JP4807105B2 - 多層構造体の製造方法 - Google Patents
多層構造体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4807105B2 JP4807105B2 JP2006054783A JP2006054783A JP4807105B2 JP 4807105 B2 JP4807105 B2 JP 4807105B2 JP 2006054783 A JP2006054783 A JP 2006054783A JP 2006054783 A JP2006054783 A JP 2006054783A JP 4807105 B2 JP4807105 B2 JP 4807105B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- layered compound
- inorganic layered
- multilayer structure
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
ところで無機層状化合物のアスペクト比は、(無機層状化合物の粒径)/(厚み)で求めることができる。一般に無機層状化合物の厚みはその粒径に比べて非常に小さいので、アスペクト比の大きい無機層状化合物とは、粒径の大きい無機層状化合物と言い換えることができる。すなわち、粒径の大きい無機層状化合物を用いることが、ガスバリア性の点からは好ましい。しかしながら実際には、粒径の大きい無機層状化合物を含む樹脂組成物を用いてガスバリア層を形成した場合には、無機層状化合物をガスバリア層中に均一に分散させることが困難であるため、期待されたガスバリア性が得られないという問題があった。
粒径の大きい無機層状化合物と樹脂を含む樹脂組成物を用いて、ガスバリア性に優れるガスバリア層を形成するためには、粒径が0.01〜5μmの無機層状化合物と粒径が1.5〜10μmの無機層状化合物を併用することが有効であることが、特許文献1に開示されている。
第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程
を含み、
前記第1の塗工液と前記第2の塗工液とは、前記第2の材料の乾燥体積に対する前記第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が前記第1の材料の乾燥体積に対する前記第1の無機層状化合物の乾燥体積の比率よりも高く、前記第1の塗工液に含まれる第1の無機層状化合物および/または前記第2の塗工液に含まれる第2の無機層状化合物が、下記式1を満たす無機層状化合物(A)と無機層状化合物(B)との混合物である多層構造体の製造方法である。
La>2×Lb (式1)
La:無機層状化合物(A)の平均粒径
Lb:無機層状化合物(B)の平均粒径
第1の無機層状化合物および第2の無機層状化合物としてはそれぞれ、液体媒体への膨潤性、劈開性を有する無機層状化合物が好ましく用いられ、粘土鉱物がより好ましく用いられる。
本発明で用いる無機層状化合物とは、液体媒体へ分散させる以前の状態として、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。
無機層状化合物の中でも、特に溶媒への膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましく用いられる。
La>2×Lb (式1)
La:無機層状化合物(A)の平均粒径
Lb:無機層状化合物(B)の平均粒径
第1の無機層状化合物および/または第2の無機層状化合物として前記のような混合物を用いて、基材層、第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、該第1の材料における第1の無機層状化合物の体積分率よりも高い体積分率で第2の無機層状化合物を含む第2の材料からなる第2の層が順に積層されてなる多層構造体を製造することにより、ガスバリア性に優れる多層構造体が得られる。
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
1/P=(1/P1)+(1/P2)
P :積層フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P1:基材フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P2:樹脂層の酸素透過度(cc/m2・day・atm)
具体的には、基材フィルムには厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材フィルム上に、酸素透過度を測定したい樹脂からなる層を形成して酸素透過度を測定し、樹脂層25μmあたりの酸素透過度を算出する。
多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、などが挙げられる。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和されたカルボキシル基の全モル数
B:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和前のカルボキシル基の全モル数
La>2×Lb (式1)
La:無機層状化合物(A)の平均粒径
Lb:無機層状化合物(B)の平均粒径
また、塗工性の観点から、第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率は、40vol%以下であることがさらに好ましく、35vol%以下であることがさらに好ましく、30vol%以下であることが最も好ましい。
基材層/第1の層/第2の層(構成1)、
基材層/第1の層/第2の層/無機層状化合物を含む追加層A(構成2)、
基材層/第1の層/第2の層/無機層状化合物を含む追加層B/無機層状化合物を含む追加層C(構成3)、
基材層/第1の層/第2の層/無機層状化合物を含む追加層D/無機層状化合物を含む追加層E/無機層状化合物を含む追加層F(構成4)、
基材層/第1の層/第2の層/樹脂層(構成5)、
基材層/第1の層/第2の層/無機層状化合物を含む追加層B/無機層状化合物を含む追加層C/樹脂層(構成6)、
基材層/第1の層/第2の層/無機層状化合物を含む追加層D/無機層状化合物を含む追加層E/無機層状化合物を含む追加層F/樹脂層(構成7)
が挙げられる。
ここで無機層状化合物を含む追加層A、B、C、D、Eは、それぞれ第1の層または第2の層と同じ組成であってもよい。例えば構成2において無機層状化合物を含む追加層Aが第1の層と同じ組成であってもよく、構成3において無機層状化合物を含む追加層Bが第1の層と、無機層状化合物を含む追加層Cが第2の層と同じ組成であってもよい。また構成4において無機層状化合物を含む追加層DおよびFが第1の層と同じ組成であり、無機層状化合物を含む追加層Eが第2の層と同じ組成であってもよい。
架橋剤にキレート化合物を用いる場合には、架橋剤を混合した後の塗工液の安定性の観点から、該塗工液が酸性であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。塗工液のpHに特に下限はないが、通常、0.5以上である。塗工液に塩酸等の酸性溶液を添加したり、塗工液をイオン交換処理することにより酸性とすることができる。
また本発明で得られる多層構造体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素劣化を防ぐことができる。本発明で得られる多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。本発明で得られる多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する第1の無機層状化合物含有分散液、第5の塗工液、分散液Aおよび分散液B中の粘土鉱物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、さらに該分散液Aおよび分散液Bの希釈液中の粘土鉱物の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定した。いずれの場合も平均粒径の値は変わらず、分散液中で粘土鉱物が充分に膨潤し劈開していることを確認した。この値を、第1の層および第2の層の粘土鉱物の平均粒径Lとみなした。
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、粘土鉱物の回折測定を粉末法により行い、粘土鉱物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該粘土鉱物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお分散液Aおよび分散液Bを乾燥したものについてもX線回折測定を行ない、粘土鉱物の面間隔が広がっていることを確認した。
210mm×300mmの積層体を、150℃2%RHのオーブン中で60分間熱処理した。
小型レトルト高圧蒸気滅菌器(アルプ(株)社製 RK-3030)を用いて、210mm×300mmの多層構造体を120℃で60分間、水蒸気雰囲気下で湿熱処理した。湿度は100%RHと見なす。
210mm×300mmの多層構造体を、23℃50%RH雰囲気下で24時間静置した。
JIS K7126に基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて、23℃90%RHの条件下で測定を行った。
塗工液(1)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)65gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、第1の無機層状化合物含有液を得た。この第1の無機層状化合物含有液に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量%(前記含有液の重量を基準とする)を添加し、さらにこれを高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理し、第1の分散液を得た。第1の無機層状化合物分散液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径は560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比は460であった。上記の第1の分散液1000gに、イオン交換水1000g、イソプロピルアルコール1000gを添加し、系のpHが3以下となるように塩酸で調整し、これにチタンアセチルアセトナート(商品名:TC100、松本製薬工業(株)製)2.66gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)にて徐々に添加することにより、塗工液(1)を調製した。塗工液(1)中のポリビニルアルコールと無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。
攪拌機にて、室温下、イオン交換水1000gおよびイソプロパノール1000gを高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)のもと、該攪拌系に合成テトラシリリックマイカ(商品名:Na−Ts、トピー工業(株)製)60gを徐々に加え、添加終了後、室温下にて60分間攪拌を続けた。その後、系のpHが3以下となるように塩酸を添加して調整し、分散液Aを調製した。粒径測定を行ったところ、平均粒径は6.26μmであり、アスペクト比は5000であった。
また攪拌機にて、室温下、イオン交換水1000gおよびイソプロパノール1000gを高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)のもと、該攪拌系に高純度モンモリロナイト60gを徐々に加え、添加終了後、室温下にて60分間攪拌を続けた。その後、系のpHが3以下となるように塩酸を添加して調整し、分散液Bを調製した。その後攪拌機にて、室温下、分散液A240gおよび分散液B960gを高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)のもと、徐々に加え、添加終了後、室温下にて60分間攪拌を続け、塗工液(2)を作製した。合成テトラシリリックマイカと高純度モンモリロナイトの体積比はおよそ1/4であった。
塗工液(1)において、高純度モンモリロナイトのかわりに、高純度モンモリロナイト65gおよび合成テトラシリリックマイカ38gを用いた以外は同様にして、塗工液(3)を調製した。塗工液(3)中のポリビニルアルコールと無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は32vol%であった。
攪拌機にて、室温下、イオン交換水1000gおよびイソプロパノール1000gを高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)のもと、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)60gを徐々に加え、添加終了後、室温下にて60分間攪拌を続けた。その後、系のpHが3以下となるように塩酸を添加して調整し、塗工液(4)を調製した。粒径測定を行ったところ、平均粒径は0.56μmであり、アスペクト比は460であった。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト109g、合成ヘクトライト(商品名「ラポナイトXLS」、日本シリカ工業(株)製)28gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、無機層状化合物含有液(5)を得た。
この無機層状化合物含有液(5)に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量%(前記分散液の重量を基準とする)を低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において添加し、その後系のpHが6となるようにイオン交換樹脂で調整し、無機層状化合物分散液(5)を調製した。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1067gと、ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、平均分子量100,0000)33gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で樹脂成分(C3)溶液を作製した。
無機層状化合物分散液(5)全量2574gと樹脂成分(C3)溶液全量1100gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理することにより、塗工液(5)を得た。
塗工液(5)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
塗工液(5)中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は30vol%であった。
無機層状化合物含有液(5)において、高純度モンモリロナイト109gのかわりに168gを用いた以外は同様にして、塗工液(6)を調製した。塗工液(6)中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は38vol%であった。
無機層状化合物含有液(5)において、高純度モンモリロナイト109gのかわりに173g、合成ヘクトライト28gのかわりに43gを用いた以外は同様にして、塗工液(7)を調製した。塗工液(7)中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。
無機層状化合物含有液(5)の調整において、高純度モンモリロナイト109gのかわりに242g、合成ヘクトライト28gのかわりに43gを用いた以外は同様にして、塗工液(8)を調製した。塗工液(8)中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は47vol%であった。
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム(商品名:ON-U;ユニチカ(株)製)の片面をコロナ処理したものを基材層とし、該基材層のコロナ処理面に、前述の塗工液(1)をテストコーター(康井精機製)を用いてマイクログラビア塗工法(グラビアロールの線数 300)により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して乾燥温度100℃で乾燥し、無機層状化合物を含む第1の層を形成した。第1の層の厚みは0.04μmであった。該第1の層をA1層とする。次にA1層上に、塗工液(2)を塗工液(1)と同様の方法で塗工して乾燥し、無機層状化合物を含む第2の層を形成した。該第2の層をB1層とする。さらに上記B1層上に塗工液(1)を先と同様の方法で塗工して乾燥し、A2層を形成した。このようにして塗工液(1)を2回、塗工液(2)を1回塗工し、基材層を含めて4層(基材層/A1層/B1層/A2層)の多層構造体を得た。該多層構造体における乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちA1層/B1層/A2層の厚みは0.09μmであった。なおA1層、A2層の各層における無機層状化合物の体積分率は、用いた塗工液(1)中のポリビニルアルコールと無機層状化合物の合計体積に対する無機層状化合物の体積分率と等しいとみなすことができ、20vol%である。またB1層における無機層状化合物の体積分率は100vol%であった。A1層の厚みが0.04μmであったことから、同じ条件で塗工したA2層の厚みもそれぞれ0.04μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.09μmであったことから、B1層の厚みは0.01μmと求められた。またA1、B1、A2における無機層状化合物の平均体積分率は32vol%であった。
23℃50%RH雰囲気下で24時間エージングした。結果を表1に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(5)を用い、塗工液(2)のかわりに塗工液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/C1層/D1層/C2層であり、乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちC1層/D1層/C2層の厚みは0.09μmであった。なおC1層、C2層の各層における無機層状化合物の体積分率は、30vol%であった。またB1層における無機層状化合物の体積分率は100vol%であった。C1層の厚みが0.04μmであったことから、同じ条件で塗工したC2層の厚みもそれぞれ0.04μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.09μmであったことから、D1層の厚みは0.01μmと求められた。またC1、D1、C2層における無機層状化合物の平均体積分率は38vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(7)を用い、塗工液(2)のかわりに塗工液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/E1層/D1層/E2層であり、乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちE1層/D1層/E2層の厚みは0.09μmであった。なおE1層、E2層の各層における無機層状化合物の体積分率は、30vol%であった。またD1層における無機層状化合物の体積分率は100vol%であった。E1層の厚みが0.04μmであったことから、同じ条件で塗工したE2層の厚みもそれぞれ0.04μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.09μmであったことから、D1層の厚みは0.01μmと求められた。またE1、D1、E2層における無機層状化合物の平均体積分率は47vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
塗工液(1)および塗工液(2)のかわりに、塗工液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上にF1層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/F1層であり、乾燥後のF1層の厚みは約0.12μmであった。なおF1層における無機層状化合物の体積分率は、32vol%であった。
得られた多層構造体について酸素透過度測定を行い、以下の式2に従い0.09μmあたりの酸素透過度に換算した。結果を表1に示した。
(式2) P3=P4×(T1/0.09)
P3:無機層状化合物を含む層の厚み0.09μmあたりの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P4:多層構造体の酸素透過度(実測値)
T1:多層構造体のガスバリア層の膜厚(μm)
なお基材の酸素透過度は、樹脂組成物層の酸素透過度と比較して、著しく高いため、考慮していない。
塗工液(1)および塗工液(2)のかわりに、塗工液(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上にG1層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/G1層であり、乾燥後のG1層の厚みは約0.12μmであった。なおG1層における無機層状化合物の体積分率は、38vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定し、式2に従い0.09μmあたりの酸素透過度に換算した。結果を表1に示した。
塗工液(1)および塗工液(2)のかわりに、塗工液(8)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上にH1層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/G1層であり、乾燥後のH1層の厚みは約0.12μmであった。なおH1層における無機層状化合物の体積分率は、47vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定し、式2に従い0.09μmあたりの酸素透過度に換算した。結果を表1に示した。
Claims (9)
- 基材層、第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、該第1の材料における第1の無機層状化合物の体積分率よりも高い体積分率で第2の無機層状化合物を含む第2の材料からなる第2の層が順に積層されてなる多層構造体の製造方法であって、該方法は、
第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程
を含み、
前記第1の塗工液と前記第2の塗工液とは、前記第2の材料の乾燥体積に対する前記第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が前記第1の材料の乾燥体積に対する前記第1の無機層状化合物の乾燥体積の比率よりも高く、前記第1の塗工液に含まれる第1の無機層状化合物および/または前記第2の塗工液に含まれる第2の無機層状化合物が、下記式1を満たす無機層状化合物(A)と無機層状化合物(B)との混合物である多層構造体の製造方法。
La>2×Lb (式1)
La:無機層状化合物(A)の平均粒径
Lb:無機層状化合物(B)の平均粒径 - 前記無機層状化合物(A)の平均粒径Laが0.9〜20μmであり、かつ前記無機層状化合物(B)の平均粒径Lbが0.2〜0.8μmである請求項1記載の多層構造体の製造方法。
- 第1の無機層状化合物および/または第2の無機層状化合物が、無機層状化合物(A)と無機層状化合物(B)とを、体積比(A)/(B)=5/95〜40/60で混合した混合物である請求項2に記載の多層構造体の製造方法。
- 前記無機層状化合物(A)の平均粒径Laが0.2〜0.8μmであり、かつ前記無機層状化合物(B)の平均粒径Lbが0.01〜0.15μmである請求項1記載の多層構造体の製造方法。
- 第1の無機層状化合物および/または第2の無機層状化合物が、無機層状化合物(A)と無機層状化合物(B)とを、体積比(A)/(B)=90/10〜10/90で混合した混合物である請求項4に記載の多層構造体の製造方法。
- 第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が70vol%未満であって、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率が70〜100vol%であり、かつ前記第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率よりも10vol%以上高い請求項1〜5いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 第1の層における無機層状化合物の体積分率が5〜50vol%である請求項1〜6いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 第2の層における無機層状化合物の体積分率が85〜100vol%である請求項1〜7いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 第1の層および第2の層が積層された側の最表層における無機層状化合物の体積分率が0〜50vol%である請求項1〜8のいずれかに記載の多層構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006054783A JP4807105B2 (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | 多層構造体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006054783A JP4807105B2 (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | 多層構造体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007229626A JP2007229626A (ja) | 2007-09-13 |
JP4807105B2 true JP4807105B2 (ja) | 2011-11-02 |
Family
ID=38550753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006054783A Active JP4807105B2 (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | 多層構造体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4807105B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014106214A1 (en) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | Compagnie Generale Des Establissment Michelin | Thin film diffusion barrier |
JP6212868B2 (ja) * | 2013-01-18 | 2017-10-18 | 住友化学株式会社 | 太陽電池パネル用バックシートおよび太陽電池パネル |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001212917A (ja) * | 1999-11-25 | 2001-08-07 | Oji Paper Co Ltd | ガスバリアー性積層体 |
JP2002086610A (ja) * | 2000-09-20 | 2002-03-26 | Oji Paper Co Ltd | ガスバリアー性積層体 |
JP3760853B2 (ja) * | 2001-12-10 | 2006-03-29 | 王子製紙株式会社 | ガスバリアー性積層体 |
JP3898536B2 (ja) * | 2002-03-18 | 2007-03-28 | 株式会社クラレ | 樹脂組成物および用途 |
-
2006
- 2006-03-01 JP JP2006054783A patent/JP4807105B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007229626A (ja) | 2007-09-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8129042B2 (en) | Multilayer structure and process for producing a multilayer structure | |
JPH0693133A (ja) | ガスバリア性樹脂組成物およびフィルム | |
JP2008200975A (ja) | 多層構造体の製造方法 | |
JP4735351B2 (ja) | 多層構造体および多層構造体の製造方法 | |
JP4807105B2 (ja) | 多層構造体の製造方法 | |
JP5076800B2 (ja) | 多層構造体の製造方法 | |
JP5092371B2 (ja) | 樹脂膜および積層体の製造方法 | |
JP2009095764A (ja) | 多層構造体の製造方法 | |
JP5076799B2 (ja) | 多層構造体の製造方法 | |
JP3681426B2 (ja) | 積層フィルム | |
JP4350172B2 (ja) | フィルム積層体 | |
JP4663672B2 (ja) | 樹脂組成物および積層体の製造方法 | |
JP4929675B2 (ja) | 多層構造体および多層構造体の製造方法 | |
JP4984622B2 (ja) | 多層構造体および多層構造体の製造方法 | |
JP5838792B2 (ja) | 無機膜および多層構造体 | |
JP5145855B2 (ja) | 多層構造体の製造方法 | |
JP4077927B2 (ja) | 樹脂組成物および積層体 | |
JP2000052499A (ja) | レトルト殺菌包装用フィルム積層体およびそれを備えた包装袋 | |
JPH11314674A (ja) | ガスバリア容器および食品用包装材 | |
JP2008200976A (ja) | 多層構造体および多層構造体の製造方法 | |
JP4757363B2 (ja) | 発泡体容器および食品用包装材 | |
JPH09157406A (ja) | ガスバリア性樹脂組成物およびフィルム | |
JPH11314319A (ja) | 加熱用包装容器および食品用包装材 | |
JP5990912B2 (ja) | 分散液の製造方法および無機層状化合物のイオン交換方法 | |
JP2000254995A (ja) | 積層体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20080131 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20080515 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090115 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110301 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110405 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110606 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110719 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110801 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4807105 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |