JP2001342432A - 塗料組成物 - Google Patents

塗料組成物

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JP2001342432A JP2000162586A JP2000162586A JP2001342432A JP 2001342432 A JP2001342432 A JP 2001342432A JP 2000162586 A JP2000162586 A JP 2000162586A JP 2000162586 A JP2000162586 A JP 2000162586A JP 2001342432 A JP2001342432 A JP 2001342432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水に対する乱流摩擦抵抗を充分に低減するこ
とができ、かつ、長期にわたって摩擦抵抗を低減するこ
とができる塗料組成物を提供する。 【解決手段】 水溶性高分子(a)、及び、塗膜更新性
を有する樹脂(b)を含有することを特徴とする塗料組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶、工業用水系
設備等に用いられる塗料組成物に関し、更に詳しくは、
水に対する乱流摩擦抵抗の小さい塗膜を得ることができ
る塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶は、航行中に受ける抵抗を減少さ
せ、燃費を向上させることを目的として、船体自体の形
状や表面構造に種々の工夫がなされている。現在では、
航行中に受ける抵抗のなかでも、摩擦抵抗が、全抵抗の
80%程度を占めるようになってきている。
【0003】特開平11−29725号公報には、海水
中において基板を20ノットの速度で移動させた場合の
塗膜の膜厚変化量が10〜50μm/月である塗料組成
物が開示されている。このものは、摩擦抵抗を低減させ
ることのみならず、防汚効果が確実に長期間持続するこ
とを目的とするものではあるが、摩擦抵抗低減効果とし
ては、充分とは言いがたいものであった。また、膜厚変
化量に依存する点において、塗料設計上不利であった。
【0004】ところで、直鎖状の高分子、繊維等を添加
することにより、高剪断下での粘性抵抗が抑制される現
象は、トムズ効果として既に知られている。特開平11
−343427号公報には、トムズ効果を利用するもの
として、水溶性高分子を20〜100重量%含む塗料が
開示されている。しかしながら、この塗料に配合するこ
とができる固形成分としては、水に溶解しないアクリル
樹脂等の有機高分子であるため、機械的塗膜強度の付与
によって水溶性高分子の溶出速度をコントロールする結
果、長期にわたる溶出制御が不可能であった。更に、水
溶性高分子の溶出に伴い、水に溶解しないアクリル樹脂
等の有機高分子が残存するため、かえって、表面粗度の
上昇による摩擦抵抗の増加が起こるという問題点があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
現状に鑑み、水に対する乱流摩擦抵抗を充分に低減する
ことができ、かつ、長期にわたって摩擦抵抗を低減する
ことができる塗料組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、水溶性高分子
(a)、及び、塗膜更新性を有する樹脂(b)を含有す
ることを特徴とする塗料組成物である。以下に、本発明
を詳述する。
【0007】本発明の塗料組成物は、水溶性高分子
(a)、及び、塗膜更新性を有する樹脂(b)を含有す
るものである。水溶性高分子(a)及び塗膜更新性を有
する樹脂(b)をともに含有することによって、水に対
する乱流摩擦抵抗を充分に低減することができ、かつ、
長期にわたって、この摩擦抵抗低減効果を持続すること
ができる。更に、特開平11−29725号公報に記載
の塗料組成物のように、膜厚変化量に依存することな
く、摩擦抵抗を低減することができる。
【0008】本発明において、水溶性高分子(a)と
は、水に対する乱流摩擦抵抗を低減することができる水
溶性の糖類及び繊維を含む高分子を意味するものであ
る。上記乱流摩擦抵抗を低減するか否かについては、鉄
製細管の内面にこの水溶性高分子を塗布し、それを垂直
に固定して細管上部より一定量の海水を流し、すべての
量の海水が流れ落ちるまでの時間を測定した場合に、メ
チルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート=60
/70(モル比)共重合体(重量平均分子量=3000
0、数平均分子量=12000)からなる塗料を塗布し
て同様に測定した対照と比べて、それより短い時間であ
った場合には、乱流摩擦抵抗を低減するものとすること
ができる。上記水溶性高分子(a)は、水に常温(25
℃)で溶解するものであれば特に限定されないが、水に
対する溶解度(25℃)が100ppm以上のものが好
ましい。本発明においては、ポリエチレンオキシド、ポ
リアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース及びキサンタンガムからなる群
より選択される少なくとも1つの高分子又は糖類である
ことが好ましい。上記水溶性高分子(a)は、単独で用
いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0009】上記水溶性高分子(a)は、分子量が10
4 以上であるものが好ましい。104未満であると、水
に対する乱流摩擦抵抗を低減する効果がない。上記分子
量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量であ
る。上記水溶性高分子(a)の配合量(PVC)として
は、塗料組成物固形分に対して、10〜80体積%が好
ましい。10体積%未満であると、水に対する乱流摩擦
抵抗を低減する効果がなく、80体積%を超えると、得
られる塗膜の物性が劣る。
【0010】本発明は、上記水溶性高分子(a)ととも
に、塗膜更新性を有する樹脂(b)を含有するものであ
る。上記塗膜更新性を有する樹脂(b)は、水溶性高分
子(a)を長期にわたり溶出させることができ、しか
も、特開平11−343427号公報に記載の塗料のよ
うに、水溶性高分子(a)が溶出した後も基体樹脂が残
存しないため、表面粗度の上昇が起こらず、乱流摩擦抵
抗を低減する効果が長期間持続する。
【0011】本発明において、塗膜更新性を有する樹脂
(b)とは、樹脂を含む塗料を基板に塗布し、水中にて
経時的にその塗膜の膜厚変化量を観察した場合に、膜厚
が減少していく性質を有する樹脂を意味するものであ
り、膜厚が経時的に減少していくものであれば、その変
化量は問わない。
【0012】上記塗膜更新性を有する樹脂(b)として
は、ロジン樹脂及び/又は加水分解型樹脂を挙げること
ができる。上記ロジン樹脂としては、塗膜更新性を有す
るものであれば特に限定されず、例えば、ウッドロジ
ン、ガムロジン、変成ロジン、ロジンエステル等を挙げ
ることができる。本発明においては、乱流摩擦抵抗低減
効果が長期にわたり持続することから、加水分解型樹脂
を用いることが好ましい。上記加水分解型樹脂として
は、金属エステル含有アクリル樹脂が好ましい。上記金
属エステル含有アクリル樹脂とは、下記一般式(1)で
表される化学構造を有する基を、少なくとも1つの側鎖
の末端部に少なくとも1つ有するアクリル樹脂である。
【0013】
【化1】
【0014】式中、Mは、亜鉛又は銅を表す。R1 は、
有機酸残基を表す。上記R1 としては、更に具体的に
は、レブリン酸、ナフテン酸、オレイン酸、アビエチン
酸等の有機酸残基を挙げることができる。
【0015】上記金属エステル含有アクリル樹脂を構成
するアクリル樹脂としては特に限定されず、主鎖がアク
リル結合により形成されているあらゆる樹脂が含まれ
る。これらは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルの
(共)重合体、(メタ)アクリル酸アルキルとこれらと
共重合可能な他の重合性単量体との共重合体等からなる
樹脂等を挙げることができる。上記共重合においては、
通常のラジカル重合開始剤や必要に応じて適当な溶剤を
用いることができる。上記金属エステル含有アクリル樹
脂は、特開昭62−57464号公報に記載の方法に従
って、合成することができる。
【0016】上記加水分解型樹脂としては、また、下記
一般式(2)で表されるトリオルガノシリル(メタ)ア
クリレート及びその他の重合性モノマーを共重合させて
得られる樹脂も好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】式中、R2 は、水素原子又はメチル基を表
し、R3 は、同一又は異なって、炭素数3以上のアルキ
ル基を表す。上記R3 のアルキル基としては、貯蔵安定
性に優れており、貯蔵後であっても塗装した塗膜が長期
防汚性に優れた塗料組成物を得ることができることか
ら、i−プロピル基が好ましい。更に、塗装した塗膜の
柔軟性や可撓性の観点から、トリ−i−プロピルシリル
メタクリレートとトリ−i−プロピルシリルアクリレー
トとの重量比が50/50〜0/100であることが好
ましい。
【0019】上記トリオルガノシリル(メタ)アクリレ
ート以外の重合性モノマーとしては、特に限定されな
い。
【0020】上記一般式(2)で表されるトリオルガノ
シリル(メタ)アクリレート及びその他の重合性モノマ
ーは、アゾ化合物、過酸化物等の重合開始剤と混合して
混合溶液を調製した後、例えば、キシレン等の溶剤中に
滴下して、加熱条件下に反応させる方法等によって、本
発明の塗膜更新性を有する樹脂(b)とすることができ
る。
【0021】本発明の塗膜更新性を有する樹脂(b)の
分子量に関しては特に制限されるものではないが、通常
は数平均分子量で4000〜40000程度であり、好
ましくは6000〜35000の範囲である。4000
未満であると、塗料の造膜性が低下することがあり、ま
た40000を超えると塗料の硬度が高くなり実用に適
さぬばかりか、塗装時に大量の希釈溶剤を必要とし、公
衆衛生、経済性等の点で好ましくないからである。
【0022】本発明において、塗膜更新性を有する樹脂
(b)は、上記のようなロジン樹脂及び加水分解型樹脂
を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更
に、塗膜の強度や下塗り塗装との密着性等を高める目的
で通常使用される塗料用樹脂を必要に応じて配合するこ
とができ、例えば、有機溶剤系として、塩化ビニル系樹
脂、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化
ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジ
エン樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリア
ミド樹脂、石油系樹脂、シリコーンレジン、シリコーン
ゴム系樹脂、ワックス、パラフィン、また、錫、銅、亜
鉛、テルル等の金属元素を側鎖に含有する樹脂等を挙げ
ることができ、水性系として、アクリルエマルジョン樹
脂、エポキシエマルジョン樹脂、酢酸ビニル樹脂等を挙
げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合
して配合することができる。
【0023】本発明においては、塗膜更新性を有する樹
脂(b)及び必要により併用される塗料用樹脂の合計量
は、通常、塗料組成物中に固形分比で10〜90重量%
含むものである。10重量%未満であると、得られる塗
膜の物性に劣る。90重量%を超えると、水溶性高分子
(a)の配合量が少なくなる結果、水に対する乱流摩擦
抵抗を低減する効果が生じない。
【0024】本発明の塗料組成物は、防汚剤を含有させ
ることにより、汚損生物等に対して防汚効果を発揮する
ことができる。このような目的のために用いられる防汚
剤の含有量(PVC)は、塗料組成物全体の固形分に対
して、5〜60体積%が好ましい。5体積%未満である
と、防汚剤の防汚効果を発揮することができず、60体
積%を超えると、塗膜物性やレベリング性に弊害が生じ
ることとなる。
【0025】上記防汚剤としては特に限定されず、例え
ば、亜酸化銅等の無機系防汚剤の他に、有機系防汚剤と
して、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート
(東京有機化学工業社製、マンネブ)、ジンクジメチル
ジチオカーバメート(化成品工業協会、ジラム)、ジン
クエチレンビスジチオカーバメート(東京有機化学工業
社製、ジネブ)、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミ
ノ−6−シクロプロピルアミノ−S−トリアジン(チバ
ガイギー社製、イルガロール1051)、2,4,5,
6−テトラクロロイソフタロニトリル(サンノプコ社
製、マリンサイド)、N,N−ジメチルジクロロフェニ
ル尿素(保土谷化学工業社製)、ロダン銅、4,5−ジ
クロロ−2−n−オクチル−3(2H)−イソチアゾリ
ン(ロームアンドハースジャパン社製、SEANINE
211)、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタ
ルイミド(バイエルジャパン社製、プリベントールA−
3)、N,N′−ジメチル−N′−フェニル−(N−フ
ルオロジクロロメチルチオ)スルファミド(バイエルジ
ャパン社製、プリベントールA4S)、N−ジクロロフ
ルオロメチルチオ−N′,N′−ジメチル−N−p−ト
リルスルファミド(バイエルジャパン社製、プリベント
ールA5S)、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜
鉛塩(ジンクピリチオン)、2−ピリジンチオール−1
−オキシド銅塩(カッパーピリチオン)、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン
(Densil S100)、3−ヨード−2−プロピ
ニールブチルカーバメート(TROYSAN POLY
PHASE P100)、ジヨードメチルパラトリルス
ルホン(AMICAL 48)、ビスジメチルジチオカ
ルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(T
OC−3204)、ピリジン−トリフェニルボラン(P
K)等を挙げることができる。
【0026】本発明の塗料組成物には、更に、分散剤と
して、シランカップリング剤等を用いることができる。
また、透明な上塗り塗料であるクリア塗料、着色塗料で
あるベース塗料等のように用いる用途に応じて、一般に
塗料組成物に使用される着色顔料、体質顔料等を配合す
ることができる。
【0027】上記着色顔料としては特に限定されず、例
えば、酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、フタ
ロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリ
ドン等を挙げることができる。上記体質顔料としては特
に限定されず、例えば、亜鉛華、タルク、クレー、沈降
性硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を挙げることができ
る。上記塗料組成物には、さらに可塑剤等の公知の添加
剤を配合することもできる。上記添加剤としては、例え
ば、ジオクチルフタレート等の可塑剤;有機ベントナイ
ト、コロイダルシリカ等の流れどめ剤等を挙げることが
できる。
【0028】本発明の塗料組成物は、常法に従って被塗
物の表面に塗布した後、常温下又は加熱下で溶剤を揮散
除去することによって乾燥塗膜を形成することができ
る。
【0029】本発明の塗料組成物は、水溶性高分子
(a)及び塗膜更新性を有する樹脂(b)を含有するこ
とにより、摩擦抵抗低減効果の長期化を達成することが
できる。これは、塗膜更新性を有する樹脂(b)の有す
る塗膜の更新作用に伴い、水溶性高分子(a)の溶解溶
出作用が塗膜表層で継続して起こることによると推定さ
れる。更に、防汚剤を配合することによって、フジツ
ボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキガイ、フサコケムシ、ア
オサ等の水棲汚損生物の付着や成長を長期間にわたって
防止することができ、優れた防汚効果を発揮することが
できる。従って、本発明の防汚塗料は、タンカー、フェ
リー、漁船、鋼鉄船、木船、FRP船等の船舶;工業用
水系設備、導水管、海中構築物、養殖網、定置網等の漁
網、漁具等に好適に用いることができる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。部は重量部を表す。
【0031】製造例1 攪拌機、還流冷却機、滴下ロートを備えた4つ口フラス
コに、キシロール120部、n−ブタノール30部を加
え、110〜120℃に保った。この溶液中にアクリル
酸エチル65部、メタクリル酸メチル25部、アクリル
酸10部、アゾビスイソブチロニトリル2部の混合溶液
を3時間にわたり等速で滴下し、滴下後2時間保温し
た。得られたワニスの固形分は、39.8%、粘度は
2.2ポイズであった。攪拌機、還流冷却機、デカンタ
ーを備えた4つ口フラスコに、上記で得られたワニスを
100部、ナフテン酸(酸価200KOHmg/g)1
3部、水酸化銅5部を加え、120℃に昇温し、2時間
保温した。この間に生成する水を除去した(脱水量2.
5g)。得られたワニスをワニスAとして後の実験に供
した(固形分50%)。
【0032】製造例2 攪拌機、還流冷却機、滴下ロートを備えた4つ口フラス
コに、キシロール120部、n−ブタノール30部を加
え、110〜120℃に保った。この溶液中にアクリル
酸エチル60部、アクリル酸2−エチルヘキシル25
部、アクリル酸15部、アゾビスイソブチロニトリル2
部の混合溶液を3時間にわたり等速で滴下し、滴下後2
時間保温した。得られたワニスの固形分は、39.8
%、粘度は2.2ポイズであった。攪拌機、還流冷却
機、デカンターを備えた4つ口フラスコに、上記で得ら
れたワニスを100部、ナフテン酸(酸価200KOH
mg/g)20部、水酸化銅7部を加え、120℃に昇
温し、2時間保温した。この間に生成する水を除去した
(脱水量2.5g)。得られたワニスをワニスBとして
後の実験に供した(固形分50%)。
【0033】製造例3 攪拌機、冷却機、温度制御装置、窒素導入管、滴下ロー
トを備えた4つ口フラスコにキシレン42部を加え、8
0℃に保った。この容器中に、アクリル酸トリイソプロ
ピルシリル50部、メタクリル酸トリイソプロピルシリ
ル5部、アクリル酸メトキシエチル20部、メタクリル
酸メチル25部、及び、ジメチル2,2′−アゾビスイ
ソブチラート1部の混合液を3時間にわたり等速滴下
し、滴下終了後、30分間保温した。その後、キシレン
7.24部及びジメチル2,2′−アゾビスイソブチラ
ート0.15部の混合液を30分間にわたり等速滴下
し、滴下終了後、2時間保温した。その後、110℃に
加熱して30分間保温した。その後、キシレン17.4
3部を加え、ワニスCを得た。ワニスC中の固形分は6
0重量%、ガードナー粘度(25℃)はZ1であった。
【0034】実施例1〜12、比較例1〜4 ワニスA、ワニスB及びワニスCと他の成分を配合し
て、表1に示す各塗料組成物を調製した。表1中の配合
成分の単位は、重量部である。表1中、ワニスDはNT
100(日東化成社製アクリル樹脂、固形分50%)、
ワニスEはACW1001ワニス(日本ペイント社製水
溶性アクリル樹脂、固形分50%)、樹脂Fはラフロレ
ックスMP−35(BASF社製塩化ビニル樹脂、固形
分100%)、PEG6×103 、PEG7×104
びPEG2×10 6 はその数字の分子量を有するポリエ
チレングリコール(和光純薬工業社製試薬)、防汚剤1
は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)−
イソチアゾリン、防汚剤2は2−ピリジンチオール−1
−オキシド亜鉛塩、防汚剤3は2−ピリジンチオール−
1−オキシド銅塩、防汚剤4はジンクエチレンビスジチ
オカーバメートである。
【0035】
【表1】
【0036】水抵抗性試験 実施例1〜12、比較例1〜4で得られた塗料組成物を
用いて、直径2cm、長さ100cmの鉄製細管の内面
を、浸漬方法により、乾燥膜厚が100μmとなるよう
に塗装した(以下、供試塗装物ともいう)。供試塗装物
を垂直に固定し、細管上部に特別に作製した滴下ロート
を装着し、ロート上部から、海水2000mlを流し、
すべての量の海水が流れ落ちるまでの時間を測定した。
また、供試塗装物を流速約1m/sの海水水路に浸漬
し、経時的に同様の実験を実施するとともに、内面の付
着生物による汚染の程度を調べた。付着生物による汚損
面積の割合(%)を表2に表した。
【0037】「対照」では、メチルメタクリレート/n
−ブチルメタクリレート=60/70(モル比)共重合
体(重量平均分子量=30000、数平均分子量=12
000)からなる塗料組成物を用いて、実施例と同様に
塗装した。「赤サビ」では、全面に赤い錆が浮き出た鉄
製細管をそのまま用いた。「対照」に要した時間を
「0」とした場合に、それより長く掛かった時間を
「+」、短く掛かった時間を「−」で表現した。結果を
表2に示した。表2中「−」とあるのは、測定すること
ができなかったことを意味する。なお、「対照」及び
「赤サビ」は、測定ごとに用意し、海水水路への浸漬は
実施しなかった。
【0038】膜厚変化量 図1に示す試験装置を用いて、実施例及び比較例の塗料
組成物について、それぞれ試験した。膜厚変化量は、試
験前の膜厚と1カ月間モータを回転しつつ浸漬をし続け
た後の膜厚とを比較してその差(μm/月)を示した。
結果を表2に示した。なお、図1に示す試験装置は、厚
さ1cm、直径30cmのアクリル樹脂製の円盤1の中
心部に回転棒2を設け、これをモータ3に接続させるこ
とにより円盤1が一定の周速度で回転するものであり、
円盤1の上面11に、試験に供する被検塗料組成物を塗
布し、乾燥膜厚100μmの塗膜を形成した。塗膜形成
後、上記試験装置を、天然の海水に近似させるため、温
度20℃、pH8の5%食塩水(pHは水酸化ナトリウ
ムによって調整)中に、図1の41に示す箇所まで浸漬
し、図1の試験装置全体を20℃の恒温槽に漬けた。そ
の後、モータ3によって、円盤1を回転させた。回転の
周速度は、図2に示す円盤の上面11の最外周111が
25ノットとなる速度とし、これによって、最外周11
1から一定距離(6cm)だけ内側にある円112の位
置にある塗膜が上記水中において20ノットの速度とな
るようにして、回転を継続させた。図2の112の位置
にある塗膜の膜厚を経時的に測定することにより、膜厚
変化量を算出した。
【0039】
【表2】
【0040】実施例1〜12の塗料組成物は、水溶性高
分子及び塗膜更新性を有する樹脂を含有するものである
ので、塗膜の膜厚変化量に依存することなく、海水に対
する摩擦抵抗を低減することができ、比較例に比べて明
らかに持続性を有するものであった。特に、実施例1〜
7の塗料組成物について優れた結果が得られた。比較例
1の塗料組成物は、分子量2×106 のポリエチレング
リコールがキシロールに対して溶解度が低く、一般的な
アクリル樹脂に相溶させることができなかったため、分
散状態のものではあるが、このアクリル樹脂は塗膜更新
性を有するものではないので、明確な摩擦抵抗低減効果
は認められず、また、防汚剤を含まないので汚損生物に
より被塗物表面が汚損された。比較例2の塗料組成物
は、ポリエチレングリコールが水溶性アクリル樹脂とは
水系で相溶性を示したので、水性塗料としたものである
が、塗膜の膜厚の減少速度が非常に速く、長期にわたり
摩擦抵抗を低減することができず、また、汚損生物によ
り被塗物表面が汚損された。比較例3の塗料組成物は、
防汚効果は充分なものであったが、摩擦抵抗低減効果が
小さかった。比較例4の塗料組成物は、塗膜の膜厚の減
少速度が遅いため、摩擦抵抗低減効果がなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、上述の構成より
なるので、優れた摩擦抵抗低減効果を発揮し、持続性を
飛躍的に延ばすことができるとともに、その摩擦抵抗低
減効果が塗膜の膜厚変化量に依存しないので、対象被塗
物の要求性能に応じて膜厚変化量を設定することが可能
である。更に、防汚剤を併用させることによって、水中
生物付着を防止して高い防汚効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜厚変化量を測定するための試験装置の模式図
である。
【図2】膜厚変化量を測定するための試験装置を構成す
る円盤の上面図である。
【符号の説明】
1 円盤 2 回転棒 3 モーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 BA031 BA032 BA091 BA092 BA181 BA182 BA231 BA232 CG111 CG112 CG171 CG172 DF011 DF012 GA15 KA06 MA14 NA01 NA05 PB05 PB07 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性高分子(a)、及び、塗膜更新性
    を有する樹脂(b)を含有することを特徴とする塗料組
    成物。
  2. 【請求項2】 水溶性高分子(a)は、ポリエチレンオ
    キシド、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロ
    ース、カルボキシメチルセルロース及びキサンタンガム
    からなる群より選択される少なくとも1つである請求項
    1記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子(a)は、分子量が104
    以上である請求項1又は2記載の塗料組成物。
  4. 【請求項4】 塗膜更新性を有する樹脂(b)は、加水
    分解型樹脂である請求項1、2又は3記載の塗料組成
    物。
  5. 【請求項5】 更に、防汚剤を含有する請求項1、2、
    3又は4記載の塗料組成物。
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