JP2001351966A - サセプタ及びサセプタの製造方法 - Google Patents

サセプタ及びサセプタの製造方法

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JP2001351966A
JP2001351966A JP2000168100A JP2000168100A JP2001351966A JP 2001351966 A JP2001351966 A JP 2001351966A JP 2000168100 A JP2000168100 A JP 2000168100A JP 2000168100 A JP2000168100 A JP 2000168100A JP 2001351966 A JP2001351966 A JP 2001351966A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パーティクルの発生がなく、しかも廉価なサ
セプタを提供する。 【解決手段】 載置板2の試料載置側に多数の突起6が
形成され、突起6の頂面を含む試料保持層7(保持領域
6a)はイットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
た元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の2種以上の複
合物を主成分とする。また、突起6下部の中間層9(中
間領域6b)はイットリウム及びランタノイド元素から
選ばれた元素の酸化物、又はこれら酸化物の2種以上の
複合物を主成分とする。さらに、載置板2と支持板3と
からなるサセプタ本体8は、アルミナ基焼結体又は窒化
アルミニウム基焼結体からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板状試料のサセプ
タ及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、シリコ
ンウエハ、プリント基板、ガラス基板等の板状試料を、
静電チャックや真空チャック等の方式により固定するサ
セプタであって、パーティクルの発生がなくしかも廉価
に製造できるサセプタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、IC(集積回路)、LSI(大規
模集積回路)、VLSI(超大規模集積回路)等の半導
体の製造工程において使用されるドライエッチング装置
や、CVD(化学的蒸着)装置等においては、エッチング
やCVDによる成膜をウェハ毎に均一に行うため、半導体
ウエハ、液晶基板ガラス、プリント基板等の板状試料
を、1枚ずつ処理する枚葉化がすすんでいる。この枚葉
式プロセスにおいては、板状試料を1枚ずつ処理室内に
保持するために、この板状試料をサセプタと称される試
料台(台座)に載置し、所定の処理を施している。
【0003】このサセプタは、プラズマ中での使用に耐
え、かつ高温での使用に耐え得る必要があることから、
耐プラズマ性に優れ、熱伝導率が大きいことが要求され
る。このようなサセプタとしては、耐プラズマ性、熱伝
導性に優れたセラミックス、例えば窒化アルミニウム基
焼結体、アルミナ基焼結体等のセラミックス焼結体から
なるサセプタが使用されている。そして、サセプタの載
置面の上部には、試料へのパーティクルの付着防止、H
eガス等の冷却ガスの導入、電圧印加中止後の試料の脱
離性の改善(静電チャックの場合)のために、多数の微
細な凹凸、即ち多数の突起が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のサセプタの載置
面に形成される凹凸、即ち突起の形成は、ショットブラ
スト法、砥石を用いた研削法等の機械的加工法や、化学
的エッチング処理法等により行われている。しかしなが
ら、前者の機械的加工法では、サセプタの試料載置面に
マイクロクラックが発生して固形物が脱落しやすく、パ
ーティクル発生の原因となりやすい。一方、後者の化学
的エッチング処理法では、処理時間が長く製造コストが
かかり、得られるサセプタが高価なものとなるいう問題
点があった。
【0005】本発明は、上記従来の技術が有する問題点
に鑑みてなされたものであり、その為に具体的に設定さ
れた技術的課題は、パーティクルの発生がなく、しかも
廉価なサセプタ及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
解決のため鋭意検討した結果、サセプタの試料載置面上
の凹凸、即ち多数の突起の頂面を特殊な化合物で形成す
れば上記課題を効率的に解決し得ることを知見し、本発
明を完成するに至った。
【0007】すなわち、請求項1の発明として、試料載
置側に多数の突起が形成され、該突起の頂面で板状試料
を保持するサセプタであって、該突起の頂面を含む試料
保持層がイットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
た元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の2種以上の複
合物を主成分とすることを特徴とするサセプタを提供す
る。
【0008】ここに、「イットリウム及びランタノイド
元素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物
の2種以上の複合物を主成分とする」とは、これらのフ
ッ化物又はこれらのフッ化物の2種以上の複合物が50
重量%以上含有されていることをいい、これらのフッ化
物又はこれらフッ化物の2種以上の複合物以外の他の成
分の含有量が50重量%未満であることをいう。他の成
分としては、例えば、イットリウム及びランタノイド元
素から選ばれた元素の酸化物、窒化物を例示することが
できる。
【0009】また、「該突起の頂面を含む試料保持層」
とは、試料保持層が、少なくとも突起の頂面を含むこと
を意味している。すなわち、試料保持層は、頂面を含む
突起の部分であっても、突起全体であっても、突起全体
とその他の部分であってもよい。
【0010】本発明のサセプタによれば、突起の少なく
とも頂面付近を塗布・焼成によるか、溶射によって形成
することができる。そのため、機械的加工法によって形
成しなくても良いので、直接試料に接して損傷を受けや
すい頂面付近から、加工時に生じたマイクロクラックに
起因する固形物が脱落するおそれがない。また、化学的
エッチング処理法のように、処理時間が長くなったり、
製造コストが高くなったりしない。また、突起の少なく
とも頂面付近が上記フッ化物等で形成されるため、耐プ
ラズマ性に優れたものとなり突起の少なくとも頂面付近
の耐蝕性が大幅に向上する。
【0011】また、請求項2の発明として、前記試料保
持層における頂面と反対側の面が、イットリウム及びラ
ンタノイド元素から選ばれた元素の酸化物、又はこれら
酸化物の2種以上の複合物を主成分とする中間層を介し
て、アルミナ基焼結体又は窒化アルミニウム基焼結体か
らなるサセプタ本体に面することを特徴とする請求項1
記載のサセプタを提供する。
【0012】ここに、「イットリウム及びランタノイド
元素から選ばれた元素の酸化物、又はこれら酸化物の2
種以上の複合物を主成分とする」とは、これらの酸化物
又はこれらの酸化物の2種以上の複合物が50重量%以
上含有されていることをいい、これらの酸化物又はこれ
ら酸化物の2種以上の複合物以外の他の成分の含有量が
50重量%未満であることをいう。50重量%未満の他
の成分としては、例えば、アルミナ(Al23)、酸化
カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)を例示
することができる。
【0013】本発明によれば、サセプタ本体と試料保持
層との間に、上記中間層を介在させることができるの
で、サセプタ本体の通常の材質であるアルミナ(Al2
3)、または窒化アルミニウム(AlN)面に、上記
のフッ化物等からなる試料保持層を直接形成することを
避けることができる。このため、昇華性フッ化アルミニ
ウムが生成して付着強度が低下するという不都合が解消
される。
【0014】また、上記中間層を形成する酸化物等は、
試料保持層を形成するフッ化物等と同様に、塗布・焼成
によるか、溶射によって形成することができる。そのた
め、機械的加工法によって形成しなくても良いので、マ
イクロクラックに起因した固形物が脱落するおそれがな
い。また、化学的エッチング処理法のように、処理時間
が長くなったり、製造コストが高くなったりしない。
【0015】また、請求項3の発明として、請求項1に
記載のサセプタの製造方法であって、イットリウム及び
ランタノイド元素から選ばれた元素のフッ化物を主成分
とする粉末、又はこれらフッ化物の2種以上の複合物を
主成分とする粉末を、塗布・焼成することにより、前記
試料保持層を形成することを特徴とするサセプタの製造
方法を提供する。
【0016】また、請求項4の発明として、請求項1に
記載のサセプタの製造方法であって、イットリウム及び
ランタノイド元素から選ばれた元素のフッ化物を主成分
とする粉末、又はこれらフッ化物の2種以上の複合物を
主成分とする粉末を、溶射することにより、前記試料保
持層を形成することを特徴とするサセプタの製造方法を
提供する。
【0017】請求項3又は請求項4の発明によれば、機
械的加工法によって形成しなくても良いので、直接試料
に接して損傷を受けやすい頂面付近から、加工時に生じ
たマイクロクラックに起因する固形物が脱落するおそれ
がない。また、化学的エッチング処理法のように、処理
時間が長くなったり、製造コストが高くなったりしな
い。
【0018】また、請求項5の発明として、請求項2に
記載のサセプタの製造方法であって、イットリウム及び
ランタノイド元素から選ばれた元素の酸化物を主成分と
する粉末、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を主成
分とする粉末を、塗布・焼成することにより、前記中間
層を形成することをを特徴とするサセプタの製造方法を
提供する。
【0019】また、請求項6の発明として、請求項2に
記載のサセプタの製造方法であって、イットリウム及び
ランタノイド元素から選ばれた元素の酸化物を主成分と
する粉末、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を主成
分とする粉末を、溶射することにより、前記中間層を形
成することをを特徴とするサセプタの製造方法を提供す
る。
【0020】請求項5又は請求項6の発明によれば、機
械的加工法によって形成しなくても良いので、マイクロ
クラックに起因した固形物が脱落するおそれがない。ま
た、化学的エッチング処理法のように、処理時間が長く
なったり、製造コストが高くなったりしない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を掲げ、本発明
を詳細に説明する。図1は、本発明に係るサセプタの第
1の実施形態を示したものである。図1において、サセ
プタ1は、板状試料(図示せず)を載置する側の載置板
2と、この載置板2と一体化される支持板3と、この載
置板2と支持板3との間に形成された内部電極4と、こ
の内部電極4に通じ、前記支持板3内部に貫通するよう
にして設けられた給電用端子5と、載置板2の試料載置
する側に設けられた多数の突起6とから構成されてい
る。本実施形態においては、試料保持層7は突起6によ
り構成されている。また、サセプタ本体8は載置板2と
支持板3とにより構成されている。
【0022】支持板3は載置板2の試料を載置する側の
反対側にあって、載置板2と支持板3とは耐熱性の接合
剤により接合一体化されてなるものである。載置板2と
支持板3の各々の平面形状は、載置すべき板状試料の平
面形状と略同一である。突起6は、直径が0.1〜5m
m程度、高さが1〜100μm程度で、載置板2の試料
載置側に、凹凸を形成するように多数設けられている。
突起6頂面の合計面積の試料載置面に対する面積比率
は、特に制限されるものではないが、1〜30%程度で
あるのが好ましい。即ち、前記面積比率が1%を下回る
と、試料への熱伝導性が低下したり(内部電極をヒータ
電極とした場合)、静電吸着力が低下する(内部電極を
静電チャック用電極とした場合)。一方、前記面積比率
が30%を越えると、試料載置面の存在するゴミを付着
させにくくすることが困難となったり、電圧印加中止後
の試料の離脱性が低下する(内部電極を静電チャック用
電極とした場合)。
【0023】試料保持層7は、その材質が、イットリウ
ム及びランタノイド元素から選ばれた元素のフッ化物、
又はこれらフッ化物の2種以上の複合物を主成分とする
もので、直接板状試料に当接する層である。イットリウ
ム及びランタノイド元素のフッ化物としては、特に制限
されるものではないが、フッ化イットリウム(Y
3)、フッ化ユウロピウム(EuF3)、フッ化デスプ
ロシウム(DyF3)、フッ化エルビウム(ErF3)等
を用いることが、融点が低く、融点以下の温度で分解し
ないので好適である。
【0024】サセプタ本体8の材質に特に限定はない
が、アルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(Al
N)の他に、酸窒化アルミニウム(AlON)、イット
リウム・アルミニウム・ガーネット(Y3Al512)等
の材質が適宜採用できる。
【0025】内部電極4は、電荷を発生させて静電吸着
力で試料を固定するための静電チャック用電極、通電発
熱させて試料を加熱するためのヒータ電極、高周波電力
を通電してプラズマを発生させてプラズマ処理するため
のプラズマ発生用電極等として用いられるもので、その
用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
この内部電極4は、例えば、アルミナ−タンタルカーバ
イト複合導電性材料、アルミナ−タングステン複合導電
性材料、アルミナ−炭化珪素複合導電性材料、窒化アル
ミニウム−タングステン複合導電性材料、窒化アルミニ
ウム−タンタル複合導電性材料等の導電性セラミック
ス、またはタングステン、タンタル、モリブデン等の高
融点金属から形成されている。
【0026】給電用端子5は、内部電極4に電流を供給
するために設けられたもので、その数、形状、大きさ等
は、内部電極4の形状と、態様(即ち、静電チャック用
電極、ヒータ電極、プラズマ発生電極等のいずれのタイ
プの内部電極4とするか)により決定される。この給電
用端子5は、上記の内部電極4を形成している導電性セ
ラミックス粉末を加圧焼結した複合導電性焼結体からな
るか、タンタル、モリブデン等の高融点金属から形成さ
れている。
【0027】また、図2は、本発明に係るサセプタの第
2の実施形態を示したものである。図2において、第1
の実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して
その説明を省略する。本実施形態においては、載置板2
は、材質の相違する保持領域2aと本体領域2bとから
構成される。保持領域2aは突起6に接する層である。
また、本体領域2bは支持板3に接する層である。
【0028】本実施形態では、イットリウム及びランタ
ノイド元素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフ
ッ化物の2種以上の複合物を主成分とする試料保持層7
は、この保持領域2aと突起6とにより構成されてい
る。また、サセプタ本体8は本体領域2bと支持板3と
により構成されている。
【0029】また、図3は、本発明に係るサセプタの第
3の実施形態を示したものである。図3において、第1
の実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して
その説明を省略する。本実施形態においては、載置板2
は、突起6と同様に、イットリウム及びランタノイド元
素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の
2種以上の複合物を主成分とする。すなわち、試料保持
層7は、この載置板2と突起6とにより構成されてい
る。また、サセプタ本体8は支持板3により構成されて
いる。
【0030】上記第1から、第3の実施形態において
は、いずれも、板状試料が直接当接する試料保持層7
を、後述するように、塗布・焼成によるか、溶射によっ
て形成することができる。そのため、機械的加工法によ
って形成しなくても良いので、直接試料に接して損傷を
受けやすい頂面付近から、加工時に生じたマイクロクラ
ックに起因する固形物が脱落するおそれがない。また、
化学的エッチング処理法のように、処理時間が長くなっ
たり、製造コストが高くなったりしない。
【0031】また、図4〜図6は、第4から第6の実施
形態を示すもので、サセプタ本体8の材質が主としてア
ルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)であ
る場合であって、試料保持層7とサセプタ本体8との間
に、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれた元
素の酸化物、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を主
成分とする中間層9が形成されているものである。図4
〜図6において、第1〜第3の実施形態と同一の構成部
材には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】まず、図4に示す第4の実施形態では、突
起6は、材質の異なる保持領域6aと中間領域6bとに
より構成されている。保持領域6aは突起6の頂面を含
む領域であり、中間領域6bは載置板2に接する突起6
の下部領域である。前者の保持領域6aは、イットリウ
ム及びランタノイド元素から選ばれた元素のフッ化物、
又はこれらフッ化物の2種以上の複合物を主成分とし、
試料保持層7を構成する。また、後者の中間領域6b
は、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれた元
素の酸化物、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を主
成分とし、中間層9を構成する。さらに、本体領域2b
と支持板3とによりサセプタ本体8が構成されている。
【0033】次に、図5に示す第5の実施形態では、載
置板2は、材質の相違する保持領域2aと本体領域2b
と、さらに中間領域2cとから構成される。保持領域2
aは突起6に接する層である。また、本体領域2bは支
持板3に接する層である。また、中間領域2bは保持領
域2aと本体領域2bとの間に挟まれた層である。
【0034】本実施形態では、イットリウム及びランタ
ノイド元素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフ
ッ化物の2種以上の複合物を主成分とする試料保持層7
は、この保持領域2aと突起6により構成されている。
また、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれた
元素の酸化物、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を
主成分とする中間層9は、中間領域2cにより構成され
ている。さらに、サセプタ本体8は本体領域2bと支持
板3とにより構成されている。
【0035】また、図6に示す第6の実施形態では、載
置板2は、突起6と同様に、イットリウム及びランタノ
イド元素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ
化物の2種以上の複合物を主成分とする。すなわち、試
料保持層7は、この載置板2と突起6とにより構成され
ている。また、支持板3は、材質の相違する中間領域3
aと本体領域3bとから構成される。中間領域3aは、
内部電極4と共に、載置板2と本体領域3bとの間に挟
まれた層である。この中間領域3aは、イットリウム及
びランタノイド元素から選ばれた元素の酸化物、又はこ
れら酸化物の2種以上の複合物を主成分とし、中間層9
を構成している。さらに、サセプタ本体8は本体領域3
bにより構成されている。
【0036】上記第4〜第6の実施形態におけるサセプ
タ本体8は、アルミナ基焼結体や窒化アルミニウム基焼
結体からなるものであるが、その具体的な組成は、特に
限定されるものではなく、一般に市販されているもので
よい。また、前記アルミナ基焼結体や窒化アルミニウム
基焼結体は、焼結性や耐プラズマ性を向上させるため
に、イットリア(Y23)、カルシア(C a O)、マグ
ネシア(Mg O)、炭化珪素(SiC)、チタニア(Ti
2)から選択された1種または2種以上を合計で0.1〜1
0.0重量%含有するようにしてもよい。
【0037】そして、中間層を構成するイットリウム及
びランタノイド元素の酸化物としては、特に制限される
ものではないが、特に酸化ユウロピウム(Eu23
は、イットリウム及びランタノイド元素の酸化物の多く
が1550℃以上での熱処理温度を必要とするのに対
し、1450℃の熱処理により接着強度に優れた良好な
突起下部層8を形成でき、しかも、その後の前記突起6
の形成の際にも溶融しないので好適である。
【0038】上記第4〜第6の実施形態によれば、アル
ミナ基焼結体または窒化アルミニウム基焼結体からなる
サセプタ本体8の面に、イットリウム及びランタノイド
元素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物
の2種以上の複合物からなる試料保持層7が直接接しな
いので、試料保持層7を焼き付けまたは溶射形成する際
に、昇華性フッ化アルミニウムが生成することを防止で
きる。そのため、付着強度に優れた突起6を形成するこ
とが困難となる等の事態を回避できる。
【0039】また、上記第4から、第6の実施形態にお
いては、いずれも、中間層9を、後述するように、塗布
・焼成によるか、溶射によって形成することができる。
そのため、機械的加工法によって形成しなくても良いの
で、加工時に生じたマイクロクラックに起因する固形物
が脱落するおそれがない。また、化学的エッチング処理
法のように、処理時間が長くなったり、製造コストが高
くなったりしない。
【0040】次に、図4に示す第4の実施形態を例に取
り、サセプタ本体8上に、中間層9を形成し、次いでこ
の中間層9上に試料保持層7を形成する方法を説明す
る。
【0041】「第1の形成方法」この形成方法は、イ
ットリウム及びランタノイド元素から選ばれた元素の酸
化物、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を主成分と
する材料、イットリウム及びランタノイド元素から選
ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の2種以上
の複合物を主成分とする材料は、共に、容易に焼結され
ることを利用して、焼成法を用いて形成するものであ
る。
【0042】まず、イットリウム及びランタノイド元素
から選ばれた元素の酸化物を主成分とする粉末、又はこ
れら酸化物の2種以上の複合物を主成分とする粉末を、
市販のスクリーンオイル等の有機溶媒に分散した突起下
部層形成用塗布液を形成する。
【0043】そして、載置板2上に、突起6のパターン
形状と同一となるよう、スクリーン印刷法等を用いて前
記突起下部層形成用塗布液を塗布する。この際、図4に
中間領域6bとして図示した部分のみに塗布するのでは
なく、載置板2の試料載置側の面全域に塗布しても差し
支えない。また、塗布量は、特に限定されるものではな
く、例えば焼成後の厚みが20μm程度以下となるよう
にする。
【0044】次いで、有機溶媒を分解、揮発させた後、
用いた酸化物の融点よりも、例えば50℃程度低い温度
で焼成して、中間領域6bを形成する。焼成する際の雰
囲気は特に制限されないが、例えば窒素雰囲気、アルゴ
ン雰囲気等の不活性雰囲気とする。
【0045】一方、イットリウム及びランタノイド元素
から選ばれた元素のフッ化物を主成分とする粉末、又は
これらフッ化物の2種以上の複合物を主成分とする粉末
を、市販のスクリーンオイル等の有機溶媒に分散した突
起形成用塗布液を形成する。
【0046】そして、この突起形成用塗布液を、例えば
スクリーン印刷法を用いて前記中間領域6b上に塗布す
る。塗布量は、特に限定されるものではなく、例えば焼
成後の突起6全体(中間領域6bと保持領域6aとの合
計高さ)の厚みが100μm程度以下となるようにす
る。
【0047】その後、例えば、有機溶媒を分解、揮発さ
せた後、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
た元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の2種以上の複
合物を主成分とする粉末の融点より50℃程度低い温度
で焼成する。焼成雰囲気は特に制限されず、例えば大気
中で行う。そして、前記突起6の頂面を、例えば、表面
粗さ(中心線平均あらさ)Raが0.5μm以下となる
よう研摩して、第4の実施形態に係るサセプタを得る。
【0048】「第2の形成方法」この形成方法は、イ
ットリウム及びランタノイド元素から選ばれた元素の酸
化物、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を主成分と
する材料、イットリウム及びランタノイド元素から選
ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の2種以上
の複合物を主成分とする材料は、共に、比較的低温で溶
融することを利用して、溶射法を用いて形成するもので
ある。
【0049】まず、載置板2上に、突起6のパターン部
が開口したマスクを載置する。このマスクとしては、感
光性樹脂や板状マスクを使用する。次いで、イットリウ
ム及びランタノイド元素から選ばれた元素の酸化物、又
はこれら酸化物の2種以上の複合物を主成分とする材料
を溶融し、溶射し、冷却して中間領域6bを形成する。
この際、図4に中間領域6bとして図示した部分のみに
溶射するのではなく、載置板2の試料載置側の面全域に
溶射しても差し支えない。溶射法は、減圧プラズマ法等
の常法を用いる。また、溶射量は、特に限定されるもの
ではなく、例えば冷却後の厚みが20μm程度以下とな
るようにする。
【0050】そして、イットリウム及びランタノイド元
素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の
2種以上の複合物を主成分とする材料を溶融し、同様に
して上記中間領域6bに溶射し、冷却して突起6を形成
する。溶射量は、特に限定されるものではなく、例えば
焼成後の突起全体(中間領域6bと保持領域6aとの合
計高さ)の厚みが100μm程度以下となるようにす
る。
【0051】次いで、マスクを除去した後、前記保持領
域6aの頂面すなわち突起6の頂面を、例えば、表面粗
さ(中心線平均あらさ)Raが0.5μm以下となるよ
う研摩して、第4の実施の形態に係るサセプタ得る。
【0052】なお、上記いずれの形成方法においても、
試料保持層と中間層とは同一の方法で形成することとし
たが、各々別個の形成方法を採用しても差し支えない。
たとえば、中間層を塗布・焼成により形成した後に、試
料保持層を溶射により形成してもよい。
【0053】
【実施例】以下、内部電極4を静電チャック用電極とし
た場合の実施例を掲げ、本発明を更に詳述する。 (実施例1) 「給電用端子の作製」窒化アルミニウム粉末(平均粒径
0.6μm、トクヤマ(株)製)40重量部、タングス
テン粉末(平均粒径0.5μm、東京タングステン
(株)製)60重量部、イソプロピルアルコール150
重量部とを混合し、更に遊星型ボールミルを用いて均一
に分散させてスラリーを得た。このスラリーから、アル
コール分を、吸引ろ過して除去し、乾燥して窒化アルミ
ニウムータングステン複合粉末を得た。
【0054】次に、上記複合粉末を成型、焼結し、直径
2.5mm、長さ5mmの棒状窒化アルミニウムータングス
テン複合導電性焼結体を得、これを給電用端子5とし
た。焼結は温度1700℃、圧力20MPaの条件でホッ
トプレスによる加圧焼結を行った。焼結後の窒化アルミ
ニウムータンタルカーバイト複合導電性焼結体の相対密
度は98%以上であった。
【0055】「支持板の作製」上記窒化アルミニウム粉
末を成型、焼結し、直径230mm、厚さ5mmの円盤状窒
化アルミニウム焼結体(支持板3)を得た。焼結時の条
件は、上記給電用端子5の作製時と同様とした。次い
で、この窒化アルミニウム焼結体に、給電用端子5を組
み込み、固定するための固定孔を、ダイヤモンドドリル
によって孔あけ加工することにより穿設し、窒化アルミ
ニウム焼結体製の支持板3を得た。
【0056】「載置板の作製」上記窒化アルミニウム基
焼結体製の支持板3の作製方法に準じて、直径230mm、
厚さ5mmの円盤状窒化アルミニウム基焼結体を得た。次
いで、この円盤状窒化アルミニウム基焼結体の一面(板
状試料の載直面)を表面粗さRaが0.2μm、平面度
が0.01mmとなるよう研摩して載置板2を得た。
【0057】「一体化」上記支持板3に穿設された前記
固定孔に、前記の給電用端子5を押し込み、組み込み固
定した。次いで、この給電用端子5が組み込み固定され
た支持板3上に、後の加圧下での熱処理工程で内部電極
2となるよう、40重量%の窒化アルミニウム粉末と6
0重量%のタングステン粉末を含む、窒化アルミニウム
ータングステン複合導電性材料からなる塗布剤を、スク
リーン印刷法にて印刷塗布し、乾燥して、内部電極形成
層を形成した。また、この内部電極形成層以外の領域
に、上記窒化アルミニウム粉末を含む塗布剤をスクリー
ン印刷法にて印刷塗布し、乾燥して、接合剤層を形成し
た。次いで、この内部電極形成層(印刷面)を挟み込む
ように、また、前記載置板2の研摩面が上面となるよう
に、前記支持板3と載置板2とを重ね合わせて、ホット
プレスにて加圧下にて熱処理して一体化して実施例1の
サセプタ1を作製した。このときの加圧、熱処理条件
は、温度1750℃、圧力7.5MPaの条件にて行っ
た。
【0058】「突起の形成」一方、酸化ユウロピウム粉
末(300メシュアンダー、日本イットリウム(株)
製)80重量部と、市販のスクリーンオイル20重量部
とを混合して塗布液を形成した。次いで、この塗布液を
上記載置板2の研摩面に、前記突起6の頂面の合計面積
の試料載置面に対する面積比率が8%、焼き付け後の突
起下部層8の厚みが10μmとなるよう、図4に示す突
起パターンとなるようにスクリーン印刷した。その後、
窒素雰囲気中、800℃で240分熱処理して脱脂した
後、窒素雰囲気中1480℃で60分間焼成して、窒化
アルミニウム基焼結体製の載置板2上に、酸化ユウロピ
ウム製の多数の中間領域6bを形成した。
【0059】また、フッ化イットリウム(300メシュ
アンダー、日本イットリウム(株)製)70重量部と、
市販のスクリーンオイル30重量部とを混合して塗布液
を形成した。次いで、この塗布液を上記中間領域6b上
に、突起6全体の高さが20μmとなるよう、スクリー
ン印刷した。その後、窒素雰囲気中、800℃で240
分熱処理して脱脂した後、窒素雰囲気中1250℃で6
0分間焼成して、中間領域6b上にフッ化イットリウム
製の保持領域6aを形成し、多数の突起6を形成した。
この突起頂面を表面粗さ(中心線平均あらさ)Raが
0.2μm、平面度が0.01mmとなるよう研摩し
て、実施例1のサセプタを得た。
【0060】(実施例2) 「給電用端子、支持板、載置板の作製」実施例1に準じ
て、給電用端子、支持板及び載置板を作製した。 「接合一体化」実施例1に準じて、給電用端子、支持板
及び載置板を接合一体化した。 「突起の形成」上記の酸化ユウロピウム粉末を上記載置
板2の研摩面に、前記突起6の頂面の合計面積の試料載
置面に対する面積比率が8%、冷却後の中間領域6bの
厚みが10μmとなるよう、図4に示す突起パターンと
なるようにマスクを使用して減圧プラズマ法により溶射
した。その後、大気中で室温まで冷却して、窒化アルミ
ニウム基焼結体製の載置板2上に、酸化ユウロピウム製
の多数の中間領域6bを形成した。
【0061】そして、上記フッ化イットリウム粉末を上
記中間領域6b上に、突起6全体の高さが20μmとな
るよう、減圧プラズマ法により溶射し、大気中で室温ま
で冷却し、中間領域6b上にフッ化イットリウム製の保
持領域6aを形成し、多数の突起6を形成した。この突
起頂面を表面粗さRa(中心線平均あらさ)が0.2μ
m、平面度が0.01mmとなるよう研摩して、実施例
2のサセプタを得た。
【0062】「評価」実施例1、実施例2のサセプタの
窒化アルミニウム製載置板2と酸化ユウロピウム製の中
間領域6b、この中間領域6bとフッ化イットリウム製
の保持領域6aとの接合断面を、各々SEM(走査電子
顕微鏡)で観察したところ、いずれのサセプタのいずれ
の接合面も良好に接合されていた。
【0063】また、これらの電極内蔵サセプタをCF4
ガスとO2ガスとの混合ガスのプラズマ中に15時間曝
した後、サセプタ表面の性状を目視観察し、また、サセ
プタの板状試料載置面の表面粗さの変化、吸着力の変化
を測定したところ、表面性状に変化は認められず、ま
た、表面粗さも殆ど変化せず(試験前Ra=0.12μ
m、試験後Ra=0.13μm)、吸着力も変化しない
(試験前:0.03MPa、試験後0.03MPa)ことか
ら、耐腐食性、耐プラズマ性が極めて良好であることが
判明した。
【0064】更に、これらの電極内蔵サセプタを用い、
上記プラズマ雰囲気中でSiウエハを50000枚処理
したところ、いずれのSiウエハにもパーティクルの付
着は認められなかった。
【0065】(比較例)前記突起6に代えて、窒化アル
ミニウム基焼結体からなる突起をショットブラスト法で
形成した他は実施例1に準じて、比較例としての電極内
蔵サセプタを作製した。この電極内蔵サセプタを用い、
実施例1に準じてSiウエハを50000枚処理したと
ころ、いずれのSiウエハにもパーティクルの付着が認
められた。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のサセプタ
は、試料載置側に多数形成された突起の頂面を含む試料
保持層が、イットリウム及びランタノイド元素から選ば
れた元素のフッ化物、又はこれらフッ化物の2種以上の
複合物を主成分とするので、サセプタの試料載置面にマ
イクロクラックが発生して固形物が脱落せず、もってパ
ーティクル発生の原因となることがなく、また、製造方
法が簡便、容易となるので、得られるサセプタが廉価な
ものとなる。
【0067】また、試料保持層が、イットリウム及びラ
ンタノイド元素から選ばれた元素の酸化物、又はこれら
酸化物の2種以上の複合物を主成分とする中間層を介し
て、アルミナ基焼結体又は窒化アルミニウム基焼結体か
らなるサセプタ本体に面するので、昇華性フッ化アルミ
ニウムの生成による強度低下のおそれもない。
【0068】さらに、塗布・焼成や溶射により、試料保
持層及び中間層を形成するので、加工時に生じたマイク
ロクラックに起因する固形物が脱落するおそれがない。
また、化学的エッチング処理法のように、処理時間が長
くなったり、製造コストが高くなったりしない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサセプタの第1の実施形態を示
す断面図である。
【図2】 本発明に係るサセプタの第2の実施形態を示
す断面図である。
【図3】 本発明に係るサセプタの第3の実施形態を示
す断面図である。
【図4】 本発明に係るサセプタの第4の実施形態を示
す断面図である。
【図5】 本発明に係るサセプタの第5の実施形態を示
す断面図である。
【図6】 本発明に係るサセプタの第6の実施形態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 サセプタ 2 載置板 3 支持板 4 内部電極 5 給電用端子 6 突起 7 試料保持層 8 サセプタ本体 9 中間層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料載置側に多数の突起が形成され、該
    突起の頂面で板状試料を保持するサセプタであって、該
    突起の頂面を含む試料保持層がイットリウム及びランタ
    ノイド元素から選ばれた元素のフッ化物、又はこれらフ
    ッ化物の2種以上の複合物を主成分とすることを特徴と
    するサセプタ。
  2. 【請求項2】 前記試料保持層における頂面と反対側の
    面が、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれた
    元素の酸化物、又はこれら酸化物の2種以上の複合物を
    主成分とする中間層を介して、アルミナ基焼結体又は窒
    化アルミニウム基焼結体からなるサセプタ本体に面する
    ことを特徴とする請求項1に記載のサセプタ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のサセプタの製造方法で
    あって、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
    た元素のフッ化物を主成分とする粉末、又はこれらフッ
    化物の2種以上の複合物を主成分とする粉末を、塗布・
    焼成することにより、前記試料保持層を形成することを
    特徴とするサセプタの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のサセプタの製造方法で
    あって、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
    た元素のフッ化物を主成分とする粉末、又はこれらフッ
    化物の2種以上の複合物を主成分とする粉末を、溶射す
    ることにより、前記試料保持層を形成することを特徴と
    するサセプタの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のサセプタの製造方法で
    あって、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
    た元素の酸化物を主成分とする粉末、又はこれら酸化物
    の2種以上の複合物を主成分とする粉末を、塗布・焼成
    することにより、前記中間層を形成することをを特徴と
    するサセプタの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載のサセプタの製造方法で
    あって、イットリウム及びランタノイド元素から選ばれ
    た元素の酸化物を主成分とする粉末、又はこれら酸化物
    の2種以上の複合物を主成分とする粉末を、溶射するこ
    とにより、前記中間層を形成することをを特徴とするサ
    セプタの製造方法。
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JP2006344999A (ja) サセプタ及びその製造方法

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