JPH1077416A - 組成物、その製造法および用途 - Google Patents

組成物、その製造法および用途

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JPH1077416A
JPH1077416A JP8230558A JP23055896A JPH1077416A JP H1077416 A JPH1077416 A JP H1077416A JP 8230558 A JP8230558 A JP 8230558A JP 23055896 A JP23055896 A JP 23055896A JP H1077416 A JPH1077416 A JP H1077416A
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暁 花田
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竜磨 黒田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性に優れた組成物を提供すること。 【解決手段】無機層状化合物および媒体を高圧分散装置
で処理して得られる組成物、その製造法およびその用
途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無機層状化合物を媒
体に分散させた組成物、その製造法および該組成物から
得られた成形品または積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、流通形態、包装技術の多様化、添
加物規制、嗜好の変化などにより、食品等の包装や容器
として用いる樹脂積層体や成形品に求められる重要な機
能の1つとしてガスバリア性が挙げられる。しかし、ガ
スバリア性は一般プラスチック材料の弱点でもあった。
食品の変質要因としては、酸素、光、熱、水分等があげ
られ、とりわけ酸素はその起因物質として重要である。
内容物を保護するために各種ガスバリア性は食品に大切
な性質であり、バリア材は酸素を有効に遮断すると同時
にガス充填や真空包装などの食品の変質を制御する手段
にとってもなくてはならない材料である。また、酸素ガ
スだけでなく各種のガス、有機溶剤蒸気、香気などに対
するバリア機能を有することにより、防錆、防臭、昇華
防止に利用できることから、菓子袋、カツオパック、レ
トルトパウチ、炭酸ガス飲料容器等の食品用途に加え、
化粧品、農薬、医療等の多くの分野で利用されている。
【0003】熱可塑性樹脂よりなるフィルムの中で、特
に配向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミ
ド等のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透明
性などを有し広く包装材料として用いられている。しか
し、これらのフィルムを食品包装用として用いる場合に
は、酸素やその他の気体の遮断性が不十分であるため、
酸化劣化や好気性微生物による内容物の変質を招き易か
ったり、香気成分が透過してしまい、風味が失われた
り、外界の水分で内容物が湿り口当りが悪くなるなど、
種々の問題を生じがちである。そこで通常は他のガスバ
リア性の良い膜層を積層するなどの方法がとられている
場合が多い。
【0004】従来より、ガスバリア性に優れた透明プラ
スチック素材も種々知られており、例えば、ポリビニル
アルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、
ポリ塩化ビニリデン系樹脂等からなるフィルム等がある
ものの、これらプラスチック素材は未だ無視できない程
度の酸素を透過するものである。また包装用途で、アル
ミ箔を使用した場合にはガスバリア性に優れるものの、
内容物が見えないと云う欠点がある。
【0005】一方、無機層状化合物に樹脂水溶液を添加
した水性混合分散液などの組成物は包材などの用途に広
く用いられている。また該組成物を製膜、シート化また
は基材と複合してなるシート、フィルム、成形品は光学
材料、物質遮断性材料、ハードコート材などとして広く
用いられている。しかしながら、無機粒子と樹脂を分散
したものはガスバリア性や種々の有用な特徴を備えなが
ら、樹脂のみからなる製品と比較し著しく透明性が損な
われるという問題点があった。また、樹脂材料としての
特徴により、成形加工中あるいは成形品が静電気を帯び
易く、空気中の水分の付着により表面が曇ったりするこ
とによる透明性低下など、障害の原因となることもあっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように無機層
状化合物を含有する樹脂からなる組成物は広く用いられ
ているが、食品をはじめとする各種包材用途において
は、包装された製品がよく見えるために透明性に優れて
いることが求められる。商品展示時の美麗さはプラスチ
ック包材に特有のものであり、より曇りの少なく透明な
フィルムの提供が要求される。また工業的な生産におい
ては、インラインでの乾燥に用いるオーブンの必要能力
は固形分濃度に依存し、設備費を低く押さえるために固
形分濃度をより高くすることが望まれる。また、液晶表
示装置においては、熱可塑性樹脂からなる一軸配向性位
相差フィルムを使用することにより、表示の白黒化およ
びコントラストの向上を実現することが可能になった
が、視野角特性など問題点もまだ多く残されている。ま
た、施設園芸用途では、農業用フィルムなどにおいて防
曇性の速効性や持続性が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは上記
課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至っ
た。すなわち本発明は、無機層状化合物および媒体を高
圧分散装置で処理して得られる組成物、その製造法およ
びその用途に関するものである。本発明の組成物を用い
て得られる成形品または積層体は、HAZEが15以下
と極めて優れた透明性を有するものである。本発明にお
いて、無機層状化合物および媒体を高圧分散装置で処理
する際に、100kg/cm2 以上の圧力条件下で処理
することで、成形品または積層体に加工したときの透明
性により優れた組成物が得られ、また無機層状化合物の
配向性制御に優れることから、ガスバリア性、防曇効果
に優れており、屈折率異方性についても好ましいもので
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる無機層状化合物とは、単位結晶層が互い
に積み重なって層状構造を形成している無機化合物をい
う。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合
して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の
弱い結合力によって略平行に積み重なった構造をいう。
【0009】無機層状化合物の具体例としては、グラフ
ァイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウ
ム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト
類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系
鉱物等を挙げることができる。ここに、カルコゲン化物
とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,
Ta)および/又はVI族(Mo,W)元素のジカルコ
ゲン化物であって、式MX2 (Mは上記元素、Xはカル
コゲン(S,Se,Te)を示す。)で表わされるもの
をいう。
【0010】無機層状化合物の粒径は、フィルムとした
際の製膜性ないし成形性の点からは、後述する方法によ
り測定した無機層状化合物の粒径は、樹脂組成物として
の製膜性ないし成形性の点で、通常、5μm以下である
ことが好ましい。樹脂組成物の透明性の点からは、この
粒径は2μm以下であることが好ましく、透明性が重視
される用途、例えば食品包装用途に用いる場合には、こ
の粒径は1μm以下であることが更に好ましい。
【0011】ガスバリア性の点からは、無機層状化合物
のアスペクト比は50以上5000以下のものがよく用
いられ、100以上であるものが好ましく、さらに好ま
しくは、200以上であるものがよい。アスペクト比が
5000を越えるものも使用できるが、5000を越え
る無機層状化合物を得ることは技術的に難しく、またコ
ストないし経済的にも高価なものとなる。製造が容易で
ある点では、アスペクト比は2000以下(さらには1
500以下)であることが好ましい。ガスバリア性およ
び製造容易性のバランスの点からは、アスペクト比は2
00〜3000の範囲のものであることが好ましい。
【0012】分散性を向上させるには、媒体中で膨潤・
へき開する性質を有する無機層状化合物が好ましく用い
られる。無機層状化合物の溶媒への膨潤・へき開性の程
度は、以下の膨潤・へき開試験により評価することがで
きる。無機層状化合物の膨潤性は、下記膨潤性試験にお
いて約5以上(更には約20以上)の程度であることが
好ましい。一方、無機層状化合物のへき開性は、下記へ
き開性試験において約5以上(更には約20以上)の程
度であることが好ましい。これらの場合、溶媒として
は、無機層状化合物の密度より小さい密度を有する溶媒
を用いる。無機層状化合物が天然の膨潤性粘土鉱物であ
る場合、溶媒としては、水を用いることが好ましい。 <膨潤性試験>無機層状化合物2gを溶媒100mLに
ゆっくり加える(100mLメスシリンダーを容器とす
る)。静置後、23℃、24hr後の無機層状化合物分
散層と上澄みとの界面の目盛から前者(無機層状化合物
分散層)の体積を読む。この数値が大きい程、膨潤性が
高い。 <へき開性試験>無機層状化合物30gを溶媒1500
mLにゆっくり加え、分散機(浅田鉄工(株)製、デス
パーMH−L、羽根径52mm、回転数3100rp
m、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて
周速8.5m/secで90分間分散した後(23
℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに入れ6
0分静置後、上澄みとの界面から、無機層状化合物分散
層の体積を読む。
【0013】溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物と
しては、溶媒に膨潤・へき開性を有する粘土鉱物が特に
好ましく用いられる。かかる粘土系鉱物は、一般に、シ
リカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム
等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有する
タイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネ
シウム等を中心金属にした八面体層を両側から狭んでな
る3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構
造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族
等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとして
は、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミ
キュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
【0014】これらの粘土系鉱物のより具体例として
は、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイ
サイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィラ
イト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリ
ックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガ
ライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフ
ィライト、緑泥石等を挙げることができる。また、白水
晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店
などの文献を参照することができる。
【0015】本発明に用いられる媒体は特に限定されな
いが、本発明の組成物を形成した際に、少なくとも一部
溶解しているか、均一に分散しているものが好ましく用
いられる。 例えば、樹脂、重合性官能基を有する単量
体が挙げられる。かかる樹脂としてはポリビニルアルコ
ールおよびその類縁体、エチレン−ビニルアルコール共
重合体などのビニルアルコール系樹脂、ヒドロキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プ
ルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、セ
ルロース等の多糖類およびその化学修飾物、ポリ−3−
ヒドロキシブチレートおよび3−ヒドロキシブチレート
−3−ヒドロキシアクリレート共重合体等の微生物産生
ポリエステル、ポリ乳酸等の生分解性脂肪族ポリエステ
ル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ポ
リエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキ
セン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロ
ピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メ
チルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポ
リオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリヒドロキシ安息香酸等のポリエステル系樹脂、
ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミ
ン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミ
ド、ジエチレントリアミン−アジピン酸共重合体及びそ
の塩等のアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリメチルメ
タクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリ
ウム、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリ
−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル
アミド、エチレン−アクリル酸共重合体およびその塩な
どのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレン
ないしアクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、
ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有樹
脂、ポリカーボネート樹、ポリサルホン樹脂、ポリエー
テルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、
ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹
脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック樹脂、
ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナト
リウム、ポリビニルピリジンおよびその塩、ポリエチレ
ンイミンおよびその塩、ポリアリルアミンおよびその
塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸およ
びその塩、ポリビニルチオール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の水
素結合性基やイオン性基を分子中に有する樹脂があげら
れる。ここに水素結合性基とは、炭素以外の原子(ヘテ
ロ原子)に直接結合した水素を少なくとも1個有する基
をいう。この水素結合性基としては、例えば、水酸基、
アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、
リン酸基等があげられる。また、イオン性基とは、水中
において水分子の水和が可能な程度に局在化した「正ま
たは負」の少なくとも一方の電荷を有する基をいう。こ
のようなイオン性基としては、カルボキシレート基、ス
ルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホ
スホニウム基等が挙げられる。
【0016】媒体として用いられる重合性官能基をもつ
単量体とは、ビニル基、カルボキシル基、無水カルボキ
シル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、エ
ステル基、ハロゲン化アシル基、アミド基、スルホン
基、ハロゲン化スルホニル基、アルデヒド基、ニトリル
基、アセチル基、チオール基、チオカルボン酸基、チオ
アルデヒド基、イソシアネート基、燐酸基、カルボキシ
レート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモ
ニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、
アリル基、フルオロアルキル基、カルボニル基、ハロゲ
ン基などの重合性官能基を少なくとも一つ以上もち、
熱、放射線、電子線、中性子線、紫外線などのエネルギ
ーを与えたり、重合開始剤の添加などにより、重合反応
を引き起こす化合物である。かかる重合性官能基を有す
る単量体の具体例としては、付加重合系単量体として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、
α−メチルスチレン、クロロスチレン、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリ
ル酸メチル、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチ
レン、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、ビニル
シクロヘキサン、シアノアクリル酸エチル、シアン化ビ
ニリデンなどが挙げられる。
【0017】また縮合系単量体としては、ヘキサメチレ
ンジアミン、メラミン、尿素、アニリン、フェノール、
エチレングリコール、ビスフェノールA、テトラメチレ
ングリコール、アジピン酸、ホルムアルデヒド、テレフ
タル酸、ホスゲン、ヘキサメチレンジイソシアナート、
イソシア酸エステル、ウレタン、フェニルイソシアナー
ト、ジメチルシロキサンなどが挙げられる。開環重合系
単量体としては、εカプロラクタム、ヘキサジメチルシ
ロキサン、無水フタル酸、γおよびδラクトン、ラクチ
ドグリコキシド、βプロピオラクトン、εカプロラクト
ン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシジ
ルエーテル、ポリエチレンイミン、プロピレンイミン、
テトラメチルシロキサン、エノールラクトン、アスノラ
クトン、イソマレイミド、イミノジオキソラン、ポリア
プラミド、ポリω−アミノヘプタン酸、ポリω−アミノ
ノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリラウリルラクタ
ム、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチ
レンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリ
ヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカ
ミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレ
ンアジパミド、ポリドデカメチレンアジパミドなどが挙
げられる。これらの単量体はその誘導体を用いても、ま
た複数の単量体を用いてもよい。
【0018】本発明に用いられる媒体としては、溶媒中
に溶解または分散された樹脂、単量体も含む。また水性
エマルジョンを形成するポリ塩化ビニリデン系エマルジ
ョン、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、ポリウレタン系
エマルジョン、ポリエステル系エマルジョン、アクリル
系樹脂エマルジョンなども使用可能である。
【0019】本発明の媒体の1つとして用いられるシラ
ンカップリング剤は、代表的なものにはアミノ系シラン
カップリング剤、ビニル系あるいはメタクリロキシ系シ
ランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング
剤、メチル系シランカップリング剤、クロロ系シランカ
ップリング剤、アニリノ系シランンカップリング剤、メ
ルカプイト系シランカップリング剤などを挙げることが
できる。
【0020】本発明の媒体の1つとして用いられるエチ
レンビニルアルコール共重合体は、耐湿性とガスバリア
性の点で通常、エチレン含有量20〜60モル%、好ま
しくは20〜45モル%、より好ましくは25〜40モ
ル%のものであり、ビニルエステル成分のケン化度は通
常、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より
好ましくは98モル%以上のものである。これより小さ
いものは、ガスバリア性、耐湿性が損なわれる。
【0021】樹脂のさらに好ましいものとしては、ポリ
ビニルアルコールおよびその誘導体、多糖類およびその
誘導体などがあげられる。かかるポリビニルアルコール
とは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分として
有するポリマーである。このようなポリビニルアルコー
ルとしては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル
部分を加水分解ないしエステル交換(けん化)して得ら
れるポリマー(ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合
体となったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、
ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチ
ルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエー
テル重合体等をけん化して得られるポリマーが挙げられ
る(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例え
ば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、
(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」、1981
年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。
ポリビニルアルコールにおける「けん化」の程度は、水
への分散性の点で、通常、モル百分率で70%以上が好
ましく、更には85%以上のものが好ましい。また、ポ
リビニルアルコールの重合度は、ポリビニルアルコール
部分の耐久性やゲル化の点で通常、100以上1000
0以下、好ましくは、200以上6000以下、さらに
好ましくは、300以上3000以下である。
【0022】またポリビニルアルコール誘導体も使用で
き、水酸基以外の官能基として例えば、アミノ基、チオ
ール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、カル
ボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、
アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサ
ン基、アルキル基、アリル基、フルオロアルキル基、ア
ルコシキ基、カルボニル基、ハロゲン基、等を一部有し
ていても良い。
【0023】さらに、本発明において使用可能な多糖類
およびその誘導体には、種々の単糖類の縮重合によって
生体系で合成される生体高分子、およびそれらを化学修
飾してなるものも包含される。このような多糖類および
その誘導体の具体例としては、例えば、セルロース;ヒ
ドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導
体;アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラ
ン、ザンタン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0024】本発明で樹脂、単量体を溶解または分散さ
せる溶媒としては水、有機溶媒あるいはこれらを複数混
合させたものを使用することができる。かかる溶媒の具
体例としては水、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタ
ノール、シクロペンタノール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、
エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、ア
セチルアセトン、メチルエチルケトン、フェノール、ホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ジオキサン、蟻
酸、酢酸、クレゾール、ピリジン、アセトニトリル、ア
ニソール、アラニン、エチルアミン、エチレンジアミ
ン、トリメチレンジアミン、トルエン、キシレン、ヘキ
サン、シクロヘキサン、ベンゼン、ヘプタン、ノナン、
テトラデカン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、ニト
ロベンゼン、エチルベンゼン、二硫化水素、ジクロロメ
タン、四塩化炭素、クロロホルム、エチルメルカプタ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル、エピクロルヒドリン、エチレンオキシド、メチ
ルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ
る。
【0025】本発明の組成物が分散液の状態である場合
には、無機層状化合物を含む全固形分(無機層状化合
物、樹脂、単量体等)濃度としては特に限定されるもの
ではない。もちろん全固形分濃度を低下させれば分散は
容易になるが、分散液をコーティングしたりするときの
乾燥能力が膨大になるなどの点で不利となるので全固形
分濃度はできるだけ高いことが望ましい。媒体、無機層
状化合物の濃度は、通常、1〜70重量%であり、3〜
20重量%が好ましく、4〜10重量%がより好まし
い。組成物を用いて形成した成形品あるいは積層体中の
無機層状化合物/樹脂(または重合性官能基を有する単
量体)組成としては下記の通りである。無機層状化合物
/樹脂の体積比(「仕込み」の際の比率)が通常、1/
100〜100/1の範囲、好ましくは、5/95〜5
0/50の範囲、さらに好ましくは、10/90〜30
/70の範囲である。また、この体積比が5/95〜3
0/70の範囲は、膜ないし成形物としての柔軟性の点
で有利である。上記した無機層状化合物/樹脂の体積比
(体積分率)が1/100より小さい場合には、無機層
状化合物が付与すべき性質(例えば気体遮断性など)が
低下する傾向にある。一方、該体積比が100/1を越
えると、製膜性ないし成形性が低下する傾向がある。ま
た、成形品または積層体としたときの折り曲げによる物
性低下を抑制する点からは、体積比が7/93以上であ
ることが好ましい。一方、本発明の組成物からなる層の
柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の点からは、体積
比が17/83以下であることが好ましい。すなわち、
(無機層状化合物/樹脂)の体積比が7/93〜17/
83の範囲は、柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の
点からまた、折り曲げによる物性低下の抑制の点から、
特に好ましい。このような体積比は、これらの成分の
「仕込み」の際の重量比の分子(無機層状化合物の重
量)および分母(媒体の重量)の値を、それぞれの密度
で割り算して求めることができる。媒体(特に樹脂、例
えばポリビニルアルコール)の密度は、一般に、結晶化
度によって若干異なる場合があるが、上記体積比の計算
においては、例えば、ポリビニルアルコールの結晶化度
を50%と仮定して計算することができる。
【0026】本発明において透明性を表わす指標として
HAZE(曇度)を用いるが、このHAZEを求めるに
は、本発明の組成物を基材上に製膜した成形品、あるい
は基材にコーティングした積層体であって、最外層に該
組成物の乾燥膜がある状態の測定値を求め、基材全体を
基材と屈折率の同じ媒体中に浸漬した状態で測定した値
を引いた結果を用いる。本発明の成形品あるいは積層体
は、製品特に包装用途において外観を考慮したとき、H
AZEについては25%以下が好ましく、さらには20
%以下、特に15%以下が好ましい。
【0027】本発明の組成物には、塗れ性、粘度調整の
目的で各種溶剤を配合したり、必要に応じて添加剤を配
合することができる。添加剤の一例としては顔料、界面
活性剤、防かび剤、防腐剤、架橋剤、消泡剤、酸化防止
剤などが挙げられる。顔料としてはプライマー用防錆顔
料として、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、燐
酸亜鉛、鉛丹、亜鉛華、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩な
どが挙げられる。 着色顔料として、フタロシアニンブ
ルー、フタロシアニングリーン、キナクドリン、インダ
ンスロン、イソインドリノン、ベリレン、アンスラピリ
ミジン、ベンズイミダゾロン、カーボンブラック、二酸
化チタン、黒鉛、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄などが挙げら
れる。 金属箔顔料として、アルミニウム箔、ブロンズ
箔、錫箔、金箔、銀箔、銅箔、金属チタン箔、ステンレ
ススチール箔、ニッケル箔、クロム箔、及び上述した金
属の合金箔、プラスチックで被覆した金属箔などが挙げ
られる。 光輝性顔料として、マイカ箔、箔状フタロシ
アニンブルー等が挙げられる。 体質顔料としては、炭
酸カルシウム、石膏、クレー、タルク等が挙げられる。
【0028】界面活性剤としては、例えば非イオン系、
陰イオン系、陽イオン系、両性系などの任意の界面活性
剤の中から、処理液の安定、発泡性、塗布性などの作業
性を考慮し適宜選定して使用することができる。非イオ
ン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸部分
エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリ
スリトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン酸脂肪部分エステル、ポリオキシエチレンアル
キルエーテルが挙げられる。
【0029】陰イオン系活性剤としては、ジアルキルス
ルホ琥珀酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩、
アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル燐酸エステル塩、脂肪酸アルキルエステルの硫
酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグ
リセリド硫酸エステル塩が挙げられる。陽イオン系活性
剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩が
挙げられ、両性系としては、N,N,N−トリアルキル
−N−スルホアルキレンアンモニウムベタインが挙げら
れる。
【0030】また、防かび剤及び防腐剤としては、第4
級アンモニウム塩、含窒素硫黄化合物、含ハロゲン窒素
硫黄化合物、有機ヨウ素系化合物、ベンズイミダゾール
系化合物などを使用することができる。 防かび剤とし
ては具体的には2−チアゾール−4−イルベンズイミダ
ゾール、メチルベンズイミダゾール−2−イルカルバメ
ート、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−
ジメチル−N−フェニルスルファミド、テトラメチルチ
ウラムジサルファイド、N−(トリクロロメチルチオ)
−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、
2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタロニ
トリル、及び2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メ
チルスルホニル)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ)
−ジンク−1,1−ジオキサイド等があるが、耐熱性を
考慮すれば2−チアゾール−4−イルベンズイミダゾー
ル、メチルベンズイミダゾール−2−イルカルバメート
及び2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタ
ロニトリル、ビス(2−ピリジルチオ)−ジンク−1,
1−ジオキサイドが好ましい。また防バクテリア剤とし
ては具体的には1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オ
ン(BIT)、2,3,5,6−テトラクロロ−4−
(メチルスルフォニル)ピリジン、及び10,10’−
オキシビスフェノキシアルシン等が用いられる。
【0031】使用可能な架橋剤は特に限定されないが、
かかる架橋剤の好適な例としては、チタン系カップリン
グ剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリン
グ剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カ
ップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物等が挙げ
られる。耐水性向上の点からは、ジルコニウム化合物が
特に好ましく用いられる。 ジルコニウム化合物の具体
例としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロ
キシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジル
コニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウ
ム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱
酸のジルコニウム塩;蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニ
ウム、プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニ
ウム、ステアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニ
ウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニ
ウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸
ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリ
ウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニ
ウム錯塩;等があげられる。 架橋剤の添加量は特に限
定されないが、架橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と
樹脂の水素結合性基のモル数(HN)との比(K=CN
/HN)が、0.001以上10以下の範囲になるよう
に用いることが好ましい。このモル数の比Kは、0.0
1以上1以下の範囲であることが更に好ましい。
【0032】さらに成形品及び積層体表面の濡れ性をよ
り向上させるために溶剤を添加することができる。溶剤
は単体では室温付近で液体で、基材に塗布、乾燥した際
に蒸散しているようなものが好ましく用いられる。これ
には例えばメタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、ペンタノール、オクタノール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エ
チル等が挙げられる。溶剤を液に加えて無機層状化合物
を分散する場合に、加熱して撹拌することが分散性の上
では望ましいため、溶剤の沸点が低すぎると溶剤が蒸散
してしまうという問題が起こりうる。また、溶剤の沸点
が高すぎると水分を蒸発させて塗膜を形成したときに溶
剤が残ってしまうという問題がある。このため、溶剤は
沸点が50℃から200℃(更には80℃から140
℃)にあるものが好ましく、これにはメタノール、エタ
ノール、1−ブタノール、2−プロパノール、ペンタノ
ール、オクタノール等が挙げられる。また、溶剤は複数
種類用いてもよい。このようにして調製した液は、塗工
したり、ディップコート、刷毛で塗布して使うことが可
能である。
【0033】本発明の組成物を製造するに際しては、高
圧分散装置で処理することを特徴としている。配合の順
序としては様々な方法が用いられる。例えば、媒体が樹
脂水溶液あるいは樹脂分散液の場合には、水に対してま
ず樹脂を加え溶解、分散させ、次いで無機層状化合物を
加え分散させる方法、他にも、無機層状化合物、樹脂の
順で加える方法、無機層状化合物の分散液と樹脂の水溶
液や分散液を混合する方法など複数の方法があるが、ど
の配合順序の方法を用いてもよい。また複数種類の樹
脂、無機層状化合物を用いてもかまわないし、それぞれ
の原料を複数回にわたって加えてもかまわない。高圧分
散装置で処理する前の段階における、無機層状化合物と
媒体との混合の方法については特に限定されない。混合
用の釜は温度制御用に温水やスチームなどの熱媒を通じ
ることのできるジャケットを外壁に備えたものなどが好
ましい。また、泡のかみこみや分散の均一化をはかる観
点から、釜内部にバッフルのあるものなどが使用され、
同様の理由から、分散翼の位置は釜の中心ではなく少し
ずらす(偏芯)ほうが好ましい。ただし、固形分濃度が
比較的高くかつ分散良好な組成物を得るためには、無機
層状化合物、媒体を混合した組成物を用い、泡をかみこ
みにくいように、内部を200mmHg以下に減圧した
釜内で4000〜7000rpmの高速撹拌する方法が
高い剪断力による効果を得やすい。
【0034】ついで、無機層状化合物と媒体を混合した
組成物を高圧分散装置で処理する。本発明で用いる高圧
分散装置は、無機層状化合物と媒体を混合した組成物
を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態
など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で
処理することにより、例えば、管径1〜1000μmの
細管中で装置内部の最大圧力条件が100kgf/cm
2 以上であることが好ましい。またその際、最高到達速
度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が1
00kcal/hr以上に達するものが好ましい。
【0035】図1において、高圧分散処理装置内での高
圧処理部の原理を模式的に示した。図1中、(B)のポ
ンプにより(C)、(D)の細管部分で処理サンプルに
高圧がかかる。そして瞬間的に最高速度に達する地点
(E)の流速が300m/sec、体積1×10-33
の立方体中を1/(3×105 )secで通過し、サン
プル温度が35℃上昇するとき、圧力損失によりサンプ
ルにエネルギーが伝達される。伝熱速度はサンプルの比
重が1g/cm3 、比熱1cal/g℃のとき、3.8
×104 kcal/hrとなる。 上記のような高圧分
散装置にはMicrofluidicsCorpora
tion社製超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフ
ルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザー
があり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例え
ばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザー等が挙げられ
る。
【0036】本発明の組成物はそれ自身をキャスト製膜
法などにより成型品とすることができる。また、積層体
の製造方法としては特に限定はされず、積層体の少なく
とも一層、特に中間体に用いられる。積層体を得るに
は、水を含む組成物を乾燥しフィルム化(キャスト製膜
などの方法)したものを後から基材に貼合する方法、基
材に含水組成物をコーティングする方法などが通常用い
られる。組成物を乾燥させて得たフィルムを用いて積層
体を得る方法には、共押出法、溶融コーティング法、押
出ラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げ
られる。これらの積層体は、フィルム、シート、チュー
ブ、カップ、ボトル等に成形できる。成形法としては熱
溶融させることにより、Tダイ成形、インフレーション
成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形等の通常
の成形法が使用できる。また、フィルムまたはシート
は、一般的に行われる延伸加工、例えば一軸延伸、ゾー
ン延伸、フラット逐次延伸、フラット同時二軸延伸、チ
ューブラー同時延伸を施すことができる。コーティング
により積層体を得る方法としては、ダイレクトグラビア
法やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本
ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコ
ート法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ
法やダイコート法、ディップコート法、バーコーティン
グ法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法
が挙げられる。
【0037】本発明の組成物から形成される層の膜厚
は、積層体の目的とする性質によって適宜選択でき特に
制限はされない。通常、乾燥厚みで30μm以下が好ま
しく、10μm以下がより好ましい。下限については特
に制限はないが、効果を得るためには1nm以上、さら
には10nm以上、特に100nm以上であることが好
ましい。
【0038】本発明の組成物と共に積層体を形成する基
材は、特に限定されず、フィルム状、シート状、ボトル
状、トレイ状など特に形態に制限はない。その材質とし
ては、樹脂、紙、アルミ箔、木材、布、不織布等の公知
ないし一般的なものを目的・用途に応じて使用可能であ
る。 特にフィルム状である場合、無延伸である以外
に、1軸、2軸に延伸されていてもよい。もちろん公知
の下塗りやコロナ処理などがされていてもよく、これら
表面処理は発明の目的を損しない範囲でフィルム状のみ
ならずそれ以外の形態の基材についてなされていてもよ
い。
【0039】基材として樹脂を用いる場合、かかる樹脂
としては、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エ
チレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合
体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマ
ー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイ
ロン一6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−
アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等の
アミド系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル
系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共
重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体、ポリアクリロニトリル等のスチレンないしアクリ
ロニトリル系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロ
ース等の疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラ
フルオロエチレン(テフロン)等のハロゲン含有樹脂;
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共
重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂;ポリカ
ーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサル
ホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェ
ニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶
樹脂等のエンジニアリングプラスチック系樹脂等が挙げ
られる。
【0040】本発明の組成物より得られる成形品あるい
は積層体は、包装、液晶表示、施設園芸をはじめとする
種々の用途に用いられる。例えば、無機層状化合物の複
屈折を利用した位相差フィルムや層状構造による低分子
拡散遅延効果を利用した気体・低分子拡散遮断性フィル
ム・成型品、などに用いることができる。気体遮断性フ
ィルムとして食品・医薬品の包装用途に用いる場合、こ
のフィルムに対して印刷や他のフィルムを更に積層する
ことによって成型品として用いることができる。 また
本発明で得られる組成物は、特開平06−082779
号公報に記載の用法、用途で無機層状化合物に合成ヘク
トライト、媒体としてポリビニルアルコール樹脂水溶液
を使用し、高圧分散装置処理することにより得られる組
成物を成形し液晶表示装置に用いることができる。かか
る液晶表示装置は、無機層状化合物の微細な分散状態や
配向性の制御により、透明性、製膜性に優れた特性を有
する。また無機層状化合物の層間に樹脂を複合させるこ
とにより、面内屈折率と厚み方向の屈折率が異なること
で、面内に屈折率異方性がほとんどなく厚み方向の屈折
率異方性が大きい、複屈折性、視野角度特性に優れた成
形品あるいは積層体が得られる。さらに本発明で得られ
る組成物は、特開平08−53558号公報に記載の用
法、用途で、無機層状化合物に合成ヘクトライト、媒体
としてポリビニルアルコール水溶液を使用し、高圧分散
装置で処理した組成物を用いて、施設園芸用途に用いる
ことができる。本発明の製造法により得られた組成物を
用いた成形品あるいは積層体は、無機層状化合物の微細
な分散構造とバインダーとしての樹脂の複合により、優
れた防曇効果の速効性と持続性を有し、なおかつ塗布膜
の接着強度に優れたフィルムを得ることが可能になる。
【0041】以下に本発明で用いる各物性測定法につい
て説明する。 [平均粒径を求める方法]組成物中の無機粒子の平均粒
径を求める方法は、回折/散乱法による方法、動的光散
乱法による方法、電気抵抗変化による方法、顕微鏡撮影
後画像処理による方法などが可能である。動的光散乱法
では複数の成分からなる媒体と、無機粒子が共存してい
る場合、見かけ液粘度が単一の媒体と変わってしまうた
めに評価しにくく、電気抵抗変化による方法は組成物の
電解質濃度などに制限があり、顕微鏡撮影後画像処理に
よる方法は分解能の問題があり、それぞれ使いづらい。
回折/散乱法による方法は、媒体に実質上散乱が少なく
(透明ということ)、粒子由来の散乱が支配的である場
合には、媒体の成分数に関わらず無機粒子の粒度分布の
みの情報が得られるため、比較的好ましく用いられる。
【0042】[回折/散乱法による粒度分布・平均粒径
測定]回折/散乱法による粒度分布・平均粒径測定は組
成物に光を通過させたときに得られる回折/散乱パター
ンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾のな
い粒度分布を計算することによりなされる。 市販の装
置としては、コールター社製 レーザー回折・光散乱法
粒度測定装置LS230、LS200、LS100、
島津製作所製 レーザー回折式粒度分布測定装置SAL
D2000、SALD2000A、SALD3000、
堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置L
A910、LA700、LA500、日機装製 マイク
ロトラックSPA、マイクロトラックFRA、などがあ
げられる。 本発明の組成物は希釈なしで測定すること
が好ましい。散乱が強すぎて光透過性の低い液の場合
は、光路長を短くとることで組成物を希釈なしで測定で
きる(例えば堀場製作所製LA910の場合にはバッチ
式セル、ペーストセルなどで著しく光路長を短縮でき
る)。 またこの測定方法では、粒子間距離が光源の波
長以下であれば無機粒子を分離して識別できなくなって
くるため、ある程度の距離(例えばサブミクロン以下)
を隔てて(間に樹脂などを介在して)近接している複数
の粒子は一つの粒子と認識する。このため、粒子同士の
凝集による分散不良だけでなく、樹脂などを介在するこ
とで生じる分散不良についても本方法で評価することが
できる。
【0043】[アスペクト比決定方法]アスペクト比
(Z)とは、Z=L/aの関係から求められる比であ
る。ここに、Lは、組成物中、上記した回折/散乱法に
よる粒径測定法により求めた無機層状化合物の粒径(体
積基準のメジアン径)であり、aは、無機層状化合物の
単位厚みである。この「単位厚みa」は、後述する粉末
X線回析法等によって、無機層状化合物単独の測定に基
づいて決められる値である。より具体的には、横軸に2
θ、縦軸にX線回折ピークの強度をとった図2のグラフ
に模式的に示すように、観測される回折ピークのうち最
も低角側のピークに対応する角度θから、Braggの
式(nλ=2Dsinθ、n=1,2,3・・・)に基
づいて求められる間隔を、「単位厚さa」とする(粉末
X線回析法の詳細については、例えば、塩川二朗監修
「機器分析の手引き(a)」69頁(1985年)化学
同人社発行を参照することができる)。 媒体が樹脂の
みのときの組成物を粉末X線回析した際には、樹脂媒体
中における無機層状化合物の面間隔dを求めることが可
能である。 より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度をとった図3のグラフに模式的に示す
ように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク
位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピ
ークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面
間隔d」(a<d)とする。図4のグラフに模式的に示
すように、上記「面間隔d」に対応するピークがハロー
(ないしバックグラウンド)と重なって検出することが
困難な場合においては、2θdより低角側のベースライ
ンを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応するピー
クとしている。ここに、「θd」は、「(単位長さa)
+(樹脂1本鎖の幅)」に相当する回折角である(この
面間隔dの決定法の詳細については、例えば、岩生周一
ら編、「粘土の事典」、35頁以下および271頁以
下、1985年、(株)朝倉書店を参照することができ
る)。 このように樹脂組成物の粉末X線回析において
観測される回折ピーク(面間隔Sdに対応)の「積分強
度」は、基準となる回折ピーク(「面間隔a」に対応)
の積分強度に対する相対比で2以上(更には10以上)
であることが好ましい。 通常は、上記した面間隔dと
「単位厚さa」との差、すなわちk=(d−a)の値
(「長さ」に換算した場合)は、樹脂組成物を構成する
樹脂1本鎖の幅に等しいかこれより大である(k=(d
−a)≧樹脂1本鎖の幅)。このような「樹脂1本鎖の
幅」は、シミュレーション計算等により求めることが可
能であるが(例えば、「高分子化学序論」、103〜1
10頁、1981年、化学同人を参照)、ポリビニルア
ルコールの場合には4〜5オングストロームである(水
分子では2〜3オングストローム)。 上記したアスペ
クト比Z=L/aは、必ずしも、樹脂組成物中の無機層
状化合物の「真のアスペクト比」と等しいとは限らない
が、下記の理由により、このアスペクト比Zをもって
「真のアスペクト比」を近似することには妥当性があ
る。 すなわち、樹脂組成物中の無機層状化合物の「真
のアスペクト比」は直接測定がきわめて困難である。一
方、樹脂組成物の粉末X線回析法により求められる面間
隔dと、無機層状化合物単独の粉末X線回析測定により
求められる「単位厚みa」との間にa<dなる関係があ
り、且つ(d−a)の値が該組成物中の樹脂1本鎖の幅
以上である場合には、樹脂組成物中において、無機層状
化合物の層間に樹脂が挿入されていることとなる。した
がって、樹脂組成物中の無機層状化合物の厚みを上記
「単位厚みa」で近似すること、すなわち樹脂組成物中
の「真のアスペクト比」を、上記した無機層状化合物の
分散液中での「アスペクト比Z」で近似することには、
充分な妥当性がある。 上述したように、樹脂組成物中
での真の粒径測定はきわめて困難であるが、樹脂中での
無機層状化合物の粒径は、媒体が樹脂/溶媒のときの無
機層状化合物の粒径とかなり近いと考えることができ
る。但し、回折/散乱法で求められる分散液中での粒径
Lは、無機層状化合物の長径Lmaxを越える可能性は
かなり低いと考えられるため、真のアスペクト比(Lm
ax/a)が、本発明で用いる「アスペクト比Z」を下
回る(Lmax/a<Z)可能性は、理論的にはかなり
低い。 上述した2つの点から、本発明で用いるアスペ
クト比の定義Zは、充分な妥当性を有するものと考えら
れる。本発明において、「アスペクト比」または「粒
径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、または
「回折/散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0044】下記、実施例(実施例1、5、比較例2)
に示したように、高圧分散装置で処理したものは、面間
隔が大きくなっており、より高圧で処理したもののほう
が面間隔はさらに増大している。このことは高圧で処理
するほど層構造のへき開が、進んでいることを示してい
る。また、図8〜10の樹脂組成物は、無機層状化合物
/樹脂の体積配合比がすべて1/1であり、濃度が異な
る液から作製したフィルムである。このサンプルに使用
している無機層状化合物の厚みは9オングストロームで
ある。体積配合比が1/1のときに面間隔が約20オン
グストロームとほぼ倍の値であることから、ほとんどす
べての無機層状化合物がへき開しており、無機層状化合
物の板間に樹脂が1/1の割合で相互作用した状態にな
っていることを示している。ほとんどの無機層状化合物
がへきかいし同様の構造を取っていることは、鋭いピー
クがサンプル濃度によらず同じ位置に出現していること
からも確認できる。
【0045】[酸素透過度]本発明の成形品または積層
体は、無機層状化合物を用いた組成物を乾燥薄膜化して
なる場合に、酸素遮断性を有するが、23℃、95%R
H下での酸素透過度が1μmあたり30cc/m2 ・d
ay・atm以下であり、20cc/m2 ・day・a
tm以下であることが好ましい。 上記成形品または積
層体は酸素遮断性に優れているのみならず、その他の気
体分子、例えば、ヘリウム、窒素、炭酸ガス、水、リモ
ネン、メントールなど低分子の香気成分などの遮断性に
も著しく優れている。
【0046】
【発明の効果】本発明の組成物を用いてなる成形体や積
層体は、優れた透明性を発揮し、さらに優れた気体遮断
性、水蒸気遮断性を有することから、食品包装をはじめ
種々の用途に供することができる。また本発明の組成物
を用いてなる成形体や積層体は、バリア性の観点からア
ルミ箔やガラスなどの金属や無機材料を必須としている
用途にも用いることができ、かつ透明性にも優れてい
る。なお、金属の不透明性やセラミックの脆さなどの弱
点については、樹脂組成物である本発明がそれらより優
れていることは言うまでもない。また本発明の製造法に
よれば、液作製における撹拌時間の短縮や高濃度均一分
散液の作製といった効果も得られる。そのほかにも視野
角度特性に優れた液晶表示装置や、防曇性に優れた施設
園芸用途など幅広い用途に供される。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 [フィルム透明性]HAZEについてはヘーズメーター
(スガ試験機製)を用い測定した。本発明で用いられる
HAZEとは、JIS K 7105「プラスチック光
学的特性試験方法」に記載されているように、式:
[(散乱光透過率/全光線透過率)×100]なる%表
示で示される値である。
【0048】[酸素透過度]酸素透過度測定装置(OX
−TRAN 10/50A, MOCON社製)を用い、
温度23℃で測定した。
【0049】[粒径]粒径についてはレーザー回折・散
乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所製)
を使用し、媒体の樹脂マトリックス中に存在する無機層
状化合物とみられる粒子のメジアン径を測定した。
【0050】(実施例1)無機層状化合物として高純度
モンモリロナイト(商品名クニピアG;クニミネ工業
(株)製)を、媒体としてポリビニルアルコール(PV
A117H;(株)クラレ製,ケン化度:99.6モル
%,重合度1700)水溶液を用いた。水はイオン交換
水(0.7 μS/cm以下)を用いた。水を1860
g秤量し、分散釜(商品名デスパMH−L、浅田鉄工
(株)製)に入れ、低速撹拌下、ポリビニルアルコール
80gを加えた後、撹拌速度を上げ(1500rpm、
周速度4.10m/秒)、昇温開始し95℃に達したらその
温度で1時間撹拌を行なって完全に溶解させた。撹拌し
たまま60℃に温度を下げた後、1−ブタノール20g
を滴下して加えて最終的な溶剤分率が重量にして1%と
なるように溶液を調製した。(以下液1と略記する) 1960gの液1を撹拌乳化装置(商品名:真空乳化装
置PVQ-3UN 、みづほ工業(株)製)に仕込む。樹脂と無
機層状化合物の体積比が4:1(重量が2:1)となる
よう、高純度モンモリロナイト40gを加え、高純度モ
ンモリロナイトが液中にほぼ沈んだことを確認後、600m
mHg 、5000rpm で10分間撹半した(以下液2と略記す
る)。このとき粒径は1.483μmであった。2000g
の液2を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザー
M110-E/H、Microfluidics Corporation 製)に通し、
1750kgf/cm2 で1回処理することで分散性良好な均一
分散液を得た(以下液3と略記する)。分散液の固形分
濃度は3.8体積%(6重量%)、粒径は0.465μ
mであった。PVAとモンモリロナイトからなる分散液
をフィルム状にキャストして、X線回折測定を行うと図
7のようになった。このグラフのピークから底面間隔を
求めると41.2オングストロームであり、このときの
無機層状化合物のアスペクト比は121であった。 液
3を厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム
(内面コロナ処理品 商品名FOK;二村三昌(株)
製)を基材として、マイクログラビアコーターを用いラ
イン速度6m/分、乾燥温度100℃で2回塗布・乾燥
し積層体を得た。この積層体のHAZEは12.4%で
あり、高い透明性を示した。このときの塗工面の膜厚は
512nmであった。またこうして得た積層体に無延伸
ポリプロピレンフィルム(内面コロナ処理品 商品名パ
イレンP−1153;東洋紡績(株) 製)を市販の接着
剤を用いてドライラミネートした。積層体の厚み1μm
当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は2.98
cc/m2 ・day・atmであった。
【0051】(実施例2)分散液の固形分濃度が7.5
体積%である以外は、実施例1と同様にして分散試験を
行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.40
0μmとなった。この液を使用しコーティングを2回す
る以外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィ
ルムは、HAZEが11.2%、塗工面の膜厚は650
nmであった。
【0052】(実施例3)無機層状化合物添加後の撹半
に撹半式分散器(商品名:クレアミックスCLM−0.
8S、エム・テクニック(株)製)を使用し、1750
kgf/cm2 の高圧分散装置で5回処理する以外は、
実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に
含まれる分散粒子の粒径0.369μmとなった。この
液を使用しコーティングを2回する以外は、実施例1と
同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZEが1
3.2%、塗工面の膜厚は656nmであった。
【0053】(実施例4)分散液の固形分濃度が4体積
%である以外は、実施例3と同様にして分散試験を行っ
た。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.369μ
mとなった。この液を使用しコーティングを2回する以
外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィルム
は、HAZE11.8%、塗工面の膜厚490nmとな
った。この積層体の厚み1μm当りの23℃、95%R
H下での酸素透過度がは16.79cc/m2 ・day
・atmであった。
【0054】(実施例5)分散液の固形分濃度が6体積
%、高圧分散装置での処理圧が500kgf/cm2
ある以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。
結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.507μmと
なった。この分散液をフィルム状にキャストして、X線
回折測定を行うと図6のようになった。このグラフのピ
−クから底面間隔を求めると34.0オングストロ−ム
であった。 別途この分散液を用いて実施例1と同様に
してコーティングしたフィルムは、HAZE9.7%、
塗工面の膜厚789nmとなった。この積層体の厚み1
μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は4.
50cc/m2 ・day・atmであった。
【0055】(実施例6)分散液中の樹脂と無機層状化
合物の体積比が1:1(重量比1:2)、固形分濃度が
3%である以外は、実施例1と同様にして分散試験を行
った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.632
μmとなった。この分散液をフィルム状にキャストし
て、X線回折測定を行うと図8のようであった。このグ
ラフのピ−クから底面間隔を求めると23.0オングス
トロ−ムであった。別途この分散液を用いて実施例1と
同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE9.
9%、塗工面の膜厚154nmとなった。この積層体の
厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度
は0.69cc/m2 ・day・atmであった。
【0056】(実施例7)分散液の固形分濃度が6体積
%、高圧分散装置がマントンゴーリン型高圧分散装置イ
ズミフードマシナリ製ホモゲナイザであり、処理圧が5
00kgf/cm 2 である以外は、実施例1と同様にし
て分散試験を行った。その結果液中に含まれる分散粒子
の粒径は0.425μmとなった。また実施例1と同様
にしてコーティングしたフィルムは、HAZE8.2
%、塗工面の膜厚629nmとなった。この積層体の厚
み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は
2.84cc/m2 ・day・atmであった。
【0057】(実施例8)分散液の固形分濃度が6体積
%、無機層状化合物添加後の撹拌に分散釜を使用した
後、高圧分散装置により1750kgf/cm2 で1回
処理する以外は、実施例1と同様にして分散試験を行っ
た。その結果液中に含まれる分散粒子の粒径は0.49
4μmとなった。また実施例1と同様にして1回コーテ
ィングしたフィルムはHAZEが5.5%となった。
【0058】(実施例9)分散液の固形分濃度が6体積
%、高圧分散装置での処理圧が200kgf/cm2
ある以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。
結果は液中に含まれる分散粒子の粒径は0.877μm
となった。またこの液を利用し実施例1と同様にしてコ
ーティングしたフィルムは、HAZE14.1%となっ
た。
【0059】(比較例1)分散液の固形分濃度が5体積
%、体積組成比4:1になるように樹脂、無機層状化合
物を仕込み、分散装置に高圧分散装置処理をせず分散釜
のみを使用し、無機層状化合物添加後60℃、3100
rpm(周速8.47m/s)で90分撹半する以外
は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液
中に含まれる分散粒子の粒径1.697μmとなった。
この液を使用しコーティングを2回する以外は、実施例
1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE
20.9%、塗工面の膜厚731nmとなった。この積
層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素
透過度は37.29cc/m2 ・day・atmであっ
た。
【0060】(比較例2)分散液の固形分濃度が6体積
%になるように無機層状化合物、樹脂を仕込み、分散装
置に高圧分散装置処理をせず、250kgスケールの分
散釜(デスパ、浅田鉄工製)のみを使用し、樹脂分散時
1209rpm(周速12.9m/s)、95℃、90
分撹半、無機層状化合物分散時1209rpm(周速1
7.7m/s)、60℃、180分撹半する以外は、実
施例1と同様にして分散試験を行った。結果は媒体に含
まれる分散粒子の粒径1.730μmとなった。この分
散液をフィルム状にキャストして、X線回折測定を行う
と図5のようになった。このグラフのピ−クから底面間
隔を求めると26.6オングストロ−ムであった。別途
この分散液を用いてコーティングを2回する以外は、実
施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HA
ZE27.3%、塗工面の膜厚1172nmとなった。
【0061】(実施例10)無機層状化合物にモンモリ
ロナイト(商品名クニピアG;クニミネ工業(株)
製)、媒体にポリビニルアルコール(PVA117H:
クラレ(株)の商品名)水溶液を使用し、実施例1と同
様の方法にて作製した分散液をフィルム表面に塗布した
積層体を、水を入れた容器に固定したところ、比較例1
と同様の方法にて作製した分散液より得られたフィルム
を水を入れた容器に固定したときに較べ、防曇性に優
れ、透明性が優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、高圧分散装置内部構造と、高圧、高剪
断処理により粒子を微細な状態に分散させる仕組みを模
式的に示した図である。
【図2】図2は、無機層状化合物のX線回折ピークと、
該化合物の「単位厚さa」との関係を模式的に示すスペ
クトルである。
【図3】図3は、無機層状化合物を含む樹脂組成物のX
線回折ピークと、該組成物の「面間隔d」との関係を模
式的に示すスペクトルである。
【図4】図4は、「面間隔d」に対応するピークがハロ
ー(ないしバックグラウンド)と重なって検出すること
が困難な場合における樹脂組成物のX線回折ピークと、
該組成物の「面間隔d」との関係を模式的に示すグラフ
である。この図においては、2θdより低角側のベース
ラインを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応する
ピークとしている。
【図5】図5は、面間隔d=26.6オングストローム
の組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測
定は比較例2に記載した方法により作製した分散液より
得たフィルムを用いて行った。
【図6】図6は、面間隔d=34.0オングストローム
の組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測
定は実施例5に記載した方法により作製した分散液より
得たフィルムを用いて行った。
【図7】図7は、面間隔d=41.2オングストローム
の組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測
定は実施例1に記載した方法により作製した分散液より
得たフィルムを用いて行った。
【図8】図8は、面間隔d=23.0オングストローム
の組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測
定は実施例6に記載した方法により作製した分散液より
得たフィルムを用いて行った。
【図9】図9は、面間隔d=21.4オングストローム
の組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。フ
ィルム作製に使用した組成物は、固形分濃度4.5%で
ある以外は実施例6と同様にして作製した分散液より得
たフィルムである。
【図10】図10は、面間隔d=21.2オングストロ
ームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルであ
る。フィルム作製に使用した組成物は、固形分濃度6%
である以外は実施例6と同様にして作製した分散液より
得たフィルムである。
【符号の説明】
A:サンプル投入 B:ポンプ加圧 C:流路分岐 D:衝突・剪断 E:圧開放・処理完了
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08J 5/18 B65D 1/00 B

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機層状化合物および媒体を高圧分散装置
    で処理して得られることを特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】媒体が樹脂、溶媒中に溶解または分散させ
    た樹脂、重合性官能基を有する単量体、あるいは溶媒中
    に溶解または分散させた重合性官能基を有する単量体で
    ある請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】無機層状化合物/樹脂または重合性官能基
    を有する単量体の体積配合比が100/1〜1/100
    の範囲であることを特徴とする請求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】無機層状化合物のアスペクト比が50以上
    5000以下である請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】無機層状化合物の粒径が1μm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の組成物。
  6. 【請求項6】高圧分散装置が100kgf/cm2 以上
    の圧力条件で分散処理することを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】高圧分散装置がMicrofluidic
    sCorporation製超高圧ホモジナイザー(商
    品名マイクロフルイダイザー)、ナノマイザー社製ナノ
    マイザーあるいはマントンゴーリン型高圧分散装置(例
    えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザ)であること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成
    物を用いて作製した乾燥膜を最外層に用いた積層体のH
    AZEが15%以下である積層体。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成
    物を用いて作製した乾燥膜の厚み1μmあたり23℃9
    5%RHでの酸素透過度が、30cc/m2 ・day・
    atm以下であることを特徴とする組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜8いずれか1項に記載の組成
    物を製膜することにより得られる成形品。
  11. 【請求項11】請求項1〜9いずれか1項に記載の組成
    物を基材と複合することにより得られる積層体。
  12. 【請求項12】請求項10または11に記載の成形品ま
    たは積層体を包装用途に用いること。
  13. 【請求項13】請求項10または11に記載の成形品ま
    たは積層体を液晶表示用途に用いること。
  14. 【請求項14】請求項10または11に記載の成形品ま
    たは積層体を施設園芸用途に用いること。
  15. 【請求項15】無機層状化合物および媒体を高圧分散装
    置で処理することを特徴とする組成物の製造法。
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