対して(B)微粒子硫酸バリウム10〜100重量部及び(C)水性有機樹脂1〜50重量部(固形分)を含有してなることを特徴とするインクジェット用白色インク組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット用白色インク組成物は、二酸化チタン顔料(A)、微粒子硫酸バリウム(B)及び水性有機樹脂(C)を含有してなるものである。
二酸化チタン顔料(A)と微粒子硫酸バリウム(B)は、同時に分散してもよいが、別々に分散したものを混合しても同じ効果が得られる。このことより微粒子硫酸バリウムの効果は、チタン顔料をより細かい粒子にまで分散する効果(顔料分散性)にあるのではなく、微粒子硫酸バリウムのミクロブラウン運動によるチタン顔料の沈降防止効果にあるものと推測される。
【0011】
以下、各原料についてさらに詳細に説明する。
【0012】
二酸化チタン顔料(A)
本発明の白色インク組成物の(A)成分である二酸化チタン顔料は、インク膜に白い色をつける働きと、素地を隠蔽する働きを合わせ持つものである。
【0013】
二酸化チタン顔料は、従来より塗料等に用いられているものを使用することができ、塩素法、硫酸法等特に製造方法に制限はなく、また、結晶構造はルチル型であってもアナターゼ型であってもよいが、耐候性の点からはルチル型であることが好ましい。さらに二酸化チタン顔料は、アルミニウム、珪素、チタニウム、ジルコニウム等の金属の化合物や、リン酸化合物などで表面処理されたものであってもよい。
【0014】
二酸化チタン顔料の平均粒子径は、一次粒子で0.15〜0.35μm、特に0.20〜0.30μm程度が隠蔽性と沈降性のバランスの点から好ましい。
【0015】
また、二酸化チタン顔料(A)の含有量は、インク組成物中5〜50重量%、特に10〜40重量%の範囲内が、隠蔽性と沈降性のバランスの点から好ましい。
【0016】
微粒子硫酸バリウム(B)
本発明の白色インク組成物の(B)成分である微粒子硫酸バリウムは、上記二酸化チタン顔料の沈降を防止する働きを持つものであり、BaSO4で示される化合物を主成分とする透明性微粒子であって、平均粒子径は、一次粒子で0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.07μm程度が好ましい。これらの市販品として、バリファインBF−20、同BF−40(いずれも堺化学工業社製、商品名)等がある。
【0017】
微粒子硫酸バリウム(B)の配合比率は、上記二酸化チタン顔料(A)100重量部に対して10〜100重量部、特に15〜80重量部、さらに特に20〜50重量部の範囲内が適している。配合量が10重量部未満ではチタン顔料の沈降防止効果が十分とはいえず、また100重量部を超えるとインク膜の隠蔽性が低下する。
【0018】
水性有機樹脂(C)
本発明の白色インク組成物の(C)成分である水性有機樹脂は、水溶性又は水分散性の有機樹脂を意味し、二酸化チタン顔料(A)及び微粒子硫酸バリウム(B)の顔料分散性を高めるとともに、分散された粒子の凝集を防ぐ働きがあり、樹脂の種類としては例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げることができ、これらの樹脂はアンモニア、アミン類等の中和剤で中和してもよい。該アミン類としては、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等が好適なものとして挙げられる。
【0019】
水性有機樹脂(C)の配合比率は、二酸化チタン顔料(A)100重量部に対して樹脂固形分で1〜50重量部、特に2〜30重量部程度が好ましい。配合量が1重量部未満ではチタン顔料及び/又は微粒子硫酸バリウムの分散性が低下し、50重量部を超えるとインク膜の隠蔽性が低下する。
【0020】
白色インク組成物の製造方法は、二酸化チタン顔料(A)、微粒子硫酸バリウム(B)及び水性有機樹脂(C)を混合し、従来公知の分散機を用いて分散することにより得ることができる。分散には水性有機樹脂(C)以外の従来公知の顔料分散剤を添加してもよい。また、二酸化チタン顔料(A)と微粒子硫酸バリウム(B)を別々に分散してもさしつかえない。その場合の顔料分散剤は同じであってもよいが、別々のものを用いてもかまわない。
【0021】
本発明の白色インク組成物には、二酸化チタン顔料(A)、微粒子硫酸バリウム(B)及び水性有機樹脂(C)を必須成分として含有するものであるが、さらに、有機溶剤、添加剤(界面活性剤、防黴剤、防腐剤、消泡剤、pH調製剤等)、二酸化チタン以外の顔料、染料等を含有することができる。
【0022】
上記有機溶剤は、インク吐出口でのインクの固化を防止したり、インクの乾燥速度の調整、素材へのインクのヌレ性の調整などのために用いられるものであり、用途に応じて種類、量が調整される。
【0023】
好ましい有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができる。
【0024】
本発明の白色インク組成物は、必要に応じて水や有機溶剤で粘度を調整する。インクジェットに使用される場合の粘度は、20mPa・s以下であることが、作業性の面から好適である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0026】
顔料分散体の製造
製造例1
脱イオン水25.8部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.5部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(固形分55%、重量平均分子量約50,000、酸価53mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g)11.3部、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)61.9部、サーフィノール104A(エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤)0.5部を攪拌、混合後に、ビーズミルにて、メディアとしてジルコニアビーズ(1〜1.2mm径)を用いて分散を行って、平均粒径約0.24μmの安定した顔料分散体P1を得た。
【0027】
製造例2
脱イオン水48.0部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.9部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(固形分55%、重量平均分子量約50,000、酸価53mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g)21.1部、BF−20(テイカ社製、商品名、微粒子硫酸バリウム)29.3部、サーフィノール104A(エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤)0.7部を攪拌、混合後に、製造例1と同様の方法で分散を行って、平均粒径約0.12μmの安定した顔料分散体P2を得た。
【0028】
製造例3
脱イオン水40.6部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.7部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(固形分55%、重量平均分子量約50,000、酸価53mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g)15.4部、BF−20(テイカ社製、商品名、微粒子硫酸バリウム)8.5部、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)34.1部、サーフィノール104A(エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤)0.7部を攪拌、混合後に、製造例1と同様の方法で分散を行って、顔料の凝集がない安定した顔料分散体P3を得た。
【0029】
インクジェットプリンター用インクの製造
実施例1〜3及び比較例1〜2
下記表1に示す配合に従って、ポリエチレン製円筒型容器に顔料分散体を規定量配合し、卓上ディスパーにて攪拌しながら、脱イオン水、溶剤、添加剤等を順次添加した後、均一になるまで攪拌を行った。均一になったことを確認した後、ジメチルエタノールアミンを添加してpHを8.1となるように調整し、さらにインクの粘度を14〜18mPa・sの範囲内に調整した後、ポアサイズ5μmのミリポアフィルターで濾過を行って、各インクを得た。
【0030】
【表1】
【0031】
表1における注(*1)の原料は、下記の内容のものである。
(*1)サーフィノール465:エアープロダクツ社製、商品名、表面調整剤。
【0032】
性能試験
インクジェットプリンターBJF660V(キャノン社製、商品名)を使用して上記実施例及び比較例で製造した各インクについて下記試験方法に従って印字テスト及びインクの保存安定性を評価した。得られた結果を後記表2に示す。
【0033】
光線透過率:インク製造後30分以内に、インクジェット用OHPフィルム(富士ゼロックス社製)にベタ印字を行い、印字されたOHPフィルムの光線透過率を色彩濁度計COH−300A(日本電色工業社製、商品名)にて測定した。
光線透過率の低いものほどインクの隠蔽性が優れる。
【0034】
保存安定性:各インクをカートリッジに装填したまま、室温に24時間放置し、再びインクジェット用OHPフィルムにベタ印字して、保存安定性の評価を下記基準で行った。
○:インク吐出部の目詰まりがなく、印字部は均一で光線透過率も初期とほとんど変わらない。
×:インク吐出部で目詰まりが発生するか、印字部にブツやムラが発生するか、又は印字部の光線透過率が初期より10%以上上がる。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
インクジェット用白色インクとしては、耐候性のよい二酸化チタン顔料を用いることが好ましいが、比重の大きな二酸化チタン顔料ではすぐに沈降してしまい、貯蔵性に大きな問題があった。
【0037】
本発明は、二酸化チタン顔料に対して微粒子硫酸バリウム及び水性有機樹脂を配合することで、上記実施例に見られるように、インクの保存安定性に優れ、隠蔽性にも優れた白色インクを開発できたものであり、インクジェット用白色インクとして極めて有用なものである。
Claims (6)
- (A)二酸化チタン顔料100重量部に対して(B)微粒子硫酸バリウム10〜100重量部及び(C)水性有機樹脂1〜50重量部(固形分)を含有してなることを特徴とするインクジェット用白色インク組成物。
- 微粒子硫酸バリウム(B)の一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmの範囲内である請求項1に記載のインクジェット用白色インク組成物。
- 二酸化チタン顔料(A)の一次粒子の平均粒子径が0.2〜0.3μmの範囲内である請求項1又は2に記載のインクジェット用白色インク組成物。
- 二酸化チタン顔料(A)の含有量が、インク組成物中5〜50重量%の範囲内である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
- 水性有機樹脂(C)の少なくとも1種がアクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
- インク組成物が、さらに界面活性剤を含有するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
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