JP2001283944A - 酸化物半導体色素結合電極および色素増感型太陽電池 - Google Patents

酸化物半導体色素結合電極および色素増感型太陽電池

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JP2001283944A JP2000102016A JP2000102016A JP2001283944A JP 2001283944 A JP2001283944 A JP 2001283944A JP 2000102016 A JP2000102016 A JP 2000102016A JP 2000102016 A JP2000102016 A JP 2000102016A JP 2001283944 A JP2001283944 A JP 2001283944A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部抵抗が小さく電子の移動が良好で、しか
も光の有効利用が図れ、実用性ある電流/電圧曲線を与
える色素増感型太陽電池を提供する。 【解決手段】 色素が結合された一方の酸化物半導体色
素電極と、これと対をなす他方の電極とを電解質含有体
を介して対向配置させた色素増感型太陽電池であって、
前記色素が結合された一方の酸化物半導体色素電極は、
金属からなる網状導電性体を芯部として備える網状構造
電極を有して構成され、当該網状構造電極は、前記金属
からなる網状導電性体と、その網状導電性体の表面に被
着・形成された多孔質酸化物半導体層とを有し、前記多
孔質酸化物半導体層は、外部と連通する空孔をその層内
部に備え、当該空孔が位置する酸化物半導体層の内部表
面には、多孔質酸化物半導体層を構成する酸化物半導体
と結合された有機色素膜が存在してなるように構成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
【0001】本発明は、有機色素が結合された酸化物半
導体色素結合電極およびこれを用いた色素増感型太陽電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機色素で増感された酸化物
半導体電極を含む湿式の太陽電池が知られている。例え
ば、Nature,261(1976)P402によれ
ば、酸化亜鉛粉末を圧縮成形し、1300℃で1時間焼
結して形成した焼結体ディスク表面に、増感用色素とし
てローズベンガルを吸着させた酸化物半導体電極を用い
た太陽電池が提案されている。
【0003】しかしながら、この太陽電池の特性を示す
電流/電圧曲線に見られるように、0.2Vの起電圧時
の電流値は約25μA程度と非常に低いものである。太
陽電池に関する研究は近年さらに進み、透明導電性膜上
に多孔質の二酸化チタン膜を形成し、この表面に増感色
素としてRuジピリジル錯体を吸着させ、ヨウ素を電子メ
ディエーターとする色素増感型の湿式太陽電池がグレッ
ツェルらによって報告されている(Nature,353,(1991)p
737)。
【0004】この太陽電池は、光を吸収して励起した色
素が電子を酸化チタンへ供給し、対極からヨウ素へ電子
が移動、さらに還元されたヨウ素イオンが色素へ電子を
与えて元に戻し、サイクルが完成するように作用する。
この太陽電池は理論的に高い効率が期待でき、実際にも
7%から10%程度の効率が報告されている。このよう
な色素増感型太陽電池は、それに用いられる酸化物半導
体及び有機色素がいずれも比較的安価なものとなること
から、シリコン半導体を用いた太陽電池に比較して、コ
スト的にも性能的にも非常に有利であると考えられてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来から知られ
ている色素増感型太陽電池は、透明電極が形成された基
板の上に、多孔質の酸化物半導体層を形成し、この表面
に増感色素を吸着させた形態を備えているのが一般的で
ある。しかしながら、多孔質の酸化物半導体層は通常、
酸化チタンのような半導体材料から構成されているため
に、導電性が不十分である。このため、励起した色素か
ら電子が酸化物半導体層に素早く注入されても、酸化物
半導体層が電子の移動を妨げ、透明導電性膜に到達する
までの内部抵抗として作用してしまうという。さらに、
電極面積が大きくなると面内抵抗が大きくなって大きな
電流を取り出すことが困難になってしまう。
【0006】このような問題を解決するために、金属の
取り出し電極を形成することも試みられているが、この
金属電極部分が光を通さないために有効光量が減少する
といった不都合や、金属電極が電解液と接触すると副反
応を生じるために透明電極層の下に形成する必要がある
など実用化には不利になることが多い。
【0007】特開平11−266028号公報には、透
明電極を用いることなく、両電極を基板上に形成された
一対の櫛形電極とすることにより、内部抵抗の低減を試
みている。しかしながら、これらの電極は一層のみの構
成であり、基板の裏側に反射膜を形成して透過光を再利
用しようとする試みはなされているものの、反射膜によ
り反射された一部の光は再び外部へ透過され、この透過
された光は二度と利用されることはない。また、このよ
うな櫛形電極は積層して利用することが困難であり、光
の有効利用には好適な形態とは言えない。
【0008】このような問題を解決するために、本発明
は創案されたものであり、その目的は、内部抵抗が小さ
く電子の移動が良好で、しかも光の有効利用が図れ、実
用性ある電流/電圧曲線を与える酸化物半導体色素結合
電極および色素増感型太陽電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明は、色素増感型太陽電池の片側電極と
して用いられる酸化物半導体色素結合電極であって、該
酸化物半導体色素結合電極は、金属からなる網状導電性
体を芯部として備える網状構造電極を有して構成され、
当該網状構造電極は、前記金属からなる網状導電性体
と、その網状導電性体の表面に被着・形成された多孔質
酸化物半導体層とを有し、前記多孔質酸化物半導体層
は、外部と連通する空孔をその層内部に備え、当該空孔
が位置する酸化物半導体層の内部表面には、多孔質酸化
物半導体層を構成する酸化物半導体と結合された有機色
素膜が存在してなるように構成される。
【0010】また、本発明における前記金属からなる網
状導電性体は、アルミニウム、ニッケル、白金、クロ
ム、金、銀、銅、鉄、チタン、タンタル、ルテニウムの
中から選ばれる少なくとも1種から構成されるか、ある
いはこれらの中から選ばれた少なくとも1種を含む合金
から構成されるか、または導電性の網状支持体の表面に
これらの中から選ばれた少なくとも1種を含む金属また
は合金をメッキすることにより構成される。
【0011】また、本発明における前記酸化物半導体
は、酸化チタンとして構成される。
【0012】また、本発明における前記酸化物半導体層
は、酸化物半導体の微粒子の集合体の状態にあり、当該
微粒子が透明導電性酸化物とその上に形成される酸化物
との複合酸化物半導体として構成される。
【0013】また、本発明における前記透明導電性酸化
物として酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITOの
中から選ばれた材料が用いられ、この透明導電性酸化物
の上に形成される前記酸化物として、前記透明導電性酸
化物の伝導帯電位よりもマイナス電位を持つ材料が用い
られる。
【0014】また、本発明においては、前記網状構造電
極を複数枚、積層した状態で構成される。
【0015】また、本発明における前記複数枚積層され
た網状構造電極は、互いに隣リ合う網状構造電極同士の
網目角度が5〜45度の範囲内の角度でずれるように積
層配置される。
【0016】また、本発明における前記複数枚積層され
た網状構造電極は、網目角度が5〜45度の範囲内の角
度で同一回転方向に順次ずれるように積層配置される。
【0017】また、本発明における前記網状導電性体の
表面は酸化物半導体で覆われてなるように構成される。
【0018】また、本発明は、色素が結合された一方の
酸化物半導体色素電極と、これと対をなす他方の電極と
を電解質含有体を介して対向配置させた色素増感型太陽
電池であって、前記色素が結合された一方の酸化物半導
体色素電極は、金属からなる網状導電性体を芯部として
備える網状構造電極を有して構成され、当該網状構造電
極は、前記金属からなる網状導電性体と、その網状導電
性体の表面に被着・形成された多孔質酸化物半導体層と
を有し、前記多孔質酸化物半導体層は、外部と連通する
空孔をその層内部に備え、当該空孔が位置する酸化物半
導体層の内部表面には、多孔質酸化物半導体層を構成す
る酸化物半導体と結合された有機色素膜が存在してなる
ように構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の色素増感型太陽電
池の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】図1には、本発明の色素増感型太陽電池の
模式的構成例が示される。図1に示されるように、本発
明の色素増感型太陽電池1は、2つの電極10,30が
例えば電解液からなる電解質含有体5を介して対向配置
された構成をなしている。これらの電極10,30は、
後述の説明からも明らかなように図1の紙面の奥行きに
延びている。4面2つの電極のうち一方の電極10は、
有機色素を備える酸化物半導体色素結合電極10であ
り、このものの構造に本発明の特徴がある。
【0021】酸化物半導体色素結合電極10は、網状構
造電極11を有して構成され、図1の実施形態では4枚
の網状構造電極11が所定の間隔を空けて積層された形
態が例示されている。網状構造電極11は積層すること
なく1枚での使用(この場合には、網状構造電極11と
酸化物半導体色素結合電極10とは同義)も可能である
が、本発明の効果を最大限に発揮させようとすれば、複
数枚の積層構造が望ましい。
【0022】網状構造電極11の構造が図2および図3
に示される。図2は、網状構造電極11の正面図であ
り、図3は、図2のA−A矢視断面図、およびB−B矢
視断面図である。ただし、図2に示される網状構造電極
11の正面図においては、網状導電性体13の構造が分
かり易くなるようにとの配慮から、酸化物半導体層14
は二点鎖線で大まかに描かれている(酸化物半導体層1
4の状態は図3参照)。
【0023】図2および図3において、網状構造電極1
1は、金属からなる網状導電性体13と、その網状導電
性体13の表面に被着・形成された多孔質酸化物半導体
層14を有している。
【0024】多孔質酸化物半導体層11は、外部と連通
する空孔をその層11内部に備えている。さらに、前記
多孔質酸化物半導体層13の表面および空孔が位置する
酸化物半導体層の内部表面には、多孔質酸化物半導体層
14を構成する酸化物半導体と結合された有機色素膜が
存在している(図面の構成の都合上、有機色素膜は図2
および図3には描かれていない)。
【0025】図4には、図3のC部付近の拡大断面図が
示され、また、図5には、有機色素膜の形成されている
状態をモデル的に表した網状導電性体13近傍の拡大図
が示されている。
【0026】図4に示されるように、網状導電性体13
の表面には多孔質酸化物半導体層14が被着・形成され
ている。多孔質酸化物半導体層14は、例えば、複数の
酸化物半導体微粒子14aが集まり焼結することにより
形成された空孔Pを備えるように構成されている。空孔
Pは、前述したように外部と連通している孔であり、内
部で閉鎖された空間ではない。
【0027】さらに、前記多孔質酸化物半導体層13の
表面および空孔Pが位置する酸化物半導体層の内部表面
には、多孔質酸化物半導体層14を構成する酸化物半導
体と結合された有機色素膜17(太線で描かれている)
が存在している。この状態は、図5により詳細に記載し
てある。なお、図4および図5においては、酸化物半導
体層14の内部に、酸化物半導体微粒子14a、空孔
P、及び有機色素膜17等が存在していることが分かれ
ばよいので、図面上必要以上の描きはしておらず、他の
部分は無数の点で代用記載してある。酸化物半導体微粒
子14aは、焼結等により繋がっており、多孔質酸化物
半導体層14は、例えば、焼結後に連続した空孔Pを持
つ、微粒子が繋がった構造体と言える。これらの詳細な
構成は後述する製造方法や実施例を参照することによっ
て、より明確になるであろう。
【0028】なお、図4および図5に示されるように網
状導電性体13の表面は酸化物半導体の膜14bで完全
に覆っておくことが望ましい。
【0029】金属からなる網状導電性体13は、いわゆ
る「金属網」と称されるものが用いられ、好適には、ア
ルミニウム、ニッケル、白金、クロム、金、銀、銅、
鉄、チタン、タンタル、ルテニウムの中から選ばれる少
なくとも1種から構成されるか、あるいはこれらの中か
ら選ばれた少なくとも1種を含む合金から構成される
か、または鉄などの導電性の網状支持体の表面にこれら
の中から選ばれた少なくとも1種を含む金属または合金
をメッキすることにより構成される。特に、可視光の全
波長域を反射するような材料が好ましい。網状導電性体
13(金属網)には、多数の種類があるが、ごく一般的
なクリンプ金網、特に断面が円形状のクリンプ金網が好
ましい。断面が円形状の場合には、後述するように一旦
入射した光が、多重反射を繰り返し、外部へ逃げにくく
光の有効利用を図ることができるからである。
【0030】クリンプ金網には、アーチ型クリンプ、フ
ラットトップクリンプ、セミインタークリンプ、織網型
クリンプ、ロッククリンプなどの織り方が含まれる。こ
の他、平織金網、綾織金網、半織綾織金網、長方形織網
型金網、スパイラル織金網なども用いられる。
【0031】さらに、平畳織、綾畳織、綾筵織、複式撚
線織、逆平畳織、逆綾畳織、複式綾畳織、簾織、複式綾
筵織、などで織られた金属網も使用可能である。しかし
ながら、これらのものは、開口部が少なく、特に、平畳
織のように金属線が平面に近く、密に編まれている場合
は、垂直に入射した光はそのまま外部に反射してしまう
ので、積層構造をとる場合の両端部に配置して用いるよ
りは、両端部以外の内部に配置して用いるのがよい。ま
た、エキスパンドメタルのような金属網も使用できる。
【0032】上述してきたような金属からなる網状導電
性体13(金属網)を用いることにより面内の抵抗値を
極めて小さくすることが出来、大面積としても大電流を
取り出すことができる。つまり網状構造電極11に照射
された光は、酸化物半導体層14の内部に入り複雑な反
射、吸収、透過を繰り返す。例えば、網状構造電極11
に照射された光は、有機色素膜17に吸収されるが、多
くは透過して多孔質の酸化物半導体層14を通過する。
そして、多孔質の酸化物半導体層14を通過した光は、
網状導電性体13の表面で反射され、再び有機色素膜1
7に到達し、ここで、到達した光の一部は吸収され、一
部は透過し、一部は反射される。反射された光は、網状
導電性体13の表面で反射される。このような複雑な多
重反射が繰り返されることにより、有機色素膜17で複
数回にわたる有効な光の吸収が行なわれ、効率の良い発
電が実現可能になる。
【0033】また、図1に示されるように、網状構造電
極11を複数積層することによって、さらに透過した光
をも有効に利用することができる。ちなみに、従来の半
導体電極では、多孔質酸化物半導体層の厚みを増すこと
によって、比表面積を増大させているが、そうすると、
抵抗値が急激に大きくなり、大電流を取り出すことはで
きない。これに対して、本発明では、網状構造電極11
そのものの抵抗値は非常に小さく、このような網状構造
電極11を幾層も積層しても、網状構造電極11同士を
接続するだけで抵抗値を増大させることなく、さらに光
の有効利用を図ることができる。網状構造電極11を幾
層も積層して使用する場合には、互いに隣リ合う網状構
造電極同士の網目角度θ(ずれ角度θ)が45度以下、
特に、5〜45度の範囲内の角度でずれるように積層配
置される。特に、図6に示されるように、網目角度θ
(ずれ角度θ)が5〜45度の範囲内の角度で同一回転
方向(矢印(β)方向)にずれるように順次積層するの
がよい。ずれ角度θは一定であることが望ましい。
【0034】図6における積層配置は、第1層目の網状
構造電極11aの上に、第2層目の網状構造電極11b
が22.5度のずれ角度θで積層配置され、この第2層
目の網状構造電極11bの上に、第3層目の網状構造電
極11cが22.5度のずれ角度θで積層配置され、こ
の第3層目の網状構造電極11cの上に、第4層目の網
状構造電極11dが22.5度のずれ角度θで積層配置
されている。このような積層配置により、例えば第1層
目の網状構造電極11aを透過した光を第2層〜第4層
の網状構造電極で吸収させることができる。なお、図6
における添字符号a〜dは、積層順位をわかりやすく説
明するために便宜上、用いたものであり、また、図面
中、網目構造の具体的記載は省略してある。
【0035】このような網状構造電極11の構成要素で
あり、金属からなる網状導電性体13の上に被着・形成
される前記多孔質の酸化物半導体層14についてさらに
以下説明する。
【0036】多孔質の酸化物半導体層14を構成する酸
化物半導体材料としては、公知の種々のものが用いられ
る。具体的には、Ti、Nb、Zn、Sn、Zr、Y、
La、Ta等の遷移金属の酸化物の他、SrTiO3
CaTiO3等のペロブスカイト系酸化物等が挙げられ
る。
【0037】このような多孔質の酸化物半導体層14の
好適な一例として多孔質酸化チタン層の形成について述
べる。多孔質とするためには、ゾルゲル法や、スパッタ
法、あるいは微粒子の焼結法等を用いれば良い。多孔質
の酸化物半導体層14を形成した後、あるいは形成する
前に、万が一にも網状導電性体13が露出して電解液と
反応することを防止するために、チタンアルコキシドま
たは四塩化チタンの溶液で処理してもよい(図4および
図5における膜14bの形成)。
【0038】あるいは、網状導電性体13(金属網)そ
のものを、チタンから構成し、このチタン網の表面を酸
化させ、網の表面に酸化チタン薄膜を形成させて多孔質
の酸化物半導体層14としてもよい。具体的な酸化方法
としては、焼成、酸化剤による化学的方法、電気化学的
方法等が挙げられる。
【0039】上記の酸化物半導体層14の多孔質形成方
法の中で、特に好適な微粒子の焼結法について詳述す
る。まず、最初に酸化物チタン微粒子を溶媒に分散して
塗布用のスラリー液(塗布液)を調整する。酸化物チタ
ン微粒子のその1次径は、1〜5000nm、好ましく
は、10〜50nm程度のものがよい。溶媒中に分散さ
れる酸化チタン微粒子は、その1次粒子で分散する。
【0040】溶媒としては、酸化チタンを分散し得るも
のであれば特に制限はない。具体的溶媒としては、水、
有機溶媒、水と有機溶媒との混合液を挙げることができ
る。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のア
ルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルア
セトン等のケトン、へキサン、シクロヘキサン等の炭化
水素等が用いられる。塗布用のスラリー液(塗布液)中
には、必要に応じて界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチ
レングリコール等の多価アルコール等)を加えることが
できる。溶媒中の微粒子濃度は、0.1〜70重量%、
好ましくは、0.1〜30重量%とするのがよい。
【0041】このように調整・準備した塗布用のスラリ
ー液(塗布液)を、網状導電性体13(金属網)の上
に、塗布・乾燥させ、次いで、空気中または不活性ガス
中で焼成して、網状導電性体13(金属網)の上に、多
孔質の酸化物半導体層14を形成する。
【0042】網状導電性体13(金属網)の上に形成さ
れた多孔質の酸化物半導体層14は、酸化チタン微粒子
等の酸化物半導体微粒子の集合体からなるもので、その
微粒子の径は、使用した酸化物半導体微粒子の1次粒子
径に対応するものである。そして、金属からなる網状導
電性体13(金属網)を使うために極めて低抵抗な電極
となる。
【0043】酸化物半導体層14の多孔質構造は、塗布
液の組成に加えて、焼成条件によってもその多孔質の状
態が変化する。多孔質体を得るためには、微粒子集合体
の焼成に際して、その焼成温度を低くして、微粒子集合
体を軽く焼結させることが望ましい。この場合、焼成温
度は、1000℃より低く、通常、300〜800℃、
好ましくは、400〜700℃である。焼成温度が10
00℃を超えると、焼成物膜の焼結が進みすぎて、その
実表面積が小さくなり、所望の多孔質構造が得られない
ことがある。見かけ表面積に対する実表面積の比は、1
0以上、特に、10〜2000程度とされる。見かけ表
面積に対する実表面積の比は、酸化物半導体微粒子の粒
径や比表面積や、焼成温度等によりコントロールするこ
とができる。
【0044】このように形成された酸化物半導体層14
の上に、有機色素膜17が形成される。有機色素膜17
は、酸化物半導体層14の上に有機色素を単分子膜とし
て化学的に結合させるように形成させることが好まし
い。このためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて形
成した有機色素溶液中に、酸化物半導体層14を表面に
備える網状導電性体13(金属網)全体を浸漬し、有機
色素を酸化物半導体層14のチタンの水酸基と反応させ
るか、または残ったアルコキシド基と置換するようにす
ればよい。反応時間は、有機色素の種類に応じて適宜定
めればよいが、通常、30分〜24時間程度である。ま
た、反応はチタン酸化物薄膜形成と同様に、脱水または
脱アルコール反応が進み易いように水またはアルコール
を加熱除去するようにすることが好ましい。また、この
処理は、必要に応じ、複数回繰返し行うこともできる。
有機色素溶液に浸漬処理した後、エチルアルコールなど
の色素可溶性溶剤中に浸漬して余分な色素を洗い落と
す。その後、酸化物半導体層14の上に有機色素を吸着
した網状構造電極11は、通常、常温〜80℃程度の温
度で乾燥処理される。
【0045】本発明で用いらる有機色素は、酸化物半導
体層14を構成する金属酸化物と化学的に結合すること
ができるシアニン色素、メロシアニン色素、フタロシア
ニン色素、ナフタロシアニン色素、フタロ/ナフタロ混
合フタロシアニン色素、ジピリジルRu錯体色素、ターピ
リジルRu錯体色素、フェナントロリンRu錯体色素、フェ
ニルキサンテン色素、トリフェニルメタン色素、クマリ
ン色素、アクリジン色素、アゾ金属錯体色素などが好適
例として挙げられる。
【0046】上記色素は、その骨格に、カルボキシル基
や、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、
NO2等の極性基が1つ又は複数結合したものである。
特に、隣り合った炭素原子に二個以上結合していること
が好ましい。カルボキシル基やスルホン酸基、水酸基、
アミノ基等を有するものは、チタン水酸基またはチタン
アルコキシドと反応または置換反応を生じやすく、酸化
物半導体層14を構成する酸化物半導体と共有結合によ
り強く結合させることにすぐれている。
【0047】以下、各Ru錯体からなる色素の好適な具
体例、さらには、Ru錯体以外の好適な色素の具体例を
示す。このような有機色素は従来良く知られたものであ
る。なお、一般に、耐熱性に優れる色素として知られて
いるシアニン色素、メロシアニン色素、フタロシアニン
色素、ナフタロシアニン色素、フタロ/ナフタロ混合フ
タロシアニン色素に関する具体的構造式の記載は省略す
る。
【0048】(1)ジ(チオシアネート)ビス(2,2'-
ビピリジル−4,4'-チ゛カルホ゛キシレート)Ru(II)
【化1】
【0049】(2)ターピリジンRu錯体
【化2】
【0050】(3)フェナントロリンRu錯体
【化3】
【0051】(4)ビシンコニン酸Ru錯体
【化4】
【0052】(5)エリスロシンB
【化5】
【0053】(6)エオシンY
【化6】
【0054】(7)ジクロロフルオレセイン
【化7】
【0055】(8)ピロガロール
【化8】
【0056】(9)フルオレセイン
【化9】
【0057】(10)フロキシン
【化10】
【0058】(11)アミノピロガロール
【化11】
【0059】(12)フルオレシン
【化12】
【0060】(13)ウラニン
【化13】
【0061】(14)4,5,6,7−テトラクロロフ
ルオレセイン
【化14】
【0062】(15)フルオレセインアミンI
【化15】
【0063】(16)フルオレセインアミンII
【化16】
【0064】(17)ローダミン123
【化17】
【0065】(18)ローダミン6G
【化18】
【0066】(19)ジブロモフルオレセイン
【化19】
【0067】(20)エオシンB
【化20】
【0068】(21)ローダミンB
【化21】
【0069】(22)ローズベンガル
【化22】
【0070】この他、モダントブルー29、エリオクロ
ムシアニンR、ナフトクロムグリーン、アウリントリカ
ルボン酸、クマリン343,プロフラビン、マーキュロ
クロムなどを用いることができる。
【0071】本発明における多孔質の酸化物半導体層1
4において、網状導電性体13(金属網)の表面から、
最も遠い距離に位置する有機色素膜17までの距離で定
義される酸化物半導体の実質的厚さ(従来から提案され
ているグレッツェル型電極における酸化チタン層の厚み
に相当する)は、従来から提案されているグレッツェル
型電極における酸化チタン層の厚みよりもはるかに薄く
なる。具体的酸化物半導体の実質的厚さは、8μm以
下、好ましくは、5μm以下、特に、0.1〜5μm、
さらには、0.2〜3.0μmとされる。この膜厚が、
8μmを超えると、酸化物半導体層14(酸化チタン)
の導電性が低いために内部抵抗が大きくなってしまう傾
向にある。本発明のように酸化物半導体の実質的な厚さ
が薄くできれば、電子は網状導電性体13(金属網)に
容易に到達することができ、内部抵抗は極めて小さくな
る。本発明では、上記のごとく網状構造電極11そのも
のを積層することで、内部抵抗を増大させずに光の有効
利用を図ることができる。
【0072】なお、前記酸化物半導体層14を構成する
酸化物半導体の微粒子を、透明導電性酸化物とその上に
形成される酸化物との複合酸化物半導体として構成する
ことによりエネルギー準位をある程度任意に調整するこ
とが可能になり、組み合わせ使用できる色素の種類は拡
大する。この場合、透明導電性酸化物としては、酸化
錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITOの中から選ばれ
た材料が用いられ、この透明導電性酸化物の上に形成さ
れる酸化物としては、前記透明導電性酸化物の伝導帯電
位よりもマイナス電位を持つ材料が用いられる。
【0073】本発明において、上記のごとく例えばチタ
ン酸化物からなる酸化物半導体層14の酸化物半導体に
結合させる有機色素は、1種のみでもよいが、光吸収領
域を広げるためには光吸収領域の異なる複数の有機色素
を用いて結合させるのがよい。これによって、光を効率
よく利用することができる。また、図1や図6に例示さ
れるように複数の網状構造電極11を用いて積層体構造
を採択する場合において、各網状構造電極11ごとに種
類の異なる有機色素膜17を用いるようにしてもよい。
【0074】複数の有機色素を酸化物半導体層14の酸
化物半導体に結合させるには、複数の有機色素を含む溶
液中に膜を浸漬、反応させる方法や、有機色素溶液を複
数用意し、これらの溶液に膜を順次浸漬、反応させる方
法等が挙げられる。有機色素含有溶液を作製するに際し
て用いられる有機溶媒は、有機色素を溶解し得るもので
あればいずれも使用可能である。このような有機溶媒と
しては、例えば、メタノール、エタノール、アセトニト
リル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン等が挙げられ
る。このような有機溶媒のなかでも、水または脱離する
アルコキシドからのアルコールが容易に除去できるよう
に、沸点が高い溶剤が好ましい。
【0075】溶液中の有機色素の濃度は、溶液100m
l中、1〜10000mg、好ましくは10〜500m
g程度であり、最適濃度は有機色素及び有機溶媒の種類
に応じて適宜設定される。
【0076】本発明の色素増感型太陽電池1は、前述し
たように酸化物半導体色素結合電極10と、これと対を
なす電極(対電極)30と、これらの電極に接触する電
解質含有体5を備えて構成される。電解質含有体5とし
ては、いわゆるレドックス電解質5を用いることが好ま
しい。レドックス電解質5としては、I-/I3-系や、
Br-/Br3-系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げ
られる。このようなレドックス電解質5は、従来公知の
方法によって得ることができ、例えば、I-/I3-系の
電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合する
ことによって得ることができる。電解質含有体5は、液
体電解質又はこれを高分子物質中に含有させた固体高分
子電解質として構成させることができる。液体電解質に
おいて、その溶媒としては、電気化学的に不活性なもの
が用いられ、例えば、アセトニトリル、プロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート等が用いられる。
【0077】酸化物半導体色素結合電極10と対をなす
電極(対電極)30としては、導電性を有するものであ
ればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3-イオ
ン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速
さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。こ
のようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金
めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニ
ウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0078】本発明の太陽電池1は、一般に、前記酸化
物半導体色素結合電極10、電解質含有体5及び電極3
0をケース内に収納して封止するか又はそれら全体をガ
ラスや樹脂で封止した状態で形成される。この場合、色
素を結合した電極(酸化物半導体色素結合電極)10に
は光があたる構造とする。このような構造の電池は、酸
化物半導体色素結合電極10に太陽光又は太陽光と同等
な可視光をあてると、酸化物半導体色素結合電極10と
それと対向する電極30との間に電位差が生じ、両電極
10,30間に電流が流れるようになる。
【0079】
【実施例】以下、具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。
【0080】(実施例1)まず、最初に下記の要領で酸
化物半導体色素結合電極10を作製した。外寸法1.0
×1.5cmの大きさの100メッシュの白金網を準備
した。白金網の構成素材である白金線の断面は円形状の
ものを用いた。この白金網の1.0×1.0cmの部分
に、下記の要領で酸化チタン粒子からなる多孔質の焼結
膜を形成した。すなわち、まず、最初に粒径25nmの
酸化チタン微粒子(日本アエロジル製、表面積55m2
/g)テレピネオ−ルからなる溶媒に分散して塗布用の
スラリー液を調整した。スラリー液中の酸化チタン微粒
子の含有割合は、20wt%とした。
【0081】このように調整したスラリー液を上記の白
金網の上に塗布した後に乾燥させ、さらに空気中、40
0℃で焼成して、多孔質の酸化チタン層を形成した。次
いで、0.2Mの四塩化チタン水溶液に浸漬後、同様に
400℃で焼成した。
【0082】次いで、このような酸化物半導体層として
の多孔質酸化チタン膜を導入した金属網を、Ru錯体色
素(上記
【化1】で示される色素)の1mg/mlのアセトニト
リル溶液中に浸漬し、80℃に加熱しながら、色素のカ
ルボキシル基とチタンアルコキシドからの脱アルコール
反応処理を行って色素を結合させた。その後、酸化チタ
ン膜および色素が形成された金属網を十分にメタノール
で洗浄した後、室温で乾燥した(網状構造電極11の形
成)。なお、上記で定義した酸化物半導体の実質的な厚
さは、1μm程度であった。
【0083】このようにして得た色素結合電極10(網
状構造電極11)と、それと対をなす電極(対電極)3
0とを電解質液に接触させて色素増感型太陽電池を構成
した。この場合、対電極30としては、白金を20nm
厚さに蒸着した導電性ガラスを用いた。両電極間の距離
は0.5mmとした。電解質液としては、テトラプロピ
ルアンモニウムヨーダイド(0.46M)とヨウ素
(0.6M)を含むエチレンカーボネートとアセトニト
リルとの混合液(容量混合比=80/20)を用いた。
【0084】このような実施例サンプルを用いて、実際
に電池を作動させ、無抵抗電流計を備えたポテンシオス
タットを用いて短絡電流及び開放電圧を測定した。この
場合、短絡電流とは、太陽電池セル・モジュールの出力
端子を短絡させたときの両端子間に流れる電流(1cm
2当たり)を表している。
【0085】また、開放電圧とは、太陽電池セル・モジ
ュールの出力端子を開放したときの両端子間の電圧を表
している。
【0086】また、フィルファクタ(FF:fill facto
r)も同時に測定した。フィルファクタとは、最大出力
Pmaxを開放電圧Vocと短絡電流Iseの積で除した値
(FF=Pmax/Voc・Ise)をいい、太陽電池として
の電流電圧特性曲線の良さを表すパラメータで、主に内
部抵抗とダイオード因子に左右される。
【0087】なお、電池を作動させる光源として、50
0Wのキセノンランプを用い、そのランプからの420
nm以下の波長の光はフィルターでカットした。
【0088】実験結果より、本発明の実施例1サンプル
を用いた場合、開放電圧0.70V、短絡電流9.7m
A、フィルファクタ(FF)0.77が得られた。
【0089】(比較例1)グレッツェルらの論文(J.A
m.Chem.Soc.115(1993)6382)に従って、下記の要領で比
較例1サンプルを作製した。上記本実施例1と基本的に
異なるのは、基体となる導電性体として金網を用いず
に、一般の平板状の導電性ガラス基板を用いている点に
ある。すなわち、酸化物半導体層材材料であるTiO2
として市販品のもの(日本アエロジル、P−25,表面
積55m2/g)を用い、非イオン性界面活性剤を含む
水とアセチルアセトンとの混合液(容量比=20:1)
中に濃度1重量%で分散させてスラリー液を調整し、こ
のスラリー液を厚さ1mmの導電性ガラス板(F−Sn
2、10Ω/□)上に塗布し、乾燥した。
【0090】得られた乾燥物を500℃で1時間、空気
中で焼成し、基板上に厚さ7μmの多孔質焼成物膜を形
成した。この焼成物膜の見かけの表面積に対する実表面
積比は500であった。次に、この焼成物を形成した基
板を1mg/mlのビピリジルRu錯体エタノール溶液
に浸漬し、80℃で還流して吸着処理を行った。その
後、室温で乾燥し、比較例1のサンプルを作製した。
【0091】この比較例1のサンプルについて、上記の
実施例1と同じ要領で開放電圧および短絡電流を測定し
たところ、開放電圧0.68V、短絡電流12.8m
A、フィルファクタ0.56が得られた(ちなみに上記
実施例1における開放電圧は0.70V、短絡電流は
9.7mA、フィルファクタ(FF)0.77)。
【0092】上記実施例1の結果と、上記比較例1との
結果を対比して考察するに、開放電圧は両者ともにほぼ
同様であるが、フィルファクタに関しては実施例1のほ
うが内部抵抗が小さいために大きな面積であるにもかか
わらず、フィルファクタは大きいものが得られ、実施例
1サンプルは比較例1に比べて良好な特性を備えている
ことがわかる。これは、酸化チタン層を多孔質とし、厚
い膜として構成されている比較例1に対して、本発明
(実施例1)では、多重反射による光の有効利用を図れ
るため、酸化チタンの実質的厚さをを薄くでき、電子が
網状の白金線にすぐ到達するためである。また、従来の
透明導電膜を使用しないで済むことから面内抵抗も小さ
く、大きな面積であっても大電流を容易に得ることがで
きる。
【0093】なお、上記実施例1で用いた有機色素を、
上記の
【化2】および
【化4】で特定される色素にそれぞれ変えて新たな本発
明サンプルを作製し、上記比較例1との対比を試みたと
ころ、これらの新たな本発明サンプルにおいても、上記
実施例1と上記比較例1との比較結果と同様な傾向がみ
られることが確認できた。
【0094】(実施例2)上記実施例1において形成し
た網状構造電極11を4枚準備し、これを図5に示され
るように網目角度θが22.5度の角度で同一回転方向
に順次ずれるように積層して色素結合電極10を形成し
た。それ以外は、上記の実施例1と同様の要領で実施例
2サンプルを作製した。この実施例2サンプルについ
て、上記の評価を行ったところ、開放電圧0.68V、
短絡電流14.2mA、フィルファクタ0.75が得ら
れた。
【0095】この結果、複数の網状構造電極11を積層
配置した構造を採択することにより、多重反射による光
の有効利用がさらに増強されることが確認できた。
【0096】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明は、色素が結合された一方の酸
化物半導体色素電極と、これと対をなす他方の電極とを
電解質含有体を介して対向配置させた色素増感型太陽電
池であって、前記色素が結合された一方の酸化物半導体
色素電極は、金属からなる網状導電性体を芯部として備
える網状構造電極を有して構成され、当該網状構造電極
は、前記金属からなる網状導電性体と、その網状導電性
体の表面に被着・形成された多孔質酸化物半導体層とを
有し、前記多孔質酸化物半導体層は、外部と連通する空
孔をその層内部に備え、当該空孔が位置する酸化物半導
体層の内部表面には、多孔質酸化物半導体層を構成する
酸化物半導体と結合された有機色素膜が存在してなるよ
うに構成されているので、内部抵抗が小さく電子の移動
が良好で、しかも光の有効利用が図れ、実用性ある電流
/電圧曲線を与える色素増感型太陽電池を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色素増感型太陽電池の模式的な構成例
を示した図面である。
【図2】本発明における網状構造電極11の正面図であ
る。
【図3】図2のA−A矢視断面図、およびB−B矢視断
面図である。
【図4】図3のC部付近の拡大断面図である。
【図5】有機色素膜の形成されている状態をモデル的に
表した網状導電性体13近傍の拡大図である。
【図6】網状構造電極を複数枚、積層配置した状態を模
式的に説明するための正面図である。
【符号の説明】
1…色素増感型太陽電池 5…電解質含有体 10…酸化物半導体色素結合電極 11…網状構造電極 13…網状導電性体 14…多孔質酸化物半導体層 17…有機色素膜 30…電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 順志 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA14 5H032 AA06 AS16 AS19 CC13 EE01 EE02 EE16 EE17 EE18

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色素増感型太陽電池の片側電極として用
    いられる酸化物半導体色素結合電極であって、 該酸化物半導体色素結合電極は、金属からなる網状導電
    性体を芯部として備える網状構造電極を有して構成さ
    れ、 当該網状構造電極は、前記金属からなる網状導電性体
    と、その網状導電性体の表面に被着・形成された多孔質
    酸化物半導体層とを有し、 前記多孔質酸化物半導体層は、外部と連通する空孔をそ
    の層内部に備え、当該空孔が位置する酸化物半導体層の
    内部表面には、多孔質酸化物半導体層を構成する酸化物
    半導体と結合された有機色素膜が存在してなることを特
    徴とする酸化物半導体色素結合電極。
  2. 【請求項2】 前記金属からなる網状導電性体は、アル
    ミニウム、ニッケル、白金、クロム、金、銀、銅、鉄、
    チタン、タンタル、ルテニウムの中から選ばれる少なく
    とも1種から構成されるか、あるいはこれらの中から選
    ばれた少なくとも1種を含む合金から構成されるか、ま
    たは導電性の網状支持体の表面にこれらの中から選ばれ
    た少なくとも1種を含む金属または合金をメッキするこ
    とにより構成される請求項1に記載の酸化物半導体色素
    結合電極。
  3. 【請求項3】 前記酸化物半導体が酸化チタンである請
    求項1または請求項2に記載の酸化物半導体色素結合電
    極。
  4. 【請求項4】 前記酸化物半導体層が酸化物半導体の微
    粒子の集合体の状態にあり、当該微粒子が透明導電性酸
    化物とその上に形成される酸化物との複合酸化物半導体
    である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の酸化
    物半導体色素結合電極。
  5. 【請求項5】 前記透明導電性酸化物として酸化錫、酸
    化インジウム、酸化亜鉛、ITOの中から選ばれた材料
    が用いられ、 この透明導電性酸化物の上に形成される前記酸化物とし
    て、前記透明導電性酸化物の伝導帯電位よりもマイナス
    電位を持つ材料が用いられる請求項4に記載の酸化物半
    導体色素結合電極。
  6. 【請求項6】 前記網状構造電極を複数枚、積層した状
    態で構成される請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の酸化物半導体色素結合電極。
  7. 【請求項7】 前記複数枚積層された網状構造電極は、
    互いに隣リ合う網状構造電極同士の網目角度が5〜45
    度の範囲内の角度でずれるように積層配置される請求項
    1ないし請求項6のいずれかに記載の酸化物半導体色素
    結合電極。
  8. 【請求項8】 前記複数枚積層された網状構造電極は、
    網目角度が5〜45度の範囲内の角度で同一回転方向に
    順次ずれるように積層配置される請求項1ないし請求項
    6のいずれかに記載の酸化物半導体色素結合電極。
  9. 【請求項9】 前記網状導電性体の表面は酸化物半導体
    で覆われてなる請求項1ないし請求項8のいずれかに記
    載の酸化物半導体色素結合電極。
  10. 【請求項10】 色素が結合された一方の酸化物半導体
    色素電極と、これと対をなす他方の電極とを電解質含有
    体を介して対向配置させた色素増感型太陽電池であっ
    て、 前記色素が結合された一方の酸化物半導体色素電極は、
    金属からなる網状導電性体を芯部として備える網状構造
    電極を有して構成され、 当該網状構造電極は、前記金属からなる網状導電性体
    と、その網状導電性体の表面に被着・形成された多孔質
    酸化物半導体層とを有し、 前記多孔質酸化物半導体層は、外部と連通する空孔をそ
    の層内部に備え、当該空孔が位置する酸化物半導体層の
    内部表面には、多孔質酸化物半導体層を構成する酸化物
    半導体と結合された有機色素膜が存在してなることを特
    徴とする色素増感型太陽電池。
  11. 【請求項11】 前記金属からなる網状導電性体は、ア
    ルミニウム、ニッケル、白金、クロム、金、銀、銅、
    鉄、チタン、タンタル、ルテニウムの中から選ばれる少
    なくとも1種から構成されるか、あるいはこれらの中か
    ら選ばれた少なくとも1種を含む合金から構成される
    か、または導電性の網状支持体の表面にこれらの中から
    選ばれた少なくとも1種を含む金属または合金をメッキ
    することにより構成される請求項10に記載の色素増感
    型太陽電池。
  12. 【請求項12】 前記酸化物半導体が酸化チタンである
    請求項10または請求項11に記載の色素増感型太陽電
    池。
  13. 【請求項13】 前記酸化物半導体層が酸化物半導体
    の微粒子の集合体の状態にあり、当該微粒子が透明導電
    性酸化物とその上に形成される酸化物との複合酸化物半
    導体である請求項10ないし請求項12のいずれかに記
    載の色素増感型太陽電池。
  14. 【請求項14】 前記透明導電性酸化物として酸化錫、
    酸化インジウム、酸化亜鉛、ITOの中から選ばれた材
    料が用いられ、 この透明導電性酸化物の上に形成される前記酸化物とし
    て、前記透明導電性酸化物の伝導帯電位よりもマイナス
    電位を持つ材料が用いられる請求項13に記載の色素増
    感型太陽電池。
  15. 【請求項15】 前記網状構造電極を複数枚、積層した
    状態で、色素が結合された一方の酸化物半導体色素電極
    として使用される請求項10ないし請求項14のいずれ
    かに記載の色素増感型太陽電池。
  16. 【請求項16】 前記複数枚積層された網状構造電極
    は、互いに隣リ合う網状構造電極同士の網目角度が5〜
    45度の範囲内の角度でずれるように積層配置される請
    求項10ないし請求項15のいずれかに記載の色素増感
    型太陽電池。
  17. 【請求項17】 前記複数枚積層された網状構造電極
    は、網目角度が5〜45度の範囲内の角度で同一回転方
    向に順次ずれるように積層配置される請求項10ないし
    請求項15のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  18. 【請求項18】 前記網状導電性体の表面は酸化物半導
    体で覆われてなる請求項10ないし請求項17のいずれ
    かに記載の色素増感型太陽電池。
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