JP2012089407A - 作用極用網状体、作用極、その製造方法及び色素増感太陽電池 - Google Patents

作用極用網状体、作用極、その製造方法及び色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池の発電能力の低下を十分に抑制できる作用極用網状体、作用極、その製造方法及び色素増感太陽電池を提供すること。
【解決手段】複数本の第1金属線材21Aと、複数本の第1金属線材21Aに対して交差するように配置される複数本の第2金属線材21Bとを有し、複数本の第1金属線材21Aの各々が、第2金属線材21Bの各々と交差する位置に凹部23を有し、複数本の第2金属線材21Bの各々が凹部23に嵌め込まれている作用極用網状体21。
【選択図】図3

Description

本発明は、作用極用網状体、作用極、その製造方法及び色素増感太陽電池に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素増感太陽電池が注目されており、色素増感太陽電池に関して種々の開発が行われている。
色素増感太陽電池は一般に、作用極と、対極と、作用極及び対極を連結する封止部と、作用極、対極及び封止部とによって囲まれる電解質とを備えている。作用極は一般に、基板と、基板の表面上に形成される導電膜と、導電膜上に形成される多孔質酸化物半導体膜とで構成される。ここで、導電膜としては、可視光に対する透過性が高く、高い電気伝導性を有することから、スズドープ酸化インジウム(ITO:Indium doped Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO:Fluorine doped Tin Oxide)などの透明導電膜が使用されている。
しかし、ITO、FTOなどの透明導電膜は、色素増感太陽電池の低価格化の妨げとなっており、このような透明導電膜を用いない色素増感太陽電池が求められていた。
このような透明導電膜を用いない色素増感太陽電池として、基板と、基板上に配置される網目状の作用極と、作用極に対向して配置される対極と、基板及び対極を連結する封止部と、基板、対極及び封止部によって囲まれる電解質とを備えたものが知られている(例えば下記特許文献1)。
下記特許文献1に記載の色素増感太陽電池においては、網目状の作用極として、金属からなる網状導電性体と、網状導電性体の表面に被着・形成された多孔質酸化物半導体層と、多孔質酸化物半導体層の内部表面に結合された有機色素膜とを有する酸化物半導体色素結合電極を用いることが開示されている。上記網状導電性体としては、平織金網等の織物が用いられ、上記作用極は、多孔質酸化物半導体層で発生した電子を、網状導電性体を通して外部に取り出すことが可能である。
特開2001−283944号公報
しかし、上述した特許文献1に記載の酸化物半導体色素結合電極は、以下の課題を有していた。
即ち、網状導電性体として平織金網等の織物(テキスタイル)を用いると、多孔質酸化物半導体層にクラックが入る場合があり、場合によってはテキスタイルからの多孔質酸化物半導体層の剥離が生じることがあった。そのため、色素増感太陽電池の発電能力が著しく低下する場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、色素増感太陽電池の発電能力の低下を十分に抑制できる作用極用網状体、作用極、その製造方法及び色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特許文献1に記載の酸化物半導体色素結合電極において、多孔質酸化物半導体層にクラックが入ったり、テキスタイルから多孔質酸化物半導体層の剥離が生じたりしたのは、以下の理由によるものではないかと考えた。即ち、作用極の製造に際しては、テキスタイルに、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布しこのペーストを焼成後に冷却すると、テキスタイルがその熱収縮時に3次元的な変形を起こす。このため、テキスタイルの熱収縮時において、得られる多孔質酸化物半導体層に大きな熱ひずみが作用する。その結果、多孔質酸化物半導体層にクラックが入ったり、テキスタイルから多孔質酸化物半導体層の剥離が生じたりしたのではないかと本発明者は考えた。また、作用極を製造した後に、多孔質酸化物半導体層にクラックが入ったり、テキスタイルから多孔質酸化物半導体層の剥離が生じたりしていなかったとしても、上記のようにテキスタイルが3次元的な変形を起こすことで多孔質酸化物半導体層に大きなひずみが作用することは、作用極の製造時だけでなく、作用極を色素増感太陽電池に組み込んで使用している時にも起こりうるものと本発明者は考えた。具体的には、作用極を組み込んだ色素増感太陽電池が、曲げられる場合や屋外で使用されて大きな温度変化を受ける場合にも、作用極中のテキスタイルが3次元的な変形を起こし、多孔質酸化物半導体層に大きなひずみが作用するものと本発明者は考えた。そこで、本発明者は更に鋭意研究を重ねた結果、テキスタイルを構成する金属線材同士が交差位置において互いに拘束されていることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、複数本の第1金属線材と、前記複数本の第1金属線材に対して交差するように配置される複数本の第2金属線材とを有し、前記複数本の第1金属線材の各々が、前記複数本の第2金属線材の各々と交差する位置に凹部を有し、前記複数本の第2金属線材の各々が前記凹部に嵌め込まれていることを特徴とする作用極用網状体である。
この作用極用網状体は以下の作用効果を奏する。即ち作用極の製造に際して、作用極用網状体に、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布しペーストを焼成した後に冷却すると、網状体も、高温状態とされた後、冷却されることになる。この過程において、網状体を構成する第1金属線材および第2金属線材は熱収縮を起こす。このとき、第2金属線材が、第1金属線材と交差する位置に形成された凹部に嵌め込まれており、第2金属線材が第1金属線材に対して拘束されている。このため、第1金属線材および第2金属線材の熱収縮時に、網状体において3次元的な変形が起こることが十分に抑制され、得られる多孔質酸化物半導体層に大きな熱ひずみが作用しにくくなる。その結果、多孔質酸化物半導体層においてクラックが入りにくくなり、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。従って、本発明の作用極用網状体を色素増感太陽電池の作用極の網状体として用いると、作用極で発電した電子のパスが遮断されることが十分に抑制され、発電能力の低下を十分に抑制することができる。
また、本発明の網状体を用いて作用極を製造した後に、多孔質酸化物半導体層にクラックが入ったり、網状体から多孔質酸化物半導体層の剥離が生じたりしていなかったとしても、上記のように網状体が3次元的な変形を起こすことで多孔質酸化物半導体層に大きなひずみが作用することは、作用極の製造時だけでなく、作用極を色素増感太陽電池に組み込んで使用している時にも起こりうるものである。即ち、本発明の作用極用網状体を作用極の網状体に使用した色素増感太陽電池が曲げられる場合、その曲げに伴って、例えば第1金属線材を第2金属線材に対して動かそうとする力が加わる。このとき、第2金属線材が、第1金属線材と交差する位置に形成された凹部に嵌め込まれており、第2金属線材が第1金属線材に対して拘束されている。このため、網状体において3次元的な変形が起こることが十分に抑制され、その変形により多孔質酸化物半導体層に大きなひずみが発生することが抑制される。その結果、多孔質酸化物半導体層におけるクラックの発生が十分に抑制され、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。また、本発明の作用極用網状体を作用極に使用した色素増感太陽電池が屋外で使用されて大きな温度変化を受けると、網状体が、高温状態とされた後、冷却されることとなる。この過程において、網状体を構成する第1金属線材および第2金属線材は熱収縮を起こす。このとき、第2金属線材が、第1金属線材と交差する位置に形成された凹部に嵌め込まれており、第2金属線材が第1金属線材に対して拘束されている。このため、第1金属線材および第2金属線材の熱収縮時に、網状体において3次元的な変形が起こることが十分に抑制され、得られる多孔質酸化物半導体層に大きな熱ひずみが作用しにくくなる。その結果、多孔質酸化物半導体層にクラックが入りにくくなり、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。
従って、本発明の作用極用網状体を色素増感太陽電池の作用極用網状体として使用すると、作用極で発電した電子のパスが遮断されることが十分に抑制され、発電能力の低下を十分に抑制することができる。
上記作用極用網状体においては、第1金属線材の凹部の最大深さが、前記第1金属線材の最大厚さの1/3〜1/2であることが好ましい。
この場合、第1金属線材の凹部の最大深さが、第1金属線材の最大厚さの1/3〜1/2の範囲を外れる場合に比べて、第1金属線材に対する第2金属線材の動きがより効果的に拘束される。
上記作用極用網状体においては、前記凹部の最大深さが、前記第2金属線材の最大厚さと等しいことが好ましい。
この場合、第1金属線材の凹部の最大深さが、第2金属線材の最大厚さよりも小さい場合に比べて、第1金属線材に対する第2金属線材の動きがより一層効果的に拘束される。また、織物全体を薄くすることができる。
上記作用極用網状体において、前記網状体は、例えば前記第1金属線材となる第1金属部材と、前記第2金属線材となる第2金属部材とを交差させてなる織物を圧延加工して得られるものであればよい。
また本発明は、導電性の網状体と、前記網状体を被覆する多孔質酸化物半導体層とを備える作用極であって、前記網状体が、上述した作用極用網状体であることを特徴とする作用極である。
この作用極は、色素増感太陽電池の作用極として使用した場合に以下の作用効果を奏する。即ち本発明の作用極を使用した色素増感太陽電池が曲げられる場合、その曲げに伴って、例えば第1金属線材を第2金属線材に対して動かそうとする力が加わる。このとき、第2金属線材が、第1金属線材と交差する位置に形成された凹部に嵌め込まれており、第2金属線材が第1金属線材に対して拘束されている。このため、網状体において3次元的な変形が十分に抑制され、その変形により多孔質酸化物半導体層に大きなひずみが発生することが抑制される。その結果、多孔質酸化物半導体層におけるクラックの発生が十分に抑制され、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。また、本発明の作用極を使用した色素増感太陽電池が屋外で使用されて大きな温度変化を受けると、網状体が、高温状態とされた後、冷却されることになる。この過程において、網状体を構成する第1金属線材および第2金属線材は熱収縮を起こす。このとき、第2金属線材が、第1金属線材と交差する位置に形成された凹部に嵌め込まれており、第2金属線材が第1金属線材に対して拘束されている。このため、第1金属線材および第2金属線材の熱収縮時に、網状体において3次元的な変形が十分に抑制され、得られる多孔質酸化物半導体層に大きな熱ひずみが作用しにくくなる。その結果、多孔質酸化物半導体層にクラックが入りにくくなり、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。
従って、本発明の作用極を色素増感太陽電池の作用極として使用すると、作用極で発電した電子のパスが遮断されることが十分に抑制され、発電能力の低下を十分に抑制することができる。
また本発明は、導電性の網状体に、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布し前記ペーストを焼成した後、冷却して多孔質酸化物半導体層を形成することによって得られる作用極の製造方法であって、前記網状体が、上述した作用極用網状体である、作用極の製造方法である。
この製造方法によれば、上述した作用極用網状体に、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布しペーストを焼成した後に冷却すると、網状体が、高温状態とされた後、冷却されることになる。この過程において、網状体を構成する第1金属線材および第2金属線材は熱収縮を起こす。このとき、第2金属線材が、第1金属線材と交差する位置に形成された凹部に嵌め込まれており、第2金属線材が第1金属線材に対して拘束されている。このため、第1金属線材および第2金属線材の熱収縮時において、網状体が3次元的な変形が十分に抑制され、得られる多孔質酸化物半導体層に大きな熱ひずみが作用しにくくなる。その結果、多孔質酸化物半導体層においてクラックが入りにくくなり、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。従って、本発明の製造方法により得られる作用極を色素増感太陽電池の作用極として用いると、作用極で発電した電子のパスが遮断されることが十分に抑制され、発電能力の低下を十分に抑制することができる。
また本発明は、作用極と、前記作用極に対向して配置される対極と、前記作用極及び前記対極と接触する電解質とを備えており、前記作用極が、上述した作用極で構成される色素増感太陽電池である。
この色素増感太陽電池によれば、作用極として、上述した作用極が用いられる。このため、多孔質酸化物半導体層にクラックが入りにくくなっており、網状体からの多孔質酸化物半導体層の剥離も十分に抑制される。従って、本発明の色素増感太陽電池によれば、作用極で発電した電子のパスが遮断されることが十分に抑制され、発電能力の低下を十分に抑制することができる。
なお、本発明において、凹部とは、第2金属線材が第1金属線材に食い込むことにより形成される空間であって、第1金属線材と第2金属線材との界面によって形成される空間を言うものとする。従って、第2金属線材が第1金属線材に接触しているだけで、食い込んでいない場合は凹部は形成されていないものとする。
凹部の最大深さDmaxとは、以下のように定義される。即ち、第1金属線材の中心軸線を通り且つ第2金属線材の長手方向に直交する面で第1金属線材を切断したときのその面と凹部との交線は曲線となる。ここで、曲線の両端を結ぶ直線から、曲線上の点までの距離の最大値を凹部の最大深さDmaxと言うものとする。
例えばその曲線がコの字状である場合、コの字の両端を結ぶ直線から、底辺までの距離は一定であり、この一定の距離が凹部の最大深さとなる。
また上記曲線が円弧状の曲線である場合には、この円弧状曲線の両端を結ぶ直線から、曲線上の点までの距離は、曲線の一端から離れるに従って大きくなり、やがて最大となった後、曲線の他端に向かうにつれて小さくなっていく。このときの最大値が凹部の最大深さDmaxとなる。
第1金属線材の最大厚さとは、第1金属線材と第2金属線材とが交差しない位置における第1金属線材の厚さの最大値であって、第1金属線材の長手方向、及び第2金属線材の長手方向の両方に直交する方向における第1金属線材の厚さの最大値を言う。
また第2金属線材の最大厚さとは、第1金属線材と第2金属線材とが交差する位置における第2金属線材の厚さの最大値であって、第1金属線材の長手方向、及び第2金属線材の長手方向の両方に直交する方向における第2金属線材の厚さの最大値を言う。
本発明によれば、色素増感太陽電池の発電能力の低下を十分に抑制できる作用極用網状体、作用極、その製造方法及び色素増感太陽電池が提供される。
本発明に係る色素増感太陽電池の好適な実施形態を概略的に示す断面図である。 図1の作用極を示す平面図である。 図2のIII−III線に沿った切断面端面図である。 図3の部分拡大図である。 図3の作用極を形成するための織物を示す切断面端面図である。 図5の織物を圧延加工する工程を示す工程図である。 図3の網状体の変形例を示す切断面端面図である。 図7の部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る色素増感太陽電池の好適な実施形態を概略的に示す断面図、図2は、図1の作用極を示す平面図、図3は図2のIII−III線に沿った切断面端面図、図4は、図3の部分拡大図である。
図1に示すように、色素増感太陽電池100は、基材1と、基材1上に設けられる作用極2と、作用極2に対向配置された対極7と、基材1及び対極7を連結する封止部4と、作用極2と対極7と封止部4とによって包囲されるセル空間内に充填される電解質5とを備えている。基材1及び対極7のうち少なくとも基材1は、光を透過させて作用極2に入射させることが可能となっている。
図2に示すように、作用極2は、導電性の網状体21と、網状体21を被覆する多孔質酸化物半導体層22とを備えている。多孔質酸化物半導体層22には光増感色素(図示せず)が担持されている。網状体21は、複数本の第1金属線材21Aと、複数本の第1金属線材21Aの各々に対して交差するように配置される複数本の第2金属線材21Bとを有しており、第1金属線材21A及び第2金属線材21Bによって織物(テキスタイル)が形成されている。そして、図3に示すように、複数本の第1金属線材21Aの各々は、複数本の第2金属線材21Bの各々と交差する位置に凹部23を有し、第2金属線材21Bが凹部23に嵌め込まれている。
また作用極2においては、図4に示すように、凹部23の最大深さDmaxが第2金属線材21Bの最大厚さT2maxと等しくなっている。さらに作用極2においては、凹部23の最大深さDmaxは、第1金属線材21Bの最大厚さT1maxの1/3〜1/2となっている。
色素増感太陽電池100によれば、色素増感太陽電池100が曲げられる場合や屋外で使用されて大きな温度変化を受ける場合に発電能力の低下を十分に抑制できる。
即ち色素増感太陽電池100が曲げられる場合、その曲げに伴って、例えば第1金属線材21Aを第2金属線材21Bに対して動かそうとする力が加わる。このとき、第2金属線材21Bが、第1金属線材21Aと交差する位置に形成された凹部23に嵌め込まれており、第2金属線材21Bが第1金属線材21Aに対して拘束されている。このため、網状体21において3次元的な変形が起こることが十分に抑制され、その変形により多孔質酸化物半導体層22に大きなひずみが発生することが抑制される。その結果、多孔質酸化物半導体層22におけるクラックの発生が十分に抑制され、網状体21からの多孔質酸化物半導体層22の剥離も十分に抑制される。従って、色素増感太陽電池100によれば、作用極2で発電した電子のパスが遮断されることが十分に抑制され、発電能力の低下を十分に抑制することができる。
また、色素増感太陽電池100が屋外で使用されて大きな温度変化を受ける場合は、網状体21が高温状態とされた後、冷却されることとなる。この過程において、網状体21を構成する第1金属線材21Aおよび第2金属線材21Bは熱収縮を起こす。このとき、第2金属線材21Bが、第1金属線材21Aと交差する位置に形成された凹部23に嵌め込まれており、第2金属線材21Bが第1金属線材21Aに対して拘束されている。このため、第1金属線材21Aおよび第2金属線材21Bの熱収縮時に、網状体21において3次元的な変形が起こることが十分に抑制され、得られる多孔質酸化物半導体層22に大きな熱ひずみが作用しにくくなる。その結果、多孔質酸化物半導体層22にクラックが入りにくくなり、網状体21からの多孔質酸化物半導体層22の剥離も十分に抑制される。
特に、本実施形態の色素増感太陽電池100では、第1金属線材21Aの凹部23の最大深さDmaxが、第2金属線材21Bの最大厚さT2maxと等しくなっている。このため、第1金属線材21Aの凹部23の最大深さDmaxが、第2金属線材21Bの最大厚さT2maxより小さい場合に比べて、第1金属線材21Aに対する第2金属線材21Bの動きがより効果的に拘束されている。従って、多孔質酸化物半導体層22におけるクラックの発生を効果的に抑制でき、作用極2で発電した電子のパスが遮断されることが効果的に抑制され、発電能力の低下を効果的に抑制することができる。また網状体21全体を薄くすることが可能となり、作用極2を薄くすることが可能となる。
また本実施形態では、作用極2においては、凹部23の最大深さDmaxが、第1金属線材21Bの最大厚さT1maxの1/3〜1/2となっており、第1金属線材21Aの凹部23の最大深さDmaxが、第1金属線材21Aの最大厚さT1maxの1/3〜1/2の範囲を外れる場合に比べて、第1金属線材21Aに対する第2金属線材21Bの動きがより効果的に拘束される。
次に、上述した色素増感太陽電池100の製造方法について図5及び図6を用いて説明する。図5は、網状体21を形成するための織物を示す切断面端面図、図6は、織物を圧延加工する工程を示す工程図である。
[準備工程]
まず基材1、作用極2及び対極7を準備する。
(基材)
基材1を構成する材料は、例えば可視光に対して透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。基材1の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50μm〜10000μmの範囲にすればよい。
(作用極)
作用極2は、以下のようにして得ることができる。
はじめに図5に示すように、複数本の第1金属部材210A及び複数本の第2金属部材210Bを準備する。ここで、第1金属部材210Aは、網状体21の第1金属線材21Aとなるものであり、第2金属部材210Bは、網状体21の第2金属線材21Bとなるものである。第1金属部材210A及び第2金属部材210Bは、電解質5に対する耐食性の高い金属であればいかなるものでも使用可能である。第1金属部材210A及び第2金属部材210Bとしては、例えばチタン、タングステン及び白金などの金属材料を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて合金として使用することが可能である。
第1金属部材210A及び第2金属部材210Bは、多孔質酸化物半導体層22よりも低い抵抗を有する金属材料を用いることが好ましい。この場合、多孔質酸化物半導体層22で発生した電子をより容易に取り出すことが可能となる。例えば、多孔質酸化物半導体層22としてTiOを用いる場合には、第1金属線材21A及び第2金属部材210Bを構成する金属として、Ti、Ptなどを用いることができる。中でも、耐食性及びコストの観点からTiが好ましい。
第1金属線材21A及び第2金属線材21Bとしては、Tiで金属線を被覆してなるTi被覆金属線を用いることも可能である。このようなTi被覆金属線としては、例えばTi被覆銅(Cu)線が挙げられる。耐食性の高いTiで、Tiよりも導電性の高いCu線からなる中心線を被覆することにより、該Ti被覆金属線で構成される作用極2の内部抵抗を抑えると同時に、該Ti被覆金属線の電解質5による腐食を抑制することができる。
前記Ti被覆Cu線の製造方法は、公知の方法で行うことができる。例えば、Tiを押出成型等によってパイプ状に形成すると共に、Cuを押出成型等によって線状に形成し、これらTiパイプとCu線を同時に走行させつつTi製パイプの内部にCu線を挿入し、これらを絞って、両者間を密着させて、Ti被覆Cu線を得ることができる。
このような線引き加工法により作製されたTi被覆Cu線は、スパッタ法やめっき加工法等によって製造されたものよりも被覆層の密着性に優れ、その製造コストを低く抑えることができる。
なお、Ti被覆金属線は、金属線をTiで被覆したものであるが、Tiに代えて、Tiを含む合金を用いることも可能である。また金属線を構成する材料は、金属線を被覆する材料よりも低い抵抗を有するものであればよく、Cuに限定されるものではない。
第1金属部材210A及び第2金属部材210Bの断面形状は、四角形などの多角形でも円形でもよい。
次に、複数本の第1金属部材210Aを互いに平行に配列させ、第1金属部材210Aに対して交差するように複数本の第2金属部材210Bを配置させて、図5に示すように、織物210を作製する。織物210としては、平織物、綾織物及び朱織物などが挙げられる。中でも、厚みを小さくすることができるという理由から、平織物を用いることが好ましい。
そして、織物210を、図6に示すように、一対のローラRの間に挿入して圧延加工する。これにより、第1金属部材210Aと第2金属部材210Bとが交差する位置において、第2金属部材210Bが塑性変形しながら第1金属部材210Aに食い込み、第2金属線材21Bとなり、第1金属部材210Aは第1金属線材21Aとなる。こうして、第1金属線材21Aに凹部23が形成され、その凹部23に第2金属線材21Bが嵌め込まれた網状体21が得られる。このとき、一対のローラR間のギャップは、第1金属線材21Aの最大厚さと等しくなるようにする。これにより、凹部23の最大深さDmaxを、第2金属線材21Bの最大厚さと等しくすることができる。
次に、多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを網状体21に塗布する。多孔質酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子を含むものであればよいが、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。多孔質酸化物半導体層形成用ペーストの塗布方法としては、例えば浸漬塗布法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
次に、多孔質半導体層形成用ペーストを焼成した後、冷却する。こうして、網状体21の表面上に、多孔質酸化物半導体層22を形成する。焼成温度は酸化物半導体粒子により異なるが、通常は140℃〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子により異なるが、通常は1〜5時間である。
上記のように、網状体21に、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布しペーストを焼成した後、冷却すると、網状体21も、高温状態とされた後、冷却されることになる。この過程において、網状体21を構成する第1金属線材21Aおよび第2金属線材21Bは熱収縮を起こす。このとき、第2金属線材21Bが、第1金属線材21Aと交差する位置に形成された凹部23に嵌め込まれており、第2金属線材21Bが第1金属線材21Aに対して拘束されている。特に、本実施形態の色素増感太陽電池100では、第1金属線材21Aの凹部23の最大深さDmaxが、第2金属線材21Bの最大厚さT2maxと等しくなっている。このため、第1金属線材21Aの凹部23の最大深さDmaxが、第2金属線材21Bの最大厚さT2maxより小さい場合に比べて、第1金属線材21Aに対する第2金属線材21Bの動きがより効果的に拘束されている。このため、第1金属線材21Aおよび第2金属線材21Bの熱収縮時に、網状体21において3次元的な変形が起こることが十分に抑制され、得られる多孔質酸化物半導体層22に大きな熱ひずみが作用しにくくなる。その結果、多孔質酸化物半導体層22にクラックが入りにくくなり、網状体21からの多孔質酸化物半導体層22の剥離も十分に抑制される。
上記酸化物半導体粒子としては、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb25)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)又はこれらの2種以上で構成される酸化物半導体粒子が挙げられる。これら酸化物半導体粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが、色素で覆われた酸化物半導体の表面積が大きくなり、即ち光電変換を行う場が広くなり、より多くの電子を生成することができることから好ましい。ここで、多孔質酸化物半導体層22が、粒度分布の異なる酸化物半導体粒子を積層させてなる積層体で構成されることが好ましい。この場合、積層体内で繰り返し光の反射を起こさせることが可能となり、入射光を積層体の外部へ逃がすことなく効率よく光を電子に変換することができる。多孔質酸化物半導体層22の厚さは、例えば0.5〜50μmとすればよい。なお、多孔質酸化物半導体層22は、異なる材料からなる複数の半導体層の積層体で構成することもできる。こうして作用極2が得られる。
[色素担持工程]
次に、作用極2の多孔質酸化物半導体層22に光増感色素を担持させる。このためには、作用極2を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を多孔質酸化物半導体層22に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を多孔質酸化物半導体層22に吸着させればよい。但し、光増感色素を含有する溶液を多孔質酸化物半導体層22に塗布した後、乾燥させることによって光増感色素を酸化物半導体多孔膜に吸着させても、光増感色素を多孔質酸化物半導体層22に担持させることが可能である。
光増感色素としては、例えばN3、N719、ブラックダイなどのルテニウム色素、ポルフィリン、フタロシアニンなどの錯体色素、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素が挙げられる。
(対極)
一方、対極7は、以下のようにして得ることができる。
即ち対極7としては、例えば対極基板6上に触媒膜3を形成した板状体を用いることができる。触媒膜3の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法などが用いられる。これらのうちスパッタ法が膜の均一性の点から好ましい。
対極基板6を構成する材料は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン等の耐食性の金属材料や、基材1と同様の材料にITOやFTO等の導電性酸化物を形成したものなどが挙げられる。
対極基板6の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば10〜200μmの範囲にすればよい。
触媒膜3は、白金又は炭素系材料などから構成される。
なお、対極基板6として白金又は炭素系材料を使用する場合には、触媒膜3は省略することも可能である。
また対極7は、絶縁性の板状体の上に、金属線を用いて形成される織物を設けてなるものであってもよい。金属線としては、例えば第1金属線材21Aや第2金属線材21Bを触媒で被覆したものを用いることができる。この場合、絶縁性の板状体としては、基材1と同様のものを用いることができる。
[封止部の固定工程]
次に、基材1の表面に作用極2を接触させ、基材1の表面の周縁部に封止部4を固定する。
[電解質配置工程]
次に、作用極2上であって封止部4の内側に電解質5を配置する。電解質5は、作用極2上であって封止部4の内側に注入したり、印刷したりすることによって得ることができる。
電解質5は通常、電解液で構成され、この電解液は例えばI/I などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI/I のほか、臭素/臭化物イオンなどの対が挙げられる。色素増感太陽電池100は、酸化還元対としてI/I のような揮発性溶質及び、高温下で揮発しやすいアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリルのような有機溶媒を含む電解液を電解質5として用いた場合に特に有効である。この場合、色素増感太陽電池100の周囲の環境温度の変化によりセル空間の内圧の変化が特に大きくなり、封止部4と対極7との界面、および封止部4と作用極2との界面から電解質5が漏洩しやすくなるからである。なお、上記揮発性溶媒にはゲル化剤を加えてもよい。また電解質5は、イオン液体と揮発性成分との混合物からなるイオン液体電解質で構成されてもよい。この場合も、色素増感太陽電池100の周囲の環境温度の変化によりセル空間の内圧の変化が大きくなるためである。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが好適に用いられる。また揮発性成分としては、上記の有機溶媒や、1−メチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、LiI、I、4−t−ブチルピリジンなどが挙げられる。さらに電解質5としては、上記イオン液体電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットイオンゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化したイオン液体電解質を用いてもよい。
[熱圧着工程]
そして対極7を、触媒膜3を作用極2に向けた状態で封止部4と重ね合わせ、対極7及び基材1の周縁部を熱圧着する。こうして、色素増感太陽電池100の製造が完了する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、作用極2において、凹部23の最大深さDmaxが第2金属線材21Bの最大厚さT2maxと等しくなっているが、図7及び図8に示すように、凹部23の最大深さDmaxが第2金属線材21Bの最大厚さT2maxより小さくてもよい。但し、凹部23の最大深さDmaxは、第2金属線材21Bの最大厚さT2maxの1/2以上であることが好ましい。この場合、第2金属線材21Bが第1金属線材21Aにしっかりと食い込むことになり、凹部23の最大深さDmaxが、第2金属線材21Bの最大厚さT2maxの1/2未満である場合に比べて、第1金属線材21Aに対する第2金属線材21Bの動きがより十分に抑制されることになる。このため、多孔質酸化物半導体層22においてクラックがより入りにくくなり、網状体21からの多孔質酸化物半導体層22の剥離がより十分に抑制され、その結果、光電変換効率の更なる向上を図ることができる。
また上記実施形態では、凹部23の最大深さDmaxが、第1金属線材21Aの最大厚さT1maxの1/3〜1/2となっているが、凹部23の最大深さDmaxは、第1金属線材21Aの最大厚さT1maxの1/3〜1/2の範囲を外れてもよい。
さらに上記実施形態では、網状体21が織物で構成されているが、網状体21は、必ずしも織物である必要はない。即ち、網状体は、複数本の第1金属線材21Aに対し複数本の第2金属線材21Bのそれぞれを織り込まずに真っ直ぐに延びるように配置してなるものであってもよい。この場合、凹部は、網状体の一方の側にのみ形成され、その凹部に第2金属線材が嵌め込まれることになる。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
はじめに、直径0.05mmの第1金属部材と、同じく直径0.5mmの第2金属部材を用意し、これらを用いて、横50mm×縦50mmの平織物を製織した。第1金属部材及び第2金属部材としてはTiを用いた。
上記のようにして得られた平織物を一対のロール間に挿入して平織物の圧延加工を行い、網状体を得た。このとき、一対のロール間のギャップは0.05mmとした。また網状体の厚さは0.05mmであった。また第1金属部材は第1金属線材となり、第2金属部材は第2金属線材となった。第1金属線材には、第2金属線材と交差する位置に凹部が形成され、凹部の最大深さDmaxは、第1金属線材の最大厚さT1maxの1/2であり、第2金属線材の最大厚さT2maxと同一であった。
この網状体の外周の3辺に、集電極としてTi板を溶接により取り付けた。このとき、網状体の外周の3辺のうち2辺には、厚さ100μm、幅5mmのTi板を取り付け、残りの1辺には、厚さ100μm、幅15mmのTi板を取り付けた。ここで、Ti板の幅を他のTi板より大きくしたのは、セルの外への電極取り出しのためである。
集電極を取り付けた網状体を、TiOペースト(触媒化学社製PST−21NR)中に浸漬した後に引き上げて仮乾燥し、続いて電気炉にて500℃で1時間の条件で焼結した後、冷却した。こうして網状体に、厚さ約15μmの多孔質酸化物半導体層が形成され、作用極が得られた。
この作用極を、1:1(体積比)で混合したアセトニトリル及びtert−ブタノールの混合溶媒を含み、ルテニウム色素(N719)の濃度を0.3mMとした色素溶液中に浸漬し、室温で24時間放置して、多孔質酸化物半導体層表面に色素を担持させた。そして、作用極を色素溶液から引き上げた後、上記混合溶媒で洗浄した。
次に、50mm×50mm×0.04mmの寸法を有するTi板を用意し、このTi板に、三次元RFスパッタ装置を用いてPtを蒸着させ、対極を得た。
一方、色素を担持した作用極、対極及び電解質を封止する外装フィルムとして、50μm×70mm×70mmの寸法を有するPETフィルムを2枚用意した。
そして、1枚のPETフィルム上に、エチレン−メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレル、三井・デュポンポリケミカル社製)からなる四角環状の樹脂シートを配置した。この樹脂シートとしては、20μm×70mm×70mmの寸法を有するシートに、50mm×50mmの開口を形成したものを用いた。そして、この樹脂シートの内側に、色素を担持した作用極を配置した。続いて、樹脂シートの内側に、メトキシアセトニトリルを溶媒とする揮発性電解質を注入した。その後、色素を担持した作用極に対向するように対極、樹脂シート及びもう1枚のPETフィルムを順次重ね合わせた。このとき、樹脂シートとしては、エチレン−メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレル、三井・デュポンポリケミカル社製)からなり、20μm×70mm×70mmの寸法を有する四角形状の樹脂シートを配置した。そして、PETフィルムの周縁部を熱圧着し、色素増感太陽電池を得た。
(実施例2)
第1金属線材の凹部の最大深さDmaxを第1金属線材の最大厚さT1maxの1/4とし、第2金属線材の最大厚さT2maxの1/3としたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例3)
第1金属線材の凹部の最大深さDmaxを第1金属線材の最大厚さT1maxの1/3とし、第2金属線材の最大厚さT2maxの1/2としたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(比較例1)
平織物の圧延加工を行わず、第1金属線材に凹部を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
[特性評価]
実施例1〜3及び比較例1で得られた色素増感太陽電池に対し、ソーラーシミュレータ(AM1.5、100mW/cm)にて光を照射して、電流電位曲線を得た。そして、この電流電位曲線の結果から光電変換効率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2012089407
表1に示す結果より、第1金属線材に凹部を有する実施例1〜3の色素増感太陽電池は、第1金属線材に凹部を有しない比較例1の色素増感太陽電池に比べて、光電変換効率が著しく高くなることが分かった。
このことから、本発明の作用極によれば、色素増感太陽電池の発電能力の低下を十分に抑制できることが確認された。
2…作用極
5…電解質
7…対極
21…網状体
21A…第1金属線材
21B…第2金属線材
22…多孔質酸化物半導体層
23…凹部
100…色素増感太陽電池
210…織物
210A…第1金属部材
210B…第2金属部材
Dmax…凹部の最大深さ
T1max…第1金属線材の最大厚さ
T2max…第2金属線材の最大厚さ

Claims (7)

  1. 複数本の第1金属線材と、
    前記複数本の第1金属線材に対して交差するように配置される複数本の第2金属線材とを有し、
    前記複数本の第1金属線材の各々が、前記複数本の第2金属線材の各々と交差する位置に凹部を有し、
    前記複数本の第2金属線材の各々が前記凹部に嵌め込まれていることを特徴とする作用極用網状体。
  2. 前記凹部の最大深さが、前記第1金属線材の最大厚さの1/3〜1/2である請求項1に記載の作用極用網状体。
  3. 前記凹部の最大深さが、前記第2金属線材の最大厚さと等しい請求項1又は2に記載の作用極用網状体。
  4. 前記網状体が、前記第1金属線材となる第1金属部材と、前記第2金属線材となる第2金属部材とを交差させてなる織物を圧延加工して得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作用極用網状体。
  5. 導電性の網状体と、
    前記網状体を被覆する多孔質酸化物半導体層とを備える作用極であって、
    前記網状体が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作用極用網状体である、ことを特徴とする作用極。
  6. 導電性の網状体に、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布し前記ペーストを焼成した後、冷却して多孔質酸化物半導体層を形成することによって得られる作用極の製造方法であって、前記網状体が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作用極用網状体である、作用極の製造方法。
  7. 作用極と、
    前記作用極に対向して配置される対極と、
    前記作用極及び前記対極と接触する電解質とを備えており、
    前記作用極が、請求項5に記載の作用極で構成される色素増感太陽電池。
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