JP3743051B2 - 転写フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素遮断性に優れた転写フィルムおよびそれが転写された成型品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
包装に求められる機能は多岐にわたるが、内容物保護性としての各種ガスバリア性は食品の保存性を左右する大切な性質であり、流通形態、包装技術の多様化、添加物規制、嗜好の変化などにより、その必要性はますます大きくなっている。そして、ガスバリア性は一般プラスチック材料の弱点でもあった。食品の変質要因としては、酸素、光、熱、水分等があげられ、とりわけ酸素はその起因物質として重要である。バリア材は酸素を有効に遮断すると同時にガス充填や真空包装などの食品の変質を制御する手段にとってもなくてはならない材料であり、酸素ガスだけでなく各種のガス、有機溶剤蒸気、香気などのバリア機能を有することにより、防錆、防臭、昇華防止に利用でき、菓子袋、カツオパック、レトルトパウチ、炭酸ガス飲料容器等の食品、化粧品、農薬、医療等の多くの分野で利用されている。
【0003】
熱可塑性樹脂よりなるフィルムの中で、特に配向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透明性などを有し広く包装材料として用いられている。しかし、これらのフィルムを食品包装用として用いる場合には、酸素やその他の気体の遮断性が不十分であるため、酸化劣化や好気性微生物による内容物の変質を招き易かったり、香気成分が透過してしまい、風味が失われたり、外界の水分で内容物が湿らされて口当りが悪くなったり、と種々の問題を生じがちである。そこで通常は他のガスバリアー性の良い膜層を積層するなどの方法がとられている場合が多い。
【0004】
包装形態の変遷により、近年では缶詰状、ボトル状、スクイズボトル状、チューブ状の形態をとりつつ、且つガスバリア性を要求する包装容器が増大している。またこれら商品の付加価値向上の目的で印刷などが施されることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハイレベルの酸素遮断性を有する転写フィルムおよびそれを転写された成形品を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、接着層と基体シート層との間に少なくとも透明酸素遮断性層を有する転写フィルムを用いることでチューブ状などの形態を有する成型品の酸素遮断性を著しく高めることができることを見いだし、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、接着層と基体シート層との間に、粒径が5μm以下、アスペクト比が200以上3000以下の無機層状化合物と樹脂からなる透明酸素遮断性層を少なくとも有し、前記基体シート層と透明酸素遮断性層が隣接して積層されてなる転写フィルムであって、該転写フィルムの23℃、50%RH下での酸素透過度が5cc/m2・day・atm以下であることを特徴とする転写フィルムおよびそれを転写してなる成型品を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明について以下詳細に説明する。本発明の転写フィルムの構成としては、例えば、基体シート層、剥離層、機能層、接着層、透明酸素遮断性層を有するものであり、剥離層と透明酸素遮断性層は兼用することが可能で、機能層は付与する機能に応じて適宜用いることができる。転写フィルムとしては「コンバーティングのすべて,1993年,加工技術研究会発行」の978頁から981頁に記載の技術内容を参照することができる。
【0009】
上記基体シート層とは被転写物に本シートが転写された後、剥離層との界面で剥離され被転写物から除かれるものである。かかる基体シート層としては、紙、プラスチックフィルム等が用いられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが好ましく用いられる。また、剥離層面側を全面または部分的に凸凹加工(ヘアライン処理、マット処理)することで剥離層側に外観変化による意匠効果を持たせることも可能である。
【0010】
上記剥離層とは基体シートの界面より転写層を剥離・分離する機能と基体シート層剥離後の保護層としての機能を合わせ持つ樹脂組成物からなる層である。かかる剥離層の樹脂組成物としては特に限定はないが、アクリル樹脂や変成アクリル樹脂などを含有する組成物などが製膜して用いられる。
【0011】
上記機能層とは、機能性・意匠性を有する層であり、主に印刷図柄を形成する層であり、通常多層構造であることが多く、印刷、蒸着(アルミなど)などがなされる。また層を構成する材質などには特に限定はない。
【0012】
上記接着層とは、加熱、加圧などの被転写物への転写処理時に接着力を持たせる層である。熱転写の場合にはこの部分が加熱・加圧時に一時的に溶融し、被転写物の表面に融着することで転写がなされる。層を構成する材質としては主に樹脂が用いられる場合が多く、ポリオレフィン系樹脂およびその変成体が好ましく用いられる。
【0013】
上記透明酸素遮断層は機能層の機能性・意匠性とりわけ印刷図柄の外観を阻害すること無く、転写後の成型品に酸素遮断性を付与するために用いられるものであり、透明かつ酸素遮断性に優れた層である。本発明の透明酸素遮断性層は、無機層状化合物と樹脂からなる樹脂組成物を製膜してなる層である。透明酸素遮断層は単層であっても多層であってもよい。透明酸素遮断層の積層位置は、剥離層と機能層の間、機能層と接着層の間、から選ばれる少なくとも一つに少なくとも一層あればよく、透明酸素遮断層をあらかじめ形成しておいてそれを貼合する方法や、各層上にコーティングなどの方法で直接透明酸素遮断層を形成する方法などによって転写フィルムに複合化される。また、透明酸素遮断層が剥離層を兼ねていてもよく、その場合は剥離層は省略できる。
【0014】
本発明の透明酸素遮断性層は、転写フィルムおよびそれを転写してなる成型体に使用する際の便宜の点から、透明性を有することが好ましい。この透明性は、波長500nmの全光線透過率で、80%以上(更には85%以上特に90%以上)の程度であることが好ましい。このような透明性は、例えば、市販の分光光度計(日立製作所製、自記分光光度計330型)で好適に測定することが可能である。また、曇度(HAZE)については25%以下が好ましく、さらには20%以下、特に15%以下が好ましく、市販のヘーズメーター(スガ試験機製)が測定に用いられる。
【0015】
[酸素透過度]
本発明の透明酸素遮断性層、転写フィルムおよびそれを転写してなる成形品は、酸素遮断性を有するが、23℃、50%RH下での酸素透過度が5cc/m2・day・atm以下である。さらに酸素透過度は、1cc/m2・day・atm以下であることが好ましく、0.1cc/m2・day・atm以下(さらに0.05cc/m2・day・atm以下、特に0.02cc/m2・day・atm以下)であることが好ましい。本発明の転写フィルムおよびそれを転写してなる成型品は酸素遮断性に優れているのみならず、その他の気体分子、例えば、窒素、炭酸ガス、水、リモネン、メントールなど低分子の香気成分などの遮断性にも著しく優れている。
【0016】
本発明の転写フィルムの製造方法としては、特に限定はないが例えば、基体フィルム層上に順次、剥離層、透明酸素遮断層、機能層、接着層を積層していく方法が通常用いられ、それぞれ貼合やコーティングなどの積層方法が好ましく用いられる。
【0017】
本発明の透明酸素遮断である、無機層状化合物と樹脂からなる樹脂組成物を製膜してなる層の構成および製造方法について以下に説明する。
【0018】
本発明の透明酸素遮断層に用いる無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している無機化合物をいう。換言すれば、「層状化合物」とは、層状構造を有する化合物ないし物質であり、層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって略平行に積み重なった構造をいう。
【0019】
本発明に使用可能な「無機層状化合物」は、後述する方法により測定した「アスペクト比」が200以上3000以下のものである限り、特に限定されない。ガスバリア性および製造容易性のバランスの点からは、このアスペクト比は200〜3000の範囲である。
【0020】
本発明で用いられる無機層状化合物は、フィルムないし成形品とした際の製膜性ないし成形性の点から、後述する方法により測定した無機層状化合物の「粒径」が5μm以下である。樹脂組成物の透明性の点からは、この粒径は3μm以下であることが更に好ましい。本発明の樹脂組成物を透明性が重視される用途(例えば、食品の包装用途)に用いる場合には、この粒径は1μm以下であることが、特に好ましい。
【0021】
本発明に用いられる無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、粘土系鉱物等を挙げることができる。ここに、「カルコゲン化物」とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,Ta)および/又はVI族(Mo,W)元素のジカルコゲン化物であって、式MX2 (Mは上記元素、Xはカルコゲン(S,Se,Te)を示す。)で表わされるものをいう。大きなアスペクト比を容易に与える点からは、溶媒に膨潤・へき開する性質を有する無機層状化合物が好ましく用いられる。
【0022】
本発明に用いられる無機層状化合物の溶媒への「膨潤・へき開」性の程度は、以下の「膨潤・へき開」試験により評価することができる。該無機層状化合物の膨潤性は、下記膨潤性試験において約5以上(更には約20以上)の程度であることが好ましい。一方、該無機層状化合物のへき開性は、下記へき開性試験において約5以上(更には約20以上)の程度であることが好ましい。これらの場合、溶媒としては、無機層状化合物の密度より小さい密度を有する溶媒を用いる。無機層状化合物が天然の膨潤性粘土鉱物である場合、該溶媒としては、水を用いることが好ましい。
【0023】
<膨潤性試験>
無機層状化合物2gを溶媒100mLにゆっくり加える(100mLメスシリンダーを容器とする)。静置後、23℃、24時間後の無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から前者(無機層状化合物分散層)の体積を読む。この数値が大きい程、膨潤性が高い。
【0024】
<へき開性試験>
無機層状化合物30gを溶媒1500mLにゆっくり加え、分散機(浅田鉄工(株)製、デスパーMH−L、羽根径52mm、回転数3100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて周速8.5m/secで90分間分散した後(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに入れ60分間静置後、上澄みとの界面から、無機層状化合物分散層の体積を読む。
【0025】
溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物としては、溶媒に膨潤・へき開性を有する粘土鉱物が特に好ましく用いられる。かかる粘土系鉱物は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと;シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から狭んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
【0026】
これらの粘土系鉱物としては、より具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また、白水晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店 などの文献を参照することができる。
【0027】
樹脂組成物中における(真の)粒径測定の困難性等を考慮し、本発明においては無機層状化合物の「粒径」として、溶媒中、後述するような動的光散乱法(光子相関法)により求めた値(L)を用いる。ここに、動的光散乱法とは、レーザの散乱現象を利用した粒子系測定法であって、ブラウン運動をしている粒子群からの散乱光、すなわち該粒子の運動速度ないし粒子径に依存した「ゆらぎ」を持つ散乱光を検出し、計算により粒子径に関する情報を取得する方法をいう。本発明者らの知見によれば、樹脂中における無機層状化合物の粒径は、この動的光散乱法で求めた「溶媒中の粒径」により求めた値に近似である。例えば、この動的光散乱法で用いた溶媒と同種の溶媒で充分に膨潤させた無機層状化合物を樹脂に複合させる場合、該樹脂中での無機層状化合物の粒径は、動的光散乱法で求めた「溶媒中の粒径」によって求めた値に充分に近似である。
【0028】
本発明において、無機層状化合物のアスペクト比(Z)は、Z=L/aの関係から求められる比である。ここに、Lは、溶媒中、上記した動的光散乱法により求めた無機層状化合物の粒径であり、aは、無機層状化合物の単位厚みである。この「単位厚みa」は、後述する粉末X線回析法等によって、無機層状化合物単独の測定に基づいて決められる値である。より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線回折ピークの強度を取った図1のグラフに模式的に示すように、観測される回折ピークのうち最も低角側のピークに対応する角度θから、Braggの式(nλ=2Dsinθ、n=1,2,3・・・)に基づいて求められる間隔を、「単位厚さa」とする(粉末X線回析法の詳細については、例えば、塩川二朗監修「機器分析の手引き(a)」69頁(1985年)化学同人社発行を参照することができる)。無機層状化合物単独の測定に基づく上記したZ=L/aの関係に対応して、本発明の樹脂組成物を粉末X線回析した際には、通常、該樹脂組成物における無機層状化合物の面間隔dを求めることが可能である。より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線回折ピークの強度を取った図2のグラフに模式的に示すように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面間隔d」(a<d)とする。図3のグラフに模式的に示すように、上記「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重なって検出することが困難な場合においては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。ここに、「θd」は、「(単位長さa)+(樹脂1本鎖の幅)」に相当する回折角である(この面間隔dの決定法の詳細については、例えば、岩生周一ら編、「粘土の事典」、35頁以下および271頁以下、1985年、(株)朝倉書店を参照することができる)。このように樹脂組成物の粉末X線回析において観測される回折ピーク(面間隔dに対応)の「積分強度」は、基準となる回折ピーク(「面間隔a」に対応)の積分強度に対する相対比で2以上(更には10以上)であることが好ましい。通常は、上記した面間隔dと「単位厚さa」との差、すなわちk=(d−a)の値(「長さ」に換算した場合)は、樹脂組成物を構成する樹脂1本鎖の幅に等しいかこれより大である(k=(d−a)≧樹脂1本鎖の幅)。このような「樹脂1本鎖の幅」は、シミュレーション計算等により求めることが可能であるが(例えば、「高分子化学序論」、103〜110頁、1981年、化学同人を参照)、ポリビニルアルコールの場合には4〜5オングストローム(Å)である(水分子では2〜3オングストローム)。上記したアスペクト比Z=L/aは、必ずしも、樹脂組成物中の無機層状化合物の「真のアスペクト比」と等しいとは限らないが、下記の理由により、このアスペクト比Zをもって「真のアスペクト比」を近似することには妥当性がある。すなわち、樹脂組成物中の無機層状化合物の「真のアスペクト比」は直接測定がきわめて困難である。一方、樹脂組成物の粉末X線回析法により求められる面間隔dと、無機層状化合物単独の粉末X線回析測定により求められる「単位厚みa」との間にa<dなる関係があり、且つ(d−a)の値が該組成物中の樹脂1本鎖の幅以上である場合には、樹脂組成物中において、無機層状化合物の層間に樹脂が挿入されていることとなる。したがって、樹脂組成物中の無機層状化合物の厚みを上記「単位厚みa」で近似すること、すなわち樹脂組成物中の「真のアスペクト比」を、上記した無機層状化合物単独の「アスペクト比Z」で近似することには、充分な妥当性がある。上述したように、樹脂組成物中での真の粒径測定はきわめて困難であるが、動的光散乱法で用いた「溶媒」と同種の溶媒で充分に膨潤させた無機層状化合物を、樹脂に複合させて樹脂組成物とする場合には、樹脂中での無機層状化合物の粒径は、溶媒中の粒径とかなり近いと考えることができる。但し、動的光散乱法で求められる粒径Lは、無機層状化合物の長径Lmaxを越える可能性はかなり低いと考えられるため、真のアスペクト比(Lmax/a)が、本発明で用いる「アスペクト比Z」を下回る(Lmax/a<Z)可能性は、理論的にはかなり低い。上述した2つの点から、本発明で用いるアスペクト比の定義Zは、充分な妥当性を有するものと考えられる。本明細書において、「アスペクト比」または「粒径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、または「動的光散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0029】
本発明において、上記した無機層状化合物を膨潤させる溶媒は、樹脂組成物の製造に使用可能な溶媒である限り、特に限定されない。例えば天然の膨潤性粘土鉱物を無機層状化合物として用いる場合、該溶媒としては、水;メタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等の極性溶媒;あるいはこれらの溶媒の2種以上の混合物等が挙げられる。樹脂組成物を成膜ないし成形した後における除去の容易性の点からは、沸点が比較的低い水、メタノール等のアルコール類を用いることが好ましい。
【0030】
本発明において上記した無機層状化合物とともに樹脂組成物を構成する「樹脂」は、該無機層状化合物の安定な分散・保持が可能な樹脂である限り特に限定されない。樹脂組成物としてのガスバリア性の点からは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類等が好適に用いられる。
【0031】
樹脂組成物を構成する樹脂は、該組成物としてのガスバリア性の点からは、高水素結合性樹脂であることが好ましい。該高水素結合性樹脂は、樹脂の単位重量当りの水素結合性基および/又はイオン性基(これらの基を2種以上有する場合には、それらの合計)の重量百分率が、10%以上、更には20%〜60%程度(特に30%〜50%程度)であることが好ましい。
【0032】
ここに「水素結合性基」とは、炭素以外の原子(ヘテロ原子)に直接結合した水素を少なくとも1個有する基をいう。この水素結合性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等が挙げられる。
【0033】
一方、イオン性基とは、水中において水分子の水和が可能な程度に局在化した正または負の少なくとも一方の電荷を有する基をいう。このようなイオン性基としては、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
【0034】
高水素結合性樹脂に含まれる水素結合性基またはイオン性基としては、上記した中でも、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基等が更に好ましい。これらの水素結合性基ないしイオン性基の含有量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)の手法(1H−NMR、13C−NMR等)によって、好適に測定することができる。
【0035】
本発明に使用可能な高水素結合性樹脂は、上記した水素結合性を有する限り特に制限されないが、具体例としては、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が41モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン(xanthan)、キチン、キトサン、セルロース等の多糖類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリベンゼンスルホン酸、ポリベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、そのアンモニウム塩、ポリビニルチオール、ポリグリセリン等が挙げられる。本発明においては、上記した「高水素結合性樹脂」として、ポリビニルアルコール、および/又は多糖類(ないしその誘導体)を用いることが更に好ましい。なお、理想的なポリビニルアルコール〔−(CH2CHOH)n−〕の場合、上記した水素結合性基たるOH基の重量百分率は、(17/44)×100=約39%となる。高水素結合性樹脂のさらに好ましいものとしては、ポリビニルアルコール、多糖類があげられる。
【0036】
本発明に用いられる「ポリビニルアルコール」とは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分として有するポリマーである。このような「ポリビニルアルコール」としては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマー(正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体となったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等をけん化して得られるポリマーが挙げられる(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」、1981年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。ポリビニルアルコールにおける「けん化」の程度は、モル百分率で70%以上が好ましく、更には85%以上のものが好ましい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、100以上5000以下(更には、200以上3000以下)が好ましい。
【0037】
またポリビニルアルコール誘導体も使用でき、水酸基以外の官能基として例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、アルキル基、アリル基、フルオロアルキル基、アルコシキ基、カルボニル基、ハロゲン基、等を一部有していてもよい。
【0038】
一方、本発明において使用可能な「多糖類およびその誘導体」には、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子、およびそれらを化学修飾してなるものも包含される。このような「多糖類およびその誘導体」の具体例としては、例えば、セルロース;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0039】
本発明で用いられる樹脂が、高水素結合性樹脂であるときには、その耐水性(耐水環境テスト後のバリア性の意味)を改良する目的で水素結合性基用架橋剤を用いることができる。
【0040】
本発明において上記した樹脂組成物を構成する樹脂として高水素結合性樹脂を用いる場合、該高水素結合性樹脂の耐水性(耐水環境テスト後のバリア性)を改良する目的で、必要に応じて、水素結合性基用架橋剤を用いてもよい。本発明において使用可能な水素結合性基用架橋剤は特に限定されないが、該架橋剤の好適な例としては、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。耐水性向上の点からは、ジルコニウム化合物が特に好ましく用いられる。ジルコニウム化合物の具体例としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩;等があげられる。水素結合性基用架橋剤の添加量は特に限定されないが、架橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と高水素結合性樹脂の水素結合性基のモル数(HN)との比(K=CN/HN)が、0.001以上10以下の範囲になるように用いることが好ましい。このモル数の比Kは、0.01以上1以下の範囲であることが更に好ましい。
【0041】
本発明において用いられる無機層状化合物と樹脂との組成比(体積比)は、無機層状化合物/樹脂の体積比(「仕込み」の際の比率)が5/95〜90/10の範囲、更には体積比が5/95〜50/50の範囲(特に、体積比が10/90〜30/70の範囲)であることが好ましい。また、この体積比が5/95〜30/70の範囲は、膜ないし成形物としての柔軟性の点で有利である。上記した無機層状化合物/樹脂の体積比(体積分率)が5/95より小さい場合には、バリア性が低下する傾向がある。一方、該体積比が90/10を越えると、成膜性ないし成形性が低下する傾向がある。折り曲げによるバリア性低下の抑制の点からは、体積比が7/93以上であることが更に好ましい。一方、樹脂組成物からなる層の柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の点からは、体積比が17/83以下であることが好ましい。すなわち、(無機層状化合物/樹脂)の体積比が7/93〜17/83の範囲は、折り曲げによるバリア性低下を特に抑制でき、しかも高い剥離強度が容易に得られる点で特に好ましい。このような体積比は、これらの成分の「仕込み」の際の重量比の分子(無機層状化合物の重量)および分母(樹脂の重量)の値を、それぞれの密度で割り算して求めることができる。樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)の密度は、一般に、結晶化度によって若干異なる場合があるが、上記体積比の計算においては、例えば、ポリビニルアルコールの結晶化度を50%と仮定して計算することができる。
【0042】
上記した無機層状化合物と樹脂とからなる組成物の配合ないし製造方法は、特に限定されない。配合時の均一性ないし操作容易性の点からは、例えば、樹脂を溶解させた液と、無機層状化合物を予め膨潤・へき開させた分散液とを混合した後、該溶媒を除く方法(第1法);無機層状化合物を膨潤・へき開させた分散液を樹脂に添加し、溶媒を除く方法(第2法);樹脂を溶解させた液に無機層状化合物を加え、膨潤・へき開させた分散液とし、溶媒を除く方法(第3法);樹脂と無機層状化合物を熱混練する方法(第4法);等が使用可能である。無機層状化合物の大きなアスペクト比が容易に得られる点からは、前三者(第1〜3法)が好ましく用いられる。上述の前二者の方法(第1〜2法)において、溶媒を系から除去した後、110℃以上220℃以下(更には130℃以上210℃以下)の温度で熱エージングすることが、フィルムの耐水性(耐水環境テスト後のバリア性)を向上させる点から好ましい。エージング時間は特に限定されないが、フィルムが少なくとも設定温度に到達する必要がある点を考慮して、例えば熱風乾燥機のような熱媒接触タイプの乾燥方法の場合、1秒以上100分以下(更には3秒〜10分程度)が、耐水性と生産性とのバランスの点から好ましい。このエージングの際の熱源についても特に限定されない。例えば、熱ロール接触、熱媒接触(空気、オイル等)、赤外線加熱、マイクロ波加熱、等種々の方法が適用可能である。また、ここでいう耐水性向上の効果は、樹脂が特に高水素結合性樹脂である場合、および/又は無機層状化合物が膨潤性を有する粘土鉱物である場合、のいずれか一方(より好ましくは両方)が満たされる場合に、著しく高くなる。組成物は単独で製膜される以外に、適当な基材を選んでそのうえにコーティングなどの方法で積層体を形成したりして、いずれも透明酸素遮断層として用いられる。
【0043】
これら樹脂組成物は、単独または積層されていずれもフィルム状とした後に透明酸素遮断層として貼合されるか、組成物の状態のまま各層上に、例えばコーティングなどの方法によってで直接透明酸素遮断層を形成するか、などによって転写フィルムに複合化される。
【0044】
ここでいう積層体の基材は、特に限定されないが、透明であることが好ましいので樹脂基材であることが多い。これらは押出成型、キャスト成型、圧縮成型などの方法でフィルム化され、さらに1軸、2軸に延伸されていてもよく、下塗りやコロナ処理などがされていてもよい。
【0045】
基材として用いられる樹脂としては、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート、などのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン、アクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロンなどのハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体などの水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂などがあげられる。
【0046】
基材に樹脂組成物を積層する方法および転写フィルムの各層に直接樹脂組成物を積層し透明酸素遮断層を形成する方法としては、特に限定はされない。例えば、組成物の塗工液を基材または転写フィルムの各層表面に塗布、乾燥、熱処理を行うコーティング方法や、組成物フィルムを後からラミネートする方法などが好ましい。コーティング方法としては、ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ法やダイコート法、ディップコート法、バーコーティング法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法が挙げられる。
【0047】
透明酸素遮断層の塗膜厚は、乾燥厚みで10μm以下が好ましく、さらに1μm以下がより好ましい(1μm以下ではフィルムの透明性が著しく優れるという長所も合わせもつため、透明性の必要な本発明の用途にはさらに好ましい。)。下限については特に制限はないが、効果的な酸素遮断性効果を得るためには1nm以上、さらには10nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
【0048】
本発明の転写フィルムには、発明の効果を損なわない範囲で、酸素遮断性のほかに、光拡散性、特定波長光の遮断性(紫外線、可視光線、赤外線)、波長変換性、帯電防止性、電磁波シールド性、ハーフミラー性、偏光性、旋光性、位相差発現性、熱線反射性、光反射防止性、耐傷つき性、防汚染性などの機能を有していてもよく、それらの特性を付与するための新たな添加剤や層が設けられていてもよい。
【0049】
本発明の転写フィルムは様々な包装形態をとる成型品に転写して、機能性・意匠性および酸素遮断性にぞれぞれ優れた成型品を得ることができる。例えば、フィルム、シート、缶詰、ボトル、スクイズボトル、チューブなどの形態に好ましく用いられる。転写は成型品の最終形態で行われても、最終形態をとる前のどの段階で行われてもよく、本転写フィルムに直接射出成型するサーマルトランサー法なども用いることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素遮断性に著しく優れた転写フィルムを得ることが可能となる。得られた転写フィルムは、味噌、ヨーグルト、プリンなどの蓋材などや筒状物に転写し、酸素遮断性と意匠性を著しく高めたプラスチック缶詰や、化粧品、歯磨き、練り芥子などの酸化変質抑制と香気成分遮断性の高いチューブなどに好適に用いられる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、実施例で用いた各種物性の測定方法について説明する。
【0052】
[酸素透過度]:超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRAN ML, MOCON社製)、温度23℃、相対湿度50%RHで測定した。
【0053】
[透明性]:分光光度計(日立製作所製、自記分光光度計330型)にて波長500nmでの全光線透過率を測定した。曇度(HAZE)についてはヘーズメーター(スガ試験機製)を用い測定した。
【0054】
[厚み測定]:0.5μm以上はデジタル厚み計により測定した。0.5μm未満は重量分析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除し、さらに組成物比重で除した。)または、本発明の組成物と基材の積層体の場合などは、元素分析法(積層体の特定無機元素分析値(組成物層由来)と無機層状化合物単独の特定元素分率の比から本発明の樹脂組成物層と基材の比を求める方法)によった。
【0055】
[粒径測定]:超微粒子粒度分析計(BI−90,ブルックヘブン社製)、温度25℃、水溶媒の条件で測定した。動的光散乱法による光子相関法から求めた中心径を粒径Lとした。
【0056】
[アスペクト比計算]:X線回折装置(XD−5A、(株) 島津製作所製)を用い、無機層状化合物単独と樹脂組成物の粉末法による回折測定を行った。これにより無機層状化合物の面間隔(単位厚み)aを求め、さらに樹脂組成物の回折測定から、無機層状化合物の面間隔が広がっている部分があることを確認した。上述の方法で求めた粒径Lをもちいて、アスペクト比Zは、Z=L/aの式により決定した。
【0057】
(実施例1)
合成マイカ(テトラシリリックマイカ(NA−TS);トピー工業(株)製)をイオン交換水(0.7μS/cm以下)に1wt%となるように分散させ、これを無機層状化合物分散液(A液)とする。当該合成マイカ(NA−TS)の粒径は977nm、粉末X線回折から得られるa値は0.9557nmであり、アスペクト比Zは1043である。また、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度; 99.6モル%,重合度1700)をイオン交換水(0.7μS/cm以下)に4wt%となるように溶解させこれを樹脂溶液(B液)とする。A液とB液とをそれぞれの固形成分比(体積比)が無機層状化合物/樹脂=3/7となるように混合し、これを透明酸素遮断層形成塗工液とした。
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(内面コロナ処理品 商品名ルミラー;東レ(株)製)を基体シート層として、この上に透明酸素遮断層形成塗工液をマイクログラビアコーターを用いライン速度3m/分、乾燥温度100℃で膜厚0.8μmとなるように塗布・乾燥し透明酸素遮断層を形成した(本例では剥離層を兼ねている)。さらに接着層として低密度ポリエチレン(商品名スミカセンL705 住友化学工業(株)製)を透明酸素遮断層側にアンカーコート(アンカー厚み約0.03μm 商品名:アドコートAD335AE/CAT10 東洋モートン(株)製 を100重量部/6重量部混合し固形分1%となるように酢酸エチルで希釈したものを使用。)した面に、樹脂温度310℃、膜厚50μmとなるように押出ラミネートし形成した。このようにして得られた転写フィルムの酸素透過度は、0.013cc/m2/day、全光線透過率は88%、HAZEは16%といずれも優れたものであった。成型品(被転写物)として低密度ポリエチレン(商品名スミカセンG801 住友化学工業(株)製)を180℃、50kg/cm2 でプレス成型し、500μmのシートを得た。本成型品に上記で得られた転写フィルムを熱転写し、得られた転写済みの成型品の酸素透過度は、0.011cc/m2/dayと優れたものであった。
【0058】
(実施例2)
高純度モンモリロナイト(商品名クニピアF;クニミネ工業(株)製)をイオン交換水(0.7μS/cm以下)に2wt%となるように分散させ、これを無機層状化合物分散液(A液)とする。当該高純度モンモリロナイトの粒径は560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは461である。また、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度; 99.6モル%,重合度1700)をイオン交換水(0.7μS/cm以下)に4wt%となるように溶解させこれを樹脂溶液(B液)とする。A液とB液とをそれぞれの固形成分比(体積比)が無機層状化合物/樹脂=2/8となるように混合し、これを透明酸素遮断層形成塗工液とした。厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(内面コロナ処理品 商品名ルミラー;東レ(株)製)を基体シート層として、そのうえに剥離層5μmを形成した。次にこの上に透明酸素遮断層形成塗工液をマイクログラビアコーターを用いライン速度3m/分、乾燥温度100℃で膜厚0.6μmとなるように塗布・乾燥し透明酸素遮断層を形成した。次に機能層として2色の印刷をグラビア印刷機により行った(商品名ラミオールマーク3 (株)サカタインクス製)。最後に接着層として低密度ポリエチレン(商品名スミカセンL705 住友化学工業(株)製)を透明酸素遮断層側にアンカーコート(アンカー厚み約0.03μm 商品名:アドコートAD335AE/CAT10 東洋モートン(株)製を重量比=100/6で混合し、固形分1%となるように酢酸エチルで希釈したものを使用。)した面に、樹脂温度310℃、膜厚50μmとなるように押出ラミネートし形成した。このようにして得られた転写フィルムの酸素透過度は、0.018cc/m2/day、全光線透過率は91%、HAZEは12%といずれも優れたものであった。成型品(被転写物)として低密度ポリエチレン(商品名スミカセンG801 住友化学工業(株)製)を180℃、50kg/cm2 でプレス成型し、500μmのシートを得た。本成型品に上記で得られた転写フィルムを熱転写し、得られた転写済みの成型品の酸素透過度は、0.017cc/m2/dayと優れたものであった。
【0059】
(比較例1)
透明酸素遮断性層を用いない以外は実施例2と同様にして得た転写フィルムの酸素透過度は、54cc/m2/day と劣ったものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、無機層状化合物のX線回折ピークと、該化合物の「単位厚さa」との関係を模式的に示すグラフである。
【図2】 図2は、無機層状化合物を含む樹脂組成物のX線回折ピークと、該組成物の「面間隔d」との関係を模式的に示すグラフである。
【図3】 図3は、「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重なって検出することが困難な場合における樹脂組成物のX線回折ピークと、該組成物の「面間隔d」との関係を模式的に示すグラフである。この図においては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。
【図4】 図4は、ポリビニルアルコールPVA−117H/クニピアF組成物のX線回折ピークを示すグラフである。
【図5】 図5は、クニピアF(モンモリロナイト)のX線回折ピークを示すグラフである。
【図6】 図6は、面間隔d=19.62オングストロームの組成物のX線回折ピーク(上記図2のパターン)を示すグラフである。
【図7】 図7は、面間隔d=32.94オングストロームの組成物のX線回折ピーク(上記図2と図3のパターンあり)を示すグラフである。
【図8】 図8は、面間隔d≧44.13オングストロームの組成物のX線回折ピーク(上記図3のパターン)を示すグラフである。
【図9】 図9は、本発明の転写フィルムの態様を示す模式断面図である。
【図10】 図10は、本発明の転写フィルムにより転写された成型品の態様を示す模式断面図である。

Claims (5)

  1. 接着層と基体シート層との間に、粒径が5μm以下、アスペクト比が200以上3000以下の無機層状化合物と樹脂からなる透明酸素遮断性層を少なくとも有し、前記基体シート層と透明酸素遮断性層が隣接して積層されてなる転写フィルムであって、該転写フィルムの23℃、50%RH下での酸素透過度が5cc/m2・day・atm以下であることを特徴とする転写フィルム。
  2. 樹脂が、ポリビニルアルコールまたは多糖類であることを特徴とする請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の転写フィルムが転写された成型品。
  4. 成型品の形態がチューブである請求項3に記載の成型品。
  5. 請求項1に記載の転写フィルムの接着層を被転写物に接着させて該転写フィルムを転写した後、透明酸素遮断性層と基体シート層との界面で剥離する転写フィルムの使用方法。
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