JP5990912B2 - 分散液の製造方法および無機層状化合物のイオン交換方法 - Google Patents
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また本発明は、他の面において、無機層状化合物の層間に含まれるナトリウムイオンを、ナトリウム以外の陽イオンAに交換する無機層状化合物のイオン交換方法であって、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物と、液体媒体とを含む予備分散液を、上記陽イオンAを有するイオン交換樹脂と接触させ、上記無機層状化合物に含まれるナトリウムイオンの少なくとも一部を上記陽イオンAに交換する無機層状化合物のイオン交換方法である。
無機層状化合物は一般に層間にナトリウムイオンを有するものである。
本発明の層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物としては、粘土鉱物が挙げられ、イオン交換のしやすさから、液体媒体への膨潤性、劈開性を有する粘土鉱物が好ましく用いられる。
本発明の予備分散液には、カリウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオン等の陽イオンを層間に有する無機層状化合物が含まれていてもよい。
粘土鉱物は、一般に(i)シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、(ii)シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。(i)の2層構造タイプの粘土鉱物としては、カオリナイト−蛇紋石族の粘土鉱物が挙げられる。(ii)の3層構造タイプの粘土鉱物としては、タルク−パイロフィライト族、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族、脆雲母族および緑泥石族等の粘土鉱物が挙げられる。
タルク−パイロフィライト族の具体例としては、タルク、ウィレムサイト、ケロライト、ピメライト、パイロフィライト、フェリパイロフィライト等が挙げられる。
スメクタイト族の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、ボルコンスコアイト、スインホルダイト等が挙げられる。
バーミキュライト族の具体例としては、3八面体型バーミキュライト、2八面体型バーミキュライト等が挙げられる。
マイカ族の具体例としては、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、金雲母、黒雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、鱗雲母、ポリリシオナイト、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、パラゴナイト、レピドライト等が挙げられる。
脆雲母族の具体例としては、ザンソフィライト、クリントナイト、ビテ雲母、アナンダ石、真珠雲母、マーガイラト等が挙げられる。
緑泥石族の具体例としては、クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、ドンバサイト、クッケアイト、スドーアイト等が挙げられる。
また、これら粘土鉱物を有機物でイオン交換等の処理し、分散性等を改良したもの(朝倉書店、「粘土の事典」参照;以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も無機層状化合物として用いることができる。粘土鉱物を処理する上記有機物としては、公知のジメチルジステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩やフォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩等を用いることができる。
予備分散液に含まれる層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物は、2種類以上であってもよい。
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
エーテルとしては、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレン等が挙げられる。
モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
トリカルボン酸としては、クエン酸等が挙げられる。
また鎖式カルボン酸であっても芳香族カルボン酸であってもよく、また酸無水物であってもよい。
中でも、取り扱いの容易さから、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸であることが好ましく、酢酸であることがより好ましい。
予備分散液に含まれるオキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物との合計重量を100重量%とするときに、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物の割合が0.01〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましく、0.01〜2重量%であることがより好ましい。オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物の割合を上記範囲とすることで、ナトリウムイオンを効率よく低減させることができ、また後述の本発明の製造方法にて得られる層間にナトリウム以外の陽イオンAを有する無機層状化合物を含む分散液、特に前記陽イオンAが水素イオン、リチウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の陽イオンである無機層状化合物を含む分散液を樹脂等からなる基材層上に塗布し、塗布膜を形成し、該塗布膜から液体媒体を除去してなる膜を作製して用いる場合、該膜はガスバリア性に優れるため好ましい。
該予備分散液の重量を100重量%とするときに、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物と、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物との合計重量の割合は、0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましく、3〜10重量%であることがさらに好ましい。層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物と、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物との合計重量の割合を上記範囲とすることで、後述の本発明の製造方法にて得られる層間にナトリウム以外の陽イオンAを有する無機層状化合物を含む分散液、特に前記陽イオンAが水素イオン、リチウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の陽イオンである無機層状化合物を含む分散液を樹脂等からなる基材層上に塗布し、塗布膜を形成し、該塗布膜から液体媒体を除去してなる膜を作製して用いる場合、該膜は透明性、製膜性に優れるため好ましい。
該予備分散液の重量を100重量%とするときに、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物の割合は、0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましく、3〜10重量%であることがさらに好ましい。
(i)液体媒体と層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物とを予め混合した後、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を加えて混合する方法。
(ii)オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物とを予め混合した後、液体媒体を加えて混合する方法。
(iii)オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、液体媒体とを予め混合した後、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物を加えて混合する方法。
(iv)液体媒体と層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物とを混合した混合液(iv−1)と、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と液体媒体とを混合した混合液(iv−2)とを混合する方法。
層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物の液体媒体への膨潤性、劈開性の点から、好ましくは、上記(iii)の方法である。
イオン交換樹脂とは通常、微細な三次元網目構造の高分子基体にイオン交換基を結合させたものであり、高分子基体に固定された固定イオンと、該固定イオンと反対符号の電荷を有し、液体媒体中に溶出可能なイオンとから成っている。イオン交換樹脂は、イオン交換基の種類により、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分類されるが、本発明で用いるイオン交換樹脂は、ナトリウム以外の陽イオンAを有するイオン交換樹脂である。陽イオンAとしては、水素イオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン等の一価の陽イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の二価の陽イオンが挙げられる。イオン交換樹脂が有する陽イオンAは、水素イオン、リチウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の陽イオンであることが好ましい。このように層間に水素イオンを有する無機層状化合物と層間にリチウムイオンを有する無機層状化合物と層間にアンモニウムイオンを有する無機層状化合物とから選ばれる1種以上の無機層状化合物を含む分散液を樹脂等からなる基材層上に塗布し、塗布膜を形成し、該塗布膜から液体媒体を除去してなる膜を作製して用いる場合、該膜はガスバリア性に優れる。
上記予備分散液を、水素イオンを有するイオン交換樹脂と接触させ、無機層状化合物の層間に含まれるナトリウムイオンを、イオン交換樹脂が有する水素イオンに交換することにより、層間に水素イオンを有する無機層状化合物を含む分散液を製造することができる。
上記予備分散液を、リチウムイオンを有するイオン交換樹脂と接触させ、無機層状化合物の層間に含まれるナトリウムイオンを、イオン交換樹脂が有するリチウムイオンに交換することにより、層間にリチウムイオンを有する無機層状化合物を含む分散液を製造することができる。
上記予備分散液を、アンモニウムイオンを有するイオン交換樹脂と接触させ、無機層状化合物の層間に含まれるナトリウムイオンを、イオン交換樹脂が有するアンモニウムイオンに交換することにより、層間にアンモニウムイオンを有する無機層状化合物を含む分散液を製造することができる。
また、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を基体とし、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、4級アンモニウム基などのイオン交換基が固定されたものが好ましく用いられる。イオン交換樹脂の形態としては、ビーズが好ましい。イオン交換樹脂としては、具体的には文献:「12695の化学商品」 化学工業日報社発行 1995年909〜914頁を参照することができる。イオン交換容量については特に限定されるものではないが、通常1.2eq/l−R以上であり、より好ましくは2.0eq/l−R以上である。
また、本発明の製造方法により得られる層間に上記陽イオンAを有する無機層状化合物を含む分散液は、下記樹脂を含有してもよい。
樹脂を含有することにより、本発明で得られる層間に水素イオンを有する無機層状化合物と層間にリチウムイオンを有する無機層状化合物と層間にアンモニウムイオンを有する無機層状化合物とから選ばれる1種以上の無機層状化合物と樹脂とを含む分散液を、樹脂等からなる基材層上に塗布し、塗布膜を形成し、該塗布膜から液体媒体を除去してなる膜を作製して用いる場合、該膜は柔軟性を有する。
また、重合度は、100以上5000以下、200以上3000以下であることがより好ましい。
水系の液体媒体に容易に溶解させることができ、取り扱いが容易であることや、本発明の製造方法により得られる分散液を用いて得られる膜のガスバリア性の観点から、一分子中に水酸基とカルボキシル基とを含む樹脂であることが好ましく、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ビニルアルコール−メタアクリル酸共重合体であることが好ましい。
水系の液体媒体に容易に溶解させることができ、取り扱いが容易であることや、本発明の製造方法により得られる分散液を用いて得られる膜のガスバリア性の観点から、水酸基を含む樹脂と、カルボキシル基を含む樹脂を併用することが好ましい。この場合、水酸基を含む樹脂としてポリビニルアルコール、カルボキシル基を含む樹脂としてポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸またはポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物であることが好ましい。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和されたカルボキシル基の全モル数
B:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和前のカルボキシル基の全モル数
例えば本発明で得られる分散液を樹脂からなる基材層に塗布して得られる積層体は、ガスバリア性に優れることから、ディスプレイ用基板として用いた場合、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に比べ、軽量化、大型化という要求にこたえることができ、形状の自由度が高く、曲面表示が可能である。さらにはロールツーロール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。また従来のプラスチック等を用いた基板と比較して、水蒸気や空気のガスバリア性が高く、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまうといった問題を解決できる。またシリコン型あるいは色素増感型太陽電池の基板用途として該積層体を用いた場合、バックシートあるいは前面板として用いれば、水蒸気や酸素等のガスが電極や半導体、色素、電解質に作用することで起こる光電変換特性の劣化を抑制することができる。また耐熱性にも優れることから、薄膜でシリコン層等を形成する場合にも好適に用いることができる。また電子部品部材として用いる場合、耐熱性に優れ、またエッチングの際の耐アルカリ性、耐酸性に優れることからプリント配線基板用途として用いることが可能である。該積層体を真空断熱材パネル用途として外装に用いた場合、ガスバリア性に優れるため、長期間にわたって内部の真空度を保持できるとともに、アルミ箔等と比較して熱橋が起こりにくいため、断熱性に優れる。
また該積層体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素および水蒸気劣化を防ぐことができる。該多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、ボトル、ボトルキャップ、箱型、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。本発明の製造方法で得られる多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム、ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
ガスバリア性に優れるという観点から、層間に水素イオンを有する無機層状化合物と層間にリチウムイオンを有する無機層状化合物と層間にアンモニウムイオンを有する無機層状化合物とからなる群より選ばれる1種以上の無機層状化合物を含む分散液を用いることが好ましい。
後述の分散液(1)〜(8)について、キャピラリー電気泳動装置(キャピラリー電気泳動システム、Agilent Technologies社製)を用いて、ナトリウムイオン濃度、リチウムイオン濃度およびアンモニウムイオン濃度を測定した。試料の調製方法は以下のとおりである。試料1mLをキャピラリー電気泳動用泳動液(20mM イミダゾール/5mM 乳酸/0.5mM 18−クラウンー6−エーテル(pH4.5))1mLで希釈した後、限外ろ過フィルター(Ultrafree−MC30000 NMWL Filter Unit、MILLIPORE社製)を使用して希釈試料をろ過した。該溶液をキャピラリー電気泳動装置に供試し、分散液(1)〜(8)中のナトリウムイオン濃度、リチウムイオン濃度およびアンモニウムイオン濃度を測定した。また分散液(1)、(2)、(3)、(4)、(8)中の水素イオン濃度については、分散液(8)中のナトリウムイオン濃度から、各分散液中のナトリウムイオン濃度、リチウムイオン濃度およびアンモニウムイオン濃度の合計量を差し引いた値とした。
攪拌機にて、室温下、イオン交換水1000gを高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)のもと、該攪拌系にピロリン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.75gを徐々に加え、さらに高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)60gを徐々に加え、添加終了後、室温下にて60分間攪拌を続け、予備分散液(1)を得た。
該予備分散液(1)にH+型イオン交換樹脂(デュオライト C255LFH;ローム&ハース社製)を60g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(1)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(1)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、分散液(1)を得た。該分散液(1)中のナトリウムイオン濃度は3μmol/g、リチウムイオン濃度は測定下限値以下、アンモニウムイオン濃度は測定下限値以下、水素イオン濃度は35μmol/gであった。
実施例1の予備分散液(1)において、ピロリン酸ナトリウムのかわりにピロリン酸(和光純薬工業(株)製)を添加したこと以外は同様にして、予備分散液(2)を得た。該予備分散液(2)にH+型イオン交換樹脂を60g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(2)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(2)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、分散液(2)を得た。該分散液(2)中のナトリウムイオン濃度は4μmol/g、リチウムイオン濃度は測定下限値以下、アンモニウムイオン濃度は測定下限値以下、水素イオン濃度は34μmol/gであった。
実施例1の予備分散液(1)において、ピロリン酸ナトリウムのかわりに硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を添加したこと以外は同様にして、予備分散液(3)を得た。該予備分散液(3)にH+型イオン交換樹脂を60g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(3)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(3)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、分散液(3)を得た。該分散液(3)中のナトリウムイオン濃度は8μmol/g、リチウムイオン濃度は測定下限値以下、アンモニウムイオン濃度は測定下限値以下、水素イオン濃度は30μmol/gであった。
実施例1の予備分散液(1)において、ピロリン酸ナトリウムのかわりに酢酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を添加したこと以外は同様にして、予備分散液(4)を得た。該予備分散液(4)にH+型イオン交換樹脂を60g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(4)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(4)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、分散液(4)を得た。該分散液(4)中のナトリウムイオン濃度は2μmol/g、測定下限値以下、アンモニウムイオン濃度は測定下限値以下、水素イオン濃度は36μmol/gであった。
イオン交換樹脂(デュオライト C−20LF;ローム&ハース社製)50ccと10%塩化リチウム水溶液500gとを混合し、次いで30分間高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)し、その後、該イオン交換樹脂を回収し、Li+型イオン交換樹脂を作製した。
H+型イオン交換樹脂のかわりに、該Li+型イオン交換樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、分散液(5)を得た。該分散液(5)中のナトリウムイオン濃度は3μmol/g、リチウムイオン濃度は34μmol/g、アンモニウムイオン濃度は測定下限値以下であった。
イオン交換樹脂(デュオライト C−20LF;ローム&ハース社製)50ccと10%塩化アンモニウム水溶液500gとを混合し、次いで30分間高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)し、その後、該イオン交換樹脂を回収し、NH4+型イオン交換樹脂を作製した。
H+型イオン交換樹脂のかわりに、該NH4+型イオン交換樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、分散液(6)を得た。該分散液(6)中のナトリウムイオン濃度は6μmol/g、リチウムイオン濃度は測定下限値以下、アンモニウムイオン濃度は30μmol/gであった。
実施例1の予備分散液(1)において、ピロリン酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は同様にして、予備分散液(7)を得た。該予備分散液(7)にH+型イオン交換樹脂を60g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(7)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(7)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、分散液(7)を得た。該分散液(7)中のナトリウムイオン濃度は10μmol/g、リチウムイオン濃度は測定下限値以下、アンモニウムイオン濃度は測定下限値以下、水素イオン濃度は28μmol/gであった。
実施例1の予備分散液(1)を分散液(8)とした。該分散液(8)中のナトリウムイオン濃度は38μmol/g、リチウムイオン濃度は測定下限であった。
Claims (7)
- オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物と、液体媒体とを含む予備分散液を、ナトリウム以外の陽イオンAを有するイオン交換樹脂と接触させる分散液の製造方法であって、
上記オキソ酸が、硫酸、タングステン酸、酢酸、またはピロリン酸である分散液の製造方法。 - 上記予備分散液の重量を100重量%とするときに、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物の割合が3〜20重量%である請求項1に記載の分散液の製造方法。
- イオン交換樹脂が有する陽イオンAが、水素イオン、リチウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の陽イオンである請求項1または2に記載の分散液の製造方法。
- オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物が、オキソ酸とオキソ酸のナトリウム塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の分散液の製造方法。
- 予備分散液に含まれるオキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物との合計重量を100重量%とするときに、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物の割合が0.01〜10重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の分散液の製造方法。
- 無機層状化合物の層間に含まれるナトリウムイオンを、ナトリウム以外の陽イオンAに交換する無機層状化合物のイオン交換方法であって、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物と、液体媒体とを含む予備分散液を、上記陽イオンAを有するイオン交換樹脂と接触させ、上記無機層状化合物に含まれるナトリウムイオンの少なくとも一部を上記陽イオンAに交換する無機層状化合物のイオン交換方法であり、
上記オキソ酸が、硫酸、タングステン酸、酢酸、またはピロリン酸であるイオン交換方法。 - 上記予備分散液の重量を100重量%とするときに、層間にナトリウムイオンを有する無機層状化合物の割合が3〜20重量%である請求項6に記載のイオン交換方法。
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