JP2001253993A - ポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法 - Google Patents
ポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法Info
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Abstract
の製膜性に優れたポリビニルアルコール系フィルム及び
その製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂に、ノニオ
ン系界面活性剤を含有せしめてなるポリビニルアルコー
ル系フィルム、及び、含水率35〜65重量%のポリビ
ニルアルコール系樹脂とノニオン系界面活性剤との組成
物を、押出機に供給して溶融混練した後、Tダイより押
出し製膜し、乾燥するポリビニルアルコール系フィルム
の製造方法。
Description
ール系フィルム及びその製造方法に関し、更に詳しくは
ダイラインや異物のない製膜性、特に長期の製膜性に優
れたポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法
に関するものである。
て製造されるフィルムはその優れた特性と品質の多様性
とが相まって多方面で応用されており、更に、逐次二軸
延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムはガスバ
リヤー性や機械的強度、透明性、光沢性等に優れ、食品
包装や医療用輸液バック、農薬包材等の非食品分野等に
利用されている。
製造するに当たっては、生産速度が大きいこと等の利点
を期待して、含水ポリビニルアルコール系樹脂を押出機
にて溶融製膜する方法が行われることが多い。そして、
得られたポリビニルアルコール系フィルムは必要に応じ
て延伸処理が施されている。
らTダイまでのライン(メルトライン)中における管壁
と樹脂との滑り性を付与するため、ステアリン酸マグネ
シウムを滑剤としてポリビニルアルコール系樹脂に添加
する方法が行われている。
の滑剤としては、例えば特公昭52−22856号公報
にはポリオキシエチレンアルキルアミンが、特公昭52
−2416号公報にはポリアミン系陽イオン界面活性剤
が、特開平5−163369号公報には第4級アンモニ
ウム塩化合物の陽イオン性界面活性剤等が記載されてい
る。
リン酸マグネシウムをポリビニルアルコール系樹脂に添
加する方法では、ステアリン酸の金属塩の融点が高いた
め製造ラインの配管の管壁に沈積しやすく、又未溶融物
が発生しやすくなり、そのためこれら配管の管壁に付着
したり未溶融物がフィルム中に混入したりすることにな
り、フィルムの欠陥を発生し、製造上あるいは使用上の
問題が生じる恐れがある。更に長時間にわたる連続製膜
においても困難なものとしている。
昭52−2416号公報及び特開平5−163369号
公報では、離型性や耐ブロッキング性等のフィルムの物
性改善を考慮したものであるが、製膜時の熱履歴による
臭気の発生及び滑剤の酸化劣化によるフィルムの黄変
等、経時変化を引き起こすなどの問題がある。更には長
期にわたってのフィルムの製膜性等、成形加工面の問題
については検討されておらず、まだまだ改良の余地が残
るものであった。
いて、ダイラインの発生や異物の発生がなく、製膜性、
特に長期の製膜性に優れたポリビニルアルコール系フィ
ルム及びその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
かかる課題について鋭意研究した結果、ポリビニルアル
コール系樹脂に、ノニオン系界面活性剤を含有せしめて
なるポリビニルアルコール系フィルムが上記の目的に合
致することを見出し、本発明を完成した。
にポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキ
シアルキレンアルキルエステルであることが好ましい。
更に、かかるポリビニルアルコール系フィルムは、逐次
二軸延伸を施してなるフィルムであることが、機械的強
度、ガスバリヤー性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、離型
性の点で好ましい。
のポリビニルアルコール系樹脂とノニオン系界面活性剤
との組成物を、押出機に供給して溶融混練した後、Tダ
イより押出し製膜し、乾燥するポリビニルアルコール系
フィルムの製造方法についても提供するものである。
本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂として
は、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン
化して製造されるものであるが、本発明では必ずしもこ
れに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸
(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフ
ィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩類等、
酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していてもよい。
でも、特にケン化度が98〜100モル%が好ましく、
更には99〜99.99モル%が好ましい。かかるケン
化度が98モル%未満ではフィルムの強度が劣る傾向に
あり好ましくない。
しく、更には1000〜2000が好ましく、該平均重
合度が700未満ではフィルムの強度が劣り、3000
を越えると製膜性が悪くなり好ましくない。
としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキ
レンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル
エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、
ソルビタンエステル、ポリオキシアルキレンソルビタン
エステル等が挙げられるが、中でもポリオキシアルキレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエ
ステルが好ましく用いられる。
しては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリ
ルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等
が挙げられ、中でもポリオキシエチレンステアリルエー
テルが特に好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエ
ステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウレー
ト、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチ
レンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等が挙
げられる。
に、上記ノニオン系界面活性剤を含有せしめるわけであ
るが、該ノニオン系界面活性剤の含有量は、ポリビニル
アルコール系樹脂固形分に対して、1〜5000ppm
であることが好ましく、更に好ましくは300〜200
0ppm、特に好ましくは600〜1200ppmであ
る。かかる含有量が1ppm未満では外部滑り性が付与
されず、5000ppmを越えるとフィルムのブロッキ
ング、印刷適性に影響を与えることとなり好ましくな
い。
記ノニオン系界面活性剤を含有せしめてポリビニルアル
コール系フィルムが形成される。更に本発明では、必要
に応じて、その他の添加剤として、例えばグリセリン、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多
価アルコール類の可塑剤や、フェノール系、アミン系等
の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤等を適宜添加
しても差し支えない。
剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活
性剤等の通常の添加剤や澱粉、カルボキシメチルセルロ
ース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース
等の他の水溶性樹脂を適宜配合しても差し支えない。
方法については、特に限定されないが、本発明では、含
水率35〜65重量%のポリビニルアルコール系樹脂と
ノニオン系界面活性剤との組成物を、押出機に供給して
溶融混練した後、Tダイより押出し製膜し、乾燥する方
法が好ましい。
ペレットの形態で、水と混合され所定の含水率に調整
し、Tダイを備えた押出機に供給される。予め粉末ペレ
ットに一部の水を含浸させておくことも可能である。か
かる含水率が35重量%未満では樹脂の溶融不良となり
フィルム肌が荒れる上、その後の延伸により得られる二
軸延伸フィルムの物性があまりよくなく、含水率が65
重量%を越えると膜強度が低下し安定した製膜が難しく
なり好ましくない。
℃が好ましく、更には55〜130℃が好ましい。かか
る温度が55℃未満ではフィルム肌の不良を招き、14
0℃を越えると発泡現象を招き好ましくない。溶融混練
された樹脂は、Tダイより押し出され、製膜され、乾燥
することにより本発明のポリビニルアルコール系フィル
ムが形成される。かかる乾燥については、70〜110
℃、好ましくは80〜90℃で行うことが好ましい。
ル系樹脂にノニオン系界面活性剤を含有せしめてなるた
め、成形加工時において、ダイラインの発生や異物の発
生がなく、製膜性に優れたポリビニルアルコール系フィ
ルムが得られるものであるが、本発明では更に、逐次二
軸延伸を施してなるポリビニルアルコール系フィルムと
することも好ましい。
が2.0〜5.0倍、横方向の延伸倍率が2.0〜4.
0倍であることが好ましく、より好ましくは縦方向の延
伸倍率が3.0〜3.3倍、横方向の延伸倍率が2.5
〜4.0倍である。該縦方向の延伸倍率が2.0倍未満
では延伸による物性の向上が得難く、5.0倍を越える
とフィルムが縦方向へ裂けやすくなり好ましくない。又
横方向の延伸倍率が2.0倍未満では延伸による物性の
向上が得難く、4.0倍を越えるとフィルムが破断する
こととなり好ましくない。
上記ポリビニルアルコール系フィルムの含水率を5〜3
0重量%、好ましくは20〜30重量%に調整しておく
ことが好ましく、上記で得られた乾燥前のポリビニルア
ルコール系フィルムを引き続き乾燥して含水率を調整し
たり、含水率5重量%未満のポリビニルアルコール系フ
ィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施して含水率を調整
したりする方法等がある。
を充分に高めることができず、30重量%を越えると同
様に延伸工程で縦横の延伸倍率を高めることができなく
なり好ましくない。
を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、ポリビ
ニルアルコール系樹脂の融点ないし融点より40℃低い
温度までの範囲から選択することが好ましい。融点より
40℃低い温度より低い場合は寸法安定性が悪く、収縮
率が大きくなり、一方融点より高い場合はフィルムの厚
み変動が大きくなり好ましくない。ポリビニルアルコー
ル系樹脂が酢酸ビニル単独重合体のケン化物である場合
の熱固定温度は、例えば160〜230℃である。又、
熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より
好ましくは5〜10秒間である。
物の発生がなく、製膜性に優れるため、上記の如き逐次
二軸延伸を施しても延伸時に異物による破断がなく、容
易に延伸フィルムを得ることができる。
いは表面に他の樹脂をコーティングし、あるいは他の樹
脂とラミネートして、食品包装用をはじめ種々の用途に
用いることができるのである。
する。尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない
限り重量基準を意味する。
0、ケン化度99.70モル%)(日本合成化学工業社
製、「ゴーセノールNH−17Q」)に、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル(ポリオキシエチレン20モ
ル)(日本油脂社製、「ニッサンノニオンS−22
0」)をポリビニルアルコール固形分に対して600p
pm添加し、かかる樹脂溶液を単軸押出機へ供給し、1
22℃で溶融混練を行った後、フィルター(チューブ型
フィルター、60μ、日本精線社製)を通過して、Tダ
イよりキャストロールにて製膜し、熱風乾燥機で90℃
で30秒間乾燥し、含水率25%のフィルム(A)(厚
み120μm)を作製した。引き続き、かかるフィルム
(A)を縦方向に3倍延伸した後、テンターで横方向に
3倍延伸し、次いで220℃で8秒間熱固定し、二軸延
伸フィルム(B)(厚み12μm)を得た。
ころ、60日間の連続運転においても、ロングラン性が
良好で、ダイラインの発生、ゲルの発生もなく、印刷適
性も良好であった。
テル(ポリオキシエチレン20モル)(日本油脂社製、
「ニッサンノニオンS−220」)をポリビニルアルコ
ール固形分に対して1200ppm添加した以外は同様
に行い、二軸延伸フィルム(B)を得た。
ころ、60日間の連続運転においても、ロングラン性が
良好で、ダイラインの発生、ゲルの発生もなく、印刷適
性も良好であった。
テル(ポリオキシエチレン20モル)(日本油脂社製、
「ニッサンノニオンS−220」)を添加しなかった以
外は同様に行い、二軸延伸フィルム(B)を得た。
ころ、2日間の連続運転にとどまりロングラン性が得ら
れなかった。更に、1日目にはダイラインの発生やゲル
の発生が見られ、ゲルの発生状況は10〜20個/m2
であった。
ニルアルコール固形分に対して600ppm添加した以
外は同様に行い、二軸延伸フィルム(B)を得た。
ころ、20日間の連続運転にとどまり良好なロングラン
性が得られなかった。更に、20日間においてダイライ
ンの発生は見られなかったものの、ゲルの発生が見ら
れ、ゲルの発生状況は10〜20個/m2であった。
ム及びその製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂に
ノニオン系界面活性剤を含有せしめてなるため、ダイラ
インの発生や異物の発生がなく、製膜性、特に長時間の
製膜においても優れた製膜性を示すものである。更に本
発明では、長時間の製膜性に優れるため、二軸延伸を施
す際にフィルムの異物による破断もなく、安定して延伸
フィルムが得られるのである。
Claims (6)
- 【請求項1】 ポリビニルアルコール系樹脂に、ノニオ
ン系界面活性剤を含有せしめてなることを特徴とするポ
リビニルアルコール系フィルム。 - 【請求項2】 ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンア
ルキルエステルであることを特徴とする請求項1記載の
ポリビニルアルコール系フィルム。 - 【請求項3】 逐次二軸延伸を施してなることを特徴と
する請求項1又は2記載のポリビニルアルコール系フィ
ルム。 - 【請求項4】 含水率35〜65重量%のポリビニルア
ルコール系樹脂とノニオン系界面活性剤との組成物を、
押出機に供給して溶融混練した後、Tダイより押出し製
膜し、乾燥することを特徴とするポリビニルアルコール
系フィルムの製造方法。 - 【請求項5】 ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンア
ルキルエステルであることを特徴とする請求項4記載の
ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。 - 【請求項6】 更に、逐次二軸延伸を施すことを特徴と
する請求項4又は5記載のポリビニルアルコール系フィ
ルムの製造方法。
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